孤独のグルメ Season Extra 第6話「石川県湯乃鷺温泉街、『喜翆荘』の晩ご飯」part2
井之頭五郎の数奇な出会い。
食事を重んじる井之頭五郎と風呂を重んじる謎の外国人。
この2人が出会うとき。
特に何も起こらない……。
~追加登場人物~
◯ルシウス・モデストゥス
浴場を専門とする(古代)ローマの建築技師。愛国心あふれる頑固な職人気質で、自身の職務とローマ人であることに誇りを持っている。
平たい顔族(日本)のいる現代に風呂を介してのタイムスリップを重ねていく内に日本人のサツキと恋に落ち、二人でローマで平和に過ごしている。
五郎(せっかくだし、風呂でも入るか……)
五郎(温泉街に来たんだ。たまには温泉を楽しもうじゃないか)
~五郎、部屋から出る~
五郎(そうだ。風呂場に行くまでにちょっとこの建物を見学させてもらおう)
五郎(ふむ……)
五郎(やっぱり和洋折衷って感じでいいところだな)
五郎(……)
五郎(お、この置物……どこのやつだろう)
五郎(……)
菜子「あ、あの……どうかなさいましたか?」
五郎「あ、ああ……この置物ってどこで作られたものなのかと……」
菜子「え、えっと……それは……」
五郎(……いかん。焦っているじゃないか。なんだか俺が悪いことをしている気がしてきたぞ)
五郎(ここは何とか場を持たせるか? いや、下手に発言するわけにも……)
スイ「それはインドで作られたものですよ」
五郎「ああ、そうなんですか」
スイ「そういうものに興味がおありですか?」
五郎「いえ、貿易商を営んでいるので……こういうものを注文されるお客様もいるので少し参考にさせていただこうかと」
スイ「そうですか。……あら、入浴でしたか。失礼しました」
五郎「ああ、いえ、お気になさらず」
菜子「………」
~風呂~
五郎(お、誰もいない)
五郎(さてと、お湯をかけて……入りますか)
五郎(あ~……いい)
五郎(……たまにはこうゆっくり湯につかるのも気持ちいいな)
五郎(……)
五郎(誰にも邪魔されず、この空間を独り占めしているのが、何だかちょっと心地いい)
五郎(……)
五郎(……あ)
五郎(いかんいかん、ちょっと寝かけてしまった)
五郎(確か風呂の中で寝るのってあんまりよくないって聞いたな……)
五郎(しかし……長旅だったせいか……少しねむい)
五郎(ちょっとだけ寝てみようかな……)
五郎(……)
五郎(……)
――――――――時代は遡り、まだローマ帝国があったころ……
ルシウス(ふぅ、今日の仕事は一段とハードだった)
ルシウス(サツキと結婚して以来、平たい顔族のいたあの世界に行けなくなっていたが……)
ルシウス(サツキといるせいかもしらんが、アイデアが次々と思いつく……これも愛の力か……)
ルシウス(よし、今日はゆっくりテルマエに入ろう)
ルシウス(……ふぅ)
ルシウス(やはり、風呂は人間に与えられし癒やしの場だな)
ルシウス(風呂は心身ともに癒やされる場所ではなくてはならない)
ルシウス(しかし、サツキ以外の平たい顔族にも感謝せねばならないのに……)
ルシウス(できないのは何だかな……)
ルシウス(……)
ルシウス(……)
ルシウス(む……いつの間にか身体が水の中に入ってしまっていた)
ルシウス(というより私が沈んでいたのか?!)
ルシウス(いかん、早く表へ出なければ……)
ルシウス(水面……あった!)
ルシウス「ぶはぁ!!!!!」
五郎「!?」
五郎(えー……この人、ずっと潜ってたのか……?)
ルシウス(こ、ここは!?)
五郎(でも、さっき脱衣場のとこには服なかったよな……?)
ルシウス(……まさか)
五郎(あ、こっち見た)
ルシウス(平たい顔族!!)
五郎(……何をそんなに驚いているんだろう)
ルシウス(……戻ってこれたのか。またこの地に……)
ルシウス(しかし、ここはどこなんだ? ITOのところとは違う……)
ルシウス(しかもこの平たい顔族の男、随分と鍛えている。もしかしたら兵士の類なのかもしれんな……)
ルシウス(よし、ここがどこか手がかりを見つけなければ……)
ルシウス(っ!? なんだかめまいが……)
五郎「え、ちょっ……」
五郎(突然倒れてしまったが……大丈夫だろうか)
ルシウス「……」
五郎(これ、誰かに伝えたほうがいいよなぁ……)
五郎(よし、とりあえず仲居さん……にはダメだ。刺激が強すぎる。この人服持ってないし)
五郎(男の従業員を探すしかない)
~喜翆荘、入り口付近~
縁「え!? お客様が一人倒れた!?」
五郎「はい、風呂場で……」
縁「今すぐいきましょう!」
~男湯・脱衣場~
縁「うーん……ここは一度、運んでしまいましょう」
五郎「お手伝いします」
縁「ありがとうございます」
~廊下~
五郎(運んでるのはいいけど、本当にタオル一枚でよかったのか……?)
五郎(……ん? あの子は……板前……なわけないか。たぶん、見習いかな)
縁「あ、民子ちゃん! ちょっと」
民子「はい」
縁「悪いけど、女将さんにお客様が倒れたことを伝えてきてくれないかな?」
民子「……」
縁「どうしたんだい?」
民子「その……タオル……」
縁「え? ……あぁーっ!!!!??」
民子「と、とりあえず伝えてきます……」
縁「ご、ごめん……」
五郎(いかんなぁ……やっぱりか……)
~女将部屋・付近~
民子「――――――っ……ホビロン!! なんであんなものを……」
スイ「どうしたんだい?」
民子「あ、女将さん実は――――
~空き室~
縁「手伝っていただいて申し訳ない……」
五郎「いえいえ……」
五郎(しかし、この人……色々と気になる点がある……)
五郎(……)
五郎(しかし……一安心したところで)
五郎(何だか腹が……)
五郎(減ってきた)
五郎(こうしちゃおれん。部屋に戻って晩飯だ……)
五郎「では、失礼しました」
~五郎の部屋・外~
巴「あ、井之頭さん。今ちょうど食事の準備中ですので」
五郎「はい」
巴「……そういえば、井之頭さんって個人で貿易商を営んでいらっしゃるんですよね?」
五郎「え? まぁ……」
巴「個人で貿易商って何だか大変そうな職業ですよね。こういったところにも一人で来なくちゃいけないなんて……」
五郎「えぇ……まぁ大変ですけれど、それなりに充実はしてますよ」
巴「ご結婚とかはなさらないんですか?」
五郎「……あんまり考えたことはないですね」
巴「へぇ……」
巴(……これはチャンスかも)
緒花「配膳終わりましたー!」
巴「あ、では井之頭さん。ごゆっくりお召し上がりになってください」
五郎「はい」
~晩ご飯~
・喜翆荘夕食→板前の魂が入っているのがわかる献立。旬の海の幸山の幸が豊富で嬉しい。
五郎(うわ……量多いな……)
五郎(しかし……美味そうだ……)
五郎(よし、出来る限り全部食べるぞ……)
続く!!
第6話パート3
第6話パート1
第1話
第2話
第3話
第4話・前
第4話・後
第5話
第7話
というわけでルシウス登場でした。
料理のお楽しみは次回へ続きます。
やったなぁ。まさかのルシウスww
ルシウスわろた
同じくwwww
このシリーズはもっと世に評価されるべきw
>>shinedoragon arkさん
毎度毎度ありがとうございます。
ルシウスとはコラボさせたいと思ってたんですよね……。
>>2:名無しさん
喜んでいただけてよかったです。
>>3:名無しさん
いやいや……更新が遅くなって申し訳ないです
「花咲くいろは」は自分としてははどハマりのアニメ。
それを「孤独のグルメ」と「テルマエロマエ」とコラボするとは凄いですね😊😊😊👍👍
小説もシナリオ風で読みやすいですし。