孤独のグルメ Season Extra 第6話「石川県湯乃鷺温泉街、『喜翆荘』の晩ご飯」part1
井之頭五郎、石川へ―――。
温泉街にある旅館『喜翆荘』へとやってきた井之頭五郎。
温泉と食事という二つの選択に井之頭五郎はどのような決断をくだすのか。
登場人物紹介
・井之頭五郎
個人で貿易商を営んでいる中年の人。体格はそれなりに大きく、割と何でも食べる。
嫌いなのは食事中の至福の一時を邪魔されること
・松前緒花
突然の成り行きでひとり東京を離れて、未だ面識の無い祖母である四十万スイが経営する石川県の温泉旅館「喜翆荘」に身を寄せることとなり、住み込みアルバイトの仲居として働くことになった少女。
空気が読めないことが多々ある。本人は直そうと努力中。
・鶴来民子
喜翆荘の板場で追い回し(雑用係)として働いている板前見習いの少女。。愛称は「みんち」
美しい容姿と清楚なイメージから「民子姫」と男子生徒の憧れの的でもあるが、実際は勝気で不器用な性格をしており、言動も辛辣なことが多い。
・押水菜子
喜翆荘のアルバイト仲居として自宅から通勤するの少女。愛称は「なこち」(ただし緒花のみが使用)
プロポーションの良い美少女だが、性格に合わないことはやりたがらず、普段は至って地味である。
仲居の仕事は丁寧にこなすが、極端なまでに引っ込み思案な性格。
・輪島巴
喜翆荘の仲居頭。明るく調子の良い性格で面倒見がよい。噂好きかつ覗き見好き。
多忙ゆえに彼氏を作る暇も無く、三十路を前にしながらの男日照りに「時間が無い」と絶えず焦燥感を抱いている。
・四十万スイ
喜翆荘の女将で、緒花にとっては母方の祖母。若くして夫に先立たれ、その後は女手ひとつで喜翆荘を切り盛りしてきた68歳。
旅館の仕事に対して高いプライドと揺ぎ無い信念を持っており、緒花を含めて全ての従業員にも厳しく接し、自分にも厳しい。その一方で、凛とした強さと優しさも醸し出している彼女は従業員から尊敬の念を抱かれてもいる。
・四十万縁
喜翆荘の番頭。スイの長男。人柄はとても良いが、至って優柔不断な性格。
・宮岸徹
喜翆荘の二番板前で、民子の教育係も務める青年。
仕事には厳しい。普段は気さくな青年で、頼れる兄貴的存在でもある。
・富樫蓮二
喜翆荘の板長。
基本的に男気を旨とする寡黙な人物だが、実のところコミカルな一面も隠し持っており、話が進むに連れてぼろを出すように露呈されてゆく。料理人としては凄腕だが、プレッシャーにはからっきし弱く、色恋沙汰にも耐性が低い。
五郎(石川、湯乃鷺……)
五郎(結構有名な温泉街らしいな……)
五郎(温泉かぁ……俺にはあんまり縁がないところだよな)
五郎(……ん?)
五郎(『ぼんぼり祭り』……聞いたことのない祭りだな……)
五郎(『ぼんぼり』ってあれだよな? お雛様の歌である……)
五郎(灯りをつけましょ……ってやつ)
五郎(ちょっと気になるなぁ。暗闇の中でぼんぼりがほんのり明るく灯って……)
五郎(想像したらちょっと幻想的で、よさげな祭りじゃないか。実際そうなのかはわからないけど……)
五郎(おっとっと、こんなところでいつまでも立っているわけにはいかないな。依頼主のところへ行かないと)
五郎(それに……今日は旅館泊まりだからな。晩飯、楽しみだなぁ……)
五郎(想像したらツバが出てきた……)
五郎(はは、どうやら俺にとっては温泉よりもやはり食事らしいな……)
時間や社会にとらわれず、幸福に空腹を満たすとき
つかの間 彼は自分勝手になり、自由になる――
誰にも邪魔されず気を使わずものを食べるという孤高の行為。
この行為こそが現代人に平等に与えられた
最高の癒しといえるのである。
「石川県湯乃鷺温泉街、『喜翆荘』の和食」孤独のグルメ×花咲くいろは×【シークレット】
依頼主「いやぁ、東京からわざわざ来てくれて本当にすまないねぇ!」
五郎「いえいえ、こちらこそご依頼ありがとうございます」
依頼主「東京と比べたらつまんないとこだろ?」
五郎「いやいやそんなことは……」
依頼主「でもまぁ、ここは温泉街だからよ! 井之頭さんも温泉入って疲れ取ってみたらどうだい?」
五郎「あ~。今日は泊まっていくつもりなので……入ってみようかと思います」
依頼主「そうかいそうかい! そりゃぁよかった!」
五郎(元気の良さそうな人だ……)
五郎「えーと、依頼されたものですけど、本当に玩具類が多いですね」
依頼主「おうよ。『ぼんぼり祭り』があっからよ! くじ引きの夜店のくじ引きの景品にするつもりさ」
五郎(うわぁ、どうしよ。キャラが合いすぎてる)
五郎(夜店のおじさんってこういう人、多いよなぁ。……すごい偏見かもしれないけど)
五郎「あの~、その『ぼんぼり祭り』ってどんなお祭りなんですか?」
依頼主「おう、ぼんぼり祭りってのはこの地域の伝統の祭りでな。ほら、十月って神無月って言うだろ? この地域の神様は小さな女の子ってことになってんだよ」
五郎「へぇ」
依頼主「でな。小さいから出雲までの道しるべとしてぼんぼりを灯してあげるってことよ」
五郎「なるほど……」
依頼主「んで、『のぞみ札』っつう札に願い事書いて下げると願いが叶うとかなんとかな」
五郎「あ、七夕みたいな感じですか?」
依頼主「まぁそういうこった! 井之頭さんもよければ参加してってくれよ!」
五郎「あ、機会があればぜひ……」
依頼主「そういえば、井之頭さんは今日どこにお泊りで?」
五郎「えぇと……『喜翆荘』っていうところに」
依頼主「『喜翆荘』か! あそこはいいぞ~。特にメシがうまい! あ、あとアルバイトの仲居と板前見習いの子たちがいるんだけどよ、その子たちがもうかわいいのよ!」
五郎「は、はぁ……」
五郎(いかん、『メシがうまい』と聞いてあと何て言ったか聞き取れなかったぞ……)
五郎(どうやら俺は『メシ』と聞くと周りのことが疎かになるみたいだ……今に始まったことじゃないけど)
五郎(それにしても……楽しみだなぁ……『メシ』)
五郎(ここが『喜翆荘』か……)
五郎(うーん、いいじゃないか……しかし……この旅館、一人で泊まるにはちょっと重い気も……)
五郎(えぇい……行くぞ!)
五郎(へぇ……オシャレ……というより洋風なのか……?)
五郎(でもこの作りは気になるな……)
スイ「いらっしゃいませ。ようこそお越しくださいました」
五郎「あぁ、どうも。お世話になります」
縁「チェックイン、こちらでお願いします~」
五郎「あ、はい」
五郎(…………この人……さっきいた子たちと服装が違うから、仲居頭ってところか)
巴「……」
五郎(この辺は和風なのか……。なるほど、うまく和と洋が組み合わさってるな)
五郎(さっきいいオブジェもあったし、この建物は他にも色々見るべき場所がありそうだ。貿易商として)
巴「井之頭さんのお部屋はこちらになります」
五郎「あ、どうも。案内ありがとうございます」
巴「いえいえ、お抹茶とお菓子をお持ちしますのでお浴衣のサイズをご確認してお待ちください」
五郎「はい」
五郎(和風でいい感じ。今日は和食の気分になった……。夕食が楽しみだ)
~その頃の巴さん~
緒花「あ、巴さんお疲れ様です!」
巴「まだ始まったばかりじゃない……」
緒花「そういえば、さっきのイ……イノバシラさんって結構すごそうな人でしたね」
巴「あ、緒花ちゃんもそう思う? いい感じの人よね~」
スイ「バカ言ってないで早くお抹茶とお菓子を用意しな」
巴「す、すいません……」
~数分後~
巴「お待たせしました。お抹茶とお菓子でございます」
五郎(お、きたきた……)
・抹茶
・柴舟→石川県の有名な和菓子。
五郎「……あの、これはどういったお菓子何でしょうか?」
巴「こちらは石川県、金沢市の名産の和菓子で柴舟といいます。煎餅を反らして生姜汁と砂糖を塗ったものなんですよ」
五郎「へぇ、では……いただきます」
五郎(うわぁ……砂糖の甘さがほんのり口の中で広がる……)
五郎(お茶は……)
五郎(おお……いい。お茶とピッタリ合う……)
五郎(うん……)
巴(こんなにお着き菓子美味しそうに食べる人初めて見たわ……)
五郎「ごちそうさまです」
巴「どうでしたか?」
五郎「とても美味しかったですし、お茶との相性が抜群です」
巴「ありがとうございます。……えぇと、夕食までもう少し時間がございますので、ごゆっくり」
五郎「色々ありがとうございます」
巴「はい。また何かあれば、私達の方にお申し付けください」
~その頃の緒花たち~
緒花「はぁ……疲れた……」
菜子「緒花ちゃん、まだまだ夕食まで時間があるよ」
緒花「結構お客様多くなったよね」
菜子「うん、この時期は結構忙しいから……」
民子「あんたたち、ちゃんと働いてんの?」
緒花「あ、みんち」
民子「まだまだ忙しくなるんだから、ちゃんと働いてよね」
緒花「みんちこそ、こんなとこでサボッってていいの?」
民子「あんたと一緒にすんな!」
~厨房~
徹「蓮さん、大丈夫ですか? 今日顔色悪いですよ」
蓮「……気にするな。こんなの一日寝れば治る」
徹「……」
~次郎丸のお部屋~
次郎丸「……あ! いいアイデアが浮かんだぞ!」
次郎丸「今回は……過去からタイムスリップしてきた外人が日本人の女の子と結ばれる話ってのはいいんじゃないか!?」
次郎丸「ありがちか……」
~五郎のお部屋~
五郎(…………)
五郎(……そういえば温泉の街ってこと、すっかり忘れてたな。俺)
続く!
第6話パート2
第6話パート3
第1話
第2話
第3話
第4話・前
第4話・後
第5話
第7話
今回、もう一つクロスオーバーさせる作品があります。
それも少しお楽しみにしていただければなと思います。
ちなみにその作品は本文中にもヒントはありますし、花咲くいろはという『温泉』つまり『風呂』をテーマにした作品というのもヒント……
ヒント出しすぎたな……。
懐かしいなぁいろは
>shinedoragonさん
懐かしいですよねぇ……
自分で書いててもそう思いますw
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