孤独のグルメ Season Extra 第9話「東京都内某所『古美門法律事務所』の服部さんの手作りランチ」
井之頭五郎はまたもや腹が減る。
普段は縁遠いはずの法律事務所にお邪魔するが、井之頭五郎、何かしでかしたのか!?
まず一言。「艦これ」タグがついておりますが、艦これネタを少し入れてるだけです。
艦これSSと思った方は申し訳ございません。
地方裁判所 法廷
古美門「大井さん、あなたはこちらにいる被告人とケッコンカッコカリをなかったことにしたいそうですねぇ?」
大井「はい……」
古美門「その理由、聞いてもよろしいでしょうか?」
大井「……提督が、他の艦娘たちと仲良くしていて……最近浮気をしているという話を聞いて問いただそうと思ったところ……提督の服に黒い髪の毛がついていたんです……私はその時に確信したんです……やっぱり、『浮気』していたんだなっ……って。私はあんなに提督のことを愛していたのに……!」
古美門「そうですか……確かに、浮気はいけませんよねぇ」
大井「はい」
古美門「おかしいですねぇ~!! それならあなたが会っていらっしゃるこちらの女性は誰なんでしょうか!!」(北上と大井の写真)
大井「っ!?」
古美門「何でも最近は鎮守府内でのお触りやキスだけでは飽きたらず、夜な夜な彼女との淫らな行為にはげんでいるとお聞きしましたが?」
大井「ち、違うわ! 私は確かに北上さんも好きだけど……それよりも提督のほうが!」
古美門「実は出撃していくフリをして北上さんとこっそり海上デートなぞしていたという目撃証言もありますがいかかでしょうか?」
大井「ど、どこにそんな証拠が……!」
古美門「『壁に耳あり障子に目あり』という言葉をご存知ですか? たとえ一般人があまり入ってこない鎮守府であったとしても、そこにはやはり目撃者という存在はいるのです! 案外それは……身近にいる人かもしれませんねぇ…」
大井「ぐ……」
古美門「私はあなたを責めるつもりは決してありませんよ~! たとえあなたが実は女の子しか愛せないクレイジーでサイコなレズビアンだなんて『これっっっぽっっっっち』も思っておりません! しかし、あなたは被告人の気持ちを踏みにじった挙句、上司である被告人の指令までも無視し、淫らな行為にうつつを抜かしていたのです! あなたと北上さんの目撃証言なんてたっぷりこちらにはあるんですよ? その一つ一つこちらで朗読してさしあげましょうかぁ?」
大井「うぅぅぅ~……!!!!」
古美門「裁判長、彼女もまたかわいそうな女の子の一人なのです! 近頃はイベント戦などというのがあり、そちらに提督は忙しくなっており、あまり相手にされていなかったのだとか……。彼女もまた、愛を欲していたのです。愛を欲するのは人間として当たり前の欲求。ただ、その欲が深すぎたあまり、彼女は今回このような行為に及んでしまっていたのです。悪いのは彼女ではありません……愛が平等に与えられないこの世の中が悪いのです!!」
古美門「……以上です」
~都内某所~
五郎(さて、今日の仕事は『古美門法律事務所』だったな……)
五郎(ふっ……久しぶりだな。あそこに行くのも)
五郎(あの時は事務所を作ったばかりだったっけ……)
五郎(確か……服部さんの料理、美味かったよなぁ……)
五郎(いかんいかん、とりあえず仕事に集中しないと……)
時間や社会にとらわれず、幸福に空腹を満たすとき
つかの間 彼は自分勝手になり、自由になる――
誰にも邪魔されず気を使わずものを食べるという孤高の行為。
この行為こそが現代人に平等に与えられた
最高の癒しといえるのである。
「東京都内某所『古美門事務所』の服部さんの手作りランチ」
五郎(さてさて……お、やっとたどり着いた)
五郎(おお~、何かちょっとおっきくなったんじゃないの?)
五郎(ではでは、行きますか)
黛「ほんっと男ってバカばっかり!!」
古美門「君ほどではないさ」
服部さん「まぁまぁ、ところで古美門先生。先生が裁判に行っておられる間にこんな手紙が」
古美門「また仕事かなぁ? 僕こまっちゃーう!」
五郎「あのー」
黛「普段働いてないのに、こんな時だけ働いているフリするのやめてください!」
古美門「うるさい! これも君が持ってくる仕事がどれもこれもやりがいがなくただ、貧乏人同士が争っているだけのしょーもない仕事ばかりだからだろうが、このポンコツがに股提灯パンツ! 一度、横須賀鎮守府の艦娘達の演習の的として参加してくるといい。豪雨のような激しい砲撃や水雷の弾幕で少しはマシになるだろう!!」
黛「ん? 他の法律事務所?……な、る、ほ、ど、う? 法律事務所からです。先生知り合いですか?」
古美門「そんなふざけた名前の弁護士の知り合いなんていない。そんな名前の弁護士の知り合いがいたなら、今に、東京で深海棲艦による襲撃が始まってあっという間に火の山だろう。真っ先にやられるのは他でもない役立たずのお前だがなぁ!!」
黛「あ、共同弁護のお願いだそうです」
五郎「古美門先生?」
古美門「今すぐ拒否の連絡をし給え!! 私は共同弁護などしないとな!!!」
黛「あ、でも成歩堂先生の依頼人のメッセージも入ってますよ。なになに……『彼もまた無敗だから古美門先生のパートナーには最適だと思います』だそうです」
古美門「そんなこと見ず知らずの貧乏人ごときに決められたくはないねぇ! 断固拒否だぁ!」
黛「報酬金は5000万だそうです」
古美門「よし、黛君。明日そちらの事務所にお伺いすると連絡しておきたまえ」
黛「うわっ! 切り替えはやっ!」
五郎「あの~……」
服部さん「はいはい。おや! これはこれは、お久しぶりでございます、井之頭様」
五郎「お久しぶりです。服部さん」
服部さん「古美門先生、井之頭様がお見えでございます」
古美門「誰だ、そんなやつ呼んだ覚えは……って、これはこれは失礼。お久しぶりです、井之頭さん。少々騒がしところをお見せしてしまい、申し訳ないです」
五郎「お元気そうで何よりです」
五郎(性格変わりすぎだろ……)
古美門「ささ、ではでは、こちらにお座りください」
黛「服部さん、あの二人はどういう関係なんですか?」
服部さん「ああ、そう言えば黛先生はまだ存じ上げておりませんでしたな。あの方は井之頭五郎様と言って、個人で貿易商を営んでおられるのです」
黛「へぇ~。でも、何で古美門先生があんな人と知り合いなんですか? それに、ちょっと丁寧だし」
服部さん「はっはっは、実はですな。この事務所のティーセットやら、食器などはあの人が用意してくださったのです。巷ではなかなか買えない代物もあの方が全て用意してくださったのですぞ。いやはや、少し毒のある古美門先生でも、そう言ったことへの感謝の気持ちは忘れてはいなかったということで……」
五郎「古美門先生は、最近どうですか? 何でも『勝訴請負人』だなんて言われてますけど」
古美門「いえいえ。まだまだ私は弁護士のはしくれでございますから、偉大なる先人様と比べると……」
黛「でも、あそこまで丁寧だと何て言うか……キモイですよね」
服部さん「はっはっは……それもまぁ、一つ、あの人の顔なのでしょう」
古美門「それで……頼んでいたものは?」
五郎「はい、用意していますよ。フランスから新商品として、出品されていたワイングラスです。今回は少し、趣向の違うメーカーのものを輸入させていただきました」
古美門「ふふ……さすが、井之頭さんと言ったところでしょうか。やはり、仕事のできる人はいいですねぇ……。どこぞの、低能理想追い掛け回し弁護士とは全然違う」
五郎「え?」
黛「……チッ」
服部さん「井之頭様、お茶でございます」
五郎「あ、服部さんありがとうございます」
服部さん「いえいえ」
五郎(う~ん……やはり、服部さんの入れてくれたお茶、美味い)
五郎「どうですか、古美門先生、気に入っていただけたでしょうか?」
古美門「もちろんですとも。どうですか、井之頭さん、今日はこちらでランチでもご一緒にどうでしょうか?」
五郎「え……あ~」
服部さん「はっはっは、井之頭様、遠慮なさらず。この服部が、腕によりをかけて、最高のランチを提供させていただきましょう」
五郎(実際、久しぶりだからな~……しかし、食っていくのは……)
五郎(でも、やはり服部さんの料理は……うん)
五郎「では、いただいてきます」
服部さん「ではでは、しばらくお待ちくだされ」
黛「先生、それよりもこの後、依頼人のところに行く予定でしたよね?」
五郎「……」
黛「あ、申し遅れました。私、ここで働かせてもらってる黛真知子って言います。よろしくお願いします」
五郎「ああ、いえいえ。どうも」
五郎(……なるほどな。さては、古美門先生、地味に弁護士としては気に入っているんじゃないか? この人のこと)
黛「ほら、行きますよ先生!」
古美門「やだー! はなせー!!! 僕は服部さんの料理を食べるんだーい!!!」
~しばらくして~
服部さん「井之頭様、出来ましたぞ。服部特製のランチでございます」
五郎「あ、ありがとうございます」
・服部さんの手作りランチ
ビーフシチュー、フランスパン、サラダ
服部さん「ささ、召し上がってくだされ」
五郎「ありがとうございます。では……いただきます」
五郎(さて、まずはビーフシチューを……)
五郎(おおっ……濃厚な味わいが口の中で広がり、大きい肉ではない、小さな細切れの肉も入ってるのか……これは美味い)
五郎(にんじんや他の野菜もちょうど、口にあうサイズだ……)
五郎(味もよし、食べやすい。やっぱり、服部さんってすごいなぁ……)
五郎(では、フランスパンをちぎって……っと)
五郎(普通につけていいのか?)
五郎(……さぁて、どんな味がくる)
五郎(うわっ、何だこれ……すっごく美味いぞ)
五郎(うん……うん……)
服部さん「井之頭様、いかがですかな?」
五郎「とっても美味しいです。さすが、服部さんです」
服部さん「いえいえ、とんでもない。井之頭様はお酒は飲めないとお伺いしておりますので……お茶でございます」
五郎「あ、ありがとうございます」
五郎(うん……お茶もいい味出てるなぁ……)
五郎(いやぁ……古美門先生幸せ者だなぁ……。こんな料理毎日食べれるなんて)
五郎(サラダも……)
五郎(おお、レタスがシャキシャキしてる。美味い……)
五郎(いやぁ、これはすごい……こんなに美味いサラダ食べたの久しぶりだ)
五郎(ビーフシチューとの相性もバッチリ、申し分ない)
五郎(裁判なら、勝訴確定)
五郎(誰も異議を申し立てることはできない味付けだ)
五郎(ちょっと、テンションあがってきたぞ……)
五郎(フランスパンをつけて……)
五郎(うんうん……)
五郎(メシが美味いって幸せなことだ……)
五郎(このビーフシチューのドロドロ感もいいなぁ……しつこくなく、それでいて、ちゃんと味が伝わってくる)
五郎(そしてこのフランスパンの硬さ、硬いと思ったが意外にもそうでなく柔らかいからビーフシチューの感じによく合う)
五郎(あぁ、これはもう最高)
五郎(止まらない……)
五郎(この料理に著作権をつけてあげたいくらいだ)
五郎(確実に、俺は今、このビーフシチューに夢中だ……)
五郎(この味付け、ある意味罪作りな味だよなぁ……、食べてる人を夢中にさせてしまう)
五郎(味の『有罪』判決だ……ビーフシチューが主犯なら、このフランスパンは共犯者……味という魅力に踊らされた俺は被害者だ)
五郎「ふぅ……ごちそうさまでした」
服部さん「井之頭様、食後のデザートに、ババロアなどいかがですかな?」
五郎「あ、いただきます」
・服部さん特製ババロア
フルーツたっぷり、栄養満点のババロア
五郎(どれどれ……うん、このふわりとした食感とこの甘さ、いい……)
五郎(添えてあるフルーツもババロアに合う……美味い)
五郎(いやぁ~、いいなぁ……これ)
服部さん「いかがでした?」
五郎「はい、とっても美味しかったです。服部さん、ありがとうござい
ました」
服部さん「いえいえ、では、また機会があればぜひいらしてください」
五郎「はい。また、来ます」
五郎(……あぁ、美味しさのあまり聞くのを忘れてた)
五郎(服部さんって……結局何者なんだろう……?)
五郎(まぁ、いいか。また来た時に聞こう)
~後日・横須賀鎮守府~
古美門「提督さん、これは一体どういうことでしょうか?」
提督「と、言うと?」
古美門「確かにあなたの依頼は私の素晴らしい手腕により、達成してあげましたし、ちゃんと依頼料も受け取りました。しかし、あなたが『ぜひ美味しい料理でも』というのでわざわざ来てみれば、スープもなく、メインディッシュもなく、あるのはどうしてただのカレーなんですかぁ!?」
提督「まぁ、金曜日ですし、ね?」
古美門「うわーん!! もうイヤだ、僕もう家に帰る!! 服部さーん!!!」
黛「待ちなさいって!! そういえば、大井さんは今どうしているんですか?」
提督「まぁ、多少は反省してくれたみたいです。それにしてもさすがでした、古美門先生」
古美門「まったく……私はこんなもの食べんからな……」
蘭丸「いや、古美門先生、これホントに美味いっすよ」
古美門「これはこれは蘭丸君じゃないか、この前の裁判では確かに活躍してくれたのはいいが、しばらく私のところに戻ってこなかったのはなぜだ、まさか鎮守府内でのただの清掃仕事を気に入って自分の本来の職業を忘れたわけではないだろうねぇ」
蘭丸「いやぁ、ちっと……ね?」
電「蘭丸さん! 今日もみんなで遊ぶのです!」
響「待ってるよ」
暁「レディーを待たせないでよね」
雷「ちゃーんと、噛んで食べるのよ!」
古美門「…………」
蘭丸「とまぁ、こういう感じなんで」
古美門「ふん! まったく……」
???「あの、古美門先生、もしかしてカレーはお嫌いでしたか?」
古美門「当たり前だ! 誰がこんなドロドロの茶色い液体ご飯を食べないといけないのか、まったくつくったヤツの顔が見てみたい……ねぇ……」
鳳翔「そうですか……」
古美門「…………」
黛「先生? おーい、かえってこーい! トラ・トラ・トラ!!!!」
古美門「うるさい!! 耳元で暗号をデカイ声で発するな! 耳が腐るだろうが!!」
鳳翔「……やっぱり、ダメでしたか?」
古美門「い、いやぁ、そんなことないよ? 私は猫舌なだけだ……ちょっと冷めてるくらいがいいのだよ。なーはっは!!」
提督「黛先生、これはどういう?」
黛「特に何もありません。ただ女が好きなだけの最低最悪の金の亡者なだけです」
古美門「ところで、このカレーはさておき、君は胸こそあまり主張はないものの、なかなかいい顔をしているじゃないか。私の好みにピッタリだ。私の事務所に来てもらってもいいんだよ? 給料はたーんとはずもうじゃないか。あ、これウチの事務所の住所と電話番号ね」
黛「あー、これはスイッチ入ってますね」
鳳翔「あ、あの……そう言われると嬉しいのですが……私は」
古美門「……?」
鳳翔「その、提督に……」(指輪見せる)
黛「……」
古美門「……黛」
黛「何でしょう」
古美門「もう金輪際、離婚に関する裁判はしない」
孤独のグルメ×リーガルハイ ~完~
次回、孤独のグルメ「某県鳴沢市『すみれや』の甘ラーメン」 孤独のグルメ×神のみぞ知るセカイ×???
~おまけ~(古美門の定番『少しはマシになるだろう』のセリフ・ボツ案)
・一度、食後の酒に酔った状態で、一人でぼっち飯を食べてる中年のオヤジに絡んで来給え。強烈なアームロックで少しはマシになるだろう。
・一度、その貧相なボディで、廃校寸前の学校のためにアイドル活動でも始めてみるといい、非情な現実を知って少しはマシになるだろう。
・一度、工厰に行ってちんちくりんの妖精たちにその残念な構造をしている脳みそを解体し、建造し直してもらってきたまえ。最低レシピでも少しはマシになるだろう。
・一度、木製の手作りヨットでアイアンボトムサウンドに旅に出てくるといい、その平和ボケしたアッパラパーな頭にも刺激が与えられて少しはマシになるだろう。飛行場姫に襲われなければね!!
第1話
第2話
第3話
第4話・前
第4話・後
第5話
第6話パート1
第6話パート2
第6話パート3
第7話
題8話
なぜ、『艦これ』ネタが最初に入ったかと言うと、実は艦これ×リーガルハイで大井に関する離婚裁判を書いてみようかと思ったのですが、なかなか難しく完成させることができなかったからです……。
なので、今回小ネタとして、いれさせてもらいました。
本当に艦これ関連だと思った人は申し訳ございませんでした。
超絶期待
なかなかの台詞回し
うまい!期待です!
あっぽるさん
コメントありがとうございます!
なかなか、古美門のセリフが難しいですね……。長いしw
名無しさん
コメントありがとうございます!
古美門のセリフが一番時間がかかってます、今のところ…
カヤックさん
コメントありがとうございます!
頑張って書きますのでよろしくお願いします
著作権クソワロタ
服部さんの料理・・・ふむ、美味しそうですね。
そして唐突の艦これネタにかなり笑いました!
毎回楽しみにしてます
あっぽるさん
何となく思い浮かんだので書いてみましたw
ワッフルさん
いつもありがとうございます。
ドラマ内の服部さんの料理は毎回美味しそうなのでやってみようかと…
『艦これ』ネタについては、完成次第、後書きで補足しようかと思いますw
身内の目撃者って青葉ですか
名無しさん
はいw
一応僕の中では蘭丸と青葉が仲良くなって~~~
みたいなくだりでやりたかったんですが……
力量不足でこのような形に……