鎮守府清掃員の活動記録 3さつめ
お・か・わ・り。 この物語は、鎮守府で働く清掃員の青年と、艦娘や提督が話したり、遊んだりするお話です。青年の心にもついに変化の兆しが……!?
多分丸登場。
・青年
鎮守府で働く清掃員の仕事。
前作まででヘタレ→ロリコンカッコカリ→変質者→滑ってやらかした人→ラッキースケベと少し残念な称号を獲得しまくっている。
さらに前作でついに想いを瑞鶴に告げることに成功。少し大人になった。
1さつめ
2さつめ
提督がドアをノックして、入ってもいいとの許可を出した声が聞こえてきた。提督は「失礼します」と言いながら、ドアを開ける。青年はそのまま中に入り、提督のように「失礼します」と言った。高級感の溢れる回転椅子が後ろを向いていた。その近くには秘書艦と思われる艦娘・加賀が立っている。だが、こちらの加賀は青年のいる鎮守府の加賀と比べると少し目つきが鋭いものだった。
提督「元帥、お久しぶりです……。青年を、挨拶に連れてきました」
元帥「ご苦労……」
回転椅子が回り、元帥が姿を現した。青年はそこから溢れる威圧感でたじろぐ。だが、元帥はすぐに微笑み、立ち上がってから青年の近くへと歩いてきた。
元帥「君が例の青年君か……話はこちらの提督からよく聞いてるよ」
青年「は、はいっ……」
元帥「そんなに固くならなくてもよい。今はただ挨拶をしにきただけだろうに……」
青年「す、すいません……」
元帥「まぁ、そこのソファに座りたまえ。あと、君は少し退室してくれるか?」
提督「え?」
元帥「……」
提督「……わかりました。失礼します」
そう言って、提督は元帥に頭を下げてから部屋から出て行った。青年がソファに座ると元帥は向かいの席に座って、大井にも座るように促した。元帥の加賀はお茶を入れてから、こちらへと運んでくる。
元帥「さて……何から話そうか」
青年「……」
元帥は加賀の入れたお茶をすすってからカップを置く。その音になぜか緊張感を刺激されてしまう青年。たまらず固くなってしまう。元帥は青年のことをじっと見たまま、言葉を発し始めた。
元帥「まぁ……君が明日、他の提督達に話す内容だが、中途半端な報告では信用してくれないというのはわかるな?」
青年「……はい」
元帥「私はどんなことがあっても君を信用してあげたい……。だから今ここで、私に話してみてくれないか?」
青年「……はい」
青年は深海の鎮守府であったことをできるだけ細かく、わかりやすいように話した。だが、元帥の表情は何一つ変わることがなくどう思っているかが読めない。青年は底知れぬプレッシャーを感じながら全てを話した。
元帥「……ふむ。なるほど、なるほど……」
青年「……」
元帥「その話が本当だと断言できるな?」
青年「はい……。僕は確かにこの目……いや、身を持って深海棲艦について触れてきました」
元帥「そうか……。青年君、今から話すことは老いぼれジジイの独り言と思って聞いてくれないか?」
青年「え?」
大井「……」
元帥「深海棲艦達は君のことを家族として迎えようとし、そして君が逃げ出したその日、君を取り返そうと鎮守府に攻めてきた。つまりだ……深海棲艦はひょっとすると再びまた君のいる鎮守府を襲ってくるかもしれない」
青年「……」
元帥「鎮守府は海の平和だけでなく近くの地域の人たちを守るための重要な拠点になる。半壊などということがあれば、ただでは済まない。多少の犠牲はあっても出来る限り多くの人の命を守るのが私達の使命だ。……だからこそ、鎮守府を守るためにも―――
―――君にはいなくなってもらうのが一番いいんだよ」
青年「……」
大井「……」
元帥「……まあこんなところだな。独り言がついつい、忠告みたいになってしまったが……どうだ?」
青年「……」
元帥「その分、君のためにこちらから新しい働き場所を用意してやっても構わない。どちらかと言えば、そっちの方が賢明だし、何より今後の生活はより安全なものであることは保証しよう」
元帥の迫るような口調を前にして、青年は俯いた。大井は少し心配そうな顔で青年のことを見ている。ふと、大井が青年の膝に置かれた青年の腕を見た。その腕は震えていて、やり場のない怒りを何とか抑えているようにも見えた。
元帥「……嫌だと言うのなら、君に残された選択肢は、『おとなしく深海棲艦に引き渡される』、くらいだな……」
大井「……」
青年「……」
明らかに元帥の言い方は青年の存在を消さなければ軍の活動に影響を与えると言っているようなものだった。だが、青年は、自分のところの提督の顔に泥を塗るわけにもいかず、ただ黙っていることしかできなかった。
大井「あの、元帥さん、もう少し何とかならないでしょうか?」
元帥「大井、君も艦娘として軍に所属する者なら知っているはずだ。何かを為すためには時には情をも捨てなければならないこともある」
大井「……すいません」
青年「大井さん、大丈夫ですよ。行きましょう、あまり長居しても迷惑ですし……。元帥さん、そのお話についてはもう少しだけ考える時間をいただけますでしょうか?」
元帥「ああ、構わない。君は、明日のために体を休めていてくれ。長旅で疲れているだろうからな」
青年「はい、それでは失礼します。大井さん、行きましょう」
大井「え、ええ……」
元帥の部屋から出てきた二人に提督と加賀が近づいてきた。提督は青年に「何か言われたか?」と尋ねてきただ、青年は誤魔化してしまった。そして、四人で一度ホテルへと戻り、提督と加賀は自室へと入った。青年と大井も自室へと入る。
青年「……」
大井「……」
青年は、自室へと入ってから部屋に備え付けてある椅子へと座ったまま何も喋らず黙ったままだった。大井もそんな彼に気を遣って黙っている。だが、沈黙による重い空気に耐えられなくなった大井が青年に声をかけた。
大井「青年さん、この後の予定を確認しておきましょうか?」
青年「……」
大井「青年さん?」
青年「あ、すいません……大井さん、今は、一人にさせてもらえないでしょうか?」
大井「……わかりました。私は少し散歩に出かけてきます。何かあれば、提督の方に」
青年「……ありがとうございます」
そう言って、大井は部屋から出て行った。青年は大井が出て行くのを確認すると、またうつむき、考え事を始める。
青年「……あの鎮守府にずっといたいけど……みんなに迷惑をかけるのは嫌だな……」
青年はそう呟いてから、窓の外を見た。皮肉なことに青年の気分と真逆の天気が広がっていた。
その頃、大井は青年の部屋から出て、提督の部屋へと入っていった。そして、提督に対して、青年が元帥に言われたことを話す。おそらく、元帥もここまでは想定するはずだと大井は思いながら提督にありのままを話した。提督は聞き終えると、「ふむ……」と言ってからしばらく考え込む。加賀は、旅の疲れが出たのか、少しベッドで横になっていた。
提督「……。それは私も想定していたことだ。元帥が悪いとは言い切れない。軍としてはそういう姿勢を見せておかないとダメなんだ。今回の青年君の話は、深海棲艦との戦いに何か転換が起こるかもしれない重要な話だからな」
大井「……でも、あんなに責めるような言い方は、やり過ぎかと……」
提督「大井にしては珍しく北上以外の者を庇うんだな」
大井「……庇っているわけじゃありません。ただ、今回の件については私も少し思うところがあったということだけで」
提督「そうか……。青年君はどうだ?」
大井「かなり落ち込んでいるうえに、塞ぎこんでしまってますね。おそらく、一人で悩みを抱え込んでしまうかと」
提督「……大井、青年君があまり思いつめないようにはしてくれるよな?」
大井「ええ。一応これでも付き添いとして来ているんですから」
しばらく経っても、青年は部屋の中でまだ悩みこんでいた。ふと時計を見ればかなりの時間が経っている。それを見たと同時に大井が戻ってきた。
大井「青年さん、晩ご飯が準備できたみたいですから、そちらへ向かいませんか?」
青年「え……あ、そうですか……すいません。ちょっと今、気分がそういう気分じゃなくて……」
大井「……たぶん美味しいですよ? 確か一流シェフが作ったやつみたいなので」
青年「……」
大井「ビュッフェ形式ですし、少しだけ取って食べれば――「大井さん」
大井の説得に、青年は呼びかけで遮った。大井は、ため息を一つつき、そのまま静かに部屋を出る。青年は、いっそのこと先にお風呂に入ってしまった方がいいと思い、風呂場へと向かっていった。
風呂場では特に何も変わったことがなく、青年は風呂から出て、部屋へと戻った。そして、部屋に戻ると同時に空腹感に襲われることになった。だが、先ほどあのような態度を取っておきながら今更食事会場へと向かうのは気が引けてしまった。
青年は、椅子に座ってから目を閉じる。空腹よりも旅の疲れと元帥の言葉が何よりも重くのしかかったのか青年はすぐに寝息をたてて寝てしまった。
「……さん、青年さん」
ふとそんな声が聞こえてきた。そして、体が少し揺さぶられているのを感じる。青年が薄く目を開けるとぼんやりとした視界に大井の姿があった。青年が体を起こすと少しだけ部屋にいいにおいが漂っている。
見ると、小さなテーブルの上にコンビニで買ったお弁当があった。
青年「……」
大井「まったく……何も食べないだなんて、健康に悪いですよ。青年さんは明日大舞台の日なんですから、しっかりしてください。いつまでも元帥に言われたことを引きずっているようではうまくいきませんよ」
青年「……大井さん、ありがとうございます」
大井「私は特に何もしてないですから。このお弁当は提督が用意してくれたものですし」
青年「そ、そうですか……」
青年はそれから、大井か提督、どちらが用意してくれたかわからないコンビニ弁当を食べた。そして、大井にお礼だけを言ってから歯を磨いてしまい、明日に話すことを整理するためにメモ帳に事細かに書いていった。
大井「では、私はお風呂に入って来ますから。その間に何かあれば提督の方に」
青年「あ、はい……」
そして、どんどんと夜は更けていった。
運命の発表の時は刻一刻と迫ってくる。
次の日の朝、青年が目覚めるとやはり、昨日座った椅子の上だった。ベッドの上では就寝用の服に着替えた大井が寝息をたててまだ眠っている。青年はぐっと伸びをしてみて、外の景色を見た。まだ朝食の予定時刻よりかはかなり早い時間だと思われるくらいには暗かった。青年は、大井を起こさないように、すぐに着替えてから、朝食の時間を待つことにした。
その間にも大井が起きてから青年は廊下に出て大井が着替えてくるのを待った。そして、廊下で待っていると大井よりも早く起きた提督と加賀が部屋から出て待ってくれていた。大井もすぐに合流して四人で朝食会場へと向かう。
昨日そこまで多くは食べなかったために青年は朝食はかなりしっかりとした量を食べた。
そして、いよいよ、四人は大本営へと向かい、鎮守府の案内役に連れられ、ある部屋の入り口の前まで連れて来られた。そして、ここで提督と加賀は一度先に入り、青年の発表を遠くから見守ることになる。大井は青年の付き添いということで、青年の近くでサポートする役に回された。
元帥『諸君、忙しい中、来てくれたことに感謝をする。まず――
部屋の外からでも元帥が集まった提督達の前で何かを話しているのがわかった。しばらくすると、青年の紹介が始まり、入り口が開いた。そして、青年は案内されるままに中へと入ると、そこには大勢の提督がまるで有名人の講演でも聞きに来ているかのように座っていた。その数を見ただけで青年は緊張で顔がこわばってしまう。
青年「……」
青年が壇上に上がって、マイクの前に立った。大井は近くにある椅子に腰掛けて青年のことをじっと見ている。
青年「え、えっと……て、提督のみなさん、今日はお忙しい中、本当にありがとうございます。はじめまして……その……青年と言います。普段は◯◯の鎮守府にて清掃員の仕事を担当させていただいてます」
青年はゆっくりと心を落ち着かせながら話始める。時折、聞こえる咳払いなどが青年の緊張感を刺激する。青年は、自己紹介を終えるとまずは深呼吸を一回、二回と行った。
青年「今日お集まりいただいた理由というのは……みなさんご存知の通りだと思いますが、私は一度深海棲艦により拉致され、また地上へと戻ってきました。今日私が話したいのは、深海棲艦達が普段どういった活動を行っているのか、また、我々に対してどのような感情を抱いているか……など、かなり話すことが多くなります。……至らない点が多々あるかと思いますが、大目に見ていただければ幸いです。それではまず、深海棲艦の――
それから青年は昨日元帥に話した内容をもう一度大勢の提督達の前で話した。提督達の中には真剣そうに聞いている者もいれば、バカバカしいと思っているのか青年を嘲笑うかのような表情を浮かべている者もいた。
青年「――以上が、私の経験した全てです。……何か質問のある人はいらっしゃいますか?」
青年が聞くと、大勢の提督が挙手した。その数はおそらく、今日中にはさばききれないほどの数だ。青年は、とりあえず、目についた提督を指名して質問をさせる。
提督A「とりあえず、単刀直入に聞こう。君は深海棲艦たちのところにいた時、どうして生きていることができたんだ? 君が言うにはやつらの拠点は深海の中にあるみたいだが……」
青年「そ、それについては、私自身もよくわかりません。えっと……ですが、深海棲艦は、独自に進化してきているというのは事実だと思います。それも、驚異的なスピードで」
提督A「……わかった。ありがとう」
指名された提督が座り、青年は他に何か質問がないかと尋ねると先ほどよりかは少し数が減った。おそらく、思うところは同じである人物が多いようだ。
提督B「君は、深海棲艦とある程度コミュニケーションを取ることができた上、やつらの家族のように扱われかけたと言っていたな。そして、そのせいで、帰ってきたあの日に鎮守府に直接攻めこんできた……」
青年「……はい」
提督B「つまり、君は今、歩く爆弾と似たようなものだと言うことだね? 君がいるだけで、君のいる鎮守府に迷惑をかけるのでは?」
青年「……っ」
青年は昨日、元帥に言われたことを思い出し、歯を食いしばる。他の提督達も口々に「そうだ、そうだ」という声が上がり始めた。
青年「……そ、そうですね」
提督B「では、どのように対処するべきだと考える? 大人しくやつらのところへ戻れば、平和は保たれると思うんだが」
青年「……」
??「ちょっといいかな?」
青年が黙りこみかけた、その瞬間一人の男の声が響き渡った。そして、声を出したと思われる張本人が壇上へと上がってくる。その姿は、他の提督は少し、雰囲気がかなり違っていた。そして、その男は青年からマイクを軽く奪うようにして、受け取った。
??「提督Bさんは、彼がいなくなればことが解決すると?」
提督B「……平和のためなら」
??「平和のため……か。そのためなら一人の命が犠牲になろうとも、胸が傷まないと?」
提督B「……」
??「ここにいる一部の提督は私のことを知っていると思うが、あえて言わせてもらう。まずは冷静になれ。彼がいなくなればことが全て収まるとは私には到底思えん。まず、彼を深海棲艦に引き渡すという案だが、私からすれば論外だ。彼は、深海棲艦とマトモにコミュニケーションが取れる存在だ。万が一、我々が深海棲艦を捕えた場合、やつらから情報を聞き出すには彼が必要になる。ここで手放すわけにはいかない」
その男の話をその場にいた全員が、黙って聞いていた。青年はこの男にどれほどの影響力があるかわからないが、只者ではないということだけは直感でわかったのだ。
??「次に、考えつくのは彼を鎮守府とは違う別の場所に移すという案。これも、危険だ。彼の話によれば、深海棲艦たちにも感情があり、さらには思考力もある。最悪の事態を想定するのは基本だ。もし、万が一、やつらが『彼がどこかにいった』ということを知ればどうなると思う? これについては私もわからんが、やつらが彼にとてつもない執着心を持っていれば間違いなく再び攻めこんで来る。……まあ、そこは彼がいてもいなくても変わらないだろうがね」
青年「……」
??「とにかく私が言いたいのは、深海棲艦は彼のいる鎮守府に再び攻めこんで来る可能性が高いということだ。私達がまず、考えなければならないのは、『彼をどうするか』ではなく、『最悪のケースが起こった場合にどうするか』だ。彼だって一人の人間に変わりはなく、我々が好き勝手に彼の人生を邪魔するというのは、やむを得ない場合を除いてやるべきではない」
提督B「しかし、だから今こうして――「わからんか。まだやむを得ない状況ではないと言いたいんだ」
提督B「……」
??「……まだ考えようによっては何とかなる。それでもわからず屋な者がいるのであれば、提督という肩書きを今すぐ捨ててしまった方がいい。まぁ、以前の『私』なら彼を今すぐにでも深海棲艦達をおびき寄せるエサにしていただろうがね」
青年「……」
??「……以上だ。しがない『参謀長』がでしゃばって済まなかったな」
そう言って、参謀長と名乗った男は、青年にマイクを返すと、自分の座っていた席へと戻った。青年は、他に質問があるかどうかを尋ねるとさすがにもう手を挙げる者はいなかった。
そして、青年の中での大舞台は終了した。
青年「そう言えば、あの人は何者なんでしょうか」
提督「ん?」
青年と提督、加賀、大井の四人が大本営の食堂で昼食を取っていると、青年がふと呟いた。提督は、口元を拭いて、遠い目をして話し始める。
提督「まぁ、あの人は過去に提督をやっていたそうだが……。ちょっとしたアクシデントがあったらしくてね。何でも、暫くの間裏社会で生きていたらしく、一度ある鎮守府を乗っ取ろうとしたらしい」
青年「え?! そんな人がどうして……」
提督「色々あったらしい。今では、その鎮守府の提督が元帥に直訴して、参謀長として働かせてもらっているらしいんだがね」
大井「……」
提督「ん? 大井、どうしたんだ?」
青年と、提督が会話をしている中、大井は浮かない顔をしていた。青年は、参謀長に助けられたおかげで昨日よりもかなり明るい表情になっていたのだが、今の大井は昨日の青年のようだった。
青年「大井さん?」
加賀「……」
加賀は黙々と昼食を食べている。提督が心配して、大井を何度も呼んでいる。そして、大井が言い出したのは――
大井「北上さん成分が足りません」
提督&青年「「はい??」」
大井「ですから……北上さん成分が……うっ……」
青年「これってもしかして……」
提督「北上がいないから禁断症状みたいなのが出てるんだな……」
青年「……」
大井「そうよ、私はどうして、青年さんの世話なんてしてるのかしら……今すぐにでも帰って北上さんの胸の中で眠りたい……はっ! そうだわ、他の鎮守府の北上さんに……いや、ダメよ! 私にとっての北上さんはあの鎮守府の北上さんだけなの!」
提督「……」
青年「提督、止めないとやばいと思います」
提督「……だな」
すると、青年の肩がポンポンと叩かれた。振り返ってみると、先ほど青年の手助けをしてくれた参謀長が立っている。それを見ると、提督は驚いて立ち上がり、一礼をした。
参謀長「ああ、そんな大げさことはいらん」
提督「で、ですが……」
参謀長「……まあ、大井の禁断症状については、私も『よく』知ってる。こういう時はどうすればいいか……これでよし」
すると、参謀長は懐から何かを取り出して、青年の頭にかぶせた。そこまで重くなく、軽いものだが、ふと視線を移して見ると、三つ編みのような……いや、三つ編みがぶら下がっていた。参謀長は手鏡を青年に手渡してきたので、青年は自分の顔を見る。
そこに映っていたのは、北上の髪型とまったく同じのカツラを被らされた青年だった。提督は笑いをこらえおり、加賀も見ると手元がぷるぷると震えていた。青年は困惑の表情を浮かべたままどうすればいいかわからなかった。
大井「あれ……こんなところに北上さんが……!」
青年「へ?!」
そう言って、大井は青年にベッタリとくっついてしまった。青年の体には大井の柔らかなものが当たっている。
大井「あれ……北上さん今日は随分と男らしい服装に……はっ! まさか私をついにお嫁として迎える準備ができたんですね?!」
青年「大井さん! 正気になってください! て、提督! 何とかしてください!」
提督「い、いや……きょ、今日はこ、こ、このままで、ぷくっ……」
参謀長「うむ。なかなか似合ってるぞ」
青年「そういう問題じゃないと思うんですが……」
結果、その後も大井に付きまとわれることになった青年。ホテルへといったん戻っても青年は北上とほぼ同じ待遇を大井から受けていた。
大井「北上さん、疲れてないですか? 何でしたら私がマッサージでもしますよ!」
青年「え、遠慮しとくよ、大井っちー」
ほぼ、棒読みで北上が大井に接するようなモノマネをしてみる。だが、大井の目はまだキラキラとしたままで、遠慮などをさせてくれないような空気が漂っている。しかし、大井の表情を見ていると、随分と明るくなっていた。
青年はここで、『好きな人といる女性が一番可愛い』という言葉を思い出し、あながち間違いではないと思った。だが、しかし、今北上の真似をしていることを利用して、大井に迷惑をかけるわけにもいかないと思い、全力で遠慮をする青年。青年の中では、後で変装がバレた時の大井の報復?が恐ろしくて、下手に動くことができなかった。
大井「で、では北上さん、お疲れでしょうし、お昼寝でもしましょう! せっかくのダブルベッドですよ!」
青年「お、大井っち、やめてよー」
大井「北上さん! 無理のしすぎは体に毒ですよ! さぁ、私と一緒に未知の花園……いや、ベッドへと向かいましょう!」
そう言って、大井は、青年の腕を取って青年をベッドへと連れて行こうとする。青年が離れようと必死になるが、なかなか離してくれなかった。一日北上といなかっただけでこれほどの禁断症状が出ることを考えると、いっそのこと北上も連れてきたほうがよかったのではないかと提督のことを少しだけ恨む青年であった……。
その頃、提督の部屋のもとには、先ほどの参謀長が訪れていた。
参謀長「……」
提督「……」
参謀長「まぁ、あの場ではああ言ったが……今回の場合、青年と同様、覚悟を決めなければならないのは君だ」
提督「わかってます……」
参謀長「……どうするつもりだ?」
提督「……」
加賀「……」
提督は黙りこんでしまう。青年についてのことは提督も薄々感じていることだった。だが、提督は青年を具体的にどうしてやればいいのか、また、深海棲艦が攻めてきた場合にはどうすればいいか、まだ何も考えをまとめることができないでいたのだ。
参謀長「……次にやつらが攻めて来る時には、轟沈してしまう艦娘の一人や二人、いてもおかしくないだろうな」
提督「……」
参謀長「私は脅しているつもりはないが……行動は早めにした方がいいだろう。今のうちに、元帥に頼んで、もう一度支援をしてもらったりする方がいい」
提督「ですが……支援はこの前だってしてもらいましたし、また支援をしてもらうのは……」
参謀長「……馬鹿か、『お前』は。お前は何者だ? わからないなら私が教えてやろう。お前は『提督』だ。お前が任されている鎮守府の生命線は、艦娘じゃない。お前自身だ。いくら艦娘のみんなが有能でも、動かすお前が無能なら意味はない。やつらが攻めこんで来てからでは遅いんだ。早く決断することだな」
加賀「……」
参謀長「加賀、すまないな。君の提督を悪く言ってしまって……」
加賀「いえ……」
参謀長「……色々言いすぎたな。今日はこれにて失礼する」
青年が提督達の前で、深海棲艦について話している頃、鎮守府では、あることが話題になっていた。その話題の渦中にいる張本人と言えば当然、彼女である。
瑞鶴「……ねぇ、さっきから視線感じるんだけど……」
翔鶴「しょうがないわよ。だって、瑞鶴が、『イヤリング』なんてしているんだもの……」
瑞鶴「うっ……だ、だってイヤリングって、付けるものだししょーがないじゃん……」
翔鶴「……ふふ。瑞鶴ったらすっかり青年さんと……」
瑞鶴「……ま、まあ……ね」
瑞鶴は顔を真っ赤にしながら、スタスタと翔鶴より先に歩いて行った。そんな瑞鶴に、瑞鶴と青年が出かけたことを知っている他の艦娘達が、「まだ風邪じゃないんですか?」と少しからかいまじりに声をかける。その度に、瑞鶴は怒鳴り散らすようにして廊下を進んでいってしまった。
姉として翔鶴は嬉しく思う一方で、少し寂しく感じていた。
もちろん、瑞鶴がイヤリングをつけはじめたことの話は駆逐艦達の中でも話題になっていた。
雷「もしかして、瑞鶴さんと青年さんは……」
電「もしかするとなのです……」
響「さすが、青年だね」
暁「ふ、ふんっ! この程度で動揺するなんて、レディーとしてあるまじき行為よ。わ、わわ、私は動揺なんてしてないんだから」
そう言いつつも、やはり、恋愛については興味があるようで、暁も気になると言った表情をしていた。一部の駆逐艦がそう言った反応を示す中、穏やかな表情ではない駆逐艦が二名いた。
それは、春雨と弥生である。弥生だって青年と出かけ、プレゼントをもらったことがある。春雨にいたっては事故とは言え、唇を奪われてしまっているのだ。この二人の心中は穏やかではなかった。
弥生「……」
春雨「や、弥生ちゃん、もしかして、青年さんって、瑞鶴さんのことが好きなのかな?」
弥生「……たぶん」
春雨「……」
弥生「……」
二人は食事を取りながら黙りこんでしまった。二人の気持ちは、喪失感でいっぱいになって、どうすればいいのかがわからなくなっていた。二人とも頭の中をかき回されたような感じなのだろう。まったく考えがまとまらないと言った様子だ。
弥生「……思い切って……瑞鶴さんい聞いてみるのがいいかも」
春雨「え?! で、でもそれは……」
弥生「……」
春雨「……」
弥生「あ……せっかくだから、今日一日、瑞鶴さんのことを見て回ろうかな……」
春雨「ま、また追いかけるの?」
弥生「何かわかるかも……」
こうして、二人の瑞鶴観察ミッションがスタートしたのであった……。
二人は瑞鶴を探しに出かけたが、なかなか見つからなかった。弥生と春雨が瑞鶴のことを探しまわっていると、蒼龍と飛龍の二人が近づいて来るのが見えた。弥生は、蒼龍と飛龍なら、青年と瑞鶴の関係について何か知っていると思い、二人を呼び止める。
蒼龍「え? あ~……」
飛龍「もう時間の問題って感じだよね。ひょっとしたらもう付き合い始めてるかも!」
弥生「えっ……」
春雨「……」
蒼龍と飛龍は「青年が瑞鶴のことを好き」という事実は隠しつつ、二人の仲良し度を説明した。弥生と春雨はそれを聞く度に表情が曇っていく。蒼龍と飛龍からすれば気を遣ったつもりだろうが、逆効果を与えてしまっているようだった。
弥生「……わかりました。ありがとうございます」
蒼龍「まぁ、まだ、手遅れじゃないかもしれないし、弥生ちゃん、春雨ちゃん、頑張って!」
春雨「……は、はいっ!」
飛龍「これでも応援してるんだからね~」
二人が立ち去った後、弥生と春雨は今後どうすればいいかを考えた。
弥生「……」
春雨「……」
弥生「今思ったけど……私と春雨は、『ライバル』」
春雨「そ、そうだね……」
弥生「……そして、瑞鶴さんも、ライバル」
春雨「……」
弥生「……弥生は青年さんのことが『好き』です。……だから、負けません」
春雨「わ、私だって……もっと仲良くなりたいとは思ってるよ!」
弥生「……」
春雨「……」
二人は互いに見合って、そして、互いに微笑みあった。
さて、現在の状態を説明すると、結局、青年(北上カッコカリ)は、大井に捕まえられたままベッドにダイブしてお昼寝をしていた。(青年は眠らないように耐えているが)
大井は、すっかり寝息を立てて寝てしまっている。青年はこっそり抜けだそうと動くが、動く度に大井が、「北上さん……いかないで」とうわ言を言う上に自分の元へと引き寄せようとするので、なかなか抜け出せそうになかった。
青年「困ったなぁ……」
青年は、そんな言葉を呟いて、ため息をついた。いっそのこと早く、大井に変装であることを伝えて、ビンタでもなんでもされてもいいから、解放されたいと思うのであった。
青年「お、大井っち~……起きてー」
大井「……北上さぁん……」
大井は眠りながら、北上の名前を何度もつぶやく。ここまで来ると、大井の北上への好意というものは、何だか少し尊敬できると考える青年であった。自分も先日、瑞鶴を好きと言った以上は、このレベルまでとは言わないが、ある程度の愛情を注いでやらないといけないのは確かであろう。
青年「……」
そもそも、そのことを考えると、今こうして瑞鶴以外の女性と寝ていることそのものが、瑞鶴への裏切りではないかと気づいた青年は、すぐさま大井から離れようと必死にもがいた。
大井の腕からは解放された。しかし、その勢いで、青年はベッドから転げ落ちてしまい、体に衝撃が走った。
青年「いてて……」
大井「うぅん……何……せっかく北上さんと寝てたのに……」
青年「……」
大井「……青年さん? あれ? さっき、ここに北上さんが……」
少し寝ぼけた表情をする大井。自慢の茶色の髪の毛が少しだけボサボサになっていて、何とも言えない魅力を醸し出していた。青年がその魅力を感じている中、大井は段々目が冴えてきたようで、視線が床下に移った。すると、大井の目つきが変わっていく。
その大井の視線の先を青年が見てみると、自分が先ほど被っていた変装用のカツラが落ちていた。大井の視線が青年とカツラの間を行ったり来たりしている。
青年「……」
大井「……」
青年「……」
大井「青年さん」
青年「は、はい……」
大井「……」
大井は、青年を立たせてからこちらをじっと見つめる。そして、次の瞬間、鋭いビンタが炸裂した。青年は仕方がないこととして片付けてしまった。大井は、ビンタした後、後ろを振り返る。
大井「ま、まぁ……一応、ケジメとして……」
青年「そ、そうですね……」
大井「……ちょっとだけ、一人にさせてもらえますか?」
青年「あ、はい……」
本当に、昨日の立場が入れ替わったように思いながらも青年は大井を落ち着かせるために一人にさせることにした。せっかくなので、ホテルから出て、近くを散歩しようと考えた青年は下へと降りていった。
部屋に残された大井は、青年がいなくなるのを確認すると、ベッドの上に倒れこむ。
大井「あー……何なのかしら、この気分。……まさか、男の人と一緒に寝ちゃうなんて……。……それにしても、青年さんが北上さんの変装を好き好んでやるかしら?」
そう言いながら大井は考えこむ。青年がどういう目的で北上のコスプレ(髪型だけ)をしていたかはわからない。しかし、考えれば考えるほどに大井は変な方向へと向かっていくのであった。
大井「ま、まさか、北上さんの真似をして、私をだまし、あんなことやこんなことまで?! ……あ、いや、普段の青年さんだったらそんなことは……い、いやいや、男なんてみんなケダモノっぽい気がするし……あ、でも待って……私にただ近づきたいが為にあんなことを? い、いやいや、それなら北上さんの真似なんてああもう何言ってるか自分でもわからないし――――――
大井が一人で騒がしくしている頃、青年は外へ出て、散歩をしていた。町並みを見て歩くだけでも精神が疲れきった青年からしてみれば、かなりの癒やしになった。青年がふとポケットに手をやると財布が入っている。
青年「あ、そうだ……鎮守府のみんなにお土産でも買って行こうかな。ここでしか買えないものもありそうだし……」
そう言って、お土産店を探し始める青年。青年はちょうどいい店をたまたま見つけることができて、中に入って色々なお土産を物色し始めた。やはり、大人数で分けることになるとお菓子の方がいいと思ってそっちのコーナーへと自然と足が向かっていった。
青年「ん~……複数個購入にはなるよな……痛い出費だけど、自分は迷惑かける身なんだからこれくらいはやらないと……」
すると、青年の肩が何者かによってポンポンと叩かれる。
振り向くと、そこには肌の色が白い女性が立っていた。どこかで見たことがある気がするなと思い、青年はその女性を見る。
飛行「来ちゃった♪」
青年「……は?」
飛行「……というのは冗談。青年、久しぶり」
青年「……ちょ、ちょっとこっち来てください!!」
青年は一度、店を出てから人通りの少ない路地へと連れて行き、飛行場姫を誰からも見えないようにする。
飛行「やだっ……青年って、だいたん……」
青年「ふざけないでくださいよ……。えっと、どうしてここにいるんですか?」
飛行「……たまたま」
青年「……」
青年がそれから飛行場姫の話を聞くと、どうやら飛行場姫は、他の深海棲艦が持つ人間への関心とは違うベクトルの関心を持っているらしい。見れば服装は、かなり女の子らしい服装になっている。帽子も被っているのでよほど注視しない限り、誰も深海棲艦だとは気づかないだろう。
青年「はぁ……一応、よかったです。また誘拐にし来たのかと」
飛行「……誘拐してもいいの?」
そう言って、飛行場姫は青年の首元に腕を回してくる。青年は、すぐさま離れてから飛行場姫を見つめる。
青年「ダメです……」
飛行「そう言えば、青年はどうしてここに? あの鎮守府とは違う場所だけど……」
青年「まあ、呼び出されただけです」
飛行場姫にはそれ以上は何も伝えなかった。結果、二人はその後ちょっとだけ街の中を歩くことにした。これが大本営にいる人間に見られたりでもしたら大変なことだが、深海棲艦とだけバレなければ何とかなるだろうと青年は思った。
青年「で、どこに行くんですか?」
飛行「色々見てみたい……あっ。さっきのお土産、みんなにも買っていくつもりだから、先にそこへ」
青年「はいはい……」
先ほどのお土産屋に戻り、二人で色々選ぶ。ここで、青年はある疑問を思い浮かんだ。そもそも、飛行場姫は、今着ている服を一体どこで手に入れたのだろうか……と。それに、お土産を買うと言っても、飛行場姫がこちらで通用する通貨のようなものを持っているとは到底思えない。
青年「……」
飛行「どうしたの? 私が気になる?」
青年「あ……いえ……」
飛行「ふふ……お姉ちゃんにはバレバレだぞ……?」
からかうようにして、青年のほっぺたを軽く引っ張る飛行場姫。傍から見ればただの仲のいい姉弟に見える。だが、青年の頭の中で、深海棲艦と仲良くしていいものかどうかと迷いが生じた。そのために、拒絶するように飛行場姫から離れてしまった。飛行場姫はしゅんとした表情をして、青年を見つめる。青年は、申し訳なく思いながらも、お土産の話を持ちだして、飛行場姫の気を逸らした。
それから、二人はある程度お土産で買う品を決めてからレジの列に並んだ。
青年「そう言えば、飛行場……お、お姉ちゃんは、お金持ってるんですか?」
飛行「……これ、この前見せたら買えた。海の中で拾った」
飛行場姫がポケットから取り出したのは光り輝く石だった。青年はこうした石を見ても、いったいどれくらいの価値があるのかはわからないが、これで前回モノが買えたということはわかる人にはわかる価値あるものなのだろう。
青年「……だったらいいんですけど」
列が進んでいき、二人は別々に会計を済ませた。念のため、青年は飛行場姫が文句を言われた時のためにいつでもお金を出してあげる準備はしていた。だが、特に何もことは起こらなかった。青年と飛行場姫は一度、外へ出た。
青年「この後、どうするんですか?」
飛行「特に決めてない……青年は?」
青年「え、ホテルに戻るつもりですけど……」
飛行「ホテル……お泊り……青年の部屋に?」
青年「いや、来ちゃだめですよ……それに、今は早く帰った方がいいです。……何でしたら海の近くまで送りますよ」
飛行「ありがとう……でも、大丈夫。青年、『また』会お?」
青年「……そうですね」
『また』という単語に反応し、一瞬ビクリとしてしまった青年。今度、彼女を含めた深海棲艦と出会う時はどういった形になるかはまだわからない。今日あったことを考えると、いい形で出会う可能性よりも悪い形で出会う可能性が高いのは明白だった。青年は、胸に何かが突き刺さったかのような感覚に陥ったが、それをあまり表に出さないようにし、飛行場姫に別れを告げ、ホテルへと歩き出した。
青年が部屋に戻ってくると、大井は何やらひとりごとをブツブツ呟いていた。その様子を見る限り、本当に何かがあったらしい。
青年「大井さん? どうしたんですか?」
大井「――だから、青年さんは私のことを……って青年さん? も、戻ってたんですね」
青年「え、ええ、たった今……大丈夫ですか?」
大井「わ、私はいつだって大丈夫ですよ! う、うふふ……」
大井が笑顔を向けているが、明らかにワケありの笑顔だった。青年は少し心配しつつも、買ってきたお土産を持ってきた旅行カバンの中に詰め込み始めた。大井は、何を買ってきたか青年に尋ねてくる。
青年「え? ああ……一応、鎮守府のみんなにお土産です」
大井「そうなんですか……でも、どうして急に?」
青年「……せっかく遠いところまで来たので……」
大井「そうですか……」
ここへ来ても青年は大井に、「自分が迷惑かけるからせめて何かしたい」という思いは言わないでいた。大井も少しだけ、青年が間を置いたことに疑問を持ったようだった。しかし、青年は大井には何も言わず、そのままカバンの中に詰め込む作業を続けるのであった。
大井「あ、あの、青年さん」
青年「はい?」
詰め終わり、ホテルに備え付けのお茶を飲んでいた青年に大井がふと話しかけてきた。
大井「さ、さっきはすいませんでした……ケジメをつけるためとは言え……青年さんにビンタしてしまって……」
青年「あ、ああ……いいんですよ」
大井「青年さん、もしかして、私のために北上さんの変装を……?」
青年「あー……いや、あれは提督達に乗せられたというか……」
大井「そうなんですか……そうですよね……青年さんが、自分から北上さんの変装なんて……」
青年「……」
大井「……青年さんは優しいんですね」
青年「へ?」
大井「……自分の気の進まないことでも、ついつい、引き受けてしまう……でも、引き受けたことはちゃんとしようとする……。それに、鎮守府のみんなのことまで、考えてて……青年さんはとっても優しいんだな……って」
青年「いや、大井さんちょっと待ってください。僕はそんなんじゃないですよ。僕は――「ちょっと、見直しました」
青年が、何かを言おうとしたが、大井のその言葉によって遮られた。そして、見ると、大井の顔は青年が今まで見たことがない微笑みを向けていた。先ほどとは違う、自然で、優しい微笑みだった。
青年「……」
思わず、見とれてしまい、青年は顔を少しだけ赤く染めた。青年は、お茶を飲んで少しだけ鼓動の速くなった心臓を落ち着かせようとする。
大井「あ、そう言えば、そろそろご飯ですね。一緒に行きましょう。今日はちゃんと食べた方がいいと思いますよ」
青年「そ、そうですね……」
大井が急に青年の手を取って歩き出した。青年はそれに着いて行き、部屋を出る。そして、提督、加賀を迎えに行ってから食事会場へと向かうのであった……。
青年達が会場に着くと、松崎大将と瑞鶴が先にやってきていた。青年が松崎大将に挨拶をすると、一緒に食事を取ろうと誘われたので青年達四人と松崎大将、瑞鶴を含めた六人で夕食を取り始める。(もちろん、余所の鎮守府の瑞鶴でも加賀とは席を離してある)
大将「それにしても、青年君、今日はお疲れ様だったな」
青年「あ、どうも……」
瑞鶴「私も聞いててビックリしちゃったんだけど、一応、本当の話なのよね?」
青年「え、ええ……」
大将「……そうか。……あ、すまないな。せっかくの夕食に少し嫌なことを思い出させてしまって」
青年「あ、いえいえ。大丈夫ですよ……あっ、お酒、入れましょうか?」
大将「おっ、頼む」
提督「しかし、401号室の件なんですけど……」
大将「ん? あ~」
松崎大将は、何かを思い出したかと思うと、すぐに表情が青ざめた。それを見て、瑞鶴以外の四人が違和感を覚えて首をかしげる。青年が何かあったかを聞こうとすると、向こうの瑞鶴が話してくれた。
瑞鶴「あれね。以前、うちの鎮守府に、『マーカス』って言う、アメリカ人パイロットがいたんだけど……あ、今はちょっとだけ用事でドイツにいるんだけどね。その人が元帥さんや一部の提督さんと集まって会議をしたことがあるの。その時に、ここのホテルに泊まったんだけど……」
大将「私が、401号の部屋を安かったという理由でとったんだ……だから、それに怒ったマーカスと瑞鶴が私を……」
そう言いながら、松崎大将はガタガタと震えだした。よほど、嫌な思い出だったんだろう。青年は、お酒を入れてから松崎大将に落ち着くように促す。松崎は入れられたお酒を呑んで、少し落ち着いたようだ。
それからしばらくして、話をしていると明日の予定についての話へと変わった。
青年「えっと……」
提督「青年君は明日、大本営の医務室にて、検査を受けてもらうことになる。前にも言ったように、深海棲艦のもとで食べたもののせいで、身体に異常が出ているかもしれないからな」
青年「あ、そうでしたね……」
大井「ですが、今のところは何も問題はないんですよね?」
青年「まぁ……」
加賀「でも、そう言って油断すると一番危ないわ。検査をするにこしたことはないはず」
青年「……そうですね」
少しだけ暗い雰囲気の漂いだした六人の間に、何やらウエイターからカードのようなものが配られてきた。すると、食事会場の一番前の方にある、ステージが、ライトアップされ、司会服を着た男が現れ、いきなりビンゴ大会を始めると宣言した。
会場の脇から、様々な景品が出てきた。どうやら、ビンゴをした人から好きに選んでもいいらしい。青年は、これだけの人がいるのであるから、おそらく当たるのは無理だと思いつつ、周りを見てみると、青年以外の五人はかなりの闘志をむき出しにしていたのだった。
大将「瑞鶴……絶対、あのテレビ当てるぞ。幸運の女神ついてるんだろ!」
瑞鶴(呉)「当たり前じゃない! 私に任せておけば…‥」
大井「北上さんとハワイ旅行北上さんとハワイ旅行北上さんとハワイ旅行……」
提督「加賀、行くぞ……」
加賀「はい……!」
青年「……何これ」
こうして、ビンゴ大会がスタートした。次々と番号が読み上げられていく中、六人の間で奇妙な沈黙が走っていた。青年が見ると周りには既にリーチになっている人たちがいるみたいだった。
大将「ず、瑞鶴……お前、全然空いてないじゃないか! 幸運の女神はどうした!」
瑞鶴(呉)「し、知らないわよぉ……」
青年「……」
大井「……ふふ。いざとなればこの魚雷で……」
提督「う~ん、イマイチだな……」
青年がふとビンゴカードを見ると、リーチの状態であったが、何も言えなかった。しかし、リーチの人は手を挙げてくれと頼まれたので青年は手を挙げる。すると、五人の視線と期待が一気に青年のもとへ集中した。
提督「当ててくれ!」
大井「お願いします」
大将・瑞鶴(呉)「「テレビ」」
加賀「……」
そして、次の番号が読み上げられた瞬間、青年が見事ビンゴを勝ち取ったのであった。だが、それだけでは終わらなかった。当然、他の人の中にもビンゴで当たった人がいたのだ。
青年「じゃんけんですかね?」
提督「そうみたいだな。まぁ、気楽に行ってきてくれて構わない。あと、私達に気を遣って、景品は選ばなくてもいいからな」
青年「あ、はい……」
そして、じゃんけんまでした結果、見事青年は、一等を獲得したのであった。そして、彼が選んだのは……。
提督「まさか、青年君がバーベキューセットを選ぶとはなぁ……」
青年「い、嫌でしたか?」
提督「いや、青年君のことだから、何か考えがあるんだろう?」
大井「そんな大げさなものじゃないでしょ……」
青年「……まあ、そうですね。できれば、鎮守府のみんなで、バーベキューしてみたいだけです」
大将・瑞鶴「「はぁ……テレビ……」」
加賀「さすが、青年だわ……」
青年「い、いや……別にそれほどでも……」
それからは、これと言って大きな出来事は起きなかった。青年は、椅子の上で寝ながら明日へと向けしっかりと体を休めておくことにした。大井も、さすがに今日は色々なことがあって、疲れたのか、昼寝をしたのにもかかわらず、寝てしまっていた。
次の日、青年は昨日のように起きてから大井を起こし、提督、加賀とともに食事を取った。そして、再び大本営へと出向き、青年は医務施設へと案内された。検査のために、大井や提督達とは一度、離れなくてはならないようで青年は少し不安な気持ちで検査用の服に着替えた。
そこから中はもはや普通の病院と遜色なかった。さすがは、大本営と言ったところだろうか。病院特有のニオイを鼻を通じて感じ取った青年は、少しゆっくりとしたスピードで、青年が呼び出された部屋へと向かっていく。
医者「はい、どうも」
青年「……どうも」
医者「話は色々聞いてるから。今から色々検査するけど……」
青年「はい、お願いします」
こうして、青年の検査が始まった。レントゲンや、胃カメラ、ありとあらゆる検査が行われて青年は精神的にも疲れてしまったようだ。医務施設の、ベンチで座って休憩している。
青年「はぁ……」
阿賀野「おやおや? これは、昨日の主役の……」
青年「え? ……え~っと、どなたでしょうか?」
青年が声のした方を見てみると、サラリとした長い黒い髪をなびかせている女の子がいた。青年はこの子を見たことがないが、鎮守府にいるということは艦娘なのだろうとすぐ理解することができた。
阿賀野「よくぞ聞いてくれました! 私は最新鋭軽巡の阿賀野でーすっ」
青年「最新鋭?」
阿賀野「そっ。じゃなかった。それはそうと、昨日、見てたよ! 何だかすごい話だったけど、あれ本当なの?」
青年「ま、まぁ一応、本当の話ですけど……ところで、阿賀野さんはどうしてこんな場所に?」
阿賀野「面白そうな場所だったから一度入ってみたかったのよ~! 案内役の人と一緒に入ってきたんだけどね」
青年「はぁ……それで、その案内役の人は?」
阿賀野「……」
青年「……」
阿賀野の答えが返ってこなかった。つまりはそういうことなのだと理解した青年は、ため息をつく。
青年「一緒に、その案内役の人来るまで待ちます?」
阿賀野「あ、うんっ! 色々聞きたいこととかあるし!」
そう言って、阿賀野が隣に座ってきた。それから青年が聞かれたのはどうして、あの鎮守府で働くことになったかということや、深海棲艦に攫われた時のことなど根掘り葉掘り聞かれてしまった。
青年は、検査を受けている間ずっと一人だったので、少しばかり寂しさが和らいだような気がした。阿賀野は、青年の話を本当に興味深そうに聞いてくれた。
それからどれくらいの時間が経ったかはあまり実感がわかなかったが、しばらく二人で話していると阿賀野のことを呼ぶ声が聞こえてきた。
能代「あ、阿賀野姉! こんなところにいたの?! みんな探していたんだから……」
阿賀野「ごめんごめん! この埋め合わせは後でするから~」
能代「まったく……」
矢矧「ついでに言うと、酒匂もいなくなったわ」
能代「ええ!? それ、早く言ってよ!」
青年「……」
青年が勢いに圧倒されていると、二人の新しく現れた艦娘が青年に気づいた。
能代「あ、初めまして。私、阿賀野型二番艦の能代と言います」
矢矧「阿賀野型三番艦の矢矧です」
青年「あ、ど、どうも……」
能代「そ、それはそうと、阿賀野姉がご迷惑を……」
頭をペコペコと下げながら謝る能代に対し、青年は阿賀野と話せてよかったという旨のことを伝えた。そして、青年は、やはり姉妹艦でもしっかりしている子と『ちょっと』だらしない子の違いがあるのは見ていて飽きないと感じたのであった。
青年「で、では、その酒匂さんがどこにいるのかはわからないんですか?」
能代「ええ……」
阿賀野「本当に困った妹よね~」
矢矧「阿賀野姉が言えた義理じゃないと思うんだけど」
阿賀野「うぐっ……で、酒匂はどこなのかしら?」
酒匂「こっこだよ~! ばぁ!」
青年「え?」
青年が足元を見ると、ベンチの下から顔を覗かせるようにしてまた一人の艦娘が現れた。全員驚いて、しまい、その場から少しだけ後ずさりする。
能代「も、もうっ! ビックリさせないでよ~!」
酒匂「ごめんごめ~ん」
矢矧「とりあえず、そこから出てきたらどうなの?」
酒匂「うん、そうだね……よいしょっと!」
青年「はっ?!」
酒匂が勢いよく、起き上がった瞬間、ベンチがひっくり返り、青年はそのまま頭を地面に激突させた。これだけの設備が揃っているのにもかかわらず、思いの外もろいベンチに青年は恨みを覚えたのであった……。
それから、阿賀野型四人に囲まれた青年は、少しだけ会話を続けていた。話しているとこの姉妹での関係と言うものが段々と見えてきた。とりあえず、この姉妹の中でも問題児……と言うより、手のかかるのは阿賀野と酒匂のようだった。だが、阿賀野と酒匂並に手のかかる艦娘なんてもう慣れてしまっている青年は何とも思わず、いつものように接することができたのであった。
しばらくすると、担当の医者が戻ってきて、青年を個室へと案内してくれた。
医者「さて、君の検査結果なんだが……」
担当の医者は、低いゆっくりとした口調で話し始める。青年はどんな答えが返ってきても後悔はしまいと覚悟を決め、一度唾を飲み込んだ。医者はコーヒーをすすってから、カップを置いて、また、その口を開ける。
医者「……」
青年「……」
医者「特には問題はなかったよ」
青年「……ほっ」
医者「ただし、油断はならない」
青年「そう……ですか」
医者「ハッキリ言って、君が食べたものがどんなものかは予想がつかないが……うぅむ……まぁ、大丈夫だろう」
青年「よかったです……」
医者「まぁ、待っている人がいるだろう。さ、早く行こう。入り口まで送っていくよ」
青年「ありがとうございます」
青年と医者は立ち上がって、提督達が待っているところまで案内してもらうことにした。青年と医者が入り口近くに行くと、なぜか瑞鶴(呉のだが)が待っていた。しかし、ここへきて、青年は精神的な疲れに襲われてしまったようで、立ちくらみがした。
青年「あれ……」
気づけば、体が医者の方へと寄っていた。医者もそれに気づいていなかったらしく、まるで、青年が外で、医者を押し倒したかのような図になった。その一部始終を目撃した瑞鶴が口を開けてポカンとしている。
青年「……」
医者「……」
瑞鶴(呉)「えっ……もしかして、青年ってホモ……なの?」
青年「う、うわわあわわ?! ち、違いますって!!」
体をすぐさま起こして、瑞鶴(呉)に言い訳をする青年。瑞鶴は警戒をして、少しだけ後ずさりをする。慌てふためく青年は公の場であるのにもかかわらず、とんでもないことを言い始めるのであった……。
青年「ぼ、僕が好きなのは瑞鶴さんだけですからっ!!!!」
瑞鶴(呉)「ふぇっ……」
お分かりだろうか。青年は、瑞鶴(呉)に好きだと言ってしまったのである。瑞鶴(呉)に。
瑞鶴(呉)「え、えっと……それって……」
青年「ん? あ、いやっ……ちがっ……」
瑞鶴(呉)「……」
青年「……もう、帰りたい」
それから、部屋に戻った青年はさらに気落ちしていた。大井には、「もしかして、検査の結果が悪かったのですか?」と聞かれたが、首だけ振ってそこだけは否定しておくことにした。
その日の夜、青年は提督から明日には帰ることを告げられたので、お土産やビンゴ大会で当てたバーベキューセットなどをしっかりと荷物にまとめることにしたのであった……。
~大本営編・完~
~修羅バトル編~
車に揺られ、しばらく外の景色を眺めていた。青年の中では昨日の瑞鶴(呉)にしてしまったうっかり発言が残っており、今は誰ともあまり深く話したくないといった状態だった。出発する前に、松崎大将と瑞鶴(呉)とも別れの言葉を交わしたが、瑞鶴(呉)とは少し気まずい感じで別れてしまった。松崎大将とは、次回、出張の日程が決まり次第、連絡することを告げられたのでその時に謝ることにした。
そして、しばらく乗っていると、やっとの思いで元いた鎮守府へと帰ってくることができた。既に、鎮守府の入り口付近では何名かの艦娘が待機している。青年が中から出てくると、瑞鶴が一番に出迎えてくれた。
瑞鶴「あ、青年、おかえり!!」
青年「ど、どうも……」
瑞鶴が、何やらこちらの反応を伺うようにチラチラと見ている。よく見てみると、青年が以前あげたイヤリングをつけていた。青年は少し嬉しくなって、自然と笑みがこぼれる。
青年「あ、つけてくれたんですね……ありがとうございます」
瑞鶴「う、うん……ありがと」
大井「青年さん? そんな話する暇、今はないですよ……とりあえず、このバーベキューセット一緒に運びましょう」
青年「あ、そうですね……」
瑞鶴「……む」
青年が大井に色々言われている姿を見て、不満気な表情を浮かべる瑞鶴。それに気づかないまま青年は、大井と一緒にバーベキューセットを、提督が嫌がったのを無視して、『とりあえず』、執務室へと運ぶことにしたのだった。
青年「ふぅ……」
大井「お疲れ様です。青年さん、せっかくですから間宮さんのところに行ってアイスでもどうですか?」
青年「え? さすがに悪いですよ……それに、大井さんには北上さんが……」
大井「はっ!! そうだわ……北上さあああああああああああん!!!」
叫びながら廊下を走って行く大井を青年はただ見送るしかなかった。すると、青年の袖がクイッと引っ張られた。振り返ると瑞鶴が、立っている。
青年「……えっと……何でしょう?」
瑞鶴「な、何でしょう? じゃなくて……大井と何かあったの?」
青年「え? ……これと言ってないですよ」
瑞鶴「そう……何だか随分仲良くなった感じだから」
青年「そ、そうですかね……」
瑞鶴「む……」
また不満気な表情を浮かべる瑞鶴。青年は、おそらく瑞鶴が青年と大井の仲をあまり喜ばしく思ってないように思えた。だが、青年にとってはやはり瑞鶴が一番であることには変わりないために、少しだけからかってみたくもなった。
青年「もしかして……嫉妬、してくれてるんですか?」
瑞鶴「なっ……ななっ……そんなわけないでしょ! 慣れっこだし……そもそも、この鎮守府、女子率多いんだし、こうなるのは仕方ないし……」
青年「……」
瑞鶴「……で、でも、他の女の子とあまりベタベタするのは……やめて……ほしいかも……」
青年「……そ、そうですね。約束……します」
瑞鶴「うん」
指を絡めて、指切りで約束を交わした二人に待ち受けているものは果たして何なのだろうか……。
その日の夜、青年はなかなか寝付くことができなかった。体は疲れを感じているし、あとは眠ればいいだけなのになかなか眠れなかったのだ。青年は一度体を起こし、鎮守府の中を歩きまわってみることにした。
すると、鳳翔のお店だけがまだほんのりと明かりが灯っているのが見える。
青年「……し、失礼しまーす」
鳳翔「あら、青年さん。こんな時間に珍しいですね。もうみなさんは眠っているものかと……」
青年「あ、いえ……なかなか眠れなくて……鳳翔さんは?」
鳳翔「一応、台所の掃除ですね。でも、今ちょうど終わったところですから、青年さんは何もしなくて大丈夫ですよ」
青年「そ、そうですか……」
そのまま、クスクスと笑いながら、青年を椅子に座るように促した鳳翔はお酒を取り出して、青年に呑むかどうかを尋ねた。青年が、お酒ではなくお茶を
頼むと鳳翔は何一つ嫌な顔をせず温かいお茶を入れてくれた。
青年「……」
鳳翔「……隣、失礼しますね」
青年「あ、どうぞ」
青年の隣の椅子に座った鳳翔は、青年がお茶を飲むのを見つめていた。
青年「……」
鳳翔「そう言えば、大本営はどうでしたか?」
青年「あ……まあ、嫌なことも少しありましたけど、何とかうまくいきました」
鳳翔「そうですか……よかったです」
青年「……」
鳳翔「……青年さん?」
青年「あ、その……」
鳳翔「……」
青年「……」
鳳翔「何かあれば言ってくれていいんですよ。私は、出撃ではあまり目立った活躍はできません。ですが、やはり艦娘である以上、守るべき人達の支えになってあげたいと思ってますし……青年さんがよければ、私にいくらでも、心の内を晒してください」
鳳翔は優しい微笑みを浮かべながら青年に伝えた。青年は、もらったお茶を一度すすると、ゆっくりと話し始めた。
青年「大本営で、色々言われたんです。僕がこの鎮守府にいることで、ここの鎮守府のみんなを危険に晒すことになるかもしれないって言うことを……」
鳳翔「……」
青年「……元帥に言われた時、ドキッとしました。……僕も、薄々は感じていたんですが、意識したくなくて……ここのみんなが……大好きなんです」
鳳翔「……」
青年「……僕にはもう、本当の家はありません。ですが、ここが僕の帰るべき場所になってきました。……提督には本当に感謝してます」
鳳翔「青年さん……」
青年「だからっ……迷惑をかけすぎているのが……耐えられなくて……!」
語調が激しくなっていきながらも、目からは一筋の雫が流れた。青年は、そのまま泣きだしてしまった。鳳翔が見ているということも気にせずただただ泣いた。鳳翔はそんな青年を優しく抱きしめる。
鳳翔「青年さんも辛かったんですね……でも、大丈夫ですよ。青年さんは、私達に迷惑なんてかけてません……」
青年「でもっ……」
鳳翔「青年さん……今は、何も言わないで」
青年「……」
鳳翔が青年を抱きしめながら、青年の頭を撫でる。その姿は、まさしく泣いている子どもの面倒を見る母親そのものだった。結局、青年はその後、鳳翔の前であるということを忘れて泣いた。鳳翔の胸に顔をうずめ、泣き声を必死に抑えつつ、体を震えさせる。そんな青年を鳳翔は泣き止むまでずっと優しく、優しく抱きしめているのであった。
次の日、青年が目を覚ますと布団の中にいた。昨日、鳳翔の店で泣いたという記憶はあるのだが、その後のことはほとんど覚えていない。時計を見ると、いつも通り、勤務開始の少し前の時間だった。
青年は、体を起こして顔を洗って鏡を見ると、目が泣き腫らした後を作ってしまっていた。少し恥ずかしいと思いながらも、外に出て久しぶりに鎮守府の空気をいっぱい吸ってみた。やはり、大本営よりは落ち着く。
青年「……さて、働こうかな」
それからしばらく働き、またいつものように朝食を取って清掃の仕事をしていると、春雨が青年のもとへと現れた。
春雨「あ、あの、青年さん……おかえりなさい……」
青年「あ、うん。春雨、ただいま……」
二人の会話には少しどこかぎこちなさがあった。それもそのはず、二人は事故ではあったものの、キスをしてしまっているのだから。
青年「……えっと、それだけ……かな?」
春雨「あ、いやっ……その……青年さんに、また春雨の麻婆春雨……食べてもらいたくて、作ってきたので……ど、どうぞ!!」
両手でお弁当箱を渡される青年。青年はそれを受け取ると、嬉しそうに微笑んだ。
春雨「……」
青年「……」
二人が黙っていると、鎮守府内に突如緊急放送が流れ始める。
青年「えっ……これって……」
春雨「緊急事態?!」
青年「……何があったんだろう」
春雨「……」
大淀『鎮守府近海に、深海棲艦接近中、直ちに戦闘態勢に入ってください』
青年は慌てて、司令室に入ると提督と大淀が既にいた。青年が入ってくるのを確認すると、提督は青年を椅子に座らせた。
提督「どうやら、向こうは奇襲をしたりすることは考えていないようだ」
青年「……と言うと?」
提督「……真正面からこちらと勝負するつもりだ」
一方、鎮守府近海では既に主力艦隊のみんなが、深海棲艦といつでも戦うことができるような状態になっていた。視界には深海棲艦達の姿は入っている。それは向こうも同じことだが、攻撃してくる気配がまったくない。
加賀「……」
長門「こちらから攻撃をしかけるか、向こうがしてくるのを待つか……」
瑞鶴「……」
緊張感が強くなっていく。その中でも瑞鶴の表情はいつになく強ばっていた。前回の戦闘の際には、大破してしまったことを思い出しているのだ。
瑞鶴「……次は、絶対に……」
加賀「……」
そんな瑞鶴の様子を見て、加賀は表には出さないものの、心配するのであった……。
青年「……」
提督「向こうも攻撃してこず、こちらからも何もしないのは……」
大淀「提督、ここは支援艦隊を後ろに回して挟み撃ちということも……」
提督「いや、何があるかはわからないから下手に動かすのは……とりあえず、まずは大本営に連絡するしかないな」
青年「……」
提督が大本営に連絡し、深海棲艦が現れたことを報告する姿を見て、青年は自分に何かできることはないのだろうかと考えた。そして、昨日の夜のことを思い出してしまい、鳳翔には、慰められたが、やはり、迷惑をかけてしまっていることを申し訳なく思ったのだった。
青年「……」
提督「……はい。了解しました」
大淀「大本営は何と……?」
提督「……支援艦隊は他の鎮守府の者に出させるから待っておいてくれとのことだ」
大淀「どうなさいますか?」
提督「……向こうが何を考えているかわからない以上……戦うしかない」
大淀「わかりました。全員攻撃準備をお願いします」
大淀からの指示が下ると、海上にいたみんなはそれぞれ砲台や、艦載機を飛ばす弓を深海棲艦に向けた。互いの陣営に、今まででもっともプレッシャーを強く感じる沈黙が訪れる。
そして、提督が指示を出し、大淀がそのことを伝えるとみんなが一斉に攻撃をやり始め、戦闘がスタートしま。
大きな音が響く。青年はその音を聞きながら、また自分はじっと待つことしかできないのかということを思うと、悔しくなり、歯をギリッと噛み締めた。
青年「くそっ....!」
一方、戦闘が激しくなっていく海上では、艦娘たちが大声を出しあって連携を取り合う。だが、それは深海棲艦たちも同じでなかなか均衡は崩れなかった。
互いに被弾しあい、傷つく。もうそれを何度繰り返したかはわからない。傷は増えていく一方だ。
瑞鶴「……くっ……」
加賀「五航戦、前のようにやられるのはやめなさい」
瑞鶴「……」
加賀「……」
瑞鶴の表情は先ほどから焦りが見え始めていた。それを感じとった加賀が声をかけ、瑞鶴を落ち着かせる。瑞鶴は、自分でも気持ちが焦ってしまうのがよほど悔しいのか、加賀に八つ当たりのような言葉をぶつけ始めた。
瑞鶴「だって……絶対、負けないって決めたから‥…! 負けられないのよ!!」
加賀「‥…ただ焦るだけじゃ勝てないわよ」
瑞鶴「……」
加賀「わかったなら、沈まない程度に戦うことね」
瑞鶴「……わかってるわよ……そのくらい……」
加賀が先に移動して、艦載機を飛ばした。深海棲艦達は、それを撃墜するために砲撃を繰り出す。瑞鶴もそれに続くようにして艦載機を放った。しかし、全機撃墜されてしまい、攻撃は失敗に終わった。やはり向こうも、そうそう簡単にはやられてくれないらしい。気づけば、いつの間にか深海棲艦達の側が有利なように戦局は傾き始めていた。
加賀「……マズイわね」
瑞鶴「……まだ……まだ負けてない……!!」
加賀「……五航戦?!」
瑞鶴が、何を血迷ったのか、深海棲艦に向かって何度も艦載機を放つ。しかし、その焦り方は味方の士気に影響を及ぼしかねないほどだった。加賀はすぐさま、止めに入る。
瑞鶴「離してください!」
加賀「さっきの言葉をもう忘れたの……」
瑞鶴「っ……!」
加賀「……」
そして、瑞鶴が気づいた時、深海棲艦の攻撃が向かってきていた。瑞鶴は、加賀にそれを伝えようとしたが間に合わなかった。そのまま二人は被弾してしまい、服が乱れ、肌が露になった。
加賀「……五航戦、沈んでないわよね?」
瑞鶴「当たり前じゃないですか……ギリギリただの小破です」
加賀「そう……それならいいわ。……」
瑞鶴「……加賀さん、まさか……」
大淀「提督、加賀さんが大破状態で危険です……」
提督「ぐっ……」
青年「……」
提督「どこか支援を出してくれそうな鎮守府はないか?!」
大淀「今のところは……」
提督「……そうか。ひとまず、加賀には下がってもらおう。空からの攻撃の要は瑞鶴に変更すると伝えてくれ」
大淀「はい」
こうして、提督の指示が大淀を通じて瑞鶴達の耳に入った。青年はそれを確認すると、すぐさま立ち上がり、司令室から部屋から出ようとした。春雨が止めようとしたが遅かった。気づいた時には扉を、らしくない乱暴な開け方をして出て行って一目散に走り去って行った。
そして、青年は、港の出来る限り、海の近いところまでへとたどり着いた。息を切らしながらも大きく口を開け、呼吸をし、空気を大量に吸い込んだ。そして、口を開いて―――
青年「瑞鶴さん!!!!!! 頑張ってください!!!!!!!!!!!」
瑞鶴「っ……!」
青年の言葉がちょうど、砲撃の雨が一度止んだ時に瑞鶴の耳元へと届いた。その言葉を聞いて、瑞鶴は少し微笑んだ。
瑞鶴「……そうね。私がしっかりしなきゃ……しっかりしろ、私……幸運の女神は自分から迎え入れないとね……」
瑞鶴は両手で自分の頬を叩いて、完全に精神を戦闘へと集中させた。そして、まず、弓を大きく引き、艦載機を飛ばす。それに感化されたのか長門や他の艦娘たちが瑞鶴の攻撃に合わせて行動を取り始めた。完全に立場が変わったとは言えないものの、劣勢だった艦隊に士気が戻りつつあったのは間違いなかった。加賀は少し離れ、攻撃に当たらないようにしている。だが、瑞鶴が精神的に落ち着きを取り戻したことに安心したのだった。
加賀「まったく……手のかかる子ね……」
青年は声を出した後も港で立っていた。後から追いかけて来た春雨が息を切らしながら青年の元へとやって来る。
春雨「青年さん……そ、そんなところにいたら危ないですよ……」
青年「……ここにいるよ」
春雨「でもっ……」
青年「何もできないから、ここにいるんだ」
春雨「……」
青年の目を見た春雨はこれ以上何を言っても無駄だとわかった。その目は、決意に満ちあふれており、とてもじゃないが、青年の心を変えるのは難しかった。春雨は、万が一の時のために青年の側にいることにし、青年と二人で、砲撃の音を聞きながら港の先で立っていた。
二人がそうこうしているうちに司令室でも動きがあった。大淀が電話に受け、提督へと受話器を渡す。
提督「はい、もしもし……」
参謀長『まあ、そろそろだとは思っていたが……まあいい。すでにこちらから艦隊はこちらの提督に頼んで出撃させてるからもう少し持ちこたえてくれ』
提督「……はい! ありがとうございます!」
一方、海の上の戦場では先程より激しい戦いが繰り広げられていた。艦娘たちは、瑞鶴を中心に上手く士気を取り戻し、優位には立っていないものの深海棲艦と戦っていた。
瑞鶴「みんな頑張って! あと少ししたら……支援が到着するはず……」
長門「任せろ」
深海棲艦達に向けて反撃を開始する艦娘たち。深海棲艦達の、下っ端は既に沈んでいた。だが、それでも、まだ深海棲艦側に分があるのは変わりない。
北方「……次こそ、沈める」
北方棲鬼が、瑞鶴に向かって狙いを定める。瑞鶴はちょうど、艦載機を飛ばす準備をしていてそのことに気づいていなかった。
北方「……沈んじゃえ」
瑞鶴「もう一回攻撃するわよ!」
加賀「……! 五航戦!」
瑞鶴「……え?」
気づいた時には瑞鶴の体は、先ほどより離れた位置にあった。その視線の先には瑞鶴を突き飛ばした加賀が見える。加賀は瑞鶴が驚きの表情を浮かべているのを見ながらも微笑みを浮かべた。そして、次の瞬間、瑞鶴の目の前で大きな爆発が起きた。
瑞鶴「……嘘……」
煙がモクモクと上がり、熱がこちらへと伝わってくる。やがて、煙が消えていくのを確認していくと、既にそこに加賀の姿はなかった。
瑞鶴「……う、嘘でしょ……ねぇ」
瑞鶴は、目の前で起きたことが信じられないようで、戸惑っている。だが、ずっと戸惑っているわけにはいかない。深海棲艦達は、さらなる攻撃を仕掛けてくる。
瑞鶴「……あれは……」
瑞鶴は気を確かに持ちながら、深海棲艦達の方を見ると深海棲艦達の後ろの方から新たな影が見えた。そして、その後ろの影は参謀長が出した支援艦隊であった。支援艦隊は、深海棲艦達に向けて攻撃を開始する。瑞鶴も、それと連携し合いながら攻撃を開始した。
瑞鶴「……絶対に……勝たなきゃ……」
それからどれくらい時間が経ったのだろうか。瑞鶴が気づいた時には既に深海棲艦は撤退を始め、残ったのは支援艦隊と、瑞鶴達を含めた艦娘たちだけだった。ただし、加賀という一人のメンバーが欠けてはいたが……。
瑞鶴が戻ってくると、そこには青年と提督の姿があった。提督は一人一人に「お疲れ様」と声をかけ始めた。
青年「……瑞鶴さん、無事でよかったです」
瑞鶴「……そうね……ごめん。ちょっと、今は一人にさせて……」
提督「待て、瑞鶴」
瑞鶴「……」
提督「……よくやった」
瑞鶴「……ごめん……なさい……」
提督「どうして、謝る」
瑞鶴「私が悪いの……全部……最初から……」
青年「……」
提督「瑞鶴……」
瑞鶴「……とにかく……今は一人にさせて……」
そう言い残して、瑞鶴は走り去ってしまった。青年が心配そうに瑞鶴の後ろ姿を見ていると、提督が青年の肩に手を置いた。
提督「加賀なら大丈夫だ……」
青年「え?」
提督「……まぁ、ついてきたまえ」
青年「は、はぁ……」
言われるがままに、提督についていく青年。そして連れて来られたのは、工厰だった。提督が扉を開けると、そこには、横たわって目を閉じて眠っている加賀とそれを見ながら何か書き込んでいる明石がいた。
明石「あ、お疲れ様です」
提督「うむ。加賀の様子はどうだ?」
明石「……はい。『応急修理要員』が発動するのが、少し遅かったために、一度は『轟沈』したのですが何とかまだ生きてます……」
提督「そうか……よかった」
明石「駆逐艦の子が助けに行ってなかったら今頃、海の底ですよ」
提督「……」
青年「……」
加賀は、本当に静かに眠っている。提督と明石は何やら難しそうなことを喋っていて、青年には理解できなかったが、とりあえず、加賀が沈んでしまったわけではないということに安心し、胸を撫で下ろした。しかし、提督もそのことを知っていながら、瑞鶴にあえて言わなかったのに少しなりとも疑問を思いつつ、加賀の寝顔を見ていた。
加賀「……」
青年「……」
提督「とりあえず、瑞鶴のケアをしっかりしないとな……青年君、少しだけ頼めるか?」
青年「はい……わかりました」
それから青年は瑞鶴の部屋へと向かう。だが、その行く先で、瑞鶴が向こうの方から歩いてくるのが見えた。瑞鶴は青年を見ると、すぐ視線を外して早足でどこかへと向かおうとする。青年が呼び止めると、瑞鶴は振り向かずに「な、なに……?」と尋ねた。
青年「……少し、お話しませんか?」
瑞鶴「……嫌。今はそんな気分じゃないし……」
青年「……」
瑞鶴「もういい?」
青年「……えっと、瑞鶴さん……僕の部屋に来てください」
瑞鶴「え?! ちょ、ちょっと……」
青年は瑞鶴の腕を取り、自分の部屋へと案内した。そして、瑞鶴を座らせると、話を始める。
青年「ちょっと強引になりましたけど……瑞鶴さんに伝えたいことがあって」
瑞鶴「……」
青年「加賀さんは無事です」
瑞鶴「う、嘘よ……あの人は私の目の前で沈んだのよ! そんなわけないじゃない!」
どうやら、よほど加賀のことがショックだったらしく、青年の言うことに耳を傾けようともしなかった。瑞鶴は、ネガティブな発言ばかりを青年にぶつけてきた。「自分が悪い」、「あの時、こうしていれば」、「私なんて結局……」……。そんな言葉を何度も口にし、青年の前でポロポロと涙を流しながら主張するのだった。
青年「……瑞鶴さん」
瑞鶴「何よっ……どうせ私なんて……」
青年「そんなこと、言わないでください」
瑞鶴「……うるさいわね! 私の何がわかるっていうのよ!」
青年「……」
青年は、瑞鶴の声を気にせず、そのまま瑞鶴を抱きしめた。戦いという場におかれ、普段は頼もしく思える背中や肩は抱きしめると、想像以上に華奢であった。体は震えており、よほど悔しかったのだろうと青年は嫌でもわかった。
瑞鶴「……」
青年「落ち着いてください。僕の言うことは本当ですよ。加賀さんは無事ですから……」
瑞鶴「……」
青年「瑞鶴さん……今日は本当にお疲れ様です……。今は自分を責めるより、しっかりと体を休めてください」
瑞鶴「……」
青年は瑞鶴のことを離すと、瑞鶴は黙ったままその場に座っていた。青年は、部屋の中の小さな冷蔵庫の中からお茶を取り出して瑞鶴のために入れてあげた。瑞鶴はそれを受け取りはしたが飲もうとはしなかった。
瑞鶴「……」
青年「瑞鶴さん。僕は……その……前にも言いましたが瑞鶴さんの戦いについては何も詳しくは知ることはできません」
瑞鶴「……」
青年「ですが……心の支えになることはできないかもしれませんが、努力するつもりです。ですから……ダメですか?」
瑞鶴「……別に……ダメとは言わないけど……」
「それなら……」と言葉を続けて、瑞鶴は青年から受け取ったお茶を少し飲んで、置くと、青年に近づく。そして、先ほど青年がしたように抱きついてきた。
瑞鶴「……元気づけて」
しばらくしてから、二人のもとへと加賀が目を覚ましたという連絡が入ってきた。青年と瑞鶴は急いで、工厰へと向かっていった。そこには既に提督も立っており、加賀と少しだけ話し合っていた。
瑞鶴「あっ……」
加賀「……」
加賀は瑞鶴のことを見ると、表情は変えなかった。いつもの加賀だった。おそらく加賀も何かしら言いたいのだろうが、いつもどおりを装っているように思えた。
瑞鶴「……」
加賀「五航戦、今回は、あなたに助けられたわ」
瑞鶴「なっ……で、でも、加賀さんは一回……」
加賀「……あまり気にしないことね戦場ではいつ何があるからわからないから」
瑞鶴「……」
瑞鶴が黙っていると、加賀は瑞鶴にこっちに来るように促した。瑞鶴が、近づくと加賀は優しく手を伸ばし、瑞鶴の頭を撫でる。瑞鶴は、一瞬戸惑った表情になったが、少し顔を赤らめながら拒絶せずに撫でられたままでいた。
提督「まぁ、今回はこれで一件落着だな」
青年「ですね……」
加賀「あと、提督……」
加賀がふと何かを思い出したかのように提督に話かけた。そのイントネーションはどこか暗さがこもっている。提督は、加賀の方に近づいていき、そのまま加賀の頭を優しくなでた。
提督「……全部言わなくてもいい。今は、休め」
加賀「……ありがとうございます」
それからの提督は忙しかった。報告はしておかないといけないので、まず大本営に深海棲艦が攻めてきたことを報告。それから参謀長のいる鎮守府にお礼の言葉を連絡、損害の確認など多忙な日になった。
その日の夜、提督は晩ご飯の会場にも姿を見せなかった。艦娘たちはそれぞれ今日の感想、及び反省を互いに話していた。出撃していない艦娘たちもやはり色々と思うところはあったみたいだ。
青年「……はぁ」
弥生「青年さん、隣、いいですか?」
青年「ん? 弥生か」
弥生「……」
青年が了承すると、弥生は青年の隣にチョコンと座ってご飯を食べ始める。弥生は今回の出撃には参加しておらず、無傷の状態で相変わらずの表情のままご飯を食べ進めていた。
弥生「……」
青年「……」
弥生「青年さん、あまり自分のことは責めないでください」
青年「え?!」
弥生「……青年さん、さっきからずっと元気がなさそうです」
青年「……そうかもしれないな」
弥生「……」
青年が自分がいることで他のみんなにまた迷惑をかけたと思うと、本当に元帥の言った通り、このままいなくなってしまった方がいいのではないかと思ってしまった。
悔しさのあまり、箸を持つ手が震える。その様子を見て、弥生は青年のその手の上に自分の手を重ねた。
弥生「……弥生は……青年さんにはずっとここにいてほしいです」
青年「……」
弥生「だからっ……その……青年さん、ずっとここにいてください……。あの……その……」
青年「……?」
弥生「弥生は……青年さんのこと……『好き』ですから……」
青年「……」
その言葉に青年は黙り込んだ。弥生が自分のことを『好き』と言ってくれてはいるが、それがどういう意味での『好き』なのかがわからない。だが、青年に出来るのはその言葉を受け止めるだけだった。
青年「その……ありがとう。そう言ってくれるのは嬉しいよ」
弥生「……」
青年の言葉に弥生は少し顔を俯かせた。何かマズイことを言ったのかと青年は思い、弥生に顔を近づける。すると、弥生は先ほど握っていた手を離して、そのまま青年の後へと回した。
弥生「……異性としての話……です」
顔を真っ赤にさせる弥生。青年は、急な告白に驚き、弥生から離れる。弥生は、顔を真っ赤にして、そのまま黙りこんでしまった。だが、青年には既に好きな人がいる。青年は大きく息を吸った。
青年「その……弥生の気持ちは嬉しい。……だけど、ごめん……」
弥生「……いいんです。わかってます……」
胸が痛む。これほどまで胸が痛くなったことがあるだろうか。弥生は肩を震わせて、俯いている。
弥生「弥生は……ちょっと一人になりたいのでっ……失礼します……」
青年「あっ……」
弥生は立ち上がり、その場からいなくなってしまった。他の艦娘たちはその出来事に気づかないで、そのまま食事を続ける。そして、この後、青年に待ち受けることは青年は予想もしなかったのである……。
弥生「……!」
弥生は青年にフラれたことによるショックで足取り重く歩いていた。「青年に嫌われたかもしれない」そういう感情が嫌でも湧き上がってしまい、今にも泣きだしてしまいそうになる。弥生はこの感情を一人で抑えこもうかそれともどこかにぶつけるかに迷った。だが、その決断をするのですら胸が痛くなってできなかった。
弥生「……はぁ」
足を止め、ため息をつく。そして、ふと自分の頬を一滴の涙が流れていることに気づいた。
弥生「……」
春雨「弥生……ちゃん?」
弥生「あっ……」
春雨「どうか……したの?」
弥生「……」
弥生は全てを話した。青年に思いを伝えたこと。そして、それがかなわなかったことを。
春雨「そっか……。あ、ねぇ、弥生ちゃん」
弥生「?」
春雨「執務室にね、美味しいお酒があるの。今日は、一緒に呑んで忘れよ?」
弥生「……うん」
弥生が行ってしまってから、青年は罪悪感を覚えながらも、そろそろ寝る準備をしようかと考えて、廊下を歩いている時だった。
提督「あ、青年君……今日はご苦労だったな」
青年「いえいえ、提督こそ……」
提督「寝る前で申し訳ないんだが……少しだけ執務室の掃除をしていてくれないか? 散らかってしまっていてな……」
青年「はい、僕にできることなら……」
その会話をかわして、青年は掃除をしに執務室へと向かった。気分が落ち着かない今、こうしていつものように掃除をすることで気を紛らすことができるだろうと感じた青年は少しだけ苦笑いを浮かべながら執務室の前に立つ。
青年「……ん?」
執務室の中から何やら話声が聞こえてきた。青年は、その中をチラッと覗くために少しだけ扉を開けてみた。だが、姿は見れない。そこで仕方なく、ノックをしてから入ることにした。
青年「失礼します」
そう言って、執務室の中へと入ると、提督の言うとおり、少し散らかってはいた。だが、それだけではなかった。青年の目の前には、隠れるようにしてお酒を呑んでいる弥生と春雨の姿があったのだった。
青年「……あれ、二人とも……」
弥生「っ!」
春雨「っ!」
青年の声に気づいた二人がこちらを見る。すると、慌てた様子で、春雨と弥生が出していた酒瓶を片付ける。
青年「あー、大丈夫だよ。提督には言わないから……」
春雨「……」
弥生「……」
二人が妙な沈黙を作った。青年がその様子に違和感を覚えた瞬間、弥生が青年に近寄ってきて抱きついてきた。
青年「ちょっ……えっ!?」
春雨「ふふふ……閉じ込めました……」
気づけば、春雨は執務室に入るための扉の鍵を閉めていた。
青年「ふ、二人とも……悪酔いしてるんじゃ……」
弥生「青年さん……好きです……」
春雨「春雨もぉ……青年さんのこと、好きですよ?」
青年「……」
二人は完全におかしなテンションになっていることを察した青年は今すぐこの部屋から出て行って提督にこの状況を報告したかったが、既に扉は閉められているため、それはできなかった。
青年「と、とりあえず、弥生はまず俺のこと離してくれないかな……」
弥生「……嫌です」
青年「……」
春雨「青年さんはぁ……誰が好きなんですかぁ?」
酔っ払ってしまい、ふらついた足取りで青年に近づいてきた春雨。青年は弥生から離れようとあまり力を入れすぎず、抵抗した。その瞬間に、弥生も少しだけ力をゆるめてくれたおかげで何とか離れることはできたが体勢を崩してしまった。
春雨「捕まえましたぁ♪」
春雨は、体勢を崩した青年をそのまま押し倒し、青年のお腹の上に乗った。
春雨「えへへ……青年さん、春雨のこと、……『食べて』もいいんですよ?」
青年「さ、さすがにそれは……悪酔いがひどすぎ―――っ?!!??!」
青年が、春雨に少し怒ろうと思ったその口は弥生の口によって塞がれてしまった。その口づたいに、何やら液体が注ぎ込まれているのがわかる。
弥生「青年さんも、これでお酒を呑んだから、共犯ですね……」
青年「……」
春雨「悪酔いした勢いでやっちゃったっていえば、怒られませんよぉ♪」
青年「……」
春雨は青年が少しボーッとしているのを確認するとニヤリと笑って顔を近づけた。
春雨「ね? 青年さんも……まんざらではないですよね?」
青年「そう……だな」
弥生「……」
弥生はその言葉を聞いてどういうわけか、青年の近くに座り込んだ。
弥生「改めて言います……。青年さん、弥生は青年さんのことが好きです……だからっ……今日だけで……いいですから……おねがいします」
青年「……」
もうその顔に、酔いは残ってはいなかった。春雨もさすがに空気を読んだのか青年から離れた。青年は体を起こし、弥生の頭を撫でる。
青年「……ありがとう」
――――でも、ごめん」
その言葉を青年は言い放った。
青年「俺には……もう好きな人がいるんだ。……隠しても仕方ないから言うけど……瑞鶴さんが好きなんだ」
弥生「……そう……ですよね」
春雨「……」
青年「……だから、ごめん。本当にごめん……」
ひどいことを言っている自分に腹が立ち、青年は涙を流しそうになった。誰かの気持ちを受け取らないということがこんなに苦しいものなのだろうかと自分の中で、心苦しい重いをしながらひたすら二人に謝り続ける。
青年「……」
春雨「青年さんの気持ち、よくわかりました……。ちゃんと、返事を言ってくれて私も嬉しいです」
弥生「弥生も……それだけで満足ですよ」
青年「本当にごめん……。ちょっと一人にさせてくれ……」
青年はそう言って執務室の鍵を開けて、外へ出ようとした瞬間、青葉が通りかかった。
青葉「あれ? 青年さん? 執務室の中で何を……しかも鍵かけてましたし……」
青葉には悪気はなかったのだろうが、執務室の中を覗きこんだ。そこにいるのは当然、弥生と春雨。お分かりだろう。青葉にとってこの状況が非常に『オイシイ』ネタの宝庫になっているということを。
青葉「ま、まさか青年さん……」
青年「……ち、違うから……」
青葉「……これはニュースですね。やっぱり青年さんにはロリコン疑惑が……」
青年「……違うから……な」
青年にしては静かな言い方だった。その声を聞いてからか青葉も何らかの異変を感じたのであった。青年は青葉の横を通り過ぎ、そのまま自室へと走り去ってしまった。後には、青葉と弥生、春雨が残され何とも言えない空気が漂うのであった。
青年「……」
自分の部屋に戻ってから青年は壁にもたれるようにして座り、ただ呆然としていた。確かに、春雨と弥生に迫られたあの時自分の心の中がドキッとしたのは確実だった。味わったことのない何かがそこなはあった。しかし、青年には瑞鶴を裏切るような真似はできない。それが彼らしさなのではあるが……。
青年「……はぁ」
大きなため息をつく。青年も改めて考えるとため息をつく回数が日に日に増えてきているのではないかと思った。先ほど弥生に酒を呑まされたためか少しだけ頭が痛い。
青年「……はぁ」
青年はまたもため息をつく。すると扉がノックされる音が聞こえた。青年は、仕方なくゆっくりと扉を開ける。その扉はいつもよりかなり重く感じられた。
青年「……瑞鶴……さん」
瑞鶴「あ、青年……ちょっとだけ話いいかしら?」
弥生「……」
春雨「……」
瑞鶴の後ろに春雨と弥生の姿が見えた。青年は覚悟を決めて三人を部屋の中に入れる。おそらく大体の事情は青年も察した。
三人を座らせて、お茶を入れる。すると一番最初に話し始めたのは瑞鶴だった。
瑞鶴「あのさ……その……二人から事情は聞いた……というか、なんか色々あったのね」
青年「……まあ」
瑞鶴「……私以外の子とは……そのあまりイチャイチャしてほしくない……ってのは前にも言ったと思うんだけど……」
青年「……」
春雨「あ、あのっ……だから青年さんは悪くは―――
春雨が青年を守ろうとした瞬間に、瑞鶴の眼光が鋭くなった。春雨はそれに怯え黙ってしまう。
青年「……」
瑞鶴「……ま、青年は女の子に慣れてなさそうだから、ちょっと迫られただけで顔真っ赤にしてそうだけど……」
青年「……」
瑞鶴「……」
瑞鶴は青年を睨みつけたが、その表情をすぐに悲しそうにした。
瑞鶴「……私が……悪いのかな」
青年「えっ」
瑞鶴「……も、もしかして、青年さ。あの時はその場の雰囲気で、私に『好き』って言っちゃったかもしれないじゃない?」
青年「そ、そんなことは……」
瑞鶴「……無理しなくていいのよ……私、迷惑だったらすぐに……」
青年「……」
瑞鶴「……ほら、正直に言いなさいよ。誰が好きなのか」
青年「……」
瑞鶴「私のことは気にしなくていいのよ?」
瑞鶴の言い方が青年にとっては怖かった。今の青年には瑞鶴のその言葉がまるで、弥生、春雨に青年が本当に瑞鶴のことを証明させるための証拠にされてしまいそうな気になってしまったのだ。もちろん、青年が瑞鶴のことを好きなことに変わりはない。
青年「……」
だが、もう一度ふと考えた。なぜ自分が瑞鶴のことを好きになったのかを。
青年「……瑞鶴さんです」
瑞鶴「……本当に? それは嘘じゃない?」
青年「本当です。異性として……瑞鶴さんが好きです……でも、僕は――
そう言って言葉を続けた。
青年「弥生と春雨のことも好きです。これは、どうしても異性としてではなくなってしまいますが……弥生は大人しそうですが、優しい心とやる時にはしっかりとした信念を持って行動できる子だし、春雨も優しさと丁寧さがありますし……」
心なしか弥生と春雨の表情が少しやわらかくなるのを感じた。瑞鶴もその言葉を聞けて満足したかのような表情になった。
瑞鶴「うん、やっぱり青年はそうでなくちゃね」
瑞鶴はにっこりと笑うと、まだ勢いで告白してしまい、結果的にフラれることになった弥生と春雨を部屋から連れ出し、しばらくしてから戻ってきた。そして、青年の側に座り自分の首を青年の肩に乗せる。
瑞鶴「……どうせ、誰も傷つけたくないって思ってるんでしょ?」
青年「……」
瑞鶴「青年はやっぱり優しいわね……でも……多分その優しさ、今のあの子たちにとっては……キツいかもしれなわよ」
青年「……あの二人には本当に悪いことをしました」
瑞鶴「仕方ないわよ」
そう言ってしばらく瑞鶴は黙り込んだと思うとクスリと笑った。
青年「どうかしました?」
瑞鶴「いや、何て言うかさ、私達っていつも互いに励まし合ってるなって思って……さっきまで私が元気なかったのに、今は青年が元気ない」
青年「……言われてみるとそうですね」
瑞鶴「早く元気出しなさいよ? また明日から仕事、始まるわよ」
青年「……はい」
そのまま二人は色々と座りながら話した。これからのこと。今までのこと。気づけば二人は互いに寄り添って寝てしまっていた。次の日の朝、青年が起きた時に、瑞鶴の可愛らしい寝顔を見れたことに少しだけ幸せを覚えたのであった。
青年は瑞鶴を起こし、二人で朝食を取りに食堂へと向かう。その先で少しだけ顔色のよくなった提督と出会った。
提督「やぁ、青年くん。昨日はよく眠れたか?」
青年「あ、ま、まぁ……提督は大丈夫ですか? 仕事に追われていましたが……」
提督「何とか片付いたよ。あ、それと、松崎大将が出張の件で1週間後に来てほしいそうだ。今からでも遅くないから準備しておいてくれ」
青年「はい。えっと……付き添いの艦娘は連れて行ってもいいんでしょうか?」
提督「まぁ、大丈夫だろうと思う。……瑞鶴か?」
瑞鶴「っ……」
瑞鶴は少し顔を赤くした。もはやもうこの鎮守府では青年と瑞鶴の仲を隠すのは不可能に近いだろう。おそらく、提督と加賀の仲もバレている。青年も昨日弥生と春雨に言ってしまったことからもう隠せないのは理解して開き直ることにした。
青年「そう……ですね。よければ瑞鶴さんも一緒に……」
提督「その時の状況にもよるが、よく考えておくよ。さ、朝ごはんを食べに行こう」
青年「はい。瑞鶴さん、行きましょう」
瑞鶴「うん……」
会場にたどり着くと、またもや春雨と弥生と出会ってしまった。弥生と春雨は少し気まずそうな顔で青年と瑞鶴を凝視する。
青年「……二人とも、おはよう」
弥生「おはよう……ございます」
春雨「おはようございます……」
青年「……」
瑞鶴「……」
青年「一緒に食べる?」
弥生「……!」
春雨「……は、はいっ……」
瑞鶴「ちょっと青年! 昨日言ったこと――「いいんです」
瑞鶴が昨日言った、青年の優しさが逆に二人を苦しめるかもしれないということは青年も承知の上だった。だが、今の青年にとっては二人を放置して元気が戻るのを待つより、自分から慰める、というよりは元気づけた方がいいと思ったのだ。青年が二人の近くに座ると、瑞鶴も座ったが少しだけ不機嫌そうな顔をしていた。
青年「えっと……大丈夫? その、二日酔いとかになってない?」
弥生「はい……大丈夫です……」
春雨「春雨も……」
青年「そっか……よかった」
瑞鶴「……」
それから青年は瑞鶴たちとご飯を食べながら色々と話した。話していくうちに少し曇りかかった表情を二人が明るくなっていくのを青年は感じ取った。もちろん、瑞鶴もそれを感じ取り、自然と微笑みを向けていた。
それから朝ごはんを食べ終えると青年は自室へと行き、荷物をまた整理し始めた。幸い、大本営から帰ってきてそこまでの期間が経過していなかったので、すぐに荷物はまとめることができた。
青年が荷物を整理していると、部屋の扉をノックする音が聞こえた。開けると、瑞鶴が立っている。
青年「どうかしましたか?」
瑞鶴「いや、今さっき、提督さんから聞いたんだけど……どうも呉鎮守府、部屋が空いてなくて……旅館で宿泊になるんだって……えっと、その『二人きり』で」
青年「……」
瑞鶴「……そういうことだから、うん」
青年「は、はい……」
二人は顔を真っ赤にさせながら会話をする。だが、ほとんど会話が途切れ途切れになってしまっている。どうしても、『二人きり』となると、意識してしまうことはあるのだろう。それも、誰も邪魔されない空間に行くのであるからなおさらだ。
瑞鶴「あ、そ、そうだ! 出張前に激励会みたいなの開くって! なんかこの前、大本営に行った時にとったバーベキューセット使ってみようだってさ!」
青年「そ、そうですか……! 楽しみですね……!」
瑞鶴「……」
青年「……」
瑞鶴「じゃ、じゃあ、私も荷物だけ準備してくるね」
青年「は、はいっ……」
足早に去っていく瑞鶴を青年はしばらく見つめたままだった。先ほどの会話で、あのデートの帰りのことを思い出す。思い出す度に、嬉しくもなるが、このままでいいのかと自分に疑問を持ってしまう青年でもあった。
青年が帰ってきてからしばらくして、鎮守府内で青年が出張に行くことを聞きつけた一部の艦娘たちが様々な準備にとりかかっていた。
第六駆逐隊のみんなもその一部だ。
暁「鳳翔さん! 私達にも手伝えることはあるかしら?」
鳳翔「あら、それでしたら……バーベキューに使う食材を買ってきてもらいましょうかね」
響「食材は何でもいいの?」
鳳翔「あなた達のセンスに任せます♪」
雷「ということは?」
電「おつかいなのです!」
鳳翔は、懐からお金を取り出すと暁にそれを手渡した。暁は受け取ってからお金をポケットの中に突っ込み、「さぁ、いくわよ!」と元気よく言ってから鳳翔のお店を出て行ってしまった。残りの3人もそれに続いて出て行く。
鳳翔「……」
それを見送ってから鳳翔は執務室へ電話をかけた。そして、暁達だけでは少し心配であることを告げる。
提督「そうだな……誰か他のやつにも行ってもらうか」
そう言ってから提督は、電話を切り誰に着いて行ってもらうかを考えた。鳳翔はこの後も他の準備で忙しいのは提督も重々承知だったのでさすがに鳳翔を出かけさせるわけにはいかない。そこで提督は、執務室から出て一番最初に会った艦娘に任せようと考えた。
提督「ふぅ……」
提督が執務室の扉を開けると、目の前に早速一人に艦娘がいた。
青葉「あ、おはようございます!」
提督「……」
提督は心配だった。
さて、提督に頼まれて青葉は急いで支度(ビデオカメラ等)をし、第六駆逐隊が向かったであろう市場の方へと歩いて行った。一方、その頃、第六駆逐隊は楽しそうに雑談をしながら市場を見て回っていた。
暁「何を用意すればいいのかしらね?」
響「とりあえず、バーベキューだからまずは肉を用意しないとね」
雷「となると、お肉屋さんを探さないといけないのね!」
電「えっと、お肉屋さん……お肉屋さん……」
4人が辺りをキョロキョロと見回していると、八百屋、魚屋、酒屋等たくさんの店が並んでいる。だが、肉屋だけどうにも見つけることができないでいた。4人は見回しながら辺りを歩き、肉屋を探した。
そして、やっとのことさで肉屋を見つけそこへと近づいていく。
肉屋店主「いらっしゃいお嬢ちゃん達! 今日は何の肉がいいんだい?」
暁「……!」
そこで、暁は考えこんだ。果たして、バーベキューに使う肉は牛肉なのか豚肉か、鶏肉か……。響は完全にはわかってはいたが、暁が必死に考えている姿を見ていた。
暁「え、えっと……バーベキューに使えるお肉をちょうだい!」
雷(あ、ごまかした)
電(ごまかしたのです)
響「ハラショー」
それから肉屋さんはまるで、某おつかいをしている子どもを見守る番組に出てくる子どもを優しく見守りながら見るおじさんのような目で暁達を一瞥すると、肉を奮発して入れ、暁達に手渡した。
肉屋店主「はいよ、お嬢ちゃん達! いい肉だからきっと美味しいよ!」
電「ありがとうなのです!」
こうして、4人は見事、肉を買い揃えることに成功した。次に4人が向かったのは、八百屋。やはり、バーベキューにはジューシーでメインを張ってくれるであろう肉の他に、それを支える野菜が必要なのはお察しの通りである。
響「次は野菜だね、とりあえず、定番のものを揃えていこうよ」
雷「そうね!」
暁「ふふふ、みんな知ってる? 美味しい野菜はちゃーんと選別しないといけないのよ! 私に任せなさい!」
八百屋店主「お、君、自信があるのかい? じゃあ、ちょっと選んでみな!」
暁「もちろんよ! まずは、玉ねぎね!」
暁は店の前に置いてある玉ねぎをじっくりと眺める。こういった時、手にとって色々確認する人もいれば、じっくり見てから確認する人もいる。暁は後者のようだが、果たしてそれがどう転がるのかはわからない。暁はしばらく、悩んだあげく玉ねぎを取って、袋に詰めていく。
そして、自信ありげに――――
暁「これ、いただくわ!」
八百屋店主「あいよ! ところで、他の野菜はいらないのかい?」
暁「そうね……あとは、かぼちゃにニンジン……もっと買わないと……」
そう言って、他の野菜の選別も始める暁。だが、それを遠くから眺めている青葉が心配そうな表情をしていた。
青葉「暁さんの、目利き力は一体どこで……はっ……まさか! かつて、噂に聞いた青年さんに対する料理勝負……あの時以降から、ずっと修行を続けていたというのですか!? 自分が料理を作る相手のことを思って材料までも厳選……まさしく料理人の鑑……暁さん、この短い期間でよくそこまで……!」
こんなことを言っているが、青葉はノリで料理漫画にありそうなセリフを言いたかっただけであった。実際のところ、暁が選んだ玉ねぎは無難に、それなりに状態のいいものだったのである。
さて、暁達は一通り野菜を買った……のだが、その量はとてつもない。お察しの通り、鎮守府のみんなに行き渡るような量がなくてはならない。なので、4人で全て持つにはなかなか大変な量なのである。
4人が重そうに袋を持って歩いているとそこに何とも頼れる2名の艦娘が……いた。
弥生「……?」
春雨「……あれ? 第六駆逐隊のみなさん……どうしたんですかその荷物?! 重そうですよ!?」
暁「ちょ、ちょうどいいところに……よければ手伝ってくれないかしら?」
暁達に辛そうな表情を見て、弥生と春雨はそれぞれから荷物を受け取って手伝った。
電「ところで、2人は何をしていたのですか?」
春雨「あっ……えっと……ね。その、何て言うのかな……ちょっと辛いことがあったから、司令官に伝えたら休み、もらっちゃって……」
弥生「2人で、少しでかけてました……」
雷「2人が傷つくことって……何かすごそうね」
響「そうだね……特に、弥生がそこまでダメージ受けちゃうなんて……」
弥生「私は……一応、立ち直ってるけど……春雨が」
春雨「えっ?! あ、や、弥生ちゃんこそ……」
2人のただならぬ雰囲気に、これ以上聞くのは止めたほうがいいと察した第六駆逐隊。それ以降、あまり6人はしゃべろうとはしなかった。
そして、その後も買い物を続けた6人はたくさんの荷物を持って鎮守府へと戻ってきた。
青葉「やれやれ、そこまで心配しなくてもちゃんとできたじゃないですか……」
提督に言われてから尾行していた青葉も何となくホッとした。青葉は、提督にそのことを報告しに、執務室へと小走りで向かって行くのであった。
さて、青年はと言うと、激励会があると知らされた日程まではいつもどおり、鎮守府の清掃に身を捧げていた。これと言って変わったことは……
弥生「……青年さん、おにぎり作ってみました」
青年「あ、ああ、弥生。ありがとう」
弥生「……早速食べてみてほしいです」
青年「あ、うん……あむっ……んまい!」
弥生「本当ですか?! あ、ありがとうございます……」
弥生がどういうわけか以前にも増して、青年にアプローチをしかけてくるようになっているということである。先日、青年にはフられることとなった弥生ではあるが、表情だけ見ると、何ともないように見える。
青年「……作ってくれてありがたいんだけど……弥生は……気にしてないのか?」
弥生「……気にしてますよ」
青年「……」
弥生「ですが……こうして青年さんとまだ話せるだけで……弥生は嬉しいですから……あのっ……青年さん、ちょっとだけ弥生の話、聞いてもらえますか?」
青年「ん? いきなりだな……いいけど……」
弥生「……実は、弥生、本当は青年さんが好きなのかどうか、自分ではよくわかっていなかったんです……でも、この前フラれてからやっぱり青年さんが好きだったんだって、気付きました」
青年「っ……」
弥生「……弥生は……その……」
青年「……」
弥生「まだ、青年さんのことが好きです」
青年「……弥生……」
青年は、辺りを見回したが誰もいなかった。ちょうど、みんな準備で忙しくてどこかへと出かけているか演習なのだろう。弥生はじっと青年の方を向いている。今更、弥生に何かしてあげられることはあるのだろうかと青年は悩む。
青年「それを伝えて……どうするんだ?」
弥生「決まってます。弥生はまだ……青年さんのことは諦めてませんから……」
青年「……そっか」
弥生「……あっ、で、でも、あの時のお酒の件は忘れて……ほしいです……」
そう言って、顔を真っ赤にさせる弥生。どうやら、あのことだけはかなり反省している上に自分でも恥ずかしかったようだ。
青年「それにしても弥生は……俺と知り合った時よりも結構喋るようになったな」
弥生「えっ?」
青年「そのままの意味だけど……俺と知りあった時はそこまで積極的に話しかけてくるタイプじゃなかったじゃないか」
弥生「そう……ですね。でも、私がこうして話しかけるのは青年さんとよほど仲のいい人だけなので……」
青年「そっか。さてと、悪いけど弥生、俺はそろそろ仕事に戻るよ。おにぎり、ありがとな。また、よかったら作ってくれると嬉しい」
弥生「……はいっ」
弥生は笑顔を青年に向けた。その瞬間、青年の胸が少しばかりか締め付けられる感じがしたのは言うまでもない。弥生は、青年にフラれたのにもかかわらず、こうも青年と真っ直ぐ向かい合おうとしてくれているのに、青年はどこか遠慮があったからだ。青年はその申し訳無さに耐え切れなくなり、少しばかり早足で次のしごとばへと向かうのであった。
さて、青年が弥生と分かれて掃除をしていると何だか工厰や入渠を行う辺りのところが騒がしくなっていることに気づいた。
何事かと思い、近づいてみると他の艦娘たちも集まっており、何かが始まりそうな感じであった。
青年「何があるんだろう?」
ビス子「さっき、ゆーが入っていくのを見たわよ。あと、空母の誰かさん」
青年「へぇ~。と言うことは、改造……」
ビス子「そうかもしれないわね。それにしても、どんな風になるのか楽しみね」
艦娘達と青年が色々話していると改造の部屋から提督が姿を現した。そして、咳払いを2回ほどしてみんなの注目を集める。
提督「みんながここに集まってきているということは大体何があるか予想はできていると思う。この度、2名の艦娘を改造することになってな。……その1人が結構変わってはいるが……気にせず仲良くしてやってくれ。もう1人は大丈夫だ。と言うことで、2人とも出てきてくれていいぞ」
ろー「グーテンモルゲン!!」
一同「…………誰?!」
提督「一応……元『ゆー』だ」
一同「えええええええええええええええ?!?」
先に出てきた肌をすっかり日焼けさせた美少女の姿を見て、全員唖然としたままだった。提督の説明によると、とりあえず、呼び名が、『ゆー』から『ろー』に変わったとのこと。
ろー「あ、青年さん!!」
青年「あ、う、うんっ」
ろー「えへへ~」
笑顔をこちらに向け、肌を密着させてくるろーこと『呂500』に青年はひたすら焦ってばかりだった。
あの静かだったゆーがこんな風になってしまうとは思いもよらなかったからだ。
ろー「青年さんのおかげです~♪」
青年「そ、そっか……よかった」
???「ちょっと、いつまで鼻の下伸ばしてるわけ?」
聞き覚えのある声が聞こえたので青年が振り返ってみると、そこにはいつもと違う服になった瑞鶴がいた。
瑞鶴「……」
青年「瑞鶴さんも……改造ですか?」
瑞鶴「そうよ……ど、どう……かな?」
青年「あ、はい……えっと……」
瑞鶴は青年の顔を覗きこむようにしており、何だかソワソワとしていた。青年も他の艦娘が見ている前で瑞鶴はベタ褒めするのはいかがなものかと思ったが、やはり、好きなことには変わりはなく、素直に言葉を出してしまう。
青年「いいと思いますよ。瑞鶴さんは、そんな感じの色の服でも似合うんですね」
瑞鶴「あっ……ありがと……」
他の艦娘たちは青年が瑞鶴のことを褒めたことに、「おおっ」と声を上げた。2人は少し気恥ずかしくなりその場から逃げるように立ち去っていってしまった。あとに残された艦娘達は、激励会に向けまた準備を開始するのであった。
青年と瑞鶴は人目につかない場所まで来て、息を整える。
瑞鶴「ご、ごめん……人前なのに……あんなこと聞いちゃって……」
青年「もう、他の人たちにもバレてますね……」
瑞鶴「そう……ね……」
青年「……」
瑞鶴「……」
青年「……瑞鶴さん……」
瑞鶴「……うん……言わなくても……大丈夫。こうなることも……知ってたし。今回は私が悪いから……」
青年「もう……隠すのは、ムリですよね」
瑞鶴「うん。ま、まあ一応、みんな知ってる……っぽいからそこまで必死にならなくてもいいと思うけど……」
青年「……ところで、あの、瑞鶴さん?」
瑞鶴「どうしたの?」
青年「走ったせいで、その……スカートが……」
瑞鶴「~~~~~!?」
青年はその後、瑞鶴からビンタを喰らって少しだけへこんでいたそうな……。
そして、いよいよ来る日がやってきた。一同は、これまでは食堂で集まっていたが、今回ばかりは外で集合である。いつものように青葉が司会進行を始め、提督が挨拶をすることになった。
提督「え~、おほん。まあ今日はいつもの大宴会とは少し趣向を変えてみてバーベキュー……と名目を借りて、青年君がしばらくの間、呉の方へ出張する。だから、それの激励会になるな。青年君がこの頃、鎮守府から出たり入ったりと忙しくてなかなか話したいことがあるのに、話せないというみんなはぜひともこの機会を利用してほしい。……青年君、みんなに何か言うことはあるか?」
青年「えっ……あ、はい……」
急な振りが飛んできて、緊張しながら青年はみんなの前に出て行った。しかし、これまでのこの鎮守府生活でこのような経験は何度かあったため、慣れてしまった青年はゆっくりと深呼吸をし、話し始める。
青年「えっと……とりあえず、出張、頑張ってきます。今日は、僕にそこまで気を遣わないでくださって、大丈夫ですので……。あっ、でも、できる限り、みなさんとお話しておきたいので、話しかけてくださると……嬉しい……です」
青年は自分で言ってて、少しだけ恥ずかしくなり最後の方になるにつれ、ボソボソとしたしゃべり方になってしまったが、みんなはそのことをわかった上で拍手を送ってくれた。青年が元の場所へと戻ると、青葉が開催宣言を改めて、行い、激励会はスタートした。
なお、ビンゴ大会で当てた青年のバーベキューセットだけでは、この鎮守府にいるみんなの分の量はまかなえないのは目に見えているので、追加で少しだけ買ったバーベキューセットもあった。
そして、各バーベキューセットに火がついた。しっかりと準備された上で、料理自慢の艦娘たちが肉や野菜を焼き始める。ジュージューと食欲をそそるような音が海沿い近くで鳴り響いた。そんな中でも、相変わらず、酒好きの艦娘達はお酒を呑んでいたり、お話好きの艦娘たちは話をしていた。
青年「……」
そんな光景を見つつ、青年はやはり自分のいるべき場所、いや、帰るべき場所はここではなくてはならないと実感するのであった。
翔鶴「どうかしましたか?」
青年「あ、あれ……翔鶴さん」
青年の近くには、翔鶴が手に飲み物を持って立っていた。もちろん、中身は言わずともしれているが……。翔鶴は青年に近づき、青年を少しみんなから離れた場所へと連れて行く。
青年「……あ、あの……」
翔鶴「あそこは、少し騒がしいですからね……ふふっ」
青年「えっと……お話ですか?」
翔鶴「そんなところですね」
そう言って、翔鶴は青年に向けて微笑みを浮かべた。相変わらず、落ち着いた感じの大人な人だと思った青年は少しだけドキドキとしてしまう。
翔鶴は「まず何から話しましょう……」と呟いてから、「コホン」と言う可愛らしい咳払いをしてから青年の方を向く。
翔鶴「その……青年さんが瑞鶴とお付き合いしているということですが……」
青年「あっ……な、何も言わないでごめんなさい……」
少なくとも、姉妹艦である翔鶴には話を通すべきではなかったのかと今更になって後悔し、謝罪する青年。翔鶴は、青年に謝らなくても大丈夫だということを伝える。
翔鶴「私……瑞鶴の好きな人が青年さんでよかったと思ってるんですよ。もちろん、提督さんでもおかしくないとは思いましたけど……。青年さんの話をする時、瑞鶴、いつも楽しそうですし……これからも瑞鶴のことをよろしくお願いします。瑞鶴が色々と迷惑をかけるかもしれませんが……そこは大目に見てあげてください。何しろ……あの子だってこういった経験は初めてなんですから……」
青年「そ、それなら僕の方こそ……瑞鶴さんとのお付き合い……許してくれてありがとうございます……」
翔鶴「いえいえ、本当に……青年さんみたいな優しい人と恋人になれて、瑞鶴は幸せ者だと思いますよ……ふふっ」
青年「あっ……うぅ……」
翔鶴の言葉に、改めて、瑞鶴とは恋人同士なのだということを認識させられた青年は顔を赤くして恥ずかしがる。青年が恥ずかしがっていると、どこからともなく瑞鶴が現れた。
瑞鶴「ちょっ……翔鶴姉! 青年と何話してるのさ!」
翔鶴「あら、別にたまにはいいじゃない? 私は青年さんと話したくても話せないことの方が多いんだし……」
瑞鶴「だ、だって変なこと話されてるかもしれないし……」
翔鶴「ふふふ……じゃあ、私はひとまずこれでお話は終わりですので、青年さん。瑞鶴と仲良くしていてくださいね」
瑞鶴「しょ、翔鶴姉……」
翔鶴はにこにことしながらその場を去っていった。
青年「あ、え~と……」
瑞鶴「本当に変なこと聞いてない?」
青年「あ、はい。大丈夫ですよ」
瑞鶴「そっ……なら……いいけど」
青年「そろそろ、焼けるんじゃないですかね、お肉とか」
瑞鶴「そうね……。あっ、そうだ、青年。今日は、激励会だし、私もあまり青年にベッタリくっついて束縛なんてしないから……普段話せない子と話しててもいいからね?」
青年「そ、そうですか……。ありがとうございます。お言葉に甘えて」
青年は、みんなの方へと歩みだした。青年の姿を見た艦娘たちが歓迎して、肉を食べるように勧めてきたり、酒を呑もうと誘ったりしていた。瑞鶴はその姿を見て笑みがこぼれた。そして、瑞鶴もみんなの方へと歩んでいく。
千歳「ほらほら、青年さんも今日は思いきってグイグイと!」
青年「え、え~……」
隼鷹「そうそう! たまにはパーッといこうよパーッと!」」
青年「では、今日は少しだけ……」
千歳からお酒の入った紙コップを受け取り、青年は一口呑んでみる。これまで、色々と経験(呑まされたり呑まされたり呑んでしまったり)したことがいい方向に向かったのか、青年は普段よりはまだマシなように感じた。と同時に嬉しいのやら嬉しくないのやらよくわからない感覚に陥る。
青年「……そうですね……今日は、何だか美味しく感じます」
隼鷹「おっ! 青年も段々ノリがわかってきたねー!!」
隼鷹がニカッと笑顔を見せて、さらにお酒を注ぎ込んでくる。青年は、少し引きつった笑顔を見せながらそのまま千歳と隼鷹と色々と話をした。もちろん、出張のことも話したがやはり、出てきたのは瑞鶴の話題である。
青年「あ、で、ではこれで!」
青年は、恥ずかしくなって、その場から離れようとした。だが、勢いあまって、躓いてしまう。
青年「あっ……」
???「えっ!?」
そして、青年は中身の入った紙コップをそのまま、近くにいた艦娘にぶちまけてしまった。
青年「ご、ご、ごめんなさい……!」
大鳳「……び、ビショビショ……」
青年が、必死に謝るも、大鳳は何が起こったのかわからずかなり困惑しているようである。その濡れた服が少しだけ、大鳳の姿をセクシーにしていることにも大鳳は気づかない。
それに気づいた他の艦娘が大鳳に今起きている状況を言ってあげていた。それを聞いて、大鳳は自分の胸の辺りと青年の顔を何度も見る。
大鳳「……」
青年「……」
大鳳「……青年さん」
青年「はい……」
大鳳「こ、今回のことは……まあ、アレですし、仕方ないですね」
青年「ほ、本当にごめんなさい……」
大鳳「いえいえ、せっかくの楽しい激励会なので、そこまで青年さんがあやま―――「きゃあっ!!」
いきなり大声がしたかと思えば、なぜか近くにいた扶桑がその場でつまづき、手に持っていた紙コップをぶちまけた。大鳳に。
大鳳「……」
扶桑「……」
大鳳「……」
辺りに沈黙が漂う。これもさすがに不幸な出来事とは言え、大鳳の姿が少し気の毒に思えるくらいになっている。青年はたまらず、大鳳から視線を逸らした。一方で、大鳳は扶桑の方をじっと見ている。
大鳳「どう、反応すればいいんでしょうか……」
扶桑「え、ええっと……」
青葉「脱げばいいと思いますよー」
青年の後ろで青葉が煽るような発言を青年のモノマネをしながらした。大鳳をそれを聞いて、一瞬頬を赤く染めたが、そのまま手を服にかける。
大鳳「きょ、今日は無礼講とは言え……やるしかないの…‥…」
青年「ちょ、ちょちょ、た、大鳳さんストップしてください! 僕そんなこと言ってませんから!」:
大鳳「う、うぅ……で、でもこんなに濡れてしまってたら……脱いでも大差無い気が……私はどうせ貧相な体つきですし……」
青年「そ、そんなわけないじゃないですか……もっと、自分を大切にしてください」
青年が慌てて、なだめる。大鳳は自分のはやまりを反省したのかコクリと頷いてからは、何も言わず、一度部屋に戻って着替えてくると、残してからその場から離れていくのであった。
青年「……」
青葉「うふふ。さっすが青年さんですね! ぶれませんね~」
青年「青葉さん……さすがに、怒りますよ……?」
青葉「ひえっ……」
青年の目つきが鋭くなったところで、青葉はさすがにふざけすぎたと反省しながら別のところへと行ってしまった。青年が何とか無事平穏に終わったと思い、どこか座れる場所を探そうと辺りを見回していると、青年の持っている紙皿に何やら肉のついたくしが置かれていた。
青年「えっ?」
春雨「青年さん、どうぞっ」
見ると、春雨がこちらをじっと見つめている。青年は、「うん」とだけ答えて、その肉にかぶりついた。
程よい弾力に、噛めば噛むほど溢れてくる肉汁。青年はこれまで食べてきた肉の中で一番美味しく感じた。
春雨「ど、どうですか?」
青年「うん、美味しいよ。……春雨が焼いてくれたのか?」
春雨「は、はいっ……! 喜んでくれたみたいでよかったです!」
そう言うと、春雨はニッコリと本当に嬉しそうな顔を浮かべた。青年は思わず、かわいいと思ってしまい、少し顔を赤くして照れくさそうにする。すると、青年の紙皿の上にまた野菜がついた串が置かれた。
青年「え?」
暁「暁たちが焼いてみたのよ! 食べて食べて!」
青年「あ、そ、そうか……」
何だか以前にも、直接的ではなかったものの、作った料理(今回は料理と言っていいのかは不明)の味の比べをしたことを思い出しつつも、暁たち第六駆逐隊の焼いた野菜たっぷりの串を頬張る。
噛むたびに、シャキシャキといい音が鳴る。歯ごたえよし、味よし、これぞバーベキューの醍醐味であろう少し焦げ目のついた野菜は、青年の舌を唸らせた。明らかに以前よりも、暁たちの料理スキルは上がっている。親でもないのに、娘の成長のような感覚に陥った青年は無意識的に微笑みがこぼれた。そんな様子を見て、青葉が「やはりロリコンなのでは……」と思ったのだが、先ほどのように怒られる可能性が目に見えていたので言わないようにした。
電「青年さん、美味しい……ですか?」
青年「うん。ちゃんといい味出てるよ」
雷「やった! 青年さんに褒められたわ~!」
響「カンムリョウだね」
青年「若干、響の言い方棒読みすぎないか……」
響「さすがに、面と向かって褒められるのは……恥ずかしい」
帽子を深めに被って、表情を見せないようにする響。圧倒的に微笑ましさ溢れるバーベキュー会場。
だが、そんなバーベキュー会場に新たな戦いの火蓋が切って落とされるとは、まだ誰も予想はしなかったのである。
青年「ところで、何で急に?」
暁「え? そ、それは……」
青年「また、味比べしてほしいのか……?」
大井「その通りですよ。青年さん、次は私が焼いたものを食べてくれませんか?」
青年「お、大井……さん?」
大井「はい。大井ですよ」
青年「あ、いや。それはさすがにわかってます……」
大井「何だか面白そうな勝負でしたので、私も参加してみることにしました」
青年「そ、そうですか……」
青年は大井から串を受け取った。肉と野菜がバランスよく、刺さった串であった。しかも、見た目もかなりこだわっているようで、野菜の色と焼けた肉の色あいが絶妙にマッチングしていて、見ているだけで食欲がそそられるものになっている。
青年は、ゴクリと唾を飲んだ。「うまそうだ」、その感想が脳内をよぎる。
気づくと、早速かぶりついてしまっていた。
青年「んんっ……んまいです……!」
大井「これでも料理経験は豊富ですからね、舐められては困りますよ」
春雨「で、では青年さん……。判定をお願いします」
唐突に、声をかけられびっくりした青年。食べたのは、春雨、第六駆逐隊、大井の作ったバーベキューの串である。
青年は以前と違い、今回は、実際に作った人が目の前にいるということを考えながら答えを出さないといけないことに緊張を覚えた。
青年「えっと……」
必死にどんな風に言えばいいのかを考える。しかし、今回は正直に自分の気持ちを答えようと思ったのであった。
青年「今回は……大井さんかな」
大井「ふふっ」
珍しく大井が笑ったことに他のみんながおかしさを感じたのか視線が大井に集まった。大井は、周囲からそのような視線をあびるのはなれていないのか、少しだけ顔を赤くして、「ふん」とそっぽを向いてしまった。
春雨「春雨の……美味しくなかったですか?」
青年「あ、いやっ……美味しかったよ。ただ、今回は……大井さんの経験の勝ちって感じかな……第六駆逐隊のみんなもよかったよ」
そう言うと、少し悔しそうな顔をしていた第六駆逐隊のみんなが笑顔になり、青年に抱きついてくる。青年はあわてて、離れるように説得するもなかなか離れてくれない。
青年「あはは……」
瑞鶴「楽しそうね」
青年「あっ……」
瑞鶴「大丈夫よ。今日は、大丈夫だからね?」
青年「は、はい……」
瑞鶴「そう言えば、さっき提督さんが『この後も楽しみにしとけよー』って言ってたけど何かあるのかしら?」
青年「う、う~ん、僕は何も知らないですね……」
提督「その楽しみが今から始まるとしたらどうする?」
青年「えっ?」
提督「あそこをみたまえ!」
提督が指を指した場所にみんなが向く。そこには、砂浜があった。
青年「え、どうやって作ったんですか」
提督「実はずっと前から砂浜がほしかったからな。ちょっとだけ科学の力を借りてだな……」
青年「砂浜……で何かするんですか?」
提督「ああ。みんなよく聞け―!!! 今から『球技大会』を始めるぞ!!」
『球技大会』、その言葉を聞いてみんな頭に『?』のマークを浮かべた。サッカーや野球、バスケットボールなら確かに、球技大会と言われるのも納得するのだが、砂浜で行うスポーツがなかなか思い浮かばない。
提督「種目は『ビーチバレー』だ!!!!!!!!!!!!!!!」
全員「ええええええええええええええええええええ?!?!?!?!」
そんな提督の思いつきによって、バーベキューが一時中断され、球技大会が開催されることとなってしまった鎮守府。
もちろん、参加する艦娘は全員水着に着替えている。提督曰く、「そうでなくては面白く無い」とのこと。青年ももちろん、参加することになった。
しかし、全員が参加するとさすがに日が暮れるどころか何日かかるかわからないので、参加するのは一部の艦娘と青年と言うことになった。
そして、チーム分けの組み合わせは青葉がこっそり事前に作っていたくじ引きによって決まった。
青年のペアは―――――
蒼龍「え、えへへ……私、下手かもしれないから迷惑かけたらごめんね~」
青年「よ、よろしくお願いします……」
蒼龍だった。ちなみに、瑞鶴も参加しているのだが、ペアは比叡だった。
さて、青年と蒼龍ペアの第一戦が始まろうとしていた。相手は、弥生と陸奥ペアである。身長的には、青年たちに分がありそうに見えるのだが……。
青年「蒼龍さん!」
蒼龍「えっ? ど、どうしたらいいの? わわわっ……」
青年「ああっ……」
提督「陸奥・弥生ペアにまた1点!」
どうも、蒼龍はあまり運動……と言うより、ビーチバレーが苦手なようだ。先ほどからボールの落下地点とはまったく別のところへと移動してしまっている。
蒼龍は、青年に申し訳無さそうな笑顔を浮かべた。
青年「す、すいません。少しタイムもらえますか」
提督「わかった。ちょっとタイムだそうだ!」
青年は、蒼龍に駆け寄る。
青年「蒼龍さん、大丈夫ですよ。遊びですしね」
蒼龍「だ、だけど……私のせいで、負けるのは何か嫌と言うか……ごめんね。本当に」
青年「では、こうしましょう。僕ができる限り、ボールを拾って蒼龍さんの真上に落ちるように頑張りますから、蒼龍さんはトスをポンっとあげてくれるだけで大丈夫ですよ」
蒼龍「そ、そんなことできるの?」
青年「ま、まあ……自信はありませんけど、上手く行けば勝てますよ」
蒼龍「そ、そっか……よしっ。私頑張ってみる!」
青年「では、行きましょう!」
試合が再開してからの青年の動きには観戦していたみんなが驚いた。
一見、そこまで速く動くようには見えない青年だったが、意外にもボールの落下地点をすぐに予想し、何度も拾っては、蒼龍の真上へと打ち上げていた。蒼龍は青年からもらった、レシーブを落とすわけにはいかないと思い、しっかりと狙いを定めて上へとトスを上げる。
青年は、崩れた体勢をすぐに整え、少し下手ながらもスパイクを打ち込んでみせた。
陸奥「あ、あら……?」
弥生「……?」
相手の2人も一体何が起こったのかわからないと言った表情をしている。たまたまだと思った相手2人だったが、その後も青年と蒼龍の見事なコンビネーションに翻弄されてしまい、気づけば同点に追いつかれていた。
青年「……」
蒼龍「せ、青年? もしかして、バレー得意なの?」
青年「いえ、これと言って……何となくで動いてるだけなんですけど……」
陸奥「初心者がスパイク打つってどういうこと!?」
青年「あ、いえ、ほんとたまたまですよ……」
弥生「……怪しい」
弥生が、ジトッとこちらを見つめている。
ちなみに、青年の言っていることは嘘ではなく、本当に何となく動いてるだけで、たまたま青年の隠れた才能が発揮されているだけなのだ。
青年「さ、蒼龍さん。行きますよ」
蒼龍「お、オッケー……!」
その後も、青年と蒼龍は上手く動いて見事に勝利を収めることができた。
蒼龍「やった! 青年、やったよ!」
青年「蒼龍さんのおかげですね」
蒼龍「嬉しい……!」
蒼龍は、たまらず青年の腕を取り抱きついてくる。もちろん、水着を着たままである。つまり、蒼龍の柔らかいモノが青年の二の腕にポヨポヨ……ふにゅふにゅ……いや、何とも表現できない。そんな、柔らかさを伴ったモノがあたっていた。
青年「……」
蒼龍「青年……?」
青年「あ、いえっ……何でもないですよ?」
瑞鶴「どーこーがーかしら?」
後ろから瑞鶴の声がしたかと思った途端、頭にチョップを入れられる。青年が後ろに振り返ると、目が笑ってない瑞鶴が立っていた。蒼龍はヤバイと思ったのか、すぐさま青年から離れて「休憩に行ってくる」とだけ言って、走り去ってしまった。
瑞鶴「……」
青年「……」
瑞鶴「ふてくされるぞー」
青年「ご、ごめんなさい……」
瑞鶴「……青年のお◯ぱい星人」
青年「うぐっ……」
瑞鶴「変態」
青年「……」
瑞鶴「……年中発情期」
青年「ちょ、ちょっと待ってください。そこまで言われるとさすがに……凹みます」
瑞鶴「……だったら、もう少し私の水着姿……ほめてよ」
ムスッとした表情で青年に近づく瑞鶴。青年は、瑞鶴の頭に手を置き、申し訳程度に撫でる。
瑞鶴「……」
青年「……そ、その……可愛いですよ」
瑞鶴「……ありがと」
瑞鶴は、思いの外、頭をなでられるのが嬉しいのか、自然な心地よさを表情に表したかのようなほほ笑みを浮かべている。青年はそんな瑞鶴を見ることができてよかったと思うばかりであった。
瑞鶴「じゃ、じゃあ決勝で戦えることを祈るわ。決勝であたっても手加減はしなからね!」
青年「はい……正々堂々と戦いましょう」
そして、ビーチバレー大会はどんどんと進行していった。結果として、決勝に残ったのは運がよかったのか、青年・蒼龍ペアと瑞鶴・比叡ペアである。青年は瑞鶴と向かい合う。試合開始の合図が行われると互いに握手をかわした。
青年「蒼龍さん、行きますよ」
蒼龍「うん……青年も相手が瑞鶴だからって油断しないでね」
青年「だ、大丈夫ですよ……それに、瑞鶴さんも手を抜かれるのは嫌でしょうし……」
こうして、決勝戦が始まったのである。
さすがに、瑞鶴・比叡ペアはここまで勝ち続けてきただけあって、なかなか点を入れさせてはくれなかった。どちらも運動神経はよく、青年が蒼龍のカバーをしても間に合わない場面がどんどん出てきた。
気づけば、試合のノリ……いや、支配度合いは完全に瑞鶴・比叡ペアに奪われていた。
青年「3点差……」
蒼龍「点差が開き始めちゃった……」
瑞鶴「さすがに、青年1人でカバーするのはムリだと思うわよ! 青年の体力も残り少ないだろうし」
比叡「大人しく降参するという手段もあるんですよー!」
青年と蒼龍が険しい表情を見せているのは確認してから瑞鶴と比叡は悪魔のような発言を繰り返した。
瑞鶴「それっ……!」
蒼龍「くっ……!」
なんと、瑞鶴のサーブがかなり鋭い軌道を描き、ラインギリギリのところへと落ちる。そして、判定は瑞鶴・比叡ペアの得点と判断した。
蒼龍「……」
青年「……」
蒼龍「青年……私も頑張って動いてみる……だから……まだ諦めないよ」
青年「ええ……」
そして、またもや瑞鶴・比叡ペアの見事なコンビネーションにより、鋭いスパイクが飛んできた。蒼龍はそれに追いつこうと必死に追いかける。だが、足場は砂。なかなか走りづらい。そのため蒼龍はバランスを崩し、そのまま倒れた。
青年に向かって。
青年に向かって。
そう、その場にいるもの全員が「あっ……」と声を発した。青年は蒼龍に押し倒される形になり、青年の顔は蒼龍の2つの谷間に埋もれていたのだ。
蒼龍「てて……ごめんね。青年……ってうわっ!?」
青年「……」
蒼龍はたまらずすぐに離れて顔を真っ赤にする。しかし、顔を真っ赤にしたのもつかの間、後ろからとんでもない殺意……じゃなくて、邪気を感じとったため、試合再開を早めるよう審判に頼んだ。
青年も立ち上がり、試合再開する。
瑞鶴「へ、へぇ~……そ、そんなのやったところで、わ、私は動揺しないからね……」
めちゃくちゃ動揺していた。
瑞鶴の次のサーブはあさっての方向へと飛んでいき、青年・蒼龍ペアの得点となったのだ。
見ていた艦娘たちも明らかに現在何が起こってるか理解できた。
瑞鶴「と、とにかく勝てばいいんだから……勝てば……」
そんなことをぶつぶつと呟きながらも、瑞鶴は青年と蒼龍のペアからのサーブを受けるための位置につく。青年は、勝つためだと思い、なるべく瑞鶴の方へと飛んで行くように狙いをさだめ、サーブをした。
放たれたサーブが瑞鶴の少し手前に落ちるようにして飛んで行く。
瑞鶴「思ったより普通のサーブ……ね?」
サーブを受けようと思い、レシーブの体制を整えた瑞鶴の目の前に映った光景がひどいものであった。
蒼龍「せ、せいね〜ん。ヒモ外れた……結んで……?」
青年「はい?!」
瑞鶴「は……?」
瑞鶴はそんな意味のわからない光景に気を取られてしまい、比叡からの声に気づかなかった。そのままボールが落ちて、青年と蒼龍ペアの得点になる。
蒼龍「もちろん冗談冗談♪」
青年「ちょ、今はそんな冗談言うべきで……は……ない……です……」
蒼龍さんに軽く注意するつもりで言おうと思ったが、瑞鶴のかなり鋭い視線に気づきそのままだんだんと青年の声は小さくなっていった。
青年「と、とりあえず……これで、まだなんとか喰らいつけますね」
蒼龍「そうね……反撃開始ってところかな……」
だが、その努力もむなしく、青年と蒼龍は2点差のまま瑞鶴と比叡ペアに敗れてしまった。
こうして、球技大会は幕を閉じたのだが、激励会はまだまだと続いていた。青年は、先ほどの球技大会の活躍からか、一部の艦娘たちからちやほやされて、どんどん酒をすすめられていった。青年も今日は何だか、いつもより、大丈夫な気がしたせいか、油断してしまったのだ。
気づけば、いつもと少しだけノリの違う青年ができあがっていた。
青葉「で? ズバリ、青年さんは瑞鶴さんのどこに惹かれたんですか?」
青年「瑞鶴さんはぁ……瑞鶴さんはぁ……可愛いです!!」
艦娘たち「「おお~……」」
青年「でもぉ……それだけじゃなく、一見気が強いように見えて根はとってもとーっても女の子だったんです! だから好きになったんです!}
艦娘たち「「おおおおおおお~!!!」」
青年が青葉からの煽っていくような質問に答える度に艦娘たちから声が上がった。そんな様子を瑞鶴は気恥ずかしそうに遠くから見つめていた。
瑞鶴「……」
翔鶴「瑞鶴」
瑞鶴「ん? どしたの……?」
翔鶴「……ふふ。なんでもないわ」
瑞鶴「……な、何よ……」
翔鶴「そうね……瑞鶴は……青年さんとどこまで行けるか、考えたことはあるの?」
瑞鶴「え?」
翔鶴「提督は加賀さんとケッコンカッコカリしちゃったけど……ふふ。瑞鶴はどうかしらね」
瑞鶴「んなっ……わ、私が? 青年と……」
どこまで想像したのかはわからないが、たちまち顔を真っ赤にして、湯気が上がりそうなくらいに頬を蒸気させた瑞鶴。そして、一度深呼吸をして、考えなおした。確かに提督と加賀はケッコンカッコカリをしている。しかし、ケッコンカッコカリは「人間」と「艦娘」は行われるものだ。知り合いたちからは、夫婦のようなものと思われるが、傍から見たらそれは異質な関係である。
瑞鶴「……」
青年は、人間。瑞鶴は艦娘だ。その事実はどう頑張っても変えることはできないであろう。
しかし、青年が瑞鶴とどういった関係まで進もうと考えているのかは今の瑞鶴には、わからなかった。
瑞鶴「……どうだろ」
翔鶴「思い切って、聞いてみるのもありなんじゃないかしら。今度、せっかく二人きりになるんだし」
瑞鶴「そう……だね」
激励会はそのまま何事もなく終わった。そして、その夜のことである。
青年「あ~……頭ガンガンする……」
青年は、自分の部屋で酔いによる頭痛と戦っていた。
青年「呑みすぎたかな……」
そんなことをつぶやいていると、青年の部屋の扉がノックされた。青年が頭を抑えながら、扉へと向かい開けるとそこには枕を持った瑞鶴がいた。
瑞鶴「……一緒に……寝ていい?」
青年「は、はい……」
瑞鶴は髪をほどいているため、いつしか見た『あの時』の瑞鶴と同じになっている。
瑞鶴「……」
唐突に青年の部屋に訪れて何かと思えば、電気を消して、青年の布団の上で横になり、敷いている布団の上をポンポンとたたき、青年も隣で寝るように無言で説得してきた。青年は、瑞鶴の隣に行き、横になると、いきなり抱きまくらのように、腕をまわされてしまった。
青年「あ、あの~……」
瑞鶴「胸ある子にこうされる方がよかった?」
青年「へ?」
瑞鶴「……今日、蒼龍と身体くっつけてたとき、何か……うん。嫉妬した」
青年「……」
瑞鶴「……青年」
青年「はい」
瑞鶴「……出張、頑張ろうね」
青年「……そうですね」
電気は消して周りは静かだった。おそらく、みんなは疲れて寝静まってしまっているだろう。青年は、まだ酔いから覚めていなかったためか、少しボーッとした雰囲気になっていた。
青年「瑞鶴さん……」
瑞鶴「ん……」
完全に歯止めがきかなくなっていた。青年は、手を瑞鶴の顔へと添えてそのままキスをする。瑞鶴は、受け入れる準備ができていたのか、何も抵抗はしなかった。
瑞鶴「……」
青年「……」
青年は、もう一度顔を近づけ、今度は少し乱暴なキスをした。
瑞鶴「んっ……」
青年「……」
静かな部屋の中で2人のキスの音が響く。だが、2人はキスをしただけで、そこから先へは進まなかった。
青年「……」
瑞鶴「ま、まぁ……キスくらいならいつでも……」
青年「……ですね。いきなりごめんなさい」
瑞鶴「大丈夫よ。わ、私も好きだし……でも今は……その……寝ましょ」
青年「そうですね……」
それから数日が経ち、いよいよ出張の朝を迎えた。青年は起きると、荷物を確認し、何も入れ忘れているものがないことを見て安心をしてから外へと出た。天気は悪くなく、出かけるには非常にちょうどいい朝であった。
そして、前日に、提督から渡された予定表を見る。とりあえず、青年はまず朝ごはんを食べてからでも集合時間に間に合うと思い、食堂へと向かった。
食堂にたどり着くと、色々な艦娘たちが、「気をつけてくださいね」、「頑張ってください」などの優しい言葉をかけてくれた。青年はできる限り、お礼を言ってから、今日から数日、行動をほぼ同じくする艦娘を探した。
瑞鶴「……」
青年「あ、瑞鶴さん。おはようございます」
瑞鶴「あっ! おはよう!」
瑞鶴は青年を見つけると、笑顔を向けてきて手を振った。青年もそれに応えるように手を振り返し、瑞鶴の隣へと座る。瑞鶴は、今日から一緒ということが嬉しいのか見るからに表情がウキウキとしていた。服装も艦娘の瑞鶴ではなく、今日は私服である。
青年「改めて、よろしくお願いしますね」
瑞鶴「もちろんよ。ふふふ……」
そして、2人とも朝食を食べ終わり、集合時間に鎮守府の入り口付近へと集まった。
提督「大将にもよろしく伝えておいてくれ」
青年「はい。では、しばらくの間、向こうの方で頑張ってきます」
提督「うむ。では、行ってきたまえ!」
提督が敬礼してきたので、青年と瑞鶴も敬礼を返す。そして、出かけようとしたら、大本営に向かおうとしたあの日のように後ろから声をかけられた。
青年「?」
弥生「あっ……えっと……青年さん。頑張ってください。また、お弁当作ってきたので、どうぞ。瑞鶴さんの分もあります」
青年「あ、ありがとう」
弥生はそう言って、2人分の弁当箱を渡してくれた。瑞鶴も今回は嫌な顔を浮かべず、笑顔で弥生にお礼を伝える。青年は、弁当箱を受け取って改めてお礼を言おうとした時、弥生の指に絆創膏が巻かれているのを見つけた。
青年「……」
弥生「どうかしましたか……?」
青年「いや、何でもないよ。弥生、ありがとう」
青年は片方の手を弥生の頭の上に置いてそのまま撫でる。弥生は顔を赤くして、何も言わなかった。青年は、手を離すと、その弁当箱をしっかりと傾かないようにカバンの中へと入れ、瑞鶴とともに歩き出した。
そして、いよいよ2人は呉鎮守府へと到達――――
――――するはずだったのだが……。
瑞鶴「……何で青◯18切符を買ったのよ。提督さん……」
青年「……これは、長い旅路になりそうですね……あはは」
瑞鶴「私は別にいいけど。これは、今日、もう、呉の鎮守府に顔をだすのは無理っぽいわね」
青年「仕方ないですよ。……それとも、僕と長い旅は嫌ですか?」
瑞鶴「……知ってて、聞いてるでしょ。バカ……」
青年「ごめんなさい。つい……」
瑞鶴は、顔を真っ赤にさせて、俯く。こんな調子で会話を続けていくうちにあっという間に時間は過ぎた。
そして、途中休憩を挟み、弥生の弁当を食べることにした2人。開けてみると、その見た目から弥生が努力をしていたというのがわかり、味も申し分ないものへとなっていた。
瑞鶴「……美味しいわね。何か負けた気分……」
青年「あはは。そう言えば、最近瑞鶴さんの手作りの料理、食べてないですね……」
瑞鶴「作ってほしかったの?」
青年「それはもちろんですよ。瑞鶴さんの料理、美味しいですから」
瑞鶴「そ、そう。って言うか、他の子の料理食べてる時にそんなこと言うのダメ。弥生がかわいそうよ」
青年「あっ……」
瑞鶴「そういうところ、もう少し、デリカシーつけたほうがいいかもね~」
青年「そうですね……ちょっと最近、嬉しくて調子に乗りすぎたところもあると思います」
瑞鶴「そこまで真剣に悩まなくても……青年は青年のままでいてくれたいいわよ。私は、そんな青年のことが好きになったんだから……」
いつになく優しい表情を浮かべる瑞鶴に、青年は嬉しくてついつい、顔をそむけてしまった。瑞鶴は「あ、こっち向きなさいよ!」などと言いながら、自分の言った言葉が恥ずかしかったのか青年のことを軽くポカポカと殴っていた。
そして、いよいよ青年たちの宿泊する旅館へとたどり着くことになった。この時はもうすでに夜。青年たちの出張の仕事は明日から始まることとなる。
その夜―――。
瑞鶴「ここの料理美味しい……」
青年「そうですね……」
瑞鶴「ねぇねぇ。青年は……お風呂、どうするつもりなの?」
青年「へ? それはもちろん、後で入りますけど……」
瑞鶴「そ、そうだよね」
瑞鶴の様子が何だかソワソワとしているのを感じとって尋ねてみたが、瑞鶴は「何でもない」と答えた。青年はそんな瑞鶴を見て、頭に「?」のマークを浮かべてしまった。
※
実は、瑞鶴がこうなってしまったのは旅館についてから、しばらくしてのことである。瑞鶴は荷物を下ろすと、「少しだけ旅館の中を見て回ってくる」と言って、部屋から出て行った。
その時のことであるが……
瑞鶴「へえ、この旅館はお風呂が6つあるのね……。えっと、なになに……。『お風呂に入る際は、この札を裏向けて、中に鍵をかけてお入りください』……。なるほどね。風呂の部屋……っていうのかな、それが分かれてるのね」
瑞鶴が感心していると、その知覚の風呂の部屋……の入り口から、カップルが出てきた。二人で「気持よかったね」など、会話をしながら、旅館の部屋があるであろう場所の方へと戻っていった。
瑞鶴「……え。何? 混浴……もありなの……? ……」
※
青年「瑞鶴さん? ボーッとしてますが……大丈夫ですか?」
瑞鶴「う、うん! 大丈夫よ! さ、お風呂に入ろっかな~! 青年先に行く?」
青年「そうですね……では、先に入ってきます」
瑞鶴「……」
青年が出て行くのを見届けた後、瑞鶴はすぐに頭を抱えて、その場に転がる。
瑞鶴「ああっもう……素直に言えたらいいのに……で、でも、一緒に入ろうなんて言ったら青年私のことヘンタイとかただのえっちな子とかに捉えかねないし、あああううう……」
転がりまくって悩み続ける瑞鶴。その度に着ている服がヨレヨレになっており、傍から見るとそれなりの色気がある。最も、青年が戻ってくると言ったハプニングは起きなかったのだが。瑞鶴は、しばらく悩み続けた後、「明日こそ……明日こそ……」とつぶやきながら、風呂場へと向かって行くのであった。
青年が風呂場から戻ってきた時、瑞鶴が部屋の鍵を持っているために、部屋に入ることができないことに気づいてしまった。せっかくなので、風呂あがりの瑞鶴のために何か用意してあげようと思い、懐から財布を取り出して飲み物を購入した。ただのジュースではあるが、瑞鶴は喜んでくれるだろうと、青年はそんな確信があった。そして、気づけば、後ろの方から青年のことを呼ぶ声がしたので振り返ると、旅館の浴衣に着替えた瑞鶴がそこには立っていた。その浴衣はとても瑞鶴に似合っており、何よりも瑞鶴のスラッとした体のラインにぴったりであった。
瑞鶴「……ジュース、買ってくれてたんだ……」
青年「あ、え、ええ」
瑞鶴が話しだすまで、その姿に完全に見とれていた青年は、反応が鈍くなってしまっていた。青年は、瑞鶴に買ったジュースを手渡すと、瑞鶴は小さな声で「ありがとう」と言って、部屋の方へと歩き出した。青年もそれに並んで歩く。
そして、2人は、部屋に入ると、完全にリラックスした状態になって座る。
瑞鶴「はぁ~、いいお湯だったわね」
青年「そうですね。気持ちよかったです」
瑞鶴「ずーっとあんな感じのお風呂に入りたいわ~」
部屋にある机に顔を乗せて、気持ちよさから気の抜けた表情を浮かべる瑞鶴を青年は見続けていた。
瑞鶴「……んっ……」
すると、旅の疲れも溜まっているのも含めてか、瑞鶴は寝息を立て始めていた。
青年「あっ、瑞鶴さん風邪引いちゃいますよ。今から布団もう敷いちゃいましょう」
瑞鶴「ん……そうね……」
そして、布団を敷き、そのまま2人で布団に潜った。手元にあったジュースも既に飲み干してしまい、後は寝るだけである。青年は、今まで何度か瑞鶴と寝たことはあるが、今日に限って、鼓動が速くなっているのを感じとった。それが果たして、旅行というせいなのかどうかはわからなかった。
瑞鶴「青年……明日から仕事始まるけど……緊張してる?」
青年「え? それなりには……」
瑞鶴「そう……がんばんなさいよね」
青年「もちろんそのつもりですよ。瑞鶴さんはどうしておくんですか?」
瑞鶴「私? う~ん……演習とかに参加させてもらえるならさせてもらおうかしらね……」
青年「マジメなんですね」
瑞鶴「そ、それはもちろん、私は『艦娘』だから……」
青年「そうですよね……」
瑞鶴「……青年はさ。私が『人間』だったとしても、今みたいに接してた?」
青年「いきなりどうしたんですか?」
瑞鶴「……いや、私が『艦娘』だからどこか遠慮してるところとかあるのかなって……」
青年「……どうでしょうかね……難しい話です」
瑞鶴「ご、ごめんね。問い詰めてるわけじゃないのよ? ただ、気になっちゃって……。でも、青年なりの答えは教えてほしいかな……。出張が終わるまでには考えていてくれると嬉しい」
青年「わかりました。考えておきます」
瑞鶴「ん……おやすみなさい」
青年「はい」
青年「……『人間』と『艦娘』……か」
出張の1日目、青年は、松崎大将の執務室へと案内されていた。青年のいた鎮守府と違い、執務室にも少し違いがあって、居心地に違和感を覚えたが、松崎大将が知り合いであるこということで、そのことをあまり意識せずにいることができた。
青年「では、よろしくお願いします」
大将「いやいや、それを言うのはこっちの方だよ。できる限り綺麗にしてくれると嬉しいけど、あまり思いつめなくてもいいからな。青年君のいつも通りにしてくれたらいい」
青年「はい、では今日からしばらく掃除させてもらいますね」
大将「ああ。一度、この鎮守府内をグルッと見てからやった方がいいだろうから、瑞鶴に案内を任せておいたよ」
青年「あ、そ、そうなんですか……」
そして、執務室から出ると、ここ、呉鎮守府の瑞鶴が待ってくれていた。なお、青年の連れて来た瑞鶴も一緒である。
青年「……ややこしい」
青年は思わず、率直な意見を言ってしまった。それに関しては、2人の瑞鶴も同じようでどちらも顔をムスッとさせている。
瑞鶴(呉)「あなたは演習に行ってみたら? 案内なら私1人で十分だし」
瑞鶴「私だって、ここのことよく知らないから一緒に案内受けた方がいいのよね~」
瑞鶴(呉)「ふーん」
瑞鶴「そ、そもそも、私は、青年と、こ、こ、ここ、恋仲だから」
瑞鶴(呉)「は?」
瑞鶴「だ、だから、恋仲……」
瑞鶴(呉)「……ちょっと、どういうことかしら? 大本営での私への告白は?」
瑞鶴「は?! 何それ! 青年どういうことよ!」
青年「あ、いや……それは……」
その後、何とか弁明をしたものの、どちらの瑞鶴からも冷たい視線を向けられるのであった。これが人によってはご褒美に見えるかもしれないが、青年には生憎、そのような趣味はないので、申し訳無さしか感じていなかったようだ。
それから、瑞鶴(呉)から案内を受けた青年は掃除を始めることにした。
青年は、まずはいつも普段いる鎮守府でやっているのと同じく、外の清掃から始めることにした。呉鎮守府の海が見渡せる港近くはとても良い風が吹いていて、立っているだけで疲れが飛んでしまいそうだった。青年は、ホウキを手にしてまずは、ゴミを集め始める。
すると、呉鎮守府にいる艦娘たちが、普段見慣れない人物がいるために、こちらを好奇の眼差しで見つめている。先ほどの案内の時からも感じていた視線ではあったが、やはり、青年はあまり視線を集めるのには慣れていないようだ。少し、手元の動きの速い掃除をしてしまい、自分のペースがわからなくなってしまっていた。
青年「う、うーん……」
青年がどうするべきか、頭を少しかいて考えてみた。こちらから、コミュニケーションを取りに行くべきなのか、それとも、向こうから声がかけられるのを待つべきなのか。青年は、悩んでいるうちに、手がとまってしまっていることにも気づかなかった。
青年「……うーん……どうしよう」
気づけば、数分、時間が経っていた。青年も、手元が止まっているのがわかって、慌てて掃除を再開する。しかし、頭の中では、コミュニケーションについて何かいい方法がないものかとばかりずっと考えてしまっていたのである。
すると、青年の近くを一匹の猫が通り過ぎた。
青年「……猫……だよな。今の。……鎮守府に猫っているものなのか?」
その猫は、鎮守府内を移動するのに慣れているようで、ちょうどいい日差しのあたりそうな場所まで行き、ゴロっと寝転んだ。
青年「……」
何となく気になったので、青年はその猫に近づいてみた。その猫は、近づいてくる青年に気づき、少し毛を逆立てた。おそらく、見慣れていないものが急に現れたから警戒しているのだろう。
青年「怪しいものじゃないよ~……って言っても猫にはわからないか」
蒼龍(呉)「その猫、多分丸って言うんですよ~」
青年「うわっ!? あ、ご、ごめんなさい。大きな声出して」
蒼龍(呉)「あ、いいのいいの。えっと、青年さん……でいいのかな? わざわざご苦労様」
青年「あなたは、ここの蒼龍さんですかね?」
蒼龍(呉)「そうよ。ほら、多分丸も挨拶して?」
蒼龍(呉)の言葉を理解しているのか、多分丸と呼ばれた猫は「ニャー」と一声、鳴いてみせた。青年は意外にも、賢いのかもしれない猫に感心して、「おおっ」と、驚きの声を上げてしまった。
青年「賢いんですね」
蒼龍(呉)「ここの鎮守府ではちょっとしたアイドル……人気者だからね。よく、私たちの悩みを聞いたりしてくれるのよ」
青年「そ、そうなんですか」
蒼龍(呉)「もしよかったら、青年さんも、誰にも、まだ言えてないような悩みがあるなら言ってみたらどうかしら? あ、私、演習があるからこれで」
青年「はい。演習頑張ってくださいね」
青年は、蒼龍(呉)を見送ると、多分丸の横に座ってみた。そして、ゆっくりと手を伸ばし、その胴体を優しく撫でてみる。多分丸は先ほどの蒼龍の言葉を本当に理解したみたいで、完全に警戒を解いていた。
青年「……触ってるだけで十分気持ちいいな」
多分丸も触られているところが気持ちいいのか少し薄目になって、眠りそうな顔になっていた。
青年「……多分丸、だっけ……。……悩みなさそうだよなぁ」
気づけば、独り言を言い始めていた。しかし、青年はそれに気づかず、どんどん自分のことを話していく。
青年「俺だって、瑞鶴さんともっと仲が深まればいいなとは思ってるけど……どうすればいいんだろう。せっかく、瑞鶴さんが気にかけてくれてるのに……俺ってどうしていつもこんなに悩んじゃうんだろうな。多分丸」
多分丸は「知るか」と言った様子で、「ニャー」と低い声で鳴いた。しかし、その鳴き方は、冷たくはなく、どこか温かみのある声ではあった。
青年「……俺がハッキリしないからだよな……だから、この前、弥生と春雨を傷つけて……」
そんな自分に腹がたったのか、青年は、また涙を流してしまっていた。止めようと思っても、止まらない。青年は、静かに泣いた。
青年「こんなんだから……俺は…っ…!」
多分丸は静かに青年の傍に寝転んでいた。まるで、「泣き止むまで待ってやる。だから今は泣け」と言うように。
青年が泣いている様子を、他の艦娘が見ることはなかった。
しばらくして、昼休みに入った。青年は瑞鶴と合流して、呉鎮守府の甘味処『間宮』にて、昼食を取る。瑞鶴は、青年が元気がないということに気づいたが、目元を見て、あまり追求してやらないように思い、青年と普段通りに接するようにした。
青年は、頑張って気を遣おうとしてくれている、そんな瑞鶴の姿を見て、少し元気を取り戻した。
青年「……」
瑞鶴「どうしたの?」
青年「いや、何でもないですよ」
瑞鶴「へんなの」
そんな仲睦まじく昼食を取る2人を呉鎮守府の艦娘たちがニヤニヤとしながら見ていたのは言うまでもない。
その日はそれ以上、これと言った出来事は起きなかった。旅館に戻ると、青年は、部屋に荷物を置いて、座る。瑞鶴もそれに続いた。
瑞鶴「……」
青年「……」
2人はケンカしたわけでもないのに、妙な沈黙を作ってしまった。いざ、二人きりになると一体、どうすればいいのか、わからなくなってしまう。青年は、何か遊べるトランプなどのものを持ってくるべきだったと少し後悔した。瑞鶴も、考えてはいるが、何をすればいいのか、わからなくなってしまっていた。時間を見ると、まだ夕食が運ばれてくるまでには時間がありそうだった。
青年「ず、瑞鶴さん。せっかくだし、外でも見に行きます?」
瑞鶴「え? う、うん……」
青年と瑞鶴は並んで、呉の街中を歩いた。さすがに、時間が時間なので、遠くまではいけないので近場で何かないか探してみることにした。
青年「何かみたいものとかあります?」
瑞鶴「時間そこまでないから、青年の見たいところでいいわよ。……それに、こうして、一緒に出かけることができて、嬉しい」
青年「……僕もですよ」
瑞鶴「……手、繋ぐ?」
青年「……はい」
そっと、手を握る。瑞鶴もそれに応じて、手を握り返してきた。力加減がわかっていないのか、瑞鶴の握る力はそれなりに弱めだった。
瑞鶴「青年の手、こうして握ってみると、大きい」
青年「そうですか?」
瑞鶴「うん。……普段は頼りないけど、こうして触れてみると、ちょ、ちょっとはたくましいと思うわ」
青年「なら、よかったです。さてと、どこに行きましょうか……」
瑞鶴「そうね……ん?」
ちょうど、瑞鶴が何かを見つけたようで、視線を一点に集中させた。青年はその視線の先にあるものを見ると、2人の女子高生らしき姿が見える。
青年「……」
青年は、あの2人を見て、瑞鶴が何を思っているのかを考えてみた。もしかすると、瑞鶴は制服というものに憧れが多少あるのではないかと予想してみた。瑞鶴の今の格好は言葉にするのは難しいが、改造前は、白と赤をベースとした、巫女のような服装だったからだ。鎮守府内の駆逐艦や軽巡の艦娘たちは制服のような格好をしていることが多い。
青年「瑞鶴さん、違ったら、申し訳ないんですけど……」
瑞鶴「へ? な、何?」
青年「制服、着てみたいんですか?」
瑞鶴「……」
図星であったらしく、静かに、顔を赤くしながらコクリと頷いた。青年は、瑞鶴の手を取って歩き出す。
瑞鶴「ちょ、ちょっと、どこいくの?」
青年「多分、探せば、コスプレの衣装着たりできそうな場所がありそうなので……」
そして、そのまま、コスプレの衣装を貸出しさせてくれて、なおかつ、写真撮影もできると言う写真スタジオのような場所へとたどり着いた。
店長「おや、カップルかい?」
青年「え、ええ……えっと、彼女に制服を着させてあげたいんです」
店長「制服? 何でもいいのかい? ブレザーにセーラー服とか色々あるけど」
青年「あるだけ、着させてあげてください。彼女の夢をできる限り叶えてあげたいんです」
店長「……そうかい。任せな」
柄にもなく、堂々とした態度で、ものごとを進める青年を瑞鶴は不思議に思った。だが、そんなことも忘れてしまうほど、多くの制服を渡されてしまった。
瑞鶴「こ、これ、全部着るの?」
青年「……」
瑞鶴「ど、どうしたの? 急に無言にならないでよ」
青年「あ、いえ……何でもありません。瑞鶴さんなら、どれも似合う気がするので、ぜひ、あと、写真も用意してますんで」
瑞鶴「え、えぇぇ……」
瑞鶴が着替え始めると、中から「覗いたら爆撃だからね!」と言う声が聞こえてきたが、その言い方はどことなく弱々しかった。おそらく、初めて着る制服にほんの少し戸惑い等の感情が入っているのだろう。青年は、「はいはい」とだけ言って、瑞鶴が着替えるのを待った。
こうして、瑞鶴の制服ファッションショーのようなものが始まったのである。
瑞鶴「ど、どう……かな?」
青年「いいじゃないですか! よく似あってますよ」
瑞鶴「……そ、そう」
青年「う~ん、でも、瑞鶴さんは、セーラー服より、ブレザーみたいな制服の方が似合いそうですよね。次、こっち着てみてくださいよ」
瑞鶴「い、いいけど……」
それから、また、瑞鶴が着替え終わるのを待った。そして、瑞鶴が中から出てきた瞬間、青年は目を見開いた。
青年「……綺麗ですよ」
瑞鶴「……ば、ばかっ……そんな真面目な顔して言わなくてもいいってば……」
店長「なんなら、その制服あげてやってもいいよ。うちの店、儲からないから、たたんじまおうと思ってたからな。処分に困ってるんだよ」
青年「じゃあ、この制服だけ、貰って行きましょうか」
瑞鶴「……うん」
せっかくなので、旅館への帰り道、その制服を着たままで、瑞鶴は歩いていた。青年は、少し嬉しそうな顔をしながら、瑞鶴と手を繋いで歩く。最初の頃の、二人の恥ずかしがりようとは大違いである。
瑞鶴「あ、あのさ……ありがと」
青年「いいんですよ。瑞鶴さんが着たいと言ってくれたから、叶えただけですよ」
瑞鶴「……青年、何か無理してる?」
青年「どうしてですか?」
瑞鶴「だって、おかしいじゃない。急にこんな気を利かせて……私は……いつも通りの青年でいいわよ。一見、頼りないけど、いざって時にはしっかり考えて行動して……そんな青年が、好きなのに……今日はまるで、青年じゃないみたい」
青年「……」
瑞鶴「ご、ごめんね……嫌ってわけじゃないの……でも、やっぱり、何か……いつもと違うから……」
青年「瑞鶴さん」
瑞鶴「は、はい」
青年「……無理は……してないつもりなんですけど、やっぱり、そう思っちゃいましたか?」
瑞鶴「……うん」
青年「……そうですか……。いや、ちょっと優柔不断なこの性格をどうにかしてみたくて」
瑞鶴「それは……無理をしてでもしなきゃダメなの?」
青年「……」
瑞鶴「私は、青年のそんな無理してる姿、見たくない」
青年「ごめんなさい。……ちょっと、色々考えちゃって、頭の中が混乱しているかもしれないです」
瑞鶴「……私が、昨日、変なこと言ったから?」
青年「あ、いや、そういうわけでは……」
瑞鶴「……ごめん。やっぱり、変な質問だったわよね……ひどいこと聞いた。もしかしたら、『人間』と『艦娘』で勝手な境界引いちゃってるの、私かもしれないわよね」
青年「……」
瑞鶴「だから、こうして、ちょっと、変な壁、できちゃった……おかしいな。嬉しいのには変わりないのに」
悲しげな顔を浮かべる瑞鶴に青年は、どんな言葉をかけてあげればいいのか、よくわからなかった。しかし、だからこそなのか、青年は、自然と体が動いていた。
青年は、瑞鶴を抱きしめて、そのまま強引に唇を奪った。
瑞鶴「んー!?!?!?!?」
青年「……」
口を離すと青年は、話し始める。
青年「……境界なんて、こうして、超えてしまえばいいんですよ……」
瑞鶴「また……変な無理して……そういうのが嫌だって私は「黙ってください」
そのまま、再び青年は瑞鶴の口をキスによって塞いだ。
青年「……」
瑞鶴「……」
青年「瑞鶴さん、そういうのはやめてください。僕が暴走してるだけなので、瑞鶴さんは悪くないです。僕が、瑞鶴さんに言われたことを考えようとしましたが、自分が未熟なせいで、考えがうまくまとまらないまま、行動に移してしまっただけなんです。だから、瑞鶴さんは悪くありません。これ以上自分が悪いって言うなら、僕は……あなたのその口を何度でも塞ぎます」
瑞鶴「……ぷっ……何そのセリフ……本当に変よ……ふふっ」
青年「……」
瑞鶴「でも、何だろ……。青年の一生懸命さは……伝わった。ちゃんと、考えてくれてたんだ……嬉しい」
青年「……」
瑞鶴「でも、私は……言うと思うよ。『自分が悪い』って、だからね、青年――――
――――もっと私の口を塞いで」
青年が目を覚ました時、瑞鶴も隣で眠っていた。どうやら、ちゃんと、旅館の部屋には戻ってきていたらしい。部屋にある時計を見ると、晩ごはんまでもう少しと言ったところだった。青年は立ち上がると、身体がものすごくダルくなっていることに気づく。
青年「……」
ふと、瑞鶴を見ると、せっかくもらった制服にシワが入ってしまっているのにも気づいた。鎮守府に戻ったら、アイロンがけをする必要があるだろう。
青年「……もっと、しっかりしないとな……。ちゃんと、考えないと……。これ以上、俺のせいで、他の人が傷つくのは……」
しばらくして、青年と瑞鶴が夕食を食べ終わると、旅館の人が青年のことを呼びに来た。
女将「青年さん……ですか? 提督と名乗る人からお電話がきてますよ」
青年「えっ……はい。では、取りに行きます」
言われるがままにして、案内された場所には電話が置いてあった。青年はそれを受け取り、「もしもし」と言うと、電話越しから提督の安心しきったような声が聞こえてきた。
提督「何とかうまくやってるみたいだな」
青年「え、ええ……」
提督「そうか……いや、あることを提案するのを忘れていてな」
青年「あること?」
提督「ああ、呉からの帰り道、ちょうど君の実家のある地域を通るじゃないか。……たまには、『顔を出してあげたらどうだ?』」
青年「……そう……ですね」
以前、深海の鎮守府にさらわれた際に青年が、深海棲艦に対して、両親は深海棲艦の攻撃に巻き込まれて亡くなったことを説明した。だが、この事実を知っている艦娘は今のところいない。
青年「……」
提督「そこは、君が決めるところだからな。ゆっくり考えつつ、決めるといい」
青年「はい、ありがとうございます」
提督「あまり、出張だからと言って、頑張りすぎず、ほどほどにな。体調にはくれぐれも気を付けてくれ。瑞鶴にもよろしく頼む」
青年「はい。また、こちらから伝えておきます」
青年が電話を切ると、後ろで瑞鶴がこちらをじっと見ていた。
瑞鶴「なんの話?」
青年「えっ……ま、まぁ、色々と……」
瑞鶴「ふぅん……。あのさ、青年……ここのお風呂って、えと、あの」
青年「……」
瑞鶴「混浴……できるじゃない? だから、どうかなって……」
青年「瑞鶴さんは、いつの間に、そんなに……」
瑞鶴「多少は、青年のせいでしょ……まったく……」
結局、そのあと、2人で仲良くお風呂に入ったという。
ごめんなさい。リク。拾い忘れてましたので、ちょっと巻き戻し。
さて、出張二日目のことである。青年は、ある程度、呉の鎮守府のどこにどの部屋があるかをそれなりに昨日の段階で覚えてしまったので、着々と掃除をしていった。場所が変わっても、手際は変わることなく、うまくゴミを片づけていく。
一方、瑞鶴は、呉の艦娘に混ざって演習に参加していた。何だかんだで、プライベートと仕事はきちっと分けている二人である。
青年「……今頃、鎮守府のみんなは何してるかな」
青年は出張もたまにはいいと思ったのだが、やはり、少し寂しさがあったようだ。向こうの鎮守府では、青年が掃除をしていると話しかけてくれる艦娘がたくさんいたのに対し、ここではやはり警戒されているのか、艦娘たちの視線も少しだけ冷ややかなところはあった。(それでも、話しかけてくれる艦娘は何人かいた)
??「あら? 青年じゃない」
青年「え? あっ……瑞鶴……さん?」
瑞鶴(呉)「ええ、ここの瑞鶴よ。久しぶりね。元気してた?」
青年「ま、まぁ……」
青年は、以前、瑞鶴(呉)と出会って、そして、告白めいたことをしてしまったことを思い出した。
瑞鶴(呉)「どしたの? 顔色悪いわよ?」
青年は、冷や汗をたくさん流し始めているのに気づいていないようだった。それもそのはず、青年の脳裏によぎったのは、そのことを自分の好きな本当の瑞鶴に知られたら、どうなってしまうのかということだけだったからだ。
青年「じゃ、じゃあっ。僕はこれで……」
瑞鶴(呉)「え~。せっかく、久しぶりに会えたんだからもう少し一緒にいたいな」
青年「え、えぇ……」
瑞鶴(呉)「もしかして、私じゃ、嫌?」
青年「嫌……というわけではないんですけど……」
作者より(@parudo63 ←ツイッター垢)
作者コメ:テスト終わってやっと更新できました。遅くなって本当に申し訳ないです。(・_・;)
参謀長が悪いことをしてた時代のお話はこちら↓
<<リクまとめ>>
※順番の前後があることをお許しください
※色々なリクで、「これとこれは繋ぎあわせたら面白そう」と判断したものは勝手ながらに合体したリクになることがありますw
<現在進行中>
ビール野郎さんより
ワッフルさん作、『とある猫の艦娘観察日記』の多分丸とのコラボ(←頭の中ではどうするかは決まりました……)
64の名無しさんより
瑞鶴VS瑞鶴(呉)
<今後のリク>
3冊目、おめでとうございます!
なぜか携帯からだとログインできない、わー50です。
っていきなりベビーな展開キター!青年君のブチキレは大井さんか深海棲艦たちで、自分のことじゃないんだろうなと予想してます。大井さんまでフラグ立てるんだから青年君の男っぷりに期待です。
あ、自分もこの度、SSを投稿しました。
「辺境鎮守府より」というタイトルです。よかったら読んでやってください
元帥ェ...じいさんの独り言ったって重いですわな...
続編待ってました!
やっとE2ラスダンに持ち込んだワッフルです。
更新待ってます!
わー50さん
ありがとうございます~
なかなかヘビーです……
さぁ、青年君は大井とどう心を通わせていくのか、
わー50さんの作品は後で読ませていただきますね!
ワッフルさん
重い一言ですた……
イベント進んでますね……
頑張ります!
もう、こうなったら深海側で青年を好いてる子たちも一緒に共生するしかないんじゃない?
そしてそれを目撃した元帥さんが・・・
みにゃんです、3冊目おめでとうございます♪
三冊目待ってました!!
ちょっとこの元帥、一発殴ってもいいですか?笑
ブオン・ジョルノ どうも十米の奴です
突然のシリアス展開でタイトルを確認したのは内緒
まあ元帥としては戦略的な利用価値があるわけで、そんでもって深海棲艦を手込めにしてるわけで…。嫉妬かな?(適当)
「深海棲艦が家族のように迎え〜」ってことは青年君は彼女達と同じような存在である可能性が微レ存…!?
ところでイベントの様子はどうですかね。とりあえず新しい艦娘は全員ゲットしました(・ω・)
…この調子だと青年君の命が危うい気ががが
みいにゃんさん
果たして青年君はどのような判断をするのか、お楽しみに!
5の名無しさん
ありがとうございます!
な、殴っちゃダメですよ……
十米名無しさん
このSS,一応シリアスのタグもありますし…(目そらし)
果たしてどうなるのか……
青年君、まさか、死んじゃうのかな……?
3冊目か…胸が熱いな…!更新乙乙!
って、あれ?こんなシリアスだったっけ?
見る場所間違えたかな((((;゜Д゜)))
冗談はさておき、元帥の考えも最もなんだけどさぁ…それって、青年が消えたときの深海棲艦たちの行動を分かってないよね?あっちは「青年をどうした!」的な感じで怒り心頭になる気もするんですが…まぁ、ただの予想だから分かんないけど(  ̄▽ ̄)
だーさん、その「辺境鎮守府より」の名前を見て某へんじふ動画を思い出したんですが…まさか同じ人の訳ないよね(フラグ?
GWが始まる…SSの更新しなきゃダメだよね((((;゜ω゜)))
それじゃ、素敵なゴールデンウィークを!
???「残念だけど、オレたちには休みなんてないんだ…そう、ないんだよ。休みも…そして有給もね…ぅあ゛ぁーい↑してるんだぁー!きぃみたちをぉー↓!ア゛ッハッハーッ↓!」(社畜感
コルベニク主任
同じ作品ですよ~間違ってないですよ~。
おっと、さすが主任……その展開まで見破ってしまうとは……w(ちょっとこの後の話で触れるつもりでしたw)
楽しいGW、過ごしましょ―!
みいにゃんです・・・
ふむふむ、深海側が怒り心頭とな?もちろん所属鎮守府の艦娘たちもマジ切れしそうだよね~、そしてここに集まる青年同盟(救出連合)
元帥さん、あまり深入りすると有る意味危険ですよ!あなたは内外から敵対視されますよ!
ども〜駆逐艦最高です
いよいよ3冊目ですねぇ、おめでとうございます〜
この作品も長編か…成長したねぇT^T
なるほど青年を消しにきましたか元帥。面白そうな展開!
大井こんなにやさしい人間だったっけ?ていうか近くにコンビニあるのか…
飛龍建造に資材大量投入したおかげで、イベ参加がおくれそうだぁ…
駆逐艦最高さん
大井は北上さんがちょっと大好きな百合っ娘なだけであって、一応は隠れ提督LOVE勢だったり周りに気配りの出来る娘じゃないんですか?えっ、違う?ウチの大井さんはそうなのに…おかしいな(混乱
深海棲艦で一番好きな娘?それはもちろん駆逐棲姫ちゃん!でも最近は空母水鬼も可愛いかなって…どうすればいいんですか(;つД`)
駆逐艦最高さん
さぁ、果たして青年君の運命はいかに!?
大井さんはきっと優しい人だと思うんです……
コルベニク主任
大井さんは優しい!!(←実は1つネタを考えてます……
大井さんネタをお楽しみに~…
さ、参謀長!?
凄く久しいですねぇ...
そして大井っちが思いの外優しいw
更新待ってまーす!
更新乙です!
参謀長って誰かな?と思ったら、「闇社会で生きてた」と「鎮守府を乗っ取ろうとした」って…闇提督じゃないですかヤダー!
作品同士のコラボって面白いよね!どんどんやっちゃっていいんですよ?(チラッ
俺達のGWは、まだまだこれからだ!
???「始めましょう、私達の戦いを」
大井はやっぱり大井だった……。しかし、逆にこれはフラグ建築士の青年君の腕の見せ所だな!(オイ
コルベニク主任へ
へんじふ動画? 知らない動画ですね。まあ、自分にゃ動画を作る技量はないのでご安心をwww あの動画は面白いですけどもwww
GW? 連休? 仕事(ヤツ)の前には無意味! 無力! がんばるしかないのさぁぁぁぁ!!orz
ワッフルさん
はい、参謀長です!!←
ふふふ、今日の更新でその幻想はぶち壊されるでしょう…
コルベニク主任
はい、あの闇提督さんですw
コラボいいですよね~…やりすぎは禁物ですがw
わー50さん
大井は大井です……w
青年君の攻略に期待していてくださいw
更新乙!と思ったら大井が残念だなんて…
(#0w0)<デイドグザン!ナズェミテルンディス!?オンドゥルルラギッタンディスカー!?
※↑は青年です、ナニカサレテシマッタヨウダ(棒
いや、変に優しすぎるからなんかあるなとは思ってたよ?でもこれは予想のちょっと斜め上ですわwww
春イベント、ほとんどの提督は簡単だって言うけど…ウチの鎮守府はそこまで育ってないんだよぉ(涙)まぁ、頑張りますけども
『ギャハハハハハハ!アーッハッハッハッハッ!』(爆笑
???「チッ…うざいのよ…」(61cm五連装(酸素)魚雷
『ハハハッ!いーじゃん、盛り上がってきたねぇ!』
※艦これ×ACクロス、鋭意作成中です
(;゜ω゜)いつ出来るか分かんないけどね
更新乙!
青年逃げてー!あ、逃げられないか、残念(棒
瑞鶴と関係を持ったのに今度は大井と関係を持つ可能性が…まぁ北上成分が足りないなら仕方ないね(他人事
後でどうなっても俺知らね((((;゜ω゜)))
※艦これ×ACクロス、冒頭部分進捗率3~4割くらい?地の文が難しすぎるのよね(´・ω・`)
ぜひとも少し仲良くなった青年と大井に嫉妬する瑞鶴を書いてほしいずい
コルベニク主任
はっはっはw(あえて期待を裏切るスタイル)
大井っちの暴走をお楽しみに~……(まだまだ続きますw)
逃げられませんからねぇ……
曙ちゃんに罵られ隊さん
了解です!頑張りますよ!
翔鶴瑞鶴とケッコンカッコカリしてる私としては本当に楽しみな作品なので今後のさらなるイチャイチャに期待大であります。!
22の名無しさん
ありがとうございます!
今後もイチャイチャ80%、シリアス20%な作品を目指せるように頑張りますw
上コメ
コメディとか日常編みたいなのは0%ですかw
なんだか戦争フラグがたってきましたね〜。今度は激戦ですね。
第六予告とは…主さんさすがですね!てな感じで最近また着任できてない駆逐艦最高でした!
駆逐艦最高さん
コメディと日常……はっ! 忘れてた……(←
戦争フラグビンビンですよ~……いつ始まるのかな…
更新乙!ゴールデンウィーク満喫できてますか?自分は絶賛皐月病発症中です、僕っ娘万歳
皐月と一緒にいると心身共に脱力感が…
皆も一緒に皐月病に…何?それは五月病?五月になる病気って大体皐月病じゃないのか!?
戦争か…死人が出ないことだけを祈ってます(フラグ
更新お疲れさまです!
青年さんお願いだから消えないでー!この元帥の顔面に一発入れたくなりました笑
コルベニク主任
はい!色々満喫させていただいてます!!
皐月ですか……いいですねぇ……
死人?デナイトオモイマスヨ
SKさん
ありがとうございます!
き、消えないように頑張ります!
またまた更新乙です!
大井さん…アンタを止めるためなのにそれは酷くないですかねぇ、っていうか北上成分欠乏症どんだけ重症なんですか…それにしてもこれはケジメ案件ですわ~、濡れ衣は許されない(ゲス顔
皐月「ドーモ、提督=サン、皐月デス。」
提督「アイエエエ!?って皐月か、どうしt…」
皐月「浮気許すまじ、慈悲はない。」
提督「待て、浮気なんてしてないぞ!?それ以前に皐月とは付き合ってなーーー」
皐月「じゃあ遊びだったんだね…!?イヤーッ!(涙)」
提督「なんでそうなrグワーッ!?」(鳩尾に蹴り
皐月が妹だったら良かったのにと思う人生です(*´ω`*)
ロリコン?ロリコンだって?駆逐艦が好きなだけでロリコン扱いするのはやめてもらおうか!もし駆逐艦が好きなだけでロリコンだと言うならほとんどの提督がロリコンだ!そんな認識、修正してやる!(殴
長文失礼しました、SSが面白いのと皐月が可愛いのがいけないんや(;゜ω゜)
ジェアホナグゥィチ どうも十米の奴です
果たして青年君はどんな決断をするのか…、私気になります!
シリアス無しの楽しげな初期案は消えた!もういない!
あ、リクなんですが瑞鶴、春雨、弥生で修羅場お願いします。弥生ちゃんは貰うとしても春雨ちゃんが不憫だなぁ…
コルベニク主任
ありがとうございます!!
大井さん……どうしてこんな残念な子になっちゃったんだろう……w
駆逐艦、かわいい
十米名無しさん
青年君の決断に期待です!
初案件……www
飛行場姫、来てるなら来てるで、青年と会議に出席したら面白かったかも・・・
そして、青年をどこか別の場所にと言ったときに、『ソンナコトシタラゼングンデオシヨセルゾ!』って逆に脅しても面白かったかも・・・・?
飛行場姫の要求は、青年の人間サイドの独り占めの禁止!隔週で掃除及び掃除のアドバイスに来て欲しいとか言うのも・・・・どうなんだろうか・・・
ご機嫌よう、通知無しで急に仕事が舞い込んでそれを死ぬ気で消化してた私です
あ~^頭がくらくらするんじゃ~^
と、話は変わりますが…大幅な路線変更はリクありのSSにとっては仕方ない事ですね
下手に捌くとリク通りにならないし…難しいものですなぁ…私もその原因の1人ですが
色々申し訳ないです、そして言えた義理じゃないですが更新頑張って下さい
そして村雨絵の作業進行率が80%を越えました
後は細かい所を直して色付けて差分版(全年齢向けフィルター無し)も描いて完了です
みいにゃんさん
それもアリだったかも……www
青年君、本当に好かれてるなぁ…
だーさん
どうもです!!お仕事、お疲れさまです!
いや~……自分も自分で書いてる途中に「どうしてこうなったw」と思いつつ書いてますよw
お、おおっ……何か胸のワクワク感が高まってきました!!
期待してます!
ふ~む、製作路線を狂わせてしまった原因の一人、わーご50です。
こんな展開になるって思ってなかったんや! 悪乗りと修羅場が大好きなだけだったんです! え? 「お前の罪を数えろ」? いや、だから僕は悪くn(ゴシャ!
しかし、この青年君は胸の内をあまり洩らさないタイプのようで。きっと本音を吐き出すときは誰かの胸でボロボロ泣きながら……なんて展開はステキですやん?
これからの修羅場を前に青年君、優しさと優柔不断は別だぜぃ?
弥生と春雨のナニも貰う所まで想像出来たビール野郎です。
朝のテレビでウイスキーだの一眼レフだのやっててゲンダイコワーイってなった、現代オソロシ
PS4欲しい、けど、買ってもやる時間がない。
本文より世間話の方が文字数多くね?
わー50さん
制作路線はまあ……僕も割とノリノリでやっちゃったんでwwww
青年君が号泣……ええやないですか……誰の胸にしようかなぁ…w
修羅場の青年を乞うご期待ください…
ビール野郎さん
や、弥生と春雨はどうなるのかなー……w
世間話、多いですねwww
ですが、現代オソロシイですわw
...むむ、関係無いですけど食事会場には誰が居るんでしょうかねぇ...松崎大将は...無いか(チラリ
思い出話とか(チラッ
以上、バカげたこと言ってるワッフルでした。
更新待ってます!
飛行場姫のキャラが中々可愛くてよかったですww
青年君が大井とイチャラブ!!これは瑞鶴の反応が楽しみですねぇ・・・
まずは死亡フラグを華麗に回避するところからだけど。
いつも楽しみに読んでます(^^
飛行場姫もはや人間と遜色なくなってきてるなぁ。どうしてこうなった…
大井ってこんな優しかったっけ?もっとキチガイじゃなかったっけ?どうしてこうなった…
ども駆逐艦最高です。確かにこの作品、最初の頃とは随分雰囲気とか変わりましたよね。(←原因の一人
でもとても面白く読ませていただいています!なんやかんやでリクを全て捌ききる主さんマジ有能
リクの内容とか、元々のイメージにあうよう少しだけ制限してみたらどうですか
ワッフルさん
さて、誰がいるんでしょうねぇ……松崎さん、いるかなぁw
思い出話やるのかなぁwww
SKさん
ありがとうございます!
飛行場姫は、ちょっと弟分をいじりまくるお姉ちゃん的なキャラでいきましたw
マーテルさん
瑞鶴の反応、どうなるかな……これまた修羅場ですぞ……
死亡フラグ、なんとしても回避させないと
駆逐艦最高さん
本当にどうしてこうなった……www
大井さんはクレイジー……じゃない……はずwww
リクのおかげで成り立ってる気がする……
もうここまでいったら突っ走りますw(さすがに無理なリクも出てくるかもですけど…)
飛行場姫のお姉ちゃんキャラ……いい!! クレイジーじゃない大井、かわいい!!
仕事続きでぶっ壊れな、わー50です。GW? 知らない連休ですね?
医務室で検査……うちの提督の出番かwww 今ならナース服の鈴谷もつけるぜいwww
まあ、冗談ですけど。よそ様に使っていただけるほどキャラ固まってないし。
検査しだいでは青年君、残留決定で大井が発狂しそうで……その方がフラグいっぱい立つのかと思った自分はやっぱりドSなのでしたwww
あ、いや、大井さん、冗談だからね? 魚雷は、魚雷はかんべn、あー!!(ドーン!
俺のおふざけに付き合ってくれた....だと!?
えーと、すみません(´・ω・`;)
リク的なもの拾っていただいてありがとうございます。
にしても飛行場姫、お前人間だろ。絶対人間だろ。可愛すぎるだろ(本音)
そして青年クンはまた修羅場となるか.......楽しみだけど。
更新待ってます!
え?検査する所に戦艦凄姫が居て、皆があっけに取られてるまま、検査が進むって?
ついでに、大本営の方々が来て更にびっくりだって!?
そして、何事も無かったかのように帰る凄姫、大本営は大混乱に巻き込まれていく・・・ってのは・・・ガクブル
丑の刻…誰も居ないオフィス内からご機嫌よう、私です
今回は割と大きめの仕事なので、泊まり込みでひたすら絵を描いてますよっと……ウチのオフトゥンが恋しい…←おい
それはさておき飛行場姫が姉か…ふむ、ウスイホンのネタに使えそうだ←
――とすると、服装はキトンにクローシュ辺りかなぁ…いや待てよ、ラフにデニムとパーカーってのもアリか…?
でも大人っぽくサイハイとかロンジーも履かせたいよね~…どう思う青年君?(ry
…と、魅力的なキャラを見るとこういう事ばっかり考えてしまう職業病な私です←
リク出された方にはありがとうと言いたい、いや割とガチで
おっふ、何故かログアウトしてる…
上のコメントは私ことE8a7da3です
恒例と化した挨拶で容易に判別可能かとは思いますが、一応念のために…
どうも、つい最近まで此方に顔を出せてなかったです。銃壱でーす
まさか三つ目まで来てるとは……
驚いたのは、この青年がまた一人フラグを立てたことですねw
絶対いつか背中刺されるよw
これからも、頑張って下さい!
はぁ、主の様なssが書きたい………
ワッフルさん
いいんですよ~……めちゃくちゃ書いてて楽しかったですしw
青年君の修羅場は自分でも楽しみです(オイ
みいにゃんさん
う~ん……それはちょっとむずかしいかもしれないです……(・_・;)
大本営パニックは普通にありそうですけど…
だーさん
お仕事お疲れ様です!
ウスイホン?大歓迎です(←オイ
飛行場姫は、おばさんじゃない、お姉さん
銃壱さん
お久しぶりです!
いつの間にかきちゃいましたwww
フラグ建築士、青年君……
青年が修羅場になるのを楽しみにしてるみいにゃんです!
こんどは誰に狙われて、どんな修羅場や沖海戦になることやら・・・
おおう、コメスルーされとる……。まあ、ぶっ壊れで絡みにくかっただろうから仕方ないですね。
青年君の運の良さは日頃の行いか主人公補正か……。青年君らしい景品のチョイスには笑いましたが。
相変わらず携帯からだとログインできないわー50でした。
みいにゃんさん
修羅場、楽しみにしててくださいw
誰にだって狙われますよ←
わー50さん
うぉぉぉぉぉぉ!!すみません!!本当にすみません!!(素で書くの忘れてた……)
ひ、日頃の行いでしょう。この景品が次なる悲劇を呼ぶなんて言えない←
相変わらず凄いですね……
僕はラインさんのように書くことが出来ないのでただ、ひたすら舌を巻くばかりです
舌を巻きすぎて巻き舌になってしまいました
お体に気をつけて、無理しないで下さい
あ、青年が勢い余って医者を押し倒し、その現場を瑞鶴に見られてあれ?ホモ
じゃね?…的な、そんなシチュエーションをリクエストしてもよろしいでしょうか
松崎大将に瑞鶴.....そんなにテレビが欲しかったのか(←お前が何をry
バーベキューセットが次なる悲劇を呼ぶのか.......どんな悲劇なんだろうか(ゲス顔
更新待ってまーす!
(俺も早くssのリクエスト消化せねば....!)
ようやくイベ参加し始めた、駆逐艦最高でやす。
なんでビンゴ大会なんかやってるんだ…他鎮守府では日夜深海棲艦と戦っているというのに!(生意気なこといってすいません…気づいたら書いてたんや…orz)
あ、阿賀野型ありがとうございま〜す^ ^
もちろん他の娘も出ますよね?
更新乙乙!久々に見たら結構進んでて驚いたネ
E-3までクリアした丙提督です、連合艦隊キツい
「一つ質問してもいいか?」
「…なんだい?」
「艦これ×ACのクロス作品どうなった?」
「君のような勘の良いガキは嫌いだよ」
進まないのは俺のせいじゃない!俺は悪くねぇ!
阿賀野姉ぇは相変わらずだらしねぇ(寒い
青年…もっと自分の立ち位置をちゃんと把握して付き合っていかないと、その内背中からズブリと(ここから先は血で読めない
これからも更新頑張ってください
カリメーラ どうも十米の奴です
あがのん可愛いよあがのん。軽巡なら長良型が好きだなぁ、あの無骨な船体がいいんですわ
やっぱり青年君はみんな思いやね。そのBBQセットが新たな火種になるやもしれんがな(目そらし
さてさて深海棲艦の方もそろそろ動きだす頃かな…?やっぱり全面戦争になっちまうのか(′・ω・`)
たぬポンさん
ありがとうございます!そう言われると嬉しいです……
体には気をつけて頑張ります!
了解です!(いいネタをもらったぞ……シメシメ)
ワッフルさん
なんか、ある意味キャラ崩壊させてすいません(←
バーベキューセットの悲劇、お楽しみに~
駆逐艦最高さん
ビンゴ大会……ノリです!!(←オイ)
阿賀野型は他の子も出ますよ~
コルベニク主任
ありがとうです~(結構進みますw)
もう、ハガレンなのかテイルズなのか…‥
もしかしたら、刺されてバッドエンドもありかもよ(←
十米名無しさん
阿賀野可愛いですよね……ちょっとだらしない感じがw
BBQセットの回はお楽しみに!
深海棲艦……いつ攻めてくるんだろう…
ご飯を食べつつご機嫌よう、私です
マイペースな阿賀野と酒匂が色々やらかして、能代と矢矧がそれを必死に処理する光景を空目した…いや深い意味はナイデスヨ
そしてシュラバヤ沖海戦は既にリクが上がっている春雨と弥生、瑞鶴で決まりかな?←おい
青年君の事だから更に被害者(?)を増やすんだろうけども
それから深海棲艦との衝突も、リクエストでほのぼの日常系にしてしまえば…
戦争勃発なんて事も無くなりますよね(ゲス顔
だーさん
お仕事お疲れ様です!
阿賀野と酒匂がやらかす……いいですが、ちょっとだけ違った展開になっちゃいましたwすいませんでした……。
さぁさぁ、参戦する人はいるのかなー……
戦争は勃発……するのかなぁ(←オイ
関係ないけど報告します
E-4(丙ですごめんなさい)で最初のボス削りしたら清霜が一発ドロップしました
何この娘可愛いヤッター!(*´ω`*)
駆逐艦好きのコルベニクでした
松崎「ちょっと青年くん、うちの瑞鶴口説かないでくれないか?」
っていうセリフを一瞬で思いついたワッフルです。
青年くんは何故あんなにフラグを立てるのか。いいぞ、修羅場は大好物だ(ゲス顏
更新待ってます
コルベニク主任
お、おお!おめでとうございます!
かわいいですねw
ワッフルさん
何かすいませんでした……(・_・;)
まさか他作品の娘までに手中にかけるなんて、彼はひどいなぁ
リクです。
呉の瑞鶴と元いた鎮守府の瑞鶴が青年を取り合うでお願いします。
とうとう修羅場きたかww
さて、青年くんの鈍感レベルはどんなものなのかな?笑
ラインさん、以前アカウント欲しいとほざいていたss好きの名無しです。
お願いがあります僕にニックネームをつけてください。これからはそのニックネームでリクしたいと思います。
僕のプロフィールは以下となっています
14歳中学生卓球部好きな艦娘は木曽です。お願いします<(_ _)>
みなさん修羅場ずきですねぇw
阿賀野型では矢矧が好きなんですよ〜はい。駆逐艦最高です。
イベの進行速度遅くて焦ってきた…時津風が欲しいんや!
これからまた阿賀野型でてきてくれるとおもしろいですね
暁型が恋しくなってきたような…
そういえば、一番下のリク2つもう無きものになってませんかね?w
イベントの進行がヤバイ、E-5の道中大破撤退が多すぎて禿げそうです
レア艦?清霜出てからさっぱり出ないよ…時津風とか天津風欲しいっす、欲を言えば磯風欲しい…まぁ、無理だよね(´;ω;`)
???「ただの提督…そういう風には、もう生きられん時代か…」
???「それは他人が決めることじゃなかろうさ」
???「見せてみな…お前のドロップ雲
よし、青年君、爆発しろ。
最近は不運続きでやさぐれ気味なわー50です。
伊達に「アイツ、不運(ハードラック)と踊(ダンス)ってるぜ!」とアメリカ兵に笑われた経験がある訳じゃありません。
さて、ゆーちゃんにろーちゃんフラグが立ってるわけですが、もしかしてもう……改装済みなんですか?! 青年君の心が修羅場じゃないですか! 出会うなり大人しかったゆーちゃんが、積極的にベッタリ懐いてきたりしたら……。
という訳で青年君の取り乱しっぷりに期待しています(ゲス顔
前職(自衛隊)時代、『リアル上条さん』『リアルラックゼロ』『ドS衛生兵』と呼ばれてたわー50でしたwww
SKさん
とうとう修羅場ですw
みなさん、修羅場が好きで何よりです
66の名無しさん
悩みに悩んだ結果……『球木曾』さんで……←センスなくてごめんなさい…
駆逐艦最高さん
みなさん修羅場が好きなようで……本当にwww
暁型もちゃんと出ます……
そして、一番下2つはバーベキュー回で爆発する予定です!!!
コルベニク主任
イベントがぁ……イベントがぁ……
わー50さん
おうふ……
色々な経験をお持ちで……
ゆーちゃん、ろーちゃんになるのかな?期待していてください!!!(ゆーちゃん好きのみなさん、ごめんなさいw下手したらろーちゃんになるかも)
前回コメントを途中送信して凄く恥ずかしいコルベニクです、イベントはE-5まで終わりました。E-6?甲作戦?何のお話でしょうか、分かりませんねぇ(;゜ω゜)
青年はアレだよ、結城○トみたいにラッキースケベな星の下に生まれてきたからこうなるのは運命だったんだよ(適当
とりあえず時津風と天津風と磯風を手に入れるために掘りをしたいから、E-6は諦めようかなと考えてます。残り少ないイベントでどこまでやれるかな(´・ω・`)
???「見せてみな、お前らのドロップ運をさ!」
どうも球木曽です。ラインさんありがとうございます全然悪く無いですよむしろ僕なんかの為に悩んでいただきありがとうございます。
リクはバーベキューの前に球技大会なんてどうでしょうか。
こんちゃーなのです!
銃壱です!
この頃忙しくてss読む暇がぁぁぁ
更新お疲れ様です!
これから、青年は何処へ行くのだろうか………楽みです。
どうか、パッピーエンドであります様に……
ドブリ・ジェン どうも十米の奴です
やはり鳳翔さんはお艦やったんやね、結婚したい(真顔
青年君はほんとにどうなるやら…。まずはシュラバヤ沖海戦で生き残れるかどうかだけどね(´・Д・)
リクした修羅場なんですけどいっそ大井っちも混ぜたらどうかなー、と思う今日この頃
コルベニク主任
そうだったんですかwww
イベントお疲れ様です!!
球木曾さん
うぅ……ありがとうございます。
バーベキュー前に球技大会、了解です!
銃壱さん
おはようございます!
無理をなさらずに……
ハッピーエンドなはず…
十米名無しさん
鳳翔さんはお艦、間違いないです。僕もケッコンしたいです。甘えたいですw
大井っち、混ぜますかwwww
お母さん…(号泣
願わくば鳳翔さんが母だったらと切に願う元孤児(両親が産まれた直後に死別)の私です、ご機嫌よう
雷、浦風、夕雲、大鯨、間宮、鳳翔さんの六人に死ぬほど甘えてダメ人間になりたい←おい
因みに漸くRoma出ました、試行回数はなんと2023回…
資源?知らんな(涙目
だーさん、そうだったんですか…って、悲しい感じでいくと思ったら次のダメ人間発言でガッカリだよぉ!
※閃いた、ってかよくあるネタ
だーさん「鳳翔は、私の母になってくれるかもしれない女性だ!」
鳳翔さんだって艦「娘」なのにね(´・ω・`)
個人的には甘えるよりも甘えてもらいたいです、ってか甘やかしたい。養って一緒に暮らしながらほのぼのしたい、主に朝潮とか清霜とか夕立とか、ヨウシエングミカッコカリマダー?
土日に集中して掘るために資源備蓄中…ボーキ以外は二万ずつ、ボーキは一万、まぁ足りるよね、足りてください(;・ω・)
こんばんわぁ、銃壱デース
鳳翔さんは、どのssでもおかんポジションですねぇ、あの青年君が本音をポロポロと言っている所で目に汗が…
更新お疲れ様でした!
あと今、私も?結構危なげな文才ですがss書いてますのでよろしければ、感想をお願いいたします!(宣伝)
では、長文失礼しました
今日、E-3で時津風掘りしようと思いました
たった2回ボス倒しただけで時津風が出ました
E-1で何度ボスを倒しても天津風と大淀が出ません
おかしいと思いませんか?(´・ω・`)
一回の出撃で東京急行2~3回分の資材消費
掘りは計画的にね!((((;゜ω゜)))
以上、母港が足りないコルベニクでした
拡張しなきゃ…(;・ω・)
おはようございます球木曽です、滅茶苦茶変な時間に起きました(^.^;
前回リクした球技大会について付け足します出来れば2人ペアにしてください、そのほう修羅場になりやすいと思うので。
お願いします
だーさん
そ、そんな過去が……
鳳翔さんは本当にいいお母さんな人だと思います。
資源がぁ……
コルベニク主任
鳳翔さんの大人な感じは本当にすごいです……
でも、少女な鳳翔さんも見てみたい気も……はっ、ひらめいた←
銃壱さん
そうですねぇ……やはり、お艦……
青年君がかわいそうになってきました(・_・;)
見ておきますね~
コルベニク主任
そこに魔法のカードがあるじゃろ?????w
球木曾さん
お早い起床ですね……wwww
なんか、変な時間ですぞw
球技大会、了解です。2人ペアとなるともうあの競技しかないですね。ええ、任せてくださいwwwwww
深海棲艦ついに来ましたか。
深海棲艦にも負けて欲しくないし青年にも消えて欲しくない。
なんとかしてください笑
更新お疲れ様です!!
あと、リクエストを拾っていただきありがとうございます!!
深海棲艦が出てきて、青年がどのように振る舞うのか、そして
今後どのようにして物語が展開していくのか気になります
更新楽しみにしてます、体調にはお気をつけて頑張って下さい!!
SKさん
いよいよ決戦です。
何とかしますww
たぬポンさん
ありがとうございます~
こちらこそ、リクありがとうございました。
体調には気をつけます!
ああああああああああああE-3間に合わないぃぃぃぃぃぃぃぃ!!T_T 投入した燃料アイテム等が無駄になるのは避けたい…
区地区感再興です…なんやかんやで残りわずかで時津風がぁぁぁ だーさん凄いですね
このSS、最近見当たらなかったんですよね〜。でもすごく進んでるって訳でもなくて安心しました。
逆襲きましたねぇ そして艦これっぽくなってきましたね。ちょっとしたリクですが、この闘いでは引き分けとかになり、最後の戦争を次の段階、つまり3回目にもってくるというのはどうでしょう?
早く決着ついても楽しくないですし
どうも、中々ss更新出来てないワッフルです。
ふむ、第二次青年争奪戦(?)か....
面白くなってきましたァ!(おい
さァて愉しませてくれよォ!
更新待ってます!
wikiの情報が更新されてました
丙じゃ磯風が落ちないようです
春雨も丙じゃ落ちないようです
おかしいと思いませんか?(´・ω・`)
今からE-6攻略…せめて秋津洲は欲しい
多分無理ですけど(艦隊の練度を見ながら
駆逐艦最高さん
バイトなり何だか忙しくなってまいりまして……www
そうですねぇ……どうなるかはお楽しみで……
ワッフルさん
ワッフルさんのSSも楽しみにしてますよ~
青年争奪戦やばそうですね…www
コルベニク主任
それはもう……ドンマイですwww
どうも球木曽です、
バーベキューで大井と瑞鶴を混ぜてもう一度料理対決というのはどうですか?
最近はヒマがまったくないぃぃ!な、わー50です。
深海棲艦の逆襲が始まってしまいましたね。恋人と家族(仮)の悲しい戦いに青年君の出す答えは……。続きが気になる!
できることなら青年君には亡くす痛みは味わって欲しくないなぁ……。あれは辛すぎるものですからね
やっべぇ.....なんだこのピンチ......
ところで他の鎮守府からの支援って何処からなんでしょうね?参謀がいる鎮守府とか呉鎮守府とか横須賀鎮守府とかかなぁ?
兎に角青年くんがどうも不憫だぜ.....
遅めの時間にご機嫌よう、新しく発売予定のゲームの作画を任されて大忙しな私です
遂に始まりましたね、深海棲艦との決戦
現状では青年君の所属鎮守府が不利…この後の展開がどうなるか期待ですね
もし友軍艦隊の支援があるなら、このコメント欄の中のSS作者様方の作品から艦隊をお借りする…とかだったら燃えますねぇ(無茶振り)
因みにイベントお疲れ様でした
最終日の時間ギリギリにRomaドロップしたので、悔いは無いです(尚試行回数2046回、最終資源量が弾薬&ボーキ3桁で燃料&鋼材2桁な模様)
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球木曾さん
了解です!リクに応えれるよう頑張りますね!
わー50さん
僕もほんの少しだけ忙しくなりました...
さぁ果たして決着はどうなるのか、ご期待ください
ワッフルさん
いい感じの勝負になってますよ!
これからも
頑張ります!
だーさん
ぜ、ぜひそのゲームのタイトルを(冗談です)
お仕事大変そうですね....
頑張ってください!!
ナマステー どうも十米の奴です
いよいよ鎮守府へ侵攻してきた深海棲艦。青年君をめぐる戦いはどうなるのか!?これで修羅場の役者は揃ったな(勘違い
最近は5月だってのに暑い日が続きますね、気をつけねばなりませんぞぉ
そして暁にもやっと改ニがきました。これで一人前のレディーやな(ナデナデ
十米名無しさん
果たしてどうなっちゃうんでしょうかw
修羅場修羅場修羅場楽しみdすwwww
本当に暑いですね……レディーになった暁…
暁が!ついに!改二!!これをどれほど待ち望んでいたかっ…T^Tしかも中々高性能!暁ホントに可愛いよ!!
おまけにようやく飛龍が…!!今までで一番大変だった(涙
やっとの更新ですね。忙しい中お疲れ様です。SS忘れてなくてよかったです^ ^
以上、飛龍GETの報告と駆逐艦最高でした!
皆が暁改二で盛り上がってる中、俺は響のレベリングにいそしんでいた。(要するに暁育ててない)
どうも、自分のssの更新が中々出来ないワッフルです
支援艦隊は参謀長のところでしたか.......そして瑞鶴の危機!?
ふうむ......この先が凄く気になります。
更新待ってます!
どうも更新がないので心配しました球木曽です。加賀さんは助からないんですか?リクは、、、、
加賀さんの修復?をする明石と、加賀さんへ提督&瑞鶴からの一言でお願いします。場合によってはバットエンドでもいいです。(加賀さんに対してのみ)
駆逐艦最高さん
おめでとうございます!!!
レディー()に成長なさったんですね!!
忘れてないですよー・・・www
ワッフルさん
更新待ってますよ~www
瑞鶴と思いきや、加賀さんでした…
球木曾さん
すいません、色々あったので(ツイッターに入り浸ってただけだろ…)
果たして、どうなるか……お楽しみに!
焦ったわww
ガチで轟沈したかと思ったよ・・・
え!?ツイッターにいたせいで更新遅れてたんですか?
…ま、まあゆっくり進めて下さい今は残ってるリクで今後の面白いストーリーに期待です(←空気よめない
暁改二がきたので、自分も駆逐艦最高改に変えます(不満であればやめます)
飛龍きたはいいけどボーキ足りなくて低Lvのまま…
加賀さんが生きててよかった~。とりあえず、鎮守府側の被害はひどくないようで安心です。
しかし、意識不明で眠った状態……うちの提督の出番やな!(オイ
まあ、冗談は置いといて、青年君が瑞鶴をどれだけケアできるか期待してますwww
初コメです、青年さんと瑞鶴とのラブコメ、期待しています!!
どうも球木曽です、青年の
なんか格好いい一言お願いします
駆逐艦最高改さん
すいません、……すいません…
更新遅れですわ……
暁改ニかわいいですね!
わー50さん
加賀さん生きててよかったです(人ごと)
果たしてどうなるのか…
ガストレアさん
コメありがとうございます!
今のところ少しシリアスですがよろしくです!
球木曾さん
かっこいい一言、考えておきます!
どうも球木曽ですラインさん!瑞鶴の[元気づけて]の後行に間があるんですが?ヤったんですか?ヤったんですよね!
興奮してすいませんリクはまた青年を怒らしてください、怒られる艦娘は誰でもいいです
ダブノー・ニェ・ヴィーヂェリシ どうも十米の奴です
加賀さんが沈まなくて一安心、だけど深海棲艦の方も黙ってないから油断はできないゾイ
さて、今回は加古改ニでしたね。正直なところ青葉を期待してたんだけど仕方ないね(加古のレベリング中)
最近は更新がなくてライン氏が轟沈したかと思ったり思わなかったり…?ユッタリと待ってるのでムリはしないでくだしぃ
( ・ω・)っ旦
久々の更新ですね......本当に待ってました......取り敢えずお茶どうぞ(´・ω・`)つ旦
あ、呉瑞鶴VS瑞鶴のリクエストで思いついたんですが、それを止めに入った松崎大将が二人にフルボッコにされるって言うのはどうでしょうか......(ゲス顔
いや、まぁ、なんというかですね、松崎さんってボッコにされるのがいちb(ここから書き込みが途絶えている
更新ゆったりとss書きながら待ってます。多分丸も期待してますよ....?
球木曽さん
ご想像にお任せします!!!
怒らせてみますね~
十米名無しさん
加賀さん生きててよかった(オイ
加古改ニ可愛いですよね~
僕は轟沈しませ~ん…
ワッフルさん
遅くなっちゃいました……すいません……
フルボッコ了解です!
頑張れ弥生ー!!
どうも球木曽ですラインさん最近更新がないので本当に本当に心配しました、(^o^;
更新しない時には何やってるんですか?リクは64ss好きの名無し(僕)を見て思いついたんですが駆逐艦に襲われてる青年を青葉に見つかってロリコンと勘違いされるです
お久しぶりです最近このssが見あたらなかったので半月さまよってた球木曽です。<(_ _)>
早速ですがリクです、青年を酒に悪酔いさせてくださいおねがいしま~す(゚∀゚)
ランゲ・ニヒトゥ・ゲゼーエン どうも遂に重した十米の奴です。
酔った弥生ちゃんと春雨ちゃんは密室で青年君にナニをするのか…。既成事実でもつくるのかな(ニッコリ
最近は暑いですから、自分もよくPCが固まってしまいます。
今回はアブゥが改ニでしたね。しかし我が鎮守府は資材集めに必死です。オラ、でち公オリョクル行くぞ。
お茶啜りながらユタリと待ってます(ぅ旦・ω・`)
ども!お久しぶりです、駆逐艦最高改です!
割と進んでますね。久しぶり過ぎて話の流れが少し分からんかったぞw
暑いですが、扇風機を活用しつつ頑張って下さい!
因みに自分はイベに向けて、艦隊の練度向上中でっせw
今度こそ時津風をォォォォ…
いけー そこだー 弥生ー 春雨ー
どもお久しぶりです、球木曽です更新遅かったですね(・ω・)
次の更新はいつかな~(●´∀`●)
まさかネットで色々してたらこんな面白い物をみつけられるとは······
ネットってスゴいなwwwww
色んな人の影響を受けて書いちゃいましたwww
佐世保鎮守府へようこそというSSですよかったら見てください
いろいろコメしてくださってるみなさんお久しぶりです、作者です!
やっと夏休みに入ったので本格的に更新再開できそうです!
リクも頑張って拾っていくよてい…ですw
ども球木曽です更新再開されて嬉しいです(≧∀≦)
リク頑張ってください、、、(;¬_¬)
ボン・ヂーア どうも十米の奴です。
弥生と春雨はもう諦めちゃったのかな?いや、青年君がいなくともこの私がいr( ′・∀・と彡))`Д′)スパーン
今回のイベはもう疲れました。瑞穂が何度回っても出ないンですけど(半ギレ
……ビスマルクの着任もいつになるのか
球木曾さん
ありがとうございます!ちょくちょく時間見つけて頑張ります!
十米名無しさん
弥生と春雨はどうなるんでしょうか……お楽しみください!
駆逐艦最高改でやすう。
うえーい時津風きたぜ〜
まさかの最終日前日の着任
ついでに野分もお迎えして、流石に気分が高揚しますねw
神出鬼没なSSになってきたなあこれ。あと、第六可愛いすぎてもう可愛い以外に言葉が思いつかない感じ、わかりますかね・・。
駆逐艦最高さん
ほんとすいません……更新ががが……
第六駆逐隊のメインの話を見たいとのことでしたのでやりました!
時津風羨ましいです()
どーも球木曽です、突然ですがラインさん質問です家庭教師と司書のssは更新されないのですか?(´・ω・`)
良ければそちらも好きなので書いてください<(_ _)>
どーも球木曽です。ラインさん、催促したようでスイマセンそして書いていただきありがとうございます(o_ _)o
続き待ってます(^_^)ノ
ドーモラインサン、ワッフルです
更新......まってました.....
こっちも多分丸のssの更新も出来ました.....5ヶ月ぐらい更新してませんでしたが......
続き、楽しみにしています!
球木曾さん
いえいえ!こちらこそ、更新遅くなり申し訳ないです…。
ワッフルさん
多分丸とのコラボ、そのうち始まります!
ラインさん、お久しぶりです♪みにゃんです
青年君は姉とも挨拶交わしたのか~、もう結婚するしかないでしょ~♪
で、お子さんは何時生まれるんです?
ラインさん、球木曽です。読み返して思ったのですが球技大会はどうなったんでしょうか?
まさか忘れてたとか、、、。゚(゚´Д`゚)゚。
みいにゃんさん
お久しぶりです!ケッコン……するのかな?w
子どももどうなることやらニヤニヤ
球木曾さん
球技大会なんですけど……すいません……忘れてました((((;゚Д゚))))
何とかここから繋げれるように頑張りますのでよろしくお願いします(・_・;)
ラブコメとシリアスがいい具合に混じってて、とても面白いです!
日常編も期待しております(暗黒微笑
そぬよみのさん
ありがとうございます!
日常編……今後どうなっていくやら……w
こんばんわぁ。銃士です。
青年さん、ビーチバレーがんばれー!
そして、瑞鶴の嫉妬度がどんどん上がって行く気がしますね!
これからも更新頑張って下さい!続きまってます!
青年って水着持ってんの?
銃士・十一式さん
お久しぶりです〜!
瑞鶴は大丈夫と言いましたが嫉妬度がどんどんたまっていってついに……?
今後にご期待ください。
139の名無しさん
一応あります()
了解です更新がんばって下さい!
いい忘れました↑は139です
更新待ってました!!
Twitterとお絵描きにドはまりしてしまい自分のssが更新出来ていないワッフルです(白目)
さてさて瑞鶴は青年とキャッキャウフフ(意味深)でもするんでしょうかねぇ....←
ワッフルさん
お待たせしました!
瑞鶴と青年のラブラブ度合いお楽しみに……です!
リクエストなんですが青年の実家に瑞鶴を連れていってキヤッキャウフフがみたいです!休暇で実家に帰ろうとする青年に瑞鶴がついてくみたいな感じがいいですお願いします
145の名無しさん
青年の実家ですね!了解です!
リクエストした者ですが
ありがとうごさいます!!
多分丸が....立派だ....(昇天
そして制服の瑞鶴ですか...最高です!
はい、この頃忙しくてろくに更新してないワッフルです()
ラインさんの更新待ってます!!
更新とまっちやったな…