2015-03-09 12:59:08 更新

概要

飯テロ 完結!!!!


井之頭五郎、『焼き鯖』と『肉じゃが』を食べる。

そして、井之頭五郎につきつけられた彼にとって人生最大の難問とは……。(完結しました……)


前書き

最終メシ!!!




五郎(ふぅ……)


五郎(今日の仕事はなかなか上手くいったな)


五郎(相手の人もめちゃくちゃ丁寧すぎる人だったし……)


五郎(今後もご贔屓にしてくれそうな予感……)


五郎(うーん……今から家に帰ったら、どれくらいになるかな)


五郎(そこまでの長距離ではないようにも思えるが……)


五郎(それまでに腹がもつかどうか……)


五郎(ここはあえて、少し歩いてから腹を空かせて、食べて帰るというのもありかもしれんな)


五郎(……)


五郎(よし、それを試してみるか……)



時間や社会にとらわれず、幸福に空腹を満たすとき


つかの間 彼は自分勝手になり、自由になる――


誰にも邪魔されず気を使わずものを食べるという孤高の行為。


この行為こそが現代人に平等に与えられた


最高の癒しといえるのである。


     


                  「某所・町子さんちの『焼き鯖』と『肉じゃが』」




五郎(おかしいな……どういうわけか、さっきから同じところをぐるぐる回ってるような気がする)


五郎(これはひょっとすると)


五郎(道に迷ったのかもしれん)


五郎(なんてことだ……少し歩いてメシ食ってから帰ったり、店を見つけるどころの話じゃない……)


五郎(しかも……動きまわったせいか)





五郎(完全に)





五郎(腹が……)



五郎(減った)





五郎(こうしちゃおれんな……)


五郎(空腹で、これ以上動き回るのは正直キツイ……メシを食わねば)


五郎(どこかに、飯屋はないのか……?)


五郎(……飯屋を探すためにまた動きまわらなきゃいけないのか)


五郎(うぅん……)


???「あれ? もしかして、五郎さんですか?」


五郎「ん?」


リョウ「ふふっ……お久しぶりです。町子リョウです。……もしかして、私のこと忘れちゃいましたか?」


五郎「……」


五郎(……誰?!)


五郎(いやいや、ちょっと待て……、制服……だよな。この子)


五郎(こんな若い女の子の知り合い、いたっけ……)


五郎(もしかして、俺)


五郎(あまりの空腹に白昼夢でも見てしまっているんじゃないのか……)


五郎(ほっぺた……)



五郎(痛い)


リョウ「ご、五郎さん? 急にほっぺたをつねって、どうしたんですか?」


五郎「あ、ああ、いえいえ。何でもないです」


五郎(え? これ、もしかして、白昼夢じゃないのか?)


五郎「えっと……すみません。本当に覚えていないんですが……」


リョウ「えっ……そ、そのっ……祖母の町子◯◯がお世話になったと思うんですが……その時に私もその場にいて……と、とにかく昔に一度お世話になったことがあるんです! 私は覚えてます!」


五郎「は、はぁ……」


五郎(なんだろうなぁ……この状況)


五郎(どうしよう、ここですんなり別れてしまうほうがいい気が……)


五郎(それにしても腹が減った……)


リョウ「あ、そうだ! 五郎さん、そのお礼としてウチでご飯食べて行きませんか? 私実は今一人暮らしで、今日はきりんも来ると思うので、きっと楽しいと思いますよ」


五郎(思わぬ誘いだが……アウトだろ)


五郎(見たところ確かに、大人っぽい印象のある子だけども……)


五郎(制服着てる以上、この子の家に上がり込むのはな……)


リョウ「じゃあ、五郎さん、行きましょう」


五郎「ええっ!? は、はぁ……」


五郎(いかん、ペースに流された……これ、マズイぞ……)



~リョウ・自宅~


五郎(で、結局ついてきてしまった……)


五郎(……やってしまった)


きりん「あ! リョウ遅いよ! 待ってたんだから……ってその人誰?」


椎名「町子さんよりかなり年上みたいだけど……」


きりん「ま、まさか、リョウ……禁断の恋を?!」


リョウ「ち、違います! この人は、井之頭五郎さんって言って、私、昔に一度お世話になったことがあるんです。ですから、今日はそのお礼に、ご飯でもどうかと思って」


きりん「リョウ、今日はいいけどさ~。さすがに、ヤバイよ」


椎名「うん、もっと気をつけるべきだよ」


五郎(なんだろう、俺が断らなかっただけに罪悪感が芽生える……)


五郎(すまない、町子さん)





五郎(……で、結局入ってしまった)


きりん「ところで、リョウ、今日のご飯は何にするの?」


リョウ「ええっと……今日はいい鯖が手に入ったので、『焼き鯖』にでもしようかと。あとは『肉じゃが』ですね」


椎名「お、いいね」


五郎(俺も大賛成)


五郎(……あ、お仏壇……写真が飾ってあるな……。あっ……思い出したぞ。確かに、この人に依頼されたことはあるな……)


五郎(お年寄りだったから珍しいと思ってたが……そうか。あの人のお孫さんか)


五郎(あの人も、確かすごく丁寧な人だった印象があるな……)


五郎(……。そうか、お祖母ちゃんに育てられたんだなぁ……)


リョウ「では、作っていきましょう。きりん、手伝ってください」


きりん「うん!」



~お料理~


リョウ「では、鯖を焼く前に、肉じゃがの下手入れから始めましょう」


きりん「肉じゃがって、本当にいい料理だよね! そういえば、牛肉と豚肉で結構迷う人もいるみたいだけど、私はどっちも好きだよ!」



五郎(なんか始まったぞ)


椎名「気にしないでください。いつものことですよ」


五郎「はぁ、そうなんですか……」



リョウ「まずは、にんじんやじゃがいも、たまねぎ、牛肉といった食材を切ったりして、口に合うサイズにしておきましょう」


きりん「私達は女の子だから小さめに切ったりするけど……。大き目は男の人にはオススメなんじゃないかな」


リョウ「鍋にサラダ油を熱して……牛肉を色が変わるまでさっと炒めたら、たまねぎと水気を切ったじゃが芋とニンジンを加えちゃいますっ」




五郎(なんか楽しそうだよな……)


五郎(でも、だんだんと肉じゃがのいい匂いがしてきた)



リョウ「では、ここで、焼き鯖も焼いていきましょう」


きりん「焼き鯖の定番って言ったら、醤油と大根おろしだよね! 私、これ大好きなんだー!」



五郎(俺も大好き)


五郎(すごいなぁ……腹が余計に減ってくるぞ)




リョウ「そして、最後に、ほうれん草のおひたしも用意すれば、栄養もバランスよく取れて、いい感じです!」


~お料理終了~


五郎(おおっ……いい感じじゃないか)


きりん「おいしそう!!」


椎名「さすが、町子さん……料理上手いね」


リョウ「いえいえ、そんなことはありませんよ……五郎さん、どうですか?」


五郎「あ、はい。美味しそうです」


リョウ「よかったです! では、みなさん、手を合わせください」


四人「いただきます」


五郎(ではでは……いただきますか)


~本日のメニュー~

・ライス 


・肉じゃが→家庭料理の大定番! 野菜と肉が生み出すハーモニーを召し上がれ! 


・焼き鯖→ご飯のお供にぴったり!醤油と大根おろしもセットでどうぞ


・ほうれん草のおひたし→食べれば口の中でさわやかな味が広がります



五郎(うーん、うまそう)


五郎(白ご飯から行くか……うん、いい味出てる)


リョウ「ホクホクのじゃがいもが口の中で踊るように転がって、たまらない~!」


きりん「んまいっ! 醤油と大根おろし、焼き鯖の三拍子が揃って、口の中が幸せ~!」


椎名「このほうれん草のおひたし……さっぱりとして、他の料理にも負けないくらい自己主張をしているね……」


五郎「……」


五郎(え、何、何か顔が変わったような気がするぞ……)


五郎(俺も、何かコメントしないといけないのか……?)


五郎(変な通過儀礼でもあるのかな……)


五郎(……いや、ペースに流されてはダメだ。俺は俺らしく食べるのが一番)


五郎(……肉じゃが……美味い! ダシのしみぐあいがちょうどいい感じだ……ご飯との相性もばっちり)


五郎(じゃがいもだけじゃない……にんじんもたまねぎも、どれもいい味)


五郎(さてさて、焼き鯖のほうは……)


五郎(コイツをご飯と一緒にかっこむ快感……これですよ、これ。これがやりたかったんだ……)


五郎(美味い……)


五郎(ほうれん草のおひたしもいい感じだな。さっきの子が言ってたとおり、肉じゃがや焼き鯖にも負けてない)


五郎(……)


リョウ「醤油のかかった焼き鯖のフワフワな味わいと、大根おろしのほろ苦さが集まって生み出されるハーモニー! 最高です!」


きりん「くぅ~っ! このほうれん草のおひたしの味がにくい! にくすぎるくらい美味しいよ!」


椎名「肉じゃがも……ダシがまるで食材包み込んでくれるような味わい……素晴らしいね」


五郎(……やっぱり、顔、絶対変わってるよな)


五郎(色っぽくなってるというか何というか……)


五郎(……あまり深く考えないほうがいい気が……)


五郎(……でも、美味しそうに食べてるっていうのは変わらないな)


五郎(俺も行き先の店で、たまに美味しそうな顔をして食べてくれるって、言われたことは何度かあったが……)


五郎(そうか……俺も下手をすれば今までこんな幸せそうな顔になっていたかもしれないんだな)


五郎(やっぱり、食事って衣・食・住という生きていく上で必要なものとして数えられるだけあるんだなぁ)


五郎(食べるだけで、その日にあった嬉しいこと、悲しいこと……全部ひっくるめてしまうことができる魔力を持ってたりするんじゃないか……?)


五郎(食事って……すごいなぁ)


五郎(メシを食べて幸せになる……『幸福』ならぬ、『幸腹』ってところか……)


五郎(ふふっ……今回ばかりは我ながら、なかなかいいシャレな気がするぞ)


五郎(…………いや、どうだろうか)


五郎(まぁそんなことはどうでもいいな……俺は美味いメシが食えたら、それだけで幸せ)


五郎(しかし、美味いな……この子の料理の腕、なかなかのものなんじゃないか?)


五郎(一人暮らしのスキルでここまでか……同じ一人暮らしの俺と比べると……トホホ)


五郎(……まあ、俺はもともと料理を作るような人間じゃないからな……)


五郎(でも、ちょっと興味は出たかもしれん……)


五郎(でも俺なんかがやったところで、三日坊主になるんだよな)


五郎(……まあいいか。今は食事を楽しもう)



五郎(肉じゃがは家庭料理の鉄板だよなぁ……美味い……。案外こういった小さめサイズでの切り方もいいかもしれん)


五郎(ダシが本当にしみてる……いい感じ)


五郎(焼き鯖のこの食感……ご飯と一緒に食べれば本当に天下一品だ)


五郎(これは白メシの力も大きいよな……)


五郎(焼き鮭、焼き鯖、明太子、佃煮、じゃこ……白メシにあう、おともの可能性は無限大だ)


五郎(白メシ、偉大なり)


五郎(しっかし、本当に美味い……)


五郎(ちょっと行儀は悪いが、肉じゃがを口に入れた後にご飯を入れる)


五郎(ダシがご飯といい具合にまざって、なかなかこれが美味いんだよなぁ)


五郎(くぅーっ……これだよこれ……幸せだ)


五郎(ほうれん草のおひたしもこの中ではちょっと違うが魅力的な存在だな)


五郎(どれもこれも美味すぎる)


五郎(腹がいっぱいで幸せになる……まさしく幸腹)



リョウ「ほうれん草の独特な味わいが口の中で広がって、とても美味しいです!」


きりん「ひゃーっ! この、じゃがいものホクホクの食感とダシのしみぐあいが最高にグッド!」


椎名「この焼き鯖、ご飯とあわせて食べると、味が宇宙みたいに無限大に広がっていくね……」


五郎(この子達もそんな感じなんだろうか……)


五郎(メシが美味いことはこしたことはないよな……うんうん)









四人「ごちそうさまでした」


きりん「いやーっ、いっぱい食べた食べた!!」


リョウ「きりん、おかわりもしましたもんね」


椎名「でも本当に美味しかったよ。肉じゃがのあまりがあったら欲しいくらい」


リョウ「そ、そうですか? 五郎さんはどうでしたか?」


五郎「あ、はい。全部、とても美味しかったです」


リョウ「よかったです! やっぱり、『一人で食べるより、みんなで食べた方が美味しいですね』」


五郎(え?)


五郎(…………)


五郎(………)


五郎(……)


五郎(…)

















リョウ「五郎さん、また来てくださいねー!」


きりん「さっきは疑っちゃってごめんなさ~い!」


椎名「また会いましょう」


五郎「は、はい。また機会があれば、ぜひ…‥」




五郎(さっきは衝撃で止まってしまったが……)


五郎(『一人で食べるより、みんなで食べた方が美味しいですね』……か)


五郎(俺はどっちなんだろうなぁ……)


五郎(今までは、一人で食べるのが最高だったんだが……)


五郎(今日はそれなりに嫌でもなかったんだよなぁ……)


五郎(ふふ、この答えはいつか見つかるのかもしれないな……)


五郎(でも今のところ、俺にとってはやっぱり)



























五郎(モノを食べる時は誰にも邪魔されず……自由で、救われてなきゃあダメなんだ)





五郎(この答えが変わる時も来るのかもしれないが、俺には孤独が似合っている)



五郎(まあ、それはさておき……)




五郎(そろそろ)













五郎(帰るとしますか)






                     孤独のグルメ×幸腹グラフィティ~完~

                     

                      孤独のグルメSeason Extra~完~ 



第1話



第2話



第3話



第4話・前



第4話・後



第5話



第6話パート1



第6話パート2



第6話パート3



第7話



第8話



第9話



第10話



第11話


















こんなネタもありました。孤独のグルメクロスオーバー作品(特別編で復活するかも……)



「茨城県大洗町の戦車型トンカツ」孤独のグルメ×ガールズ・アンド・パンツァー


「東京都内某所・喫茶店『どんぐり』のナポリタン」孤独のグルメ×ハヤテのごとく!


「某県某所・メイド喫茶『メイド・ラテ』の特製オムライス」孤独のグルメ×会長はメイド様!


「某県某所・海の家『れもん』の焼きそば」孤独のグルメ×侵略!イカ娘


「某県某所・喫茶『ラビットハウス』の特製パンとコーヒー」孤独のグルメ×ご注文はうさぎですか?


「東京都杉並区南阿佐ケ谷居酒屋『たるき亭』の唐揚げと鶏皮せんべい」孤独のグルメ×アイドルマスター


「某県某所・琴吹家直営喫茶店のモーニングセット」孤独のグルメ×けいおん!


「某県某所メイド喫茶『シーサイド』のサバソバ」孤独のグルメ×それでも町は廻っている


「某県某所中華料理屋『速馬食堂』のチャーハンと餃子」孤独のグルメ×うらばん!




こうやって見ると喫茶店ネタが多いです。


後書き

完結しました!
これまでの作品を読んでくださった方本当にありがとうございます!

機会があれば、特別編で復活する可能性もありますが、

このシリーズはいったん終わりにしたいと思います。


今まで本当にありがとうございました。


このSSへの評価

6件評価されています


2019-10-03 17:32:57

SS好きの名無しさんから
2019-10-03 16:55:44

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2017-06-18 12:31:55

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2015-03-15 23:32:02

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このSSへのコメント

6件コメントされています

1: ワッフル 2015-03-07 17:09:03 ID: 72jBKV2x

来ました最終話!!

楽しみです!

2: ライン 2015-03-07 20:12:24 ID: DzGIV3lL

ワッフルさん
いつもありがとうございます~
頑張ります!

3: SS好きの名無しさん 2015-03-08 17:24:42 ID: FntmS8c1

期待

4: ライン 2015-03-08 19:53:00 ID: oqr80gmD

名無しさん
頑張ります!

5: ギョタン 2015-03-09 16:07:36 ID: 8XlGwTPD

うおおおおお!
最終回お疲れ様でした!

シリーズ通してよかったです!

6: SS好きの名無しさん 2019-10-03 16:55:17 ID: S:K5BFLK

今更完結お疲れ様です!ムギちゃんとたるき亭はぜひ見たいです


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