2015-02-12 23:28:39 更新

概要

井之頭五郎、秋葉原へ―――。
全国一のサブカルチャーの街で五郎は一人で何思う。
そこで知る『スクールアイドル』の実態とは……。
(注:アニメ2期の第6話のハロウィン回辺りの物語になっています。)
(注:さらにチョイ役で一部のキャラが出ます)


前書き

登場人物紹介
・井之頭五郎
個人で貿易商を営んでいる中年の人。体格はそれなりに大きく、割と何でも食べる。
嫌いなのは食事中の至福の一時を邪魔されること

・高坂穂乃果
音ノ木坂学院に通う、元気と笑顔が取り柄の2年生。実家は和菓子屋「穂むら」
スクールアイドル『μ's』の発起人。明るく前向きな性格で、直感的な行動が多いが、それがμ'sの原動力にもなっている。μ'sのリーダー的な存在。『ラブライブ』での優勝を目指し、生徒会にアイドル活動に大忙し。

・南ことり
音ノ木坂学院に通う2年生。穂乃果、海未とは幼なじみ。性格は柔らかく、天然でおっとりしている。そのため、穂乃果と海未の衝突をなだめる場面が多い。主にμ'sの衣装製作を担当。また、カリスマメイド「ミナリンスキー」として秋葉原のメイド喫茶でアルバイトをしていた。

・園田海未
音ノ木坂学院に通う2年生。実家は日舞の家元で、穂乃果、ことりとは幼なじみ。
真面目で意志が強いが、融通の利かない面もある。μ’sでは主に作詞を担当。他にはレッスンの指導も行っている。

・西木野真姫
音ノ木坂学院に通う1年生。両親が地元の大病院を経営しているお嬢様。
歌が上手く、ピアノも弾ける。その才能に惚れた穂乃果に見初められ作曲を依頼されるが一度は固辞するものの、μ'sへの加入後は、主に作曲担当。

・星空凛
音ノ木坂学院に通う1年生。花陽とは音ノ木坂学院入学前からの親友。
体育会系でいつも明るく、面倒見が良いが、泣き虫な一面もある。しかし天然なのか時々毒を吐くことがある。
たまに「~にゃ」という語尾を付ける癖がある。

・小泉花陽
音ノ木坂学院に通う1年生。凛とは音ノ木坂学院入学前からの親友。
おとなしく、諦めがちな性格。声も小さいが、昔からアイドルへの憧れは強かったが、凛や真姫の後押しからμ’sに入部した。食べることが好き。

・絢瀬絵里
音ノ木坂学院に通う3年生。祖母がロシア人の、いわゆるクォーター。
当初、μ'sの活動に反対していたが、穂乃果達の説得と熱意から、μ'sに加入。
感動すると「ハラショー!」と(本来の「素晴らしい」という意味とは関係無い場面でも)言う癖がある。

・東條希
 国立音ノ木坂学院に通う3年生。μ'sの活動当初、たびたびμ'sのメンバーの前に現れ、助言したり、影で協力したり、温かく見守ってくれていた。絵里と同時にμ'sに加入し、今の9人体制に。

・矢澤にこ
音ノ木坂学院に通う、3年生。メンバー内では唯一、幼い頃からアイドルを目指している。
アイドル活動への積極的な提言や自身のアイドルとしてのこだわりを持っている。
当初はμ'sを気に入っておらず潰そうとしていたが、アイドル活動をしていたことを知ったμ'sのメンバーがにこを誘い、加入。


五郎(日本一の電気街、そして、サブカルチャーの街・秋葉原……)


五郎(久しぶりに来たな……こういったコンピュータ関連はあまり得意じゃないんだよな……)


五郎(……前来た時はいつだっけ? ……あの時食べたカツサンドの味しか覚えてないぞ……)


五郎(何て言うか……以前よりさらにサブカルチャー度が進化している気がするな……あっちにもこっちにもアニメ絵の女の子がいっぱいだ……何だか頭が痛くなりそうだ)



こなた「かがみ~。こっちこっち~」


かがみ「わかってるわよ……はぁ、相変わらずここは何度来ても騒がしいわね」


こなた「そんなこと言わずにさ~。かがみだって立派なオタクなんだから」


かがみ「だから私は違うって言ってるじゃない! まったく……で、次はどこを回るわけ?」


こなた「次は~~」




五郎(しかも以前よりも若者の姿も増えた気もする……)


五郎(本当に時代の流れなんだなぁ……)


五郎(本当にこの街は色々と……何だかな。俺には合わない空気が充満している……)


五郎(さてと、今日はメイド喫茶での商談だったな)


五郎(メイド喫茶いっぱいあるから迷いかねないな……少し急ぎ足でいこうか)




時間や社会にとらわれず、幸福に空腹を満たすとき


つかの間 彼は自分勝手になり、自由になる――


誰にも邪魔されず気を使わずものを食べるという孤高の行為。


この行為こそが現代人に平等に与えられた


最高の癒しといえるのである。



             「東京都千代田区和菓子屋『穂むら』の揚げまんじゅうと某店の焼き肉」




五郎(ここか……時間はちょっと早めだが、まあ大丈夫だろう……)


五郎(しかし、やはりどうも苦手だ……入るのに何でこんなに勇気がいるんだろう)


五郎(……だけどいつまでも入り口周辺でうろつくなんて明らかに不審者すぎる)


五郎(覚悟を決めて…………よし、入ろう)


メイド「お帰りなさいませ! ご主人様♪」


五郎(…………………………やっぱり苦手だ)


五郎「えっと……すいません……。こちらの店長さんとお話をさせていただきたくことになっている井之頭と申します……」


メイド「ああ! 井之頭さんですか? お話は伺ってますよ~♪ では、こちらへどうぞ♪」


五郎「はい、ありがとうございます」



店長「あぁ、井之頭さん。どうぞどうぞ。おかけになってください:


五郎「はい、失礼します」


店長「わざわざお店にまでいらしていただいて申し訳ないです」


五郎「いえいえ、お気になさらず」


店長「とりあえず、まずは企画のチラシを……」


五郎「秋葉原をハロウィンストリートに……ですか。なるほど」


店長「それで何ですが、どうでしたか?」


五郎「ええ、こちらに資料が……」


店長「ああ、どうもどうも。ありがとうございます」


五郎「貿易商なので海外のものを中心に選んでみたのですがどうでしょうか?」


店長「いいですね。あなたに頼んでみて正解です!」


五郎「ありがとうございます。それにしてもよかったんでしょうか? 日本でもこうしたグッズは結構揃うようになっているのに……」


店長「いいんです。ウチは他所とは違う! というところ、見せたいですから……あ、もっと詳しく見てもいいでしょうか?」


五郎「ええ。ごゆっくり」


店長「その代わりといっちゃ何ですが、今回のイベント内容をまとめたものをお渡ししておきますね。よければ、ご家族やご友人とかにも教えてあげて下さい」


五郎「ああ、どうも」


五郎(どれどれ……)


五郎(へぇ~。結構本格的なんだな……。ん? 『スクールアイドル』のライブ? 何だこれは……全然知らないぞ)


店長「井之頭さん? あつかましいのですが……海外のコスチュームとかも取り寄せはできるのでしょうか?」


五郎「ええ、可能ですが……ただ、間に合うかどうかは……」


店長「そうですか……うーん……お急ぎ便とかは……」


五郎「その分の手数料がかかりますが……おそらく可能だと思います。一応資料、お渡ししておきますね」


店長「ありがとうございます。あ、どうですか? 面白そうでしょ?」


五郎「え? あぁ……やはりどうも若者の力にはついていけませんね……私がまだ若ければ興味がわいたでしょうが……しかし、この『スクールアイドル』って何なんでしょうか?」


店長「ああ、『スクールアイドル』ですか。最近流行ってるんですよ」


五郎「へぇ~、ローカルアイドルとはまた別の感じでですか?」


店長「うーん、厳密に言ってしまうとちょっと違うのかもしれないんですが……そんなところですね。ウチの店にも『スクールアイドル』として活動している子がいるんですよ」


五郎「バイトしている上に『スクールアイドル』ですか……大変そうですね」


店長「ええ、最近は活動が忙しくてなかなかお店に来れないみたいで……お客様からも少し寂しいとの声が多くて困っちゃいますよ。はは」


五郎「そんなに人気の子だったんですか?」


店長「ええ、バイトし始めだったのにあっと言う間に人気が急上昇。『ミナリンスキー』と言えば通じるほどここらじゃ有名なんですよ」


五郎「……ミ、ミナリンスキー? 外人さんですか?」


店長「ああ、いえいえ。日本人の子ですよ。……あ! その子が所属しているのは『μ's』っていって、ここの近所にある音ノ木坂学院っていう女子高で活動しているんですよ。最近は学生数が少なくなっていって廃校寸前だったんですが……」


五郎「その子たちがなしにしたと……?」


店長「ええ、廃校がなしになったって聞いた時には思わず私も喜んでしまいましたよ」


五郎「へぇ」


店長「さらにさらに………












五郎(……何だか夢のような話だったなぁ……廃校をなしにした『スクールアイドル』、『μ's』か……)


五郎(結構最近知名度上がってるらしいな……そして、どういうわけか応援グッズを一部頂いてしまった……)


五郎(まあ、俺はもうそういうものにハマる歳でもないからなぁ……どうしよう。コレ)


五郎(……いかんな……考え事をしていたら小腹が空いてきたな)


五郎(ちょっと何か入れていくか……)


五郎(適当にぶらついておけば何か見つかるだろう)





五郎(ここは騒がしすぎるな……またあそこのカツサンドにしようかな)


五郎(とりあえず今はここから少し離れてみよう)






五郎(……お、あれは……)


五郎(和菓子屋『穂むら』……か。いい感じの店だな)


五郎(お! 『揚げまんじゅう』があるじゃないか……よし……)


穂乃果母「あら、いらっしゃいませ」


五郎(おお……本格的な和菓子店……)


穂乃果母「何にしますか?)


五郎「あっ……もっとじっくり見てもいいでしょうか?」


穂乃果母「ええ、どうぞ」


五郎(ふむ……揚げまんじゅうにしようかと思ったが……他の商品も捨てがたいぞ……)


五郎(しかし、いつまでも迷っているわけにはいかない……こういう店ではスピード勝負だ)


五郎「あの……揚げまんじゅう2つください」


穂乃果母「はい、わかりました」




五郎(さて、いただきますか……)


・揚げまんじゅう

衣がサクッ!あんこがフワッ! 2つの食感を味わいながら召し上がれ!


五郎「いただきます」


五郎(……サックサク……そして甘い……衣が本当にいい感じにまんじゅうを包みこんでいる)


五郎(ああ、美味いなぁ……)


五郎(群馬で食べた焼きまんじゅうは複雑な甘さだったんだが……これはハッキリとあんこの甘さが舌を通して伝わってくるな)


五郎(いかんいかん、2個しか買わなかったから、もっとじっくり味わって食べないとな……)


五郎(……やっぱり俺にはこっちのほうがしっくりとくるな……)



穂乃果「海未ちゃーん、ことりちゃーん! こっちだよ~!!」


ことり「穂乃果ちゃん待って~!」


海未「まったくいつも走り回って……危ないからやめてほしいと何度言えばわかるんですか?」


穂乃果「ごめんごめーん!」



五郎(……ああいう若い子たちが廃校を阻止か……本当に夢のような話だな)


五郎(俺がガキの頃は学校の方針になんて立ち向かうやつなんてあんまりいなかったなぁ)


五郎(……今でもそうか)


五郎(お、もう一つ食べ終わってしまった……)


五郎(さて、残りの一つを食べるか……)


五郎(しかし、美味いな……。和菓子屋『穂むら』か……)


五郎(これは今後も和菓子を買う時の候補に入れておこう)


五郎(どれだけ食べても甘さに飽きがこない……)


五郎「ふぅ……ごちそうさまでした」


五郎(ああ、楽しみの時間が終わってしまった……)


(携帯の音)


五郎(ん? あれ? あのメイド喫茶の店長からだ)


五郎「はい、もしもし。井之頭です……」


五郎「……え?! クリスマス用の商品リストも?」


五郎「え、ああ……ハロウィンイベントの最終日に。はい。わかりました」


五郎(……すごいなぁ……あの店長さん)


五郎(さすが、あのメイド喫茶激戦区で経営を保っているだけある)


五郎(……さて、それなら俺も応えてやらないとな)


五郎(帰ってクリスマス用のグッズを調べてみるか)



~Aパート:終了~


~Bパート:開始~


五郎(ふぅ……今日の仕事一つ、終わり。あとは秋葉原へ行くだけ)


五郎(確か、あのハロウィンイベントの最終日だな……)


五郎(あのメイド喫茶の店長と話し合い……と)


五郎(えーと、資料はちゃんと持ってきてるかな……ん?)


五郎(ああ……そういえば、応援グッズ、ちょっと貰ったんだっけ。カバンに入れっぱなしだった……)


五郎(あの子たち、初日では、なんだっけ……『A-RISE』とか言うグループにもってかれてたな……)


五郎(……まぁ、俺にはあまり関係ないか)


五郎(さてと、行くか)



~秋葉原~


五郎(うわ~……すごい人多いな……)


五郎(テレビの中継を見た時より多く感じる……)


五郎(しかも仮装している人たちもいるな……そんな中でスーツ姿のおっさんが一人……か)


五郎(たぶん、今、俺はすごく浮いている存在なんだろうな……)


五郎(……早いとこ済ませてしまおう)



五郎(さて、またこの店まで来たが……)


五郎(やはり、入るのには少し緊張するな)


五郎(しかし、前みたいに立ち往生はよくないな)


五郎(よし、入ろう)


メイド「トリック・オア・トリート!! ご主人様♪ お菓子をくれないとイタズラしちゃいますよ♪」


五郎(…………………)


五郎「あの、こちらの店長さんとお話させていただくことになっている井之頭と申しますが……」




店長「いや~、井之頭さん、今日、こんなに人が多いのに申し訳ない」


五郎「いえいえ、それにしても大盛況みたいですね」


店長「ええ! 井之頭さんが用意してくださったグッズも大活躍ですよ!」


五郎「それはよかったです。それでは、早速ですが……クリスマス用の資料をお渡ししておきます」


店長「ありがとうございます」


五郎「とりあえず、まだ少しシーズンには入っていないので新商品についての情報は入手できませんでしたが、以前似たようなお手伝いをさせてもらったことがあるので、その時に用意したものを中心にピックアップさせてもらいました。いかがでしょうか?」


店長「おお! さすが井之頭さんです……またお願いしますね!」


五郎「はい、また新商品についての情報が入り次第、メール等でご連絡させていただきます」


店長「うーん、これもいいですね~」


五郎「……」


店長「そういえば、もうすぐですよ」


五郎「え? 何がですか?」


店長「『スクールアイドル』のライブですよ!」


五郎「ああ、そうでしたね」


店長「私、この後、見に行くつもりなんですけど、井之頭さんもどうですか?」


五郎(いかんなぁ……何と答えればいいんだろうか)


五郎「えーと、この後実はもう一つ商談がございまして……」


店長「そうですかぁ、残念ですね」




五郎(嘘言ってでてきちゃったけど、まぁ、いいよな)


五郎(しかし、さっきよりも人が多い)


五郎(これは抜けていくのが大変そうだ……)


五郎(ん? もう始まるのか……)


五郎(ちょっと見ていこうかな)


―――――――――Dancing stars on me!


五郎(お、あれが『μ's』か……)


五郎(……へぇ、盛り上がっているじゃないか)


五郎(しかし、この曲や衣装も……彼女たちが自分たちで作っているんだろうか)


五郎(学業とも両立させて……そう思うと、何だか健気だな)


――――――――――『スクールアイドル』ライブ終了


五郎(結局最後まで見てしまったぞ)


五郎(……うーん、ちょっと若いころに戻った気分だ)


五郎(しかし、何だかな……)


五郎(腹が)





五郎(減った)


五郎(よし、店を探そう。ここら辺なら美味いものはたくさんあるはずだ)



~μ's~


凛「大成功、だにゃー!!」


穂乃果「よーしっ! この調子でラブライブも優勝するぞー!」


海未「穂乃果、ライブが一つ終わったというだけで浮かれすぎですよ」


真姫「そうよ。確かに私達のライブも盛り上がっていたけど、その後の『A-RISE』だって盛り上がってたじゃない


ことり「でも、いい経験にはなったんじゃないかな?」


花陽「はあ……緊張した……安心したら少しお腹が……」


希「楽しかった~」


絵里「みんな、お疲れ様」


穂乃果「そうだ!! せっかくだし、みんなで打ち上げしようよ、打ち上げ!!」


絵里「打ち上げ?」


海未「しかし、打ち上げといってもどこでするのですか?」


穂乃果「……い、今決める!!」


希「まぁまぁ、こういう時はウチのカードの出番やん。………カードは『焼き肉』って告げてる」


ことり「それって希ちゃんが食べたいだけじゃ……」


希「ふっふっふ……実はここに、ウチの行く焼肉店の店長からサービス券をちょうど9枚貰ってるんよ」


絵里「ハラショー! 希、用意がいいのね」


穂乃果「よーしっ! みんなで焼き肉行こう! 焼き肉!」


海未「し、しかし焼き肉というのは……」


凛「凛はラーメンがいいにゃー」


花陽「焼き肉……はっ! 白いご飯……焼き肉にしましょう!」


真姫「うぇぇ!? 花陽が壊れた……仕方ないわね。私は焼き肉でいいわよ」


凛「じゃあ、かよちんが焼き肉なら凛も焼き肉にするにゃー!」


海未「えええ?! じゃ、じゃあ……私も焼き肉で」


にこ「………」


絵里「あら、どうしたの、にこ。いつもなら『アイドルならスタイル維持は絶対よ!』とか言いそうなのに……」


にこ「前から思ってたけど、希って焼き肉が好きだからあんなに胸に肉が行くのかしら……?」


絵里「え?」


ことり「じゃ、じゃあそのお店に行こっか♪」



~五郎ちゃん~


五郎(俺は今何が食べたいんだ……?)


五郎(中華か? いや、イタリアンも捨てがたいな……こんなところに洋食屋!)


五郎(ハヤシライスに……ビーフシチュー……いや、何だかそういう気分じゃないな)


五郎(俺の腹は今、何腹なんだ……?)


五郎(うな丼……いや、それではまだまだ……)


五郎(うーん……ありゃりゃ、色々考えてたら、いつの間にか知らないところまで来てしまったぞ)


五郎(落ち着け、まずは自分の食べたいものをちゃんと考えるんだ)


五郎(とりあえず、がっつり食べたいから白ごはんは外せないなぁ……)


五郎(白ご飯があって、がっつり食べれる店……)


五郎(もはや『焼き肉』以外の選択肢が考えられないな……)


五郎(そうか、今日の俺は焼き肉を欲していたのか……)


五郎(よし、今日は『焼き肉だ』!)




五郎(お、この焼き肉店……)


五郎(これはいわゆる『隠れた名店』を引き当てた気がするぞ……)


五郎(ああ、腹が減った……何でもいい! 入ってしまおう!)


店長「へい、らっしゃい」


五郎「一人なのですが……よろしいでしょうか?」


店長「全然オッケーですよ。そこに座っといてください」


五郎(気さくな感じの人だなぁ……)


五郎(でも、こういう店のほうが俺は好き)


五郎(店構えは少し小さいが……大盛況だな)


女店員「お飲みものは何にしますか?」


五郎「えーと……ウーロン茶でお願いします」


女店員「はい。何か先に頼みたいものとかはありますか?」


五郎「いえ、決まってからでお願いします」


女店員「わかりました。何かあれば呼んでくださいね」


五郎(家族で経営しているんだろうか……そんな感じがする)


五郎(ん?)




穂乃果「えーと……じゃあ、今後のμ'sの発展……いや、成長? を祈ってかんぱーい!!!」


全員「かんぱーい!!!」


穂乃果「よーしっ! A5ランク、A5ランク!!」


海未「穂乃果……さすがにそのようなものは……」


ことり「でも、美味しそうだよ」


花陽「じゃ、じゃあ、私はライス大盛りで」


真姫「花陽……一応、焼き肉食べに来てるのよ」


凛「これだけ多いと迷うにゃー」


にこ「っていうかとりあえず、肉は一式頼めばいいんじゃない?」


絵里「そうね。希、あなたにお任せするわ」


希「うん、わかった。すいませーん」




五郎(……こんなところで出くわすとは……)


五郎(俺がμ'sファンなら卒倒してたな……はは)


五郎(おっと、俺も頼まないと……)


五郎(とりあえず、まずは俺のいつものでいくか……)


五郎「すいませーん」


女店員「はい、何になさいますか?」


五郎「えーと、ライスとナムルのセット、後はカルビ、ロース……あとハラミください」


女店員「はい。ライスのサイズは?」


五郎「あ、並盛りでお願いします」


女店員「はい、かしこまりました。ライスとナムルは、お肉より先にお出ししましょうか?」


五郎「あ、はい。それでお願いします」


五郎(さぁ……いよいよ、お楽しみの時間だ……)



女店員「お待たせしました。お肉一式セットです」


希「ありがとうな~」


女店員「いえいえ。それよりも今日のライブ、どうだったの?」


穂乃果「それはもう……」


凛「バッチリにゃー!」


絵里「ハラショー……意外と量が多いのね」


真姫「ほんと……写真よりもずっと多く見えるわ」


希「多分、サービスしてくれてるんやと思う」


穂乃果「よーしっ! じゃ、早速焼いていくよ!!」


ことり「うんっ!」





五郎(向こうはもう来たのか……というよりも、周りからもいい匂いが……)


五郎(いかん、余計に腹が減ってきたぞ……)


女店員「お待たせしました~。ライスと、ナムルのセットです。お肉はもう少しお待ち下さい」


五郎「はい」


五郎(お、きたきた)


・ライス

→焼き肉の頼れるお供! タレと絡め合わせば天下一品!


・ナムルセット

→肉を陰でささえる野菜集団。お肉の前にお一つどうぞ!


五郎(では……いきますか)


五郎「いただきます」


五郎(うん……美味い……ナムルとの相性もバッチリじゃないか)


五郎(白ご飯だけでも、いける……)


五郎(お楽しみはまだまだこれからだ……)


女店員「お待たせしました~。カルビ、ロース、あとハラミですね!」


五郎(きたきた、来ましたよ……本日の主役)


・五郎'sセレクション 

まずは定番3品から……! ただ焼いて喰らいつけ!


五郎(さて、どいつから焼こうか……)





花陽「あむっ……お、美味しいです~!」


海未「確かに……これは美味しいですね……」


にこ「んぅ~!!!! にこの口の中があっという間に肉汁で満たされて、ほっぺたが落ちてしまいそうにこ~!」


真姫「何言ってんの……」


凛「バカっぽいにゃー!」


にこ「あんたたちわかってないわねぇ! にこ達はアイドルなのよ! そのうちグルメ番組かなんかで呼ばれるかもしれないでしょ! そういった時にちゃんとしたコメントが言えないとダメなのよ!」


穂乃果「ことりちゃん! こっちのお肉も美味しいよ!」


ことり「あ、取ってくれてありがと~!」


凛「かよちん、お肉のタレとご飯って美味しいの?」


花陽「とっっっっても合うよ! 凛ちゃんもどうぞ」


絵里「真姫、タレのお代わりいる?」


真姫「あ、ごめんね、絵里」


にこ「………人の話を聞きなさーい!!」


希「まぁまぁ、にこっち、そういうのは今は気にせんと。にこっちもいっぱい食べたらどう? ここのミノ美味しいんよ」


にこ「……そうね、ありがと」





五郎(楽しそうで何より……)


五郎(……ミノか……。頼もうか)


五郎(不味いミノはゴムみたいだからなぁ……)


五郎(とと……こっちの肉も大分焼けてきたぞ……)


五郎(ではでは……まず一枚)


五郎(……!! 美味い! なんだこの美味さは……)


五郎(タレか? タレが違うのか? もう一枚……)


五郎(……やっぱり俺の思ったとおりだ。タレの味が他所とは違う……)


五郎(まさしく秘伝のタレ……ご飯との相性もバッチリじゃないか)


五郎(肉が焼かれて、そびえ立つ煙の熱気がこちらに伝わってくる)


五郎(まるでアイドルを応援しているファンの熱気そのものみたいに……)


五郎(燃え盛る炎は、まるでアイドルたちの『魂』のこもった歌のよう)


五郎(……自分でも何言ってるかわからんな)


五郎(それにしても本当に美味い……)


五郎(しまった……夢中になって食べていたらもう一杯目が終わってしまった)


五郎(腹には余裕がある……よし!)


五郎「すいませーん」


女店員「はーい!」


五郎「えーと、ライスのおかわりとあと、ミノ。それとタン塩。あとカルビお代わりで」


女店員「はい、わかりましたー!」


五郎(なんだか、こっちも熱くなってきたぞ……)


五郎(美味い……美味すぎる……!)


五郎(そういえば、川崎で食べた焼き肉の時……俺心の中で何て思ったっけ)


~回想~


五郎(『うおォン、俺はまるで人間火力発電所だ』)


~現実~


五郎(今思えばこれもすごいたとえだったな……)


五郎(だが……今は人間火力発電所というよりは)


五郎(肉という食のアイドルに翻弄されるファンの一人ってところか……)


五郎(……何だか、笑えてきちゃうな)



希(……あのおっちゃん、美味しそうに食べるなぁ)


絵里「希? どうしたの?)


希「あ、いや、何でもない」


穂乃果「見てみてー!! お肉4枚ぜいたく食い!!」


にこ「あー!! それ私の肉ー!!」


海未「というより、穂乃果、それ種類バラバラじゃないですか!!」


穂乃果「ん~……び、びみょー」


ことり「あはは……」


花陽「お、おかわりお願いします!」


凛「かよちん、いっぱい食べてるにゃ~……」


真姫「っていうか、もう三杯目よ……」




女店員「はい、お代わりと、追加のお肉です」


五郎「ありがとうございます」


五郎(さて、今度はタン塩とミノだな)


五郎(焼いていくか……その前に……)


五郎(残りのナムルを頂くか)


五郎(うん……ちゃんと主役を支える良い野菜だ)


五郎(和食でご飯を支える名脇役と言えばよく味噌汁と言われたりするが……)


五郎(焼き肉では、ナムルとか、サニーレタスとか、野菜だよな……)


五郎(おっ、焼けてきた)


五郎(……うんうん)


五郎(タン塩は塩加減バッチリ……ミノもちゃんと弾力がありつつ、味を崩していない……)


五郎(そして、米、肉……米、肉……このループ、いつまでたっても飽きがこない……)





酔っぱらいオヤジ「うーい……やってるかー!!」


女店員「え、えーと……今満席でして……」


部下と思わしき人「か、係長別の店行きましょう別の店」


酔っぱらいオヤジ「うるせー!! 今日は、焼き肉って言っただろうがよー!!」


部下と思わしき「で、ですが、満席って……」


酔っぱらいオヤジ「俺に指図すんな―! お! みろよ、かわいい女の子たちがいるじゃないか!!」


海未「え?」


真姫「な、何……」


花陽「うぅ……怖い……」


酔っぱらいオヤジ「ねぇ、君たち~。ちょっとオジサンの相手してよ~」


部下と思わしき人「係長! ダメですよ、迷惑かけちゃ……」


酔っぱらいオヤジ「お前は黙って見てろってんだぁ……俺はこう見えても口説くのうめぇんだぞ!」


五郎(……なんでこうなるかな)


五郎「あのーすいません」


酔っぱらいオヤジ「あぁ!? 誰だお前……」


五郎「見たところ、彼女達も迷惑がってるし、その辺にしておいたほうがいいんじゃないでしょうか」


酔っぱらいオヤジ「あぁ?! なんだ?! お前も指図するってんのか?!」


五郎(ここじゃ騒がしくなってしまう……)


五郎「……表出ましょう」




五郎「さすがに悪酔いしすぎです。あなたがどこで飲もうが勝手ですが、他のお客に迷惑をかけるのはよくない」


酔っぱらいオヤジ「うるせぇうるせぇ! なぐっちまうぞ!」


五郎(……)


酔っぱらいオヤジ「こんのやろー!!」



―――――――――――――アームロック


酔っぱらいオヤジ「いてててて……痛い痛い……」


部下と思わしき人「あ、あのすいませんでした。ですから離してあげてください……」


五郎(……)




五郎(……あぁ、またやってしまった……)


五郎(若干、周りの視線が痛い……)


五郎(それに……とほほ……肉、焦がしちゃったよ)


五郎(ご飯も若干冷めてるし……)


五郎(あぁ……やってしまった……)


五郎(だが、今更新しく頼むのはなぁ……少し居心地が悪い)


五郎(仕方ないか……)


五郎(今ある分だけ食べたら帰ろうかな……)


五郎(冷めてもなお、タレに合う……)


五郎(噛むたびに溢れてくる肉汁が俺の舌に絡みつく……)


五郎(やはり、この店、大当たり……)






五郎(……ふー)


五郎「ごちそうさまでした」


五郎(さて、まだ少し視線を感じるから、早いところ行ってしまおう)




五郎(うーん、それでも結構なボリュームだったし、美味かった……)


五郎(今日はこれで満足かな。また来よう。今度は静かな時に)




~後日~


五郎(さぁて……今日の仕事は少しハードになりそうだ……)


五郎(お、神田明神……たまには寄ってみるか)


五郎(お賽銭を入れて……『いい食事に巡りあえますように』)



???「あれ?」


五郎「ん?」


希「あ、やっぱり!」


五郎「……?」


希「もしかして、この前、ウチらを助けてくれた……」


五郎(あの時の……え?! 巫女さんだったのか……?)


五郎「あ、あぁ……先日はどうも」


希「こんなところで会えるなんてスピリチュアルやね。……あ! この前は助けてくれてありがとうございます。……今日はお参りですか?」


五郎「え、ええ……まぁ……ではでは」


希「そうや! お礼にウチがカードで占ってあげましょうか?」


五郎「え? ……じゃあ、お願いします」


希「……うん、……『お仕事成功します』、やって、お仕事頑張ってくださいね」


五郎「……はい」


五郎(占い系アイドルか……ちょっと新しくていいんじゃないか……?)


五郎(おっとっと……せっかくだし……)


五郎「……あー」


希「?」


五郎「そちらも……『スクールアイドル』、頑張ってください。応援してますので」


希「……ふふ、頑張ります」


五郎「では」






希「……今朝のカードのお告げの『再会』ってこういうことやったんやね……ということは……」


希「なんかウチだけじゃなく、みんなもあの人に再会しそうな気がするわ……特に」


希「穂乃果ちゃんとか……ふふ」





五郎(さて……今日もお仕事頑張りますか)


五郎(終わったらまたあの『和菓子屋』でも行ってみようかな……)




                   孤独のグルメ×ラブライブ! ~完~

次回、孤独のグルメ「東京都新宿区の裏路地『めしや』のアジフライ定食」  孤独のグルメ×深夜食堂


〜おまけ(没ネタ)



五郎(気になってμ’sについて調べてしまった......)


五郎(........この子は西木野真姫っていうのか....)


五郎(ん? 確か前に腰をやっちゃったときに診てくれた先生も西木野だった気が.....)




第1話



第2話



第3話



第4話・前



第4話・後



第5話



第6話パート1



第6話パート2



第6話パート3


後書き

これにて完結……。
孤独のグルメの原作ネタやドラマネタも結構入れてみました。

次回は深夜食堂、マイナーなほうなので……あまり期待せずお待ちください。


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2021-01-29 22:19:49

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2件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2015-02-12 13:50:43 ID: iYOP2KlH

焼き肉食いたくなってきた

2: ライン 2015-02-15 18:42:11 ID: jDP6DeBm

名無しさん
そう思えていただけてよかったです。


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