ロコナイズ禁止令
ミリオンライブ二次創作物。ドラマシアターで書いたやつです。
律子「いい?ロコ、今回あなたに来たオファーは、とてつもなく大切なお仕事になるからね」
ロコ「ノープロブレムですよ。教育番組のゲストでしたね?現代アート論、今からとってもインタレスティングです!」
律子「……番組コメンテーターの大学教授は文化勲章の授与歴もある現代美術論の第一人者、おまけに小笠原流にも詳しいマナーの大家としても有名な人物よ。司会のアナウンサーが『私のお母さんが』と言っただけで降板させられたなんてエピソードもあるぐらいだわ」
ロコ「ママをママと呼ぶのはノーグッドなんですか?」
律子「……これは思った以上に厳しいわね。エミリー、頼んだわよ」
エミリー「お任せ下さい。必ずやご期待に添えるよう頑張ります」
ロコ「ホワット!?」
律子「番組の収録まであと10日。それまでの間、あなたは日本語の強化合宿よ。親御さんの許可は取ったわ。エミリーに付いて、しっかりと正しい日本語を身につけなさい?」
ロコ「ト、トレーニング?シアターにステイするんですか?」
律子「ええ。心配しないで、ちゃんと警備員さんには常駐してもらうから」
ロコ「で、でも。ロコはクッションがチェンジするとグッドスリープ出来ません!」
エミリー「駄目ですよロコさん。そういう場合は『枕が変わると眠れない』です。Repeat after me?」
律子「ま、こんな具合にね。さあ、しっかり。楽しみな収録が待ってるわよ?」
ロコ「う、うう。分かりました。えっとクッション、じゃなくて枕。ノットスリープ、じゃない、眠れない…… 」
律子(生粋のイギリス人に日本人が日本語を教わる。よく考えなくても変な光景だわ。ま、スパルタでビシビシやるよりこれぐらいの方がロコも気楽でしょ)
エミリー「違いますよロコさん。そこはお昼ご飯の出前、というべきです」
ロコ「え、ええと。ランチ、じゃなくてご飯。ナイスデリシャス、ではなくて美味しいです……」
律子(まあ、なんだかんだ言っても集中力のある子だし。何とかなるでしょ、多分。何にしても超大物から直々のオファー。何としても成功させてみせるわよ!)
千鶴「ごきげんよう。聞きましたわコロちゃん、すごい番組のゲストに呼ばれたんですってね、頑張りなさい?」
ロコ「ロコです!」
エミリー「ロコさんそれは…………合ってますね」
(数日後)
ロコ「おはようございます律子さん。今日は収録前の打ち合わせと番組の流れの確認の予定でしたよね?」
律子「ええそうよ。うん、言葉遣いはどうやら大丈夫みたいね」
ロコ「はい、問題ありません。番組の招待客のお仕事、しっかりこなしてみせます!」
律子「ちょっと固いけどまあいいかな。ロコ、よろしく頼んだわよ。エミリーも本当にありがとう、無理言って悪かったわ」
エミリー「お役に立てたのでしたら幸いです」
律子「よし、じゃあ行きましょうか」
ロコ「はい、今から楽しみです」
エミリー「ロコさん。頑張って下さいね!」
エミリー「……それで、駄目だった理由とは?」
ロコ「………」
律子「教授に挨拶したら、その人曰く『面白い話し方をする子だって聞いてたから楽しみにしてたのに、これじゃ意味がないなあ。もっと砕けた感じというか、自然体でお願い出来ません?』だって」
エミリー「なんと。芸術にお詳しい方らしく、粋な事をおっしゃいますね」
律子「それと『好きな食べ物は何?いやちょっと気になってね。うん、あくまでアンケートだよ、番組の進行上必要になるかもだから。あとお休みの日とか何してるのかな。杏奈ちゃんや百合子ちゃんとはプライベートでも仲良いの?それと好きな映画は何で、よく付けてる下着の色とかは…え?いや番組の為だから、うん。おっといけない、サインとか書いてくれないかな。それと一緒に写真とかお願いしても…番組、番組の為だから!』なんて言い出してね」
エミリー「ご贔屓様だったのでしょうか?」
律子「最後まで番組の為って主張し続けてたけどね。とりあえず、収録は延期になったわ」
ロコ「あんなに練習したのに。今更すぐ元に戻せと言われても無理ですよ」
エミリー「弱りましたよね…どうするのですか?」
律子「しょうがない、また助っ人を呼びますか。あの子なら多分力になってくれるでしょ」
律子「……ああもしもし、仕事は終わった?そう。じゃ、悪いんだけどちょっと劇場まで来てくれないかしら。うん、新しい仕事よ、正確にはそのお手伝いだけど」
律子「え?いや、そんな大げさな物じゃないわ。少しの間、ロコとおしゃべりしてくれればいいの…すぐ来れそうなのね、なら待ってるから」
律子「それじゃお願いね? 歩。」
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