2020-02-29 09:46:27 更新

概要

この作品には設定があります(詳しくは前書きをご覧ください)
話しのスタートは美紀が居る+太郎丸が生きてるアニメ版を使います(後々から本の方のストーリーになります)


前書き

和野方長谷(なぎのがたながや)

性別 男
年齢 19
接近武器 刀
サブ接近武器 サバイバルナイフ
遠距離武器 前回で使い切り捨てた
荷物 食料や水、酒を持っている
常時負傷状態ー右手を失っている



情報

・右手に包帯を巻いてる(深い傷跡あり)※
※追記 右手はネメシスと戦った時に破損して今はもうない
・かなりの低体温(通常体温26度…?)※
※追記 胡桃と一緒の薬を打ったことによって体温はもうほぼない状態
・学校には行ってない(高校も行ってない)
・身体能力は高いが頭は残念…?※
※追記 元々科学者で生物学を学んでいた
・動物に好かれない
利き手は両利き(基本右)






設定内容(重要)

1、和野方長谷の右手の深い傷は一生治りません※
※上記に追記 右手はネメシス戦で破損
2、和野方長谷にはめぐねぇが見える事にします(見える時と見えない時があります)※
上記に追記 太郎丸も見えます
3、バイオハザードに出てくるネメシス(追跡者)やゾンビ犬が登場します(ハンターやリッカー、その他は出しません)※
※上記に追記 新しくタイラントを追加します
4、雨の日や夜でもゾンビが外や学校内に居る事にします(原作の方では生前の記憶があるとの事で少なくなっているらしいですがその設定は若干なしにします)
5、戦闘要員は基本恵飛須沢胡桃、和野方長谷とします(例外の時あり)
6、スナイパーライフルの弾数制限は無限とします※
※上記に追記 前回で使い切ったためもうありません
7、本作と同様ゾンビは走れない、思考能力がない、音や光に反応、動くものに反応することにします(タイラントは走って追跡ありにします)
8、設定削除
9、未成年ですがお酒を飲むシーンを入れます(タバコはなしとします)
10、和野方長谷は戦闘能力は高いが頭が悪い事にします(頭が悪いはフリです)
11、一応恋愛を入れるつもりはありませんが良い雰囲気や抱きつき、酔ってキスシーンを入れるかも知れません(断定はできません)
12、バイオハザードに出てくるハーブや救急スプレー等は出てきません
13、本の方では美紀が居る時点で太郎丸は死んでいますがTVアニメ版を使うので太郎丸は生きていることにします(元々美紀と一緒に居た圭以外の生存者はアニメ版の方では出て来ないので圭以外の生存者はいなかったことにします)
14、文がなんかおかしいと思うところが存在しますが間違えてません ちゃんとした理由がありますのでご注意ください(脱字や誤字、文脈がおかしいと思う所は存在すると思いますがごめんなさい)
15、最初はアニメ版を使いましたが後々本の方のストーリーになっていきます


ネタバレも入っていますがご勘弁下さい












悠里 「…っん?どうしたのるーちゃん 長谷さんの方に指さして……」


和野方 「…っえ」クルッ




? 「フゥゥ…」スタッスタッ… 白くてデカい、左手の爪が異常に長く、まるで剣のような形をした化け物が長谷たちがいる通路を歩いている




悠里 「…っえ なっなに!?あの化け物!!」


和野方 「(…うっウソだろ…?あれは、俺の夢の中で出てきたタイラント!!まさか、ホントにいたなんて…!!)」



タイラント 「フゥゥ……」スタッスタッ… 徐々に和野方たちに近づいていく(まだ夜のため、視界が悪くてまだ和野方たちがいることには気づいていない)



悠里 「あっ…あぁ!!」ガクガク…


和野方 「ーっ悠里こっちだ!」ガシッ 悠里の腕を掴んで引っ張る


悠里 「…っえ あっはい!」


和野方 「(とりあえずさっきゾンビ共がいた教室に隠れよう!もうゾンビは残ってないだろうから隠れるならここしかない!)」


和野方 「(中に隠れられる場所があれば…!)」タッタッタッ!!



ゾンビ 「ヴァァッッ!!!!」


和野方 「まだいたか!じゃまだこのやろう!」ゲシィ!!


ゾンビ 「グオォォッッ!!!!」バタンッ 蹴られて廊下側に倒れ込む


タイラント 「フゥ…」ジロッ


ゾンビ 「オォォ…」ヨロッ…スクッ


タイラント 「ガァァッッ!!!!」ダンッ!!!!



ドスゥッ!!!!


ゾンビ 「グァァッッ!!」ブシャアッ!! 左手の剣みたいなものが腹にぶっ刺さる


タイラント 「フゥゥ…!!」ガシッ



ブチチチチチッッ!!!!!!


ゾンビ 「ガァァァッッ!!!!!!」ビチャビチャッ!!!! 刺されたところからタイラントのもう片方の手で腹を掴まれて引きちぎられて体内物が床一面にぶちらげる


タイラント 「フンッ!!」ブンッ!!



グシャアッ!!!!


ゾンビ 「」剣みたいなものから滑り投げださられて頭が破裂して床に倒れ込む


タイラント 「フゥゥ…」フシュー…




悠里 「ーっ…!!」ガタガタ…


和野方 「…」ハァ…ハァ…


和野方 「(あぶねぇ…あいつ、夢で見た通り動きが早い 一瞬にしてあのゾンビを殺しやがった!)」


和野方 「(すぐに隠れることができて良かった…もし隠れられてなかったら死んでた!!)」フゥ…


和野方 「(…悠里はだいじょうぶか?)」チラッ


悠里 「ーっ…まっまた、他のと違う化け物……!!こっ今度こそ 殺される…!!」ガタガタ…


和野方 「っ! おっおい悠里!」ガシッ


悠里 「あっあぁ…!!ダメ…今度こそ、殺される!!今すぐそこにいるから…ぜったい、バレる…!!」ハァーッハァーッ…


和野方 「ちょっ!落ち着け悠里 ここでやり過ごせば平気だから!だから理性を保て!」


悠里 「あっあはは…!だめ…るーちゃん わたし、お姉ちゃんなのに…すごくこわいの!」ブルブル…


悠里 「手の震えや…かじかみも止まらないの ねぇ…どうすればいいの……?」カチカチ…


和野方 「(やばい!これ以上恐怖に落ちたら発狂する!今発狂なんてされたらタイラントにバレる!)」


和野方 「(今俺は身体中返り血で血まみれなんだが…しかたない!)」


和野方 「悠里 ごめん!」ガバッ


悠里 「っ!」和野方に抱きしめられる


和野方 「…悠里落ち着け 俺が着いてるから…お前の身は安全だ だから怖がらなくていい」ギュッ…


和野方 「もし怖いなら俺に抱きつけ そうすれば、少しは落ち着くだろ?」


悠里 「…長谷さん……」


悠里 「…そうね 長谷さんに抱いてもらえば、少しは落ち着けそう…」


悠里 「…長谷さん あの化け物がどこか行くまで…抱いててください」


和野方 「わかった」ギュッ




タイラント 「フゥゥ…」


タイラント 「フシュゥ…」スタッスタッ…




和野方 「…」


悠里 「ーっ…」ブルブル…


和野方 「(…警戒してるな やっぱり、さっき俺が殺した大量のゾンビの死体があるから誰かいるんじゃないか探してるな)」


和野方 「(このままだと、しばらくはここから出ることはできなそうだな 足音がしなくなっても、今は夜だから出歩かない方がいいだろ 朝になるまで待つか)」


和野方 「(その間に胡桃たちが乗ってる車がバレなければいいんだが…たのむからバレないでくれよ)」




タイラント 「フゥゥ…」スタッスタッ…












朝ー車の中



胡桃 「…ん」スゥ…


胡桃 「…朝か ふぁぁ…!」ググッ


胡桃 「さてと、りーさんの様子見てみるか まだ寝てるか?」ヨット


胡桃 「おーいりーさん 起きてるか?体調の方は平気か…」シャーッ




ベッド 「」


窓にかけられてるカーテン 「」ヒラヒラ… 風になびいてヒラヒラと動いている



胡桃 「っ!!!!」ドクンッ


胡桃 「(りーさんがいない…!!しかも窓が空いてる!!まさか、一人で探しに…!!)」


胡桃 「おっおい起きろみんな!!まずいことになったぞ!!」


美紀 「っえ!?なっなんですか!」ガバッ


由紀 「んー…どうしたの?」モソッ…


胡桃 「りーさんが一人で探しに行っちまったんだ!あの奴らがいる中にだ!!」


美紀 「っえ!?ゆうり先輩が!?」


由紀 「うーん…まだねむぃ……」ウゥー


胡桃 「長谷!お前もついてきてくれ!りーさんを探しに行くぞ!」


シーン…


胡桃 「…あれ 長谷…?いないのか?」


美紀 「…もしかして、長谷さん 先に起きてゆうり先輩を探しに行ったんじゃ…」


由紀 「んんー!…ふぅ おはよう!みんな」


胡桃 「ゆき!お前ちょっと留守番してろ!いいな!」


由紀 「っえ?うん わかった」


胡桃 「みきついてきてくれ!一緒に探しに行くぞ!」スチャッ


美紀 「はい!」


タッタッタッ…











胡桃 「くそ!甘かった…!夜見張りしとくんだった!」


美紀 「落ち着いてくださいくるみ先輩!まだ中に入ったと決まったわけじゃありません!」


胡桃 「そうだけど さ!」


美紀 「とりあえず手分けして探しましょう 10分後に一階で集合で!」


胡桃 「わかった!それじゃそっちは頼むぞ!」


美紀 「はい!」



ギィィ…


胡桃&美紀 「「っ!」」



和野方 「ふぅ…やっと外に出れた てかもう朝だよ……」


悠里 「ーっ…」ボー… 眠気に襲われてほぼ寝ている


胡桃 「りーさん!長谷!」


美紀 「無事だったんですね!…それと、それは……?」


くまのぬいぐるみ 「」


悠里 「…だいじょうぶ 友達よ」


くまのぬいぐるみ 「」


悠里 「…ね いたでしょ?ちゃんと生きてたよ」


悠里 「わたし…間に合ったよ」


胡桃 「…っえ」


美紀 「……ゆうり先輩 それ…」


和野方 「よかったな 見つかって!」


胡桃 「っ! あっあぁ!そうだな 見つかってよかったな!」


美紀 「勝手に出て…心配したんですよ?」


悠里 「ごめんなさい でも、どうしても気になって…」


和野方 「まぁ無事に戻って来れたらんだからいいじゃないか!」


胡桃 「…そうだな てか、長谷お前血まみれだが…それ、全部返り血か?」


和野方 「あぁ ちょっと昨日見た教室の中にいた奴らを殺ったからな けっこうな人数いたからもう返り血まみれだよ」


和野方 「…このまま川とかに入って血を流したい 手洗いなんてやりたくないぜ……」


胡桃 「たしかに…」



ガチャッ


由紀 「あっりーさんながながおかえりー!…あれ?その子どしたの?」


和野方 「…っえ その子…?」


悠里 「ずっと隠れてたんだって 危ないところだったの」


由紀 「…」


由紀 「そっか 大変だったね?もう大丈夫だからね ずっとみんな一緒だからね!」ナデナデ


くまのぬいぐるみ 「」


和野方 「…」


和野方 「(由紀も子供に見えるのか…?あのくまのぬいぐるみが……)」


和野方 「(でも一瞬間を開けたような…気のせいか?いや、でも……)」


胡桃 「…そろそろ行こうぜ あんまりいると集まってくる」


由紀 「うん!っと その前に」スクッ


とてて…


由紀 「おかえりなさい!」


全員 「「…っふ!」」


全員 「「ただいま!」」













…とある公園の前ー休憩中



悠里 「ねぇるーちゃん 自己紹介が遅れちゃったけど、私わね ゆうりっていうの りーでいいわよ」


くまのぬいぐるみ 「」


悠里 「…うん!りーよ よろしくね!」


くまのぬいぐるみ 「」



由紀 「おっはよー!げんきぃぃー?」デデデデデッ


くまのぬいぐるみ 「」


悠里 「あっ…大丈夫よるーちゃん 私の後ろに隠れなくても」


悠里 「この人はゆきさんよ ほら?あいさつして」


くまのぬいぐるみ 「」


悠里 「…元気でおもしろいお姉さんよ だから安心して?」


くまのぬいぐるみ 「」


由紀 「へぇー るーちゃんっていうんだ?よろしくね!」


くまのぬいぐるみ 「」


由紀 「…ならこれでどうだ!」

∈( ⊙__________ ⊙)∋ビヨーン


くまのぬいぐるみ 「」




美紀 「…」車の中から外で遊んでる由紀たちを心配そうに眺めてる


和野方 「…あの、美紀…?俺の話し……聞いてるか?」


美紀 「…っえ あっごめんなさい 聞いてませんでした」


和野方 「やっぱり…」ハァ…


胡桃 「また怪物が現れたんだとよ …高校で過ごしてた時に現れた……あの、ね ね……」


和野方 「ネメシスな」


胡桃 「そう!それだ!」ビシッ


和野方 「しかも今回のはマニュアルにも載ってない怪物だ おそらくマニュアルを各場所に配り終わってから新しく作った怪物だろ」


和野方 「左手の爪が異常に長くて足も早い 俺の目の前でゾンビを一瞬にして長い爪でぶっ刺して もう片方の手で腹をかっさばいて殺してた」


和野方 「…正直、ネメシスより強いと思う こんなこと言っていいのかわからないが…」


胡桃 「…出くわしたら最悪だな その時はどうするか……」


美紀 「…」


和野方 「…最悪、その時は俺が囮になるよ もちろん死ぬ気はないから安心してくれ」


和野方 「死ぬ気ないならいいだろ?まぁ元から死ぬ気なんてないがな」


胡桃 「…」


美紀 「…生きて私たちのもとに戻って来れる保証はあるんですか?」


和野方 「…」


美紀 「…ないならやらないでください もしそれで、命を落とされたら……」


和野方 「……だが、今の状況からしたら 誰かが囮になるしかないだろ?俺がまともに動けたり、もしくはライフルがまだ使えればならなくて済んだかもそれないが…」


胡桃 「…ごめん 使えなくさせて」


和野方 「あぁいや!別に責めてなんてないからな?あの時は仕方なかったんだから…」アタフタ


胡桃 「だとしてもだ 今ライフルが使えてれば、もっと安全に来れたはずだ それに少なからず りーさんたちにも奴らを倒すのを手伝ってもらえたはずだ」


胡桃 「私がお前に…ライフルに使う火薬を渡してなければ、こんなことには……」


和野方 「やめろ それ以上ネガティブになるの」


和野方 「たしかにお前が渡しに来たが、使ったのは俺だ 最終的に使えなくさせたのは俺だからお前のせいじゃない」


和野方 「それにもし、あの時爆弾を作って持ってきてくれなければ俺は死んでた 火薬を全部使って作ってくれたこそ、俺は今生きてる」


和野方 「お前のせいじゃないし、お前のせいにする気もない だから自分を責めるな」


胡桃 「長谷……」


胡桃 「…ごめん 暗くなって……」


和野方 「謝ることはない 今この状況で暗くなるのは仕方ないことだ まして悠里があの状況じゃな…」




悠里 「るーちゃんいい子ね?いいこいいこ!」ナデナデ


由紀 「びろーん!」

∈(´_________________`)∋ビローン


くまのぬいぐるみ 「」




美紀 「…」


胡桃 「…どうにかできないか?長谷 もうお前にしか頼れないんだ!あそこまでいったら私たちじゃもう……」


和野方 「…どうにかできないかと言われても……」


美紀 「…私からもお願いします長谷さん どうかゆうり先輩を!」


和野方 「っ…きついこと言ってくれるな?ふたりとも そうだな…」ウーン…


全員 「「…」」


和野方 「…よし!もしお前らが許可してくれるなら とりあえず実行できることはあるぞ」


胡桃 「なんだ?」


和野方 「べつにやましい気持ちでやるわけじゃないからそこだけは勘違いしないでくれ」


美紀 「…やましい?」


和野方 「今夜、悠里と一緒に寝る」


胡桃 「…。」


美紀 「……はい?」


和野方 「…まぁそういう反応するよな?ちゃんと説明するから聞いてくれ」


和野方 「悠里は俺に好意を持ってるだろ?それは二人もわかってるよな」


和野方 「しかも俺は悠里の悩みを何回も聞いてる お前らと比べたら少ないと思うが、相談しに来てくれてるということは信用してくれてるという事だ」


和野方 「さらに言うと、悠里は俺に触れてると落ち着くって言ってたんだ なら俺が近くにいれば気持ちが落ち着くんじゃないかと思ったんだ」


和野方 「休めるときに休めないとずっと悪くなるだけだからな せめて寝る時ぐらいはゆっくり休ませて 悠里を落ち着かせてやりたいんだ」


和野方 「…どうだ?ダメなら別の方法を考えるが」


胡桃 「…」


美紀 「…信じて、いいんですよね?」


和野方 「信じる信じないはお前たちが決めることだ 俺が決めることじゃない」


美紀 「…」


胡桃 「…わたしは賛成だ 今のりーさんを落ち着かせることができるのは長谷だけだ 長谷の案に賛成するぜ」


美紀 「くるみ先輩…」


和野方 「…美紀はどうだ?ダメならダメで構わない 正直に言ってほしい」


美紀 「……」


胡桃 「…」


和野方 「…」


美紀 「…わかりました 長谷さん、あなたのこと…信じてますからね?期待を裏切るようなことはしないでくださいね」


美紀 「ゆうり先輩のことをよろしくお願いします」


和野方 「任された できる限りはやってみるよ」


胡桃 「たのむぜ」













お昼ー車の中



全員 「「いただきまーす!」」


胡桃 「んー!今日の昼飯も美味いぜ!」モグモグ


美紀 「そうですね」モグモグ


和野方 「…」モグモグ…チラッ


悠里 「うん!おいしい るーちゃんも食べる?」スッ


くまのぬいぐるみ 「」


美紀 「…」モグッ…


胡桃 「…」モグモグ…


由紀 「ぶくー」( ー̀εー́ )ブクー


美紀 「」ブッ


和野方 「きたなっ!?」


悠里 「こーらゆきちゃん なにしてるの?」


由紀 「食事は楽しくだよ!」モグモグ


美紀 「こほん…先輩は楽しさの基準が幼すぎます!」


胡桃 「いやあれがやつの精一杯だ」


由紀 「そうそうそうなんだよ…ってなんかひどいこと言われてる!」

(|| ゚Д゚)


悠里 「わるいお姉ちゃんですねー るーちゃんは真似したらだめよ?」


くまのぬいぐるみ 「」


悠里 「こら!だから真似しちゃだめよ!」


由紀 「うむ!その調子だよるーちゃん!」


胡桃 「子供って悪いことはすぐ真似するよな」


由紀 「へっへーん!」

(`・∀・´)エッヘン!!


美紀 「そこは自慢するところではないでしょう…」


和野方 「…」モグモグ


和野方 「(意外にも落ち着いてるな くまのぬいぐるみが子供に見えるみたいだが、それがまた悠里の心を癒してくれてるのがわかる)」


和野方 「(由紀のふざけもなかなか効果があるようだし、この調子ならまた勝手な行動はしないだろ)」


和野方 「(このまま続いてくれればいいんだが…)」モグモグ…


悠里 「よしよーし えらいわね?るーちゃん」


くまのぬいぐるみ 「」
















悠里 「ーっ…」///ドキドキ


くまのぬいぐるみ 「」悠里の隣に置いて一緒に寝かせている


和野方 「…だいじょうぶか?悠里 いやならいやと言ってくれれば出るけど」人形とは反対側に悠里の隣に寝ている


悠里 「そっそそそんなことないわ!ぜっ全然いやだなんて!」///


和野方 「…そうか?」


悠里 「えっえぇ ただ…へっ変なところは、触らないでくださいね?触るならみんなが寝てからに…」///


和野方 「いや触らないから安心してくれ てか皆がまだ起きてる時に変なこと言わないでくれ」


悠里 「ごっごめんなさい…」///ドキドキ


悠里 「(あぅぅ…なっなんでこんなことになったの!?長谷さんがわたしと一緒に寝るなんて急に言ってくるから思わず叫んじゃったし…)」///


悠里 「(後ろを振り向けば長谷さんの顔が…ってむりむり!恥ずかしすぎて振り向けない!)」///


悠里 「(それにお腹のところに長谷さんが手を乗せてきてるし…こっこれ、いつ変なところ触られてもおかしくないわね……)」///ドキドキ


悠里 「(…でも、長谷さんにならそういうことされても……)」///ドクンッドクンッ…


和野方 「…」


和野方 「(…めっちゃ悠里の心音が響いてくるんだが これ逆に落ち着かせることできてないな……)」


和野方 「(てか、さりげなく抱いちまったがこれまずいよな 完全にこれのせいで悠里興奮してるよ…)」


和野方 「(今から手を離したら離したで落ち込みそうだし かといってこのまま抱いたままにしておくと落ち着いてもらえなさそうだし……どうしよう)」


悠里 「…あっあの、長谷さん もう少しこっちに寄って…?」///


和野方 「っえ 寄るの…?」


悠里 「…いや?」///ウルウル


和野方 「…すっ少しだけだぞ?(完全にくっついたら色々とまずいからな…)」ヨット


悠里 「っん…!」///ビクッ


和野方 「っえ あっえと…どっどこか変なところ触ったか…?」


悠里 「いっいえ…すみません 長谷さんの吐息が耳元に届いたので、それで……」///ドキドキ…


和野方 「あっわるい やっぱりもう少し離れるか」スッ… 悠里から少し距離を取ろうと…


悠里 「っ! だっだめ!」///ガシッ


和野方 「っ!」


悠里 「だっだめよ べつに吐息ぐらい届いていいから…はっ離れないで」///カァァ


和野方 「…あっあぁ わかったよ」


悠里 「〜っ…」///プシュー…




胡桃 「…(ねっ寝れねぇ…めっちゃりーさんたちのことが気になって眠気がささない)」///


美紀 「(ゆっゆうり先輩…変な声出さないでくださいよ こっちまで変な気に……)」///




悠里 「ーっ…なっ長谷さん もっと近寄ってくれる…?」///


和野方 「…っえ もっと?」


悠里 「…だめ?」///ウル…


和野方 「…こっこれ以上はいろいろとまずいから……その、だな?」アセ


悠里 「…かっかまわないわ その…わっわたしは、気にしないから…」///カァァ



胡桃&美紀 「「ッ!!!!!?」」///



和野方 「いやいや悠里さん?あなたは気にしないかもしれませんが俺が気にするのですが…」


悠里 「ーっ…おねがい もっと近寄って」///


和野方 「……そっそれじゃもうちょっと近寄るよ これ以上はムリだからな」ヨット…


悠里 「ーっ…!」///グッ…



…トンッ 近寄ってきた和野方に自ら身体を後ろに持っていき密着状態になる


和野方 「っ!? おっおい悠里!(やばっ!下半身が悠里に着く!!)」///スッ すぐさま下半身のみ悠里から身を引かせるが…


悠里 「…なっ長谷さん 今のって……」///ドキドキ…


和野方 「よし悠里!早く寝るぞ!早く寝て早く起きるぞ!」


悠里 「ーっ…えっえと、はい……(いっ今のって…男性の……!)」///カァァ!!


悠里 「(しかもか…硬かった……!なっ長谷さん…もしかして 興奮して……!!)」///ドキドキッ!!…



和野方 「(やばいやばいっ!?軽くだが当たっちまった!あまりにも悠里が誘惑してくるから俺のアレがあーなっちまってるから近づきたくなかったのに!)」


和野方 「(こっこれはまずいことになったな たぶん…いや、ほぼ確実に俺のアレがあーなってるのバレたな さっきと比べて悠里の心音がめちゃくちゃでかくなってるし……)」


和野方 「(…どっどうしよう……)」


悠里 「ーっ…」///ドキドキ…



胡桃 「…なっなぁ二人とも 早く寝てくれないか…?お前たちの声が響いて寝れないんだが……」///


和野方 「っえ!?あっわるい!そろそろ寝るよ」


胡桃 「たのむぜ…(これで早く寝てくれればいいが…)」///


美紀 「(…たぶん寝ないと思う まだ続きそう……)」///


由紀 「すー…すー……」













深夜…



胡桃 「すぅ…すぅ……」


美紀 「すぅー…すぅー……」


由紀 「すやすや……」



和野方 「すぅ…すぅ……」


悠里 「んー…すぅ…すぅ……」



…ガバッ!!


悠里 「るーちゃん!?」


和野方 「っ!? なっなんだ!どうした!?」ガバッ


悠里 「…るーちゃん だいじょうぶよ 落ち着いて?」ナデナデ


悠里 「こわかったのね でもほら 私がいるから安心して」ギュッ


くまのぬいぐるみ 「」悠里に抱きしめられて撫でられるか何も喋らず反応もしない


和野方 「…悠里……」


悠里 「…っあ ごめんなさい 急に大声出しちゃって 起こしちゃったわね」


和野方 「あぁいや 別に気にしてないよ それよりどうだ?るーちゃんの様子は」


悠里 「…落ち着いてきてるわ さっきまで泣いてたのにもう泣き止んでるわ」ナデナデ


和野方 「…そうか ならよかった」


悠里 「さっまだ夜遅いから寝ましょうね 明日も早いから」パサッ


和野方 「…そうだな」


悠里 「…ねぇ 長谷さん」


和野方 「なんだ?」


悠里 「…るーちゃんがね 私たちのこと、パパとママだって言ったの らっラブラブだねって…」///カァァ


和野方 「…そっそうか るーちゃんにはそう見えるみたいだな」


悠里 「…ねっねぇ長谷さん もっもしもよ?もし、ここから出られたら…長谷さんはどうするの?」///


和野方 「…っえ」


悠里 「わたしはね この子の養子になって一緒に暮らそうと思ってるの もちろんみんなも一緒に」


悠里 「…それで、長谷さんにも来て欲しいなと思って…どっどうかしら?」///ドキドキ


和野方 「っえ そっそうだな…」


悠里 「…わっわたしは、来て欲しいなって思ってるの ほっほら!男子ってなにかと便利でしょ!?力だって強いし なにか会った時に頼りになるというかなんというか……」///アタフタ


悠里 「…だっダメかしら……?」///ドキドキ


和野方 「…」


和野方 「(…悠里 それほとんど告白してるようなものだからな 男に一緒に暮らしたいなんて言ったら…)」


和野方 「(…だけど、それはムリだな もし叶えてやれるなら叶えてやりたいが…俺はもう助からないんだ)」


和野方 「(俺だってみんなと暮らせるなら暮らしたいさ 今までこのメンバーで生き残ってきたんだ 生きて元の暮らしに戻れるなら一緒に……)」


悠里 「…だめ?」シュン…


和野方 「…いいよ 一緒に暮らすか」


悠里 「っ!」///ドクンッ!!


和野方 「…生きて元の生活に戻れたら、みんなで一軒家でも借りて暮らそうぜ 必ず生きてな!」


悠里 「ーっは はい!」///


和野方 「(…そう これでいいんだ 今さえ良ければ後のことは……)」


和野方 「(……今さえ、良ければ………)」


悠里 「えへへ!長谷さんはほんとに優しいですね 私のわがままを何度も聞いてくれて ほんとに嬉しいわ!」///


和野方 「そうか?別にお前のわがままを聞いてたつもりじゃなかったんだが」


悠里 「長谷さんはそう思うかもしれませんが私はすごく聞いてもらってると思ってるわ わたしのしてほしいこと聞いてくれてありがとね?長谷さん」


和野方 「…あっあぁ どういたしまして」


悠里 「…ねぇ長谷さん もう少しだけ、わがまま言ってもいい?」///


和野方 「っん なんだ?聞いてやれることなら聞いてやるけど」


悠里 「…わっわたしに……その、」///ドキドキ


悠里 「……みっ密着して、抱きしめてほしいの」///カァァ…


和野方 「……っえ」


悠里 「ほっほら!その…すっ少し寒いでしょ?だから…ぬっ温もり欲しいというかなんというか……」///プシュー…


和野方 「…えっえと、そうだな…温もりが欲しいか?温もり……か」///カァァ


悠里 「っ…だっだめ……?」///モジモジ


和野方 「(…どっどうすればいい 今そこまで暑くないんだが……)」


和野方 「(てか密着してほしいって…悠里 それは非常にまずいんだが!)」


和野方 「(今この場で密着したら確実に俺のあれが悠里に触れることになる!もしそんなことになったら本気でまずいことになる!)」


和野方 「(どっどうしよう…この状況をどう打開すれば……!)」ウーン


悠里 「…っ」///スッ…



ピトッ…


和野方 「っ! おっおい悠里!」///バッ!! すぐさま後ろに下がって前かがみになる


悠里 「…だっだいじょうぶよ わかってるから……」///ツカミッ…



ムニュッ


和野方 「っ!!!?」///左手を掴まれて悠里の胸元に持ってかれ強制的に揉まされる


悠里 「ーっ…どっどう?や…柔らかい、でしょ……?」///マッカッカ


悠里 「もし、長谷さんがわ…わたしで、興奮してくれてるようなら……いいわよ」///ギュッ…


悠里 「今ならみんな寝てるから…多少の声はへいきよ だっだから……」///プシュー…


和野方 「…悠里……」///ドキドキ


悠里 「…ほっほら もっと、揉んでいいのよ?胸だけは自信あるから……」///


和野方 「っ…」///ゴクリッ


悠里 「っ……」///ドキドキ


和野方 「ーっ…だっダメだ となりにはるーちゃんが寝てるんだから!」


悠里 「るーちゃんも気持ちよさそうに寝てるわ だから…」///


和野方 「だっだとしてもだ!いくら寝てるとはいえ、いつ起きるかわからないだろ!だから……!」


悠里 「……はぁ ばか」ヨイショッ


和野方 「…っえ」ポスッ


悠里 「…なら 私からするわ」///和野方に覆いかぶさって押し倒した状態の体勢になる


悠里 「長谷さんがいつまで経ってもしてくれないのが悪いのよ?私がこんなにも誘惑してるというのに…」///


悠里 「…覚悟、してくださいね!」///スッ… 顔を近づけてキスしようと…


和野方 「っちょ!?まっ待てゆうり!顔を近付けるな!」フイッ 顔を横に向かせてキスしようとしてくる悠里を回避する


和野方 「俺とキスするのはやめろ!それだけはほんとに!」


悠里 「どうして?わたしは長谷さんとキスしたいのにダメなの?私のこと嫌い?」


和野方 「いや嫌いじゃない むしろ好きだけど…」


悠里 「ならしてもいいじゃない お互い好きなら問題ないでしょ?」


和野方 「そっそれとこれとは話は別だ!お互い好き同士といっても俺には麻梨愛が…」


悠里 「今だけでもいいから私を見て!おねがい!」


和野方 「っ…」


悠里 「……おねがい 見て…?」


和野方 「………」


悠里 「…長谷さん……」


和野方 「……ごめん それはムリだ もし抱いてやれるなら抱いてやりたいが…」


悠里 「【……感染、するから?】」


和野方 「っ!?」ドキッ


悠里 「…やっぱり、そうなのね あの時教えてもらったけどほんとだったのね……」


和野方 「…あの時って まさか、酒に酔ってたときの記憶があるのか!?」


悠里 「…えぇ ほんとは覚えていたの 感情はお酒のせいで高ぶってたけど、長谷さんにキスしようとして…感染者だからムリだって言われたこと」


悠里 「…でもお酒が冷めてから覚えてたなんて言ったら 今後、長谷さんとはどういう顔で合わせていけばいいか分からなくなるから忘れてた振りをしてたわ」


悠里 「今の関係を壊したくない…私の思いを受け取ってもらえないとわかっているから、覚えてないふりをした…」


悠里 「そうでもしないと…わたし、ほんとに壊れちゃうから……!!」ググッ


和野方 「悠里…」


悠里 「だからおねがい長谷さん 一度だけでいいから私を抱いて!一生のおねがい……!」


和野方 「………」


悠里 「…ほんとに、おねがい……」


和野方 「…わかったよ」スッ…


グイッ


悠里 「きゃあ!」トサッ 和野方に背中を掴まれて引き寄せられ 和野方の上に倒れ込む


和野方 「…首もと失礼」カプッ


悠里 「ひゃうん!?」///ビクッ


和野方 「(傷つけないように…傷つけないように)」チュゥゥ…


悠里 「んんっ!あぁ…!!なっ長谷さん……!!」///ゾクゾク


和野方 「…ふぅ 反対側も吸うぞ?」カプッ


悠里 「ふぁ…!」///ビクンッ


和野方 「…痛くないか?歯を立てないようにやってるけど」チュゥゥ…


悠里 「だっだいじょうぶ…それより、もっとして?もっと跡がつくように」///ハァ…ハァ…


悠里 「わたしを長谷さんだけのものだという跡をつけて いろんなところに…キスマークをつけて」///


和野方 「…わかったよ」スクッ



ドサッ…


悠里 「あっ……」///ドキッ 和野方に押し倒されて床ドンされる


和野方 「感染する可能性があるから限度はあるができる限りはしてやる お前のして欲しいことを言ってくれ」


和野方 「先に行っておくがキスとかはなしだからな 俺の手でお前を感染なんてさせたくないから感染する可能性があることは頼まないでくれ」


悠里 「……そっそれじゃ 胸を…揉んでくれるのはいいかしら?」///


和野方 「っ…もっ揉むのか?」


悠里 「えぇ…もっ揉むくらいなら平気よね べつに傷つけるわけじゃないから…」///


和野方 「たったしかに問題はないが…(俺の理性が持つかどうか…)」


悠里 「…だめ?」///シュン…


和野方 「…すっ少しだぞ?いやになったらすぐに言えよ」///


悠里 「うん…♡」///


和野方 「ーっ…」///スゥ…






由紀 「…」 ンッ…ハァ!ナガヤサン…

















美紀 「」バシャバシャ…


美紀 「…ふぅ」キュッキュッ


美紀 「(ちょっとねむい…昨夜はゆうり先輩たちが夜遅くまでイチャついてたから寝れなくて寝不足だ……)」フキフキ


美紀 「(なんとか眠りにつけたけど…やっぱりいつもより寝る時間が短いから眠気が…)」ウトウト



胡桃 「おはよー…」ウトウト…


美紀 「おはようございます 先輩も寝不足ですか」


胡桃 「おう…昨日は夜遅くまでりーさんたちがイチャついてたから寝れなくて お前も眠たそうだな」


美紀 「はい…先輩と同じ理由です」


胡桃 「だよな…」



タッタッタッ…


悠里 「ーっ…」ボー…


美紀 「あっゆうり先輩おはようございます」


悠里 「…えぇ おはよ……」ウトウト…


胡桃 「…りーさん すげぇ眠たそうだけどだいじょうぶか?今にも寝そうなんだが」


悠里 「……ちょっと、キツいかも………」コックリ…コックリ…


美紀 「ムリせず休んでていいんですよ?朝の支度などは私たちでやりますから」


悠里 「……そう?」


胡桃 「あぁ だからもう少し休んでていい…ぜ?」ッン?


美紀 「? どうしましたか?先輩」


胡桃 「ーっ……」ジー…


美紀 「? 先輩どこを見て…」チラッ


悠里 「それじゃもう少し寝かせてもらうわ わるいけど朝の支度よろしく…」タッタッタッ… 首元に赤く滲んだ跡が何個もできているのを見られている



美紀 「(……あれ あの跡って…)」


胡桃 「…えっと、みき 今りーさんの首元に……赤い跡が何個もできてたように見えたんだが……気のせいかな?」


美紀 「…いえ、気のせいではないかと 私にも見えました」


胡桃 「……蚊にさされたのかな?けっこう数多かったけど」


美紀 「……そんなふうには見えませんでしたが」


胡桃 「…まさか、な まさか長谷がりーさんに手を出したなんて……」


美紀 「……可能性はゼロではありませんけどね」


胡桃 「………」


美紀 「…長谷さんが起きてきたら聞いてみましょう そして返答次第ではここから追い出しましょう!」


胡桃 「まて 追い出すのはまずい!今追い出したらりーさんが…」



和野方 「おはよー…」タッタッタッ…


美紀 「長谷さん ちょうどいいところに来てくれました」


和野方 「なんだ…?ちょっと先に顔洗わせてくれないかな」


美紀 「今すぐがいいです それによってはあなたを追い出さなくてはいけません」


胡桃 「ちょっみき!」


和野方 「…わかった お前の聞きたいことはわかったから顔だけ洗わせてくれ そしたらすぐ話す」


美紀 「察しが早くて助かります わかりました」










悠里 「すぅ…すぅ……」


由紀 「すぴー…すぴー……」



和野方 「…よっと 待たせたな それじゃ話を始めようか」スタッ


美紀 「はい それじゃ早速ですが…」


和野方 「その前にいいか?俺から言いたいことがある」


美紀 「…なんですか?」


胡桃 「…」


和野方 「……」


和野方 「…すまん 悠里に手を出した」


美紀 「っ…」ギリッ…


胡桃 「…やっぱり、出したんだな 手を出さないって約束したのに……」


和野方 「…すまない どうしても手を出さざる得なかったんだ 手を出さなければ悠里の精神が……」


美紀 「言い訳なんて聞きたくありません 言い訳しないでください」


和野方 「…」


美紀 「…長谷さん すみませんがここから出てってくれませんか あなたがここにいてはみんなに迷惑がかかります」


美紀 「たとえあなたが優しくて 私たちの代わりに奴らと戦ってくれるのはありがたいですが、あなたはゆうり先輩に手を出しました」


美紀 「手を出したということは他の方にも手を出す可能性があります わるいですが私たちにまで手を出されては困ります」


美紀 「……今すぐ出てってください」


和野方 「……」


胡桃 「…ちょっちょとまてみき さすがにそうやって決めつけるのは…」


美紀 「先輩は黙っててください もう決定事項です」


胡桃 「だから早いって言ってるだろ!長谷にだって理由があったからりーさんに手を出したんだろ?それも聞かないで即決するのは早すぎる!」


美紀 「どんな理由でも手を出したことには違いありません わるいですが理由なんて聞きたくありません」


胡桃 「ーっ…てめぇ!」ギリッ


和野方 「よせ胡桃 もういいから」


胡桃 「でも!」


和野方 「いいんだ 手を出したことには違いないんだ おれはお前らの期待を裏切っちまったんだ」


和野方 「…おとなしく出ていくよ」


胡桃 「…ながや……」


和野方 「今まで世話になったな それじゃ…」カタッ 椅子から立ち上がって出ていこうと…




…まって



和野方 「…っえ」


由紀 「…だめだよ 出ていっちゃ」


胡桃 「ゆき!起きてたのか?」


美紀 「…ゆき先輩 わるいですがあなたには関係ないことです 今は私たちで話をしてるので首を…」


ゆき 「うるさい だまってみーくん」ジロッ


美紀 「っ!?」ゾクッ!!


和野方 「っ…ゆっゆき……?」タラー…


由紀 「…ながなが ほんとのこと言って?ほんとは手出してないよね」


和野方 「…っえ?」


胡桃 「…っえ どういうことだ?長谷が手出してないって」


由紀 「そのまんまの意味だよ たしかにながながはりーさんに手を出してたよ?でも、最後まではしてないよ」


美紀 「……っえ」


由紀 「そうだよね ながなが」


和野方 「…なんで知って……っ! もしかして、起きてたのか!?」


由紀 「…うん」


和野方 「っ……」


由紀 「…みーくん わたしの話なら聞いてくれるよね?わたしは嘘がつけるほど頭なんて良くないから もし嘘ついたらすぐわかるよね?」


美紀 「それは…」


由紀 「…聞いてくれるよね」ギロッ


美紀 「っ! はっはい…ゆき先輩の話しなら聞きます」ビクッ


由紀 「くるみちゃんもいいよね?」


胡桃 「あっあぁ…いいぜ 話してくれ(ゆっゆきが本気で怒ってるとこ…初めて見た すげぇ背中がゾクッとしたぞ)」


胡桃 「(普段はあほ面してるのに、今は目がマジだ あの化け物も戦うよりこえぇ…!!)」ゴクッ


由紀 「それじゃ話すね そもそもなんだけど、ながながが手を出した理由ってりーさんのせいなんだよ」


由紀 「りーさんがずっとながながに誘惑してて なんとしてでも手を出してもらおうとしてたの」


由紀 「でもながながは何度も断ってたよ 俺には元カノがいる、愛してる人がいるからお前の気持ちは受け取れないって」


由紀 「……でも、一番の理由は感染する可能性があるからしなかったの 感染してるながなががりーさんに手を出したら感染する可能性があるから手を出すことができないって それはりーさんも知ってたの」


胡桃 「っえ!?りーさん知ってたのか!?長谷教えたのか?」


長谷 「えっえと…それは……」


由紀 「…まぁ教えた教えてないはいいとして りーさんはそれを知ってたのに、それでもながながに手を出してもらおうとしてたの」


由紀 「そしたらね りーさん泣きながらながながに手を出してって悲願してたの ながなががりーさんの思いを受け取ってもらえないと壊れちゃうって言って…」


美紀 「……」


由紀 「だからながながは仕方なく手を出したの でも手を出したと言っても、首元にキスマークを付けるとか胸を触ってもらうことぐらいしかしてなかったよ」


胡桃 「むっむね!?」///ボッ!!


和野方 「…最後まで聞いてたのか?」


由紀 「うん りーさんの声が高くなってそこから静かになったところまで聞いてたよ」


和野方 「…最後の方だな」


由紀 「ながながたちの話しや音を聞いた限りだとキスはしてない 感染する可能性があることはしてないのはたしかだよ」


由紀 「…それでも、ながながを追い出すの?」ギロッ


美紀 「それは……」


由紀 「私は反対だよ ながながは仕方なしにりーさんに手を出したのはわかってるから追い出すなんて絶対させないよ!」


美紀 「………」


胡桃 「…私も反対だな 今長谷がいなくなったらりーさんを見てくれる人がいなくなる もう私たちじゃどうしようもできないところまでおかしくなってるからな」


胡桃 「…それに、長谷は戦闘要因だ わたしの代わりがいないと色々と不安だ だから私もゆきに賛成する」


美紀 「くるみ先輩……」


和野方 「……美紀 もしお前が悠里を見られるって言うなら追い出してくれても構わない それなら俺も受け入れる」


和野方 「…だが、見られないというなら警戒してくれても構わない おれをもうすこしここに置いてくれないか?」


美紀 「………」


由紀 「…」


胡桃 「…」


和野方 「…だめか?」


美紀 「……わかりました それでは次からは警戒させてもらいますがゆうり先輩の精神が崩壊しないように見てください」


和野方 「っ!」


美紀 「ですが!次からは手を出すことはしないでください それが絶対条件です!」


美紀 「もしまた誘惑されたとしてもぜったいに手を出さないでください!いいですね!」


和野方 「…わかった 約束する」


美紀 「おねがいします」カタッ


胡桃 「? みきどこに行くんだ?」


美紀 「ちょっと外に出ます」タッタッタッ…


和野方 「あっなら俺もついて…」


美紀 「ついてこないでください!女に手を出した人となんて一緒に居たくありません!」


和野方 「っ…」


胡桃 「おっおいみき!いくらなんでも言い過ぎじゃ…」


和野方 「いい なにも言うな」スッ


胡桃 「でも…」


和野方 「ほんとのことだ 俺はみんなの期待を裏切ったんだ だからなにも言わなくていい」


胡桃 「……そうか ならみき!わたしがついて行くならいいよな?」


美紀 「…くるみ先輩は長谷さんを見張っててください ゆき先輩とゆうり先輩の身が心配なので」


胡桃 「ーってめぇ!いいかげんに…」


和野方 「胡桃!」


胡桃 「だまってろ長谷!お前ほんとにいい加減にしろよ!」


胡桃 「長谷だって好きで手を出したわけじゃないだろ!りーさんが精神崩壊するかもしれないから仕方なく手を出したんだろ!」


胡桃 「もし長谷が手を出してなければりーさんは今ごろおかしくなってたかもしれないんだぞ!長谷はりーさんのためにしたんじゃないか!」


胡桃 「長谷自身だってわかってたはずだ!もし手を出したことがみんなに知られれば自分の立場が危うくなることを!」


胡桃 「しかも長谷は自分から自白してきたじゃねぇか!みんなにバレる前に手を出したことをよ!」


美紀 「…それはわたしが話あると言ったから 手を出したことがバレたと予測して自白したんじゃないでしょうか?」


胡桃 「てめぇ…そのへらず口が!!」スチャッ シャベルを握りしめて振りあげようと…


和野方 「」シュンッ!!



バシンッ!!


胡桃 「いって!」ガタンッ 手を叩かれてシャベルを落とす


和野方 「…やめろ胡桃 手を上げることはするな」


和野方 「今この状況でケガなんてされたら治療ができない それに俺はいいと言ってんだからもうしゃべるな」


胡桃 「でも!」


和野方 「美紀 外に出るなら俺の刀を持っていけ」スゥ…カタッ


和野方 「丸腰じゃあぶないからせめてこれを持っていけ 俺の武器だが、武器なら持っていくのはいいだろ?」


美紀 「……わかりました それではお借りします」カチャッ


由紀 「…みっみーくん 私じゃだめかな?一緒について行くの」


美紀 「…すみません 今はひとりにさせてください」


由紀 「……うん わかった」


美紀 「…」


タッタッタッ…ガチャッ


…バタンッ



由紀 「……」


胡桃 「…長谷 お前はいいのかよ なにも言い返さないで」


和野方 「…事実だからな 言い返したところで反論できないんじゃ言い返す意味がない」


和野方 「逆に言い返したら、それこそ面倒なことになる これ以上騒ぎになってもこまる」


胡桃 「それはそうかもしれないけどよ お前は悔しくないのか?言われるがままになってよ!」


和野方 「そりゃくやしいさ 言いたい放題言われて、イラつかないわけがない」


和野方 「でもな胡桃 お前にはまだわからないかもしれないが世の中には反発していい時としちゃいけない時がある」


和野方 「反発してよけいに事態を悪化させたら元の子もない 今この状況でみんなとの関係が崩れたりなんてしたらそれこそ本末転倒だ」


和野方 「まして今回の元凶は俺なんだ 他のやつが首を突っ込んでくる必要もない」


胡桃 「なんだと!」


由紀 「くるみちゃん!」


和野方 「いいか胡桃 これ以上俺を守ろうとするな これ以上俺を守ろうとすると美紀との仲が悪くなる」


和野方 「美紀は常に冷静で的確な判断を出す 今あいつがいなくなったらこの先、生き延びていくのが大変になる」


和野方 「俺のことより美紀を優先しろ この先、生きていたければな」


胡桃 「ーっ…」ギリッ…


由紀 「ながなが…」


和野方 「…飯の支度しよう 手軽なものでいいよな?」


胡桃 「…そうだな りーさん寝てるからかんぱんでいいだろ」


和野方 「由紀 手伝ってもらってもいいか?水を人数分揃えるだけでいいから」


由紀 「うん わかった」
















美紀 「…」車のタイヤ部分に寄りかかって座り込んでいる


美紀 「(…みんな 長谷さんを守って……そんなに長谷さんが信用できるかな)」


美紀 「(たしかにゆうり先輩がおかしくなるのを防ぐために、致し方なく手を出したのはわかる…でも男ですよ?)」


美紀 「(男は一度、誰かに手を出せばその味をしめて再び繰り返す…男というものはそういう生き物)」


美紀 「(だから男は完全には信用できない…みんなのために奴らと戦ってくれるといっても……)」


美紀 「……わたしはどうしたらいいの?みんなは信頼してるみたいだけど……」


美紀 「…けい……」



…ドスンッ!!



美紀 「っ!」




タイラント 「フゥー…」 かなり離れているが美紀の存在に気づいている




美紀 「ーっあ あぁ…!!」ゾクッ!!


美紀 「(ひっ左手に剣のような刃物…そして、白く巨大な化け物…!!)」ガタガタ…




タイラント 「フシャアァァァァッッ!!!!!!」ダンッ!!




美紀 「ひぃっ!?はっはやく逃げないと!!」ガクンッ


美紀 「(あっ…だめ 怖くて足が……!!)」ガクガク…



タイラント 「ガアァアァァァァッ!!!!」ドスドスドスドスッ!!!!



美紀 「ーっだ だれか…!!」



ガチャッ!!


和野方 「美紀!掴まれ!」スッ 美紀に手を差し伸べて救いの手を出す


美紀 「なっながやさん!!」ガシッ


和野方 「よっと!」グイッ



タイラント 「アァアァァァッッ!!!!!!」ダンダンダンダンッッ!!!!!!



和野方 「胡桃!走れ!!」


胡桃 「あいよ!」ガコン



車 「」ブォーン!!!!



タイラント 「ーっシャアァァ!!!!」ダンッ!!



ーっドスンっ!!!!



タイラント 「フシュー…!!」ズボッ!! 尋常じゃない瞬発力で高く飛んでバスにめがけて爪を刺すが外して地面に奥深くまで刺さる




胡桃 「おいおいマジかよ!あいつの爪 地面に突き刺さったぞ!!」


和野方 「だが外して地面に刺さったおかげで時間が稼げた!今のうちに逃げろ!」


胡桃 「わかってるよ!」ググッ


和野方 「由紀!お前は胡桃のナビゲートをしろ!やつを巻けそうな場所を探して教えろ!」


由紀 「わかった!」


美紀 「はぁ…はぁ……!!」ハァー…ハァー……


美紀 「(いっ息が…くるし……)」ハァー…ハァー……


和野方 「…っ! 美紀だいじょうぶか?息が荒いが」


美紀 「ーっ…!!」パクパク…


和野方 「……ちょっとまってろ」スクッ



ゴソゴソ…タッタッタッ


和野方 「これ使って息をしろ」スッ 美紀にただの袋を手渡す


美紀 「ーっ…」プルプル…クシャッ


和野方 「いいか?俺に合わせて息を吸え 吸って…」


美紀 「ーっ…!」スゥ…


和野方 「吐いて」


美紀 「ーっ……」ハァー…


和野方 「また吸って」


美紀 「ーっ……!」スゥ…


和野方 「吐いて」


美紀 「っ……」ハァー…



胡桃 「…?(長谷のやつ、みきになにさせてんだ?袋を使って息をさせてるが)」チラッ


由紀 「くるみちゃん前まえ!」


胡桃 「うぉっと!」キィィッ!!!!



美紀 「ーっはぁ…はぁ……」ゼェ…ゼェ…


和野方 「…どうだ 落ち着いたか?」


美紀 「はぁ…はぁ……っはい なんとか…」ハァ…ハァ…


和野方 「過呼吸だな 酸素を摂取しすぎて呼吸ができなくなったんだ やつに恐怖を感じて呼吸をしすぎたんだろ」


和野方 「袋を使って二酸化酸素摂取して落ち着いたみたいだな 軽い症状でよかったよ」


美紀 「……すみません 迷惑をかけて」ハァ…


和野方 「別にいいよ 仲間なんだから迷惑の一つや二つ気にしないよ」


美紀 「なかま……」


和野方 「…美紀 俺をどんなに疑ってくれても構わない 近づいて欲しくなければ今後、お前に近づかないようにする」


和野方 「だが、胡桃たちだけは信じてくれ 今ここで仲間全員を疑ったら生きていけない」


和野方 「完全に信用しろとは言わない ある程度だけでも構わない 生き残るためには協力していかないといけない!それはお前もわかるよな」


美紀 「……」


和野方 「…たのむぞ 美紀」


和野方 「…さてと」タッタッタッ…スーッ 車の窓を開けて後ろの様子を伺う



タイラント 「グオォオォォォッッ!!!!」ダンダンダンダンッッ!!!!!!



和野方 「…まだ追いかけてきてるな やっぱり前の化け物と一緒でどこまでも追いかけてくるやつか」


和野方 「(しかも走る速さも早い こっちは全速力で車走らせてるのに距離が徐々に縮んできてる…このままじゃ追いつかれる!)」


和野方 「(だがどうすればいい ライフルはもうないから遠距離攻撃で足止めすることができない 今ある武器としたら刀とサバイバルナイフぐらいしか…)」


和野方 「(……サバイバルナイフ、か……)」



胡桃 「ゆき!この先やつを巻けそうなところないか!?このままじゃ追いつかれる!!」


由紀 「えと、えぇっと……」アタフタ


和野方 「…なぁ ペンライトってまだあるか?あったらあるだけ使いたいんだが」


胡桃 「あぁ?ペンライトなんてどうすんだよ!あいつに効くと思うか!?」キィィ!!


和野方 「目くらましできれば十分だ それさえできればあとはなんとかなる」


美紀 「…何か策があるんですか?」


和野方 「…一発勝負でその場しのぎにしかならないがある」


和野方 「美紀 わるいが悠里が持ってる俺のサバイバルナイフを取ってくれないか?それを使いたい」


美紀 「わかりました」スクッ


和野方 「それとペンライトもあるだけ使いたい 数本じゃ目くらましできないから持ってきてくれ」


美紀 「…わかりました」タッタッタッ…



胡桃 「…なんとかできるのか?今の状況を」


和野方 「策はある …だが、ミスったらわるい そのときは最終手段でなんとかする」


胡桃 「お前が囮になるのか?」


和野方 「……」


胡桃 「…りーさんが壊れるからぜったい当てろよ いいな?」


和野方 「…外すつもりはねぇよ 当てる気でやってやるよ!」


胡桃 「たのむ…っと!」キィィ!!


美紀 「…長谷さん持ってきました ナイフとペンライトです」スッ


和野方 「わるいな これでなんとかしてみる」ガシッ


和野方 「胡桃 このまま直進しててくれ 俺が指示するまで道なりに進んでくれ」


胡桃 「わかった!」


和野方 「由紀 この先はまだ直進道か?しばらく曲がることはないか?」


由紀 「……うん 今のところは曲がらないよ」


和野方 「よし なら平気だな」


和野方 「美紀 悠里が起きてもすぐ安心させてやれるようにそばに居てやってくれ 悠里はあいつを見ると怯えるから」


美紀 「…わかりました」


和野方 「ーっと!」グイッ



グワンッ!!スタッ 窓から身体を出してキャンピングカーの上に遠心力を使って登る


和野方 「…よし これならいけるな」スクッ



タイラント 「ガアァアァァァッッ!!!!!!」ダンダンダンダンッッ!!!!!!



和野方 「やつも俺を見てるな…よし!」スッ…


和野方 「(チャンスは一度…失敗は許されない!!)」ググッ…


和野方 「…ーっほらよ!」ブンッ!!



ペンライト 「」バラバラ… タイラントに目掛けてパラパラと散らばっていく


タイラント 「フゥゥッシャアァァァ!!!!」バキバキバキバキッッ!!!!!! 右手で飛んできたペンライトをぶち壊す



和野方 「…よし 狙い通りだ」スゥ… すかさずサバイバルナイフを構える


タイラント 「っ!」


和野方 「片手を振ってくれてありがとよ 低脳が!!」ビュンッ!!



ーっドスッ!!


タイラント 「ガアァアァァァッッ!!!!!!」ブシュー!!!! 右目にサバイバルナイフが刺さり血を吹き出す



和野方 「よし!命中したぜ!」


和野方 「胡桃 曲がれるところがあったら曲がれ!やつの視界から逃れるぞ!」


胡桃 「わかった!」キィィッ!!



タイラント 「フゥー…」ズボッブシュー… ナイフを抜いて目から血が吹き出る



和野方 「…っえ」



タイラント 「スタアァアァァァズ!!!!」ビュンッ!!!!!! 抜いたサバイバルナイフを和野方に向けて勢いよく投げる



和野方 「ーっ…(やばっ…)」



ーッドスゥッ!!!!


和野方 「があぁぁっ!!!!」ナイフが左腕に勢いよく刺さる


胡桃 「ながやっ!?」


由紀 「ながなが!!」


美紀 「ながやさん!」


和野方 「あっあぁぁ…!!」ガクッ…


和野方 「(いっいてぇ…!!なんで ただナイフが刺さっただけなのに……こんなにいてぇんだ!!)」ズキズキ…


和野方 「(いつもならこんなに、痛くねぇのに……なんで!!)」ギリッ…


胡桃 「だっだいじょうぶか長谷!今車を止めて…」


和野方 「バカやろう!止まるんじゃねえ!!今やつを巻くチャンスだろうが!!」


和野方 「曲がったならそのまま進め!全速力で!!」


胡桃 「ーっ! わかったよ!」グイッ!!


車 「」ブォンッ!!!!ブゥゥン…






タイラント 「フゥー…フゥー……」グチュグチュ…ジュゥゥ 目に受けたダメージを回復して潰れたまま完全回復する


タイラント 「フゥー……グオォオォォォッッ!!!!」













とある休憩所



車の中



胡桃 「これでよしっと!」シュルシュル…キュッ


和野方 「…わるいな 助かったよ」胡桃にケガした左手の治療をされる


胡桃 「いいってことよ!それより平気か?手は動くみたいだが…」


和野方 「…あぁ なんとか動くよ 少し痺れはあるが」ギュッギュッ…


胡桃 「…そうか ならいいんだが」


由紀 「…ねっねぇながなが!喉、かわいてない?お水持ってこようか?」


和野方 「…そうだな 少しもらおうかな?」


由紀 「わかった!今持ってくるね!」タッタッタッ…



美紀 「…」


和野方 「…そんな警戒しなくても平気だよ 逆にやろうとしても、こんなケガだからやろうにもできないがな」


美紀 「…ですが、相手にやらせることはできます 相手を脅してやらせないか心配なので警戒はさせてもらいます」


胡桃 「てめぇ!まだそういうこと!」


和野方 「胡桃!」


美紀 「…でも、長谷さんのおかげで助かりました 私たちのために戦って救ってくれたことは感謝します」


美紀 「私たちを守るためにケガをしてしまったことはほんとにすみません 私たちもなにか手伝えてれば…」


和野方 「なぁに 気にすることはない!俺は当たり前なことをしたまでだ みんなを助けるために動いたまでだ」


和野方 「俺が油断したから奴の攻撃を食らっちまったんだ 俺がもっと警戒してればよけれたのに…」


美紀 「ながやさん……」



由紀 「ながなが!お水持ってきたよ はい!」スッ


和野方 「わるいな由紀 ありが…」スッ… 由紀から水を受け取ろうと…



ーっズキン!!!!


和野方 「いっつ!!」ポロッバシャンッ… 左手に激痛が走り渡された水を落として車の中にばらまく


胡桃 「ながや!」


由紀 「ながなが!」


和野方 「いてて…!わっわるい 大事な水こぼしちまって…」ズキズキ…


美紀 「そんなのどうでもいいです!やっぱりまだ痛みが…」


和野方 「なぁに!心配することはない こんなケガすぐ治るから!」


和野方 「3日もあれば完全に治るから!俺は昔からケガの治りは早いからな」


美紀 「…でも、深いですよ?ナイフ貫通してましたし…」


和野方 「…」


胡桃 「…長谷 今後はケガが治るまで無理しないでくれ ある程度の化け物は私がやるから」


和野方 「平気だよ ある程度は動かせるから俺もやるよ」


由紀 「ダメだよ!傷が深いんだから ムリしちゃうとまた傷が開いちゃうよ!」


和野方 「開いてもすぐ塞がるから安心しろ 俺は傷の治りが早いから少し開いたくらいどうってことない」


美紀 「ーっ…長谷さん あなたはほんとに無理をしようとしますね」ググッ…


和野方 「こんな現状だからな 多少ケガしたぐらいで休むわけにはいかない」


和野方 「奴らと対抗できるのは俺と胡桃だけだ 一人でも奴らと対抗できる奴が減ったら…みんなを危険な目に遭わせちまうかもしれない」


和野方 「危険な目に合わせるだけならまだいい それで誰かが感染なんてしたら、それこそ大問題だ 俺が休んでたせいで誰かを失ったりなんてしたら…それこそ俺は責任重大だ」


和野方 「だから俺は休まない 動けるうちにお前らを安全なところまで運ぶ だから俺のことは気にしないで…」


美紀 「ーっ」ギリッ!!



バチンッ!!


和野方 「…」美紀にビンタされる


胡桃 「みき…」


由紀 「みっみーくん…?」


美紀 「…長谷さん あなたはそれでいいかもしれませんが、わたしたちはすごく 嫌なんですよ」


美紀 「勝手にひとりで動いては私たちの言うことを聞いてくれない…それだけじゃない みんなのために、自分を犠牲にしてまで奴らと対抗しに行こうとして!何やってるんですか!」


美紀 「あなたは死にに行こうとしてるんですか!?まともに動けない状態で奴らを倒そうなんて…無謀にも程があります!」


美紀 「あなたがいなくなったら ゆうり先輩は誰が見ればいいんですか!ゆうり先輩はもう手のつけられないところまで落ちてるんです!」


美紀 「死なれては困るから無理しないように説得してるのに…なんでそれがわからないんですか!長谷さんならすぐ理解できたはずです なんで理解しようとしてくれないんですか!」


和野方 「っ…それは……」


美紀 「たしかに私はあなたを疑っています ゆうり先輩に手を出したので、警戒させてはもらってます」


美紀 「ですがそれとこれとは別です!疑いはしてますが生きていてもらわないと困るんです!あなたがいなくてはいろいろと困るんですよ!」


美紀 「…だから、無理しないでください おねがいです」


和野方 「…美紀……」


和野方 「……わかった お前がそういうなら少し休ませてもらうよ」


美紀 「少しではなく、ちゃんと休んでください 生半可な休みじゃ傷は治りません」


和野方 「…わかったよ だが、緊急時のときは無理してでも動くからな?それだけはわかってくれ」


美紀 「…わかりました その時はこちらからもお願いします」


和野方 「はいよ …それじゃわるいけど、少し寝かせてもらうよ 寝た方が傷の治りが早いからな」スクッ


胡桃 「おっと!肩支えるぜ 腕使えないんじゃ歩くの不便だろ?」ヨイショッ


和野方 「…そうだな それじゃ悪いけど寝床までたのむ」


胡桃 「了解!」


タッタッタッ…



美紀 「…」


由紀 「…みーくん ありがとね?ながながを説得してくれて」


美紀 「お礼なんて言わないでください 礼を言われるようなことはしてません」


美紀 「未だに警戒はしてますし、なにより 今長谷さんがいなくなっては私たちも危ないから…利用したんです」


美紀 「いくらくるみ先輩がいると言っても一人では大変です…なので、長谷さんにはまだ生きてもらわないといけないと思ってわたしは……」


由紀 「うん わかってるよ みーくんウソつくの下手だね」


美紀 「うっうそなんて…!」


由紀 「…うん そういうことにしといてあげる 今だけ、ね?」


美紀 「……」


由紀 「…ながなが はやく元気になるといいね」


美紀 「…そうですね 早く良くなって欲しいです」












ブロロ…



胡桃 「…」クィ…クィ… 車を運転している


由紀 「…あっそこ左ね?」


胡桃 「あいよ」クィッ



美紀 「…」椅子に座ってじっとしている」


美紀 「(…このままだとまずいかもしれない 長谷さんが戦えなくなったのはすごく痛い)」


美紀「(奴らと戦えるのがくるみ先輩だけだと、今までみたいに動くことはできない…となると、私たち3人の中から一人 戦えるようにならないといけない)」


美紀 「(ゆき先輩は戦闘向きじゃない ゆうり先輩も今の状態じゃまともに戦えない…それどころか、ゆうり先輩はメンタル面が弱いから戦わせておかしくなったら元の子もない…)」


美紀 「(となると…やっぱり私がやるしか!)」ググッ…



悠里 「…おはよ みんな」タッタッタッ…


美紀 「あっおはようございますゆうり先輩!」


美紀 「おはよー!りーさん」


胡桃 「おいーっす よく眠れたか?りーさん」クィ…クィ…


悠里 「えぇ おかげでよく眠れたわ それより長谷さんが寝てるのだけど…また寝たの?」


胡桃 「…」


由紀 「……」


美紀 「…えと、その ですね…」


悠里 「…?」


美紀 「……はい 眠たいと言って、その………」


胡桃 「おっおいみき!おまえ…」


美紀 「………」


悠里 「…なにかあったの?」


胡桃 「っえ えっとだな……」


由紀 「…ながなが ちょっとケガしちゃって……」


悠里 「ケガ…?どっどこをケガしたの!?まさか奴らにやられたの!?」


美紀 「おぉ落ち着いてくださいゆうり先輩!たしかに奴らにやられたのはたしかですが…」


胡桃 「ばかっ!みきおまえ!!」


美紀 「あっ!?」ハッ


悠里 「ーっ…うそっでしょ?それじゃながやさん……死にそうなの!?」ドクンッ


美紀 「いっいえ!そんなことありません!ただ腕にナイフを刺されただけで…」アタフタ


悠里 「うでっ!?もっもう片方の腕まで失ったの!?」ドクンッ


美紀 「いぃいやっ!失ってません!ただ刺されただけなのでケガしてるだけです!ゆうり先輩落ち着いてください!」アセアセ


悠里 「ーっ…ながやさん!!」ダッ!!


美紀 「ゆっゆうり先輩!!」






和野方 「すぅ…すぅ……」車奥の椅子に寝っ転がって寝てる


和野方 「…いつつ んー……」ゴロンッ 左手を庇いながら寝返りをうつ



悠里 「ーっながやさん!!」タッタッタッ!!


和野方 「っ!? なっなんだ!?奴らが攻めてきた…」ガバッ!! 悠里の声に反応してすぐさま左手を使って起き上が…



ズキンッ!!


和野方 「いっつ!!」ヨロッ


悠里 「ながやさん!!」ガシッ 崩れる和野方を支える


和野方 「いてて…!すまん 助かったよ」ズキズキ


悠里 「だっだいじょうぶながやさん!?左手、ナイフで刺されたって!!」


和野方 「だいじょうぶだよ これくらいどうってことない?」


和野方 「俺は傷の治りが早いから、三日ぐらい経てば治るよ 心配するな!」


悠里 「ほっほんと?嘘じゃない?左手まで使えなくなるなんてことない…?」


和野方 「これくらいの傷で左手がなくなることはないよ 三日ぐらい経てば治るから!」ニカッ


悠里 「ーっ…よかった!」ジワッ…


和野方 「おっおいおい!なにも泣くことないだろ?だいじょうぶだって言ってんのに」


悠里 「だって…私が寝てる間にっそんなことがあったなんて……」グスッ…


悠里 「起きたら、ながやさんが死んでたなんてなっていたら…わたし、ほんとに……!!」ポタッポタッ…


和野方 「生きてるんだから泣くことないだろ?傷だってそこまで深くないんだし、もう泣き止んでくれ」


和野方 「お前に泣き顔は合わねぇよ いつもみたいに元気だしてくれ!」ニカッ


悠里 「ーっはい!」グシッ




美紀 「…」


胡桃 「…助かった マジで長谷がいてくれてよかったぜ」ハァ…


由紀 「そうだね もしながなががいなかったら、今頃りーさん……」


美紀 「…そう、ですね 居てくれて…ほんとによかったです」ググッ…


胡桃 「これで、長谷を追い出すことはできなくなったな 私たちじゃ戻せなかったから、今後は長谷が必要不可欠だ」


胡桃 「お前も納得したよな?みき」


美紀 「……」


由紀 「くるみちゃん みーくんもわかってるんだよ?ながなががいないといけないこと」


由紀 「でもね やっぱり一度手を出しちゃったから、私たちにも手を出すんじゃないかと思って その…」


胡桃 「……」


美紀 「…ゆき先輩 いいですよ 私の味方しなくても」


由紀 「でも…」


美紀 「事実ですから仕方ありません 言い訳するつもりはありません」


美紀 「…それに、みなさんがそれでいいならわたしもそれでいいです 私一人だけの意見で押し通す気はありません」


由紀 「みーくん…」


胡桃 「…まっそれで納得してくれるなら一番手っ取り早いから私はいいけどな」


胡桃 「それより二人とも わかってると思うが、あまりりーさんに刺激与えるなよ?」


胡桃 「長谷にも迷惑かかるし なにより、りーさんの精神にもダメージがいくからこれ以上刺激を与えないようにするぞ」


美紀 「わかっています 安心してください」


由紀 「これ以上は危ないもんね 気をつけるよ!」


胡桃 「ならいい」




悠里 「ーっ…」///ギュー…


和野方 「…あっあの、悠里さん…?なぜ抱きついてるんですか……?」


悠里 「…もう少し、心を落ち着かせたいから だめ…?」///チラッ


和野方 「……まっまぁ かまわないけど(おねがいそんな目で見ないで 断りたくても断れないだろ…)」


和野方 「(しかも美紀たちも起きてるのに こんなところ見られたらまた怒られる……)」


和野方 「(……次はなんて言い訳をしよう マジで!)」


悠里 「ーっ…」///ギュー













聖イシドロス大学ー門前



胡桃 「…」ジッ… 双眼鏡を使って門前にゾンビがいないかを確かめている


和野方 「…どうだ いないか?」


胡桃 「あぁ 今のところ近くにはいなさそうだ 行くなら今だな」スッ


和野方 「よし みんな来ていいぞ」クイクイ



悠里 「合図よ いくわよ」タッタッタッ…


由紀 「うん」


美紀 「…」タッタッタッ…



和野方 「…さてと、門は閉まってるがどうやって入るかな?」タッタッタッ


胡桃 「考えるまでもねぇ 登ればいい!」


和野方 「だな!」


悠里 「長谷さんだいじょうぶ?一人で登れる?」


和野方 「なぁに 心配するな!このくらいの高さなら…」ググッ…



シュバっ!!スタッ 足の瞬発力だけで門の上部分に乗っかる



由紀 「っえ!?」


美紀 「」(゜д゜)


悠里 「………。」


胡桃 「すげぇ…!」(✧△✧)キラキラ


和野方 「っな へいきだろ?このくらいならどうってことない!」


和野方 「ただ…お前たちを引っ張り上げることはちょっとできないかな まだ左の傷が治ってなくて……」


胡桃 「わかってるよ 次は私が登るからみんなを引っ張りあげるよ」


和野方 「わるいな それじゃ先に降りてるよ」ヨット…シュタッ


胡桃 「りょうかい!」












悠里 「…よっと」スタッ


胡桃 「よし!みんな中に入れたな?」


由紀 「…やっと 入学だね!」


悠里 「まだ試験受けてないわよ」


由紀 「あぅ…いーじゃん試験とか 私たち頑張ったよね っね?」


和野方 「いやがんばっただけで試験受かってたら試験いらないだろ…」


由紀 「あっ たしかに」


美紀 「…入学っていうか 見学ですね」クスッ


胡桃 「そだな」



全員持ってるのもを捨てて手を上げろ!!



全員 「「っ!」」


和野方 「だれだ!」スチャッ 刀に手をかけていつでも抜ける体制に入る



いいから捨てろ!捨てないと…殺すぞ!



悠里 「…みんな 捨てて」スッ…トサッ 背負っていた鞄を地面に置く


胡桃 「…あいよ」トサッ


美紀 「…」スッ… 持ってるものを捨てて手を上げる


由紀 「ーっ…」ビクビク…


和野方 「…捨てたぞ 言う通りにしたんだから早く姿を……」



高上 「全員だ!早くしろ!」ガサッ 草陰から姿を現してボウガンを悠里に向ける



悠里 「ーっ…」ギュッ… くまのぬいぐるみを抱き抱えたまま話さない


和野方 「…っ! まて!このぬいぐるみは……!!」


高上 「ーっ…!!」ブルブル…



バシュンッ!!


悠里 「っ! るーちゃん!!」ガバッ ぬいぐるみを抱き抱えて守る


和野方 「(やばいっ!だけど間に合わ……)」


胡桃 「ーっうらぁ!!」パシッブン!!



ガキィンッ!!


ボウガンの矢 「」ガツンッカラカラ… 胡桃が投げたシャベルに当たって起動を失い地面に転がる



美紀 「ゆうり先輩!!」


由紀 「りーさん!」


和野方 「ーっのやろう!!」ダッ!!


高上 「ひいっ!」スッ… 次のボウガンの矢を装填しようと…


和野方 「おせぇよ?」ギロッ



ガシッ!!


高上 「があっ!!あぁぁーっ!!」バタバタ!!… 首を掴まれて持ち上げられる


胡桃 「なっながや!!」


和野方 「人の話しもろくに聞かねぇで打つたァ…シャレになってねぇんだよ?」ミシミシッ…


和野方 「このまま殺してやろうか アァ?」ググッ…


高上 「アァァッ!!ゲハァ…!!」ガクガク…


由紀 「なっながながやめて!死んじゃうよ!」


和野方 「構うもんか!こんなやつ、今すぐにでも…」


悠里 「だめっ!手を汚さないで!おねがい!!」


和野方 「っ……っち!」ブンッ!!



高上 「かはぁっ!!げほっゲホっ!!!!」ヒュー…ヒュー……



悠里 「ーっ…」ズキズキ…


由紀 「りーさん大丈夫…?」


美紀 「早く手当しないと!」


胡桃 「…これでわかっただろ?あいつらじゃないって」


高上 「ーっ……」ヒュー…ヒュー…


胡桃 「あいつらじゃないなら通してくれよ!」


高上 「ーっ…」スッ… 落としたボウガンに手をかけようと…


和野方 「おい なにしてんだテメェ?」ギロッ


高上 「ひぃっ!くっくるな!!」ビクッ!!


胡桃 「なんでだよ!」


高上 「あっあいつらじゃなくても なりかけかもしれないだろ!」


胡桃 「っ…」ギリッ…


和野方 「…」



由紀 「…もう行こっ」


和野方 「っ!」


由紀 「いじめ かっこわるい!」ビシッ


高上 「…」


胡桃 「…おまえなぁ」ハァ…


和野方 「…はは 由紀らしいな?」


美紀 「…ふふ!」クスッ


美紀 「そうですね 戻りましょう」


胡桃 「…はぁ わかったよ」


胡桃 「戻る分にはいいんだろ?」


高上 「…早く出てけ」


和野方 「言われなくても出てってやるよ このクソガキが!」ギロッ


高上 「ーっ…」ゾクッ


和野方 「みんな 荷物もって車に戻るぞ?こんなクソガキ相手してるほど暇じゃねぇからな」スチャッ…スッ


胡桃 「あぁ」ヨット


悠里 「っ…」ヨロッ…


由紀 「りーさん 足だいじょうぶ?キツイなら肩貸すよ?」


悠里 「…いいえ へいきよ 心配しないで?」


美紀 「…なるべく無理しないでくださいね?」


悠里 「えぇ…いつっ!」ズキッ


和野方 「…悠里」タッタッタッ…



ガバッ!!


悠里 「きゃあっ!?」ヒョイッ 長屋に片腕でお姫様抱っこされる


和野方 「俺の首に手を回せ 運んでやるから?」


悠里 「へっへいきよ!私のことより長谷の手の方が…」


和野方 「このくらいへいきだよ しっかり掴まってろよ?」ググッ…


悠里 「っえ ちょっと待って まさかさっきみたいなやり方で…!?」


和野方 「よっと!」シュバっ!!


悠里 「キャアアアッ!!…」



胡桃 「…すげぇ りーさん抱えて飛び越えやがった」(゜д゜)


由紀 「ながなが…バケモノだね」


美紀 「まぁ…あながち間違ってはいませんが」


高上 「はっはやくいけ!(なっなんだあの男!?あの壁をジャンプで飛び越えやがったぞ!?)」


高上 「(や、やっぱり化け物だったのか!追い出しといて正解だった!!)」ガクガク…


胡桃 「わーってるよ いくぞ?」


由紀 「うん」


美紀 「はい」




? 「…ありゃぁ」別の校舎から胡桃たちの様子を伺っている








車の中



美紀 「…これでだいじょうぶですね まだ痛みますか?」


悠里 「えぇ…すこし でも大したことないわ ありがとう」


悠里 「るーちゃん平気?怖くなかった?」


くまのぬいぐるみ 「」悠里に話しかけられるがなにも話さない…


由紀 「…そうだよね りーさんがいたもんね!」


悠里 「私なら大丈夫よ ありがとう」ナデナデ


和野方 「…さて、これからどうするか」


美紀 「…正直、先か思いやられますね」


胡桃 「せっかく来てみたけどあれじゃなぁ」


由紀 「でも悪い人ばかりじゃないかも」


美紀 「それはそうですけど…」


和野方 「…」


胡桃 「…話くらい聞いてみるか」


悠里 「私は反対よ」


悠里 「どういう理由があってもこの子を撃つような人達よ あんな人達と話なんてできないわ」


和野方 「…正直、俺も反対かな?あの様子だと厳しいだろう まして俺の場合は右手がない上にケガをしてるから余計に疑われるだろうし」


胡桃 「…長谷も反対か」


和野方 「反対だけど、みんなに合わせるよ 話し聞きに行くなら言っても構わないが」


悠里 「絶対だめ 行ったらまた撃ってくるわ わるいけど私はいや」


由紀 「ならりーさんはお留守番だね るーちゃんと一緒に!」


悠里 「っえ……?」


胡桃 「そうだな 別に全員で行かなくてもいいもんな」


美紀 「そうですね」


和野方 「…三人は賛成か」


和野方 「わかった お前たちが行くなら俺も行こう」スッ


胡桃 「いや 長谷はここにいてくれ?りーさんとゆきを見ててほしいんだ」


和野方 「…っえ?」


胡桃 「万が一、私たちが行ってる間に襲撃なんてされたらたまったもんじゃないからな だから二人を守るついでに車も守ってほしいんだ」


和野方 「…いいのか?俺が行かなくても」


胡桃 「あぁ!私とみきで行ってくるから心配しないでくれ?それじゃ行くぞ」スクッ


美紀 「はい」


悠里 「…危ないことしないでね?」ギュッ…


胡桃 「やばかったらすぐ戻ってくるよ」


美紀 「長谷さん 二人をお願いしますね」


和野方 「わかった 責任もって守るよ」



タッタッタッ…


由紀 「…お留守番だね るーちゃん!」


由紀 「お留守番がんばろうね?」ニコッ


くまのぬいぐるみ 「」由紀に話しかけるがなにも起きない


和野方 「…」


和野方 「(…なにもなければいいが……)」











和野方 「…」椅子に座って休憩してる


悠里 「…」窓から外の様子を伺っている


由紀 「せっせっせーの♪よいよいよ♪」くまのぬいぐるみと一緒に遊んでいる


悠里 「…」クスッ


悠里 「(るーちゃんたのしそう ゆきちゃんと一緒に遊んでもらって嬉しそうね?)」


悠里 「(…っん?)」チラッ




胡桃 「ーっ!」タッタッタッ!!…


美紀 「ーっ…」タッタッタッ!!…



男二人組 「「ーっ!!」」タッタッタッ!!… 胡桃たちの後ろから追いかけてかけている




悠里 「ーっ!?なっながやさん!!」ガタッ


和野方 「あいよ!」スチャッ


由紀 「っえ!?なっなに!?」


和野方 「二人とも早く入れ!」ガチャッ


胡桃 「はぁっ!はぁっ!…」


美紀 「はぁ…はぁ……」


和野方 「由紀 二人を奥に連れていけ!すぐに休ませろ!」ダッ!!


由紀 「っえ!?なっながなが!?」




男二人組 「「っ!」」


和野方 「…今度は違うやつか まぁいい どうせあいつの仲間だろうしな?」スー…スチャッ


和野方 「てめぇら…あの二人を追いかけてなにしようとしてんだ あっ?」


和野方 「殺りあうってんなら相手してやんぞ?」ギロッ


男二人組 「「…」」スゥ… 持っている武器を構えて戦闘態勢に入る


和野方 「おぉやる気か?いいぜ 相手してやるよ!」ニヤッ


和野方 「片手しかないからって甘く見るなよ?二人に何しようとしたか知らねぇがてめぇらと馴れ合う気なんてねぇからぶっ殺してやるよ!!」ギリッ


男二人組 「「っ…」」ジリッ…


和野方 「…」スッ… 刀を上にあげて突っ込もうと…



悠里 「長谷さん入って!走るわ!」


和野方 「先にいけ!俺はこいつらを殺してから…」


悠里 「だめっ!手を染めないで!お願いだから!!」


和野方 「ーっ…ちっ わかったよ!」ダッ!!


男 「っ! 待てっ!」


和野方 「だまれクソガキが?」ギロッ


男 「っ!」ビクッ




和野方 「よっと!走れ!」バタンッ


悠里 「わかった!」ガチャガチャッ



車 「」ブロロロ…



男二人組 「「…」」






和野方 「…ふぅ」トスッ 壁に寄りかかって楽な体制になる


胡桃 「はぁ…はぁ……」


美紀 「はぁー…はぁー……」ゼェ…ゼェ…


由紀 「……ごめん わたしのせいで、二人とも………」


胡桃 「…気にすんな 無事だったし!」


悠里 「くるみ運転変わってもらえる?まだ慣れてなくて…」


胡桃 「あぁ 今行く…」




ププーッ!!



全員 「「っ!!」」



奴らの車 「」ブォオォォォッッ!! 後ろから勢いよく追いかけてくる



和野方 「っ…あいつら まだ追いかけて!!」ギリッ!!


由紀 「どっどうすればいいの!?」オロオロ


胡桃 「待ってろ!今考えるから!」


和野方 「考えなくていい 俺が奴らをぶっ殺してくる!!」ガラッ 窓を開けて屋根に登ろうと…


美紀 「ーっだ ダメです!行ってはいけません!!」ガシッ


和野方 「はなせっ!どうせあいつらは俺たちの話なんて聞かないんだ!まだ追いかけてくるってんなら殺した方が!!」


美紀 「ゆうり先輩のことを考えてください!何度も手を染めないで欲しいと言ってるじゃないですか!!」


和野方 「っ…」


美紀 「…お願いですから、落ち着いてください いいですね?」


和野方 「……わかったよ」スッ…パタンッ 窓を閉めて飛び移るのをやめる


由紀 「…ねぇ なんか聞こえない?」


胡桃 「あぁ?聞こえてるよ!あいつらめちゃくちゃクラクション鳴らしてきやがって!」 プーッ!!


美紀 「…っ! ちがう!ラジオです!ラジオの音量を上げてください!」


胡桃 「っえ らっラジオ…?」カチカチ…



ラジオ 『…ねぇ キャンピングカーの人聞こえる?』


ラジオ 『危なくなったら裏門に来て 待ってるよ!』


全員 「「っ!」」



奴らの車 「」プープー!!



悠里 「どっどうすればいい!?長谷さん!」


長谷 「………」


胡桃 「行くしかないだろ!」


悠里 「でも罠かもしれないわ!」


胡桃 「罠だって構わない!今はそこに行くしかない!」


悠里 「なら運転変わってよ!」


胡桃 「今変わるとぶつけられる!」


悠里 「ーっ…長谷さん!」


和野方 「…悠里 裏門に向かえ 罠だったら俺がなんとかしてやる!」


悠里 「っ! …わかったわ どうなっても知らないからね?」


和野方 「あぁ!」


悠里 「みんな しっかり掴まってて!!」ギュオンッ!!


由紀 「わぁぁっ!?」オットット


美紀 「くぅっ!!」グッ!!


和野方 「ーっ…」ググッ…


和野方 「(さっきの声…女だったな 奴らの仲間かは知らないがとりあえずそっちに行くしかないな)」


和野方 「(罠かもしれないが罠だったら…!!)」チャキッ…


悠里 「ーっ…っ! あっあれは?」




桐子 「おーい こっちこっちー!」ヒラヒラ 裏門から手を振って悠里たちを呼んでいる


晶 「キタキタ!ヒカ 開けて!」


比嘉子 「うっうん」ガラガラ…




悠里 「あっ開けてくれたわ!中に入っても平気なの…?」


和野方 「安心しろ なにかあったら必ず助けてやるから!」


悠里 「ーっ…わかった 信じるね?」


和野方 「おう!」




車 「」ブロロロ…


桐子 「ようし!それじゃ閉めて閉めて?」


晶 「あーい!」


比嘉子 「よいしょっと!」



裏門 「」ガラガラ…カシャンッ




奴らの車 「…」


奴らの車 「」グルッ…ブロロロ… Uターンして引き返していく






和野方 「…お前らはここにいろ オレが先出る」


悠里 「……気をつけてね?なにかあったらすぐ戻ってきて」


和野方 「あぁ わかってるよ?」


和野方 「(…敵じゃないといいが)」タッタッタッ…



ガチャ…


和野方 「…」ジッ…


晶 「おぉっと?なかなか警戒されてるね ちょっとこわいかも」


桐子 「…きみ、そのケガ大丈夫?右手はないうえに左手もケガしてるみたいだけど」


和野方 「…それよりも、お前らは?」ジロッ


桐子 「うーん…生き残り?」


晶 「ちがうっしょ アタシたちさっきの車の連中とは別グループだよ」


桐子 「あぁそうそう 武闘派の人とはどうも合わないんだよねー」


比嘉子 「…」


和野方 「…武闘派?」


桐子 「そんなわけでまぁ 聖イシドロス大学へようこそ!」スッ


和野方 「……」


桐子 「そんな警戒しなくても平気だよー?さっきも言ったけど、私たちはさっきの人たちとはちがうから!」


晶 「とりあえずは安心してよ?っね!」


和野方 「…わかった」スッ…ギュッ 差し出された手を握って握手を交わす


比嘉子 「…ほかの人たちまだ中?」


和野方 「あぁ 今呼んでくるよ」タッタッタッ…



桐子 「…なかなかの強者だね?あいつらと変わらないかもねー」


晶 「まだ警戒されてるからっしょ?あの様子だと中にいる人たちを守るために動いてたように見えるけど」


比嘉子 「…わたしもそう思う」


桐子 「なら平気かな?二人が言うなら」



悠里 「…っと」トサッ


胡桃 「…」


美紀 「…」


由紀 「おぉー!ここが新しい学校かー!」(✧▽✧)キラキラ


桐子 「おぉ?なかなか愉快そうな子がいるね これはおもしろそうだ!」


悠里 「……えっと、お世話に…なります」スッ


桐子 「うん!」ギュッ


由紀 「学園生活部再スタートだよ!」ポンッ 悠里と桐子が握手を交わしている手の上に手を置く


桐子 「っ!」


胡桃 「だな!」バッ


美紀 「ですね」バッ


由紀 「ほら ながながも!」


和野方 「っえ あっあぁ」スッ


全員 「「おぉー!!」」


桐子 「っえ なっなに!?」タジッ


晶 「っぷ!」クスクス


比嘉子 「…ふふ!」クスッ


和野方 「……なっなんだかなぁ」













聖イシドロス大学ー内部通路



タッタッタッ…


晶 「へー いままで高校にいたんだ スゴいね」


由紀 「うん!学園生活部っていうんだよ!」


胡桃 「おいゆき……相手は先輩だぞ 長谷とはちがうんだから」


晶 「あっ敬語とかいいよ そういうの面倒でしょ?」


晶 「学園生活部ね うちも似たような感じかな」


和野方 「…似たような感じ?」


桐子 「そう!ボクたちのサークルへようこそ!」バッ!!


悠里 「…サークル、ですか?」


桐子 「そそ!名前で色々もめたんだけどさ」


桐子 「自堕落同好会とか!くっちゃね友の会とか!」


和野方 「……ねっネーミングセンスねぇ………」ウワァ…


比嘉子 「さすがに…ないよね」


和野方 「うん 俺もないな」キッパリ


桐子 「おぉっと!二人から厳しい言葉が飛んできたねー」


桐子 「ま そんなこんなで最終的にサークルでいっかってことになって まま!難しいことはあとにして入って入って!」ガチャッ



ギィィ…


美紀 「…おっおぉ これは…」


悠里 「……なっなんというか 完全に遊び部屋………」


和野方 「コンポにテレビにゲーム…てか、ずいぶんとでかいクッションだな?」


胡桃 「おー!こっこれ 遊べるんですか!?」ツカミッ


桐子 「もっちろん!よっと」モフッピッ クッションに座り込んでテレビの電源をつける


テレビ 『ドコドコドコドコ!!』


胡桃 「おぉー!」(*'∇'*)ワクワク



和野方 「…さっそくゲームか……」


美紀 「自堕落同好会……っん?」


戸棚に仕舞われているDVD 『ブタリアンリターンズ!』


美紀 「あ……見たかったやつ」(✧ㅇ✧)キラキラ


晶 「はいはいそこまで」ピッ


テレビ 『キエマース』プツン


胡桃&桐子 「「わー!!」」


晶 「わーじゃないっしょ お客さん呼んどいて」


由紀 「そーだよくるみちゃん?」


胡桃 「わるい ゲームできるなんておもってなかったからさ」ヘヘ…


桐子 「そう!ボクの言いたかったのはそこさ!」フフフ


桐子 「ここはね 電気が生きてるんだ!」キリッ


美紀 「あの…私たちの学校にも電気はありました」


桐子 「なにっ!?」


桐子 「へっへー でもね!それだけじゃないんだ ここにはなんと…」クイッ


桐子 「温水設備があるんだ!暖かいシャワーも浴びれ…」


和野方 「それもあったよ 俺たちがいた高校もそれなりに設備整ってたな」


桐子 「」ズーン…


和野方 「っえ ちょっ…そっそれだけで落ち込むなよ べつに悪い意味で言ったわけじゃ……」アセッ


由紀 「でもでも!しばらくシャワー浴びてないからすっごくうれしいです!」


桐子 「そっか!」パァァァ!!


和野方 「(ナイス!由紀)」


比嘉子 「……ここだけじゃなかったんだ」


晶 「ねぇ アンタたちの高校ってどこの高校?」


悠里 「それなんですけど…」


晶 「あってか座ったら?」


悠里 「あっはい」スゥ…



ポスンッ…


全員 「「…はぁー……」」ダラー… でかいクッションの上に座ったり寝っ転がったりしてだらける


和野方 「…おい おまえら……」


晶 「…部屋変えましょう」ヨット













晶の部屋



晶 「よっと」ポスンッ


桐子 「ふぅ…こっちなら話ができるねー?あのクッションがあるとどうしてもだらけちゃうから!」


和野方 「ならその上に座らなければいいだろ…」


桐子 「ちっちっちー!わかってないねー?あのクッションがあったら誰でも座りたくなるでしょ!」ビシッ!


和野方 「いや べつに」キッパリ


桐子 「おぉ…きみ、なかなか厳しいね わたし君みたいな子苦手かな…」


和野方 「…すまん はっきり言いすぎた」


桐子 「あぁべつに謝らなくてもいいよ 人の性格なんて人それぞれなんだから!」


和野方 「…そうか」


晶 「えーと 自己紹介からかな?ほら 代表」


悠里 「…っえ 代表?」


桐子 「えー…こほん」


桐子 「サークル代表の出口桐子だよ 代表の仕事は楽しいことを企画することかな」


由紀 「楽しいこと?」


桐子 「そう!」


桐子 「24時間耐久ゲーム大会とか!24時間耐久映画鑑賞とか!24時間耐久アイスクリームとか!」


由紀 「おぉー!?すごいすごい!!」

( 'o' )!!!


胡桃 「はっはは…」苦笑い


美紀 「それって…全員参加なんですか?」


桐子 「まっさか うちはゆるいから強制とかないよ!」


晶 「んでアタシが光里晶 アキでいいや」


晶 「んでこっちが喜来比嘉子 ヒカだね!工作とか修理とかが得意」


晶 「それでアンタたちが学園生活部だよね」


美紀 「はい…」


由紀 「ゆきとりーさんとみーくんとくるみちゃん!それにるーちゃんと副顧問のながながです!」


桐子 「…っえ 顧問なの…?」


和野方 「まぁ色々あってな 今は副顧問をやってるんだ」


比嘉子 「……教師なの?」


和野方 「…まぁ臨時教師だ そういうことにしといてくれ」


晶 「ふーん?なんか色々あるんだね てか、副顧問って言ってたけど顧問の方は…」


和野方 「晶と言ったな 余計なことを口にするな」


晶 「っ!」


学園生活部みんな 「「…」」


桐子 「(…なるほど 副顧問がいて顧問がいないのは……)」


晶 「…ごめん」


和野方 「わかってくれればいいさ …俺も口を悪くしてわるいな」


比嘉子 「…それで、そっちは何があったの?わざわざ高校を出てこっちに来たのって理由があるんでしょ?」


悠里 「それなんですけど…」ゴソ…スッ


桐子 「っん?これは…?」スッ…ペラッ


美紀 「目を通してもらえれば一番早いかと思います 口で説明するより理解できるかと」


桐子 「………」


晶 「…っ! ちょっこれって!!」


比嘉子 「ーっ…あっあの化け物のことも書かれてる!なんで…!?」


桐子 「しかも君たちの高校と私たちの大学の名前まで書かれてる…なるほどね それでうちの大学にねー」


悠里 「ランダルコーポレーションというのと迷ったんですけど…こちらの方が近いと判断してこっちに来たんです」


由紀 「そのうち行ってみよ?」


桐子 「うぅ…ボクはインドア派だかし……」


晶 「アンタねぇ この子たち見てそれ言えんの?」


由紀 「へ?」


桐子 「…がっがんばる……」ウゥ…


晶 「…」


比嘉子 「…あれ まだページがある?」


晶 「っえ あっほんとだ」ペラッ…


晶 「…っ! なっなにこれ?!」


桐子 「っえ どうしたの?」


比嘉子 「ーっうっウイルス強化した バケモノ……?」


桐子 「……っえ」


和野方 「あぁ そいつのことなら安心しろ その化け物は倒したから」


三人 「「っえ!?」」


悠里 「そのネメシスという化け物は長谷さんが倒してくれました …右腕を犠牲にして、私たちを救ってくれたんです」


胡桃 「今はないが高校にいたときに長谷がライフルを持っててな その銃弾の火薬を爆薬に使って倒してくれたんだ」


桐子 「ライフル!?日本じゃ銃の所持は禁止されてるはずじゃ…」


和野方 「…そこら辺で死んでた警察官が持ってたのをもらったんだ 銃弾も落ちてたからそれももらったんだ」


晶 「あーなるほど 警察ならいろんな武器持ってるもんね 普段は使わないけど」


比嘉子 「…ほっほんとに倒したの?この本に乗ってるバケモノ」


和野方 「あぁ 上半身と下半身を真っ二つにして倒したよ ゼロ距離で右手に爆弾抱えて一緒に吹っ飛ばしてやったよ」


和野方 「生かしておいたらいつまでも俺たちを追いかけてくるのは目に見えてたからな 俺たちじゃなくても他に生きてる奴がいたらそっちに目移りする可能性もあったから早めに対処したんだ」


和野方 「…まぁ 倒したはいいがおかげで右手は根元までなくなっちまったけどな 幸いにも俺は両利きだったから右手を失ってもなんとかなってるがな」


桐子 「…へぇー きみ、意外に仲間思いが強いみたいだね?ボク君のこと勘違いしてたよ」


和野方 「勘違い…?」


桐子 「うん 正直言っちゃうけどね?ボクは君のこと疑ってたんだー」


桐子 「女子4人の中に男子1人ってなんか結構ありそうじゃん?主に男の威厳ってやつ?」


桐子 「この今の世の中じゃ男が主導権握るみたいなことになってそうじゃん?だから君はその学園生活部の子たちを脅してたんじゃないかと思ってたんだよ」


悠里 「ーっな!?そんなことありません!長谷さんはそんな方では!!」


桐子 「あぁーっと!わかってるよ 今の話を聞いたらボクの勘違いだったって言ってるでしょ?」


桐子 「だから今この場で疑ってたことをあやまるよ ごめんよ?」


和野方 「…いや、別にいいよ 今の世の中じゃそう思ってもおかしくはない まして女が男を疑うのだってわかる」


桐子 「あれ?意外に素直なんだね 怒るかと思ってたんだけど」


和野方 「これくらいで怒ったりはしないよ 事実なんだから」


和野方 「悠里もいちいち俺が疑われたからって反発しなくていい この状況化なんだから仕方ないだろ?」


悠里 「だって!長谷さんはそんなことしないのに疑われたから…」


和野方 「悠里たちはそれをわかってるけど、ここにいた人たちは俺のこと知らないだろ?今初めて会ったんだから疑われても仕方ない」


悠里 「初めて会った人をすぐ怪しむのは失礼よ!それがたとえ男だったとしても!」


和野方 「…」スゥ…



ポスっ…


悠里 「っ!」和野方の左手が頭の上に乗っけられる


和野方 「落ち着けって?言い合いをするためにここに来たわけじゃないだろ 情報を整理するためにここに来たんだろ?」


和野方 「俺は気にしてないからもう怒るな なにか不満があるなら後で聞いてやるからっな?」


悠里 「…あっえ、えと……」///カァァ…


悠里 「……はい わっわかりました………」プシュー…


和野方 「わるいな騒がしくしちまって 悠里にはあとで言っとくから許してくれ?」


桐子 「あぁいいよいいよ ボクも疑ってたんだし、おあいこということにしよう!」


和野方 「そうしてくれるとありがたいな」スゥ…


悠里 「あっ……」シュン…


胡桃 「(…りーさん 長谷が手をどけた瞬間にそんな悲しそうな顔するなよ…思いっきりみんなにバレてるよ)」


和野方 「それでお前たちは今までどうしてきたんだ?あの武装してた奴らと関わりあるのか?」


比嘉子 「」ピクッ


桐子 「あー…まぁ あると言えばあるんだけど、別に悪い奴らじゃないんだよー?」


桐子 「最初に騒ぎが起きた時はさ まだ電気とかなかったんだ だからみんな必死だった」


桐子 「ぶっちゃけ人がどんどん減ってったし あのままだとヤバかった」


桐子 「だからあいつらは規則第一でしきり始めたんだ」


和野方 「…なるほど 大体わかったよ」


和野方 「戦える人材だけ集めて自分たちだけで助かろうみたいなことをして、少しでもケガしたら危ないってことで切り捨てるみたいなかんじか?」


桐子 「あっははー なかなか鋭いねー?きみ ほぼほぼあってるよ」


桐子 「でも僕たちはそういうの苦手でさ?文句言ったら勝手にしろって言われて…それで勝手にしてるんだ」


晶 「はしょりすぎ ヒカのおかげでしょ?」


比嘉子 「別に…」


桐子 「そうだった」オット


桐子 「ほっとかされてさ 水もご飯もなくなって そろそろまずいかなって思ってたらヒカがさ」


桐子 「非常用電源を見つけてくれたんだよ 地下の食料庫も!」


美紀 「電源って太陽電池ですか?」


晶 「うん 屋上にあったから、どこか繋がってると思って調べたんだ」


晶 「とにかくそれで、水と食料と電気は何とかなって ゲームする余裕もできたってわけ!」


由紀 「よかったねぇ …でもそれならさぁ あの人たちもまったりすればいいんじゃないかな?」


和野方 「一度決めたルールを変えるのは難しいんだよ ましてこんな状況じゃよけいにな?」


由紀 「そうなんだ…」


桐子 「ま いろんな奴がいるさ 大学だからね?」フゥ…


由紀 「おおー」ホウホウ


晶 「…それ、今考えたでしょ」


桐子 「言うなよー」


比嘉子 「…ねぇ 余ってる部屋まだあるからさ 一人一人、選んでもらわない?」


晶 「っお そうだね?」ヨット


晶 「それじゃ今から君たちの部屋選びと行こうじゃん?使ってない部屋があるから案内するよ!」


由紀 「ほんと!?わーい!」


美紀 「いいんですか?私たちの部屋を作ってしまって」


桐子 「いいに決まってるでしょー?好きな部屋選んでよ!」


悠里 「それじゃ遠慮なくそうさせてもらいます」


胡桃 「よーし!それじゃみんな行くぞ!」


和野方 「あっ俺は後で行くから先に行っててくれ 少し…えと、桐子…さん?と話がしたいから」


桐子 「あぁ別にさん付けじゃなくていいよー てか、タメ使ってる時点でさん付けするのも変だけどね?」


和野方 「あっ…わるい」


悠里 「話しってなんの話し?」


和野方 「っん …まぁ、少しな?ここの代表と学園生活部の副顧問としての話しを…な」


悠里 「…?」


和野方 「まぁいいからさ!早く行って決めてきてくれ っな?」


悠里 「…わかりました」


比嘉子 「それじゃわたしもついて行く それじゃ行こ?」


由紀 「はーい!」


タッタッタッ…


悠里 「…」タッタッタッ…


悠里 「(…一体、なんの話しを…?)」



パタンッ…




和野方 「…」


桐子 「いやー あの計画性がありそうな子、キミのこと信用してるね?まるで恋をしてるかのような!」


和野方 「…まぁ 悠里が俺を好いてるのは俺自身も知ってるが…」


桐子 「おや?それじゃ二人は付き合ってるのかい?」


和野方 「いや付き合ってはない…いや、付き合えないと言った方がいいかな」


桐子 「付き合えない…?」


和野方 「俺には彼女がいる …今はもう、死んでるけどな」


桐子 「………」


和野方 「…それで、俺がお前と話がしたいと言ってたことなんだが 少し情報収集がしたい」


桐子 「情報収集?べつにいいよー 話せることなら話してあげるよ?」


和野方 「見た限りだとお前らの中に戦闘班は見られないが…誰も戦えないとみていいかな?」


桐子 「そうだよー ボクたちは非戦力だから戦えいないよ」


和野方 「それじゃさっきの武装集団は関わりはあるものの お互い決裂してるとみていいかな?」


桐子 「んー…それはちょっと違うかな 別に決裂してるわけじゃないよ?」


桐子 「一応ルールとしては物資や人材を分け合うってことになってるんだ こっちでなにか手に入れば向こうに分け与える 逆に向こうでなにか手に入ればこっちに分け与える…それくらいはしてるよ?」


和野方 「物資や人材の分け与え…あんまり向こうに行きたくはないんだが?」ジッ


桐子 「?…っ! あーなるほどね?キミほんと鋭いね」


桐子 「別にいやならいやでへいきだよ?人材に関してはその人それぞれの意見があるからね」


桐子 「多少の情報交換はしてるから、その時に適当なこと言って嫌がってたって言っとくよ」


和野方 「そうして貰えるとありがたい あんな奴らのところになんか行きたくもねぇ」


桐子 「あっははー…まぁそうだよね?キミのお仲間さんが傷つきそうだったもんね わかるよその気持ち」


和野方 「っ! 見てたのか?」


桐子 「うん 君が一人で勇敢にあの武闘派を相手しようとしてるのを晶が見てたんだ」


桐子 「わたしも見たけどすごかったねー?キミ片手ないのにもう片方の手で刀を抜いて構えてるんだもん 今になってそれほどあの子たちを守りたかったんだなって思ったよ!」


和野方 「…まぁ あいつらも非戦闘員だからな?胡桃は戦えるがあまり女にやらせるのもあれだからな 俺がみんなを守らないといけない」


桐子 「うんうん!やっぱ男子だね そういう気持ちを持ってる人はモテるよー?」


和野方 「いやモテるって……」


桐子 「…それとさ ボクからも聞いていいかな?」


和野方 「なんだ?」


桐子 「このマニュアルに書いてある…この、ネメシスって化け物なんだけど ほんとにキミ倒したの?」ペラッ


和野方 「あぁ 証拠を見せろと言われると写真とかないから悪いが証明できるものはないがな」


桐子 「あぁいや 別に疑ってないよ?君が嘘をついてるようには見えないし、なによりこの化け物を倒したことを嘘つく意味がないからねー」


桐子 「…にしても、こんな化け物が作られてたなんて この会社はなにを企んでるんだろうね?」


和野方 「…さぁな そこまではわからない」


和野方 「ただ、この世界をこんなことにしたのはその会社で間違いない 誰がなんと言おうと許されない…!!」ググッ…


桐子 「…」


和野方 「まだ聞きたいことはあるか?あるなら話せる範囲で話してやるけど」


桐子 「…それじゃ、野暮なこと聞くけどいいかな」


和野方 「なんだ?」


桐子 「……キミ、ゆうりって子に手を出したかい?」


和野方 「………っえ」


桐子 「…どうなの?」


和野方 「………」


桐子 「…」


和野方 「…少し、はなし長くなるけどいいかな?誤解されると俺もいやだから」


桐子 「いいよー 僕たちもさすがに手を出す男子となると警戒せざる得ないからね?」


桐子 「あまり変なことを言わないで正直に説明してよ あんまり言葉とか詰まらせないでもらえるともっと信じるから?」


和野方 「なるべく詰まらせないように話すよ それじゃまず…」
















晶 「ここら辺の部屋はだれも使ってないから一人一部屋選んでもいいよ!」


由紀 「わーい!選び放題だー!」

(`・∀・)ノイェ-イ!


悠里 「ーっ…」ソワソワ…


比嘉子 「…どうしたの?なんか落ち着きないけど」


悠里 「…長谷さん まだ話し終わらないのかしら?」


胡桃 「いやりーさん まだ5分も経ってないから…しかもまだここまで来た時間しか経ってないだろ」


悠里 「だってその間にも長谷さんは桐子さんと話をしてるんでしょ?ただ話してるだけならいいけど…」


晶 「…と、いうと?」


悠里 「…桐子さんってけっこうかわいい方じゃありませんでしたか 長谷さんが惚れなければいいんですが……」


美紀 「」ブフゥッ!!


由紀 「みーくんきたない!」


比嘉子 「…心配なの?」


悠里 「えぇ 長谷さんも長谷さんでカッコイイ方なので桐子さんが惚れなければいいのですが……」


晶 「………えっと、それはないんじゃない?桐子が誰かに惚れるイメージつかないし」


悠里 「でも急に惚れるということもありえます!もし長谷さん、もしくは桐子さんが惚れたりなんてしたら…!」


比嘉子 「…きみ あの男子のこと好きなの?」


悠里 「ふぇっ!?」///ボッ!!


悠里 「なっなに言ってるんですか!べべ、べつに私は長谷さんのことなんて!?」///アワワワ


比嘉子 「…すごく慌ててるけど」


悠里 「そ、そんなことありません!べべ別に慌ててなんて!!」///パニック!


美紀 「(…ゆうり先輩 もう少し隠してください…もろ顔に出てますよ)」ゴホッ…


晶 「…ねぇ あの子、さっきの男子のこと好きなの?完全に意識してるけど」ヒソヒソ


胡桃 「あぁ りーさんは長谷に惚れてるんだ 何度も助けてもらったってのもあるし、なにより長谷は優しいからな?」


胡桃 「とくに長谷にはりーさんを見るように頼んでるんだ …言っちゃ悪いけど、今のりーさんには長谷が必要だからな」


晶 「…」



由紀 「りーさん さっきから顔赤いけどだいじょうぶ?風邪ひいた?」


悠里 「ーそっそんなことないわ!風邪なんてひいてないわ」///


比嘉子 「…耳まで真っ赤」


美紀 「あっあの、ひかこ先輩 それ以上は…」



晶 「…もしさ あの男子がいなくなったら…ヒジョーにまずい感じ?」


胡桃 「…まずいどころか、私たちじゃどうにもならない もし長谷がいなくなったりなんてしたら……」


晶 「…そこまでまずいんだ だとしたらあの男子にはあんまり頼れないね」


胡桃 「頼る?」


晶 「うん もし万が一さ?奴らが中に入ってきた時に頼ろうかと思ってたんだけど…」


胡桃 「あぁ それなら平気だよ?私もそうだが、長谷もみんなを守るために奴らが攻めてきたらすぐやっつけに行くから」


晶 「…っえ でも、もしやられたらあの子は……」


胡桃 「平気だよ …私たち、ならな」


晶 「…たちなら?」


胡桃 「まぁそんなことより!早く部屋決めようぜ?ゆき、みき、りーさん!」


悠里 「っえ!?あっそ、そうね 早く決めようかしら!」


由紀 「それじゃ私こっちー!」

"(ノ*>∀<)ノ


美紀 「あっなら私はこっちで」タッタッタッ…


胡桃 「それじゃあき先輩 私も部屋決めるから、私たちのことでなにか聞きたいことがあったら聞いてくれ?」タッタッタッ…


晶 「っえ?あっうん わかった(はぐらかされた…?今わたし達ならって言った瞬間にはぐらかしたけど…)」


晶 「(…そういえば あの男子とくるみって子だけ包帯巻いてるけど…もしかして、奴らに噛まれてるの?)」


晶 「(でも二人から慌ててるような感じはしないんだよね?普通なら奴らに襲われてケガしたら、死にたくないからソワソワしてなんとかみんなに黙ってようとする行動を見せてもおかしくないけど…二人とも平常心だし)」


晶 「(…まぁ 時間が経てばわかるか?部屋も別々にしてるからもし万が一、奴らみたいになってたらすぐ対処できるし)」


比嘉子 「…気になる?あのくるみって子」


晶 「多少ね ちょっと引っかかる点はいくつかあるけど…まぁ今すぐじゃなくてもいいかな?」


比嘉子 「…そう」















桐子 「…なるほどねー たしかに見た感じ、やばい感じはしたけどそういう事だったんだねー」


桐子 「それで君が見てる感じか…君もなかなか大変だね?そんな重大な役を任されて」


和野方 「俺にしかできないことだからな みんなに任されたならやるしかないし、なによりあの状態で放っておくこともできないからな?」


和野方 「…これで、信じてもらえるかな?俺が悠里に手を出した理由もなるべく詰まらせないように話したが」


桐子 「うん!信じるよ 君が手を出したくて手を出したわけじゃないって思いもすごく伝わったから安心して!」


和野方 「それならよかった 納得してもらえて?」


桐子 「ただ…ここではそういうのはなしでお願いできるかな?さすがにそういう行為をされてると…ね?」アハハー…


桐子 「あっキミたちが乗ってきた車でするなら構わないよ?たぶんそこなら音も聞こえてこないだろうし……たぶん」


和野方 「あぁいや そういうことはもうしないよう言われてるから安心してくれ?美紀って奴がいただろ あいつに言われてるから」


桐子 「あれ そうなの?けっこう厳しいんだね」


和野方 「厳しいっていうか…まぁ俺は男だからな?警戒されても仕方ないしな」


桐子 「っえ 警戒されてるの?キミたち一緒に来たのに」


和野方 「男である以上、警戒は解けないだろ 男ってだけで今の世の中でなにするかわからないからな」


和野方 「俺は強姦とかそういうのは嫌いだからみんなに手を出さないが、もしそういうのが好きなやつなら皆をとっくのとうに無茶苦茶してるだろ?」


和野方 「とくに美紀は俺に要警戒してる 一度、悠里に手を出したことで追い出されそうにもなったからな」


桐子 「おっおぉ…そこまでなんだ?けっこう厳しいねあの子」


和野方 「厳しくて当然だろ?女に手を出したんだ 警戒されない方がおかしい」


和野方 「でも胡桃たちの説得でなんとか要警戒だけでみんなと一緒にいることは許されたよ …嫌々ながらもな」


桐子 「…」


和野方 「他になにか聞きたいことはあるか?あるなら答えるけど」


桐子 「うーん…そうだね?ゆうりって子のことは聞いたから次はこのマニュアルに書いてある強化された化け物のことを聞こうかな」


和野方 「ネメシスのことか?もうそいつは倒してるから今さら聞くことなんてあるか?」


桐子 「あぁいや!予想でいいんだ?こんな化け物が作られたならさ 他にも作られてるんじゃないかなぁと思ってね?」


和野方 「………」


桐子 「……あ、あれ?なんで黙るのかな…?」


桐子 「さすがに黙られると…ちょっと、心配になるんだけど……」


和野方 「……なら聞くな これ以上絶望に落ちたくなければな?」


桐子 「………その言い草だと、なにか知ってるの?」


和野方 「今聞くなと言ったよな?これ以上生きていくのが辛くなりたくないなら聞くな」


桐子 「……でも、いつかは知ることになるかもしれないよね?」


和野方 「………」


桐子 「…この化け物以外にも、強化された化け物はいるの?」


和野方 「………」 チッチッチッ…


桐子 「………」 チッチッチッ…


和野方 「…警告はしたからな?」


和野方 「…この前、車を走らせてた時に白くて左手の爪が鋭く でかい化け物に襲われた」


和野方 「全速力で走らせていたにもかかわらず 徐々に距離を詰めて追いつかれそうになった…力も脚力も異常だった」


和野方 「なんとかしてやつを巻くことはできたが、その資料に載ってるネメシスって化け物は逃がした敵を絶対見つけだして死んだのを確認しないといつまでも追いかけてくるやつだった」


和野方 「もしそいつと同じように作られたとしたら、一度逃がしたやつの死体を見つけ出すまで今ごろ探してると思う?追いかけられた場所はここから距離あるけど、もしかしたらこっちに来てるかもしれない」


桐子 「…つまり、君たちを探してるってこと……?」


和野方 「そういうことだ まぁ俺たちだけじゃなく、生きてるやつが入ればだれでも追いかけるけどな?」


桐子 「……へ へぇ?そんな化け物が…まだいるんだ しかも…もしかしたらこの近くに来てるかもしれない……ねぇ」ブル…


和野方 「…だから聞くなと言っただろ 聞いたら絶対そういう反応すると思ったから話したくなかったんだ」


桐子 「あっあはは…ごめん まさかそこまで深刻だとは思わなくて……」


桐子 「…ねっねぇ もしさ?その化け物がさ ここに来たら…どうすればいい?」


桐子 「私たちでなんとか…できるかな?武闘派のみんなにも手伝ってもらったりすれば……」


和野方 「ムリだな 全員一分とかからずに全滅だろ」


和野方 「俺も右手を失ってるから多少の抵抗はできるかもしれないが、それもみんなを逃がすための時間稼ぎにしかならない 倒すのはムリだ」


桐子 「…っえ みんなを逃がすための時間稼ぎって……」


和野方 「さてと、俺も部屋選んでくるか?わるいけど案内してもらえるかな」スクッ


桐子 「まって!今なんて言った!?も もしかして、今の言葉本気じゃ……」


和野方 「桐子 俺はな?自分で決めたことは曲げない性格でな 誰かにやめろと言われても、それが正しい選択だと思ったらそれを貫き通す」


和野方 「胡桃たちにも言われてるんだ 自己犠牲だけはするなって?もしそれで俺が死んだら悠里が落ちるって」


桐子 「ーっだ だったら!やらない方がいいよ!あの子たちにも言われてるならやらない方が!!」


和野方 「全員死ぬより他のみんなを生かした方が効率が良いと思わないか?全滅するより誰かひとりでも多く生かした方がこの先の未来に賭けられる」


和野方 「全滅なんてしたら、今まで生きてきたのが全部水の泡になっちまうだろ?俺はそんなことしたくないんだ」


桐子 「だとしても!それでゆうりが落ちたら元の子もないじゃないか!あの子を落ち着かせることができるのはキミだけなんだろ?」


和野方 「…おそらくな」


桐子 「だったらやめた方がいいよ あの子をおかしくしたくないなら自己犠牲なんて考えないでもっと別のこと考えた方がいいよ」


和野方 「ならどうする?今俺が言った化け物がここに来たらどう対処する まさかみんなで力合わせて倒すなんて言わないだろうな?」


桐子 「………」


和野方 「しかもだ!お前は非戦闘員だ 無理して戦ってもやられるのが落ちだ」


和野方 「ここにいるみんなだって俺と胡桃以外は戦闘員じゃない 戦ったら危ないのはお前も理解してるだろ?」


桐子 「…それは……」


和野方 「俺のために言ってるか、悠里のために言ってるかはわからないがムリしなくていい 仲間を思う気持ちはわかるが痩せ我慢はしなくていい」


和野方 「逆に俺たちのために戦って、誰かを失ったらそれこそいやなんだ 戦えないやつを無理に戦わせて失った時の気持ちもわかってほしい」


桐子 「…でも……」


和野方 「それに俺は死ぬ気でやるだけであって、だれも死にに行くと入ってないぞ?そこは勘違いしないでくれ」


和野方 「生きれるなら生きて戻ってくるし、みんなを逃がしたあと逃げれるようなら逃げる だから安心してくれ?」


桐子 「……ぜったいだよ?」


和野方 「あぁ!約束する」


桐子 「…わかった とりあえずは納得するよ」


桐子 「それじゃキミの部屋まで案内するよ?」カタッ


和野方 「たのむよ」











悠里 「…」ソワソワ…


胡桃 「…りーさん またソワソワしてるけど…どうした?」


悠里 「…ねぇ さすがに遅すぎない?いくらなんでも時間かかりすぎだと思うのだけど」


美紀 「いやそんなことないと思いますが…なにか重要なことを話してるんじゃないかと思いますが?」


悠里 「その重要なことってなに?」


美紀 「いやそこまではわかりかねますが…」


由紀 「心配なら一緒に見にいく?」


悠里 「それはちょっと…もしなにかしてたらこわいし……」


晶 「いやだから それはないっしょ?桐子が誰かを好きになるなんてありえないって」


悠里 「でも長谷さんはカッコよくて優しいんですよ?私だって最初は…その……そんな気は、なかったのに 長谷さんが優しくしてくれるから………」///モジモジ


比嘉子 「…ほんとに好きなんだね あの子のこと」


悠里 「ーっ……」///カァァ…


胡桃&美紀 「「(あっ今度は否定しないんだ…)」」



桐子 「おやー みなさんお揃いで!」タッタッタッ…


和野方 「遅くなってわるいな もうみんな決めたか?」


悠里 「っ! 長谷さん!」ズイッ


和野方 「っえ なっなに?てか顔近い…」


悠里 「かなり遅かったですね 桐子さんとなにをはなしてたんですか?」


和野方 「なにって…代表と副顧問の情報交換だけど?」


悠里 「それだけですか?」ズイッ


和野方 「っえ それだけって…?てか顔近いよ」


悠里 「なにか別のことも話してませんでしたか?例えば、桐子さんを口説くようなことを…」


和野方 「いやまて なんでそうなった?なんで俺が桐子を口説くんだよ」


和野方 「俺はお互い必要な情報を交換し合ってただけだからな?それ以外のことはなにもしてない」


悠里 「ほんとですか?」


和野方 「ほんとだよ なら桐子にも聞いてみろよ?」


悠里 「…口説かれてませんか?桐子先輩」


桐子 「されてないよー てか、ボク恋愛とかそういうの疎いからながや君が優しいぐらいじゃボク落ちないよー?」


和野方 「ちょっ!?桐子なに言って…」


悠里 「なーがーやーさん!」キッ



胡桃 「うわぁー…りーさんマジで怒ってるな?くわばらくわばら…」 イヤマテ!ユウリ オレハベツニヤサシクナンテシテナイカラ!


美紀 「これは長くなりそうですね はぁ…」 ダッタラナンデヤサシイナンテコトバガデタンデスカ!ヤッパリクドイテタンデスネ!


由紀 「りーさんこわい…」 シテナイカラ!?オレハタダ、ジョウホウコウカンヲシテタダケデアッテ!!


晶 「桐子…なんであんなこと言ったの?今のはまずいっしょ」 ウソツカナイデクダサイ!ホントノコトイッテクダサイ!


桐子 「いやー!なんかおもしろくなりそうだったから?」(・ω・)bグッ ウソツイテナイッテ!シンジテクレヨ?


比嘉子 「…さすがにかわいそう」 シンジラレマセン!













夜ーゆきの部屋



由紀 「…」


由紀 「……」モソ…


由紀 「………」ソワソワ…


由紀 「…寝れない なんか一人だと落ち着かない」パサッ


由紀 「……だれか起きてるかな?」スクッ


タッタッタッ…ガチャッ


由紀 「…」ソー…



和野方 「…っん 由紀?どうした こんな時間に?」通路の壁に寄りかかって座って休んでいる


由紀 「ながなが!なんでそんな所にいるの?てかながながこそこんな時間になにやってるの?」


和野方 「見張りだよ 念の為、あの武闘派って奴らが来ないか心配でな?」


和野方 「お前らの部屋は固まってるからここで見張ってれば全員守れる 一応悠里の部屋隣をもらったが、中に入ってたら気づかない可能性もあるからな?」


由紀 「…ながながはほんとに優しいね?みんなのために体張ってくれてありがとね!」


和野方 「男として当然のことをしてるまでだ 別に礼を言われることじゃない」


和野方 「それよりお前はどうしたんだ トイレか?」


由紀 「ううんちがう 今までみんなと一緒に寝てたからさ?一人だと寝れなくて…」


和野方 「…なるほど」


由紀 「…ねぇながなが となり…座っていい?少し話がしたいな」


和野方 「っん?あぁ 別に構わないけど」


由紀 「わーい!」タッタッタッ…ストンッ


和野方 「…」


由紀 「えへへー!やっぱり誰かが隣にいてくれると安心するね?」


和野方 「そうか?俺は今までひとりで過ごしてきたから別にそうは思わないけど」


由紀 「あぅ…もしかして、めいわくだった?隣に座るの」


和野方 「別に迷惑だなんて思ってないよ たしかに今までひとりで過ごしてきたとは言ったが悪いなんて言ってないだろ?」


和野方 「誰かといるのは嫌いじゃないし むしろ話し相手がいることに感謝してる」


和野方 「今この状況で自分ひとりだけでずっと過ごしてきたら…いつか、精神がやられて自殺するかもしれないからな?だから安心しろ」


由紀 「それならよかった!それじゃ少しお話しようね?」


和野方 「あぁ かまわないよ?俺でよければ相手になるよ」


由紀 「それじゃまずは…」


由紀 「…ながなが 正座してもらってもいいかな?」


和野方 「…せいざ?別に構わないけど」スゥ…


由紀 「むふふー?正座をしちゃったね ながなが!」ニヤリ


和野方 「…っえ?」


由紀 「とりゃあー!ひざまくらゲーット!」ドサッ!!


和野方 「うぉっと!?おっおい由紀…」


由紀 「えへへー!りーさんがしてもらってたのを見たときに気持ちよさそうだったからマネしたくなったの!」


由紀 「少しでいいからさせて?っね」


和野方 「…はぁ わかったよ?だけど、ここで寝たら風邪ひくかもしれないから寝るときは部屋で寝ろよ?」


由紀 「布団持ってくればここで寝てもいい?」


和野方 「いや人の膝を枕にして寝ようとするな…」


由紀 「ひとりだと落ち着かないの …だめ?」ウル…


和野方 「……はぁ わかったわかった?それじゃ掛け布団だけでもいいから持ってこい ちゃんとかけて寝れば俺の膝使っていいから」


由紀 「ながながの上着貸して!それ掛け布団にするから♪」


和野方 「いやダメに決まってるだろ…しかも俺まだ血が出てるから上着血まみれだし、掛け布団にして俺の血がお前の体内に入ったりなんてしたら大問題だ だからそれはできない」


由紀 「えぇー?でもわたし、持ってくるのめんどうさーい」


和野方 「数歩あるけば目の前にお前の部屋があるんだからめんどくさがるな さっさと持ってこい!」


由紀 「ぶー…っん?そういえばながなが ながながはここで寝るつもりだったの?」


和野方 「そうだが?」


由紀 「毛布とかは?」


和野方 「今は使ってないがリュックの中にしまってあるよ まぁもう使うことないけどな?」


由紀 「なんで?」


和野方 「この体になってからもう寒い暑いないんだ 多少あるものの、ほぼほぼ感じないから使うこともない」


由紀 「あっ…ごめん 気分悪くさせて」


和野方 「べつに悪くしてねぇよ お前らと会う前から感染してたんだ?今さら気にしねぇよ」


和野方 「それで俺の毛布使うのか?使うなら出してやるけど」


由紀 「いいの!?」(*°∇°*)


和野方 「あぁ 今だすよ」ゴソゴソ… 隣に置いてある自分のリュックに手を突っ込む


由紀 「わーいわーい!ありがとねながなが!」


和野方 「今回だけだからな?次からは自分のをだな…っあ」ピタッ


由紀 「? どうしたの?」


和野方 「(…やばい 毛布…一番下に置いて、その上に酒とか置いちまってるから一度酒をどかさないと取れない……)」


和野方 「(どかすにしてもリュックから出さないといけないから由紀に見られる……どうしよう)」タラー…


由紀 「? ながなが?」


和野方 「…由紀 ちょっと…目をつぶっててくれないか?毛布貸してやるから」


由紀 「っえ?なんで?」( ˙ㅿ˙ )


和野方 「いやなんでって…」


由紀 「…っあ!わかった なにかおいしいものを隠してるんだな!」


由紀 「わたしにもちょうだーい!」ガバッ


和野方 「ちょっ!おまっ!?」


由紀 「…っえ これって……」


和野方 「(やべ…完全にバレた)」


由紀 「…ねぇながなが これ、お酒だよね なんでながなが持ってるの?」


和野方 「っえ あっいや、それは……」


由紀 「もうダメだよ!ながながまだ19歳でしょ?年いってないのにお酒飲んじゃ!」


由紀 「まだ成長期なんだから飲むと身長大きくならないよ?」


和野方 「いや べつに身長は気にしてないんだが…」


由紀 「…でも、ちゃんと気をつけて飲むんだよ?奴らが襲いかかってきたときに酔ってたら困るからね?」


和野方 「…っえ」


由紀 「っん?どうしたの」(・·・)?


和野方 「…止めないのか?俺が酒飲むの」


由紀 「…止めてほしいの?止めたらながながの楽しみ取らない?」


和野方 「…っえ」


由紀 「たしかにやめて欲しいよ?何かあったときに酔ってたらこまるし お酒は体に毒だっていうし」


由紀 「でもそうしたらさ ながながはストレスとか溜まったらなにで発散するの?お酒飲む以外で」


和野方 「っえ それは……」


由紀 「それ考えたらさ お酒はやめさせない方がいいなって思うの?だれでもストレスは溜めるからなにか発散できることがないと人間は生きていけない」


由紀 「だからやめさせる気は無いよ みんなにも内緒にしておくから安心して?」


和野方 「…そうか ありがとな?やめさせないでくれて」ポンッ


由紀 「えへへー!もっと撫でてー!」///


和野方 「布団出してからな?今出すから待ってろ」ゴソゴソ…コトッコトッ


和野方 「よっと!」バサッ


由紀 「わーい!ありがとうながなが!」


和野方 「今回だけだからな 次からは自分のを使えよ?」ナデナデ


由紀 「はーい!」///ワシャワシャ



…ガチャッギィィ……


悠里 「…長谷さん」ソー…


和野方 「うぉっ!?なっなんだよ てか、そんな覗き込むように見なくても普通にでてこいよ?」


悠里 「…だって ゆきちゃんと良い雰囲気だったから……」


和野方 「いや良い雰囲気って…」


由紀 「りーさんおはよー!まだ夜だけど」


由紀 「どうしたの?りーさんがこんな時間に起きてるなんて珍しいね」


悠里 「…それが、いつもみんなと一緒に寝てたから ひとりで寝ようとするとなかなか寝つけなくて……」


由紀 「それじゃりーさんもここにくれば?もう片方の膝空いてるよ!」


和野方 「おい 人の膝をもの扱いするな てか、誰もいいなんて……」


悠里 「…だめ?」ウル…


和野方 「ーっ…わ、わかったよ ただ布団は持ってこいよ?俺のは由紀に貸してるからもうないぞ」


悠里 「…ねぇゆきちゃん 私もそっちで寝ていい?」


由紀 「いいよー!」


和野方 「いやいいよって おまえ勝手に…」


悠里 「…だめ?」ジッ…


和野方 「ーっ……そっそんな目で見るな?わかったよ ふたりで使っていいよ」


悠里 「っ! そっそれじゃ失礼して」タッタッタッ…


悠里 「…よいしょっと」パサッ ゆきと同じ膝枕を使って布団に入る


由紀 「おっと!私もう少しズレないとりーさん狭いね」ヨット


悠里 「あっごめんね?」


和野方 「…なぁ 寝づらくないか?ふたりして同じ膝枕使うの」


由紀 「そんなことないよ?お互い背中向きで寝っ転がれば楽だよ!」


悠里 「そっそうね そんなことないわ(なっ長谷さんの膝枕…やっぱりちょうどいい)」///


和野方 「…そうか まぁ寝づらくないならかまわねぇけど」


由紀 「ねぇながなが りーさんに頭なでなでしてあげなよ!きっと喜ぶよ?」


悠里 「ふぇっ!?ゆっゆきちゃん!?」///


和野方 「いやなんでだよ 撫でてほしいって言われてないのになんで撫でるんだよ?」


悠里 「…っえ それじゃ、言えば撫でてくれるんですか…?」オソルオソル


和野方 「っえ …まぁ、撫でてほしいなら撫でてやるが」


悠里 「……それじゃ、迷惑じゃなければ なっ撫でて…ください」///カァァ…


和野方 「……わかった(撫でてほしいのか…)」スゥ…ポスッ


悠里 「〜♡」///ナデナデ…


悠里 「(はぁ〜…♡ながやさんのなでなで気持ちいぃ♡すごく落ち着く……♡)」///ハゥ…!!


悠里 「(体温はほとんどないみたいだけど、優しくて温かい気がする…ほんとに、ながやさんが近くにいるだけでも落ちつく……)」///トローン…


悠里 「……ねぇながやさん 頬に手を当ててくれない…?」///


和野方 「っえ…あっうん わかった」ピトッ


悠里 「はぁぁ…♡やっぱりながやさんが近くにいるってわかるとすごく落ち着くわ こうやって頬に触れられてるともっとおちつく……♡♡」///


和野方 「…そうか(悠里…もろ口に出てるんだが)」


由紀 「それならわたしも後ろからー!」クルッ…ガバッ!!


悠里 「きゃあっ!?ゆっゆきちゃんどこに触って!?」///


由紀 「おっおぉ…やっぱりりーさんおおきいね?私のとおおちがいだよ」ムニュムニュ


悠里 「ちょっやめ…んん!!」///ビクッ!!


和野方 「っ!」///ドキッ


由紀 「あっごめん…やりすぎたね 離すよ」スゥ…


悠里 「もっもぅ…やめてよね?」///カァァ…


悠里 「(あぁーっ!!!!変な声出しちゃったァァァ!!!!)」///アァー!!


悠里 「(しかもながやさんに聞かれちゃった!!ゆきちゃんが隣にいるのに変な声出しちゃった…ふたりっきりだったら気にしなかったのにィィ!!)」///プシュゥゥ…


和野方 「(…悠里、めっちゃ恥ずかしがってるな この前もっと恥ずかしいことしたのに……)」


和野方 「(まぁ前回は誰も起きてないと思ってしてたからな?今回は由紀が起きてるってわかってるから恥ずかしがってるんだと思うが)」


悠里 「ーっ…な、ながやさん わるいけど…手、どけてもらえる?(触れられてるとおかしくなりそう…!!)」///


和野方 「っえ あっあぁ…わかった」スゥ…


悠里 「はぅぅ…」///プシュー…


由紀 「…りーさん ごめんね?その…おわびと言ったらなんだけど わたしのも…揉んでいいよ?小さいけど」


和野方 「」ブー!!


悠里 「いや揉まないから!なにいってるのゆきちゃん!?」///


由紀 「いや やり返したら気が済むかなって?」


悠里 「私そんな腹黒くないわよ!?やられたらやり返すなんてしないから!」


由紀 「そお…?」


和野方 「…えっと、由紀 あまり俺の前でそういうこと言わないでくれるかな?一応俺、男だからな?」ゴシ…


由紀 「あっごめん」


和野方 「てか、寝るなら早く寝てくれないかな?ここで騒がれると通路だから響くんだよ しかも胡桃たちの部屋も近いから…」


悠里 「(寝たくても寝られないわよ!いろいろありすぎて!!)」///


由紀 「えー?まだながながとはなししたーい!」


和野方 「朝起きられなくなるぞ?起きれなかったら朝飯なしだぞ!」


由紀 「えぇーっ!?そっそれはいやだよ!りーさんそんなことしないよね?」


悠里 「っえ あっそ、そうね?さすがにそれはかわいそうだとおもうわ」


由紀 「ほらぁ!りーさんもやりすぎだって言ってるよ!」


和野方 「…そうか(今完全に適当に答えたような…)」



…ガチャッ


胡桃 「…なんだ?お前ら起きてたのか てか、なんでそこで寝てんだ?」


由紀 「っあ くるみちゃん!」


悠里 「えっえと、これは…その……」///


和野方 「おう胡桃 ふたりが騒ぎすぎて起こしちまったか?」


胡桃 「いや さっきから寝ようとしてんだが、ひとりだとなんか寝つけなくてな…」ハァ…


由紀 「およ?くるみちゃんも?」


胡桃 「というわけで長谷 少し話し相手になってくれないか?わたしが眠くなるまで」


和野方 「なにがというわけなのかがわからないが…まぁいいけど」


胡桃 「サンキュー!それじゃとなり座るぜ?」タッタッタッ…ストンッ


悠里 「…」ピクッ


和野方 「…なぁ 胡桃?なんで俺に寄りかかるんだ?重いんだが…」


胡桃 「重い言うな!別にいいだろ?座るなら寄りかかったほうが楽だし」


和野方 「いやそれはわかるけど、なんで俺に寄りかかるんだよ ふつうに壁に寄りかかればいいだろ?」


胡桃 「細かいことは気にするな!それに女が近くに寄ってくれて お前もうれしいだろ?」(・∀・)ニヤニヤ


和野方 「オヤジかお前は…」ハァ…


悠里 「…くるみ 長谷さんが嫌がってるじゃない?離れなさい」


胡桃 「えーいいじゃん?べつに寄りかかるくらい なぁ長谷?」


和野方 「っえ …まぁ 少しくらいならべつに……」


悠里 「離れなさい」ギロッ


胡桃 「ーっ…わ、わかったよ 別にそこまで怒らなくても…」スゥ…


悠里 「長谷さんも嫌なら嫌とはっきり言ってよね?そう言わないとくるみはずっと寄りかかってくるわよ」


和野方 「いやだから 別にいやとは…」


悠里 「鼻の下を伸ばさないようお願いしますね!」


和野方 「あっはい わかりました(これは何言っても聞かないやつだ これ以上はムダだな)」


胡桃 「…てか、ゆきはともかくりーさんまでここにいるとは思わなかったな?意外にひとりで寝てると思ったんだが」


悠里 「わたしだってひとりで寝るのは怖いわよ こんな状況なんだからひとりだと…ね」


胡桃 「…たしかにそうだな わたしも同じ気持ちだ」


和野方 「…てかよ 三人ここに集まったなら誰かの部屋でみんなで寝ればいいんじゃないな?別にここで寝る必要ないだろ」


由紀 「ながながも一緒に寝てくれるならそれでもいいよ?」


和野方 「いやなんでだよ…別におれはいいだろ?しかも俺は男なんだから少しは警戒しろ」


由紀 「だいじょうぶだよ!ながながなら信用できるし!」


和野方 「いや信用できるとかの問題じゃ…」


悠里 「…わたしは、いいわよ?一緒の部屋で寝ても……」///


和野方 「…っえ」


胡桃 「私もいいと思うぜ?おまえなら手出さないって信用できるし!」


和野方 「くっ胡桃お前まで…」


和野方 「…だとしてもだ?お前たちがよくても美紀がいいと言うとは限らない」


和野方 「美紀に見つかったらなに言われるか…」



…ガチャッ


美紀 「…なにしてるんですか?」ソー…


和野方 「うぉっ!?みっ美紀…おまえも覗くように見てくるなよ……」


由紀 「みーくんも起きてたの?やっぱりひとりだと寝れない?」


美紀 「…も?もってことはみなさんも?」


胡桃 「あぁ ひとりだとどうしてもな?」


悠里 「やっぱりひとりだと不安でね」


美紀 「…そうですか みなさんも同じですか」


由紀 「それで今みんなで寝ようって話してたんだけど みーくんもどう?」


美紀 「…みんなって、それ長谷さんも入ってますか?」


胡桃 「あぁ はいってるぜ?長谷が今さら誰かに手を出すとは思えないしな」


悠里 「わたしも平気だとおもうわ みんなに手を出すとは思えない」


和野方 「(おい悠里 それだと俺が悠里にしか手を出さないみたいに言ってるんだが…)」


由紀 「だいじょうぶだよ!みーくん ながながはだれにも手出さないよ!」


美紀 「いやしかし…」


美紀 「……ほんとに、手を出しませんか?」


和野方 「っえ あっあぁ、手を出す気はないが…」


美紀 「………信じますよ?」


和野方 「信じる信じないはお前が決めることだ 俺が決めることじゃないよ」


美紀 「…わかりました それでは信じます」


和野方 「……っえ」


胡桃 「っお やっと信じれるようになったか!まさか良いなんて言うとは思わなかったぜ?」


美紀 「とりあえずは、です!まだ完全に信用したわけではありません」


美紀 「今までの行動からして私たちに手を出してくる可能性は低いと思っただけでまだ半分ほどした信用してません」


美紀 「勘違いしないでくださいね?とくに長谷さん あなたに言ってますからね!」


和野方 「…えっと、まだ疑う部分があるなら許可しない方がいいんじゃない?なにも無理しなくても…」


美紀 「みなさんが納得してるのに私だけ納得しないわけにはいきません 先輩たちが大丈夫だと言うなら仕方ありませんが納得します」


美紀 「…それに、あの新型の化け物に襲われたとき 長谷さんにひどいことを言ったのにも関わらず、助けてもらったので否定もできませんがね」


和野方 「いやそれはそれだろ 別に恩を売ったわけじゃ…」


美紀 「なら私たちと一緒に寝る代わりに 化け物が部屋に入ってこないように守ってください いいですね?」


和野方 「…わかった そういうことなら納得しよう」


美紀 「おねがいします(長谷さんって変なところで真面目ですね 納得させるのがちょっとめんどくさい…)」


美紀 「(…でも、そういうところでまだ信用できるんですよね まじめだからこそ、変なことはしないと思ってしまう)」


美紀 「(ゆうり先輩に手を出したのだってゆき先輩が説明してくれたし、あの時のゆき先輩の目は本気だったから嘘をついてるとは思えない)」


美紀 「(…でも やっぱり男子だから疑っちゃうんですよね 今の状況下で男は何しでかすかわからないから…)」ジッ…


和野方 「…えっと、美紀 やっぱり疑ってないか?めっちゃ俺のこと睨みつけてるが……」


美紀 「…っえ?あっごめんなさい ちょっと考えごとしてました 別に疑っては……」


和野方 「…そうか?ならいいんだが」


由紀 「それじゃみんなで一緒に寝よー!」


胡桃 「だれの部屋で寝るんだ?どこの部屋も一緒だとおもうが」


悠里 「…そうね 別にだれの部屋でもいいけど」


和野方 「なら俺の部屋にするか?なんもないけど」


悠里 「ふぇっ!?なっながやさんの部屋!?」///


和野方 「…なっなんでそんなにおどろく?ただ寝るだけだぞ?」


美紀 「ゆうり先輩…あなたは……」ハァ…


悠里 「っえ!?あっそ、そうよね!ただ寝るだけよね!」アセアセ


悠里 「わかってるわよ 別に変なことなんて考えてないわよ!」アタフタ


胡桃 「りーさん…わたしたち、なにも言ってないんだが……」


悠里 「ーっ…ほっほら!早く行くわよ!!」///


由紀 「レッツゴー!」


美紀 「…長谷さん 変なことは考えないでくださいね?ゆうり先輩が変なことを考えていたからと言って」


和野方 「安心しろ 別にやましい事なんて考えてない」


和野方 「それに一緒に寝ると言っても おれは出入口の横で壁に寄りかかって寝るから?万が一のことを考えてな」


美紀 「ならいいんですが」


胡桃 「さぁてと 早く寝て早く起きるぞ?」


タッタッタッ…











桐子の部屋



桐子 「ーっ…プハァ!あー…やっぱりお酒はうまいねぇ?」///


晶 「ほんとだね これがないとやっていけないっしょ!」///


比嘉子 「ーっ…ふぅ」///


桐子 「いやぁ!しかし あの子たちはいい子だねぇ?素直で勇敢だし わたしとは大違いだよ?」


晶 「ホントだよね 今の状況のことを調べるためにわざわざ安全なところから離れてここに来るんだもん すごいっしょ!」


比嘉子 「凄すぎるよ 後輩なのにあそこまで行動力があるなんて…」


桐子 「ボクたちも見習わないとねー …まぁ 怖くて無理だと思うけど」


晶 「…てかとうこ あの男子とはなに話してたの?けっこう長かったけど」


桐子 「………」


比嘉子 「…とうこ?」


桐子 「…まーその、なんだ あんまりいい事じゃないねー 聞かないことを進めるよ?」ゴク…


晶 「…っえ」


比嘉子 「いいことじゃないって…なにを聞かされたの?」


桐子 「………今聞かない方がいいって言ったよね それでも聞く?」


晶 「…」


比嘉子 「…」


桐子 「……まぁ どっちにしても、いつかは知ることになるだろうから話すよ?ボクも聞いたときは今以上の恐怖を味わったよ」


晶 「…そんなに、やばいこと話されたの?」


桐子 「うん…でもあの子がさ?なんとかしてくれるって言ってたんだ …自分の命を犠牲にする覚悟でってね」


晶&比嘉子 「「っえ!?」」


桐子 「あのマニュアルにさ ネメシスっていう化け物のことが書いてあったでしょ?」


桐子 「その化け物の強化された化け物をあの子たち…見たみたいなんだ」


桐子 「デカくて白くて爪の長い…しかも走る速さも車の速度を超えるほどだって」


桐子 「さらに悪いことに 一度見た生存者は殺すまで追いかけてくるみたい 見逃したらどこまでも追いかけて確実に息の根を止めるヤバいやつだって…」


比嘉子 「確実に…!」ゾクッ


晶 「…て、てことはさ あの子たち一度見てるんだよね?もしかして……」


桐子 「…うん 追いかけてきてるかもしれないって」


晶 「ーっ……」ゾクッ…


比嘉子 「…そっそれで あの男子は自分の命を落とす覚悟で私たちを守るって言ってたの?」


桐子 「うん……でもそれはやめた方がいいって言ったよ?誰かを失うのもいやだけど、なによりあの子 ゆうりって子があの男子がいないとまずいらしいからよけいにね?」


晶 「…くるみって子が言ってたね ゆうりはほんとにまずいって」


比嘉子 「一見まともそうに見えるのにね?」


桐子 「まぁそういうわけだからさ?とりあえずはここしばらく 外に出ないようにしようか?」


桐子 「必要最低限外に出て 用事ないときは外に出ない!それでいい?」


晶 「りょうかい!それでいっしょ!」


比嘉子 「わたしも賛成 それでいいよ」


桐子 「よし!それじゃ話しもまとまった事だし 飲み直すぞー!」


晶 「おぉー!!」


比嘉子 「あんまり飲みすぎないでね?飲みすぎると明日に響くから」


桐子 「わかってるよー 程々にするから安心してー?」


比嘉子 「ほんとかな…?」













…深夜



和野方の部屋



由紀 「すー…すー…」


美紀 「すぅ…すぅ…」


悠里 「すぴー…すぴー…」



胡桃 「………」ソワソワ 悠里たちとは少し離れた場所で長谷と一緒に座っている


和野方 「……なぁ胡桃 おまえ、寝ないのか?早く寝ないとあしたに響くぞ?」


胡桃 「ん?んーそうだな 響くかもしれないな …でも、ちょっと……な?」モジモジ


和野方 「……おまえ もしかして…酒飲みたいなんて言わないよな?」


胡桃「………」


和野方 「おい……」


胡桃 「あはは…だってよ?ここまで来る間に一回も飲んでなかっただろ?久々に飲みたくなるだろ」


胡桃 「おまえだって飲みたいだろ?久々によ」


和野方 「それは…まぁ そうだけどよ」


胡桃 「……それとさ もうひとつ、理由があるんだ 気を紛らわすのに飲みたいんだ」


和野方 「…気を紛らわしたい?」


胡桃 「……最近 なかなか寝つけないんだ 寝ようと思っても寝れなくて…ここ最近ずっと」


胡桃 「みんなはすやすやと寝てんのに私だけ寝れなくて…けど、外に出るとおまえはすぐ気づくだろ?だから起こすのも悪いと思ってずっと寝つくまで目つぶってたんだ」


胡桃 「だれかに話すと心配されるからだれにも話せなくてさ…けど、おまえならいいかなって思ったんだ?」


胡桃 「今こうして話せるのも おまえはみんなのためにいろいろと動いてくれてるから頼れるとおもって…めいわくだったか?」


和野方 「…べつに迷惑なんて思ってねぇよ 逆にそういうことはすぐ話してほしかったな?」


和野方 「悠里たちには話せなかったとしても、せめて俺だけには話してほしかったよ 話してくれればすぐ相談にのってやったのに?」


胡桃 「あはは…ごめん 変な心配させたくなくて……」


和野方 「…まぁいい こうして話してくれたんだ?次からはすぐ話してくれよ?」ポンッ


胡桃 「っ!」


和野方 「…っあ わるい?つい悠里を慰めるときのくせで頭なでちまった」スゥ…


和野方 「不快にさせちまったか?」


胡桃 「…いいや?そんなことないぜ やっぱり長谷はやさしいな?ありがとな!慰めてくれて」


和野方 「おれは当たり前のことをしたまでだ 別に礼を言われるようなことは…」




長谷さん 近くにあの化け物がいます 気をつけてください



和野方 「ーっ!」


胡桃 「? どうした?」


和野方 「……ちょっと 外の様子を見てくる お前はみんなを守っててくれ」カタッ…スッ 刀を手に取り腰につける


胡桃 「…っえ まっまて!」ガシッ 長谷の腕をつかんで引き止める


胡桃 「急にどうしたんだ?外の様子を見に行くなんて」


和野方 「………」


和野方 「…また、声が聞こえたんだ 今近くにあの化け物がいるみたいなんだ」


胡桃 「なにっ!?あの化け物が!?」


和野方 「ちょっ!?声でかい!」



悠里 「んー…」ゴロン…


由紀 「すやすや…」


美紀 「すぅ…すぅ……」



和野方 「……あぶねぇ だれも起きてないな?」


胡桃 「わっわるい つい声でかくなっちまったぜ」


和野方 「気をつけてくれ それより俺は様子見に行ってくるからおまえはここにいてくれ?みんなを頼む」


胡桃 「…無理はすんなよ?」


和野方 「わかってるよ 逆にムリした方がみんなを危険な目に合わせることになっちまうからよけいにしない 安心してくれ?」


胡桃 「ならいいんだけど…」


和野方 「なにかあったら物音を立ててくれ 声だと奴にバレるが物音だとそこらにいる化け物がなにかに触れて落としたんだと誤認させることができるかもしれない」


胡桃 「わかった 気をつけてな?」


和野方 「あぁ」ガチャッ


パタンっ…













三階ー通路



タッタッタッ…


和野方 「…」タッタッタッ…


和野方 「(…今日は空が雲におおわれて月が出てねぇな 薄暗くて外が見えにくい)」


和野方 「(外の様子も見えにくいが今のところ 変わったやつは見えないな?あの化け物は白くてデカいから動いてればすぐわかる)」


和野方 「(あんな目立つ姿をしてるから一目見ればすぐわかる 逆にこっちからもいくら月光がなくてもうっすらとは見えるはずだ)」


和野方 「(こっちも見られないようにしないとな 一回でも見られたらみんなやられる!それだけは絶対に阻止しないと!)」ググッ…




…あれ〜?そこにいるのはながやくんじゃーん


和野方 「…っえ」


桐子 「やっほ〜!どうしたの?こんなじかんに 迷子かなー?」///ヒック


和野方 「とっ桐子?てか酒くさっっ!!」


桐子 「あははー ごめんね〜?ちょーっと晶たちと一緒に飲んでたんだ〜?」///


桐子 「飲んでたらお酒が進むこと進むこと〜 やっぱり誰かと飲むのは楽しいねぇ?」///


和野方 「…お前たちも飲むのか あっでも一応未成年じゃないのか?なら平気か」


桐子 「てかさー キミはここでなにやってるのかなぁ?もしかして ボクたちを襲いに来たのー?」///


和野方 「んなわけないだろ?おれは…」



ーっながやさん隠れてください!!


和野方 「ーっ!!」ガバッ!!スッ


桐子 「…っえ」和野方に抱きつかれてしゃがまされる


和野方 「ちょっと静かにしてろ さわぐんじゃねぇぞ?」ヒソヒソ


桐子 「ーっ…」サー…


和野方 「(…今 窓の外から見えるのか?)」


はい 顔を覗かせれば見えるかと思います 顔を出しすぎないように気をつけてください


和野方 「(わかった)」チラッ 窓から顔をのぞかせて外の様子をうかがう






タイラント 「………」ドス…ドス…… 学校の敷地近くを歩いて辺りを見渡している






和野方 「(…いた たしかに歩いてるな?学校の敷地外だが堂々と歩いてる)」


和野方 「(普通に歩いてるところ 生存者を追ってるわけじゃなさそうだな?辺りを探索して俺たちを探してる…と言ったところかな)」


和野方 「(ネメシスといい ほんとに強化されたバケモノはしつこく追いかけてくるな?しかも他のバケモノと違って力は強いし足も早い)」


和野方 「(倒すのにも一苦労だし ほんとなんであんな化け物を作ったんだか?)」


和野方 「(…とりあえず 様子をみてやり過ごそう ここで暴れることないし、自ら姿をあらわす必要もない 早くどっか行ってくれ)」


桐子 「……え、えと ながやくん その………」


和野方 「今話しかけるな 静かにしてろ?」


桐子 「ーっ…ご、ごめん からかったのあやまるから……ゆ ゆるして…くれないかな………?」ブルブル…


和野方 「…っえ?あっ!」ハッ


和野方 「ちっちがう!お前に抱きついたのは襲うためじゃ!?」



…なに、してるの?


和野方 「ーっ!!」ドキッ




比嘉子 「……長谷くん きみ、なにしてるのかな?」キッ


和野方 「ひっ比嘉子!?まっまて!これはちが…!!」


桐子 「あっあはは…ヒカ ちょうど良かったよ?ながやくんがここにいたからさ 私たちのことを襲いに来たのって言ったら…ほんとに襲われちゃったよ」


桐子 「ちょっと助けてもらえるかな?ボク…無理やりはいやだから」ビクビク…


比嘉子 「…わかった」スゥ… 腰にかけているポシェットからドライバーを取り出して構える


和野方 「ーっま まて!違うんだ!!おれはお前らじゃなくて…!!」






グオォオォォオオォォォン!!!!!!



全員 「「ーっ!?」」






タイラント 「ーッシャアァァァ!!!!」ズバンッ!!!!


ゾンビの群れ 「「」」バツンッ!!バラバラ… 長い爪でぶった切られてバラバラにされる


タイラント 「グオォオォォオオォォォン!!!!!!」グショバキメキズバンッ!!!!


ゾンビの群れ 「「グオォ…!!」」ノソノソ…






比嘉子 「ーっ…なっなに?あのバケモノ!?」ゾクッ!!


桐子 「…ね ねぇ?あれって…もしかして さっき話してた……!」ガクガク…


和野方 「…おまえら 静かにしろよ?あいつに見つかったら殺されるぞ!」


和野方 「おれはあいつが近くに来てるかを確かめにここへ来たんだ お前たちを襲うためじゃなく、あのバケモノを警戒するために!」


和野方 「とりあえず比嘉子 立ってるとバレるから座りこめ?ゆっくり足をたたんで座れ」


比嘉子 「うっうん わかった」スゥ…ストンッ


和野方 「桐子 離すからお前も静かにしろよ?騒いだらマジでみんな危なくなるからな」スゥ…


桐子 「うっうん…わかったよ」スゥ…ペタンッ あまりの衝撃に腰を抜かせて床にしりを付ける


和野方 「(よし これで誤解が解けたな?ちょうどよくあのバケモノが叫んだからなんとかなった)」


和野方 「(あとはこっちに来ない事を祈ってやり過ごすしかない 今あいつはそこら辺にいるゾンビをなぎ倒してるから多少の音なら出してもバレることはないだろ)」


和野方 「(今すぐにでもこっちから陽動をかけてはならかしたいが…ライフルとかはもうないからできないな)」


和野方 「(さっさとそいつらぶった切ってどっか行ってくれ 悠里たちが起きてくる前に…)」




…ワンっ!!



和野方 「っ!」バッ


比嘉子 「…? どうしたの?長谷くん」


桐子 「…おねがいだからこっち来ないでよぉ?」ビクビク…


和野方 「(…今の鳴き声 犬だったよな?しかも聞き覚えがある……)」


和野方 「(…太郎丸か?)」


ワンっ!!


和野方 「(姿は見えない…でも鳴き声からして比嘉子たちが来た道の方角 そっちに行けってことか?)」


ワンっ!!


和野方 「(…なにかあるのか?とりあえず行ってみるか)」スゥ…


和野方 「桐子、比嘉子 わるいがあのバケモノを見張っててくれないか?学校に入ってきたらでかい物音を出して知らせてくれ」


桐子 「…っえ キミどこに行くの?」


和野方 「ちょっとやつを誘導できるか試してくる いつまでもあそこに居られたら落ち着かねぇからな?」


比嘉子 「……っえ 誘導って…まさか あいつのところに行くの!?」


和野方 「んー…ここから誘導できるような物があればいいんだが あいにくそういうものはないからな?あいつのところに行くしかないだろ」


比嘉子 「ーっだ ダメ!!危険すぎるよ!」


桐子 「ながやくんそれは無茶しすぎだよ!いくらあいつが近くにいると落ち着かないからって 自ら行って囮になるなんてやりすぎだよ!!」


和野方 「勘違いするな べつに囮になるわけじゃない 物音とか出して誘導するだけだ?」


和野方 「やつの近くまで寄って そこからできるだけ遠くに物音を立たせて誘い込むんだ 俺はそこまで危険な目に遭わないよ?」


桐子 「いや危険だよ!あの化け物に見つからなかったとしても そこら辺にいるヤツらも動きまわってるんだからあぶないよ!!」


比嘉子 「そうだよ ムリしなくていいから っね?」


和野方 「………」



ワンワンっ!!


和野方 「(…太郎丸が呼んでる たぶん行かないとヤツが入ってくるかもしれないんだよな?)」


ワンっ!!


和野方 「(…やっぱりそうか だとしたら、こいつらを説得していかないとな?)」


和野方 「…なら みんなを早く安心させたいから俺はヤツのところに行きたい 遠くに行かせてはならかせたいんだ?」


桐子 「……気持ちはありがたいけどね?それでもしキミがあの化け物やそこら辺にいる奴らにやられたら…ボクたち、責任感じちゃうよ」


比嘉子 「うん…その思いはうれしいけど、無理はしないで?」


和野方 「なら悠里を安心させたい あいつは俺たちをの中で一番心が弱い」


和野方 「あの化け物が近くにいるとわかったら…あいつ また震え上がっちまう!」


和野方 「怯えはじめたらとことん怯えちまうんだ 今までもかなりひどかったのにまた怯えたら……」


和野方 「だから行かせてくれ 必ず戻ってくるから!」


比嘉子 「………」


桐子 「……ぜったい、戻ってくる?」


和野方 「約束する」


桐子 「………わかった ボクたちはここからあの化け物を見張ってるから、キミは悠里ちゃんを安心させるために行ってきていいよ?」


比嘉子 「…桐子……」


和野方 「ありがとな?それじゃ行ってくる!」


和野方 「(早くヤツを遠くに行かせねぇと!!)」


タッタッタッ!!…



桐子 「…」


比嘉子 「…ほんき、だったね あの子の目」


桐子 「うん…ほんとに やさしいね?疑ったボクが恥ずかしいよ」


桐子 「ボクを守るために抱きついて視界から逃れさせてくれたのに…それを勘違いして襲われるなんて思っちゃうなんて」


比嘉子 「しかたないよ 桐子もわたしもあのバケモノがすぐそこにいるなんてわからなかったんだから?」


桐子 「だとしてもだよ 男子だからよからぬことを考えててもおかしくないでしょ?その考えがながやくんを傷つけちゃったかもしれないし」


桐子 「帰ってきたらあやまらないとね?あと守ってくれたことにお礼も言わないと!」













聖イシドロス大学付近ー道路



タイラント 「フシュー…」ポタポタ…… 返り血を浴びて身体中血まみれで血が流れ落ちている


ゾンビの群れ 「「」」グチャァ… 手や足、身体や頭がバラバラにされていたるところに飛び散っている


タイラント 「フゥゥ…」ビュンッ!!ビチィッ 腕を大きく振って長い爪についた血を路面に飛ばす


タイラント 「フゥー…」ギロッ ゾンビ共を一掃して辺りを見渡している




和野方 「…」曲がり角のブロック塀に寄りかかってタイラントの様子を伺っている


和野方 「(ゾンビ共を一掃して辺りを見渡しているな…ここら辺に生存者がいることわかってるのか?)」


和野方 「(自分が殺した以外のゾンビがころがってたのかな?だとしたら しばらくここら辺を捜索しそうだな)」


和野方 「…」キョロキョロ…


和野方 「(…辺りに注意を引けそうなものはないな ヤツに見つかればしつこく追いかけられるのを避けられない)」


和野方 「(今持ってるのもは刀だけ…サバイバルナイフは悠里に貸してるから今は持ってない)」


和野方 「(左手も治りかけてはいるがまだ完全には治ってない ムリするとまたキズが開いちまうから無理できないな)」


和野方 「(…だとしたら、どうするか…)」



ーっアンアン!


和野方 「っ!」バッ



太郎丸 「アンアンっ!」和野方の背後から吠えて自分の存在を知らせる


和野方 「太郎丸!今度は姿が見えてるな そっちになにかあるのか?」


太郎丸 「アンっ!」


和野方 「…」チラッ




タイラント 「フゥゥ……」ドスッドスッドスッ…




和野方 「…移動しはじめたな 動くなら今だな!」


和野方 「太郎丸 案内してくれ!」


太郎丸 「アンっ!」


タッタッタッ…








住宅街ーとある家の前



太郎丸 「アンアンッ!!」


和野方 「…ここは、民家か?この中に何かあるのか?」


太郎丸 「アンっ!」


和野方 「(見た感じ生存者はいなさそうだな…いるとしたらゾンビ化した化け物だけかな)」


和野方 「…なかに誰かいるかわかるか?生存者かゾンビか」


太郎丸 「クゥーン…」フルフル


和野方 「(首を横に振った…てことはいないということか てか、そこまでわかるのか?すごいな俺の幻覚)」


和野方 「…まぁいい 早く中を探索するか?」ガチャッ


タッタッタッ…











和野方 「…」ギィ…ギィ…


和野方 「(床にいろんなもんが散乱してるな?衣類やガラスの破片 靴やスリッパ…よっぽど慌ててたんだろうな)」


和野方 「(…まぁそりゃそうだよな ゾンビが現れたらみんな逃げるのに必死だもんな?慌てないわけがない)」


和野方 「…しかし、この家になにかあるとは思えないな 一体なにがあるんだ?」


太郎丸 「アンアンッ!」タタタタ…


和野方 「っん そっちか?」タッタッタッ…


カラカラ…


和野方 「…」キョロキョロ…


和野方 「(…誰もいないな ここは見た感じ子供部屋か?おもちゃが散乱してるが)」


太郎丸 「アンアンっ!!」とあるタンスに向けて吠える


和野方 「…そのタンスを調べればいいのか?」


太郎丸 「アンっ!」


和野方 「…わかった」スッ…


スー…


和野方 「…うわ きたねぇ……おもちゃをしまってあったのか?全然整理整頓できてねぇ 乱雑に入れられてる………」


和野方 「(ほんとにこんなかに何かあるのか?とてもじゃないがなにかあるとは……)」ゴソゴソ…


和野方 「……っん?なんだこれ」スッ…


和野方 「(クッキーの缶入れ?おもちゃ箱のなかになんでこんなものが?)」


和野方 「…なにがはいってんだ?」ググッ…パカッ


クッキー缶の中 「」赤い筒状の物がいっぱい付いた花火が何個か入っている


和野方 「っ! これって…爆竹じゃねぇか?音が鳴るだけの単純な爆弾」ツカミッ


和野方 「…しかも湿気ってない これならすぐにでも使える!」


和野方 「(でも火をつけるものがないな 俺の手持ちには少なくとも火をつけられるものはない…そこら辺になにか落ちてるか?)」



太郎丸 「アンアンッ!」


和野方 「っ! そっちに火をつけられるものがあるのか?」


太郎丸 「アンっ!」


和野方 「よし!それなら案内してくれ」


タッタッタッ…






リビング



タッタッタッ…


和野方 「…」スゥ…


和野方 「(よし ヤツらはいないな?これなら中に入ってもへいきだな)」スゥ…


和野方 「…中を見た瞬間 すぐに太郎丸が火をつけられるものがあるのを知らせてくれた物があったな?」タッタッタッ…ツカミッ テーブルの上に置いてある小物を手に取る


和野方 「使い捨てライター まだガスも残ってるから使えるな?」シュッシュッ…シュボ!!


和野方 「よし これでヤツを引きつけることができる!早くヤツを呼ばねぇと!!」
















タイラント 「フゥゥ…」ドスッドスッ…


タイラント 「…」キョロキョロ… 辺りを見渡してなにかを探している


タイラント 「…グォォー……!!」ビキビキッ… 左腕の血管が異常に浮かび上がり苛立ち始める




桐子 「…なんだろう あいつの血管が浮かび上がってるけど……」


比嘉子 「…なんか苛立ってる?怒ってるようにも見えるけど」


桐子 「…ながやくん だいじょうぶかな?ヤツらにやられてないよね」


比嘉子 「……やられてないことを祈ろう?」



ーッパンパンパンパン!!!! 聖イシドロス大学の方角とは真反対の住宅街から爆発音が複数回鳴りまくる



桐子&比嘉子 「「っ!」」




タイラント 「…ウガァ?」ギロッ


タイラント 「フゥゥ…」ドスドス…




比嘉子 「…なに?今の音 なにかが爆発するような音だったけど…」


桐子 「今の音であの化け物がそっち行ったよ …もしかして、ながやくんがやったのかな?」


比嘉子 「わからないけど…でもそうだとしたら 長谷くんがあぶない!」


桐子 「ーっそうだ!今の音 ながやくんが出したならそっちに向かうから!!」


比嘉子 「急いで助けに行こ!」


桐子 「でっでも ボクたちながやくんみたいに戦うことできないよ?行っても奴らに見つかったら……」


比嘉子 「っ…」ググッ…




タイラント 「グゥゥ……」ドスドス…











シーン… 先ほどまでタイラントが暴れていた場所はゾンビの死体がバラバラにされて物静かになっている



桐子 「………」


比嘉子 「……静かだね あの化け物がどっかに行ってから数十分経ったけど」


桐子 「…そうだね ながやくんだいじょうぶかな?あの化け物に見つかってなければいいけど……」


比嘉子 「……」



…タッタッタッ


胡桃 「…っ! とうこ先輩にヒカ先輩 こんなところでなにやってるんですか?」


桐子 「くるみちゃん キミこそなんでこんな時間に?」


胡桃 「え、えっと…それは……」


比嘉子 「…もしかして ながやくんのこと?」


胡桃 「っ! ここに来たんですか?」


桐子 「…うん でもね?あの…白くてデカい化け物がこの大学付近にいてね?そいつを遠ざけるって言って外に……」


胡桃 「ーっ!」ドクンッ


胡桃 「(…あのバカ!あれほど囮になるなって言ったのに!!)」ギリッ!!


胡桃 「(帰ってくるのが遅かったからなにかしてるんじゃないかと思って様子来てみれば…!!)」


胡桃 「ーっくそ!」ダッ!!


桐子 「ちょっ!?どこに行く気だい!まさかながやくんのところに行く気じゃ!?」


胡桃 「行くにきまってるだろ!長谷が死んだら困るんだよ!!」


胡桃 「今死なれたらりーさんを見てくれるやつがいなくなる それに長谷はみんなのことを考えてくれる奴なんだ!いなくなったら私たち全員にも影響が及ぶんだよ!!」


比嘉子 「でっでも!今外にはあの化け物がいるんだよ?今行ったらバレるよ!」


胡桃 「バレないように行けばいいだけだ!それにバレたらまずいのは長谷もいっしょだ!」


胡桃 「先輩たちはここにいてくれ 私が長谷を連れ戻してくるから!」タッタッタッ!!…


桐子 「くっくるみちゃん!!」


比嘉子 「…い、行っちゃった……まったく恐れないで」


桐子 「…どんだけあの子たちは過酷な道を進んできたんだい?奴らをまったく怖がらないなんて……」


比嘉子 「…先輩の私たちがこんなだと情けないね 後輩があんなにも奴らに立ち向かっていくのに私たちは……」


桐子 「ホントだよね ボクたちも奴らに向かって戦いたいけどこわくて無理だよ」


桐子 「…情けないけど 今はあの子たちに任せようか?ボクたちが行っても足でまといになるだけだし」


比嘉子 「…そうだね」













住宅街



ゾンビ 「アァー…」ノソ…ノソ…


ゾンビ 「ウゥー…」ノソ…ノソ…



胡桃 「…」タッタッタッ… ゾンビが歩く道中堂々と歩いて長谷を探している


胡桃 「(…長谷のやつどこいったんだ?早く見つけないとあの化け物にやられちまう!!)」


胡桃 「(あの化け物の叫び声は聞こえてこないからおそらく追いかけられてはないと思うんだが……)」


胡桃 「(さっき窓からちらっと見たときにあの化け物はこっちの方に進んでったよな?でも誰かを追いかけてる様子はなかった)」


胡桃 「(なんでこっちに向かってたのかはわからないがおそらく長谷がなにかしたと思う…じゃなきゃあの化け物がこんなデカい建物の中を探索に来ないのはおかしい)」


胡桃 「(わたしや長谷はそんじゅそこらの化け物には気づかれないから多少は安全に歩ける 探索するなら私が一番適任だ!)」


胡桃 「(…私たちが感染してること いつかは話さないといけないな…いつまでも隠すわけにはいかない)」


胡桃 「(…そしたら、受け入れてくれるかな?先輩たちは………)」タッタッタッ…



空き缶 「」カツンッ!!カラカラカラカラ… よそ見をしていて落ちていた空き缶に気づかず蹴ってしまう


胡桃 「しまっ!?」ハッ


ゾンビ共 「「アァー…?」」ギロッ


ゾンビ共 「「ウゥー…」」ジッ…


胡桃 「ーっ……」タジッ… 歩くのをやめて奴らに見つからないようその場に立ち止まって音を立てないようじっとする


胡桃 「(しくじった!考え事しながらあるってたから空き缶が落ちてることに気づかないで蹴っちまった!!)」


胡桃 「(おちつけ…おちつけ 今動かなければ気づかれない 奴らは私が見えてない)」スー…ハー…


胡桃 「(ただ空き缶を蹴っただけだそれだけで奴らに私の存在がばれる事はない バレないバレない)」


胡桃 「(おちつけ…冷静になれ 冷静に……)」フゥ…



ーッドスン!!


胡桃 「…っえ」




タイラント 「フシュゥゥ…」スクッ… 元音が聞こえたところに勢いよく飛んできて胡桃の近くに着地してくる



胡桃 「ーっウソだろ!?」サッ すぐさま住宅街の石壁際に寄りかかって身を隠す


胡桃 「(なんでっ!?なんであいつがここに!?)」ドクン!!


胡桃 「(なんでわたしの場所に一目散に来た!?なんで私がここにいることがわかった!?)」ドクンドクン


胡桃 「(…もっもしかして 今の空き缶蹴った音……聞こえてたのか!?じゃなきゃありえない!!)」ハァハァ!!!!


胡桃 「(あんな小さい音が聞こえてたなんて……近かったのか?あいつこの辺にいたのか?)」


胡桃 「(でもこの辺を歩いてるような音は聞こえなかった あいつ図体がデカいから歩くたびに音がしてもおかしくないはず…でもそれが聞こえなかった!!)」


胡桃 「(まずい 今やつに見つかったらわたしが危なくなる!長谷を探すところじゃ…!!)」ブルブル…


胡桃 「(おぉおちつけ 落ち着けわたし!やつに見つからなければいいだけだ 見つかりさえしなければ平気だ!!)」


胡桃 「(息を整えろ 理性を保て!今怖がってたらバレる…!!)」ガクガク…



グオォオォォォ!!!!!!


胡桃 「っ!!!!」ビクッ!!!!



タイラント 「ーッシャアァァァ!!!!」ズバンッ!!


ゾンビの群れ 「「」」グシャァァァ!!!! タイラントの長い爪で切られてバラバラにされ飛び散る


ゾンビの群れ 「「オォー…!!」」ノソ…ノソ…


タイラント 「ガアァァァッ!!!!」グシャァァァ!!!!




胡桃「ーっ……」ブルブル… グシャァ!!バキバキバキバキッ!!!!


胡桃 「(きっ聞くな…!!聞いちゃダメだ 聞いたら落ち着けない!!)」


胡桃 「(聞かなければ落ちつけるんだ 聞いちゃダメだ 聞いちゃダメだ!!)」ハァ…ハァ…


胡桃 「…ーっくそ ビビるな…ビビるな……!!」ハァハァ…!!



…ーっガバ!!


胡桃 「んぐっ!?」ビクッ!!!! 不意をつかれて口を塞がれる


和野方 「っし!静かにしてろ いいな?」ヒソヒソ


胡桃 「ーっ…(なっながや!!)」コクコク


和野方 「はなすぞ?」スゥ…


胡桃 「ーっぷはぁ…わっわるい 助かったぜ……」ハァ…ハァ…


和野方 「わるいな いきなり口をふさいで 苦しくなかったか?」


胡桃 「だいじょうぶだ 優しくやってくれたから苦しくなかったよ…」ハァ…フゥ


和野方 「それならよかった」


胡桃 「…」チラッ




タイラント 「フシュー…!!」ポタッポタッ…


ゾンビの残骸 「「」」グチャァ…… タイラントにバラバラにされて残骸が飛び散っている


タイラント 「フゥゥ……」スゥ…ビィッ!! 爪についた血液を勢いよく振って地面に飛ばす


タイラント 「フシュー……」




胡桃 「…あんなにいた奴らをもうやったのか?みんなバラバラにされてる」


和野方 「おそらくそうだろ あいつの爪…相当切れ味が良い!しかも地面を貫通するほど丈夫だ」


和野方 「あんなので切られたり体を貫かれたりされたら終わりだな 見つかったとしてもあの爪で攻撃されるのはゴメンだよ」


和野方 「…それと、さっき缶を蹴る音が聞こえたがおまえか?」


胡桃 「……っえ 聞こえてたのか!?」


和野方 「かなり小さかったがな あいつを誘導してるときに大学方面から缶蹴る音が聞こえたからもしかしたらと思ったが」


和野方 「案の定、そうだったみたいだな?あいつも聞こえてたみたいで一気にここへ飛んでったよ」


胡桃 「マジかよ…あいつ力や脚力があるだけじゃなく耳もいいのかよ 冗談じゃねぇ……」


和野方 「耳がいいかはわからないが夜だから化け物どもが静かにしてただろ?たぶん周りが静かだったから缶蹴った音が響いたんだろ」


和野方 「…まぁそんなことより 早くあいつをどうにかしないとな?ここにいられても困る」


胡桃 「なにか誘導する方法があるのか?」


和野方 「あぁ さっき民家で見つけたこの爆竹で誘導するんだ!」スッ


胡桃 「っお!爆竹か たしかにそれなら誘導できるな!」


和野方 「あぁ!あとは俺がやっとくから胡桃は戻ってろ いいな?」


胡桃 「…っえ?」


和野方 「お前が外に出てきたということは桐子たちに俺があいつを誘導してくるって聞かされたからだろ?じゃなきゃ外に出る理由がない」


和野方 「怖いながらも俺を探しに来てくれたのは嬉しいがあとは俺が何とかする 桐子たちにも俺は無事だということを知らせてくれ」


胡桃 「……いや 私もやるぜ!お前ひとりにはやらせない!」


胡桃 「わたしだってあいつを誘導することぐらいできる!だから私にも手伝わせてくれ」


和野方 「それはありがたいが…あいにくだが、爆竹は残り少ないうえに火をつけられるライターは一個しかないんだ」


和野方 「なにか物を使って誘導するにしてもリスクがある 思った通りの場所に物音を出せなかったらばれる可能性がある」


和野方 「…それに 今も体が震えてるお前に頼ることなんてできねぇよ そんな状態じゃバレちまう?」


胡桃 「っ!」ブルブル… 微弱だが体を震えさせている…


和野方 「怖いのは俺も同じだ やつに見つかったら殺られるかもしれないから体が震える気持ちはわかる」


和野方 「だけどムリしなくていい ムリして死なれたら困るし、なにより俺が無理させたみたいになって嫌な気持ちになる だからしないでくれ?」


和野方 「これは俺からのおねがいだ …たのむ」


胡桃 「………」



タイラント 「スゥゥ……フシュー………」ドスッドスッ…



胡桃 「……わかった それじゃわるいがたのむ 臆病な私の代わりにやつを誘導してきてくれ」


和野方 「臆病だなんて思ってねぇよ むしろよく勇気をだして外に出てきたよ!」


和野方 「あの化け物が近くにいるって知ってたのに出てきたんだ 臆病だなんてだれも思わねぇよ!」ニカッ


胡桃 「…ながや……」


和野方 「さてと!やつが移動を始めたから早く遠ざけないとな?このままだとまた大学方面に戻る可能性がある」


和野方 「それじゃ胡桃 またあとでな?」


胡桃 「絶対もどってこいよ いいな!」


和野方 「あぁ!必ずもどるよ!」タッタッタッ…


胡桃 「…」


胡桃 「たのむぞ?長谷……」











和野方 「…」タッタッタッ…


和野方 「(…よし この辺ならおびき寄せてへいきだろ?近くに生き残りがいるとは思えないから呼んでも害はないはず)」


和野方 「…っと」パクッ 口に爆竹を食われる


和野方 「…」シュッシュッ…シュボッ!! 右手でライターの火をつけて爆竹の導火線に火をつける


和野方 「ーっと!」ツカミッポイ!!



ーっパパン!!パンパンパンパン!!!!


和野方 「よし これでやつが来るはず!この方法で遠くに行かせねぇと?」


和野方 「(爆竹の残数も残り少ないからできる限り遠く遠くにやらないと数が足りなくなる なるべく温存しないとな?)」


和野方 「(…しかし なんで胡桃が蹴った缶の音にはすぐ反応して、飛んで音が鳴ったところに行ったんだ?爆竹の音はゆっくり歩いて向かってきたのに)」


和野方 「(爆竹の方が音がでかい上に全体的に鳴り響く…むしろこっちの方が飛んでやってきそうなのに なのになんで?)」


和野方 「……まさか おびき寄せられてるって気づいてる?爆竹は明らかすぎて警戒してるのか?」


和野方 「それなら缶を蹴った音はすぐ反応する理由がわかるけど…それなら爆竹の音が鳴った方に向かわないよな?おびき寄せられてるってわかってるならむしろ逆方向に行ってもおかしくない」


和野方 「…もしかして 知性はあるものの、そこまでよくないのか?それなら明らかすぎる爆竹の音にはあまり反応しないで 誤って缶を蹴ったような音がした方には反応したというのがわかるが」


和野方 「だが生きてる生存者は追っかけてくるがゾンビは邪魔にならなければ対象には入らない…なんで生きてるやつだけを狙うんだ?そこらのゾンビも一緒だが…」ウーン


和野方 「狙う理由は食べるためだと判断すれば納得はいくが、生きてる生存者とゾンビになってるやつを見極めることができてるのはわからないな」


和野方 「動きをまねすればやり過ごせるとは思えないし…臭いとかなんかあるのか?でも俺と胡桃は奴らの対象にはなってない」


和野方 「となると臭いじゃないか…少なくとも俺と胡桃はまだ人間の状態を保ってるから臭いなら襲われてもおかしくない むしろ襲われてないと話が合わない」


和野方 「目で見てわかるなら俺たちも見た目人間そのものだから姿かたちで判断してるとも思えない…ならなにを基準にして感染してるかしてないか判断してるんだ?」


和野方 「……わからない 深く考えれば考えるほどわからなくなってくる」ウーン…



…ドスンッ


和野方 「っ!」 ドスンッ…ドスンッ…


和野方 「(来たか ゆっくりだがこっちに向かってきてる)」


和野方 「(やっぱり明らかすぎる音に対しては反応が薄いのか 飛んでこないな…どこまで知識があるのかわからないな)」




タイラント 「フゥゥ……」ドスンッ…ドスンッ…


タイラント 「………」ギロ… 音が鳴り響いたところを見渡して生存者がいないかをたしかめている


タイラント 「…フシュー……」フゥゥ…



和野方 「(辺りを見渡してるな よし!次の爆竹を使うか)」スッ…カチッ


和野方 「(次は向こう側に…それっ!!)」シュボッ…ポイッ!!



…パパンッパパパパバパン!!!!


タイラント 「っ!」ピクッ


和野方 「(よし そのままそっちに行け!これで向こうに行けば…)」



タイラント 「………」



和野方 「……?」


和野方 「(…あっあれ?なんで動かない 向こうで音が鳴ったはずなのになんで)」



タイラント 「…フシュー」ジロッ 音がしたほうではなく、和野方がいる方に顔を向ける


和野方 「っ!?」ビクッ


和野方 「(なっ!?な、なんでこっちを向いた!?音がした方じゃなくなんでこっちに!!)」


和野方 「(まずいっ!もしこっちに来たらバレる!!しかもここじゃ隠れられる場所が……!!)」


ーっ長谷さん!逃げてください!!


和野方 「(いや逃げろってどこに!?)」


タイラント 「…ーッフシャァァァ!!!!」ダァンッ!!



和野方 「っ!!」ハッ


タイラント 「グオォォォッ!!!!」スゥ…


和野方 「やべっ!?」バッ!!



ドスゥゥゥン!!!!!! 飛んで和野方の真上に落ちてきたタイラントの爪が勢いよく路面に突き刺さる


タイラント 「グルルル……!!」ズボッ…スチャッ 地面から手を抜いて和野方を睨みつけて爪を構える


和野方 「(まずいっ!!見つかった!?)」スクッ


タイラント 「グオォォォォォッ!!!!!!」キシャー!!


和野方 「ーっち!」ダッ!!


和野方 「(見つかっちまったものは仕方ねぇ ここから離れねぇと!!)」


タイラント 「ガァァァァァ!!!!」ダダダダダッッ!!!!!!











グオォォォォォッ!!!!!!…



ドスンッ!!ドスドスドスドス…



ドゴォォォン!!!!ガンガンッ!!ガラガラガラガラ…



胡桃 「………」 まだ住宅街をうろつき回っている


胡桃 「(…音が激しくなった しかもなんかぶっ壊してる音も聞こえてくる…もしかして、暴れてるのか?)」


胡桃 「(あの化け物が走る音も響いてくるけど…これ、明らかに誰かを追いかけてるよな?追いかけて邪魔な物をぶっ壊してるよな!)」


胡桃 「……まさか 長谷のやつ、見つかったのか!?見つかって追いかけられてるのか!?」


胡桃 「(あのバカっ!だからひとりじゃ危ないって言ったのに!!わたしも一緒に協力するって言ったのに!!)」ギリッ!!


胡桃 「(このままじゃまずい!もし見つかってるなら急いで助けないと 今長谷が死んだらりーさんが…!!)」


胡桃 「ーっ…でも、私が行ったところでどうなる?なにか手伝えるのか?」ブルブル…


胡桃 「あの化け物相手にシャベルなんかで勝てるとは思ってない ましてあいつの脚力や腕力も私たち以上に強力…そんなやつ相手に、私たちでどうにかできるのか?」ハァ…ハァ…


胡桃 「勇気搾って行ったところで あいつをどうにかできるのか?倒せなくても逃げることはできるのか…?」ガクガク…


胡桃 「っ………」スゥ…


パァンっ!! 自分の頬を叩いて喝を入れる


胡桃 「…うん できるできないじゃねぇ やらなくちゃいけないんだ!」


胡桃 「今長谷を失ったらりーさんだけじゃねぇ わたしやみき、ゆきも悲しむんだ!」


胡桃 「なら助けにいかねぇとな ふたり揃ってみんなのところに帰らねぇと!!」グッ!!


胡桃 「まってろ長谷 今加勢しに行くぜ!!」ダッ!!


タッタッタッ!!…











ドズゥゥゥン!!!!ガンガンッ!!ドゴォォォン!!!!…



タイラント 「ーッシャアァァ!!!!」ヒュンヒュンッ!!!!


和野方 「ーっくぅ!!」シュンシュンッ 刀を抜いて、勢いよく振られてくる爪を無駄がない動きで避ける


タイラント 「アァァァッ!!!!」グワンッ!! 勢いよく爪を和野方に向けて突き刺す


和野方 「オラァっ!!」ガキィンッ!!



ドズゥゥゥン!!!! 突き刺す爪を刀で弾かれてブロック塀に勢いよく刺して貫く


タイラント 「グゥゥ…」ズボッ…ギラッ!! 壁から爪を抜いて和野方に向けて構える


和野方 「はぁ…はぁ……ーっち!」チャキッ


和野方 「(くそぉ こいつ、動きが早すぎて全然スキがつけねぇ!避けて守るので精一杯だ!)」ゼェ…ゼェ…


和野方 「(なるべく大学から離れてはいるが早すぎてすぐ追いつかれる…追いつく度に爪振ってくるから思うように離らかすことができねぇ!)」


和野方 「(このままだと十分に離らかせられない状態で殺される!殺されるなら せめてもっと離らかさせねぇと!!)」グッ!!


タイラント 「ーッシャアァァ!!」ブォンッ!!!!


和野方 「っと!」シュンッ!!


和野方 「オラァっ!!」ヒュンッ!!


タイラント 「フゥゥ…!」シュンッ!! 後ろに下がって和野方の刀を避ける


和野方 「っち!図体に似合わずすばしっこいやつめ!」


和野方 「(佐倉先生!どうにかしてあいつを撒くことはできるか?できなければ最終手段にはいる!!)」


えっえぇと…それは………


和野方 「(…できなそうですか わかりました)」スゥ… 無い右手を広げるかのように体をピンっとさせる


和野方 「(一か八かだ…もう一度右腕からあれを!!)」ググッ… 無くなった右腕部分に力を入れて賭けを…



てりゃあぁぁぁっ!!


ゴスンッ!!!!


タイラント 「ガァァッ!!」頭に思いっきりシャベルをぶつけられる


胡桃 「ーっうらァ!!」バツンっ!!


タイラント 「グオォォォッ!!!!」ブシャー!! 首筋をシャベルの先で切られて血が吹きでる



和野方 「ーっな くっ胡桃!?なんでお前ここに!!」


胡桃 「いまだ長谷!逃げるぞ!!」タッタッタッ!!…ガシッ


和野方 「っ! …わかった!」


タッタッタッ!!…




タイラント 「グゥゥ…ウゥゥ……!!」ダラダラ…


タイラント 「フゥゥ………」グチュグチュ… 切られた首筋部分驚異的な速度で治っていく


タイラント 「……ーっグオォォォーッ!!!!」スクッ 傷口が完全に塞がり再び立ち上がる


タイラント 「フゥゥ…!!」ギロッ!! 和野方たちが逃げていった方角を睨みつけ向かおうと…



カツーンッカラカラカラカラ…… 大学方面とは真逆の方向から何かを蹴ったような音が聞こえてくる


タイラント 「っ!」


タイラント 「ーッシャアァァ!!」ダンッ!!
















胡桃 「はぁ…はぁ……ここまでくれば、へいきかな?あいつも私たちの方とは違う方に行ったみたいだし」ゼェ…ゼェ…


和野方 「みたいだな…はぁぁ」ストンッ


胡桃 「っ……だいじょうぶだったか?長谷 ケガとかしてないか?」ハァ…ハァ…


和野方 「あぁ…だいじょうぶだ わるいな?助かったよ」


胡桃 「どういたしまして 間に合ってよかったよ?あの化け物もお前しか見てなかったから背後着くことができて……」ハァァ…ストンッ


和野方 「………わるい やつをうまく離れさせることができなくて」


胡桃 「なに言ってんだ あそこまで離れさせてくれれば十分だ?むしろよくやってくれたよ」


胡桃 「お前じゃなきゃあそこまで連れていくことができなかったんだ 私だったらすぐに殺されてた」


胡桃 「だからそんな落ち込むことなんてないさ おまえが落ち込むとみんなも暗くなっちまうから元気だせって!」ニカッ


和野方 「くるみ……」


和野方 「…そうか わかったよ!」スクッ


和野方 「それじゃ元気にならねぇとな?みんなを落ち込ませるわけにはいかねぇからな!」


胡桃 「その通りだ!早く戻って先輩たちを安心させようぜ?」


和野方 「そうだな?」


タッタッタッ…


和野方 「…」タッタッタッ…


和野方 「(…しかし、なんであの化け物はこっちに来ないで別の方に行ったんだ?足音は確実に聞こえてたはず)」


和野方 「(缶蹴った音が聞こえてきた場所も的確に当ててたのに、なんで俺たちの足音が聞こえてた方とはちがう方に行った?)」


和野方 「(反響してわからなかった…はありえないな ここら辺の住宅街は反響するような構造をしてない)」


和野方 「(反響したとしても俺たちがまだ近くにいることはわかってたはず 俺たちが逃げて数秒としないうちに叫び声が響いてきたから耳をすませば足音を聞き取ることはできたはず…なのになぜ?)」


胡桃 「あー…早く戻って身体洗いてぇ やつの血が付いてくせぇ」プーン…


和野方 「(…まぁ わからないがなんとかなったと思うしかないな?何故かは知らないがやつが遠くに行ってくれたんだ とりあえず深く考えなくていいか)」


胡桃 「…? 長谷?」


和野方 「っん なんだ?」


胡桃 「あぁいや なんか難しい顔してたからさ?またなにか考えてんのかなと思って」


和野方 「別にたいしたことじゃないよ ただあの化け物がなんで俺たちが逃げた方角じゃなく、別のほうに行ったのかがわからなくてな?」


胡桃 「っえ?…たしかに 言われてみればそうだな」


胡桃 「あいつは私が缶蹴った場所に飛んで来たもんな どこで音したのかわかって」


胡桃 「でも今回はあの化け物はこっちに来なかった…なんでだろうな?」


和野方 「いやそれを俺に聞かれても…」


和野方 「…まぁ今回は運が良かったと思うしかない わからないのにこれ以上考えてても仕方ない」


和野方 「はやく戻るぞ」


胡桃 「おう!」








聖イシドロス大学ー三階通路



桐子 「………」


比嘉子 「……おそいね?ふたりとも もう一時間経つよ」


桐子 「……へいきだよ きっと、帰ってくるよ 必ず帰ってくるって言ってたんだから」ググッ…


桐子 「帰ってきてくれないと僕…こまるよ もしふたりが帰らぬ人になったら…みんなに、なんて言えばいいの?」


桐子 「止められたのに…引き止めることができた僕たちが止めなかったから死んだなんて知ったら 許してもらえると思う?」


桐子 「とくに悠里はまずいよ ながやくんがいなくなったらあの子は…!!」ブルブル…


比嘉子 「…とうこ……」



…タッタッタッ


比嘉子 「っ! 誰かくる!」スッ ドライバーを取り出して音がする方角に構える


桐子 「っ!」



タッタッタッ…バタンッ


アイタァッ!!


…ダイジョウブカ?クルミ


オォォ…モロハナウッタァァ


…ハナジハデテナイナ ホカハヘイキカ?


アァ…ナントカナ


比嘉子 「この声…もしかして!」



和野方 「おーっす 今戻ったぞ?」タッタッタッ


胡桃 「今戻りましたー…鼻いてぇ」ズキズキ…


桐子 「無事だったんだね!遅いから心配したよ」ホゥ…


和野方 「わるいな 意外にも手間取ってな?」


比嘉子 「それでどうだったの?あの白いバケモノは…」


胡桃 「なんとか遠くに誘導しました 今のところは平気だと思います」


桐子 「そっそうか それならよかった」ホッ


比嘉子 「…くるみちゃん 鼻、だいじょうぶ?真っ赤だけど」


胡桃 「あはは…さっき階段で転びまして……」ポリポリ


和野方 「見た感じそこまでひどいようには見えないから時間が経てば治るよ 湿布でも貼っとけばすぐ治る」


胡桃 「このくらいじゃもったいないからこのまま治すぜ!」


和野方 「…まぁ それでいいなら構わないけど?」


胡桃 「それより風呂入りてぇ…先輩 風呂って使ってもいいですか?」


桐子 「いいよいいよー 入ってきてよ!そのあいだ制服洗っておくから!」


和野方 「あっそれなら俺が洗うから桐子たちは休んでくれ もう遅いから眠たいだろ?」


比嘉子 「……っえ」


桐子 「っえ」


和野方 「っえ なっなんだ?俺変なこと言ったか?」


胡桃 「…長谷 さすがに女子の着替えを男が洗うのは……」


和野方 「…っあ」ハッ


和野方 「あー…そうだな たしかに男のおれが洗うのはまずいな?わるい ふたりも疲れてるだろうから俺が代わりにやろうとしたばかりに変なこと言って」


桐子 「あぁいいよいいよー 謝らなくて?キミが変なこと考えてるとは思ってないから」


和野方 「ならなんでっえ、て言ったんだ?」


桐子 「っえ!?そっそれは……」タラー…


和野方 「…まぁいい それじゃ悪いが桐子 胡桃の着替え洗っといてくれないか?」


桐子 「ホイきた!任せといてー!」


和野方 「それじゃ俺は部屋に戻って警備を…」


比嘉子 「あっながやくん 少し話がしたいんだけどいいかな?」


和野方 「っん いいけど?」


桐子 「それじゃ私たちはお風呂に行こっか!」


胡桃 「おう!あっ…はい!」


タッタッタッ…



比嘉子 「…」


和野方 「…それで、話がしたいってなんだ?」


比嘉子 「えっと さっきのことなんだけど…」


和野方 「さっき?…あぁ おれが桐子を襲ってると勘違いしたことか?」


比嘉子 「うん…ごめんね?桐子を守るためにやったことなのに勘違いして」


和野方 「べつに謝ることない タイミングが悪かっただけだ?あの状況からしたら 誰でも襲ってるようにしか見えない」


和野方 「むしろ疑ってくれてかまわないよ 俺は男なんだから警戒してもらったほうが俺的にも助かる」


比嘉子 「っえ 助かるって…なんで?」


和野方 「警戒してもらった方が俺を監視してもらえるからな 俺を監視してくれればなにか疑われるようなことがあった時に潔白を証明するのに使えるからな?」


和野方 「あっそれで俺に擦り付けるのはやめてくれよ?それはさすがに怒るからな」


比嘉子 「いやそんなことするつもりはなかったけど…」


和野方 「ならいいんだが」


和野方 「まだ他に話したいことはあるのか?ないなら部屋に戻りたいんだが」


比嘉子 「ううん もうないけど…怒ってないの?勘違いして疑われたのに」


和野方 「怒ってないよ いちいちそんなことで怒ってたらキリがない?俺は男なんだから疑われて仕方ない」


和野方 「こんな女しかいないところに男ひとりだけって 変態ならぜったい何か変なことを考えるだろうからな?自分だけのハーレムを作ろうとか楽園を作ろうとかってバカみたいなことを考えるだろ」


和野方 「俺をどう思うかはお前らに任せるが俺は無理矢理襲ったりするのは嫌いだ それだけは言っとく」


和野方 「あっでも望んで来られても困るからな?望まれても手を出せばみんなに疑われるから自分の手で自分の首を絞めることはしたくないからそれはたのむ」


比嘉子 「……わかった」


和野方 「それじゃ俺は部屋に戻らせてもらうよ なにかあったら知らせてくれ?」


比嘉子 「うん 頼りにしてるね?」


和野方 「おう!任せとけ」


タッタッタッ…


比嘉子 「…」


比嘉子 「…アキ そこにいるんでしょ?隠れてないで出てきなよ」


ッ!? キッキヅイテタノ?


晶 「あちゃー…うまく隠れてるつもりだったんだけどなぁ?」タッタッタッ


比嘉子 「ただ上り階段の壁際に隠れてただけじゃん それでどうしたの?盗み聞きなんてして」


晶 「盗み聞きとは失礼だね?あんたがながやくんと話してたから心配で聞いてたのよ」


比嘉子 「べつに平気だよ あの子、あいつらより全然まともだから?」


晶 「…まぁ 感じ的にはそうだよね?あいつらと比べたらね…」


比嘉子 「…どこまで聞いてたの?私のはなし」


晶 「えっとね…桐子たちが風呂に行くってところからかな?その後 なんかながやくんが桐子を襲ってると勘違いされたとかって聞こえたけど」


比嘉子 「うんその通りだよ わたしと桐子が勘違いしてながやくんに迷惑かけちゃったの」


比嘉子 「いろいろ伝えないといけないことがあるから部屋にもどろ?桐子も時期に戻ってくるだろうし」


晶 「了解!それじゃ戻って続きするっしょ!」


比嘉子 「ほどほどにね?」













朝ーとある空き部屋



悠里 「ふんふーん♪」パタパタ… ハタキを使ってカーテンを掃除してる


和野方 「…」サー…サー… 床に落ちてるゴミを箒で集めてる


クマのぬいぐるみ 「」椅子に座らされている


悠里 「ふーん♪ふんふふーん♪」パタパタ…


和野方 「…ごきげんだな?悠里 なんかいいことでもあったのか?」


悠里 「っえ!?あっえと…べっ別になんもないわ!」///アセアセ


和野方 「そうか?」


悠里 「えっえぇ…(長谷さんと一緒に居るからなんて言えないわよ!)」///


和野方 「…?」


和野方 「(…なんでこんなに機嫌がいいんだろ?まぁ機嫌がいいことに関しては構わないんだが)」


悠里 「〜♪ 長谷さんそろそろ長机などを中に入れてもらえる?わたしも手伝うわ」


和野方 「あいよー」











和野方 「…よっと!」カタンッ


悠里 「ふぅ…これで設備は揃ったわね?あとはドアに紙を貼って…!」タッタッタッ…ガチャッ



ペタッ


ドアの張り紙 『学園生活部 教室』


和野方 「よし これで準備は終わったな?」


悠里 「えぇ 手伝ってくれてありがとね?長谷さん」


和野方 「どういたしまして!」


クマのぬいぐるみ 「」


悠里 「…そうよ 大学っていうのはね みんなでお勉強するところなの」


和野方 「…」



由紀 「…っあ」サッ 悠里たちの様子を見てすぐ壁際に隠れる


和野方 「…っん?由紀 どうした?隠れて」


由紀 「あっえと…」アセアセ


悠里 「おはようゆきちゃん」


由紀 「おっおはようりーさん ながながとなにしてるの?」


悠里 「空き部屋を改装して教室にしてたの」


悠里 「大学生なんだから 勉強もちゃんとね?」


由紀 「はっはい!」


和野方 「それじゃ俺は外の見回り行ってくるよ なにかあったら呼んで…」


悠里 「長谷さんもするのよ?勉強」ガシッ


和野方 「……っえ」


悠里 「あなたも最近勉強してないから学力が落ちてるかもしれないわ 今からでもちゃんと予習しておかないと?」


和野方 「…まぁ 別にかまわないけど?」


悠里 「……っえ?」


由紀 「あれ ながなが嫌がらないんだね?前まではめんどくさいって言ってたのに」


和野方 「たしかにめんどくさいが悠里の言ってることは正しいからな 最近勉強してなかったから学力低下はありえる」


和野方 「やっといて損はない やるなら俺もやるよ(ほんとは下手にことわって精神が悪化したらこまるからな…)」


悠里 「…やけに素直ね?長谷さん ちょっと気味が悪いわ」


和野方 「っ……あぁそうか なら俺は勉強より見回りを優先しようかな!学力なんて低下しても問題ない!」イラッ


悠里 「あぁうそうそ!じょうだんよ?やっと分かってもらえたのね!」アセアセ


悠里 「今までめんどくさがっていたからうれしいわ!見回りなんかより勉強しましょ?」


和野方 「普通にそう言えばいいだろ?たくっ一言多いんだよ さすがの俺だって怒るからな?」


悠里 「ごっごめんなさい…つい本音が出ちゃって……っあ!?」ハッ


和野方 「…おい また怒られたいのか?」(╬^∀^)ピキッ


悠里 「あぁぁごめんなさい!!もう言わないから怒らないで!!」アワワワ!!


由紀 「…」 ツギイッタラモウベンキョウシナイカラナ?


由紀 「(りーさんたのしそう ながながと一緒に話せて安心してる!)」 キッキヲツケルワ


由紀 「(このまま何も起きずにやっていけたらいいんだけど…いけるかな?)」


由紀 「(…やっていけたら、いいな……)」













お昼すぎー図書館



ギィィ…


和野方 「…」スゥ…


由紀 「…暗いね?」


美紀 「こっちは電気使えないみたいですからね ライトを照らして行くしかありませんね」


由紀 「りーさんに宿題出されちゃったからレポートに使えそうな本あるかなぁ?あとマンガとか!」


美紀 「いやマンガはダメでしょ…」


和野方 「…しかし 晶がここにはヌシがいるから気をつけろって言ってたけど どういうことだ?」


美紀 「あっそれ私も気になってました ヌシって一体誰のことなんでしょうか…?」


由紀 「まぁだれでもいいじゃん!早く行こ?」


和野方 「そんな急ぐな 万が一奴らがいたらあぶないだろ?」


和野方 「俺が先頭歩くからお前らはあとから着いてきてくれ いいな?」


由紀 「はーい!」


美紀 「お願いします」


タッタッタッ…








タッタッタッ…


和野方 「…っと ここから本棚があるのか?探すならここだな」


由紀 「わーい!マンガあるかなー?」タッタッタッ…


美紀 「いや違うでしょ…えーと 事前に調べてきたから300番台は…あっちですかね」



…っ


美紀 「っ!」ピクッ


和野方 「? どうした?美紀」


美紀 「…」スゥ… 本棚の間の通路をライトで照らすが誰もいない


由紀 「…? どうしたの?みーくん」


美紀 「…いえ 気のせいだったみたいです 行きましょう」


由紀 「ふーん?」


和野方 「…」



…っ


和野方 「ーっ!」ヒュンッ!!


? 「わぁっ!!」ビクッ!! 首元に刀を突きつけられる


由紀&美紀 「「っ!!」」


和野方 「……やつら、じゃないな?あんたがここのヌシってやつか」


理瀬 「えっえと…そうだよ わたしは稜河原 理瀬 君たちは…トーコたちが言ってた子たちだよね?」


由紀 「そうだよ!わたしは丈槍由紀!」


美紀 「わたしは直樹美紀です」


和野方 「和野方長谷だ わるいな?いきなり刀突きつけて」スゥ…スチャン


理瀬 「ううん平気だよ わたしも驚かそうとしてごめんね?久々にお客さんが来たからつい」


和野方 「たのむからこの状況下でそういうことするのはやめてくれ やつらと間違えて切るところだったぞ?」


理瀬 「…うん もうやらないでおくよ」


和野方 「…それと ここのヌシってことはどこになんの本があるのかわかるか?」


理瀬 「わかるよ なんの本をお探しかな?」











タッタッタッ…


理瀬 「…ここが君たちが探してる本があるところだよ」


由紀 「ここかー?」


美紀 「やはりいろんな種類がありますね 複数借りた方がよさそうですね」


和野方 「…」キョロキョロ


理瀬 「? どうしたんだい?」


和野方 「…いや もしやつらがここに忍び込んでたら危ないなと思ってな?暗いうえに障害物が多いから見つけるのに遅れそうだ」


理瀬 「だいじょうぶだよ ここには入ってこれないようにヒカたちが壁張ってくれてるから?」


和野方 「でもここには長居しない方がいいぞ もしやつらが入ってきたら危なすぎる」


理瀬 「もう何ヶ月もここで寝泊まりしてるから平気さ もし何かあればすぐみんなのところに行くから?」


美紀 「ここで寝泊まりしてるんですか?」


理瀬 「うん わたしはここにある本を全部読むことが夢なんだ?」


理瀬 「全部読み終わるまではここで寝泊まりするつもり もう増えることがないからいつか読み終える時が来るんだ…!!」パァァ!!


由紀 「………」


美紀 「………」


和野方 「…なんか、美紀みたいだな?」


美紀 「いやなんでですか!?私そこまで言ったことありませんよ!」


和野方 「でも本が好きなのは一緒だよな?美紀もここに置いてある本を全部読みたいとか言うんじゃ…」


美紀 「そんなこと言いませんから!わたしはあくまでも好きな本だけで…!!」


由紀 「あのー…そろそろ本借りて勉強したいんだけど?」オソルオソル


和野方 「おっと そうだったな?」


和野方 「それじゃ何冊か借りていくぞ?」


理瀬 「いいよ 終わったら元の場所に戻してね?」


由紀 「はーい!」













学園生活部ー教室



由紀 「うーん……」カリカリ… 勉強中


悠里 「…」クマのぬいぐるみを膝の上に乗せて本を読んでる


クマのぬいぐるみ 「」


由紀 「…ねぇりーさん」カリカリ…


悠里 「んー なぁに?」ペラッ


由紀 「りーさんってながながのこと好きだよね?」カリカリ…


悠里 「」ブーッ!!


由紀 「あっもちろん恋愛対象としてだよ?友達としてじゃないからね」カリカリ…ペラッ


悠里 「ごほっごほっ!!ーっ…き、急になに聞いてくるのゆきちゃん!!」///


悠里 「いきなり私が長谷さんのことをす、す…好きかなんて!!」///


由紀 「でも好きなんでしょ?ながながのこと」ンー…


悠里 「そ、それは…その……」///カァァ…


由紀 「わたしも好きだよ ながながのこと」コトッ


悠里 「……っえ」


由紀 「ながながってカッコイイもんね?みんなのために自ら前に出てくれて 私たちのために身を張って守ってくれるし」


由紀 「困ったことがあったら相談にも乗ってくれるし、私たち女子たちの中でたった男子ひとりなのに何もしてこない…カッコイイよね?ながながは男の中の男だよ!」


悠里 「っえ あっ………」サー… 由紀が和野方のこと好きだと知ると顔が青ざめて落ち着きがなくなって…


由紀 「…友達としてだよ?りーさん」


悠里 「…っえ?あっそ、そうよね!友達としてよね?」スゥ… 顔色は戻り焦り出す


悠里 「もう驚かせないでよ?ゆきちゃん 長谷さんの良いところを話して好きだと言うから勘違いしちゃったじゃない!」アセアセ


由紀 「あはは ごめんね?わたし恋愛とかよくわかんないからさ」


由紀 「でもりーさんはながながのこと好きだよね?もちろん恋人として!」ビシッ


悠里 「そ、それは……」///カァァ…


由紀 「…」


悠里 「…あまりみんなに言っちゃダメよ?とくにみきさんは長谷さんのこと警戒してるから」///


悠里 「…好きよ 恋愛対象として」///


悠里 「長谷さんは優しくて頼りになるし 私たちの安全を最優先して動いてくれたりしてくれる」///


悠里 「長谷さんのそばに居ると落ち着くの わたしが不安で追い込まれてる時とか…長谷さんはすぐ気にかけてくれて、慰めてくれるの」


悠里 「頭を撫でてくれて…もしくは、肩をくっつけて落ち着かせたりしてくれるの 私のわがままをよく聞いてくれる」


悠里 「あんなにも優しくされたら好きになっちゃうわ?もし付き合えたらいいなって…ーっは!?」///ハッ


由紀 「ふーん?そうなんだ 付き合えたら…ねぇ?」(・∀・)ニヤニヤ


悠里 「なっなによ!そっちが聞いてきたのに なにそんなにやにやしてるのよ!!」///アタフタ


由紀 「べつにー?なんでもないよー」(・∀・)ニヤニヤ


悠里 「ーっ…も、もうこの話しは終わりよ!勉強の続きするわよ!」///


由紀 「はーい!」


由紀 「〜♪」カリカリ…


悠里 「…はぁ まったく」


悠里 「(思わず本音が出ちゃったわ ゆきちゃんだから気を緩めすぎたわね…)」


悠里 「(近くにみきさんやくるみがいなくてよかった くるみに聞かれたら、絶対からかってくる)」


悠里 「(みきさんに聞かれたらまた怒られちゃう…ほんとにいなくてよかったわ)」


悠里 「(…でも ほんとに、付き合えたらうれしいわね?もし長谷さんと付き合えたら…たぶん 毎日でも甘えちゃうわ)」///


悠里 「(やさしくて、かっこよくて 何かあればすぐ助けてくれる…ほんとに 付き合えたら……)」///


悠里 「ーっ…」///プシュー…


由紀 「…」カリカリ…チラッ


由紀 「(りーさん顔真っ赤…たぶんながながと付き合えたらのことを考えてるんだろうな?)」


由紀 「(そうだよね ながながと付き合えたらうれしいよね!好きな人と付き合えたらみんな嬉しいよ!)」


由紀 「(私もながながのこと好きだけど 恋愛とかってほんとにわからないんだよね?友だちとして好きならまだわかるんだけど…)」ンー…


由紀 「(…でも、あんまりりーさんの前でながながのこと好き、なんて言わない方がいいかもしれない 変に勘違いされて また私みたいになってもこまるから……)」


由紀 「(今はながなががいてくれてるからなんとかなってるけど もしいなくなったら……)」


由紀 「(…なんとしてでも、ながながは失わないようにしないとね)」













夕方ーグラウンド



和野方 「…」ピーン 片手で逆立ちして耐久体力をつけている


胡桃 「ーっ…きっキツい……!!」グググッ… 同じく体操服に着替えて両手で逆立ちして筋肉を鍛えてる


和野方 「でももう30分ぐらい続いてるだろ?そこまで続けば充分だろ」


胡桃 「おまえはもう2時間ぐらいその体制じゃん!なんでそんな耐えれるんだよ!!」プルプル…


和野方 「…感染してから力なんか上がってるからな 副作用か後遺症かは知らないが感染してるせいだろ?」


和野方 「普通の肉体ならここまで持たない 俺はインドア派だったから運動とかしてなかったからな」


胡桃 「っえ おまえインドア派だったのか?にしては私たちと初めて会ったとき 普通に話してなかったか?」ガクガク…


和野方 「そこまで引きこもってないよ…ある程度は外に出て買い物とかしてたよ」


胡桃 「そうなの…かぁぁぁぁ……!!」パタンッ…


和野方 「約30分ぐらいだな 女なのによく頑張ったな」ヨット


胡桃 「あぁー…腕がしびれた 手が痛てぇ……」ビリビリ…


和野方 「30分も逆立ちしてればな?手が痛くなって当然だ」


胡桃 「…てか、お前は痛くなってないのか?片手で、しかも2時間もやってたらわたしよりしびれてると思うんだが?」


和野方 「別に痛みはないな 俺はお前とちがってウイルスが違うからな たぶんその違いだろ?」


胡桃 「…なんか そっちの方がいいなって思ってきた」


和野方 「ばかやろう…感染していいななんて思うな 感染していいことなんて、これくらいしかないだろ?」


和野方 「普通の人間として生きられなくなるんだぞ?そっちの方がいやだろ」


胡桃 「でも感染してることに関してはお互い違いないんだから ウイルスが違くても良くないか?」


和野方 「これ以上人間離れしたいのか…?」


胡桃 「むしろ今から人間に戻れるなんて思ってねぇよ もう…感染した時点でな」


和野方 「…わるい 気を悪くさせたな」


胡桃 「別に気にしてないよ お前も感染してんだ?同じ気持ちを味わってる同士なんだから謝らなくていいよ」


和野方 「…そうか」


胡桃 「それじゃ!次は長距離走るぞ!先にどっちが完走できるか勝負だ!!」


和野方 「まだやるのか?日が下がってきたから そろそろ戻らないと悠里たちが心配するぞ?」


胡桃 「…それもそうだな?それじゃ今日はここまでにするか」


和野方 「今日の飯はなにかな?久々に肉が食べたい…」


胡桃 「……私はいいや 肉は………」


和野方 「…っえ なんでだ?おまえ肉好きだったろ」


胡桃 「………」


和野方 「…なにかあったのか?悩んでるようなら相談乗ってやるぞ」


胡桃 「…別に相談乗ってもらうほどじゃないんだ?ただの夢だから……」


和野方 「ゆめ?」


胡桃 「…わたしがさ?完全に奴ら化して 生きてるやつを食べてる夢でな……」


胡桃 「生きてるやつを貪って食べてたんだ わたしの意識があった状態で……」


胡桃 「そんな夢見てからか 肉を食べたいなんて思わなくなったんだ?夢見る前はまたステーキ食いてぇなんて思ってたのに…」


和野方 「…なるほど そういうことだったか」


和野方 「たしかにそんな夢見たら食べたくなくなるな 俺も何回か見たことあるがそこまでは思わなかったな」


胡桃 「お前もあるのか?」


和野方 「あぁ 誰とは言わないが、完全意識を失った状態で人を…な」


胡桃 「………」


和野方 「…よし!胡桃 今日は久々に飲むか!」


胡桃 「…っえ?」


和野方 「落ち込んでる時や悩んでるときは酒を飲むのが一番だ!いやなことパーッと投げ出して 今日は飲むぞ!」


胡桃 「…でっでも さすがにりーさんたちにバレるんじゃないか?みんな同じ部屋で寝るって決めちゃったし」


和野方 「通路に出て飲めば平気だろ?もしくは空き部屋とか使って飲めばバレないよ!」


和野方 「今日は晴れてるし 久々に月見ながら飲みてぇよな?屋上に登って飲みたいた!」


胡桃 「っお!いいねぇ そいつは賛成だ!ならりーさんたちが寝たら飲むか!」


和野方 「おう!それじゃはやく戻って風呂済ませて飯に…」



悠里 「長谷さん くるみー」タッタッタッ…


和野方 「っん?悠里 どうした?なにかあったか」


悠里 「そろそろ夕飯ができるから呼びに来たのよ なかなか帰ってこないから、まだ運動してるんじゃないかと思ってね?」


胡桃 「ちょうど今終わらしたところだ!今日のご飯はなんだ?」


悠里 「今アキさんたちが作ってるからなにかまでは分からないわ それよりも早くシャワー浴びてきて?」


和野方 「あいよ それじゃ行くか?」


胡桃 「おう!」


悠里 「っあ 長谷さんはちょっと残ってもらえるかしら?」


和野方 「っん?あぁわかった」


胡桃 「それじゃ先行ってるぜー?」タッタッタッ…


和野方 「あいよー」


和野方 「…それでどうした?俺を残したけど」


悠里 「…」キョロキョロ


和野方 「? どうした?周りなんか見て」


悠里 「…長谷さん 少し…わがまま言ってもいい?」


和野方 「わがまま?まぁ 聞ける範囲でなら」


悠里 「…そっそれじゃ えいっ!」///ガバッ 長谷の体に飛びついて抱き締める


和野方 「っ!」


悠里 「〜っ…!!」///ギュー


和野方 「おっおい…ここで抱きつくのは?」


悠里 「…ごめんなさい でも、少し落ち着きたくて…」


和野方 「落ちつきたい?なにかあったのか?」


悠里 「…ううん とくになにも ただ、なんとなく落ち着きたいと思ったの」


和野方 「…そうか」


和野方 「……あと悠里 抱きしめてるところ悪いが、離れてくれないか?運動したあとだから汗とかが………」


悠里 「だいじょうぶよ いい匂いだから」///


和野方 「いい匂い!?いやんなわけないだろ!普通にくさいから!」


悠里 「すー…」///


和野方 「やめろバカっ!!嗅ぐんじゃねぇ!!」///


悠里 「…うん ちょっとすっぱい匂い」///


和野方 「それすっぱい匂い=くさいってことじゃねぇか!!」


悠里 「でも、これもまた落ち着くわ ちゃんと長谷さんがいるって証拠だから?」///


和野方 「…汗の臭いで俺がいるって言われてもなぁ?うれしくないんだが……」


和野方 「…まぁいい あんまり嗅がれたくないんだが、それで落ち着いてくれるならガマンするよ」


悠里 「ありがとう 長谷さん♡」///ギュッ…


和野方 「…」


悠里 「〜♡」///ギュー


和野方 「(んー…やっぱり抱きつかれると、その…悠里の胸が胸板に……)」///


和野方 「(これ普通の男ならもう襲ってるな 誘惑してるだのなんだのって言って、物陰に隠れて絶対やるな)」


和野方 「(俺だからまだ自制は保ってるけど…悠里 俺だって男なんだからな?あんまり誘惑じみたことしないでほしい…)」


悠里 「…ねぇ長谷さん あたま…撫でてもらっていい?」///


和野方 「っえ あたま?…悠里 さっきも言ったが、俺運動したあとだから汗とかで汚れてるから……」


悠里 「だいじょうぶよ ちゃんとお風呂入るから?今なら汚してもへいき」///


和野方 「(悠里 今なら汚してもいいなんて言わないでくれ それ普通の男なら別の意味に聞こえるから…)」


悠里 「…だめ?」シュン…


和野方 「…わかったよ その代わり、ごはん食べる前に風呂入れよ?汚れたままごはん食べに行かないでくれ?」


悠里 「うん♡」///パァァ


和野方 「…」ポスッナデナデ…


悠里 「〜♡」///ワシャワシャ…


悠里 「(はぁぁ〜♡やっぱり長谷さんのなでなでは落ち着くわ!やさしくて、私のわがまま聞いてくれて…ほんとにうれしいわ!)」///


悠里 「(ほんとはゆきちゃんが長谷さんのこと好きって言うから 心配になっちゃって…落ち着きたくてきたのよね)」


悠里 「(もしゆきちゃんが…恋愛的に長谷さんのこと好きって言ったら……どうしよう)」


悠里 「(別に好きになっちゃいけないなんて理由はない それに私がそれを言う権利はない…)」


悠里 「(長谷さんが誰を好きになるかなんて、長谷さんが決めること 他の子を好きになっちゃいけないなんて言えない)」


悠里 「(彼女でもない私がそれを言うのはおかしい…いくらやさしくても それをお願いするわけにはいかない)」


悠里…? 「(長谷さんには、今はもう亡くなってるけど彼女がいる 今でも好きだと長谷さんは言ってた…)」スゥ…


悠里…? 「(わたしがどんなに思いを伝えたとしても、届くわけないとわかっているのに…でも、それでも わたしは長谷さんのことを!)」スゥー…


和野方 「…なぁ悠里 まだ撫でるのか?そろそろ飯行かないか?腹減ってきたんだけど…」


悠里…? 「…ねぇ長谷お兄ちゃん わたしのこと…好き?」


和野方 「…っえ(お兄ちゃん…?)」


悠里…? 「…どうなの?好き……?」ハイライト


和野方 「ーっ!!」ビクッ


和野方 「(めっ目が…!!)」


悠里(精神異常Lv3) 「ねぇ…どうなの?わたしのこと……好き?」ギュッ…


和野方 「ーっ…えっえと、それは……」


悠里(精神異常Lv3) 「……もっもしかして きらい………?」ガクガク…


悠里(精神異常Lv3) 「わっわたし…ワガママだから……!!」ハァ…ハァ…


和野方 「っ!! いぃいや!そんなことない!好きだぞ!!」


悠里(精神異常Lv3) 「ほっほんと…?」


和野方 「あっあぁ!」


悠里(精神異常Lv3) 「恋愛対象として…?」


和野方 「っえ れっ恋愛対象として?」


悠里(精神異常Lv3) 「…好き、じゃない……?」サァー…


和野方 「ーっ…」


和野方 「(どっどうしよう これは正直に言ったらまずいよな?俺には麻里亜がいるから…)」


和野方 「(…でも………)」


悠里(精神異常Lv3) 「……どうなの?」


和野方 「……好きだよ」


悠里(精神異常Lv3) 「……っえ」


和野方 「…好きだよ 恋愛対象として」


悠里(精神異常Lv3) 「…ほっほんと?」


和野方 「あぁ」


悠里(精神異常Lv3) 「麻里亜さんより…?」


和野方 「ーっ…あぁ 麻里亜より……好きだぞ?」ニコッ


悠里(精神異常Lv3) 「……嘘ついてない?」


和野方 「俺がお前に嘘ついたことあるか?約束は守れなかったことはあるけど…」


悠里(精神異常Lv3) 「…じゃあ もし無事にここから出れたら……」


悠里(精神異常Lv3) 「【結婚…してくれる?】」


和野方 「………」


悠里(精神異常Lv3) 「……だめ?」


和野方 「………えっえと とりあえず、付き合うことから始めないか?ここから出たら付き合って…」


悠里(精神異常Lv3) 「もうわたしの身体…触った仲なのに?」


和野方 「っ…そっそれでもだ!物事には順序というものが……」


和野方 「(………順序、吹っ飛ばしてるな)」


悠里(精神異常Lv3) 「………」


和野方 「…とっとにかくだ?今はまだ付き合うことはできない ここから無事出れて、安心して暮らせるようになったら付き合うから!」


悠里(精神異常Lv3) 「…やくそくよ?」


和野方 「あぁ!やくそくだ 嘘ついたら…俺のこと、好きにしていいから!」


悠里 「…うん わかったわ」スゥ… 目の中の光が戻り、正常に戻る


和野方 「それじゃ早く風呂はいって飯いくぞ?俺は少し片付けがあるから先行っててくれ」


悠里 「わたしも手伝うわ」


和野方 「いや俺ひとりでできるからいいよ?悠里は先に汗流しててくれ」


悠里 「そう…?」


和野方 「あぁ!手伝おうとしてくれてありがとな?気持ちだけ受け取っておくよ」ナデナデ


悠里 「っ! 〜っ…」///カァァ…


和野方 「それじゃ悠里 また後でな!」


悠里 「…えぇ また、頭なでてね?」///


和野方 「はははっ!わかったよ 後でまた撫でてやるよ?」


悠里 「うん!」///


タッタッタッ…


和野方 「………」


和野方 「…はぁ まいったな……ほんとに、どうしよう」


和野方 「(あんな状態で正直に答えられるわけないだろ…もし正直に答えたら、ほんとに……壊れちまうよ)」


和野方 「(壊さないために嘘をついたけど…俺には麻里亜がいるのに……)」


和野方 「…嘘をついたことないなんて、そんなわけないだろ あいつには何度も嘘ついたことあるのに……どの口が言ってんだか?」ハァ…


和野方 「べつに嫌いじゃない むしろ好きだけどよ?好きだけど…恋愛対象としてと言われたら、わかんねぇよ…」


和野方 「彼女持ちの俺に告白すんじゃねぇよ 好きになるのは構わないけど……」


和野方 「………」



…大変だね キミも


和野方 「っ!」ハッ


桐子 「やぁ!元気にしてるー?」


和野方 「…桐子」


桐子 「いやー ほんとにあの子、いろいろとまずいね?今にも精神的に落ちそうだよ」


桐子 「既に限界を超えてると思うのに未だ壊れてない…ほんとに、キミが唯一の支えなんだね」


桐子 「…すごいね ほんとに、たいへんなのに…」


和野方 「…もう慣れたよ 高校にいる時からこの調子だったんだ 他のみんなが慰めてもあまり効果がなくてな」


和野方 「悠里がおれに好意を持ってるってわかってたから、俺が慰めたら効果的だったんだ だから俺がやらなくちゃと思ったんだ」


和野方 「他のみんなからもお願いされたけどな?長く一緒に暮らしてたみんなより、俺の方が適任だってな」


桐子 「…」


和野方 「…今の話し、全部聞いてたよな?わるいけどみんなには…」


桐子 「わかってるよ 話さないから安心して?」


桐子 「あの子を救えるのはキミだけなんだ ながやくんの首を絞めるようなことはしないよ?」


和野方 「ならいいが」


桐子 「…それとね キミたちのことを武闘派に話してきたんだけど」


和野方 「っ! どうだった?」


桐子 「それがね…」






この続きは【がっこうぐらし!another story6th】になります

今後ともがっこうぐらし!をよろしくお願いします


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2019-10-17 14:00:24

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