単独行動隊提督 リメイク版
単独行動隊提督 リメイク版です。
更新は気が向いた時しかしませんので期待しないでください。
提督(単独行動隊提督作品主人公)
南我原鎮守府指揮官、元は特別単独行動隊
過去に一度の過ちを犯したことにより、自らの意思で単独行動隊に入隊した変わり者。
刀術は自己流万能、体術も自己流万能である為 どのような状況でも対応できる完全熟練者。どのような敵であろうと臆することはない
性格は頑固で口が悪い 相手が上官であろうとタメ口、暴言を普通に吐く さらには銃口を向けたりする荒くれ者 一度決めたことは曲げない
祥鳳型二番艦軽空母 瑞鳳(単独行動隊提督作品主人公)
元々は海軍本部に仕えていたが、南我原鎮守府に移動が決まり 元単独行動隊指揮官の下に着く
練度はかなり高く、状況判断や戦闘に関してはお手の物 他の軽空母と比べたら桁違いの強さを持っている。
過去、なにかしてはいけないことをしたみたいだが不明…
性格は世話好きで礼儀が正しい 人に懐かれやすい性格で気軽に話しかけてくる。…ただし、ある話をされると性格が一変する。
●▲■✖年 世界の海は深海棲艦の手によって恐れられていた。
いつから出てきたのかはわからない かなり昔から存在した。海を支配する 化け物
われわれ日本軍は海外との連合を組み、協力しあって深海棲艦を殲滅することを誓った そして今も続いている。
深海棲艦は恐ろしく強く、生身の人間ではとても太刀打ちができない 奴らの力が絶大であり、我ら人間を一瞬にしてこっぱみじんにするほどの力を持っている。
艦娘を使い対抗するが奴らは何体いるのか不明 いくら倒しても現れる…まるで無限湧きしてるようだ。
倒しても倒してもキリがなくて、こちらの戦力である艦娘たちも犠牲が出ている…もちろん 我ら人間も出ている。
だが諦めるわけにはいかない もし諦めてしまったら日本は愚か、他の国まで崩壊してしまう それだけは絶対に阻止しなければなからかった!
その中でもずば抜けて指揮能力が凄い者がいた しかも指揮能力だけではなく、深海棲艦に対抗する肉体を所持するものだった。
その者は変わった性格で艦娘を使いたがらず 自分自身が出て戦うという自殺行為者であった。
…だが、その者は深海棲艦と並ぶほど強かった 片手にはサーベルを構えて深海棲艦を倒し、砲弾が飛んできたら切って防ぎ 瞬時に紙一重で避けることができた。
今まで深海棲艦と対等できる人間など存在しなかった どんなに鍛えても奴らに対抗することなんて不可能だった…だが、その者だけはできたのだ!
人類に希望の光を差したものでもあった 深海棲艦に対等できる人間、指揮能力も高く みんなから期待されていた。
…だが、その者はたった一度の過ちを犯し 指揮官から外れた 期待されていた者が自らの意思で指揮官を降りた
しかも海軍には指揮官が罪を犯したら集められる【単独行動隊】という 【罪が晴れるまで自ら深海棲艦と戦うことを命じられる】刑務所があった
単独行動隊に入れられたものは最低限の装備だけで深海棲艦と太刀打ちしなければならない もちろん犯罪の度によって戦う敵や射程距離が違う
罪が軽ければ軽いほど、補給艦や駆逐艦を敵の射程圏外から砲撃して倒す 逆に罪が重ければ重いほど、重巡洋艦や戦艦を至近距離で倒さなければならない ほとんど死刑と変わらない
これは海軍が特別に、国に申請して作らせた犯罪組織であった 世はまさに海が支配されている状態…少しでも深海棲艦を減らすために お国のために死ねという、なんとも残酷な組織だった。
…指揮官を降りた者はその組織に入ってしまった しかも自らの意思でだ!
普通、自ら入りたいなんて言うものはいなかった 入れば死ぬ確率の高い深海棲艦と戦うことになるのだから、誰も入りたがるはずがない
しかも過ちを犯したといっても罪には問われていない 海軍本部の上官も状況を把握しており、その者には罰を与えなかった。
…だが、その者は真面目で頑固 自分の過ちを許さず、自らの意思で単独行動隊に入ってしまった……
もちろん引き止めることはできた 上官は単独行動隊に入ることは良しとしなかった。
……だが、その者は一度決めたことは曲げない だれに何を言われても聞かない性格だったから言っても無駄だとわかっていた。
入れたくはなかった 入れたくなんてなかった…だが、入れなければ その者は納得しなかった だから納得せざる得なかった……
上官は仕方なく、その者を単独行動隊に入隊させた いつ死んでもおかしくない単独行動隊に入れてしまった。
期待されていた指揮官と言うのもあるため、周りにはその情報を流さないようにと口止めさせた もし期待されていた指揮官が単独行動隊に入ったなんて知られれば、他の指揮官共はやる気をなくし 世界が滅んでしまう
それだけは何としてでも阻止しなければならなかった 幸いにも過ちを犯したことはその指揮官の元に着いていた者たちと上官以外には漏れていなかったため、口封じも楽に済んだ
指揮官がいなくなったことは海外に移動が決まったとか、海軍を抜けて自衛隊に入ったとかと適当に情報をばら撒き 散策されても情報が出ないように嘘の情報を巻いた
これで期待されていた指揮官が単独行動隊に入った話しはバレずに済む 誰の耳にも入らないようにすることができた
…だが、やはり人類初の深海棲艦と対等できる者が居なくなったのは痛かった その者以外は比べ物にならないくらい弱く、下手したら艦娘を犠牲にしてでも深海棲艦を倒そうとする頭の悪い奴らばかりであったため 優秀な人材が失ったのは海軍の中でもトップに立つくらいの悲劇であった
このままでは海軍は滅びる 滅びたら国は深海棲艦に乗っ取られ、滅びてしまう……
……海軍が滅びる前に、その者が戻ってきてくれることを願うしかなかった 何かの拍子で再び指揮官をしてくれれば、人類に光が再び差してくる
【………しかも現在、過去最悪の状況に陥っているからなおさら………】
海軍本部ー上官室に繋がる通路
指揮官A 「それでな?そこの指揮官がな」
指揮官B 「へぇー そんなことがなぁ?」
階級下の指揮官が海軍本部通路で話しをしていた。ごく普通の世間話をしていた。
本日は本部で会議があったため、各場所の指揮官が集まっていた。
終わってから約数十分後、仕事が忙しい指揮官は自分の持ち場に帰宅したが
基本サボっていたり、緊急性じゃない限り動かない指揮官はまだ本部に残っていた
自分たちの身分を利用して部下の艦娘たちに仕事を押し付けて自分たちはサボっている もちろん艦娘たちにもやらせるのは普通 仕事なのだからそれは当たり前であった
だが彼らは丸投げで完全に任せっきりであった めんどくさいから艦娘に任せ、自分たちは仲の良い者とだべっていた
楽して良い給料が入る…傍から見たらふざけている もちろんお偉いさんが来たときだけ真面目に働き、ある程度は戦果を挙げてちゃんとやってますよアピールはする
本来ならもっと指揮官としての立場を考えなければいけないところ 指揮官ならもっと指揮官らしくシャキッとしなくては部下の艦娘たちに呆れられてしまう
でも彼らにはそんなこと関係ない お国のことなんて考えていなく、自分の命のことしか考えていないのだから そんな感情があるはずなかった
彼らが盛大にサボっていると後ろから真っ黒な服を着込んで腰には二刀のサーベルをかけ、両腕には機銃 背中にはミサイルとバズーカーを積んだ なんとも異様な姿の男が歩いてきた。
ふたりはなんだこいつ?と言わんばかりの目で見つめると肩に自分の存在を表すワッペンが取り付けられていることに気づいた。
そのワッペンは狼が一匹だけ描かれて、後ろには斜め線が入った紋章が付けられていた。
ふたりはそのワッペンを見てすぐに理解した
【その者、単独行動隊であると】
だがなぜ、本部に単独行動隊が来ているのかまではわからなかった 普通単独行動隊は本部に来ない…いや、来れないはず
出撃以外、外出を禁止されている単独行動隊が外を出てるなんてありえなかった なぜ出ているのか理解できなかった
脱走したとしても本部に来るのはおかしい 脱走してここに来たら、どうぞ捕まえてくださいと言ってるようなものだ そんな馬鹿なことするやつはいない
ふたりが悩んでるうちに単独行動隊は奥に進んでいって見えなくなった 向こうの先は上官の執務室がある方向だった
まさか上官に用があるのか?単独行動隊が?
理解はできなかったが見えなくなったからふたりは再び世間話に戻った 今通った単独行動隊のことを考えていてもつまらないからだ
またふたりは仕事をサボって話しを続けた いつまでも自分の持ち場に戻らないでずっとだべっていた 果たしていつになったら戻ることやら…
通路ー上官室近く
艦娘A 「それでさぁ?そこのやつがね」
艦娘B 「うわぁ…それ最低じゃん わたしなら耐えきれないわ」
艦娘A 「でしょー?そんでさぁ…」
? 「…」タッタッタッ…
艦娘A 「…っえ」
艦娘B 「……うそ なんで?」
艦娘たちは横を通った目つきの悪い男を見て驚愕した。
私たちの横を通ったのは単独行動隊の者…しかも武器を所持したまま本部に入っている 単独行動隊が本部にいることすら有り得ないのに、なぜ武器まで所持して中に入ってきてるのかわからなかった
ふたりはお互い顔を合わせて頭に?を思い浮かべていた艦娘Aがなぜここに単独行動隊が来てるのかを艦娘Bに聞いた
艦娘Bは私に聞かれても知らないと答えた 当たり前である。艦娘Bは艦娘Aと一緒にいたのだから知るはずがない
あるっていく単独行動隊を見ながら考えていると曲がり角を曲がって姿が見えなくなった あとを追いかけてどこに行くのかを調べてみようとは思わなかった
追いかけたとしてもおもしろくないからだ 単独行動隊を追跡しても楽しいことなんてないと判断したからだ むしろあとを着けてもいいことなんてなにひとつない
ないうえに変な誤解を生んでは自分の首を締めることになりうるからよけいに行かなかった 触らぬ神に祟りなしと言ったものだ
ふたりは話しを再開して見なかったことにした それが一番正しいと判断した。
上官の執務室
上官 「…」カリカリ…
上官 「…」ペラッカリカリ…
彼、本部を仕切る上から二番目に偉いもの 過去、南方海域をたったひとりで艦娘の指揮を取り 一時は制覇した成功例を持つ戦果所持者
現在は本部の指揮を取り組む指導者をしている。各鎮守府から寄せ集められた書類を整理し、不備がないかをすべてチェックしてはまとめる いわゆる雑用だ
ちゃんと本部所属の艦娘たちに指揮を出し、鎮守府近海を警戒するように伝えては各鎮守府の指揮官に指揮を執るエリート中のエリートである
艦娘の信頼も厚く、各鎮守府の艦娘からも頼りにされている もし艦娘たちが指揮官の私利私欲のために使われていることを耳にした瞬間、すぐさまその指揮官を捕まえて単独行動隊に入れる権利を持っている。
艦娘思いが非常に強く、時折 各鎮守府の秘書官を呼ぶ、または電話で鎮守府の様子はどうかを聞いている。
艦娘が不満に思っていることを聞いては指揮官に注意を入れ、もし治さなければ警告…いわゆるイエローカードを出して脅しを入れる
もちろん全部がぜんぶ、艦娘の不満を聞き入れているわけではない 明らかに艦娘のわがままや指揮官の性格がいや あの艦娘がいないからイヤだという不満は聞き入れていない
さすがにそこまでは付き合いきれず、その時はそこの指揮官に答えられる要望だけ叶えてくれとお願いすることぐらいしかできない 滅多にいないがたまにそういう艦娘がいる
甘くするにしても甘くしすぎてはいけない そこはちゃんとわかっている 上官も大変である…
…コンコンっ
上官 「…っん だれじゃ……」
ガチャッ
? 「入るぞ」
上官 「…お主か 毎回ワシが入っていいぞという前に入るなと何度言ったら……」
? 「んなことはどうでもいい ほら!今日の報告書だ」バサッ
上官 「乱雑に置くでない あーあ書類がバラバラになってしまったわい」カサカサ…トントンッ
? 「てめぇが今回の書類は持って来いって言ったから持ってきてやったんだぞ?いつもは単独行動隊管理所憲兵に頼んで送ってもらうのに」
上官 「今日は単独行動隊管理所内の点検があると説明したろう 単独行動隊管理所憲兵に全ての独房を点検すると…」
? 「俺には関係ないことだ 俺は憲兵じゃねぇんだからそっちの事情なんか知ったこっちゃねぇ」
? 「それよりも早く記入漏れがねぇか確かめろ 早く帰って休みてぇんだからよ?」
上官 「そう急かすな すぐ見るから待っとれ」パサッ
? 「…」
上官 「…あいかわらずの戦果じゃのう やはりお主ほどの実力を持つ者を単独行動隊に入れておくのはもったいない」
上官 「お前さん また指揮官に戻る気は…」
? 「ない」キッパリ
上官 「わしから上に話をかけてやるぞ?戻れるように…」
? 「ならない 俺はもう二度と指揮官にならねぇってなんとも言ってんだろうが!!」
? 「お前は俺がなんで単独行動隊に入ったか知ってんだろ!なのにまだ戻そうとするか!」
上官 「ならわしからも言わせてもらおう お前さんだっていつまで過去を引きずってるつもりだ?過去は過去、今は今ではないか!」
? 「関係ねぇ 俺は過去の過ちをいつまでも引きずる男なんだ てめぇに俺の気持ちがわかってたまるか!」
? 「しかも一度ならず二度までも味わってるんだぞ!それをわかってなおのこと言うか!」
上官 「いつまでも過去を引きずっていたらなにも変わらんぞ それに三度目の正直と言う言葉も存在する」
? 「なら二度あることは三度あるとも言うだろ!二回も同じことがあったんだ 三回目も同じことが起きても不思議じゃない!!」
? 「これ以上俺に指揮官に戻らせようとする話をするな!気分悪くてしょうがねぇ!!」
? 「まだ言うようならてめぇの頭をぶち抜いてやるよ!!俺の重攻撃型装甲でな!!」ジャキッ
上官 「………」
?は装備している機関銃を上官に向けて構える…一方、その状況に陥ってる上官は顔色ひとつ変えず その場で?を睨みつけていた
上官はこの者のことをよく知っている 実の息子ではないが、この者はわしの義理息子であるから過去何があったかも全て知っている
だからなおのこと無理には言えなかった この者が指揮官に戻ることを嫌がる理由、二度も味わった惨劇…他のものが味わうことがない辛い過去を味わったのだ だから嫌がる理由もわかる
だがこの者を戻さなくてはならない 今戻さなくては行けない状況下であるのだ 戻せなければ…今後、海軍本部は滅びる運命に陥る
過去最高提督と呼ばれていたこの者の力が必要なのだ だから何としてでも戻さなくては…!!
コンコンっ
瑞鳳です。各鎮守府から送られてきた書類を提出しに来ました
上官 「いいぞ 入れ」
失礼します
ガチャッ
瑞鳳 「………」
? 「…」上官に機銃を突きつけたまま瑞鳳に睨みつける
上官 「すまないのう 今こんな状況で入ってきてもらって」
瑞鳳 「いっいぇ…それはいいんですが」
? 「…っけ!」ジャキンッ
?は機銃を下ろして足を出入口に向けて歩き出す 扉前にいた瑞鳳は邪魔になると判断してすぐ避けた
扉を開けて勢いよく閉められた扉は大きい音を上げて上官室に響き渡った 耳にキーンと来るような音で瑞鳳は驚かなかったものの なにか機嫌が悪かったことだけは把握した
それに対して上官は?がいなくなると同時に肩の力を抜いて気を楽にした やはりあの者と話をするのは疲れる まともにこちらの話を聞いてくれないからなおのこと疲れてしまう
もう少し性格がよければと思うところはあるが今更直しようがない 元々の性格はあそこまでひどくはなかった あのものを全て変えたのはやはり過去のこと…
あの者の過去はどうにかできることではない やり直すことは許されないこと…いや、正確にいえばやり直せない やりなおせるわけがないのだ
あの者が味わった二度の災難はほんとに悲劇なものだった だからどうにもできない……だが、それでも戻さなくてはならない 今現在、あの者の力が必要なのだ
今起きてる過去最悪の悲劇な状況に陥ってる状態 今の面子(指揮官共)では到底乗り切ることは不可能である
どんなに頑張っても勝率はゼロに近い いやゼロに近いではなく、ゼロと言ってもいいだろう それほどひどい状況に陥っている
だからあの者を指揮官に戻さなくてはならない 一体どうすれば……
瑞鳳 「…あの、上官 先程の者は一体……?」
上官 「あやつか?あの者は特別単独行動隊 番号66番 コードネーム:a meverickだ」
瑞鳳 「特別単独行動隊…?さっきの人が?」
上官 「あぁ 自ら単独行動隊に入りたいと言ってきた変わり者だ 性格も変わってるがな」
上官 「まぁ自らの意思でだから特別単独行動隊だがな 罪のある者たちとは違う存在だから間違わないでくれ」
上官 「指揮官に戻すと言ったのだが戻りたくないと返してきてな どんなに言っても効かない頑固者じゃ」
瑞鳳 「…なにかあったんですか?自ら入隊したいだなんて よほどの理由がなければ入りたがらないかと思いますが」
上官 「…まぁ それなりにな あやつにとってはやってはいけないことをしてしまったからな」
瑞鳳 「やってはいけないことを…」
上官 「まぁよい それよりも書類整理するから手伝ってくれんか?さすがに量が多すぎる」
瑞鳳 「わかりました 補助で着きます」タッタッタッ…カタッ
上官 「たのむ」パサッ
【a meverickの報告書
戦艦タ級 二体
戦艦レ級 一体
軽巡ホ級 三体
戦艦ル級 二体
駆逐イ級 四体
南方棲戦鬼 二体
これらを撃退(艦装だけ破壊して撤退するのに影響なし)
使用武器
機関銃(3500発)
サーベル二刀
ケガ
気にする程じゃない】
上官 「…相変わらずじゃのう 深海棲艦に優しくするとは」
上官 「……そのうち、死ぬぞ ばかものが」カチャカチャ…ポンッ 報告書に確認したと印鑑を押して受理する
瑞鳳 「…」カリカリ…
上官 「……そうじゃ なぁ瑞鳳、ちょっと聞いてもよいか?」
瑞鳳 「はい なんでしょう?」
上官 「嫌なら断ってくれても構わん もしお主がよければ…」
…
通路
a meverick 「…」タッタッタッ…
a meverick 「(…くそ あのくそオヤジめ!)」ギリッ
a meverickはイラついていた 先程の上官の言葉が頭の中で何度も繰り返されて焼き付いていた
何度も断ってきたのにまた言ってきやがって…しかも久々に会ったと思えば同じことを言いやがった 最後に会ったときに二度と言うなと言ったのにだ!
ほんといやになる 俺はもう指揮官にならねぇと言ってんのに誘ってくんじゃねぇよ 次言ってきたらどうしてやろうか
一度ならず二度までも嫌なことがあったんだ しかもその嫌なことはちょっとやそっとのことじゃない 取り返しのつかないほどのことだ
取り返しが着くなら戻ってた…俺だって他の仲間を置いて辞めるようなことはしたくなかった 戻れるなら戻ってまたみんなと一緒に海の上を走りたかった
だがそれはもう無理だ 戻ることはできない…もう取り返しがつかないんだ 一度失った命はもう戻らない そう二度と…
苛立ちながら落ち込んでいると後ろから誰かに呼ばれる声が聞こえた 苛立ちながら振り向くとそこには先程、通路でだべっていた指揮官たちがいた
こいつらとは面識がない…となると、ろくな話しじゃないだろうなとすぐさま予測した 案の定、a meverickの予想は的中した
指揮官A 「おまえ、なんでこんなとこいんだよ?ここは提督様たちの居場所だぞ」
指揮官B 「ほんとだよ 罪人がこんなとこ来てんじゃねぇよ 目障りなんだよ」
a meverick 「…そうか なら安心しな もう用は済んだから出ていくから」
指揮官A 「あぁ?てめぇ だれに対してそんな口の利き方してんだァ?」
指揮官B 「罪人が敬語使わねぇとはずいぶんとナメてんな ちょっとツラ貸せや」クイクイッ
a meverick 「あいにくだがお前らバカふたりと遊んでる暇はない ふたりで仲良くイチャついてな」シッシッ
指揮官A 「っ…てめえ どうやら痛い目に合いてぇみてぇだな?」コキコキッ
指揮官B 「言っとくが俺たちは強いぜぇ?てめぇなんて一撃でぶっ飛ばしてやんよ!」ヘヘヘ
a meverick 「…へぇ?俺を一撃で」ニタァ
こいつらはバカだった 単独行動隊が今ここにいる時点で気づかないのだろうか?普通気づくだろう
ここにいるということは深海棲艦を倒してここに来たということ 深海棲艦を倒したほどの腕を持つものと戦うなんて…ただのバカである
指揮官Aがa meverickに拳を振ってきたがあまりにも遅すぎてあくびが出るほど 余裕で指揮官Aの拳を避けて足をひっかけた
すると指揮官Aは派手にすっ転んで顔面を床に思いっきりぶつけた ゴンッ!!といい音が周囲に響いて勢いよくぶつけたのがわかった
痛がる指揮官Aは悶絶して顔面を抑えてる中、指揮官Bは勢いをつけて蹴りを入れてきた
だがやはり素人同然 貧弱な蹴りはa meverickの手によって受け止められた 指揮官Bは引き剥がそうとするがまったく微動打にせず、焦りはじめた
仕方なく懐から拳銃を取り出そうと片手を折り曲げて懐に手を入れようとした瞬間、足を引っ張られバランスを崩し 後頭部を床に思いっきりぶつけた
指揮官Bは後頭部をぶつけたことにより非常に甲高い金切り声(金物を切るような音)を通路内に響き渡らせた
ふたりが悶絶して倒れてることを気にせず a meverickは両腕に付けてる機銃を突きつけた
機銃は7.7mm機銃を片手に四つ四角形の形に取り付けたもの 艦娘や深海棲艦に撃ったとしてもさほどダメージは通らない…だが、人間相手なら充分すぎる威力を持っている
指揮官ふたりは痛みを殺して向けられた機銃を見て目をかっぴらかした(目を大きく開かした)
しかも片手に四つもの機銃が取り付けられているのだ しかも至近距離で狙われている…この距離では逃げようがない 避けようがない!!
恐怖に堕ちる顔で睨みつけている表情を見てa meverickは悪魔のような笑みで問いかけた
a meverick 「おいおいどおしたよぉ?そんな恐怖に満ちたような顔してよぉ」 ニヤァ
a meverick 「まさか機銃向けられただけで怖気付いたか?よくそんなんで指揮官になれたなぁ!」ケケケ
a meverick 「おまえら弱すぎて遊びにもならねぇよ そんな奴らには弾丸をやるよ ありがたく思えよ!」チャキッ
指揮官A 「ーっき 貴様!!よく俺たちにそんなことを言えたな!!」
指揮官B 「そうだ!お前は犯罪者で俺たちは善良な指揮官!しかも機銃を向けるなんて…自分の立場をわかっているのか!」
a meverick 「あぁ…?んなもんどうでもいいわ てめぇらみてぇな指揮官なんて俺にとっていらねぇんだよ」
a meverick 「俺がどうなろうとお前らを殺せればそれでいい お前らさえ殺せれば、俺は気が済むんだからなぁ!!」アハハハハ!!!!
指揮官AB 「「ひぃぃっ!!!!」」ビクゥ!!!!
ためらうどころかむしろ殺すことを望んだ それもそのはず、a meverickは基本自分のことなんてどうでもいい 自分で気に食わないと思ったことは徹底的に潰す…後先のことなんて考えない
後先のことを考えていたらなにも出来ない ましてもうなにもかも失ったa meverickに失うものなんてない…だからなにも考えずに行動に移せる
こいつらを殺して死刑を命じられても構わない 死ぬなら望んで死ぬ 失うものなんてないから死んでも構わない だから俺は引き金をゆっくりと……
本部内スピーカー 「ピンポーン」
本部内スピーカー 「特別単独行動隊番号66番 コードネーム・a meverick 至急上官室に来い 繰り返す…」
a meverick 「…んだ?あいつ 本部内放送で俺を呼びやがって ひとがせっかく遊んでる時によ」スゥ…
指揮官AB 「「ーっ…」」ガクガク…
a meverick 「よかったなぁ?お前ら 命拾いしたな」
a meverick 「もしあのバカが呼んでなければてめぇら今ごろ蜂の巣だったぜ?風穴だらけの姿見たかったのになぁ!!」ニマァ
指揮官AB 「「ひぃぃっ!!!!」」ゾワッ!!
a meverick 「次あんな真似してきたら苦痛の地獄を味わせてやるからな 指一本ずつ切り落としてナイフで浅く切り刻んで痛みを味わいながら出血して…!!」
本部内スピーカー 「ピンポーン」
本部内スピーカー 「特別単独行動隊番号66番 コードネーム・a meverick 早く上官室に来い 繰り返す…」
a meverick 「うっせぇなあいつ!!わーったよ 今行くから待ってろ!!たくよぉ」タッタッタッ…
指揮官A 「っ…なっなんだよあいつ 特別単独行動隊ってよ?」ガクガク…
指揮官A 「上官のこと平然とバカと呼んでたし 人を殺すことに躊躇いも見えなかったし!!」ブルブル…
指揮官B 「ふっ震えが止まらない…ほんとに、死ぬかと思った……」カタカタ…
指揮官A 「つっ次からあいつを見かけたら なにも話さないで無視するぞ」
指揮官B 「あっあぁ そうしよう」
…
上官の執務室
上官 「……おそいのぅ あやつなにしてるんじゃ?まさかもう本部から出てったあとか?」
瑞鳳 「いやさすがに早すぎるかと…よほど早足で歩いてなければまだ本部内にいるかと思います」
上官 「だといいんじゃが……」
タッタッタッ…
上官 「…噂をすればなんとやら 来たな」
バゴォォォンッ!!!!!!
扉 「」バタンっ!!カラカラカラカラ… 扉が盛大にぶっ壊されて部品がそこらに飛び散る
a meverick 「よぉ 人をまた呼ぶとはいい度胸してんな?しかもゴミ野郎共と遊んでたのによ」タッタッタッ…
a meverick 「要件はなんだ くだらねぇことだったらぶっ殺すぞ」
上官 「……お主はふつうに入れんのか?しかも完全にぶっ壊すやつがあるか」ハァ…
瑞鳳 「(この扉…たしか防弾性能と爆発耐性が取り付けられてたはずだけど……)」
瑞鳳は壊された扉を見つめて冷静にa meverickがどれだけ強いのかを測った
普通の一般人がこの扉を蹴りで壊すことは不可能 キックボクシング選手でもこの扉を壊すのは容易ではない 壊せたとしても何度も蹴る必要がある
それをたった一撃でぶっ壊したのを目の前で目撃した…この人間 一体何者だろう?
そう思い瑞鳳は鋭い視線をa meverickに向けた 人間なのに換装を身につけている姿は先ほど上官が言っていた通り、単独行動隊で間違いない
だけど単独行動隊でも特別単独行動隊と呼ばれるものが存在する 自ら単独行動隊に入隊すると志願した者たちがそう呼ばれる
だが自ら入りたいという人はほぼいない 自ら入りたいだなんて自殺行為だからだ 生身の人間で深海棲艦と戦うなんて、どう考えても殺される運命しかない
だがこの人は何かがちがう 普通の人間…と呼べるかは不明だが、他の人間とはまた違う雰囲気を出している
何度も死地に向かっては生きて帰ってきた…そんな感じの覇気を感じる!
a meverickはそんな視線を気にもせず上官に睨みつけた どうせよからぬ事を考えてるとわかっていたからだ
隣には艦娘を控えさせている 俺と話しをするときはいつも二人っきりで話しをするはずなのに今回は違う
俺はもう艦娘と話しもしたくないのと昔の性格と違って今は荒くれているから上官自身も俺に艦娘を近づけさせなかった
なのに今回は軽空母を横に控えさせている 嫌な予感しかしなかった…
上官 「…おぬし 南我原鎮守府の情報は聞いてるかのう?」
a meverick 「南我原鎮守府?…たしか そこの提督は仕事しないことで有名だったよな」
a meverick a「だけど今指揮官がかなり少ないから辞めさせられずに特殊単独行動隊に入れたって聞いたが」
上官 「そうじゃ あのバカを構成させて再び指揮官に戻すんじゃ 罪はないからやる気さえ戻ればすぐ復帰する」
a meverick 「いや戻るわけねぇだろ やる気がなかったから現状に至るんだろ?やる気があったらこんなことにはならない」
a meverick 「そんなやつ構成させてる暇があるならさっさと首切らせて新しいやつ見つけりゃいいだろ なんでんな面倒なことすんだか」
上官 「そうじゃのう 新しい指揮官をつけなければいけないのう だからおぬしを呼んだんだが?」
a meverick 「」ガシャーンッ!!!!バタ-ンッ!!… 上官の机を蹴りで真横に吹っ飛ばして室内をしっちゃかめっちゃかにする
瑞鳳 「(…掃除 大変だなぁ)」
上官 「いつも以上に激しいのうa meverick さすがに机をひっくり返されるとは思わんかった」
a meverick 「…おい 俺を呼んだ要件を言ってみろ 返答次第ではぶっ殺す!!」ギロッ
上官 「………」
a meverickから鋭い眼光を向けられるが上官は顔色ひとつ変えず平常心を保っていた
脅しや拷問などなんかに臆することない上官からしたら眼光のひとつなんともない それにこの者が本気で殺しにくるとはないとわかっていたからなおさらだ
…まぁ 半殺しぐらいにはされるかもしれないが
上官 「…a meverick お主、南我原鎮守府の提督になれ」
a meverick 「」ダァンッ!!!!
あまりの怒りにa meverickは床に割りと本気で足を踏み込んだ 踏み込んだと同時に床からミシィッ!!っと音がして悲鳴をあげた
悲鳴をあげた後に本部全体がグラグラと震度1か2程度の揺れが生じた(生まれた) ありとあらゆるもの設備や本部に所属する艦娘や憲兵、管理してるものたちが集まう 建造物自体もかなりの面積でそう簡単には崩壊しないよう特殊な構造にされている建物が悲鳴をあげて全体的に揺れた…
これにはさすがの瑞鳳も目を開かせて驚いた これは瑞鳳に限らず、だれがどう見ても驚くだろう
テーブルを片足で完全にぶっ飛ばし、踏み込んだと同時に床が悲鳴をあげさせ さらに本部基地が全体的に揺れた…もうこれは人間ではない 艦娘である瑞鳳でさえできないことをこの男はやってのけた
…だが上官は顔色ひとつ変えずa meverickを見つめた ここまでのことを目の前でされて微動だにしない上官にも瑞鳳は驚いた
どれだけの肝が座っていればそんな平然としていられるのか…上官も人間ではないんじゃないかと疑い始めた
何事もなかったかのように上官は話を進めた…
上官 「…秘書官じゃが、隣にいる瑞鳳を付けよう その他にも必要なら至急集める」
a meverick 「おい 話し進めてんじゃねぇよ だれがなるなんて言ったよ?」ギロッ
a meverick 「勝手に決めんじゃねぇよ 俺はならねぇって言ったよな 人の話聞いてなかったか?」
上官 「今回は言うこと聞いてもらうぞ 上官命令じゃ」
a meverick 「んなもん聞くわけねぇだろうが 誰がてめぇの言うことなんか聞くか」
a meverick 「命令無視なら反逆罪で捕まえるか?なら俺は大歓迎 指揮官になるぐらいなら豚小屋に突っ込まれてた方がよっぽどマシだ!」
上官 「お前さんを牢屋に入れたところで脱獄されるのが目に見えてるわ あんな貧弱な鉄格子ごとき指一本で折れるだろうに」
a meverick 「いやさすがに指一本じゃきついわ 最低でも二本は必要だ」
瑞鳳 「(えっ指二本ならいけるの?普通の人間がたった指二本で鉄格子を折るなんて不可能だと思うんだけど)」
上官 「だがお前さん 今牢屋に入って脱獄なんてしたら探索の方はどうなる?いろんな者から追いかけられながら探索するのはきついんじゃないか?」
瑞鳳 「……探索?」
a meverick 「邪魔してくるやつは全員排除しながら探す 俺の邪魔をするなら容赦しない」
a meverick 「例えそれが艦娘だったとしても容赦はしない 沈める気でやる!!」
上官 「…ほんとにできるのか?艦娘思いのお前さんに」
a meverick 「…やってやるよ 場合が場合ならな」ピクッ
瑞鳳 「(…? 今一瞬、躊躇いが……)」
上官 「…そうか まぁお前さんがそんなことするとは思えないから今は適当に流すとしよう」
上官 「瑞鳳は軽空母の中でもかなり優秀でな 探索はもちろん、制空権を取るのも瑞鳳ひとりで十分な実力を持っている」
上官 「捜索をするならそれに特化したものがいるとより捗るんじゃないか?ひとりで探すよりふたりで探すほうが効率的だろう」
a meverick 「………」
a meverickは悩んだ。たしかに効率的に考えれば人数が多い方がいい それが軽空母や正規空母ならより捜索範囲が広がる。
それに捜索中に深海棲艦に襲われたとしても仲間が多い方がすぐに倒せて捜索時間のロスを短縮できる。一分一秒と時間を無駄にしたくないから仲間が増えることに関しては賛成だ
…だが、今さら艦娘を使うことをするのか?今まで艦娘とはもう関わりたくないと思い 距離を離していたのに、また距離を詰めようとするのか?
もし詰めて前みたいに艦娘がいなくなったらどうする?もう二度とあんな思いをしたくないから艦娘から逃れるように単独行動隊に入ったのに…またそれを繰り返すのか?
……いいや したくない もう艦娘を使うことはしたくない…一度ならず二度も大切なものを失ってるんだ 三度目なんて起きたくない
a meverick 「………」
上官 「…どうだ ひとりで探すよりふたりで探した方が良いだろ?もし指揮官になってくれるなら仲間を送るが」
a meverick 「……たしかに空母を使えば探せる範囲が広がるかも知んねぇな 俺ひとりじゃ限度がある」
上官 「それじゃ…」
a meverick 「だがいらねぇ 俺はもう艦娘を使うことはしたくねぇんだ いくら使えるやつでもいらねぇ」
a meverick 「艦娘はいらねぇが南我原の指揮官にはなってやるよ 特別単独行動隊だからとくに制限とかないが妖精に俺の装甲をこまめに見てもらいたい」
a meverick 「それなりの設備がある方が妖精的にも助かるだろうからそれ目的でいいならなってやるよ どうすんだ?」
上官 「妖精だけ利用するのは構わんが…お主が留守にしてるとき攻められたらどうする?妖精は戦闘員じゃないからやられるぞ」
a meverick 「っ…」ウグ…
瑞鳳 「(たしかに妖精だけじゃ留守は任せられない これで憲兵を付けたとしても深海棲艦と対抗はできないからどうしても艦娘を使わないといけない)」
瑞鳳 「(艦娘を使いたがらないこの人には使わざる得ない選択 妖精だけを使うにしても最低限の設備しか備え付けられてない単独行動隊管理所では限度がある)」
瑞鳳 「(かといって設備が整ってる他の鎮守府やここまで持ってきて見てもらうわけにもいかない 自分の換装を見てもらうなら鎮守府の指揮官になって艦娘を雇うしかない)」
もはや選択肢はひとつだけ 複数あるように見えて本当はひとつだけ…a meverickは完璧に罠にハマった
今さらやっぱりやめるとも言えない 言ってもいいんだが、装甲の調整などを見てもらえなくなるのは痛い 今まで自分でやってもいいのだが、最低限の設備では限度がある かなり使い込んでるからそろそろ細かく調整をしたい
それをするには妖精の力やちゃんとした設備がないとできない だからここで断るわけにはいかなかった
艦娘を雇う…そうしなければ、俺が捜索に出てる間に襲われたら一瞬にして崩壊してしまう それは絶対にしてはいけない!
ならどうすればいい?雇いたくないが雇わざる得ない 艦娘の代わりに憲兵置いたところで深海棲艦と対抗できないから変わらない となると打開策は……
a meverick 「………」
上官 「…どうすんじゃ?艦娘を雇わなくても構わないが鎮守府は守ってもらわんと困るぞ」
上官 「お主だって設備や妖精を失うのはいやなはずだ 失いたくないなら最低限の艦娘は置いた方が良いと思うぞ?」
a meverick 「……っち おいそこの軽空母」
瑞鳳 「瑞鳳です なんでしょう」
a meverick 「おまえは俺と一緒になりてぇと思ってんのか?俺みたいな性格悪くてすぐ手が出るやつなんかの下に着きたいと思うか」
a meverick 「正直に答えろ いやなら嫌と言え こんなバカの命令なんざ聞かなくてもいい」
瑞鳳 「……たしかに着きたいかと言われたらいやですね 性格悪くてすぐに手が出る方が上司になるなんてごめんです」
a meverick 「だろ?なら…」
瑞鳳 「ですがいくつか引っかかる点はあります」
瑞鳳 「性格悪くてすぐに手が出る方がなぜ自ら単独行動隊に入ったのかが気になります 艦娘に手を上げて入れられたのならわかりますがあなたは自ら入った」
瑞鳳 「上官から罪にはなってないがやってはいけないことをしたから入隊したと話を聞いています ご自分の罪を償うために自ら入隊するような方がほんとに性格悪いんでしょうか?」
瑞鳳 「性格を悪くさせてるのは艦娘があなたに雇われて欲しくないと思わせるために、そういう態度をとって遠ざけようとしてるようにも見えます」
瑞鳳 「先程艦娘を使いたくないと仰ってましたよね 今あなたの部下になりたくないだろとも言ってましたので、それなら筋が通ります」
a meverick 「っ…」タラー…
この子の感は鋭い すべてが見透かされてしまった
なぜこの艦娘はここまで俺の考えを読み取れる?初対面なのにありえない
この子は只者ではない a meverickはそう思った
…だがまだこの子が俺の所に着きたいとは言ってない 性格を悪くさせてることがバレたとしてもまだ断らせることが出来る!上官の命令を聞かせないためにも早く断らせないと……
瑞鳳 「…まぁいいでしょう おそらくあなたは優しい方だと判断します 過去に何があったかは知りませんがとりあえずそれもいいでしょう」
瑞鳳 「あなたの元に着きます 今日からよろしくお願いします」
a meverick 「っえ あっ…あぁ よろしく」
a meverick 「(おっ遅かった……)」
上官 「よし これで着く艦娘は決まったのう すまんが頼むぞ?瑞鳳」
瑞鳳 「はい わかりました」
上官 「a meverickもいいな?」
a meverick 「…はぁ あーわかったよ 着かせりゃいいんだろ?着かせりゃ 了解しましたよー」
上官 「その言葉を待っていた!ではさっそくこれに着替えてくれ」ゴソゴソ…ガサッ 座っている椅子の後ろから指揮官の服が入った紙袋を差し出す
a meverick 「んだよこれ 海軍指揮官の服か?」ガサガサ…パサッ
上官 「そうだ 指揮官になるならその服装に着替えてもらわねばならん 単独行動隊のワッペンが付いた服で指揮を執るわけにはいかん」
a meverick 「誰がさせたと思ってんだ…この服突っ張って動きにくいんだよ 海上走る時とか最悪だし、なにより白生地だから汚れ目立つし」
a meverick 「焦げた跡なんてもろ見えるから一回着ただけでダメになるんだぞ?こんな服より黒い服がいいんだが」
上官 「いや出撃のときに着ていこうとするなよ その時は私服で構わん」
上官 「あとその服高いから汚さないよう気をつけるんじゃぞ?ダメにしたらかなり真面目に困るから」
a meverick 「えっこの服高いのか?こんなペラッペラな生地で」
上官 「高いに決まってるだろ そんじゅそこらの材質で作られてるわけじゃないからな?」
a meverick 「んだよマジかよ こんな着にくくて動きにくい服が高いのかよ 過去に指揮官やってたときは気にしないで何十回も破ってたが」
上官 「元帥に頼んで何着も用意したからな お前さんがよく破ったり焦がしたりするから事前に作ってもらってたんじゃ」
a meverick 「へー そうだったのか じゃあ着替えてくる」タッタッタッ…ガチャッ
上官 「ちょっ他人事のように…てか勝手に人の部屋入るな 一言いってから入れ」
a meverick 「知るかアホ お前が無理やり指揮官にしたんだから着替えぐらいさせろ」タッタッタッ…バタンッ
上官 「いや言えと言っただけでダメだとは一言も……」
上官 「…はぁ 頑固でめんどうなやつじゃ 何度も説得してやっと聞いてもらえたわい」ハァー…
上官 「すまないな瑞鳳 お前さんまで巻き込んでしまって」
瑞鳳 「構いません それよりもなぜあの方をここまでして指揮官にさせたかったんですか?」
瑞鳳 「暴力的で口がかなり悪い指揮官なんてだれもつきたくないかと思いますが わたしは命令で仕方なく了承しましたが」
上官 「…そうじゃのう たしかに口が悪くてすぐに手が出るかもしれん だがあやつをどうしても指揮官に戻したかったんだ」
上官 「指揮官の才能としてはトップクラス…いや、もはやトップに立っている 現在の最高指揮官と呼ばれている者たちとは比べ物にならないくらいにな」
上官 「今起きてる最悪の事態を沈めることだって可能かもしれん 他のものならゼロなのにな」
瑞鳳 「っ…」ピクッ
上官 「…わかってるだろう?お前さんなら 今起きてる騒動のこと」
上官 「あやつは性格や口は悪いが根はいい奴じゃ さっきは指揮官になりたくない、艦娘を使いたくないからとった行動だけであって実際にはあんなことはしない」
上官 「まして艦娘相手にはしないじゃろ 今回はわしにぶつけるためにわざと目の前で見せてたが手を出される心配はせんでもいい」
瑞鳳 「…別に心配してませんよ むしろ出されたらやり返せばいいだけです」
瑞鳳 「【私を誰だと思ってるんですか?元々、横須賀鎮守府に所属してたエースですよ】」
瑞鳳 「いくら単独行動隊に入ってたからといって人間が艦娘に勝てるわけがありません やれるもんならやってみて欲しいもの…」
上官 「あやつは鬼級の深海棲艦を何十体という数でまとめて奇襲されてもたったひとりで倒すほどの腕を持ってるぞ おまえさんひとりじゃ話しにならん」
瑞鳳 「……っえ」
たかが人間ひとりだけで何十体もの数の鬼級を倒した…?そんなのありえない 瑞鳳はそう頭の中で過ぎり否定した
鬼級の強さは誰もが知っている。駆逐艦の鬼級でさえかなりの強さを持っている 鬼級相手に艦娘単体では自殺行為に等しい
それをたったひとりで、尚且つ複数体相手して倒せるなんて…元横須賀鎮守府エースの私でさえ不可能だ!確実にやられるのが目に見えてる
たかが人間…そんなことができるなんて、ほんとに人間……?
ありえないと思っていると上官の部屋の扉が開き、着替え終わったa meverickが出てきた……だが、
a meverick→提督 「………」マッシロー
瑞鳳 「………」
上官 「…似合わんな 相変わらず」
提督 「うっせーよ!自分でもわかってるよ!白い服似合わねぇことはよ!!」
提督 「だからいやなんだよ白い服わよ 似合わねぇし汚れ目立つしすぐダメになるし」
上官 「すぐダメになるのはお前さんの使い方次第じゃ…」
提督 「やかましいわ」
上官 「それとお前さんの勲章じゃが…」ゴソゴソ…バタンッ 床に置いてあったスーツケースを机の上に置く
上官 「いるか?」カチャッ…パカッ
スーツケースの中 「「」」ズラッ!!!! 綺麗に敷きつめられた勲章が神々しく光照らしている
瑞鳳 「(多っ!!?えっうそでしょ!?元提督よりはるかに多い…このひと、階級なに!?)」
提督 「いらねぇよそんなゴミ そんなもんぶらぶらぶら下げてたらじゃまでしかねぇ」
提督 「適当に捨てといてくれ もしくは鉄くずにでも出して売っとけ」
上官 「てっ鉄くず…お前さん、これ鉄で作られてないからな?銀や金で作られてるからな」
提督 「へーそうなんだ まったく興味ない」キッパリ
上官 「いや興味ないとかの問題じゃなくてだな…」
上官 「…じゃあせめてこれは付けておけ 階級証明は必要じゃろう」スッ
瑞鳳 「っ!!」
瑞鳳 「(この階級…うそでしょ 海軍大将!?)」
瑞鳳 「(このひと元提督と一緒の階級なの!?上官と一緒の階級だなんて…)」
提督 「…長く行方をくらましてた俺にまたこれを渡すのか?今の指揮官とは面識ないからこの階級はまずいじゃないか?」
提督 「特別扱いだの飛び級で入っただのと言われるとめんどうだぞ まぁ俺なら文句言ってきたヤツらをぶっ飛ばすけどな」
上官 「絶対やめろよ そんなことでいちいち指揮官がケガして指揮を取れなくなったら洒落にならん ただでさえ指揮官は少ないのに…」
提督 「俺には知ったこっちゃない 指揮官が少ないのはお前や元帥のバカが雇ってないからだろ?少ないと思うなら増やせばいいのに」
上官 「そう簡単に言うな 新米を雇うにしてもいろいろと面倒なんじゃぞ?才能があるか問題を起こさないかなど全て調べなくてはならん」
上官 「…ならなにも付けないでおくか?それはそれで問題あるが大将以下の階級をつけるわけにもいかんし」
提督 「別にそれでも構わねぇよ 階級がわからない相手にいきなりタメ口を聞くやつもいねぇだろうしな」
提督 「まぁタメで偉そうにしてる奴だったらぶっ飛ばすまでだ もしくはぶっ殺す!」ケケケ!!
上官 「……マジでやめろよ?お前さんが敵になったら冗談抜きで洒落にならん」
提督 「なら俺に生意気なことを言わないことだな 全指揮官に気をつけるよう言っときな」
瑞鳳 「…あっあの!」
提督 「んっ?なんだ」
瑞鳳 「…提督は、前はどこの鎮守府だったんですか?」
提督 「前?…別にどこでもいいだろ なんでそんなことを聞く」
瑞鳳 「私も過去、別の鎮守府に所属してたんですがワケあって本部に移動が決まったんです」
瑞鳳 「前の鎮守府では秘書を務めていたんですが提督のことを聞いたことがないんです 深海棲艦と戦う指揮官なんて珍しいですから耳にしてもおかしくないと思うんですが…」
提督 「…お前はいつ建造されたんだ?もし四年前ぐらいなら俺の情報は出回ってないはずだ」
瑞鳳 「…ちょうど四年前ぐらいです」
提督 「じゃあ俺の情報はなにもないはずだ 誰かが漏らしてない限り知ることはない」
提督 「俺が指揮官をやめたのは四年前ぐらいだからちょうど入れ替わりだったんだろ タイミングが悪かったな」
瑞鳳 「漏らしてない限り知ることない…」
つまり口外してないということ、瑞鳳はすぐに理解した それなら情報が回ってくるはずがない
さらに先程、今まで行方をくらましていた海軍大将が現在の指揮官と面識がないと言ってたことからほぼ間違いない その前から就いている指揮官なら面識はあるだろうがなにか理由をつけて誤魔化しつつ口外させていないだろう
海軍大将が単独行動隊に入ったなんて知れたら一気に波紋が生まれる ましてトップに立っていたならなおさらだ!
いくら特別が付いていたところで単独行動隊には違いない そんな情報が出回ったらどうなることか…
もしその情報が今出回ったら……波紋が生まれた隙を突かれて【反乱軍に!!】
瑞鳳 「ーっ…」ギリッ…
提督 「…? どうした 眉間にしわ寄せて」
瑞鳳 「…なんでもありません 気にしないでください」
提督 「?」
上官 「あっそれともうひとつ伝えるの忘れてた」
提督 「んだよ まだあんのか?早く言え」
上官 「艦娘もうひとり派遣しといたからその者のこともたのむ」
提督 「……っは?」
瑞鳳 「もうひとり派遣したって…一体誰をですか?」
上官 「東我原鎮守府に所属する金剛型一番艦 戦艦金剛じゃ かなり前からa meverickが戻ってきたら移動させるよう言っといたんじゃ」
上官 「かなり渋られたが…まぁわしの権限で無理やり通した 感謝しろよ?お前さんのために練度の高い艦娘を用意したんだからな」
提督 「いやなにしてんだよお前!?他鎮守府の艦娘を引き抜いたのか!?」
提督 「バカだろおまえっ!本部を仕切る者としてどうかしてるぞ!!自分の権限を使って職権乱用するとかマジでありえねぇぞ!!そりゃ渋られて当然だ!!」
提督 「これがもし俺ならぶん殴ってぶっ殺してるぞ!それぐらいのレベルでとんでもねぇことしてっからな!!」
上官 「めんどうごとになったらあとよろじゃ!」d('∀'*)
提督 「ーっ…てめぇ マジでぶっ殺してやろうか?」ピキピキツ
上官 「だがよく考えてみろ 瑞鳳ひとりでは寂しかろう?いくら妖精がいるとはいえ、話が合うものがいなくては会話は続かん」
上官 「お前さんと話せと言うのも酷な話だ 十中八九あっそで終わらすだろ」
提督 「もちろん 艦娘と話すことなんてないからな」キッパリ
上官 「……瑞鳳 金剛のことをよろしく頼む」
瑞鳳 「…あまり任されたくないんですが 確実にめんどうごとになりますよ」
上官 「そしたらa meverickがなんとかする 心配するな」
提督 「お前撃ち殺すぞ」スチャッ 腕に装備してる機銃を突きつける
上官 「撃ち殺すなら深海棲艦だけにしとけ その機銃じゃ殺せんがな」
提督 「…揉め事になったらてめぇ使うからな 覚えとけよ」
上官 「かまわんよ 必要な設備や資材などほしかったら電話してくれ すぐ取り寄せる」
提督 「言われなくてもそうする いくぞ瑞鳳」
瑞鳳 「はい」
タッタッタッ…パタンっ
上官 「………」
上官 「(数日間は必要なものを調べるために時間を作った方がいいな あやつの事だから着いたらすぐ調べるだろ)」
上官 「(資材は全部こっちで用意するとして その後は軽めに出撃命令出すか…だがあやつの事だからおそらくひとりで行こうとするはず、艦娘を使いたがらないからな…)」
上官 「(そこで瑞鳳と金剛を移動させたがあ奴らなら来るなと言われてもついて行くはず…それで少しでも多く艦娘と一緒にいさせて昔のような性格に戻ればいいんだが)」
上官 「……もっとも あの者が生きてたらこんな手間のかかることをしなくても良かったんだがな あの者が生きていれば…あやつもこんなことにはならなかった」
上官 「未だに信じられん あやつの嫁艦がやられるなんて想像もつかん 他の鎮守府に属してる全種の艦娘が総攻撃しても半数はやられるぞ」
上官 「そんな奴がやられるなんて…一体どんな深海棲艦にやられたんだ 鬼級や姫級でもあやつを倒せんぞ」
上官 「a meverickが最後に記録した報告書によると謎の深海棲艦にやられたとか書いてあったが謎の深海棲艦とは……?」
他の鎮守府から謎の深海棲艦が現れたという情報はない 細かい情報はあるが意味不明としかいいようがない情報だけ
ひとつの艦種が戦艦、重巡、軽巡、駆逐、雷巡、潜水、空母装備全てを積んでいるという情報…そしてえらくとんでもなくでかいらしい
a meverickも直接見たわけではないため、どのような深海棲艦かわからないがその者が伊19を沈めたらしい
a meverickは伊19を探すと同時にその謎の深海棲艦も探している…おそらく、いや 伊19を沈めた深海棲艦を殺す気で探しているのかもしれない
いくら深海棲艦に優しいあ奴でも最愛の者を殺されたのだ 見つければ確実に仕留める気で戦うだろう…
……わしはあ奴が深海棲艦に優しくしてることはなにも言わない なにも言う気はない むしろそうしてくれることによって戦争を終わらす終止符に繋がる事を祈っている
元帥も同じ考えである 深海棲艦が戦うことなくなれば、わしら海軍は艦娘を使わずに済む わしらも深海棲艦を倒したくて倒してるわけではない 向こうが攻撃してくるからやむ得なく抵抗している
わしも今の立場を手に入れる前は前の元帥に無理難題を押し付けられたものだ 昔のわしもa meverickと同じく、深海棲艦と共存を望んでいた
だが前元帥はそれを望まず、むしろ始末する方向で皆に指示していた 反逆すれば首を切られ単独行動隊に強制送還される…
元々、単独行動隊という犯罪者組織は前元帥が作り上げたもの 指揮官で犯罪を犯した者は悪さの度関係なく入れさせられ、片道分の燃料を入れた人間用の換装…主にジェットブーツと7.7mm機銃一丁と刃こぼれの酷いサーベルを渡される
もちろん犯罪者に武器を持たせるのは危なかった その武器で反逆なんか起こされればたまったもんではない
だから前元帥は犯罪者たちの体内に爆弾を取り付けた!しかもひとりを殺すだけの火薬量ではなく、深海棲艦を倒せるほどの火薬量を詰め込んだのだ
その結果、単独行動隊に入れられたものたちが出撃して帰ってきたものはゼロ…当たり前だ 片道分しか燃料を入れられてないうえ武器もしょぼい そんなもので帰って来れるはずがない
それ以前に犯罪者たちに埋め込んだ爆弾のスイッチを握っていたのは前元帥だ 犯罪者を生かす気なんてサラサラない 向かって戦ってるなと思ったらそのままスイッチを押して自爆させる…
わしはそのやり方に猛反対だった そんなやり方ではいくら犯罪者とはいえ、生きる資格がないのと同じ せめて戦場に向かわせたのなら生きて帰ってくる権利ぐらいあってもいいはず
言いたかったが好き勝手に自分の権限を使って気に食わないものを単独行動隊に入れるものには言えなかった…言えてれば、わしも大事な艦娘たちを失うことはなかったかもしれない
わしは自分の立場が大きくなったときに前元帥を引きずり落として単独行動隊に入れてやった わしと同期で先に大尉になってたものを元帥にして今のやり方になった
前は深海棲艦を容赦なく潰し、艦娘をどんなに犠牲にしても構わない 必ず殲滅しろと義務付けられていた
そんな義務は真っ先に抹消して艦娘を大事に、深海棲艦とはなるべく争わずに共存を求め、ダメだった場合には自己防衛として戦闘、艦娘を道具のように扱うものはただちに罰を与えるに変更した
こうしたことによって艦娘の轟沈数が圧倒的に減った 不満の声で溢れかえっていた艦娘たちの声も大幅に減った 艦娘たちの笑顔が見れるようになった
兵器としても使うが人間と同じ間扱いもする わしや現元帥はそれを望んだ
だがそれでも自分の地位を上げるために艦娘を粗末に扱う者もいる 護衛でしか使えないと思っている駆逐艦を盾にして戦力の高い艦娘を生かし攻略する輩は今でも少なくはない
予想できない犠牲なら仕方ない その場合にはお咎めなしにする かなりの詮索はするが
だが私利私欲のために沈ませた者達に関しては許さない どんな理由であろうと即座に単独行動隊に入れさせる
そのために各鎮守府には憲兵を配属させている 鎮守府専属の憲兵たちには頻繁に艦娘との交流をするよう命じている そのときにその鎮守府の指揮官の悪いことを聞いて報告させている
……だが、そんな憲兵らもその鎮守府の指揮官と手を組んで偽りの報告をされることもある 手を組まれると悪い報告が来ないため艦娘はずっと酷い扱いをされ続けてしまう
そうなった場合にはわしが信用できる本部所属憲兵をスパイとして送り込み、艦娘たちの話しを聞いて報告させてもらう もちろん裏切り者たちの生死は問わない 他の憲兵にバレたり報告が困難な状況になったら艦娘以外抹殺許可も出している
信じて送り出したのに裏切るのが悪い 抹殺されても致し方ない
…ほんとに海軍というものは大変だ 艦娘のことを最優先で考えなければならないが指揮官のことも考えなくてはならない
こまめに休みは取らせてるつもりではいるが…まぁ指揮官に関しては多少の休みを取らせてれば問題はないだろう 戦っているのは艦娘で指揮官は作戦や執務作業だから疲労の溜まり具合は違う
上官 「…ほんとに、大変だな」
…
南我原鎮守府入口
提督 「…ここが南我原鎮守府か 意外にきれいじゃねぇか」
瑞鳳 「そうですね 外装は意外にもキレイですね 内部や他の場所もキレイだったらいいんですが」
提督 「最近まで使われてたんだからたぶんきれいだろ むしろ汚かったらここの元指揮官をぶっ飛ばしに行く」
瑞鳳 「…やめてくださいね?来てそうそう問題を起こさないでくださいね」
提督 「なぁに安心しろって!めんどうごとは全部あの馬鹿に任せればいいだけだ!」ケケケ
提督 「俺を無理やり指揮官にした罰だ それくらいの罰は受け入れてもらわねぇとな」
瑞鳳 「さすがに自分勝手すぎるかと…」
提督 「まぁいいや さっさと入るか」
瑞鳳 「そうですね 入りましょう」
…
南我原鎮守府内部ー一階通路
提督 「…なんだ中きれいじゃねぇか ぶっ飛ばしに行く口実ができなくなっちまったじゃねぇか」タッタッタッ…
提督 「この様子だと二階三階も綺麗だろうな っち!最後の最後までイラつかせるぜ」
瑞鳳 「いやキレイでいいじゃないですか なんでイラつくんですか」
提督 「汚かったらそのまま殴りに行って指揮官取り消してくれると思ったんだよ 暴行及び障害罪があれば辞めれるだろ」
瑞鳳 「上官の考え方からしてしないと思いますが」
提督 「ーっけ!」
汚かったら汚かったで殴りに行き、綺麗だったら口実ができなくなったことでイラつく…どっちをとってもろくな事じゃないと瑞鳳は思った
綺麗でなにが悪いのだろうか 私はまったく悪いとは思わない むしろ綺麗でよかった
ほんとにこの提督はひねくれた考えをしている 何に対しても否定して納得しようとしない 正直、めんどくさい
まぁ手出されたらその時は本気で歯向かうまでだ なんて言ったって瑞鳳は本部に着く前は元横須賀鎮守府のエースだった
エースである実力を発揮すれば提督だって無事じゃ済まないはず 鬼級を複数体相手にして倒したという話しはやはり信じられない とてもじゃないが人間がそんなことできるなんて…
提督 「……っん?」ピクッ
瑞鳳 「どうかしましたか?」
提督 「…ちょっと耳をすませてみろ」
瑞鳳 「?」スゥ…
いきなり耳をすませろと言われて困惑したがすましてみた とくになにも音はしないと思ったがよく聞いてみるとなにやら物音がする
まだ場所を把握してないからどこからかは断定できないがそこまで遠くない場所で誰かがなにかをしてるような音が聞こえてくる
変だ この鎮守府に着任してた艦娘たちは別の場所に移動が決まり、憲兵も全員 別の場所に派遣された…だからここは無人のはず たまに清掃員の方たちが掃除しに来るが上官からその話しは聞いていない
憲兵もまだ派遣されてないから誰もいないはず まさか泥棒?軍の施設に?
提督も誰かわからないため警戒し始めた 瑞鳳に足音を立てずに行くぞとハンドサインをして忍び足で音がする方へと向かった
提督も瑞鳳もプロ級の動きで足音どころか呼吸の音すらもかき消し、気配で感じ取ることもできないほど精細さをお互い見せつけた
これには提督も驚いた 本来、艦娘は忍び足を練習することはない 海の上で忍び足なんてしても全く意味ないし、まずできないからだ
夜間黒い服を着て常闇の中から砲撃や迷彩柄にして惑わすならするが潜入捜査に使う忍び足、息殺し、気配殺しなんか使うことがない
艦娘でありながらそれを練習してるということはなにか海軍関係以外の仕事をしているということ…艦娘なのに?
そんなことを思いながら足音を消して進んでいくと音の発生源は厨房だということがわかった 何者かが厨房で漁っているみたいだ
徐々に近づいていくにつれ、なんの音なのかがわかってきた 音的にこれはなにかを食べてる音だということが判明した
腹減った泥棒が飯食い漁ってるのか?てか無人になった厨房になにか食べ物はあるのだろうか?いろいろ疑問点が湧き上がってくる
厨房の出入口まで近寄り壁に寄り添いながら覗き込むと青と白の袴を来た女性がなにかを食い漁っていた
その姿は誰もが見覚えのある姿、青と白の特徴的な袴でサイドテールな髪型…あれは
提督 「…なんで部外者のお前がここにいる?一航戦 加賀」
加賀 「っ!」ボリボリ…
瑞鳳 「加賀さん なぜあなたがここに?てかそれなに食べてるですか」
加賀 「ぼぉひはいほへす(ボーキサイトです)」モグモグ…
提督 「食うかしゃべるかどっちかにしろ」
加賀 「………」モグモグ…
瑞鳳 「食べる方を優先するんですね…」
加賀 「…っ」ゴクンッ
加賀 「ごちそうさまでした おいしかったです」
提督 「そうか んでお前はなぜここにいる?ここのやつじゃないよな」
加賀 「はい 私は東我原鎮守府所属、加賀型一番艦正規空母 加賀です」
加賀 「金剛さんがここに移動が決まり荷物などを運ぶのにひとりでは大変だろうと思い手伝いとしてきました」
提督 「なるほどな んでここでメシ食ってるのとなにが関係あるんだ?」
加賀 「お腹すいたのでご飯食べてます 腹が減っては戦ができぬと言いますから」
提督 「今戦してねぇだろ…」
瑞鳳 「金剛さんはどちらに行ったんですか?外から見た感じ ここは艦娘寮が鎮守府と合併してる構造でしたのでおそらくこの鎮守府内にはいると思うんですが」
加賀 「司令室の隣の空き部屋に荷物を運んで整理してます 三階中央に司令室があったのでそこに行けばいます」
提督 「なんでわざわざ司令室の隣を使った?使う必要ねぇだろ」
加賀 「なんでも提督にすぐ会えるところが良いと言って選んでました 詳しくは本人に聞いてください」
提督 「あーめんどくせぇな 俺ひとりでいいのに…」ハァァ…
瑞鳳 「…東我原の提督は金剛さんの移動許可したんですか?」
加賀 「上官命令で仕方なくしました まさか上官がそのような命令をしてくるなんて思ってもいませんでした」
加賀 「絶対に取り戻すとも言ってたのでおそらく喧嘩売ってくるかと思います」
提督 「だろうな 俺はいらねえって言ったのに」
加賀 「そうだったんですか?では完全に上官の独自の判断ですか」
提督 「そうだよ あのバカが勝手に俺の鎮守府に配属させたんだ 瑞鳳もそうだが無理やりな」
加賀 「……一応、わたしの方の提督にその事を伝えときますがあまり期待しないでください 話しを聞いてからすぐ戦闘準備してたので」
提督 「完全に戦争起こす気じゃねぇか…まっ俺でもそうするがな」
瑞鳳 「あまり騒ぎを起こさないでくださいね」
提督 「むちゃくちゃ言うな 元凶はあのバカなんだからあいつに言え」
提督 「あーめんどくせぇ…とりあえず金剛のところに行くか 俺の顔見れば出ていくだろ」
瑞鳳 「顔だけで出ていくとは思えませんが…」
加賀 「私はもう少しここにいます まだお腹すいてるのでもう少しご飯を…」
提督 「てめぇも来い大食らい これ以上ここのもの食うな」
加賀 「でもお腹すいたので…」グゥー…
提督 「……っち わーったよ!なら金剛のところに行ったら飯作ってやるから着いてこい!」
加賀 「わかりました!」
瑞鳳 「即答…現金な方ですね」
提督 「あーなんでこんなめんどうなことに…」ブツブツ…
…
提督室の隣ー金剛の部屋
金剛 「ふんふふーん♪これはここで これは…ここデスね!」カチャカチャ… いろいろな食器や家具を各場所において設置してる
金剛 「今日からここで活動するから身の回りのものはちゃんとしないといけないデース!」
彼女は金剛型戦艦一番艦 金剛 元気溢れる性格で常にポジティブ 落ち込むことを知らない艦娘
今回上官命令で移動が決まりここへ着任してきた 急に決まったためお別れ会などができなくて残念だったが会いに行けない距離ではないためまだよかった
新しい生活が始まる一方、ここの提督がどんな人なのかまだ把握していない 上官からは優しい方だとは聞いたけど顔も知らないため正直不安がある
目つきが悪いことを気にしてるからあまり目のことは言わないようにとも言ってたけど…一体どんな顔をしてるのか まったく予想がつかない
部屋の整理をしてるとドアからノック音が聞こえてきた
コンコンっ
金剛さん 今いいでしょうか
金剛 「っん?その声は加賀デスね いいですよ!どうぞ入るネ」
ここの提督と瑞鳳も一緒なんですが
金剛 「提督もデスか?いいですよ まだ挨拶してなかったからちょうどよかったデース」
では失礼します
ガチャッ
加賀 「南提督 この方が東我原鎮守府から来た金剛さんです」
提督 「…お前が金剛か」ギロッ
金剛 「ひぇっ…」ヒュオ…
金剛 「(めっ目つきパネェデース 一瞬殺意を飛ばされてるのかと思ったネ…)」
金剛 「(これで優しいんデスか?とてもそうには見えない…)」
瑞鳳 「提督 金剛さん怖がっています もっと目を柔らかくしてください」
提督 「えっこれ普通なんだが…」
加賀 「えっそれで普通なんですか?先程よりと目つき悪くなってますが」
提督 「…柔らかくしたつもりだったんだが」ズーン…
瑞鳳 「(…それで?)」
金剛 「…えっと、私は東我原から移動してきた金剛ネ よっよろしくデース!」ギクシャク
提督 「…怖いか?」
金剛 「はい怖いデスっ!!」キッパリ
瑞鳳 「ちょっ金剛さんさすがにド直球すぎ…」
提督 「安心しろ 自分でもわかってる」ハァ…
提督 「だが安心しろ 取って食ったりしねぇから」
金剛 「ほんとですか…?」
提督 「信じる信じないはお前次第だ 俺が決めることじゃない」
提督 「それで金剛 今お前腹減ってるか?」
金剛 「へっ?えっと…まぁ 多少は減ってるネ」
提督 「なら今から飯にするぞ この大食らいが腹減ったとうるさいから」
加賀 「早く食べたいです」
金剛 「…あいかわらずデスね」
瑞鳳 「…あの、提督 失礼なこと聞きますが提督って料理出来るんですか…?」
提督 「ほんとに失礼だなお前 悪いが見た目に反して料理は得意な方だ むしろ過去に研究してたぐらいだ」
瑞鳳 「えぇっ!!?研究する程だったんですか!?」
提督 「てめぇぶっ飛ばすぞ 意外でもそこまで驚かれると殴りたくなるわ」
瑞鳳 「あっすみません…」
今のは完全に失礼だった 誰がどう聞いても同じであろう
見た目が見た目だから料理はおろか、家庭的なことはできないであろうと思っていた 明らかに戦闘民族なのにそんなことほんとにできるの?と思ってしまった
…いや待てよ?できると言ってもまさかゲテモノではないだろうか 自分は食べれて他の人は食べれないようなものじゃないだろうか?
研究してたにしても自分で美味しいと思えるならそれでいい 誰か他の人にも食べさせていたならともかく、見た感じ誰かと一緒につるむような人じゃない
となると研究結果が出たとしてもそれは自己評価のみ 他人からは出ていない…そうなるとやっぱり美味しさはわからない!
やっぱりまずいのでは……?
提督 「おい早く行くぞ あいつらさっさと行っちまったぞ」
瑞鳳 「…っえ あ、はい!今行きます!!」
瑞鳳 「(不味くないことを祈る!!)」タッタッタッ…
…
食堂
提督 「……なぁ加賀 今思ったんだが食料ってあるのか?お前確かめてたよな」タッタッタッ…
加賀 「はい 食料は少しでしたがありました まだ真新しいものだと思うものが冷蔵庫に入ってます」
瑞鳳 「…なんで入ってるんでしょう この基地使われなくなってからそれなりに経ってますよね?」
金剛 「きっと上官さんが入れてくれたんデース!最低限なにか作れるようにと用意してたんだと思いマス!」
提督 「あいつがそんな気使えるやつだったかなぁ?まぁいいか とりあえずなにがあっかな」
提督は冷蔵庫になにがあるのかを確かめるために厨房に足を向けた 瑞鳳も確認するために一緒に向かい、加賀と金剛は席につき料理ができるのを待つことにした
冷蔵庫の中にはまだ鮮度が生きてる野菜や魚、それなりに値段が張る肉が入っていた お米も電子レンジで炊けるタイプの物が入っていたためすぐ飯にありつけることが判明した
今から炊飯器でご飯を炊くとなるとかなり時間がかかるためパックのご飯があるのは非常にありがたい 上官にしては気が効いてる
…だが、加賀がこれだけで足りるとは思えない 一応十パックほど入ってるが確実に足りるわけがない まぁ足りなくてもないものは仕方ない これだけ食わせて後はしらん
てかなんで冷蔵庫にご飯パック入ってんだよ 普通常温保存じゃないのか?まぁ保存方法なんてどうでもいいか 腐るわけじゃないし
とりあえずあるもので簡単に作るが加賀がいるため多めに作らないといけないため時間がかかる 非常に面倒だ…
そんなことを考えていると隣にいた瑞鳳が声をかけてきた
瑞鳳 「提督 私も手伝いますよ ひとりでは加賀さんのご飯を作るの大変でしょうし」
提督 「あっ?別にいいよ みんな同じ量で作るから」
提督 「足りなくても作ったやってるだけありがたく思わせる しつこかったらぶん殴る」
瑞鳳 「女性に手を出すのはどうかと思いますよ まして指揮官の身でありながらそのようなことすれば印象が悪くなりますよ」
提督 「悪くなって結構!それで指揮官辞めれるなら万々歳だ!」
提督 「むしろそれで首切られるならやってるがな!あいつの事だから手出しても首飛ばさないだろうが」
瑞鳳 「それは=提督が艦娘に手を出さないと思ってるからじゃないですか?現に手を挙げてればさすがに上官だって考え直すかと」
提督 「どうだか?あいつのことだから首切らせないでそのままやらせてると思うぜ どんなことしても首にはしないさ」
瑞鳳 「そうなると提督はずっと指揮官やらないといけませんね ずっとやるとなると苦痛でしかないでしょう」
瑞鳳 「辞めたがってるのに辞めれないのはさぞ嫌でしょう 椅子に座らされたまま縛られて動けなくなるなんて嫌ですよね」
提督 「………」
全て裏を読んで返してくる。もうこの時点で瑞鳳がかなり頭回ることが判明した
俺の弱みを握って言い返してくるためなにも言えない これでなにか言い返してもまた弱みを握られ言われるのがオチ
かなり厄介な艦娘が着任しちまったもんだと改めて思った この様子だと脅しを入れても絶対に効かないだろう
瑞鳳 「提督は炒め物をお願いします 私は味噌汁やサラダなどを作るので」ガチャガチャ…
提督 「いやだから手伝わなくていいって…」
瑞鳳 「一人より二人、二人より三人ですよね?早く作って食べますよ」ジョボー…
提督 「…わーったよ(こいつ苦手だ…)」
…
数十分後…
提督 「おら出来たぞ」タッタッタッ…カチャカチャ
瑞鳳 「お待たせしました」コトコトッ
金剛 「WOW!いい匂いデース!味噌汁の香りがすごくいいネ!」
加賀 「チンジャーロースに鯖の味噌煮、サラダとわかめの味噌汁 卵焼き……美味しそうです」ジュルリ
提督 「足りなかったらまだフライパン中に入れてあるから適当に食え それでも足りなかったら知らん」
加賀 「わかりました それではいただきま」
提督 「まだ俺たちが席ついてないだろ 席着くまで待て」コトコトッ
加賀 「…けっこう厳しいですね みんなで頂きますしないと怒る方ですか?」
提督 「別にそういうわけじゃないが俺達もすぐ食べんだから少しくらい待っててもいいだろ」スゥ…ストンッ
瑞鳳 「提督の言う通りですね ご飯はがっついて食べるものではありません ゆっくり食べてよく噛んで消化良くした方がいいです」
加賀 「早く食べたいです…」
提督 「今は並べてるから待ってろ すぐ終わる」コトコトッ
食事を各自の元に並べ終わると提督と瑞鳳は席に着いた 広い食堂にぽつんと一席四人で座るとやはり寂しい感じがする
本来なら大人数で食べるはずの場所が今は四人しかいないため無駄に広く感じる 昔はみんなで話しながら食べてたことを提督は思い出した。
…だがもう昔のこと、今と昔は違う もう昔には戻れない なにがあっても……
もう我慢できなかったのか加賀は一番初めにいただきますと言ってみんなも後に続いた
みそ汁はバキュームカーのように吸い飲み終わると目の中に星が見えるような輝きを放った あまりにも美味しかったのかすかさず他の料理にも手を出し瞬時になくなった
他の料理も美味しかったのかクールな加賀の顔は蕩けきった顔でにこにことしながら美味しそうに頬張った あの加賀がここまで蕩けきると提督も悪い気はしなかった むしろ嬉しい
金剛もかなり美味しかったのか発狂した ゴジラのような声で美味しいデースと叫んだ かなりうるさかった 正直こいつに喜ばれても嬉しくねぇ
瑞鳳は…黙々と食べて礼儀正しくしていた 意外にもおとなしくひとつひとつの仕草から丁寧さが感じられた
瑞鳳の作って卵焼き…こいつの料理も見てて思ったがかなり手馴れてる 俺と一緒で前のところで料理をしてたのだろう じゃなきゃこんなにも上手く巻けない
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