東方宴会劇 1章 ミッションNo.495〜主の気の召す宴会を〜
あらすじ
みんなで宴会しようぜ
注意点
東方Projectの二次創作です。原作設定との乖離やキャラ崩壊が見受けられるかと思いますがご了承ください。以上の点をご理解頂いたうえで読んでいただけると幸いです。
一言
本当はもっと百合展開を書きたかった。
では、参りましょう。
〜紅魔館・レミ部屋〜
チュンチュン
レミリア「うぅ…、やっぱり朝は苦手だわ…。」
レミリア「咲夜ー。」
ガチャ
咲夜「失礼します。おはようございます、お嬢様。」
レミリア「おはよう、咲夜。」
咲夜「お嬢様、紅茶の準備が出来てますけど、いかがですか?」
レミリア「えぇ、いただくわ。」
咲夜「では。」
パチッ
咲夜「どうぞ、ハーブティーでございます。」
レミリア「ありがとう、咲夜。」
レミリア「スゥ」
レミリア「うん、美味しいわ。いつもと少し違うけど。」
咲夜「はい、カモミールを少し添えてみました。いかがでしょうか?」
レミリア「いいわね。好きよ、これ。」スゥ
咲夜「お口に合って何よりです。」
レミリア「ねぇ、咲夜。何か面白いことないかしら?」
咲夜「面白いこと、ですか?」
レミリア「そう。最近なんか暇でね、こう、イベントみたいなのがあるといいのだけど。」
咲夜「そうですねぇ…。」
咲夜「あ、そういえば明日宴会があるそうですよ。」
レミリア「あら、そうなの?」
咲夜「はい。こちらの新聞に書いてありますよ。」
レミリア「へぇ、ちょっと見せて。」
咲夜「はい。」
レミリア「ふーん…。」
レミリア「これ、なんか変ね。開催場所とか書いてないじゃない。」
咲夜「そうなんですよね。私はてっきり天狗のミスかと思いまして。」
レミリア「でもあの天狗がミスってのもおかしいわね。誇張することはあってもミスすることはまずないもの。」
咲夜「でしたら、悪戯とか…。」
レミリア「新聞に好きこのんで悪戯するなんて、そんな物好きいるかしらね。それに悪戯なんてあの天狗がさせないだろうし。」
レミリア「…まぁいいわ。ここで考えたってわかることじゃないし。どこで宴会が開かれるかだけわかればいいわ。」
咲夜「でしたら、私が直接天狗に聞いてきましょうか?」
レミリア「そうね、そうしてくれるかしら。」
咲夜「かしこまりました。」
レミリア「…あ、ちょっと待って。」
咲夜「?」
レミリア「開催場所、書かれてないのよね。」
咲夜「そうですけども…。」
レミリア「いいこと思いついたわ。」ニヤッ
レミリア「咲夜、今すぐ皆を呼んで頂戴。」
咲夜「えっと…、はい。かしこまりました。」
ガチャ
フラン「お姉様〜、呼んだ〜?」
美鈴「あれ、妹様も呼ばれてたんですか?」
フラン「あ、美鈴。それに皆も呼ばれてたんだ。」
パチュリー「レミィったら、いきなり呼び出すんだから。」
小悪魔「いいじゃないですか。魔術、行き詰まってたわけですし。」
パチュリー「まぁ、ね…。」
レミリア「集まったわね。じゃあ、話を始めるわ。」
レミリア「皆、今朝の新聞は呼んだかしら?」
フラン「新聞?読んでなーい。」
パチュリー「まぁ、ざっとね。」
美鈴「あ、知ってますよ。明日宴会があるんですよね?」
レミリア「あら、よく知ってるわね。」
フラン「さすが美鈴! 」
美鈴「でも変でしたよね、開催場所とか書かれていなくて。」
小悪魔「え、開催場所が書かれてなかったんですか?」
美鈴「そう、というより『満月の夜に宴会開かれる』ってこと以外何も書かれてなかったの。」
小悪魔「変な記事ですね。それじゃどこ行けばいいかわからないじゃないですか。」
レミリア「確かに、こあの言う通りこの記事だけ読んでもどこ行けばいいかわからないわ。」
レミリア「でも、開催場所が書かれていないということは…」
パチュリー「あ、でもそれなら私達が宴会開くってことも可能ね。」
レミリア「ぇ…」
美鈴「紅魔館で勝手に宴会を開くってことですか?」
小悪魔「いいんですか?そんなことしちゃって。」
パチュリー「場所が書かれてないならどこで開いたって問題ないでしょ。開いた者勝ちというか。」
小悪魔「なるほど!」
咲夜「パチュリー様、さすがです。」
レミリア「ぃゃ…」
フラン「ってことはフランも宴会参加できる?」
美鈴「問題無いですよね、紅魔館が会場なら。」
咲夜「そうね。全然問題無いと思いますよ。」
フラン「やった!」
レミリア「ちょっ…、」
レミリア「ちょっと!勝手に話を進めないでよ!!」
パチュリー「ごめんごめん、遮っちゃって。続けて頂戴。」
レミリア「……もう、全部言われたわよ…。」
パチュリー「あれま。」
フラン「…ださっ」プッ
レミリア「と、とにかく!明日急遽宴会をやることにしたってこと!いいわね!!」
小悪魔「はい!」
美鈴「了解です。」
パチュリー「いいけど、準備はどうするの?明日までになんて、間に合う?」
レミリア「そこよね。咲夜、どう?」
咲夜「料理、飾りつけだけならば全然問題無いですよ。」
レミリア「さすが、頼もしいわね。でも咲夜が大変そうだったら皆も手伝ってね。」
小悪魔「わかりました。」
フラン「フランも手伝う!」
咲夜「ありがとうございます、妹様。」
美鈴「あ、そういえば宣伝はどうしますか?一応紅魔館で宴会を開くってことも伝えた方が…。」
レミリア「必要なし!」
美鈴「え。」
レミリア「何もしないってわけじゃないわよ。宴会を開くちょっと前に合図を出したりはするわ。でも、それ以外は必要ないわ。我が紅魔館で宴会するってことがわかったら皆来てくれるはずよ。」
小悪魔「すごい自信ですね…。」
美鈴「大丈夫、ですかね?」
レミリア「大丈夫、だって紅魔館よ?皆喜んでくるでしょ。」
パチュリー「はぁ…。まぁ、そういうことなら宴会始まる前に私が花火でもあげておけばいいってことね。」
レミリア「そうね、お願い。他に何かある?」
レミリア「………、無さそうね。じゃあそういうことだからみんな頼んだわよ。私も手伝えることは手伝うから。」
咲夜「私自身できるだけ頑張りますけど、皆さんよろしくお願いします。」
パチュリー「わかったわ。」
小悪魔「全力でサポートします!」
美鈴「私もできるだけ頑張ります!」
咲夜「…本当に?」
美鈴「頑張りますって!」
レミリア「じゃあ、みんな頼んだわよ。」
咲夜「さて、と…」
フラン「ねぇ、咲夜。」
咲夜「はい、なんですか?」
フラン「ちょっとこの後集まってもらってもいい?」ボソッ
咲夜「…?」
〜紅魔館・フラン部屋〜
ガチャ
咲夜「妹様、来ましたけど…。」
パチュリー「あら、咲夜。」
美鈴「咲夜さんも呼ばれてたんですか。」
咲夜「パチュリー様、美鈴、こあまで。」
フラン「皆、集まったね。」
小悪魔「妹様、なんで私達を集めたのですか?」
パチュリー「ひょっとして、さっきの宴会の話?」
フラン「そう。さっきの話を聞いてちょっと気になることがあって…。」
咲夜「気になること…ですか?」
フラン「そう。さっきのお姉様の話聞いてて、ちょっと不安にならなかった?」
小悪魔「不安、ですか…。」
パチュリー「確かに、私も気になったわ。」
咲夜「言われてみれば…あのことですか。」
美鈴「あれですね。」
小悪魔「え?えっと…」
フラン「そう。」
フラン「宴会で人が集まらないってこと。」
パチュリー「宴会の参加人数ね。」
咲夜「参加する人の数…ですよね。」
美鈴「咲夜さんが倒れるかもしれない。」
小悪魔「……の参加人数ですよね!」
美鈴「…」
小悪魔(危ない危ない…。)
パチュリー「誰でも宴会が開けるなら、わざわざ紅魔館に来る必要が無いわね。」
咲夜「いつもの流れなら皆博麗神社に行きそうですしね。」
フラン「でしょ?お姉様は人を呼ぶ必要は無いって言ってるけど、そんなことは無いと思うの。」
小悪魔「じゃあもっと紅魔館の宣伝しなきゃってことですか?」
フラン「そう、そういうこと。」
咲夜「なるほど、でしたら今すぐお嬢様に…」
フラン「待って!」
咲夜「?」
フラン「お姉様には、言って欲しくないの。」
咲夜「え?」
美鈴「なんでですか?別に言ってもいいんじゃないですか?」
フラン「いや、だって…」
パチュリー「クスッ、そうね。フランの言う通り、言わない方がいいわ。」
美鈴「パチュリー様、なんでですか?」
パチュリー「さっきのレミィの話聞いてたでしょ?あれだけ自信持って宴会開くって言ってるんだから、余計な呼び寄せなんてしたらレミィの機嫌が悪くなるのは明らかだわ。」
美鈴「確かに…。」
パチュリー「だから、あくまでレミィには自然に人が集まった風を装わないと。」
美鈴「なるほど。」
咲夜「ということは、妹様の用件っていうのはお嬢様にバレないように宴会の宣伝をする、ってことですか?」
フラン「そう、そういうこと!」
フラン「…どう?」
美鈴「…なかなか大変ですね。中では普通に宴会の準備をしてる風を装って、お嬢様の隙を見て外に出て宣伝して…。」
咲夜「しかも今回は他の場所も宴会を開くから、人を取られないようにしないといけないですし…。」
パチュリー「フランったら、まためんどくさいことを思いついたものね。」
フラン「駄目、かな…」
咲夜「…」
美鈴「…」
パチュリー「…」
小悪魔「…でも、楽しそうじゃないですか!なんかスパイみたいで!」
フラン「!」
美鈴「私もできるだけのことはやりますよ。何より面白そうですから!」
咲夜「妹様の頼みとあらば、尽力させていただきますわ。」
パチュリー「まぁ、やってあげるわよ。」
フラン「みんな、ありがとう!!」
パチュリー「で、重要なのは誰が広めるかってことね。」
美鈴「そうですね、紅魔館の宴会のこと、手早く広めないとですもんね。」
咲夜「私が、広めましょうか?」
美鈴「咲夜さんがですか?」
咲夜「私なら移動時間を短縮できますし、多くの場所を回れます。なので、適任かと。」
フラン「咲夜がやってくれたら頼もしいけど…。」
パチュリー「問題は中よね。咲夜なしで料理、飾りつけをどこまでできるかね…。」
咲夜「いえ、そこまで時間はかけるつもりはないので。それに、メモ書きか何か残しときますので。」
パチュリー「なら、いけるかしら…。」
小悪魔「はい!じゃあ私料理やります!」
パチュリー「となると、私が飾りつけね。まぁ咲夜のメモと本を適当に漁ればいけるでしょ。」
咲夜「お願いします。」
フラン「じゃあ、私はお姉様の注意を引きつけるね。」
パチュリー「えぇ、お願い。正直一番重要な役よ。」
フラン「わかってる、しっかりやるよ。」
美鈴「えっと、私は何を…。」
フラン「美鈴は寝ないこと!」
美鈴「はい!」
美鈴「…え、それだけですか!?」
咲夜「いや、一番の難題でしょ。」
パチュリー「美鈴は私達の補佐。足りない穴を埋める役目よ。」
美鈴「なるほど、わかりました!」
フラン「じゃ、みんな動いて!」
・
・
・
〜紅魔館・エントランス〜
咲夜「ほら、ゴブリン達。明日の宴会のためにしっかりと掃除するのよ。特に大広間は重点的にお願いね。」
ゴブリン達「ヘイヘーイ」
咲夜「ふぅ...。」
咲夜(お嬢様はまだ屋敷の中、いつこっちの様子を見に来るかわからない…。行動を起こすにはまだ早いわね。)
・
・・
・・・
フラン「まず咲夜はいつも通り仕事をしてて。で、お姉様が数十分ぐらい出てこなさそうな時が来たら外に出て。」
咲夜「わかりました。ですが、もしそうならなかったら…。」
フラン「その時は私がチャンスを作る。どっちにしても焦って動かないで、ここっていう絶好のタイミングが来るまで。」
咲夜「かしこまりました。」
・・・
・・
・
咲夜(私が先陣をきる以上絶対に失敗するわけにはいかない…。)
コンコン
咲夜(誰かしら…)
咲夜「はーい。」
ガチャ
魔理沙「おう、やってるやってる。」
咲夜「あら、霊夢に魔理沙。なにか用?」
霊夢「用事というより視察ね。明日の宴会であんた達の紅魔館が会場になるか知りたかったんだけど...、この様子だと会場になるってことで間違いないわね。」
咲夜「ご名答。お嬢様の意向で私達も宴会を開くことにしたのよ。」
魔理沙「私が焚きつける前に宴会準備とは、流石だぜ。しっかし、ここが会場となると結構豪華な宴会になりそうだな。」
咲夜「もちろんそのつもりよ。紅魔館の名に恥じぬようなご馳走をもてなしするわ。」
霊夢「紅魔館のご馳走ねぇ。」グヘヘ
魔理沙「おい、霊夢。顔、顔。」
レミリア「咲夜、調子はどう?」
咲夜「あ、お嬢様。」
レミリア「あら、霊夢と魔理沙も来てたの。」
魔理沙「ちょっと様子見にな。明日、宴会開くらしいじゃないか。紅魔館で。」
レミリア「えぇ、もちろん。幻想郷の中で最も高貴で気品ある宴会を開けるのはここ紅魔館以外にないもの。きっと他の妖怪達もここ紅魔館に集って私達の宴会に感動するはずだわ。」
魔理沙「すごい自信だな...。」
レミリア「ところで、 霊夢と魔理沙は明日ここに来るつもりよね?」
魔理沙「まぁ寄らしてもら...」
霊夢「もちろんよ!あんたの所に行かないなんて選択肢無いわよ!本当に明日の宴会楽しみにしてるわよ!」
レミリア「ふふっ、そこまで期待されてるなんてね。咲夜、しっかり準備するのよ。」
咲夜「はい。もちろんです、お嬢様。」
レミリア「じゃあちょっと宴会の話でもしようかしら?」
霊夢「いいわね。ネタばれにならない程度に聞かせて。」
レミリア「じゃあ私の部屋でゆっくりと話そうかしら。魔理沙、貴方も聞きたい?」
魔理沙「いや、私はいいぜ。まだ用事があるからな。」
レミリア「そう、わかったわ。じゃあ...」
咲夜「お嬢様、霊夢と話されるのでしたらお茶でもいかがですか?」
レミリア「そうね、おね」
霊夢「いらない!お茶ついでる暇あったら宴会の準備してなさい!」
咲夜「はぁ…。」
魔理沙「ったく…。」
レミリア「ま、まぁ、咲夜も忙しいだろうから今は私のことはそこまで気にかけなくてもいいわ。その代わり明日の宴会の仕事に集中してちょうだい。」
咲夜「かしこまりました。」
レミリア「じゃあ、霊夢。行きましょ。」
霊夢「今からもう楽しみだわ。咲夜ー、頑張るのよー。」
魔理沙「あいつときたら…。ごめんな、咲夜。」
咲夜「別に大丈夫よ。」
魔理沙「あいつ、久々の宴会でテンション上がってるんだよ。しかも自分の所でやらないから尚更。」
咲夜「なるほどね、霊夢らしいわ。」
魔理沙「本当にな。じゃあ私は他の所も見てくるぜ。霊夢じゃないけど、楽しみにしてるからな。」
咲夜「えぇ、楽しみにしててちょうだい。」
バタン
咲夜「……」
咲夜(…来た、)
咲夜(…来た、絶好のチャンス!こんなに早く来るなんて…!)
咲夜(しかも、霊夢がこっちに来るってことは博麗神社は宴会を開かない可能性が高い、なら人も集めやすい…はず!)
咲夜「さて…」
フラン「咲夜ー!」
咲夜「妹様。」
フラン「宴会の準備どう?」
咲夜「えぇ、順調ですよ。」
咲夜「お嬢様の方も。」ボソッ
フラン「…」キョロキョロ
フラン「今お姉さまはどこ?」
咲夜「霊夢と二人で宴会の話をしてますわ。」
フラン「へぇ、本当に順調ね。じゃあこれから咲夜は…」
咲夜「はい、動くつもりです。」
フラン「わかった。じゃあパチェとこあにも伝えてくるわ。あんまり遅くならないように。」
咲夜「わかりました。では、行ってきます。」
咲夜「ザ・ワールド!」
〜紅魔館・図書館〜
ガチャ
フラン「パチェ、こあ、準備いい?」
小悪魔「いよいよですね!」
パチュリー「咲夜はもう出発したの?意外と早かったわね。」
フラン「今、霊夢が来てて、それでね。だから今がチャンスだよ!」
パチュリー「なるほどね。」
フラン「じゃあ改めて確認。こあ!」
小悪魔「はい!咲夜さんの代わりに料理を作ります。持ち場はキッチンです!」
フラン「うん、オッケー。次、パチェ!」
パチュリー「仕事は飾りつけ、持ち場はエントランスから大広間にかけて。だから咲夜の帰りの確認も私の担当ね。」
フラン「うん、さすがパチェ。バッチリ!」
パチュリー「当たり前よ。」
フラン「咲夜、うまくやってくれるかな…」
パチュリー「信じなさい、咲夜が失敗したことないでしょ。それより自分たちの任務に集中しなさい。」
フラン「うん、わかった!」
小悪魔「パチュリー様も意外とノリノリですね。」
パチュリー「当たり前じゃない、やるなら本気よ。」
パチュリー「行くわよ、みんな!」
小悪魔「はい!」
フラン「ラジャッ!」
〜人里〜
咲夜「ふぅ…」
咲夜(なんとか、器楽隊を引き込むことに成功した…。)
咲夜(ただ…、)
・
・・
・・・
リリカ「いや、だっていろんなところで宴会開かれるんでしょ?ならわざわざ紅魔館に行かなくても…。」
ルナサ「いつも通り博麗神社がいい…。」
メルラン「それに人里で大演奏会開かれるみたいだしね~。」
咲夜「いや、博麗神社では宴会開かれないし、それに人里の演奏会も出演の時にここを抜けていけばいいじゃない!」
リリカ「でもわざわざ紅魔館っていうのが…」
咲夜「いや、うちに来れば満員御礼!たくさんの人の前で演奏できるし、みんなが大注目してくれるし…」
・・・
・・
・
咲夜「…」
咲夜「呼び込みに成功すれば問題ないから、ないから…。」
早苗「みなさーん!」
咲夜「!」
早苗「明日、宴会がありますよー!ぜひ、皆さん守矢神社に!!」
咲夜(あれは、守矢神社の緑巫女…。)
早苗「さぁさぁ、皆さんどうですか!!」
里の人「守矢神社?遠いなぁ…」
早苗「はい、そういう声もあると思います。そこで革新的な提案をさせていただきます!」
咲夜(あんな道端で宴会の宣伝をするなんて、しかも人間相手に…。)
咲夜(…これで守矢神社は除外ね。となると、妖怪の山はこっちに誘えない可能性が高いかしら…。)
咲夜(…次!)ダッ
布都「な!?なんで我らがそなた達について行かなきゃならんのじゃ!そなた達が我らの邪魔をしてるんじゃろう!」
一輪「違うわよ!!あなた達が私達のやろうとしてることを真似してるんでしょ!?」
咲夜(あれは、仏教と道教の…)
屠自古「布都、ちょっとやめなよ…。」
村紗「いちりーん、雲山だけは出さないようにね〜。」
咲夜「あの、取り込んでるところ悪いのだけど…」
布都、一輪「なに!!」
咲夜「…本当悪いのだけど…。」
布都「お、そなたは紅魔館のメイドではないか。」
一輪「一体私たちに何の用?」
咲夜「明日の宴会のことなのだけど…」
布都「おぉ、明日の宴会のことか。もちろん、我らも開かせてもらうぞ。」
咲夜「開かせてもらう?」
布都「うむ、魔理沙から色々聞いてな。なにせ明日の宴会はどこが会場になっても問題ないらしいからな。だから我らが太子様の素晴らしさを伝えるべく、宴会を開くことにしたのじゃ。」
咲夜「そうなの。」
咲夜(魔理沙、余計なことを…。)
一輪「なにが素晴らしさを伝えるよ。信仰を増やしたいだけでしょう?」
布都「なにをっ!」
一輪「その点私達は里の皆のことを想って、里の人の為の宴会をするからね。もちろん、聖のご好意のもとで。」
布都「なにを言っておる!そなた達も所詮は信仰を集めたいだけではないか!!」
一輪「あ、今そなた達『も』って、言った!へ〜、やっぱり信仰目当てだったのね〜。」
布都「そんなの揚げ足を取ってるだけではないか!!」
一輪「事実だからね〜。」
布都「なにを〜っ!!」
一輪「そっちこそ!!」
屠自古「布都、落ち着きなさいって。」
村紗「一輪、程々にね〜。」
咲夜(あぁ、蚊帳の外…。)
咲夜「えっと…」
屠自古「あ、用事があるなら行っていいよ。こっちは見ての通りいつ終わるかわからないから。」
咲夜「それはどうも。じゃあ、失礼させてもらうわね。」
咲夜(これで命蓮寺、神霊廟も駄目…。)
咲夜(厳しい…)
〜紅魔館〜
パチュリー「だから、この本の通りに石像を作ってって言ってるの!」
ゴブリン「?」
パチュリー「だから、この本と同じような石像を作ってって言ってるのよ!」
ゴブリン「…?」
パチュリー「あぁ、もうだから!」
パチュリー「土符、『トリリトンシェイク』!!」
ゴゴゴゴゴ
パチュリー「この像と同じような石像を作れって言ってるのよ!」
ゴブリン「ムリムリムリムリ!!」
小悪魔「えっと、この後は…」
小悪魔「シナモンを3g、ローリエを5g加えた後混ぜ合わせて…?」
小悪魔(ローリエって、何…?)
小悪魔「クローブと、カルダモンを混ぜたものを隠し味に振りかけて、フライパンで花形になるように焼く!?」
小悪魔(何をどうすればいいんですか、咲夜さん!?)
パチュリー、小悪魔(厳しい…)
〜地霊殿〜
咲夜(…なんで、地底の妖怪達が誰もいないのかしら…、間の悪い…。)
咲夜(地霊殿の妖怪達はいて欲しいけど…。)
コンコン
さとり「どうぞ。」
ガチャ
咲夜「失礼します。」
咲夜(よかった…。)
さとり「紅魔館のメイドがわざわざこんな所までご苦労様。一体何の用?」
咲夜「実は聞きたいことがありまして…」
さとり「あぁ、明日の宴会のことね。へぇ、紅魔館も宴会開くのね。でも申し訳ないけど、私達は別の所に行くって決めてるのよ。」
咲夜「…そうですか。」
さとり「意地悪で言ってるんじゃないのよ?私のペット、特にお空の方は万一何をするかわからないじゃない?だから、迷惑をかけても問題ない所に行くことにしたのよ。」
咲夜「なるほど、わかりました。」
さとり「へ〜。」
咲夜「…あの、私の心読んでますよね?」
さとり「しょうがないのよね〜、見えちゃうから。」
さとり「それにしても、色々な所まわってるのね。その割には成果が出ないと。」
咲夜「えぇ、まぁ…。」
さとり「とりあえず、せいぜい頑張りなさい。宴会が上手くいったら、あなたの主人もきっと喜ぶだろうし、あなたに感謝してくれるんじゃない?」
咲夜「感謝…」
・
・・
・・・
レミリア「咲夜、宴会の準備本当に、ありがとうね。」
咲夜「いえ、当然のことをしたまでです。」
レミリア「いや、まさか準備から集客、全部やってくれるなんてね。大変だったでしょう?」
咲夜「まぁ、ちょっと…。」
レミリア「咲夜…」
ギュッ
咲夜「お、お嬢様!?」
レミリア「これで、ちょっとは癒しになるかしら…?」
レミリア「それとも、迷惑……?」
咲夜「迷惑だなんて、そんなわけ…!」
レミリア「ねぇ、疲れてる咲夜にこんなわがまま言うのは主人として駄目かもしれないけど…」
レミリア「宴会、もう少しだけ続けない…?」
レミリア「2人だけで…///」
咲夜「お、お嬢様…///」
・・・
・・
・
咲夜「…そ、そうですね、が、が、頑張りますわ///」
さとり「いや、取り繕っても無理だから。もう少しで行為に入るって所まで全部見えてるから。」
咲夜「…///」
さとり「まぁ、せいぜい頑張りなさい。」
咲夜「あ、ありがとうございます、では、失礼します///」
咲夜「ザ・ワールッ…」クラッ
咲夜(あれ…)
さとり「…ん、どうしたの?大丈夫?」
咲夜「えっ、えぇ。」
咲夜「ザ・ワールド!」
さとり「…」
さとり(頑張りすぎて倒れなきゃいいけど…。)
さとり(…関係のないことね。)
~紅魔館・レミ部屋~
フラン「…」
フラン(ドア越しじゃあんまり聞こえないなぁ…。)
フラン(…お姉様と霊夢はまだ部屋の中、このまま咲夜が帰ってくるまで喋っててくれるのがベストだけど…)
霊夢「じゃ、私はこれで帰るわ。明日の宴会、楽しみにしてるわよ。」
レミリア「えぇ、期待しててちょうだい。」
フラン(…!)
フラン(やっぱり、無理か…。)
ガチャ
霊夢「あれ、フランじゃない。こんなところで何してるの。」
フラン「えっと、霊夢とお姉様が何話してるか気になって~。」
レミリア「あら、フラン。」
フラン「あ、お姉様!霊夢と一緒に何話してたの?教えて、教えて!」
レミリア「もう、何よいきなり。」
霊夢「あんたたちってこんなに仲良かったかしらね。」
フラン「うん、仲良しだよ!」
レミリア「フラン、やめなさい!き、気持ち悪いわよ!」
フラン「気持ち悪いってなによ!」
霊夢「あぁ、はいはい、喧嘩しなくていいから。じゃ、私は帰るわ。」
レミリア「えぇ、また明日。待ってるわ。」
フラン「ねぇ、お姉様!」
レミリア「落ち着きなさい、話してあげるから。」
フラン「やった!」
フラン(これで少しは時間が稼げる…。)
レミリア「にしても、喋りすぎてのどが渇いたわね。」
フラン「え、」
レミリア「咲夜ー!」
フラン「!!」
フラン(…しまった!!お姉様がお茶を欲しがること、計算に入れてなかった!!)
レミリア「あれ、咲夜ー?」
フラン「ほ、ほら、咲夜は今宴会の準備で忙しいから、ね!」
レミリア「しょうがないわね。じゃあお茶、自分で取って来るしかないわね。」
フラン「いや!えっと…」
レミリア「なに、フランもいるの?なら一緒に来なさい。」
フラン「えっと…」
フラン(どうしよ…、なんとか…!!)
レミリア「さて、じゃあ…」
小悪魔「お嬢様ー、妹様ー、お茶、入りましたよー。」
レミリア「え?」
フラン「こあ!?」
レミリア「なんであなたがお茶淹れてるの。」
小悪魔「咲夜さんは宴会の準備で忙しいので、だから私が淹れてみました。ほら、部屋に入ってください、冷めちゃいますよ。」
レミリア「ま、まぁ…。」
ガチャ
小悪魔「はい、小悪魔特製ハーブティーですよ~。冷めないうちに召し上がってください。」
フラン「ありがとう、こあ!」
フラン(本当に!!)
レミリア「ありがとう、咲夜のサポート。紅茶まで淹れてくれて。」スゥ
レミリア「…まぁ、味は咲夜のには劣るけど…。」
小悪魔「そりゃ、咲夜さんには敵いませんよ~。」
フラン(いや、ほぼお湯じゃん…。)
レミリア「ま、まぁありがとう、こあ。下がっていいわよ。」
小悪魔「はい、失礼します。」
バタン
小悪魔「ふぅ…」
小悪魔(良かった、うまくいって…。)
・
・・
・・・
ガチャ
パチュリー「入るわね。」
小悪魔「パチュリー様、どうしたんですか?」
パチュリー「霊夢が帰ったわ。」
小悪魔「帰っちゃいましたか…。さすがに咲夜さんが戻って来るまで持ちませんでしたね。あとは妹様に…」
パチュリー「いや、それよりまず紅茶を淹れておいて、二杯分。」
小悪魔「え?」
パチュリー「霊夢とフランが入れ替わるこのワンクッション、レミィが咲夜を呼ぶ可能性は高いわ。だから早急にお願い。」
小悪魔「は、はい、わかりました!」
・・・
・・
・
小悪魔(パチュリー様の助言が無かったらどうなってたことやら…。)
小悪魔(後は頼みましたよ、妹様…!)
フラン(こあ、紅茶ありがとう。味はともかく、本当助かったよ。)
フラン(後は私が咲夜が帰って来るまでしゃべり続けるだけね!)
フラン「お姉様、まずさっき霊夢と何話してたか教えて~?」
フラン「1から10まで!」
〜白玉楼〜
幽々子「妖夢、調子はどう?」
妖夢「はい、順調ですよ。宴会に持っていく料理ももうすぐ出来そうですので。」
幽々子「そう、なら良かったわ。」
幽々子「じゃあ、どんな具合か確かめさせてもら…」
妖夢「幽々子様、」ヒョイ
幽々子「あぅ、」
妖夢「つまみ食いはしないでくださいね。もうすぐお昼ご飯ですのでそれまで我慢してください。」
幽々子「はーい…。」
幽々子「…誰か来たわね。」
妖夢「え?」
幽々子「妖夢、ちょっと見てきてくれないかしら?」
妖夢「あ、はい。わかりました。」
咲夜(妖夢なら、来てくれるかしら…。)
妖夢「あ、来ていたのって咲夜さんでしたか。どうしたんですか?わざわざ白玉楼まで。」
咲夜「妖夢、ちょっと聞きたいことがあるのだけど、明日の宴会はどうするの?」
妖夢「明日の宴会ですか?私達は色んな所をまわろうかなって思ってますが…、あ、もちろん紅魔館も行きますよ。」
咲夜「よかった〜、ありがとうね、妖夢。」
妖夢「あ、せっかくですし、鈴仙さんも誘って3人で飲みません?」
咲夜「いいわね、それ。暇があればぜひ行きたいわ。暇があれば、だけど。」
妖夢「私も、幽々子様に相談してみないと…。あ、鈴仙さんにも、話を持ちかけてみますね。」
咲夜「ありがとう、お願いするわ。」
妖夢「そういえば、私の所に宣伝に来るってことは、集客かなにかですか?」
咲夜「そう、お嬢様のためにね。宴会に人がいないと、お嬢様も悲しむじゃない?」
妖夢「確かに、寂しいですよね。」
咲夜「だから、こうやって色んな所をまわって集客してるの。あ、でもお嬢様には言わないでね?お嬢様には内緒でやってることだから。」
妖夢「え、レミリアさんには言ってないんですか?」
咲夜「お嬢様、今回の宴会に絶対の自信を抱いてるからね。こんなことしてるってバレたらお嬢様のプライドに傷がついちゃうわ。」
妖夢「さすが、咲夜さんですね!ご主人様の気持ちを第一に考える!」
咲夜「まぁ私にかかればこんなこと当たり前ですわ。」
咲夜「…なんて、本当は妹様が言い出したことなのだけどね。」
妖夢「フランさんがですか?へぇ、レミリアさんもいい妹を持ちましたね。」
咲夜「本当にね。」
咲夜「じゃあ、そろそろ行くわね。あんまり時間をかけるとバレちゃうし。」
妖夢「わかりました。明日の宴会、楽しみにしてますから。」
咲夜「ありがとう、じゃあまた明日。」
妖夢「あ、そうだ。」
咲夜「?」
妖夢「草の根妖怪とか、里の妖怪とか、その辺を引き込んでみたらどうですか?紫さんいわく結構大きなグループが出来そうって言ってましたし、そういうグループって会場とか持ってないと思うんですよね。だからそこを引き込むことが出来れば一気に集客になるかなって。」
咲夜「!」
咲夜「それは思いつかなかったわ、ありがとう!」
妖夢「いえ、お役に立てて良かったです。じゃあ明日、出来れば一緒に飲みましょうね!」
咲夜「えぇ、そうね。」
咲夜「ザ・ワールっ、」クラッ
咲夜「うっ……!」
咲夜(また…!)
妖夢「さ、咲夜さん、どうかしましたか?」
咲夜「う、ううん、なんでもないわ。気にしないで。」
咲夜「ザ・ワールド!」
〜紅魔館・レミ部屋〜
フラン「ねぇ、お姉様、その後は?」
レミリア「フラン、もういいでしょ?喋り疲れたわ。」
フラン「え〜、でも〜…。」
フラン(…まずい、聞くことがもうほとんど無いしお姉様も飽きてきてる…。)
フラン(でも、まだ咲夜帰ってきてないよ…!)
レミリア「さて、宴会の準備がどれぐらい出来てるか、確認しようかしら。」
フラン「えっ!?」
フラン(まずい…!!)
レミリア「なに?」
フラン「いや、別に確認しなくても大丈夫よ!それよりも、」
レミリア「だから、喋り疲れたの。ちょっと休憩、座ってばかりで体も痛いし。」
フラン「いや、でも…」
フラン(どうしよ、どうしよ、どうしよ!!)
レミリア「ほら、一緒に行きましょ。」
フラン「いや、その、」
フラン(…)
フラン「…わかった。」
バタン
レミリア「準備、どこまで進んでるかしらね。楽しみだわ。」
フラン(まずい、もう止める手立てが…)
フラン「ねぇ、お姉様?」
レミリア「なに?」
フラン「えっと、その…」
フラン「…なんでもない。」
レミリア「…変なの。」
ツカツカ
レミリア「あれ、パチェ。」
フラン(パチェ…!)
パチュリー「あら、レミィ。フランも連れて。何しに行くの?」
レミリア「宴会の準備がどのくらい進んでるか確認しに行こうと思ってね。」
パチュリー「あ、その件なのだけど、咲夜がちょっと倒れちゃってね…。」
レミリア「え? 」
パチュリー「疲労よ。咲夜、今休憩してるから、そっとしてあげて。」
フラン(嘘だ、咲夜は今は外。ってことは…)
フラン(はったり…?)
パチュリー(おそらく咲夜はもうじき戻って来る。あと、ここさえしのげば…!)
レミリア「そ、そうなの…。」
パチュリー「まぁ、ちょっと休めばなんとかなりそうだから、心配しないで。ただ、その代わりあまり準備は進んでないから。だから部屋に戻ったら?」
フラン(通じて…!)
パチュリー(…)
レミリア「そう…、わかったわ。」
フラン(やった!)
パチュリー「フッ」
スタスタ
フラン「…」
フラン「助かったよ、パチェ!あのまま行ってたら間違いなくバレてたよ。」
パチュリー「どうってことないわよ、これぐらい。」
パチュリー「ただ、咲夜はまだ戻ってきてないし、いつまで誤魔化せるやら…。」
フラン「私もだいぶ喋り尽くしちゃったし…。」
パチュリー「参ったわね。まぁでも、そろそろ咲夜も帰ってくる頃合いだろうし、そこまで心配しなくてもいいと思うわ。」
フラン「そっか。」
スタスタ
レミリア「やっぱり咲夜のことが心配だわ。ちょっと様子見てくる。」ダッ
フラン「…ちょっとパチェ…。」
パチュリー「…前言撤回。」
フラン「どうするの?パチェ…」コソコソ
パチュリー「どうしようもないわよ、ここまで来たら…」コソコソ
レミリア「咲夜が倒れるなんて…、仕事させ過ぎたかしら…。ねぇ、パチェ。」
フラン「でも、なんとかしないと…」コソコソ
パチュリー「そう言われても…」コソコソ
レミリア「パチェ!」
パチュリー「あ、あぁ、うん。そうね。」
レミリア「さっきから2人でなにこそこそ喋ってるのよ。」
フラン「いや、まぁ、その…」
パチュリー「フランが私にくだらないことを話してくるのよ。」
フラン「っ!?」
レミリア「ちょっとフラン、真面目な話してるのよ。邪魔しないで。」
フラン「グッ…。」
フラン(駄目、これ以上はもう…)
パチュリー(詰み、かしら…)
レミリア「咲夜…」
コンコ…
咲夜「お嬢様、どうなさいました?」
パチュリー、フラン(え!?)
レミリア「え、え?咲夜、部屋で休んでるんじゃなかったの?」
咲夜「えっと…」チラッ
フラン「…」コク
パチュリー「コホン」
咲夜「ちょっと、お手洗いの方に行ってました。」
レミリア「そうなの。体調の方は大丈夫?」
咲夜「すいません、ちょっと疲れてしまったので…、もう少しだけ休ませていただけますか?」
レミリア「わかったわ。ここからは、咲夜に負担かけ過ぎないよう私も手伝う。フラン、パチェもね。」
フラン「うん、わかった。」
パチュリー「えぇ、もちろん。」
レミリア「じゃあ咲夜、ゆっくり休むのよ。」
スタスタ
フラン「…」
フラン「咲夜、よく戻って来てくれたね!本当間一髪だったよ!」
咲夜「それはなによりです。」
パチュリー「それに機転を利かせて嘘まで合わせてくれて。咲夜が疲れて部屋で休んでるって嘘、よく合わせられたわね。」
咲夜「それは…」
咲夜「嘘じゃ、無いです……」フラッ
パチュリー、フラン「咲夜!?」
〜紅魔館・咲夜部屋〜
フラン「咲夜、大丈夫?」
咲夜「はい、大丈夫です。すいません、心配をかけてしまって…」
パチュリー「まったく、頑張り過ぎよ。」
咲夜「申し訳ございません…。」
ガチャ
美鈴「失礼します。咲夜さん、大丈夫ですか?倒れたと聞いたのですが…。」
咲夜「美鈴…。」
パチュリー「まぁ平たく言うと過労ね。ちょっと休めば治ると思うわ。」
美鈴「そうですか…、ちょっと安心しました。」
パチュリー「ただ、咲夜。これ以上外に出るのは駄目よ。明日の宴会のためにも。」
咲夜「いえ、私はまだ…」
パチュリー「咲夜!」
咲夜「…」
パチュリー「もっと私達を頼りなさい。何のためのサポート?」
フラン「そうだよ、もっと私達をガンガン使って!」
美鈴「咲夜さんの分まで私、働きますから!」
咲夜「皆さん…」
ガチャ
小悪魔「咲夜さん、お昼ご飯ですよ〜。」
パチュリー「あら、こあ。悪いわね。」
小悪魔「あれ、皆さん勢揃いで。ご飯、足りるかな…」
美鈴「私は後でいいよ、適当につまむから。」
パチュリー「私も後でいいわ。今は咲夜優先で。」
小悪魔「ありがとうございます。咲夜さん、小悪魔特製サンドイッチですよ〜。」
咲夜「ありがとう、こあ。」
フラン「ねぇ、そのサンドイッチ大丈夫…?」
小悪魔「え、なんでですか?」
フラン「いや、さっきの紅茶もあれだったし…。」
小悪魔「大丈夫ですよ!さっきのは、その、急いでたから…!!」
咲夜「大丈夫ですよ、妹様。こあ、このサンドイッチ美味しいわ。」
小悪魔「ありがとうございます!」
パチュリー「さて、と。話はこれぐらいにして本題に入りましょ。咲夜、どれぐらい集客できた?」
咲夜「それが、ほとんど…。騒霊3人と、白玉楼の2人は呼び込むことができましたが…。」
パチュリー「う〜ん…、ちょっと少ないわね。」
咲夜「…すいません。」
美鈴「仕方ないですよ、他のところも宴会開こうとしてますし。ちなみに、どこが宴会開こうとしてるかわかりましたか?」
咲夜「えぇ、それなら。守矢神社と命蓮寺、神霊廟が宴会を開く予定です。で、地霊殿のメンバーは宴会は開きませんが別の所の宴会に行く予定と。」
フラン「結構な収穫じゃん!さすが咲夜!」
咲夜「いえ、そんな…」
美鈴「ってことは、聞いてないのは永遠亭ぐらいですかね。」
パチュリー「でも、そこも宴会開く可能性高いわよね。」
美鈴「じゃあ、厳しいですか…。」
フラン「咲夜、他に何かない?」
咲夜「えっと…」
咲夜「妖夢が言っていたのですが、里の妖怪や草の根妖怪のグループを呼び込むのはどうでしょうか。そういうグループは会場を持ってない可能性が高く、呼び込みもしやすいと思うのですが。」
フラン「それだ!」
美鈴「それ、ありじゃないですか!」
パチュリー「確かに、そこは盲点だったわね。」
小悪魔「ということは、これからはそのグループを狙って呼び込めば…」
フラン「一気に人を呼び込めるね!」
パチュリー「あとは、そのグループとコンタクトを取ることだけど…。」
パチュリー「美鈴、行ける?咲夜が倒れた今、あなたしかいないのだけど。」
美鈴「私…ですね、この場合。わかりました、最善を尽くします。」
フラン「美鈴、大丈夫?」
美鈴「大丈夫ですよ、普段から妹様と走ってますからね。」
咲夜「美鈴、悪いわね…、私が不甲斐ないばかりに…。」
美鈴「いえ、咲夜さんの頑張りのおかげでここまで目星がついたんですから、あとちょっとですよ。」
小悪魔「美鈴さん、頑張ってください!」
美鈴「うん!」
パチュリー「じゃあ、美鈴、お願いね。おそらくレミの監視の目はそんなに強くないはずだから、ちょっと隙を見てすぐにでも出発して。」
美鈴「わかりました。」
パチュリー「ただ、あまり長くならないこと。あんまり長いとレミィに疑われかねないから。」
美鈴「わかりました。」
パチュリー「はい、じゃあ動くわよ。」
咲夜「あの、一つだけ!」
パチュリー「?」
咲夜「屋敷の中の準備はどれぐらい進んでますか?」
パチュリー、小悪魔「あ〜。」
パチュリー、小悪魔「あー…」
・
・
・
〜紅魔館・キッチン~
小悪魔「すいません、下準備しか進んでないです…。」
咲夜「なるほどねぇ…。」
咲夜「実際、下準備が一番時間かかるから、そこが終わってるのは助かるわ。」
小悪魔「良かったぁ…!」
咲夜「いや、良くはないわよ。」
小悪魔「すいません…。」
咲夜「でもこの量なら明日の宴会に間に合わないこともないわ。だから…」
咲夜「こあ、全力で手伝って!」
小悪魔「わかりました!!」
〜紅魔館・エントランス〜
パチュリー「フラン、今飾り付けこんな感じになってるけどどう思う?」
フラン「…逆にパチュリーはどう思う?」
パチュリー「48体の石像、圧巻じゃない?」
フラン「そんないらないから!石像とかそんな数いらないから!!」
パチュリー「だって、この本には…」
フラン「もうちょっと本を選ぼうよ…。」
フラン「まずどの本をモチーフにするか決めよ。その後、パチェはその本を見て飾り付けして。」
パチュリー「フラン、あなたはどうするの?」
フラン「パチェの作った石像を壊す。」ニヤッ
パチュリー(殺気が…。)
〜紅魔館・玄関〜
美鈴(咲夜さんが倒れた今、私が頑張らなきゃいけない…、それはわかってる…、でも…)
レミリア「ほら、美鈴。ちゃんと見張ってる?」
美鈴(なんでお嬢様がいるんですか!?これじゃ、いつまでたっても行けない!)
美鈴「あの、お嬢様、大丈夫ですよ、見張ってなくても!」
レミリア「なに言ってるの、あなたしょっちゅう寝てるじゃない。駄目よ。」
美鈴「そんな、今日は寝ませんよ!」
レミリア「だめ、信用出来ないわ。日頃の行いを恨みなさい。」
美鈴「うぅ…。」
レミリア「…それに、私も何か仕事しないと…。」
美鈴「お嬢様?」
レミリア「ううん、なんでもないわ、さぁ仕事するわよ、仕事!」
美鈴(勘弁してぇ!!)
〜紅魔館・エントランス〜
フラン「死ねっ!死ねっ!!キャハハハハハ!!!!」ドカーン!!!!!
ゴブリン「ェ…」ゾーッ
パチュリー「はいはい、フランはほっといて、この本の通り飾り付けなさい。」
ゴブリン「ハ、ハイ…」
パチュリー「ふぅ…。」
パチュリー(…そういえば、さっきからレミの姿がないわね。)
パチュリー「ねぇ、フラン。」
フラン「死ねっ!!」
パチュリー「嫌。」
フラン「あ、ごめん。」
パチュリー「ねぇ、レミィがどこ行ったか知ってる?」
フラン「え、さっき玄関の方に行ってたけど…。」
パチュリー「玄関…」
フラン「あ、ほら窓から見えるよ。今美鈴の所、に…。」
レミリア「ほら、美鈴、寝ない!! 」
美鈴「寝てませんって!!」
パチュリー「…これ、美鈴どこも行けないじゃない。」
フラン「なんでこうお姉様は余計な時に余計なことを!」
パチュリー「さて、と。どうしたものかしらねぇ…。」
フラン「とりあえず咲夜に相談してくる!」
〜紅魔館・キッチン〜
ガチャ
フラン「ねぇ、咲夜。ちょっと」
咲夜「こあ!ボウルに卵三つ入れてそこにある調味料を入れて混ぜて!!」
小悪魔「えっ、どれをどのぐらい」
咲夜「レシピに書いてあるでしょ!!」
小悪魔「は、はぃっ!!わかりました!!」
小悪魔「っていうか咲夜さんそんな動いて大丈夫なんですか!?」
咲夜「時止めるのに比べたらどうってことないわよ。それより口より手を動かす!!」
小悪魔「はぃ!!!!」
フラン「…」
〜紅魔館・エントランス〜
フラン「駄目、咲夜それどころじゃない。」
パチュリー「仕方ないわね、私達だけでなんとかしますか。」
フラン「お嬢様をあの場から離せばいいんだよね。じゃあ私が、」
パチュリー「待ちなさい!」
フラン「え、」
パチュリー「行ってどうするつもり?」
フラン「えっと、屋敷の中に来るように言おうと思ってたけど…。」
パチュリー「あんまり安易に行かない方がいいわ。下手な理由で行くとかえって怪しまれるわ。」
フラン「そう、かも…。」
パチュリー「しかも、フランは午前中さんざんレミィと喋ってるし、勝算は低いわ。」
フラン「確かに、じゃあパチェが…。」
パチュリー「私が行っても屋敷に呼ぶ理由が無いのよね。」
パチュリー「どうしたものかしら…」
ゴブリン「アノー」
パチュリー「何?」
ゴブリン「カザリツケオワリマシタケド…」
パチュリー「飾りつけ、あぁ、ご苦労様。じゃあ次はフランの壊した像の残骸を掃除して。」
ゴブリン「…ハイ。」
パチュリー「私たちの飾りつけもまだ残ってるし、早くしないと…。」
フラン「飾り付け…。」
フラン「…わかった!!」
パチュリー「え、いい案でもあったの?」
フラン「うん!ちょっと耳貸して!」
〜紅魔館・玄関〜
美鈴(お嬢様、本当にずっと付きっきり…。これじゃ、いつまでたっても…)
レミリア「美鈴、集中してる?」
美鈴「し、してます!」
ガチャ
フラン「お姉様〜。」
美鈴(妹様!)
レミリア「フラン、パチェも。いったいどうしたの?」
パチュリー「休憩よ。飾りつけの仕事も楽じゃないわね。」
レミリア「飾りつけ、そういえばあなた達がやってたわね。どう?」
パチュリー「フランに言われて一からやり直して、なんとか進んでるわ。ゴブリン達をこき使ってね。」
レミリア「ほどほどにしてあげなさいよ。」
フラン「美鈴〜、ちゃんと働いてる〜?」
美鈴「え、あ、もちろんですよ!」
フラン「本当に〜?美鈴〜、」
フラン「今から出発させてあげるから。」コソッ
美鈴「え?」
レミリア「パチェ、咲夜は…」
パチュリー「だいぶ調子を取り戻してるわよ。今、こあと料理してるわ。」
レミリア「そう。大丈夫かしら…。」
パチュリー「本人は大丈夫って言ってるけど、様子を見て休ませてあげなさい。」
レミリア「そうね。」
フラン「ねぇ、お姉様、ちょっといい?」
レミリア「なによ、フラン。」
フラン「玄関の飾りつけはしないの?」
レミリア「玄関?」
フラン「そう。だって、屋敷の中を飾りつけしてるのに玄関だけ何もしないって変だよ〜。」
レミリア「確かに、そうね。じゃあ適当に庭の花でも。」
フラン「えー、庭の花〜?」
パチュリー「それはあまり良くないと思うわよ。庭の見栄えが悪くなるかもしれないし。」
レミリア「じゃあどこかから飾りを調達するしかないじゃない。」
パチュリー「それしかないわね。」
レミリア「じゃあ…」
美鈴「あ、私が行ってきましょうか!」
レミリア「美鈴が?」
パチュリー「いいんじゃない?私もフランも、屋敷の中の飾りつけで忙しいし。」
レミリア「でも、門番は…。」
パチュリー「それはレミィがやればいいじゃない。丁度いいでしょ?」
レミリア「確かに。じゃあ美鈴、お願いしてもいいかしら?」
美鈴「はい、任せてください!」
美鈴(きた!!パチュリー様、妹様、ありがとうございます!)
フラン「うまくいったね。」コソッ
パチュリー「えぇ、今回のは好手よ。」コソッ
フラン(しかも、これならお姉様公認で外に出れる。バレるとかの心配をする必要もない。)
フラン(これは、勝った…!)
美鈴「では、行ってきます!」
レミリア「あ、ちょっと待って。」
美鈴「え、なんですか?」
レミリア「あんまり長い時間外に出られてもサボっちゃいそうだから、そうね…。」
レミリア「2時間。この時計を貸してあげるから、2時間したら帰ってきなさい。」
美鈴「2時間、ですか…。」
レミリア「もし遅刻してきたらねぇ…、」
レミリア「明日の宴会、門番以外の仕事を全部あなたにやってもらうから。覚悟なさい。」
美鈴「うわ、流石にそれは…」
レミリア「安心なさい、門番だけは代わりにやってあげるわ。ま、その時は来た客全員に我が紅魔館を会場として選んだ理由、聞いてみたりしようかしらね。」
美鈴、パチュリー、フラン「!!!」
美鈴「い、行ってきます!!!」ダーーーッ!!!!!
レミリア「ふふ、流石に屋敷の仕事全部となると、あの子も焦ってるわね。」
パチュリー「レミィ、私達そろそろ屋敷の中に戻るわ。」
レミリア「えぇ、そうね。頑張ってね。」
フラン「うん、頑張る〜。」
バタン
フラン「どうするの!?お姉様あんなこと言ってるけど!お客さんになんでここ選んだかなんて聞かれたら私達のこと一発でバレちゃうよね!?」
パチュリー「おそらく…。美鈴が遅れたら、多分私達が集客してること、バレるわね…。」
フラン「美鈴遅れたら一貫の終わりじゃん!」
パチュリー「どうしようもないわね…、こればっかりは私達にもどうすることもできないわ。」
パチュリー「美鈴、頑張りなさい。」
パチュリー(死ぬ気で…!!)
〜外〜
ダッダッダッダッ
美鈴「ハァ…、ハァ…」
美鈴(2時間以内…、どこをまわる!?魔法の森、人里、竹林…)
美鈴(全部をまわるのはおそらく不可能…、一箇所に絞って確実に集客を…)
?「うわ、ちょっと!!」
美鈴「!?」
美鈴「ハァ…ハァ…、え、どこから声が…」
?「下だよ、下!」
美鈴「下?」
美鈴「あ、あなたは小人の!」
針妙丸「気をつけてよ、もう…。今日はいつも以上に踏まれそうになるなぁ…。」
美鈴「す、すいません…。」
美鈴「あ、では急いでいるので、これで…」
針妙丸「あ、ちょっと待って!」
美鈴「え、なんですか?」
針妙丸「会っていきなりこんなこと頼むのは、あれなんだけど…。」
針妙丸「私を彼岸に連れてって!」
美鈴「彼岸?」
針妙丸「そう。私、今彼岸に向かってるんだけど、このままじゃ辿り着ける気がしなくて…。」
美鈴「そんな、私も急いでいるのに…」
針妙丸「お願い!」
美鈴「そう言われましても…。」
針妙丸「このままだと明日の宴会に間に合わないの、お願い!!」
美鈴「……」
美鈴「…わかりました。掴まって下さい。ただし…」
針妙丸「ありがとう!後できっと…」
美鈴「全速力ですので、振り落とされても知りませんからね!!」ダッ !!
針妙丸「ギャァァァ!!!!!」
〜紅魔館・キッチン〜
ガチャ
パチュリー「咲夜、今大丈夫?」
小悪魔「…」
咲夜「はぁ…、はぁ…、大丈夫、です…。今、丁度休憩中なので…。」
パチュリー「…大丈夫?」
咲夜「…おそらく。」
パチュリー「…まぁ、いいわ。いいかな…。とりあえず美鈴が出発したわ。レミは今美鈴に代わって門番しているところね。」
咲夜「そうですか…、ちょっと安心しました。」
パチュリー「ただし、制限時間つきで。」
咲夜「…遅れたら?」
パチュリー「私たちのやってきたことがバレるわね…。」
咲夜「詳しく、教えていただけますか?」
パチュリー「レミィが美鈴に門の飾り付けを命じたの。2時間で外から飾りを持ってくるようにね。で、もし美鈴が遅れたらレミィが明日門番をやるって言ってるわ。で、問題はここから。」
パチュリー「レミィが門番をやった場合、来た客全員になんで紅魔館に来たのかを聞くらしいわ。」
咲夜「…、バレますね、私たちの計画。」
パチュリー「とはいえ、私たちにできることはあまりないわ。美鈴がしっかりやってくれることを祈るしかないのかしらね…。」
咲夜「はい、そうですね…。」
パチュリー「…咲夜、大丈夫?」
咲夜「………」
咲夜「…すいません、まったく頭がまわってないです…。えっと…美鈴が遅れたら…、なんでしたっけ?」
パチュリー(さっき適当に返事したわね、この子…。)
パチュリー「あぁ、とりあえず美鈴が帰って来るのを待てってことよ。」
咲夜「わかりました…。」
パチュリー「あと、こあ、大丈夫?さっきから返事がないけど…。」
小悪魔「…パチュリー様…、ですか?」
パチュリー「大丈夫、二人とも!?」
咲夜「大丈夫、です、明日の宴会までには料理、体調も万全にするので…。」
パチュリー「なら、いいけど…」
咲夜「…宴会って明日でしたっけ?」
パチュリー「本当に、大丈夫!?一回本格的に休んだ方がいいんじゃないの!?」
咲夜「いえ、もう大丈夫です。十分、休みました…。」フラフラ
咲夜「こあ、やるわよ!!」
小悪魔「はい、咲夜さん!!」
パチュリー(2人の体力、持つかしら。倒れなきゃいいけど、特に咲夜は…。)
パチュリー(…、2人じゃなくて、3人だったわね…。)
〜外〜
美鈴「はぁっ…!はぁっ…!」ダッダッダッダッ
美鈴(痛い痛い痛い痛い!!!脇腹、死ぬ、死ぬ!!)
針妙丸「あっぶ!あぁおち、おち!!うわぁああああ!!!!」
美鈴「はぁっ、はぁっ、そういえばっ、針妙丸さんはなんで彼岸に行きたいんですか!?明日の宴会に間に合わないって、はぁっ、どういうことですか!?」
針妙丸「言ってなかったっけ!?」
美鈴「はい!」
針妙丸「えっとね、あぶっ!えっと…」
針妙丸「正邪と一緒に宴会を過ごしたいから!」
美鈴「はぁっ、はぁっ、えっと、どういう…ことですか…?」
針妙丸「正邪は、お尋ね者で、宴会に出ることを禁止されてるの!だから私が閻魔様に直接頼みに行って許してもらって…!!」
美鈴「はぁ…、はぁ…、そう、だったんですか…」
美鈴(…凄いな、正邪のために、その体で、ここまで一人で歩いて…)
美鈴(私も、頑張らないと…!)
美鈴(音を上げてる場合じゃないっ!!!)ダッ!!
針妙丸「さっきより速くなってない!!??」
〜紅魔館・エントランス〜
パチュリー「はぁ…。」
パチュリー(…美鈴は多分、時間内に帰ってくる。そう信じたいけど…、最悪の事態は避けたいわね。)
パチュリー(そのために、何か手を打たないと…。)
パチュリー「ねぇ、フラン。」
フラン「パチェ〜、もう石像残ってないの?壊し足りないんだけど。」
ゴブリン「コエェ…」ガクブル
パチュリー「フラン、あなた目的変わってきてない?」
フラン「えぇ、そう?」
パチュリー「まぁ、それは置いといて、美鈴の件なんだけど。」
フラン「ひょっとして、何か解決策が見つかった?」
パチュリー「いや、それはまだ…。でも、最悪の事態を避けるためにも何か手は打たないといけない気がするのよ。」
フラン「確かに…。でも、私とパチェはこれ以上お姉様と接触しない方がいいんじゃないの?」
パチュリー「それは、ごもっともだわ。」
フラン「じゃあ咲夜とこあに頼む?」
パチュリー「それは無理ね、今咲夜とこあは死にそうになりながら料理してるから。むしろ死にながら料理してるから。」
フラン「そんな大変なんだ…。じゃあ…」
フラン「駄目じゃん!打つ手無しじゃん!」
パチュリー「なんとか、自然に接する方法があればいいんだけど…。」
フラン「う〜ん…、お姉様から話しかけてもらうのを待つしかないと思うなぁ。その時にうまくその話に持っていけばなんとか…。」
パチュリー「それしかないわね…。」
ガチャ
レミリア「立ってるだけっていうのもなかなか大変ね。ふぅ…疲れたわ。」
パチュリー、フラン(きた!)
パチュリー「お疲れ様。」
レミリア「本当疲れたわよ。今妖精と言い争ってたけど、あいつら馬鹿ね。本当馬鹿。妖精ごときの宴会が我が紅魔館に敵うわけ無いでしょうに。」
パチュリー「え、妖精達が宴会を?」
レミリア「そうらしいわよ。なんかアリス率いる妖精軍団が、魔法の森で宴会するんですって。で、今集客中らしいけど…。」
パチュリー「へぇ、そうなの。」
フラン「ちなみに、誰が来るって言ってた?」
レミリア「誰だったかしら…、あのいたずら好き三妖精にチルノ、大妖精、ルーミアにえっと…最近異変に関わった妖精、山姥、リリー、レティ…そんなもんだったかしら。あぁ、あとリグル。」
パチュリー、フラン(ボロ負け!!)
レミリア「ふん、だから言ってやったわよ。紅魔館には幻想郷全土の妖怪がこぞって集まって来るってね。」
パチュリー「あら、そう…。」
フラン「ね、ねぇお姉様。さっきの話なんだけど…。」
レミリア「なに、フラン?」
フラン「美鈴が遅れたらお姉様が門番やるって本当?」
レミリア「えぇ、そのつもりよ。それがどうかしたの?」
フラン「なんか、お姉様っぽくないかなーって。別にそんなことしなくてもいつも通り門番も美鈴に任せてればいいのに。」
レミリア「屋敷の仕事も任せて門番も任せるって…、フラン、あなたも中々の鬼ね…。」
フラン「えへへ。」
レミリア「…でも駄目なのよ、それじゃあ…。」
フラン「へ?」
レミリア「私は今回咲夜に、そしてみんなに仕事を任せてた。その結果咲夜が倒れてしまった。痛感したわ、私は人に任せすぎだって。私も何かするべきなんだなって。」
フラン「はぁ…。」
パチュリー「…」
レミリア「だけど今すぐに料理ができるほど私は有能ではない。だから、せめて門番でもなんでもしてみんなに貢献出来たらいいなって…。」
レミリア「なんてね。まぁ結局、屋敷の仕事を美鈴に任せたら元の木阿弥な気もするけどね。でも、少しでもみんなの役に立ちたいのは本当よ。」
レミリア「じゃあ、戻るわね。あんまりここで喋っていると、外で寝てるのと変わらないものね。じゃ、また後で。」
バタン
フラン「…」
レミリア「…」
パチュリー「フラン、あなたとってもいいあねをもったわねー。」
フラン「うん、じまんのおねえさまだよー。」
パチュリー「…一つ分かったわ。」
フラン「なに?」
パチュリー「私には、レミィをなんとかできる気が全くしないわ。」
フラン「私も…。」
〜彼岸〜
美鈴「はぁ…、はぁ…、着きましたよ…。」
針妙丸「あ、ありがとう…。うっぷ、吐きそう…。」
美鈴「!」
美鈴(そうだ、時間は!?)
美鈴(…、残り50分!?帰るだけでも厳しいのに、ここから飾り付け、集客しなきゃなんて…!!)
美鈴「では、急いでるので、私はこれで!」
針妙丸「あ、待って!何かお礼したいんだけど!!」
美鈴「いや、はぁ…別に、大丈夫ですよ!」
針妙丸「でも…」
美鈴「あ、じゃあ一つだけ…」
美鈴「明日の宴会ぜひ紅魔館に来てください!来る人が少なくて困ってるんですよ、では!!」ダッ
針妙丸「あ…」
針妙丸「行っちゃった…」
美鈴(集客、どこをまわるか、まわれるのか…)
美鈴(いや、まずはお嬢様の任務を最優先で!!集客はそのあと…!)
〜魔法の森〜
美鈴(ここで、花を集めて、お嬢様に届ければ、なんとか…)
美鈴「はぁ…、はぁ…」
美鈴(集める時間、あるかな…)
幽香「そこに正座しなさい!!」
美鈴「!?」
美鈴(この声は、幽香さん!?なんでこんなところに…)
美鈴「…」チラッ
サニー「…でも、ちょっと採り過ぎただけですよ…?」
幽香「ちょっと…?」
幽香「何言ってるのよ!!!!」
サニー「す、すいません、すいません!!」
幽香「ちょっとでも駄目なの!!花の取りすぎは生き物を殺めるのと同じなの!あなたたちはいわば大量殺」
美鈴「あの!」
幽香「え?」
サニー「美鈴さん?」
スター「なんでここに…」
美鈴「もし、その花余っているのでしたら譲ってもらえますか?」
幽香「いきなり何よ。」
美鈴「実は今、紅魔館の飾りつけを調達するよう頼まれてて、もしその花が余ってるのでしたら、紅魔館に使いたいなと思いまして…。」
幽香「…なるほどね。」
幽香「いいわよ、むしろ花が無駄にならなくて感謝したいぐらいだわ。」
美鈴「いえ、こちらも助かります、ありがとうございます!」
美鈴(よし、飾り付けの材料は集まった!!残り時間いっぱい集客に…)チラッ
美鈴「…」
美鈴(残り5分…)
美鈴「あの、ちなみに明日の宴会は…」
幽香「えぇ、見ての通りここで開かせてもらうわよ。もしよかったら来てちょうだい。」
美鈴「あ、まぁ…行ければ…。」
幽香「あ、無理しなくてもいいわよ。その様子だと、紅魔館でも宴会を開くんでしょう?」
美鈴「はい、一応…。」
幽香「お互い、いい宴会にしましょ。」
美鈴「はい、そうですね…。」
美鈴「では、私はこれで…。」
〜紅魔館・エントランス〜
フラン「パチェ、もうそろそろ2時間じゃない!?美鈴帰ってこないけど!」
パチュリー「…厳しかったかしらね。やっぱり2時間で集客に飾りつけの調達なんて。」
フラン「ねぇ、パチェ、どうしよ!?」
パチュリー「…」
パチュリー「フラン、覚悟はしておいた方がいいわよ…。」
フラン「うぅ…」
小悪魔「はぁ…はぁ…」
パチュリー「こあ、咲夜も。料理の方は?」
咲夜「だいぶ、進みましたよ…、はぁ…明日までには、なんとか…」
パチュリー「そう、良かったわ。」
咲夜「はぁ…、はぁ…、それより、美鈴は、帰ってきましたか…?」
パチュリー「それが、まだ…。」
咲夜「…そうですか。時間はあとどれぐらいですか?」
パチュリー「もう、1分と無いわ。」
咲夜「そんな…」
パチュリー「美鈴にはちょっと酷なことをしたかもね。どんな結果でも、帰ってきたら労いましょ。」
咲夜「そう、ですね…。」
フラン「うん、そうだね…。」
小悪魔「…あれ、」
パチュリー「ん?」
小悪魔「あの窓の向こう、走って来てる人、美鈴さんじゃないですか!?」
パチュリー「え?」
フラン「あ、本当だ!!」
美鈴「はぁ…、はぁ…、お嬢様、飾りつけ、持ってきましたよ…!」
レミリア「美鈴、ご苦労様。すごい汗ね、大丈夫?」
美鈴「あの、明日の門番…」
美鈴「明日の門番、私にやらせてください!!」
レミリア「美鈴、あなたそこまで門番の仕事を…」
レミリア「…」
レミリア「…、わかったわ。明日の門番は貴方に任せるわ。」
レミリア「でも、今は私に任せなさい。疲れてるだろうから屋敷で休んでくるといいわ。飾りつけも私がやっておくから、ね。」
美鈴「ありがとうございます、では、休ませていただきます…。」
ガチャ
フラン「美鈴!!」
パチュリー「美鈴、よく帰ってきたわね、お疲れ様。」
咲夜「美鈴、あなた、やっぱりやるときはやるわね。」
小悪魔「流石です、美鈴さん!」
美鈴「ありがとう、ございます…。」
パチュリー「で、美鈴、どうだった?」
美鈴「あの…」
美鈴「…」
パチュリー「美鈴?」
美鈴「すいません、誰一人として集客できませんでした!!!」
フラン「え…」
美鈴「私が不甲斐ないばっかりに!!何も得られなかった2時間でした!!」
パチュリー「そう…」
美鈴「本当申し訳ございません!!私がもっとしっかりしていれば…!本当…」
咲夜「もう、いいわよ。」
美鈴「咲夜さん…。」
咲夜「さっきあなたは私が失敗したことを責めなかったでしょ?なら、それと同じ。美鈴だって悪くないわ。」
小悪魔「あれだけ必死に頑張ってたんですもん、誰も責めたりしませんよ。」
フラン「うん、そうだよ!美鈴も、悪くない!!」
美鈴「皆さん…。」
美鈴「ありがとう、ございます…!」
パチュリー「やっぱり行き当たりばったりの計画じゃ、なかなか上手くいかないわね。もっと考える時間があったらいけたと思うのだけど。」
小悪魔「仕方ありませんよ、いきなりでしたから。」
パチュリー「ま、明日の宴会は、身内パーティーっていうことで、いいんじゃないかしら?」
小悪魔「それはそれで楽しそうですよね!」
咲夜「たとえ身内パーティーになろうと、私は全力を出しますね。」
美鈴「私もっ!う、ゴホッ」
咲夜「美鈴、あなたはしばらく休んでなさい。」
フラン「…」
パチュリー「フラン、もう気にしないの。切り替えていきましょ?」
フラン「うん、わかってる…。」
パチュリー「ねぇ、フラン。」
パチュリー「明日の宴会楽しみましょ?」
フラン「…」
フラン「…うん!」
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