東方宴会劇 6章 歩いて、走って、飛んで、そして…
あらすじ
みんなで宴会しようぜ
注意点
東方Projectの二次創作です。原作設定との乖離やキャラ崩壊が見受けられるかと思いますがご了承ください。以上の点をご理解頂いたうえで読んでいただけると幸いです。
一言
少名針妙丸ワンマンショー。
では、参りましょう。
~輝針城~
針妙丸「正邪、明日宴会だよ?どうする?」
正邪「あ?」
針妙丸「だから、明日宴会なんだって。しかも魔理沙が言うには幻想郷全土の宴会らしいよ。」
正邪「ふーん。」
針妙丸「…興味なさそうだね。」
正邪「別にどうでもいいな。私には関係ない。」
針妙丸「そんな投げやりにならなくても、せっかくだからどこか行かない?」
正邪「行かない。」
針妙丸「もう、ちょっとぐらいいいでしょ?私は正邪と一緒にどこか行きたいんだけど。」
正邪「ふーん、そうか。」
針妙丸「もう、正邪ってば!」
正邪「あー、もう。うるせぇなぁ。」
針妙丸「正邪!」
正邪「あーうるさいうるさい。」
針妙丸「もう…」
針妙丸「ねぇ、正邪。なんでそこまで宴会を嫌うの?」
正邪「別に嫌ってるわけじゃねぇけど。」
針妙丸「嫌ってるじゃん。」
正邪「はぁ…」
正邪「…」
正邪(あ、いいこと思いついた。)
正邪「じゃあ教えてやるよ、私が宴会行かない理由。」
針妙丸「理由?」
正邪「私が今幻想郷でお尋ね者になってるのは知ってるだろ?」
針妙丸「まぁ…。」
正邪「で、お尋ね者は宴会には参加できないんだとさ。これは閻魔様が決めたことだから私じゃどうすることもできないんだよ。」
針妙丸「え、そうだったの…」
正邪「だから、明日宴会が開かれようが私には関係ないんだよ。」
針妙丸「知らなかった…」
針妙丸「…」
正邪(嘘だけど。)
正邪(まぁこれで、こいつも諦めがつくだろ。)
針妙丸「…」
針妙丸「…じゃあ、閻魔様を説得できたら宴会に参加できるってことだね!」
正邪「はぁ?」
針妙丸「ちょっと私閻魔様のところ行って話してくる!」
正邪「え!?」
針妙丸「正邪、待ってて!」
ビュン
正邪「えぇ…」
正邪「…」
正邪(…まぁいいか。すぐ帰って来るだろ…。)
・
・
・
~魔法の森~
針妙丸「よいしょっ、と。」
針妙丸(ここは、魔法の森、っぽいね。どの辺だろ…)
針妙丸(どうしよ、空を飛んでくのもありだけど…)
針妙丸「せっかくだし、歩いて行こうかな。」
針妙丸(にしても、幻想郷全土の宴会かぁ…、すっごい盛り上がるんだろうなぁ…。)
針妙丸「楽しみだなぁ…」
針妙丸(にしても、正邪を宴会に参加させてくれないなんて、閻魔様もひどいなぁ…。いいじゃん、宴会ぐらい。)
針妙丸(正邪、宴会に参加できるようになったら喜んでくれるかなあ…。)
針妙丸(まぁでも、正邪のことだし、どうせ『めんどくせぇ』だの、『何勝手なことしてんだよ』とか言うんだろうなぁ…いつもそうだもん。)
針妙丸(そうだよね、この前も…)
・
・・
・・・
正邪「あー?お祭りー?」
針妙丸「そう、お祭り。今人里でやってるんだって。正邪も行かない?」
正邪「興味ねぇ、寝てるわ。」
針妙丸「でもさぁ…」
正邪「うるせぇっての!」
針妙丸「じゃあいいの!?私一人で行っちゃうよ!」
正邪「勝手にしろ。」
針妙丸「もう…」
・・・
・・
・
針妙丸(あー言っておきながら結局あの後土産がなんだー、だの私が行けばどうだーだの、騒いでたもんなぁ…。)
針妙丸(あ、そういえばあの時も…)
・
・・
・・・
針妙丸「んーっ、んーっ。」
正邪「…何してんだよ。」
針妙丸「マッサージ。正邪が疲れてるかと思って。」
正邪「はぁっ!?何勝手なことしてんだよ!」
針妙丸「あ、嫌だった?じゃあ…、やめる。」
正邪「いや…、別にやめろとは言ってないぞ。」
針妙丸「え?やってほしい?」
正邪「いや、やりたきゃ勝手にやれよ。」
針妙丸「…はいはい。」
・・・
・・
・
針妙丸「あった、あった。」
針妙丸(正邪ってば本当に捻くれ者なんだから…。)
針妙丸「…」
針妙丸(…でもまぁ、そこが面白くて好きってのもあるかな…。)
?「うぉっと!」
針妙丸「え?」
魔理沙「お、ちっこいの。」
針妙丸「あれ、魔理沙。ちっこいゆーな。」
魔理沙「お前さっき輝針城いなかったか?こんな所で何してるんだ?」
針妙丸「実はね、今から閻魔様のところに行こうと思ってるの。」
魔理沙「閻魔?映姫の所か。なんでまた。」
針妙丸「正邪が言ってたんだけど、なんでも正邪は明日の宴会に出ることを閻魔様に禁止されてるみたいでね。だから私が直談判しに行こうと思ってるの。」
魔理沙「正邪を宴会に参加させるためにか?」
針妙丸「うん、そうだね。」
魔理沙「なるほどなぁ。優しいな、お前。」
針妙丸「そう?もう慣れたよ。」
魔理沙「そうか。でも一つだけ言わせてもらうと、進んでる方向違わないか?」
針妙丸「え?」
魔理沙「彼岸はあっちだが。」
針妙丸「え!?うわー、やっちゃった…。」
魔理沙「まぁまだ日は長い。十分間に合うと思うぜ。」
針妙丸「うん、わかった。ありがとう。」
魔理沙「ま、頑張れよ。」
ザッザッザッザッ
針妙丸「ふぅ、さて、向かわないと…。」
・
・
・
針妙丸「結構歩いたなぁ…。今どこら辺なんだろう…。」
針妙丸(まぁでも、森を抜けたらだいぶ歩きやすくなるから、もう少しの辛抱…。)
大妖精「チルノちゃん、誰をお客さんに呼ぼうと思ってるの?」
チルノ「うーん、なんにも考えてない。」
チルノ「でも、大丈夫!あたいは最強だから100万人集まるよ!」
大妖精「本当かなぁ…」
針妙丸(あれは、妖精たち、かな…?)
ラルバ「あ、蛙。」
蛙「ゲコッ」
大妖精「あ、本当だ。」
チルノ「よし、そこの蛙!一人目のお客さんになるんだ!!」
蛙「ゲコッ!?」
針妙丸(元気だなぁ…)
チルノ「待ーてー!!」ダッダッダッダッ
ラルバ「待てー!」ダッダッダッダッ
大妖精「待ってよー!」ダッダッダッダッ
蛙「ゲコッ、ゲコッ!!」ダッダッダッダッ
針妙丸「…ん?」
チルノ「こらー、待てー!!」ダッダッダッダッ
ラルバ「待ーてー!!」ダッダッダッダッ
針妙丸「えっ…!?」
チルノ「待てー!!」ダッダッダッダッ
針妙丸「いや、ちょっ!!なんでこっちに!!」
ダッ!!
チルノ「こら蛙、待てってば!!」ダッダッダッダッ
ラルバ「待てよー!!」ダッダッダッダッ
大妖精「はぁ…、はぁ…待って…!!」ダッダッダッダッ
蛙「ゲコッ、ゲコゲコッ!!!」ダッダッダッダッ
針妙丸「なんで私まで!!」ダッダッダッダッ
・
・
・
~輝針城~
正邪「…」
正邪「……」
正邪(遅いな、あいつ…)
・
・
・
~迷いの竹林~
針妙丸「はぁ…、はぁ…、なんとか、逃げ切れた…。」
針妙丸「ここ、は…」
針妙丸「…」
針妙丸「……」
針妙丸「や、ちゃった、かも…。ここ…」
針妙丸(迷いの竹林……)
針妙丸「…」
針妙丸「とりあえず、歩こう…」
針妙丸(やっぱり、一人で出るのは厳しいかな…)
針妙丸(前に来た時はどうしたっけ…)
針妙丸「えっと…」
・
・・
・・・
針妙丸「どうしよ、迷っちゃったね…」
正邪「あ、別に迷ってねーし。」
針妙丸「どうやって帰ろう…、お腹空いた…」
正邪「はぁ…」
正邪「あーもう、うざってぇなぁ!」
正邪「頭に乗ってろ!!すぐに帰ってみせるからよ!!」
針妙丸「正邪…」
・・・
・・
・
針妙丸(あの時の正邪はかっこよかったなぁ。結局すぐには帰れなかったけど。)
針妙丸「正邪、やるときはやるからなぁ…」
ガサッ
針妙丸「だ、誰!?」
妹紅「あれ、声がしたと思ったんだけどな…」
針妙丸(あ、正邪じゃなかった…。でも、助かった…!)
針妙丸「下、下!!」
妹紅「下?」
妹紅「お、小人か。」
針妙丸「あの、お願いがあるんだけど…」
妹紅「あぁ、言わなくてもわかる。ここから出たいんだろ?」
針妙丸「うん、お願いします!」
妹紅「お安い御用だ。でもなんでお前さんがこんな竹林に来たんだ?」
針妙丸「あ、えっと…」
妹紅「とりあえず、歩きながら話そうか。」
妹紅「なるほどなぁ。」
針妙丸「うん。で、なんか知らないうちに妖精達に追われちゃって、逃げるのに必死で気づいたら竹林に来ちゃってたんだよね。」
妹紅「そういうことだったのか。にしても大変だな、お尋ね者のためにそこまで頑張るなんて。奴の差し金か?」
針妙丸「違うよ、私が好きでやってるだけ。」
妹紅「そりゃ驚いた。よくあんな奴の為にそこまで…」
針妙丸「正邪を悪く言わないで!!」
妹紅「え、あぁ、すまん…」
針妙丸「…」
妹紅「…」
針妙丸「……」
妹紅「……」
妹紅「…一人のためにそこまでやれるって、凄いな。」
針妙丸「…それ、魔理沙にも言われた。」
妹紅「魔理沙も言ってたのか。まぁそれだけ立派だってことだ。」
針妙丸「ありがとう…」
妹紅「さて、抜けたぞ。ここからは一人で行けるな?」
針妙丸「うん、大丈夫。ありがとう!」
針妙丸(えっと、彼岸は、っと…)
妹紅「あ、あと。」
針妙丸「?」
妹紅「正邪のこと、悪く言ってすまなかった…。」
針妙丸「別に、気にしてないよ。正邪がみんなに迷惑かけてるのは事実だし。むしろ、私もむきになっちゃってごめんなさい。」
妹紅「これからは、お尋ね者とも腹を割って話してみるとするよ。じゃあな、ちっちゃいの。頑張れよ。」
針妙丸「うん、また!」
針妙丸(…よし、向かわないと!)
・
・
・
〜輝針城〜
正邪「遅い……」
正邪(ったく、何してるんだあいつ!?いい加減戻ってきてもいいだろ…!)
正邪「…」
正邪「……」
正邪「あー、ったく!探しに行きゃいいんだろ!探しに行きゃ!!」
バタン!!
・
・
・
〜草の根〜
針妙丸(今、どの辺だろう…。道、合ってるかな…?)
萃香「もちろん、そぉい!」
グイッ!
わかさぎ姫「すごいすごい!浮いてる!」
蛮奇「さすが鬼の力、恐ろしいな…。」
針妙丸(あれ、鬼と草の根妖怪が集まってる。明日の宴会かな…?)
針妙丸(…でも、今は話してる時間ないかも。結構余計な時間食っちゃったし、急がないと…。)
わかさぎ姫「下ろして~…」
萃香「あぁ、ごめんごめん。よいしょ…」
針妙丸「え?」
針妙丸「え、うわ、ちょっ!!」
針妙丸「あ、危ない!」
萃香「ん?なんか言った?」
勇儀「いや、別に…」
針妙丸「下、下!」
萃香「ん?」
勇儀「あれ、お前は…」
パルスィ「小人…」
針妙丸「もう、気を付けてよ、死んじゃうよ!」
針妙丸(本当に外は危ないなぁ…)
萃香「小さくて危ないなら大きくなればいいんじゃないのか?」
華扇「それはあなたの能力でしょうに…」
勇儀「小人がこんなところで何してるんだい?」
針妙丸「ちょっと閻魔様の所に向かってるの。」
ヤマメ「閻魔様?なんでまた。」
針妙丸「正邪を宴会に参加させたくって…。」
わかさぎ姫「あ、なつかしー。」
華扇「お尋ね者ね。」
蛮奇「正邪が宴会に参加するのになんで閻魔様が関係するの?」
針妙丸「なんか、正邪が言うには閻魔様に宴会を参加するのを許してもらえないから宴会に参加しないって…。」
萃香「なんだよそれ、別に参加したいならすればいいじゃないか。宴会に善も悪も関係ないだろ!!」
勇儀「お、よく言った!!」
パルスィ「無いこともないと思うけど…。」
針妙丸「だから、四季映姫さんの所に行って正邪が宴会に参加できるようお願いしようと思ってるんだけど…。」
華扇「なるほどね。」
わかさぎ姫「え、じゃあ輝針城から歩いてここまで来たの!?」
針妙丸「うん。」
影狼「あの距離を、すごい…。」
勇儀「なら、疲れただろ?ちょっと休んでいくといいよ。」
針妙丸「えっ、いいの?」
針妙丸(彼岸に行くの、休んでも間に合うかな…?)
針妙丸(急がないといけないのはわかってるけど、でもまだ昼だし、正直疲れちゃったし…。)
針妙丸「じゃあ...、お願いしちゃおうかな。」
針妙丸(多分、大丈夫…。)
勇儀「しっかし、あの天邪鬼のために閻魔の所まで行こうとするなんて、おそれいったよ。」
ヤマメ「本当、凄いね。」
針妙丸「別に、私が好きでやってることだから、大したこと…」
パルスィ「妬ましいわね。」
針妙丸「え、な、なに?」
パルスィ「その相手を想う一途な姿勢、本当妬ましいわ。」
針妙丸「一途って、そんな…」
ヤマメ「いやいや、パルスィだって十分一途じゃん。ねー。」
キスメ「ねー。」
パルスィ「いや、私は…」
勇儀「お、そうなのか?」
パルスィ「ゆ、勇儀はいいから!!」
勇儀「お、おう。」
針妙丸「ふーん、なるほど。」
針妙丸(パルスィって人、勇儀って人のこと好きなのかな?多分…。)
ヤマメ「でもやっぱりすごいなー。正邪のこと、好きなんだね。」
針妙丸「まぁ、そうかな…。確かに正邪は本当に捻くれ者なんだけど、でもなんかほっとけなくて。」
針妙丸「おせっかいかもしれないけど…。」
勇儀「…おせっかいなわけがあるか。」
針妙丸「え?」
勇儀「立派な心がけだ、大したもんだよ。異変の時からずっとそうやって頑張ってきたんだろう?」
針妙丸「ま、まぁ…。半分は騙されてただけだけど…」
勇儀「その想いは絶対届くさ。間違いない、私が断言するよ。」
針妙丸「あ、ありがとう…。別に慰めてもらいたかったわけじゃないけど…。」
勇儀「まぁまぁ、細かいことは気にするなって。」
針妙丸(…そんなに、私って一途なのかな…?別に、そういうつもりでやってないけど…)
ヤマメ「で、これからどうするの?やっぱり閻魔様の所に向かうの?」
針妙丸「もちろん。まだ目的は果たしてないもん。」
ヤマメ「そっか、偉いね。でもここからじゃやっぱり遠くない?結構時間かかると思う。」
針妙丸「まぁ、そうだけど…仕方ないかな。」
勇儀「連れて行ってあげるか?」
針妙丸「え、いいの?」
針妙丸(ラッキー!)
勇儀「私はいいと思うけど、どうだろ?」
パルスィ「この後どこを回るかによるんじゃない?私達自身まだ全然人集まって無いけど。」
勇儀「それもそうか…。」
針妙丸「あなた達も宴会開くの?」
勇儀「おう、博麗神社でな。」
針妙丸「あ、いつもの。でも博麗神社なら、そんなに人集めなくても大丈夫じゃない?」
ヤマメ「それもそうとは言い切れないんだって。幻想郷全体の宴会だからさ、色んな所が会場になるらしくて。他所に人が取られちゃうかもしれなくて。」
針妙丸「そっかぁ。」
針妙丸(あ、無理っぽいかも。)
パルスィ「話を戻そっか。で、どうする?連れて行く?」
ヤマメ「うーん…」
針妙丸「いや、私のことは気にしなくても…」
キスメ「…あ、いいこと思いついた…!」
針妙丸(いいこと…?)
勇儀「ん?」
キスメ「ヤマメちゃん、ゴニョゴニョ…」
ヤマメ「え、何それ面白そう!」
キスメ「でしょ…!」
ヤマメ「私、準備してくる!」
ダッダッダッダッ
パルスィ「…何しに行ったの?」
キスメ「それは、お楽しみ…♪」
針妙丸(え、な、なんだろ…)
・
・
・
萃香「うんにゃ?あの蜘蛛妖怪は?」
勇儀「あぁ、ヤマメ?」
パルスィ「ヤマメなら何か準備しに行ったわよ。」
華扇「準備?」
針妙丸「私が閻魔様の所に行くって話をしたら、いきなりどこか行っちゃって…。」
萃香「何かって何さ。」
針妙丸「う~ん…」
針妙丸(不安なんだよなぁ…)
勇儀「私にもわからん。」
キスメ「〜♪」
華扇「なにか知ってそうな顔ね。」
キスメ「ふふっ、内緒…。」
ヤマメ「あ、みんな集まってる。準備してきたよー。」
勇儀「お、帰ってきた。」
針妙丸「ねぇ、何しに行ったの?」
ヤマメ「それは、あとのお楽しみ。それよりご飯にしようよ、お腹空いたー。」
キスメ「私も…。」
萃香「気になるなぁ。」
パルスィ「もったいぶってないで言いなさいよ。別に減るもんじゃ…」
グー
針妙丸(…///)
パルスィ「…」
勇儀「おい、パルスィー。」
ヤマメ「ほら、やっぱりパルスィもお腹空いてるんじゃん。」
パルスィ「ち、違っ!これは向こうの仙人でしょ!」
華扇「…///」
萃香「なんだ、お前かい。」
華扇「…べ、別にちょっと鳴っただけで…、生理現象だから仕方の…ゴニョゴニョ」
影狼「はいはーい。やっぱりまずはご飯にしましょ。腹が減っては戦は出来ぬ、でしょ?」
蛮奇「うん、それにご飯冷めちゃうしね。」
わかさぎ姫「食べよー!」
勇儀「よし、食べるか!な、華扇?」
華扇「そ、そうね…」
萃香「お待ちかねのご飯だな。な、華扇?」
華扇「わかったって!」
針妙丸(良かった、バレてないバレてない…。)
勇儀「この肉じゃが美味いな!」
萃香「この鮭も格別!」
針妙丸「あったかい味〜。」
ヤマメ「すごっ、3人とも料理上手だなぁ。」
わかさぎ姫「それほどでもないよ〜。」
針妙丸(本当に美味しいなぁ。正邪とは大違い…)
・
・・
・・・
針妙丸「ただいま、遅くなってごめん!」
正邪「あぁ、やっと帰って来やがった。そのままどっか行っちまえばよかったのに。」
針妙丸「ごめんね、今から夕飯作るから。」
正邪「夕飯なら作ってあるぞ。」
針妙丸「え、正邪が作ったの!?」
正邪「あぁ、そうだよ、悪いか!」
針妙丸「正邪…」
針妙丸「ありがとう!」
・・・
・・
・
針妙丸(正直、あんまりおいしくなかったけど…)
針妙丸(…あ、そういえば今日の夕御飯、どうしよ。明日のことばかりでなにも考えてなかった…)
針妙丸(なんとか、なるかな…。)
萃香「よし、じゃあ飲むか!!」
勇儀「お、いいな!!」
影狼「え、明日宴会なのに今飲むの!?」
萃香「おうよ、前夜祭だ!」
蛮奇「昼だけど…」
萃香「じゃあ前日祭だ!」
針妙丸「すごい酒好き…」
針妙丸(ふふっ、賑やかだなぁ。)
わかさぎ姫「そういえば、ヤマメちゃん、だっけ?」
ヤマメ「うん?」
わかさぎ姫「私達が料理持ってくる間、どこ行ってたの?」
針妙丸「!」
蛮奇「そういえば。もうそろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」
針妙丸(私も知りたかった!)
ヤマメ「あ、あれね。凄い作戦思いついたんだよー。まぁ私じゃなくて考えたのはキスメだけど。名付けて?」
キスメ「えっと…大飛行大作戦っ!」
蛮奇「大飛行?」
針妙丸(大飛行…??)
針妙丸「え、飛んで行くってこと?」
ヤマメ「普通に飛ぶんじゃないよ。この紙を使うの。」
影狼「えっと…どういうこと?」
キスメ「この紙で紙飛行機を作って、小人さんを乗せて、鬼さんに投げてもらう!みたいな…」
針妙丸(え、本気!?)
萃香「う?呼んだか?」
華扇「紙飛行機を作ってそこに小人を乗せて投げてもらうんだって。」
勇儀「また面白いことを思いついたな。」
萃香「よし、いっちょやりますか!」
針妙丸「ちょ、ちょっと待ってよ!」
萃香「うん?」
針妙丸「そんな危ない計画賛成出来ないよ!上手く飛ぶかわからないし、目的地に着くかわからないし…」
萃香「つまり、上手く飛ぶ可能性もあるし、目的地に着く可能性もあるってことだろ?」
針妙丸「そうじゃなくて!そうだけど、そうじゃなくて…」
針妙丸(無理だって!怖いよ!!)
勇儀「まぁまぁ。ここは私達に任せな。な、華扇?」
華扇「え、私?やらないわよ。」
ヤマメ「えー。」
華扇「というか、賛成してないし、こんな不安要素の多い作戦。」
針妙丸(良かった、味方いた…。)
勇儀「ほう、自信が無いと。」
華扇「…はぁ?」
勇儀「だってそうだろ?自信が無いからやらないんだろ?」
華扇「いや、そういうわけじゃ…」
萃香「よし、じゃあ私がやるか。まぁ華扇は大人しくしてな。仙人だし、大した力も無いだろうしな。」
華扇「なっ!?」
勇儀「そうだな、華扇には監督がお似合いだな。仙人だしな。」
キスメ「仙人って大したことない…」
華扇「や、やればいいんでしょやれば!酔っ払いよりはまともに出来るわよ!!」
針妙丸(味方すぐ消えた!!)
勇儀「お、やる気になったか!」
萃香「な!?私が投げるつもりだったのに!」
華扇「駄目、それだけは許さない。」
萃香「ちぇー。」
針妙丸「だ、大丈夫かな…」
パルスィ「勇儀が大丈夫って言ってる時は最終的にはなんとかなるわよ。最終的には、だけど。」
針妙丸「余計不安…」
影狼「じゃあ、ご飯を食べ終わったら準備しましょうか。」
蛮奇「指揮、頼んだよ。」
ヤマメ「もち!」
キスメ「が、頑張る…!」
針妙丸(えぇ……)
・
・
・
針妙丸(不安、不安不安…)
勇儀「よし、準備いいか?」
針妙丸「うん。ちょっと怖いけど…」
針妙丸(いや、だいぶ怖いけど…)
華扇「大丈夫よ、酔いどれが投げるわけじゃないから。」
萃香「私が投げたかった…。」
華扇「絶対ダメ。」
針妙丸(大丈夫かな…?万が一落ちたら、大怪我だよ…。いや落ちなかったとしても着陸はどうするんだろ…。私、飛行機なんて操縦できないし、最悪の場合…)
影狼「あの、そろそろ離陸したら?」
華扇「そうね。針妙丸、しっかり掴まってるのよ。」
針妙丸「うん、わかった!」
針妙丸(本気で掴むに決まってるよ!)ギュッ
ヤマメ「よし、発車5秒前!4、3、2、1…!」
針妙丸(来る、来る来る…!)
華扇「それっ!」
ブンッ!!!!
針妙丸(神様!!)
・
・
・
〜魔法の森〜
成美「ネムノ、鹿捕まえてきたんだ。」
ネムノ「あぁ、いいのが取れたべよ。」
成美「そっか。で、それを絞めると。」
ネムノ「明日な。肉は新鮮な方がいいべ。」
成美「だね。」
正邪「おい、そこの奴ら!あのチビ見なかったか?」
ネムノ「ん?」
成美「うわ、お尋ね者…」
ネムノ「チビ?あの小人のこどか?」
正邪「あぁ。」
ネムノ「いんや、見てねぇけんど。」
成美「私も知らないなぁ。」
正邪「んだよ、使えねぇなぁ。」
成美「うわ、人に聞いといてその態度…」
ネムノ「お前さんを明日の宴会の肉にしてもいいんだど…?」ゴゴゴゴ
正邪「は、やれるもんならやってみろ。」
正邪「…ってそんな時間は今はねぇけど。知らないんだったら用はない。じゃあな!」
ビュン!
成美「行っちゃった…」
ネムノ「なんだったんだべ…」
・
・
・
ビュゥゥゥゥゥ!!!!!
針妙丸「う、ぐっ、くぅ!!!」
針妙丸(速っ!!やば落ちる…!!!)
針妙丸(でも、これなら間に合うかも…!!)
針妙丸「…ん、あれ…」
針妙丸「や、やばい!!ちょっ!!!」
ビュゥゥゥゥゥ!!!!!
はたて「うん、いい感じに集まってきた。しっかし幻想郷全土の宴会なんて、文もよくやるわ。」
はたて「…ん?」
針妙丸「ちょっと!!どいてどいて!!!」
はたて「ん?何か…」
ドン!!!
針妙丸「う、うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」ヒュゥゥゥ
はたて「いっ…痛た……」
はたて(え、何?鳥…?)
ヒュゥゥゥゥゥゥ!!!
針妙丸「うぎゃァァァァァァ!!!!!」
ドンッ!!
針妙丸「いっ…!!!痛っ!!!!」
針妙丸(うぅ、今日は散々だ…)
針妙丸(ここ、ど…)
針妙丸「うっ…!」
針妙丸(足首、捻った…!?)
針妙丸「やっちゃったよ…、どうしよ…」
針妙丸(このままじゃ、閻魔様の所に行けない…どうしよ…)
・
・・
・・・
針妙丸「…痛っ、うぅ…」
針妙丸(う、動けない…このままじゃ帰れないよ…)
針妙丸(どうしよ…)
正邪「はぁ、ここにいたか、やっと見つけた…」
針妙丸「正邪!」
正邪「おい、チビ!お前何してんだよ、馬鹿じゃねぇのか!?」
針妙丸「ご、ごめんなさい…」
針妙丸「でも、ありがとう…」
正邪「か、勘違いすんなよ!別にお前なんて死んでもいいって思ってるからな!!ただ…」
正邪「死ぬときは私の隣で私より後に死ねやくそが!!!」
・・・
・・
・
針妙丸(あの時みたいに、正邪が来てくれないかなぁ…)
針妙丸(正邪…)
ダッダッダッダッ
針妙丸「!?」
針妙丸(正邪!?)
美鈴「ハァ…、ハァ…」
針妙丸(違った、紅魔館の門番…。なんでこんな…)
針妙丸(ってまた、踏まれ…!)
針妙丸「うわ、ちょっと!!」
美鈴「!?」
美鈴「ハァ…ハァ…、え、どこから声が…」
針妙丸「下だよ、下!」
美鈴「下?」
美鈴「あ、あなたは小人の!」
針妙丸「気をつけてよ、もう…。今日はいつも以上に踏まれそうになるなぁ…。」
美鈴「す、すいません…。」
針妙丸(でも、いい所に来てくれた。この人に頼らないと…もう…!)
美鈴「あ、では急いでいるので、これで…」
針妙丸「あ、ちょっと待って!」
美鈴「え、なんですか?」
針妙丸「会っていきなりこんなこと頼むのは、あれなんだけど…。」
針妙丸「私を彼岸に連れてって!」
美鈴「彼岸?」
針妙丸「そう。私、今彼岸に向かってるんだけど、このままじゃ辿り着ける気がしなくて…。」
美鈴「そんな、私も急いでいるのに…」
針妙丸(うっ…)
針妙丸「お願い!」
美鈴「そう言われましても…。」
針妙丸(やっぱり駄目かな…)
針妙丸(でも、このままじゃ正邪が…!)
針妙丸「このままだと明日の宴会に間に合わないの、お願い!!」
美鈴「……」
美鈴「…わかりました。」
針妙丸(やった!!)
美鈴「掴まって下さい。ただし…」
針妙丸「ありがとう!後できっと…」
美鈴「全速力ですので、振り落とされても知りませんからね!!」ダッ !!
針妙丸「ギャァァァ!!!!!」
針妙丸(またこういうの!!)
・
・
・
~博麗神社~
正邪「おい、貧乏巫女!あのチビ知らないか!?」
霊夢「何よ、いきなり来て。」
あうん「ちょっとお尋ね者は帰ってください!」
正邪「…ってかお前、明日の宴会準備しなくていいのか?」
霊夢「あぁ、いいのよ。博麗神社では宴会開かないから。」
あうん「え!?」
正邪「そ、そうなのか。まぁそれはどうでもいい。それよりあのチビ!」
霊夢「針妙丸?知らないわよ。華扇やら萃香やらにでも聞いてくれば?」
正邪「け、ここにもいないのかよ。時間の無駄じゃねぇか。じゃあな!」
正邪(あいつ、本当にどこ行ったんだよ!!)
・
・
・
美鈴「はぁっ…!はぁっ…!」ダッダッダッダッ
針妙丸「あっぶ!あぁおち、おち!!うわぁああああ!!!!」
針妙丸(死ぬ!!今度こそ死ぬ!!!)
美鈴「はぁっ、はぁっ、そういえばっ、針妙丸さんはなんで彼岸に行きたいんですか!?明日の宴会に間に合わないって、はぁっ、どういうことですか!?」
針妙丸「言ってなかったっけ!?」
美鈴「はい!」
針妙丸「えっとね、あぶっ!えっと…」
針妙丸「正邪と一緒に宴会を過ごしたいから!」
美鈴「はぁっ、はぁっ、えっと、どういう…ことですか…?」
針妙丸「正邪は、お尋ね者で、宴会に出ることを禁止されてるの!だから私が閻魔様に直接頼みに行って許してもらって…!!」
針妙丸(そうだよ、こんな所でへこたれてる場合じゃ…)
美鈴「はぁ…、はぁ…、そう、だったんですか…」
ダッ!!
針妙丸(え、えっ!?)
針妙丸「さっきより速くなってない!!??」
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〜彼岸〜
美鈴「はぁ…、はぁ…、着きましたよ…。」
針妙丸「あ、ありがとう…。うっぷ、吐きそう…。」
針妙丸(なんとか、着いた…)
美鈴「では、急いでるので、私はこれで!」
針妙丸「あ、待って!何かお礼したいんだけど!!」
美鈴「いや、はぁ…別に、大丈夫ですよ!」
針妙丸「でも…」
美鈴「あ、じゃあ一つだけ…」
美鈴「明日の宴会ぜひ紅魔館に来てください!来る人が少なくて困ってるんですよ、では!!」ダッ
針妙丸「あ…」
針妙丸「行っちゃった…」
針妙丸(…あの人も本気で急いでたのに、私のわがままで…)
針妙丸(私も何かしてあげないと…!)
?「誰か来たと思ったら、やけに小さなお客さんだね。」
針妙丸「死神…」
小町「よっす。どうしたんだい?こんな辺鄙な所に来て。明日は宴会なんだからこんな所に来ないで人里とか行った方がいいだろう。」
針妙丸「実はその宴会についてで…」
針妙丸「あなたの上司、四季映姫さんに会わせて欲しくてここまで来たの。」
小町「ほう、四季様に?こりゃまた珍しい。」
針妙丸「お願い、できる?」
小町「あぁ、お易い御用だ。」
針妙丸(やった、いよいよ…!)
小町「ただ…」
針妙丸「え?」
小町「お前さんの思い通りことが運ぶかは、別だけどな。」
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~人里~
華扇「それにしても、参ったわね。人里の妖怪もほとんどが宴会主催か行く場所決めてるか。正直やることといったら宴会準備を眺めるぐらいしかないわね。」
萃香「いいじゃないか、こういうのも。のんびり宴会準備を眺めながら飲む酒も乙なもんだぞ。」
華扇「あのねぇ、そんな悠長にしてると博麗神社に人が来なくなるわよ?」
萃香「それは困る。」
華扇「じゃあもっと動きなさい、酒飲んでないで。」
ビュン!!
正邪「はぁ…、はぁ…、やっと見つけた…」
萃香「お、お前は、お尋ね者か。」
華扇「お尋ね者が私たちに何の用?」
正邪「あのチビがどこ行ったか教えろ!!今すぐに!!」
華扇「はぁ…、人にものを頼む態度じゃないわね。あなたねぇ、いい?まず人に尋ねる時は…」
正邪「今急いでんだよ!説教は後にしろ!!」
萃香「あのちっこいのなら彼岸に向かっていったぞ?っていうか、お前を宴会に参加させるために彼岸に行くって話だろう?お前、知らなかったのか?」
正邪(あいつ、マジで行きやがったのか…!!)
正邪「お前らには関係ないだろ!用は済んだ、じゃあな!!」
華扇「ちょっと待ちなさい!あなた、ものの尋ね方もなってないし、お礼もないし、あの小人の想いもわかってないっていったいどういうことなの!?ちょっと一から叩き直してあげるからそこに正座なさい!まずは…」
正邪「時間無いっつってんだろ!鬼かお前!!」
ビュン!!
華扇「あ、逃げた!まったく…」
萃香「…まぁ、確かに鬼だな。」
華扇「いや、そういう意味じゃないでしょ…」
華扇「…え、そういう意味じゃないでしょ!?」
萃香「さぁ。」
・
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〜新地獄〜
映姫「ふぅ、やっと一段落…。」
小町「四季様〜。」
映姫「あら、小町。あなた、今日はちゃんと仕事してたわね。」
小町「まぁ、明日宴会なんで。で、四季様にお客さんですよ。」
映姫「お客さん?」
針妙丸「どうも。」
映姫「あら、小人ね。針妙丸っていう名前だったかしら。わざわざこんな所に来るなんて、一体何の用?」
針妙丸「あの、正邪を…」
針妙丸「正邪を宴会に参加させてあげてください!!」
映姫「え、えっと…」
映姫「…詳しく話してもらえる?」
針妙丸「詳しくも何も、あなたが正邪に宴会参加の禁止令を出してるから正邪が宴会に参加出来ないんじゃないですか!」
映姫「宴会参加の禁止令…、そんなこと言ったかしら…。」
針妙丸「え…」
映姫「まぁでも、普通に考えればそうね。指名手配犯が宴会を楽しんでいいわけが無いわね。」
針妙丸「そんな…!いいじゃないですか、1日ぐらい!」
映姫「駄目ね、少なくとも手配が無くなるまでは。宴会はいつでも開かれる、また次の機会まで待ちなさい。小町、連れて行って。」
小町「わかりました。四季様、やっぱり厳しいっすね。」
映姫「失礼な、私は当然のことを言ってるだけです。」
針妙丸「そんな、お願いします!!」
映姫「はぁ…」
映姫「じゃあ、あなたはその正邪が宴会で迷惑をかけた時に責任を取れるのかしら?」
針妙丸「え?」
映姫「正邪は今でも幻想郷の妖怪達に迷惑をかけてます。その正邪が宴会の場で他の妖怪に迷惑をかけないと誓えるのかしら。もし誓えないのであれば、他の妖怪に迷惑をかけた場合の全責任をあなた一人で背負ってもらうことになるけど、できるのかしら?」
針妙丸「えっと、それは…」
映姫「指名手配というのは問題のある者を表す汚名。その名が付けられるということはそれ相応に危険があるということです。問題の無いものにその名は付けられない。その正邪もそれ相応に危険性があるため手配が出てるの。そんな危険因子を野放しにすることは出来ないわね。たとえそれが一日だとしても。」
針妙丸「…」
映姫「わかったかしら。その正邪を宴会に参加させたいという気持ちがあるなら、まず正邪の方を変えるよう努めなさい。では…」
?「ちょっと待ってもらえる〜?」
針妙丸「え?」
映姫「この声は…」
へカーティア「お疲れ〜。」
映姫「お、お疲れ様です、へカーティア様。」
針妙丸「あの人は…」
小町「三界の神、へカーティア・ラピスラズリ様だよ。端的に言うと四季様の上司。」
針妙丸「あの四季映姫さんの…。」
へカーティア「四季ちゃん固すぎよん。いいじゃない、参加させてあげれば。」
映姫「ですが正邪は以前異変を起こした張本人でして、今も幻想郷の…」
へカーティア「もう、その辺が固すぎなのよん。せっかくの大宴会なのよ?そこに善も悪も無いって。」
映姫「ですが…」
ヘカーティア「もう、強情ねぇ…」
ヘカーティア「針妙丸ちゃん、だっけ。」
針妙丸「はい。」
へカーティア「あなたも、本気でその正邪って子と宴会を楽しみたいのよね?」
針妙丸「は、はい!お願いします!!」
ヘカーティア「…本心、よね?」
針妙丸「もちろんです!正邪に宴会を楽しんでほしいし、正邪と一緒に宴会を楽しみたいです!!」
へカーティア「…」
ヘカーティア「…よし。」
ヘカーティア「えっと、四季ちゃんの言い分はこうよね。その正邪ちゃんっていう子が宴会の席で迷惑をかけちゃうから参加許可は出せない。もし参加させるなら絶対にその子が迷惑をかけないようにするか、迷惑をかけた場合の責任を負う。そうよね?」
映姫「はい、そうですが…。」
へカーティア「じゃあこうしましょ。もし、その子が何か問題起こしたら全責任を私が負ってあげる。これでどう?断る理由ないでしょ?」
映姫「うっ…」
針妙丸「四季映姫さん、お願いします!!」
へカーティア「ほら、針妙丸ちゃんだってこれだけ頼んでるんだし、私からもお願いよ。ね?」
映姫「…本当にへカーティア様には敵いませんね…。わかりました、正邪が宴会に参加することを許可します。」
小町「良かったな、小人さん。」
針妙丸「やっ…」
針妙丸「やったぁぁぁ!!!」
針妙丸「ありがとうございます、へカーティアさん!四季映姫さん!」
へカーティア「いえいえ。」
映姫「へカーティア様に感謝するのよ。」
へカーティア「にしてもあなた、その正邪って子のために色んな所歩き回ったのね〜。」
針妙丸「え、なんでそのこと…」
へカーティア「凄いわ、私、尊敬しちゃった。」
針妙丸「いえ、別に大したこと…」
へカーティア「いや、凄いわよ、本当に。私には真似出来ないわ。」
針妙丸「そう、かな…。」
映姫「さて、じゃあこの辺にしましょう。小町、今度こそ連れて行ってあげて。」
小町「わかりました。行こうか。」
針妙丸「あ、うん。」
へカーティア「明日の宴会、楽しむのよん。」
針妙丸「はい!」
・
・
・
〜彼岸〜
針妙丸「じゃあ、この辺でそろそろ…」
小町「足首挫いてるんだろ?輝針城まで連れて行ってあげるよ。」
針妙丸「え、でも…」
小町「いいからいいから。」
針妙丸「…」
小町「せっかく宴会の許可もらったのに、浮かない顔してるな。」
針妙丸「あ、ちょっと引っ掛ってて…。」
小町「引っ掛かってるとは?」
針妙丸「今日は四季映姫さんに会うために色んなところ回ったけど、会う人会う人に言われたんだよね。正邪のために頑張って偉いって…」
小町「ほう、いい事じゃないか。」
針妙丸「確かに嬉しいけど、でも私は褒められたくてやってるんじゃないからさ。それより、正邪に喜んで欲しくて…。」
小町「なるほどねぇ。」
小町「正邪が喜んでくれるか、不安かい?」
針妙丸「不安…、むしろちょっと諦め…。」
小町「…そうか。」
小町「…それは、あたいには分からないね。あたいは正邪じゃないし。」
針妙丸「…だよね。」
小町「まぁ、本人に聞いてみな。丁度そこにいるし。」
針妙丸「え?」
ビュン!!!
正邪「はぁ…はぁ…、お前!どこ行ってたんだよ!!」
針妙丸「せ、正邪!?な、なんで…」
正邪「お前の帰りが遅いから探しに行ってたんだろーが!!」
針妙丸「そ、そうだったの…」
小町「さて、あたいの役目は終わりかな。じゃあ後は正邪に任せるよ。」
正邪「うるせぇ、お前に指図される覚えはねぇよ。」
小町「はいはい。じゃあ小さいの、明日の宴会楽しむんだよ。」
針妙丸「うん!」
ビュン
正邪「…おい、帰るぞ。」
針妙丸「うん…」
・
・
・
〜輝針城〜
正邪「ったくお前、足首捻るまで無理すんじゃねぇよ。宴会のことなんて誰も頼んでねぇのによ。」
針妙丸「ごめんなさい…」
正邪「ほら、終わったぞ。立てるか?」
針妙丸「うん、大分楽になった…。ありがとう…」
正邪「別に。」
針妙丸「…正邪、明日の宴会、楽しみ…?」
正邪「あ?別に興味ねぇ。お前が閻魔の所に行きやがったから参加せざるを得ないけどよ。」
針妙丸「そっか…」
正邪「あーあ、疲れた。さて、と…」スッ
針妙丸「あれ、正邪?どこ行くの?」
正邪「明日の宴会のためにお前の好きな酒買ってくるんだよ。」
正邪「まぁ頼んではいねぇけど、せっかく頑張ってくれたし、一応、な…。」
針妙丸「正邪…」
正邪「一応だからな!別に感謝してねぇぞ!!」
針妙丸「うん!正邪、明日の宴会、楽しもうね!!」
正邪「だから興味ねぇって言ってんだろ!!」
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