2019-04-21 15:49:32 更新

概要

あらすじ
みんなで宴会しようぜ

注意点
東方Projectの二次創作です。原作設定との乖離やキャラ崩壊が見受けられるかと思いますがご了承ください。以上の点をご理解頂いたうえで読んでいただけると幸いです。

一言
草の根妖怪の集まる場を草の根と定義する程度の能力。

では、参りましょう。


~博麗神社~

萃香「え・ん・か・い・だ~!!」

萃香「霊夢、宴会だぞ~!」

ガラッ


シーン…


萃香「あれ、誰もいない…」

?「ちょっと、何叫んでるの?うるさいんだけど。」

萃香「あれ、お前は確か…」

あうん「狛犬の高麗野だよ。神社で騒ぐんだったら出てってほしいんだけど。」

萃香「なんで私が出ていかなきゃいけないのさ。私は霊夢を宴会に誘っただけだろ?」

あうん「だって、あなた噂だと霊夢のストーカーじゃないですか~。」

萃香「っはぁ!?す、ストーカーじゃないし!そういうお前だってずっと霊夢のこと見ててストーカーっぽいんだよ!」

あうん「わ、私は霊夢さんのことを見守ってるだけ!ボランティアなだけ!!」

萃香「へ~、それ本当に霊夢は感謝してるのか~?」

あうん「え…」

あうん「か、感謝してるはずだもん!!」

萃香「本当か~?」

あうん「うるさい、うるさい!!」

?「ちょっと、何二人して叫んでるの?うるさいんだけど。」

あうん「あ、華扇さん。違うんですよ!この鬼が私にひどいこといってくるから!」

華扇「ちょっと、萃香?」

萃香「や、言ってきたのはそっちからだから!!」

華扇「喧嘩両成敗、両方悪い。」

あうん「はーい…」

萃香「ぶ~…」

あうん「で、華扇さんは何しにここに来たんですか?」

華扇「魔理沙から聞いたのよ、今幻想郷全体が宴会で盛り上がってるって。だから霊夢の様子を見に来たのよ。ちゃんと宴会の準備してるのかなって。」

あうん「なるほど、そういうことでしたか。わざわざ様子を見に来てくれてありがとうございます。」

萃香「なんで私と同じことしてるのに私だけ…」

あうん「でも、霊夢さん魔理沙さんとどこかに行きましたよ?で、まだ帰ってきてないです。」

華扇「あれ、変ね。魔理沙と会ったときは霊夢はいなかったけど…。」

萃香「あれじゃないか?霊夢は買い出しに行ったとか。」

華扇「そうね。あと、魔理沙の話だと色んなところで宴会が開かれるらしいからほかの所を見に行ってるとか…。」

あうん「えー、色んなところが宴会開いたら博麗神社に人来なくないですか?」

華扇「あ、確かに。」

萃香「じゃあ私たちで誰か呼ぶか?」

華扇「あ、それありね。霊夢はどうせそういうことしなさそうだし。」

萃香「じゃあ、ひと仕事しますかー!」

華扇「あうんは来る?」

あうん「私は神社を見張ってなきゃいけないのでいいです。」

華扇「そう。従順で偉いわね。」ナデナデ

あうん「~♪」

萃香「なんか私と態度違わないか?」

あうん「そりゃそうよ。華扇さんとストーカーでなんで同じ態度になるのさ。」

萃香「だから、ストーカーじゃないから!」

華扇「ほら、萃香、騒がない。じゃあ、あうん。行ってくるわね。」

あうん「いってらっしゃ~い。」

萃香「むぅ…。」


~人里~

一輪「店長、そこのお酒ちょうだい!」

布都「いや、我らに、店長!!」

店員「自分、新人なんですけど…」


八橋「もうちょい音出してもいいんじゃない、姉さん?」

弁々「え、うるさくないかな?」

雷鼓「いいんじゃないかな。明日は宴会だし、それにもっと騒ぐ組がいるし。」

弁々「確かに。」


萃香「プハ~」

華扇「こら、歩きながら飲まない。」

萃香「まぁ固いこと言わない言わない。明日は宴会なんだからさ。」

萃香「にしてもいいねぇ、宴会ムード。」

華扇「あなたはお酒が飲めればいいんじゃないの?」

萃香「いやいや、この宴会で飲む酒がいいんでしょ~。」

華扇「じゃあ今はお酒を飲むのをやめれば?」

萃香「それはまた別の話だからね~。」

華扇「まったく…」

萃香「にしても、本当に宴会ムードだな~。」

華扇「そうね。魔理沙から幻想郷全土で宴会が開かれるとは聞いてたけど、まさにそんな雰囲気ね。」

萃香「そういえば幻想郷全土で宴会が開かれるってどういうことだ?」

華扇「ほら、文屋の新聞には宴会開かれる、しか書いてなかったでしょ?それで誰がどこで開くか書かれていないのなら、誰がどこで開いてもいいんじゃないかっていうこと。」

萃香「ふ~ん、別におとなしく博麗神社で開いてればいいのに。」

華扇「あなたは博麗神社好きね。私は面白いと思うけど、色んなところの宴会が見れて。」

萃香「だって博麗神社に来る人減っちゃうじゃんか!」

華扇「それは仕方ないわよ。諦めなさい。」

萃香「ちぇ~…」

華扇「まぁまぁ、だから今から誘いに行くんでしょ?」

萃香「そうだけどさぁ。」

華扇「ちなみに誰を誘いに行くの?」

萃香「なんにも考えてない。」

華扇「あなたは…」

萃香「まぁとりあえず勇儀を誘いに行くよ。あいつなら乗ってくれるでしょ。」

華扇「なるほど。」

萃香「久々に鬼同士で飲もうって話さ。」

華扇「…私、仙人だからね。」

萃香「あぁ、はいはい。鬼仙人ね」

華扇「ただの仙人だから!ほかの所で言わないでよ!!」

萃香「はいは~い。」


~地底~

ヤマメ「ねぇ、外では宴会一色らしいけど、私たちどうする?」

キスメ「お燐ちゃんとお空ちゃんも外に出ちゃったね。」

勇儀「そうだねぇ、私たちもどこか行こうか?」

ヤマメ「久々に博麗神社行きたいな~。」

キスメ「私は、いいかな。一人じゃ行けないもん。」

パルスィ「私も、いいや。」

ヤマメ「えー、キスメはともかくパルスィも?」

勇儀「パルスィ、せっかくなんだからさ。楽しいぞ?」

パルスィ「いや、私は別に…」

華扇「あ、いたいた。」

萃香「おーい、勇儀ー。」

勇儀「あれ、萃香。それに華扇もかい。どうしたのさ、急に。」

萃香「宴会だぞー!」

華扇「宴会のお誘いに来たわ。」

勇儀「宴会って、博麗神社の?」

華扇「そうね。今色んなところで宴会が開かれていて博麗神社に来る人が少なくなりそうなのよ。だから何人か誘ってみようかなって思ってね。」

勇儀「なるほど、お客の確保っていうわけか。」

華扇「そんな言い方すると寂しいじゃない。まあごもっともだけど。」

ヤマメ「色んなところで宴会が開かれてるんですか?」

華扇「えぇ。紅魔館とか命蓮寺とか。人里では野外ライブも開かれるみたいだし。」

ヤマメ「へぇ、行ってみたい!キスメちゃんも行ってみたいよね!」

キスメ「う、うん…!でも、一人じゃ行けない…。」

勇儀「まぁ行くとなれば私か萃香か華扇が運ぶぞ。伊達に鬼をやってないからな。」

華扇「ちょっ…!」

萃香「そうだね、私が運ぶよ。」

キスメ「あ、ありがとうございますっ!」

勇儀「じゃあ私たちは博麗神社の宴会に参加するとして、それでも人数足りなくないか?」

華扇「そうね。もう少し誘った方がいいとは思うけど、正直誘うあてが無いのよ。」

勇儀「なるほど、じゃあ手伝うよ。幻想郷全体で宴会開かれてるとはいえ、まだどこにも参加できていない人はいるだろうし。」

華扇「そうね、じゃあお言葉に甘えて。」

萃香「よし、残りの三人もついてくるんだ!」

ヤマメ「はいな!」

キスメ「よ、よろしくお願いしますっ!」

パルスィ「いや、私は…」

勇儀「パルスィも来なよ。パルスィが来ないと、私が寂しいからさ。」

パルスィ「…勇儀がそう言うなら…」

萃香「よし、決まり!じゃあ、行くぞ!」



~外~

パルスィ「うっ、眩しっ…」

ヤマメ「外なんて久々~。」

キスメ「うん。」

勇儀「さて、どこに向かう?」

華扇「言い方悪いけど、あぶれている人を誘うんでしょ?となると、草の根妖怪とか…。」

勇儀「その辺だな。」

パルスィ「勇儀、太陽の畑の幽香さんとかは?」

勇儀「お、そうだね。それを考えると魔法の森のアリスとか、そのあたりも誘ってみる価値はあるかもな。」

華扇「あんまり喋ったこと無いけど…」

萃香「いや、今宵は無礼講!仲の良し悪し関係なし!片っ端から誘っていくぞー!」

勇儀「はは、相変わらずだな、萃香は。」

華扇「まったく…」

キスメ「あの、重くない、ですか?」

萃香「この程度余裕余裕。鬼だからね!」

キスメ「良かった…。」

勇儀「それにしても、久々だな、鬼三人で飲むのも。」

華扇「いや、私は仙人だから!」

勇儀「あぁ、すまん。そういえばそんな設定だったな。」

華扇「設定言わない!」


~草の根~

影狼「世間では、宴会ムードだね~。」

蛮奇「だね、まぁ私たちには関係ないけどね。」

わかさぎ姫「二人はどこか行ってきたらいいんじゃない?私はこんな体だから無理だけど。」

蛮奇「いや、姫が行けないんならいいよ。そこまで行きたいってわけでもないし。」

影狼「私も。まぁいつも通り三人でのんびり飲むのもありじゃない?」

蛮奇「ありあり。」

わかさぎ姫「ごめんね、二人とも。」

蛮奇「別に、気にしてないって。」

影狼「…あ、そういえば宴会の日って満月だったっけ?」

蛮奇「うん、そうだね。」

影狼「じゃあ私もどのみち駄目だよ。蛮奇、一人で行って来て。」

蛮奇「だから、行かないって。」


萃香「お、いたいた!」


蛮奇「?」

わかさぎ姫「どちら様?」

勇儀「どーも。」

華扇「ちょっとごめんなさいね、お尋ねしたいことがあって。」

影狼「私たちに?」

華扇「あの、」

萃香「宴会するぞー!!」

華扇「あ、もう…」

影狼「宴会?」

ヤマメ「そ、宴会宴会!」

キスメ「宴会、しませんか…!」

蛮奇「宴会のお誘いってこと?」

勇儀「そうそう。今博麗神社に来てくれそうな人を募ってるんだよ。ほら、今回の宴会、いろんなところで開かれるらしいだろ?だから、博麗神社に来てくれる人が減りそうで困ってるんだよ。」

蛮奇「なるほど、そういうことね。」

わかさぎ姫「でも、ごめんなさい。私は御覧の通り水が無い場所には行けないし、影狼ちゃんは満月の夜で変身しちゃうから宴会には出たくないんだって。」

華扇「あら、そうなの…。」

蛮奇「誘ってくれて申し訳ないけど、そういうわけだから私たちは三人で…」

萃香「宴会は誰一人欠けちゃいけないんだよ!!」

蛮奇「え?」

萃香「宴会は、全員で集まってこそ宴会なんだよ!誰一人欠けちゃいけないのさ!!」

ヤマメ「おぉ!」

勇儀「萃香、いいこと言った!」

蛮奇「あ、うん…。そうかもしれないけど…」

パルスィ「でも、だからと言ってどうするの?水のない場所に行けないのと変身しちゃう事実は変わらないけど。」

萃香「あぁ…」

萃香「それは気合で乗り切る!」

華扇「無理があるわよ…」

勇儀「じゃあ、水と変身をなんとかすれば宴会に来てくれるかい?」

蛮奇「…どう、二人?」

わかさぎ姫「それだったら行きたいなぁ。」

影狼「本当に?じゃあ私も行こっかな。」

勇儀「よし、じゃあ水と変身をどうにかしますか。」

キスメ「水は私みたいに桶に入っていればいいんじゃないかなって思います。大きめの桶を持ってきて、そこに水を入れて運ぶんです。」

ヤマメ「変身は薬屋の薬でいいんじゃない?ちょうど私も薬ほしかったし。まぁ私が誰かに病気かけちゃった時用のだけど。」

勇儀「よし、それでいこうか。」

華扇「なら、二手に分かれましょうか。桶を探しに行く組と薬をもらいに行く組にね。」

勇儀「じゃあ私はパルスィと桶を探しに行くかな。」

ヤマメ「あ、私もついて行く!」

キスメ「私もそっちがいいな…。」

萃香「じゃあ勇儀、これキスメ。」

勇儀「はいよ。」

キスメ「んっ…」

華扇「じゃあ私と萃香で薬をもらいに行きましょうか。」

萃香「あーい。」

影狼「なんか申し訳ないわね。」

わかさぎ姫「私たちも手伝いますか?」

勇儀「いや、いいよいいよ。私たちが好きでやってることだからさ。ほら、行こうか。」

ヤマメ「はいさ。」

キスメ「行こ…!」

パルスィ「…」

華扇「じゃあ私たちも。」

萃香「おうよ、行くぞー!」



勇儀「パルスィ、どうした?さっきから元気ないぞ?」

パルスィ「…別に。」

キスメ「パルスィは勇儀と一緒に飲みたかったって…」

パルスィ「…うるさい。」

ヤマメ「色んな人と飲むとパルスィ妬いちゃうからね。」

勇儀「まぁまぁ、パルスィ。みんなと一緒に飲むと楽しいぞ?」

パルスィ「…別に、妬いてないし。」

勇儀「パルスィも、参加してみれば楽しさがわかると思うぞ。で、桶なんだけど、とりあえず香霖堂でいいか?行ったことは無いが。」

キスメ「いいと思う。」

ヤマメ「っていうかそれ以外思い浮かばないからね。」

勇儀「よし、向かうとしますか。」


~香霖堂~

マミゾウ「そこをなんとかならんかね。私ら人間だけじゃ宴会は危な過ぎて回れんのじゃよ。」

小鈴「私からもお願いします!阿求と回りたくて!」

霖之助「そう言われても…。そもそも小鈴はともかく君は…」

マミゾウ「ん?わしはいたって普通の幼気な女の子じゃが?」

霖之助「はぁ、どの辺りが…」

マミゾウ「ん?何か文句でも?」

霖之助「…わかった。まぁでもそのことを抜きにしても、僕にお供は務まらないだろう。僕だってそんなに強くないんだから。」

小鈴「あ、そっかぁ…」

朱鷺子「じゃああの高校生も一緒に連れていけばいいんじゃないの?あの子結構強いでしょ。」

霖之助「あぁ菫子のことか。頼んでみる価値はあるかな。」

朱鷺子「だとしても霖之助さんもついて行くべきだと思うけどね。私も宴会興味あるし。」

霖之助「はぁ、これじゃあ四面楚歌じゃないか…。」

マミゾウ「これを外の世界ではハーレムと言うんじゃよ。まぁよろしく頼むよ。」

小鈴「明日、よろしくお願いします!」

バタン

霖之助「はぁ…」

朱鷺子「お疲れ様。」

霖之助「君も疲れの要因の一つなんだけどね。」

朱鷺子「私はあの二人のことを思ってアドバイスしただけだけど。」

霖之助「もう一人、ここに思うべき人がいるんじゃないかい?」

朱鷺子「あぁ、大丈夫。自分のこともちゃんと考えてるよ。」

霖之助「まったく君は…」

ガチャ

勇儀「失礼するよ。」

パルスィ「どうも。」

キスメ「すごい…!」

ヤマメ「色んな物が置いてあるね。」

霖之助「いらっしゃい。珍しいお客さんだね。」

パルスィ「あなたが道具屋の森近霖之助さん?」

霖之助「あぁ、そうだよ。一体今日は何の用で?」

キスメ「あ、あの、桶を探してるんですっ!」

霖之助「桶?」

勇儀「人魚を持ち運ぶ桶が欲しくてね。人魚が入るぐらいの桶は無いかい?」

霖之助「人魚を持ち運ぶ、とは?」

勇儀「明日の宴会は色んなところで開かれるだろう?私たちも草の根妖怪を宴会に誘ったんだよ。そしたら人魚の子が水がないと行けないって言ってたから、それなら大きい桶を用意してその中に水を入れて持ち運べばいいんじゃないかって思ってね。」

霖之助「なるほど、そういうことか。ただ、人魚が入る桶となると、ちょっと難しいなぁ。」

キスメ「そんなぁ…」

朱鷺子「そこの古道具をまとめて入れてある桶は?丁度いいんじゃない?」

霖之助「あぁ…」

ヤマメ「あ、これいいじゃん!」

霖之助「悪いけど、それは商品じゃないんだ。売れないよ。」

キスメ「え…?」

勇儀「そこを何とか頼むよ。」

霖之助「そう言われても…」

パルスィ「じゃあ借りるとかは?一時的に借りるならそちらにもデメリットは無いでしょ。」

霖之助「はぁ…。たとえ貸すとしてもこちらには基本不利益が生じるわけなんだよ。まず貸した相手が確実に返してくるとは限らないし、貸すまでにそれなりの準備がいる。本来ならそれなりの見返りが欲しいところなんだが。」

パルスィ「…その貪欲さ、妬ましいわね。」

霖之助「当然のことを言っているつもりなんだけど。」

ヤマメ「ねぇ、霖之助さんって言ったっけ。」

霖之助「?」

ヤマメ「あなた、確か半人半妖だよね?」

霖之助「まぁ、そうだけど。」

ヤマメ「ねぇ、ちょっとその桶を貸してくれないかな…?」

ヤマメ「なんか最近変な病が流行っててね〜。もし、変な病気にかかりたくなかったら、桶を貸した方が賢明だと思うんだけど。どうだい?」

霖之助「はぁ、そう来るか…。」

霖之助「…わかったよ。貸してあげるよ。」

ヤマメ「やったー!」

キスメ「ありがとうございますっ!」

霖之助「まったく、君たちは本当に強引だな…。」

勇儀「まぁまぁ、情けは人の為ならずとも言うだろ?」

霖之助「それはあれかい?情けをかけるのは人のためにならないため人に手を差し伸べる必要はないってことかい?」

パルスィ「その都合のいい解釈、頭の回転、妬ましいわね。」

朱鷺子「ただの屁理屈だけど。」

霖之助「まぁ桶については問題ないとは思うよ。それなりに質の良い物だから水が漏れることも無いだろうし。」

勇儀「それは助かるね。明日の宴会が終わったらすぐ返すよ。」

霖之助「そうしてもらえると助かるよ。」

勇儀「じゃあ桶も準備できたし、戻るか。」

キスメ「はーい。」



~迷いの竹林~

萃香「うぃ~、迷った~。」

華扇「大丈夫よ、私が把握してるから。」

萃香「華扇~、頼りにしてるぞ~。」

華扇「まったく、この酔いどれは…。」

ズブッ

萃香「ぬぉ!?落とし穴か!!」

華扇「ちょっと、大丈夫!?」

萃香「華扇、すごい!」

華扇「??」

萃香「角がひっかかったからギリ落ちてない!」

華扇「あ、うん…」

萃香「あ、でも痛い!角の付け根がっ、付け根がぁっ!!!」

?「あれ、鈴仙かと思ったら。こりゃ大物だね。」

華扇「あら、うさころね。」

てゐ「鬼様と仙人様ともあろうお方がこんなところで何を油打ってるんだい?」

華扇「それはあなたが罠を仕掛けたせいでしょう?」

萃香「華扇、付け根っ、付け根っ!!!」

華扇「あぁ、ごめん、忘れてたわ。今すぐ助けるから。」

てゐ「まぁまぁ、細かいことはいいじゃないかい。せっかくの宴会だよ?怒ってたら酒もまずくなるだろう?」

華扇「宴会は明日なんだけど、そこも気にする必要は無いのかしら?」

てゐ「無いね。」

萃香「ふぅ、助かった…。」

華扇「しかし、気に食わないわね。油売ってるって、それはあなたにも言えることじゃなくて?」

てゐ「いやいや、私はこう見えて仕事中だよ。明日の宴会の下見。」

華扇「…遊びじゃない。」

てゐ「ひょっとしたら姫様が他所の会場に興味を持つかもしれないだろう?そんな時に下見をしていれば他の会場のことを幾許か、教えてあげれるのさ。ほら、遊びじゃないだろう?」

華扇「…はぁ、あなたと相手してると疲れそうだわ。」

てゐ「それはお互い様だよ。」

萃香「おい、うさぎ!私達を罠にはめるとはいい度胸してんな!!どうなるかわかってるんだよなぁ、あぁ!?」

てゐ「おぉ、怖い怖い。師匠の次に怖いね。私だって鬼を相手に喧嘩売って、ただで帰してもらえるとは思ってないよ。」

てゐ「師匠の所まで案内してあげるよ。それでチャラってことで手を打ってもらえないかな。」

萃香「別に、私達2人だけでも薬屋には行けるぞ。その程度で交渉になると思ったら大間違いだね。」

てゐ「そう安全に向かえるかね?この辺には罠がたくさんあって、無事にたどり着くのは至難の業だよ。まぁ、なんで罠があるのかは知らないけどね。」

華扇「まったく、貴方のせいでしょうが…。」

てゐ「ほら、案内してあげるからついて来てくださいな。これ以上油売ってても時間の無駄だしさ。」

萃香「チッ…」

華扇「はぁ、まったく…。」


〜永遠亭〜

てゐ「鈴仙〜、お客さん〜。」

鈴仙「てゐ、やっと帰ってきた。もう、宴会の下見とか言って抜け出して、こっちの準備も手伝ってくれたって…」

華扇「どうも、こんにちは。」

萃香「うぃ〜。」

鈴仙「…うっ、」

鈴仙「うちのてゐがすいませんでしたぁ!!」

華扇「え?」

鈴仙「いや、その仙人様と鬼様がてゐを連れてくるからそういうことなのかなぁと…」

華扇「いえ、安心して、そうじゃないわよ。ちょっと明日の宴会で薬が必要になったから、それを貰いに来ただけ。」

鈴仙「あ、そういうことですか。良かったぁ…」

萃香「まぁこの兎に酷い目に合わされたのは、事実だけどさ。」

鈴仙「…やっぱり。」

てゐ「私は案内してあげただけなんだけどな。鈴仙、信じてよ。」

鈴仙「いや、一番信用ないから…。」

鈴仙「本当にごめんなさい。あの、後でてゐにはきつく言っておくので。…師匠が。」

華扇「きついのを一つ、お願いするわ。」

鈴仙「それと、薬でしたら奥の部屋に師匠がいますので、案内しますね。」

華扇「お願いするわ。」



鈴仙「師匠、お客様です。」

永琳「あら、どちら様?」

華扇「どうも。」

萃香「うぃっす。」

永琳「うどんげ、下がっていいわよ。」

鈴仙「はい、ではお願いします。」

永琳「仙人様に鬼様ね。今日はどういったご用件で?」

華扇「ちょっと薬をもらいに来たのだけど、いいかしら?」

永琳「えぇ、大丈夫よ。むしろ待ってたわ。」

萃香「待ってた?」

永琳「明日宴会でしょう?その中には薬がないと困る子がいるからね。ちゃんと準備はしてあるわよ。」

華扇「さすが月の頭脳ね、話が早くて助かるわ。」

永琳「で、どの薬がご所望かしら?万病に効く薬?すべての毒に効く解毒剤?二日酔い、胃もたれの薬なんてものも用意してあるけど。」

萃香「それは欲しいなぁ…」

華扇「そうね、万病に効く薬は欲しいわ。あと、狼になるのを防ぐ薬があればいいのだけど。」

永琳「あの狼娘ね。はい、用意してあるわよ。ただ、気を付けてね。この薬は狼になるのを一時的に防ぐだけ。恐らく次の日には変身してしまうわ。それに一時的とはいえ無理に変身を遅らせてる分、副作用はそれなりにあるからね。」

華扇「そうなの、伝えておくわ。」

萃香「なぁなぁ、お酒を美味しくする薬は無いのかい?」

華扇「無くても十分楽しそうに飲んでるじゃない…」

永琳「あるにはあるけど、それは私から渡せるものじゃないわ。というより、もうあなたは持ってるわよ。」

萃香「どういうことだ?」

永琳「ほら、隣に。」

萃香「隣?」

華扇「え、私?」

永琳「酒を美味しくするのは一緒に騒げる飲み仲間、でしょう?」

萃香「…なるほど。」

萃香「見直した!お前とはいい酒が飲めそうだ!」

永琳「生憎だけど私達は身内で飲むつもりなの。でも時間があればそっちも訪ねようかしら。」

萃香「おう、大歓迎!」

華扇「さて、じゃあそろそろおいとましましょうか。薬、ありがとう。」

永琳「いえいえ。」

萃香「お礼に何か手伝ってあげるぞ?」

永琳「手伝い?そうねぇ…」

永琳「じゃあこの、すべての毒に効く解毒剤を持つべき者に渡してきてくれないかしら?」

萃香「おう、お安い御用だ!」

華扇「持つべき者…ね。わかったわ。」

永琳「じゃあ、お願いするわね。」

華扇「それじゃあ萃香、帰るわよ。」

萃香「おう!」



萃香「じゃあな、世話になったよ。」

鈴仙「はい。うちのてゐが本当に…」

華扇「もういいって、怒ってないわよ。」

てゐ「そうそう、相手は仙人様だからもう怒ってないって。」

華扇「…この兎とはみっちり話したいものね、その口が直るまで。」

てゐ「それだけは勘弁願いたいねぇ。まぁ、私だってそれなりに反省してるさ。」

華扇「はぁ…まぁいいわ。」

萃香「じゃあな、うさころ。」

ビュン

鈴仙「よくあんたは鬼と仙人に向かってあんな態度で…。怖くないの?」

てゐ「明日は宴会だろう?宴会の前日の鬼は機嫌がいいからあの程度のことぐらいじゃ逆鱗に触れないのさ。そのぐらい私だって考えてるよ。」

鈴仙「そういうことには頭回るんだから…」

鈴仙「でも、片方は仙人だけど?」

てゐ「仙人ねぇ…」

てゐ「…はぁ、鈴仙は単純で羨ましいよ。」

鈴仙「?」






~草の根~

萃香「おーい、薬持って来たぞ~!」

勇儀「お、そっちも終わったか。こっちも桶を持って来たところだよ。」

華扇「あら、それは丁度良かったわね。」

ヤマメ「どう、水の具合は?」

わかさぎ姫「うん、いい感じ。」

キスメ「桶、落ち着く…?」

わかさぎ姫「うん、ちょっといいなぁ。」

キスメ「だよね~。」

わかさぎ姫「でも、これ持てるかな?私だけじゃなくて水も入ってるから結構重いと思うけど…。」

勇儀「萃香、これぐらい余裕だろ?」

萃香「もちろん、そぉい!」

グイッ

わかさぎ姫「すごいすごい!浮いてる!」

蛮奇「さすが鬼の力、恐ろしいな…。」

勇儀「別に襲ったりしないよ、酔っ払ってなかったらね。」

影狼「えっと、明日宴会なんだけど…。」

蛮奇「恐ろしい…。」

華扇「それから、これが薬。はい。」

影狼「ありがとう、助かるわ。」

華扇「あくまで変身を一日遅らせるだけだから、遅くとも次の日には変身しちゃうから気を付けてね。あと、副作用もあるかもしれないからね。」

影狼「わかった、覚悟しておくわ。」

華扇「それと、ほら、あなたにも。」

ヤマメ「え?」

華扇「あなたが酔っ払ったら他の人を病気にさせちゃうかもしれないって言ったんでしょ?だから万病に効く薬、万能薬。」

ヤマメ「あー、忘れてた。ありがとう。」

華扇「忘れてたって、あのねぇ…。いい?あなたが気を抜いたら他の人に迷惑がかかるのよ?たとえ宴会だとしても最低限のマナーは守るべきよ。いい?宴会はみんなで楽しむものなのだから他の人にも気を遣って…」

ヤマメ「わ、わかったよ!ありがとう!!」

勇儀「まぁまぁ、華扇、それぐらいにしてさ。そろそろお昼ごはんにしないか?」

華扇「…そうね。」

キスメ「あ、パルスィちゃん。ご飯持ってきてたよね…?」

勇儀「お、そうなのか?」

パルスィ「え、まぁ、一応…。」

萃香「おぉ、ありがたい!」

影狼「私たちも、何か持ち寄ろっか。」

蛮奇「そうだね、そんなに時間のかからないものをね。」

華扇「本当?ありがとう、助かるわ。じゃあ私は人里に行って何か買ってこようかしら。萃香、あなたも来る?」

萃香「おう。」

わかさぎ姫「下ろして~…」

萃香「あぁ、ごめんごめん。よいしょ…」

?「あ、危ない!」

萃香「ん?なんか言った?」

勇儀「いや、別に…」

?「下、下!」

萃香「ん?」

勇儀「あれ、お前は…」

パルスィ「小人…」

針妙丸「もう、気を付けてよ、死んじゃうよ!」

萃香「小さくて危ないなら大きくなればいいんじゃないのか?」

華扇「それはあなたの能力でしょうに…」

勇儀「小人がこんなところで何してるんだい?」

針妙丸「ちょっと閻魔様の所に向かってるの。」

ヤマメ「閻魔様?なんでまた。」

針妙丸「正邪を宴会に参加させたくって…。」

わかさぎ姫「あ、なつかしー。」

華扇「お尋ね者ね。」

蛮奇「正邪が宴会に参加するのになんで閻魔様が関係するの?」

針妙丸「なんか、正邪が言うには閻魔様に宴会の参加を許してもらえないから宴会に参加しないって…。」

萃香「なんだよそれ、別に参加したいならすればいいじゃないか。宴会に善も悪も関係ないだろ!!」

勇儀「お、よく言った!!」

パルスィ「無いこともないと思うけど…。」

針妙丸「だから、四季映姫さんの所に行って正邪が宴会に参加できるようお願いしようと思ってるんだけど…。」

華扇「なるほどね。」

わかさぎ姫「え、じゃあ輝針城から歩いてここまで来たの!?」

針妙丸「うん。」

影狼「あの距離を、すごい…。」

勇儀「なら、疲れただろ?ちょっと休んでいくといいよ。私達はここに残ってるからさ。」

針妙丸「えっ、いいの?じゃあ…、お願いしちゃおうかな。」

勇儀「おう!」

蛮奇「影狼、そろそろ行こっか。」

影狼「えぇ、そうね。」

華扇「じゃあ私達も行きましょ。」

萃香「行くとしますか。」

勇儀「じゃあ私達はここで待ってるから。悪いけど、頼んだよ。」

華扇「うん、じゃ、また。」



勇儀「しっかし、あの天邪鬼のために閻魔の所まで行こうとするなんて、おそれいったよ。」

ヤマメ「本当、凄いね。」

針妙丸「別に、私が好きでやってることだから、大したこと…」

パルスィ「妬ましいわね。」

針妙丸「え、な、なに?」

パルスィ「その相手を想う一途な姿勢、本当妬ましいわ。」

針妙丸「一途って、そんな…」

ヤマメ「いやいや、パルスィだって十分一途じゃん。ねー。」

キスメ「ねー。」

パルスィ「いや、私は…」

勇儀「お、そうなのか?」

パルスィ「ゆ、勇儀はいいから!!」

勇儀「お、おう。」

針妙丸「ふーん、なるほど。」

ヤマメ「でもやっぱりすごいなー。正邪のこと、好きなんだね。」

針妙丸「まぁ、そうかな…。確かに正邪は捻くれ者なんだけど、でもなんかほっとけなくて。」

針妙丸「おせっかいかもしれないけど…」

勇儀「…おせっかいなわけがあるか。」

針妙丸「え?」

勇儀「立派な心がけだ、大したもんだよ。異変の時からずっとそうやって頑張ってきたんだろう?」

針妙丸「ま、まぁ…。半分は騙されてただけだけど…」

勇儀「その想いは絶対届くさ。間違いない、私が断言するよ。」

針妙丸「あ、ありがとう…。別に慰めてもらいたかったわけじゃないけど…。」

勇儀「まぁまぁ、細かいことは気にするなって。」

ヤマメ「にしても、素直な気持ちだなー。誰かさんとは違って…」

パルスィ「…ね、妬ましいわね…。」

ヤマメ「で、これからどうするの?やっぱり閻魔様の所に向かうの?」

針妙丸「もちろん。まだ目的は果たしてないもん。」

ヤマメ「そっか、偉いね。でもここからじゃやっぱり遠くない?結構時間かかると思う。」

針妙丸「まぁ、そうだけど…仕方ないかな。」

勇儀「連れて行ってあげるか?」

針妙丸「え、いいの?」

勇儀「私はいいと思うけど、どうだろ?」

パルスィ「この後どこを回るかによるんじゃない?私達自身まだ全然人集まって無いけど。」

勇儀「それもそうか…。」

針妙丸「あなた達も宴会開くの?」

勇儀「おう、博麗神社でな。」

針妙丸「あ、いつもの。でも博麗神社なら、そんなに人集めなくても大丈夫じゃない?」

ヤマメ「それがそうとは言い切れないんだって。幻想郷全体の宴会だからさ、色んな所が会場になるらしくて。他所に人が取られちゃうかもしれなくて。」

針妙丸「そっかぁ。」

パルスィ「話を戻そっか。で、どうする?連れて行く?」

ヤマメ「うーん…」

針妙丸「いや、私のことは気にしなくても…」

キスメ「…あ、いいこと思いついた…!」

勇儀「ん?」

キスメ「ヤマメちゃん、ゴニョゴニョ…」

ヤマメ「え、何それ面白そう!」

キスメ「でしょ…!」

ヤマメ「私、準備してくる!」

ダッダッダッダッ

パルスィ「…何しに行ったの?」

キスメ「それは、お楽しみ…♪」




蛮奇「お待たせ。」

影狼「持ってきたよ、急だったから突貫工事になっちゃったけど。」

キスメ「す、すごい!凄く美味しそう…!」

わかさぎ姫「そんな、大したことないよ〜。」

パルスィ(水の中でどうやって料理したのかしら…)

萃香「お、皆集まってるじゃん。」

華扇「こっちも用意してきたわよ。」

勇儀「おぉ、悪いね。」

華扇「にしてもやっぱり凄いわね、どこもかしこも宴会の準備で。」

勇儀「そうか、確か命蓮寺がどうとか言ってたしな。」

華扇「命蓮寺の所と神霊廟の所がなんか競っていてね。見てて面白かったわ。」

勇儀「あそこは敵同士だからな、あの2つが宴会やるとなると何か起こりそうだな。」

萃香「うんにゃ?あの蜘蛛妖怪は?」

勇儀「あぁ、ヤマメ?」

パルスィ「ヤマメなら何か準備しに行ったわよ。」

華扇「準備?」

針妙丸「私が閻魔様の所に行くって話をしたら、いきなりどこか行っちゃって…。」

萃香「何かって何さ。」

針妙丸「う〜ん…」

勇儀「私にもわからん。」

キスメ「〜♪」

華扇「なにか知ってそうな顔ね。」

キスメ「ふふっ、内緒…。」

ヤマメ「あ、みんな集まってる。準備してきたよー。」

勇儀「お、帰ってきた。」

針妙丸「ねぇ、何しに行ったの?」

ヤマメ「それは、あとのお楽しみ。それよりご飯にしようよ、お腹空いたー。」

キスメ「私も…。」

萃香「気になるなぁ。」

パルスィ「もったいぶってないで言いなさいよ。別に減るもんじゃ…」


グー


パルスィ「…」

勇儀「おい、パルスィー。」

ヤマメ「ほら、やっぱりパルスィもお腹空いてるんじゃん。」

パルスィ「ち、違っ!これは向こうの仙人でしょ!」

華扇「…///」

萃香「なんだ、お前かい。」

華扇「…べ、別にちょっと鳴っただけで…、生理現象だから仕方の…ゴニョゴニョ」

影狼「はいはーい。やっぱりまずはご飯にしましょ。腹が減っては戦は出来ぬ、でしょ?」

蛮奇「うん、それにご飯冷めちゃうしね。」

わかさぎ姫「食べよー!」

勇儀「よし、食べるか!な、華扇?」

華扇「そ、そうね…」

萃香「お待ちかねのご飯だな。な、華扇?」

華扇「わかったって!」



勇儀「この肉じゃが美味いな!」

萃香「この鮭も格別!」

針妙丸「あったかい味〜。」

ヤマメ「すごっ、3人とも料理上手だなぁ。」

わかさぎ姫「それほどでもないよ〜。」

影狼「まぁよく3人で料理を作りあったりするからね。そのおかげかしら。」

ヤマメ「へぇ、そうなんだ。」

キスメ「うまー。」

蛮奇「そんなこと言ったら、パルスィの料理だってなかなかだと思うけど。」

パルスィ「別に、大したこと…」

わかさぎ姫「ううん、すっごく美味しいよ〜。」

影狼「今度一緒に料理つくり合いたいわね。」

勇儀「良かったな、パルスィ。」

パルスィ「べ、別に…」

華扇「…」モグモグ

萃香「おい、なにガムシャラに食べてんのさ。」

華扇「い、いや、味わって食べてるだけでしょう!」

勇儀「凄い幸せそうな顔してたけどな。」

華扇「い、いいじゃない別に…///」

萃香「よし、じゃあ飲むか!!」

勇儀「お、いいな!!」

影狼「え、明日宴会なのに今飲むの!?」

萃香「おうよ、前夜祭だ!」

蛮奇「昼だけど…」

萃香「じゃあ前日祭だ!」

針妙丸「すごい酒好き…」

華扇「はぁ…、程々にしなさいよ。」

萃香「まかせろー!!」

パルスィ(不安…)

わかさぎ姫「そういえば、ヤマメちゃん、だっけ?」

ヤマメ「うん?」

わかさぎ姫「私達が料理持ってくる間、どこ行ってたの?」

蛮奇「そういえば。もうそろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」

ヤマメ「あ、あれね。凄い作戦思いついたんだよー。まぁ私じゃなくて考えたのはキスメだけど。名付けて?」

キスメ「えっと…大飛行大作戦っ!」

蛮奇「大飛行?」

針妙丸「え、飛んで行くってこと?」

ヤマメ「普通に飛ぶんじゃないよ。この紙を使うの。」

影狼「えっと…どういうこと?」

キスメ「この紙で紙飛行機を作って、小人さんを乗せて、鬼さんに投げてもらう!みたいな…」

萃香「う?呼んだか?」

華扇「紙飛行機を作ってそこに小人を乗せて投げてもらうんだって。また凄いことを…」

勇儀「また面白いことを思いついたな。」

萃香「よし、いっちょやりますか!」

針妙丸「ちょ、ちょっと待ってよ!」

萃香「うん?」

針妙丸「そんな危ない計画賛成出来ないよ!上手く飛ぶかわからないし、目的地に着くかわからないし…」

萃香「つまり、上手く飛ぶ可能性もあるし、目的地に着く可能性もあるってことだろ?」

針妙丸「そうじゃなくて!そうだけど、そうじゃなくて…」

勇儀「まぁまぁ。ここは私達に任せな。な、華扇?」

華扇「え、私?やらないわよ。」

ヤマメ「えー。」

華扇「というか、賛成してないし、こんな不安要素の多い作戦。」

勇儀「ほう、自信が無いと。」

華扇「…はぁ?」

勇儀「だってそうだろ?自信が無いからやらないんだろ?」

華扇「いや、そういうわけじゃ…」

萃香「よし、じゃあ私がやるか。まぁ華扇は大人しくしてな。仙人だし、大した力も無いだろうしな。」

華扇「なっ!?」

勇儀「そうだな、華扇には監督がお似合いだな。仙人だしな。」

キスメ「仙人って大したことない…」

華扇「や、やればいいんでしょやれば!酔っ払いよりはまともに出来るわよ!!」

勇儀「お、やる気になったか!」

萃香「な!?私が投げるつもりだったのに!」

華扇「駄目、それだけは許さない。」

萃香「ちぇー。」

針妙丸「だ、大丈夫かな…」

パルスィ「勇儀が大丈夫って言ってる時は最終的にはなんとかなるわよ。最終的には、だけど。」

針妙丸「余計不安…」

影狼「じゃあ、ご飯を食べ終わったら準備しましょうか。」

蛮奇「指揮、頼んだよ。」

ヤマメ「もち!」

キスメ「が、頑張る…!」




影狼「ここをこう折って…」

蛮奇「あれ、なんか私と折り方違う。」

影狼「あれ、本当ね。」

わかさぎ姫「ぬ、濡れちゃった…」




パルスィ「よっ、と。」

スイー

ヤマメ「どう?」

パルスィ「うん。これが一番安定してよく飛ぶわね。」

ヤマメ「よし、じゃあこれに決まり!」




ヤマメ「出来たー!」

勇儀「よし萃香、大きくしてくれ。」

萃香「任せろー!」


ドンッ!!


華扇「大きすぎるわよ!!」




勇儀「よし、準備いいか?」

針妙丸「うん。ちょっと怖いけど…」

華扇「大丈夫よ、酔いどれが投げるわけじゃないから。」

萃香「私が投げたかった…。」

華扇「絶対ダメ。」

蛮奇「なんか閻魔様の所に紙飛行機投げるって、やっぱりピンと来ないなぁ…」

わかさぎ姫「計算とかしてるの?」

勇儀「あぁ、華扇は私達みたいな怪力馬鹿とは違うからな。」

萃香「な、私もか!?」

勇儀「悪い悪い、怪力馬鹿と酔いどれ阿呆か。」

萃香「…勇儀、いい度胸してんじゃん。後で決着をつけようか。」

勇儀「お、望む所。いいね、久々に腕が鳴る…」

華扇「鳴らしてんじゃないの。明日宴会なんだから、今日ぐらい落ち着かせなさい。」

勇儀「わかってるよ。」

影狼「あの、そろそろ離陸したら?」

華扇「そうね。針妙丸、しっかり掴まってるのよ。」

針妙丸「うん、わかった!」ギュッ

ヤマメ「よし、発車5秒前!4、3、2、1…!」

華扇「それっ!」


ブンッ!!!!


キスメ「す、凄い…」

パルスィ「鬼並の力…」

華扇「…うん。問題なさそうね。何事も無ければ、これで目的地に着くはずよ。」

勇儀「後は祈るだけってことか。」

萃香「やるじゃん、華扇。」

ヤマメ「凄い!!」

華扇「さて、と。私達はどうする?」

勇儀「そういや全然人集めてないな。」

ヤマメ「まったりしちゃってたしね。」

蛮奇「誘われてるのって私達だけ?」

華扇「えぇ、そうね。」

わかさぎ姫「5、6、7、8…9人…。」

影狼「ちょっと物足りないわね。」

勇儀「霊夢や魔理沙が来るだろうから、もう少し増えるとは思うがな。」

萃香「まだ足りないぞぉ!もっと人を集めないと!!」

勇儀「まぁ、そうだな。」

影狼「私達も手伝う?」

華扇「ありがとう、でも大丈夫よ。私達でなんとかするから。」

萃香「よし、じゃあ行くか!」

勇儀「おう!」

影狼「明日の宴会、楽しみにしてるわよ〜。」

蛮奇「がんば〜。」

ヤマメ「また明日ー!」

キスメ「あ、明日…。」

わかさぎ姫「パルスィちゃん、今度一緒に料理作ろうねー!」

パルスィ「あ、え、あ…」

パルスィ「う、うん…」


〜太陽の畑〜

華扇「でも今から人を集めるのも厳しいかもしれないわね。永遠亭も駄目だし、命蓮寺のあたりは宴会開くらしいし…」

勇儀「となると、信仰繋がりで守矢神社も開くだろうな。どうせ紅魔館も開くだろうしな。」

ヤマメ「さとりとかはどうなんだろうね。」

勇儀「戻ってみたら聞いてみるか。」

パルスィ「もう無理なんじゃ…」

萃香「まだ諦める時じゃないぞ!きっと宴会ができず悲しんでる人が…!!」

キスメ「いるかなぁ…」

華扇「まだ魔法の森に住む妖怪、それに幽香あたりには聞いてないからそこあたりをなんとかって感じかしらね。」

勇儀「そうだな。特にそのあたりは宴会不参加の可能性が高いからな。誘ってみる価値はあるな。」

萃香「だな!!」

パルスィ「で、肝心の幽香は何処に?」

華扇「普段はこのあたりにいるらしいけど…」

ヤマメ「えっと…、あ、あそこに誰かいるよ?」


メディスン「…」


キスメ「人形の子…」

華扇「あ、あの子、メディスンね。」

勇儀「噂に聞いたことあるな。毒の子か?」

華扇「そうそう、幽香と仲良くてね。」

ヤマメ「話してくるー!」ダッ

萃香「よし、誘ってくるぞー!」ダッ

華扇「あ、毒が…」

ヤマメ「大丈夫!私も似たようなもんだし!」

萃香「任せな!根拠はないけど!」

華扇「まったく…」

勇儀「まぁまぁ、私たちなら大丈夫だろ。」

華扇「…そうね、行きましょうか。」



メディスン「はぁ…」

ヤマメ「やっほー!」

萃香「宴会、するぞー!」

メディスン「ふぇ!?だ、誰!?」

ヤマメ「私はヤマメ、よろしく!」

萃香「よろ!」

メディスン「え、えっと…」

華扇「驚かせてごめんなさいね。実は…」

萃香「宴会するぞ!!」

メディスン「宴会…」

華扇「えっと、明日の大宴会の話は聞いたかしら?実は…」

メディスン「…知ってる。」

勇儀「おぉ、なら話が早い。実は私たちも宴会に来る人を集めててだな、博麗神社で開くんだが…」

メディスン「行かない…」

萃香「なんでだー!!」

ヤマメ「なんでー?楽しいよー?」

勇儀「もちろん無理強いはしないさ。でも、考えてみるだけでもしてくれないか?」

メディスン「違うの、行けないの…」

萃香「行けない…?」

メディスン「実は、幽香にも誘われてるの、魔法の森で宴会が開かれるから来てほしいって…。でも、私は毒があるから酔っ払ったりなんかしちゃったら迷惑かけちゃうし、抑え方わからないし…。」

メディスン「だから、駄目なの…」

華扇「そうだったの…。」

パルスィ「…」

萃香「宴会は周りに迷惑かけてこそだろ!!宴会の迷惑は酒の一番のつまみだろうが!!!」

勇儀「萃香、よく言った!!」

ヤマメ「そうだよ、私だって病原菌まみれだけど普通に宴会参加するよー。」

メディスン「だ、駄目なの。またあの人に怒られちゃう…」

メディスン「…」

パルスィ「はぁ…」


パルスィ「妬ましいわね。」


メディスン「え?」

勇儀「パルスィ…」

パルスィ「誘ってくれる相手がいるのにその誘いに乗らない、本当妬ましいわね。何様のつもりかしら。誘ってもらえない人だっていくらでもいるのよ?行く相手がいない人もいくらでもいるのよ?そんな人をしり目によくお誘いを断れたものね。」

メディスン「だって、だって…」

パルスィ「別に行きたくないなら行かなくていいのよ。その分私たちが楽しむだけだから。せっかくの機会なのにもったいなかったわね。仕方ないわよね、行きたくないんだから。」

メディスン「い…」


メディスン「行きたいよぉ!!!」


パルスィ「…」

メディスン「すごく楽しそうだし…、久々の宴会だから、行ってみたいの!!でも…」

パルスィ「…それでいいじゃない。」

メディスン「え?」

パルスィ「迷惑とか、面倒なこと考える必要ないじゃない。あなたが行きたいなら行けばいい、ただそれだけの話でしょ?」

メディスン「そう、なのかな…」

勇儀「いいじゃないか、毒でぼろぼろになる宴会、私はありだと思うな。」

ヤマメ「大丈夫だよー、私だって病気まき散らすつもりだし!!」

キスメ「それは、駄目だよぉ…」

萃香「宴会はみんなが楽しめてこそ宴会だろぉ!!」

勇儀「よく言った!!」

メディスン「そうなんだ…」

華扇「まぁ、もし不安なら、はい。」

メディスン「え、これは…?」

華扇「あらゆる毒に効く解毒剤。これを持って行けば、万が一毒をまき散らしてもそれで治すことができるわ。」

メディスン「あ、ありがとう…!」

華扇「お礼なら、どこかのお医者さんにするのね。」

メディスン「皆さん…」

萃香「さぁ、私達の宴会に来るんだ!!」

勇儀「おう、待ってるぞ!」

ヤマメ「おいでー!!」

メディスン「皆さん、ありがとうございます!これで…、これで…」


メディスン「幽香の宴会に参加出来る…!!」


萃香「そ、」

萃香「そっちかぁぁぁぁぁ!!!!!」

ヤマメ「あちゃー。」

華扇「まぁ、そりゃそうなるわよね。」

パルスィ「ふぅ。」

勇儀「ありがとうな、パルスィ。」

パルスィ「別に…」

キスメ「パルスィちゃんも、宴会参加するんだ…」

パルスィ「な、なんでそうなるのよ!」

キスメ「だって、さっき『私たち』が楽しむだけって…」

パルスィ「あ…」

ヤマメ「なんだ、パルスィも参加したかったんじゃーん!」

パルスィ「うっ…」

パルスィ「そ、そうよ!!私も参加したかったのよ!!」

勇儀「お、パルスィも参加してくれるのか、良かった良かった!!パルスィがいないと楽しくないからな!」

パルスィ「…///」

華扇「さて、と。どうしましょうか。」

勇儀「ここからは…あ、地霊殿。地霊殿はまだ聞いてないな。」

華扇「あ、確かにそうね。じゃあ…」

ヤマメ「それは私たちの方で聞いておくよー。」

華扇「えぇ、お願いするわ。こっちは引き続き地上を回ってるわ。」

勇儀「わかった。」

萃香「なぁなぁ、私たちの方に来てもいいじゃないか、お酒飲み放題だぞ?」

メディスン「幽香の方に行くよぉ…」

華扇「こら、無理強いしない。」

萃香「ちくしょー!勇儀、明日はやけ酒だーー!!」

勇儀「おう、望むところだ!!」

ヤマメ「また明日―!」

キスメ「あ、明日…」

華扇「えぇ、また明日。」

パルスィ「…明日。」




~博麗神社~

正邪「け、ここにもいないのかよ。時間の無駄じゃねぇか。じゃあな!」

霊夢「はいはい、行った行った。」

霊夢「ふぅ…」

あうん「え、霊夢さん!博麗神社で宴会しないんですか!?」

霊夢「えぇ、別に色んな所で宴会しているみたいだし、わざわざここでやる必要もないでしょ。」

あうん「そんなぁ…」

霊夢「別に、私について来てもいいのよ?」

あうん「だ、駄目です!私が博麗神社を守りますから!!」

霊夢「いや、襲う人いないと思うけど…。ま、わかったわ。来たくなったらいつでも来なさい。私は多分紅魔館にでも行ってるから。」

霊夢「さて、と。明日休みたいし、ちゃちゃっと残りの掃除でも済ませようかしら。」

あうん「博麗神社は宴会開かないのかぁ…」

あうん「…」

あうん(…あれ、なんかまずいような…。)

あうん「…?」


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2019-05-06 12:18:07

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