2019-05-08 11:32:29 更新

2017年10月18日(水) AM:10:00


凡矢理遊園地


楽 「で、

次はどこ行く?千棘。」


千棘 「うーん、そうねぇ………

あ!そうだ楽、アレなんかどう?」


千棘が指差した先にあったのは、

コーヒーカップだった。


楽 「コーヒーカップ?

まあ、遊園地といえば定番のアトラクションの1つだけど………

お前、あんなのに興味があったのか?」


千棘 「うん。

だって、2人でコーヒーカップに乗ってクルクル回るなんて、

いかにも恋人っぽいじゃない?」


楽 「まあ、それもそうだな。

よーし、乗るかーー。」


サッ


2人はコーヒーカップの受け付けの前まで歩いて行った。


楽 「すいませーん、店員さーん。

俺たち、乗りまーす。」


店員C 「はーい。

お二人様で、600円になりまーす。

なお、このコーヒーカップは15分に一回動きが止まるので、

降りられるお客様はその時に降りて下さーい。」


楽 「分かりました。」



そして、楽と千棘は2人でコーヒーカップに乗り………


千棘 「きゃっほーい!

コーヒーカップって初めて乗ったけど、

楽しいわねーー!」


楽 「お前、ホントにこういうの好きだよな。

みんなが普通にやるような遊びが。」


千棘 「うん。

楽しい事や、面白い事はみんな好きーー。

特に、みんなと一緒にワイワイ楽しくやったり………

楽とやるのは!」


楽 ドキッ


千棘の発言に、楽はドキッとした。


楽 (まあ、俺はコイツの、

なんでも楽しむところも好きだけどな。)


千棘 「あ。

楽、周りの人を見てよ、

男女が多いわ。

みんな、カップルかな?」


楽 「そうなんじゃねーか?

遊園地なんて、デートスポットとしちゃあ、

定番だろうし。」


千棘 「なるほど………

!そうだ!

楽、ちょっと両手を出して。」


楽 「え?

こ、こうか?」


スッ


楽は千棘の方に両手を差し出した。


千棘 「えいっ」


ギュッ


楽 「わわっ!?」


千棘は楽の両手を握った。


楽 「千棘、こ、これは………?」


千棘 「こうやって、楽と手を繋いでる方が恋人っぽいじゃない?」


楽 「な、なるほど………。」


楽 (手を繋ぐなんて、高校時代のニセモノの恋人の頃から何度もやってんのに、

遊園地のコーヒーカップでやると、

なんだかまた違った感じがするなぁ………

なんかこう………より、恋人っぽいつーか………)


アナウンス 「ピンポンパンポーン、

まもなく、15分です。

コーヒーカップが一旦止まりまーす。

降りられるお客様は、降りて下さーい。」


楽 「お、どうする千棘。

降りるか?」


千棘 「そうねぇ………わっ!?」


楽 「わわっ!?」


ガタッ



コーヒーカップが止まった拍子に、

千棘は楽の方に覆い被さるように倒れてしまった。


千棘 「あ……う………」


楽 「う………。」


楽と千棘は、数秒間無言でお互いを見つめ合っていた。


楽 「わ…悪ぃ千棘!」


千棘 「へ、へーきよ。

私とあんたは恋人同士なんだから、

これくらい………。」


ドキドキ………


千棘 (なんでだろう………

楽に抱きしめられるなんて、

本物の恋人同士になってからは何回もしてきたのに………

自分たちからしたんじゃなくて、

偶然しちゃったってだけで、

なんだかいつもと違う感じがする………。」


第1巻 第201話 完


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