第1巻 第201話 コーヒー
2017年10月18日(水) AM:10:00
凡矢理遊園地
楽 「で、
次はどこ行く?千棘。」
千棘 「うーん、そうねぇ………
あ!そうだ楽、アレなんかどう?」
千棘が指差した先にあったのは、
コーヒーカップだった。
楽 「コーヒーカップ?
まあ、遊園地といえば定番のアトラクションの1つだけど………
お前、あんなのに興味があったのか?」
千棘 「うん。
だって、2人でコーヒーカップに乗ってクルクル回るなんて、
いかにも恋人っぽいじゃない?」
楽 「まあ、それもそうだな。
よーし、乗るかーー。」
サッ
2人はコーヒーカップの受け付けの前まで歩いて行った。
楽 「すいませーん、店員さーん。
俺たち、乗りまーす。」
店員C 「はーい。
お二人様で、600円になりまーす。
なお、このコーヒーカップは15分に一回動きが止まるので、
降りられるお客様はその時に降りて下さーい。」
楽 「分かりました。」
そして、楽と千棘は2人でコーヒーカップに乗り………
千棘 「きゃっほーい!
コーヒーカップって初めて乗ったけど、
楽しいわねーー!」
楽 「お前、ホントにこういうの好きだよな。
みんなが普通にやるような遊びが。」
千棘 「うん。
楽しい事や、面白い事はみんな好きーー。
特に、みんなと一緒にワイワイ楽しくやったり………
楽とやるのは!」
楽 ドキッ
千棘の発言に、楽はドキッとした。
楽 (まあ、俺はコイツの、
なんでも楽しむところも好きだけどな。)
千棘 「あ。
楽、周りの人を見てよ、
男女が多いわ。
みんな、カップルかな?」
楽 「そうなんじゃねーか?
遊園地なんて、デートスポットとしちゃあ、
定番だろうし。」
千棘 「なるほど………
!そうだ!
楽、ちょっと両手を出して。」
楽 「え?
こ、こうか?」
スッ
楽は千棘の方に両手を差し出した。
千棘 「えいっ」
ギュッ
楽 「わわっ!?」
千棘は楽の両手を握った。
楽 「千棘、こ、これは………?」
千棘 「こうやって、楽と手を繋いでる方が恋人っぽいじゃない?」
楽 「な、なるほど………。」
楽 (手を繋ぐなんて、高校時代のニセモノの恋人の頃から何度もやってんのに、
遊園地のコーヒーカップでやると、
なんだかまた違った感じがするなぁ………
なんかこう………より、恋人っぽいつーか………)
アナウンス 「ピンポンパンポーン、
まもなく、15分です。
コーヒーカップが一旦止まりまーす。
降りられるお客様は、降りて下さーい。」
楽 「お、どうする千棘。
降りるか?」
千棘 「そうねぇ………わっ!?」
楽 「わわっ!?」
ガタッ
コーヒーカップが止まった拍子に、
千棘は楽の方に覆い被さるように倒れてしまった。
千棘 「あ……う………」
楽 「う………。」
楽と千棘は、数秒間無言でお互いを見つめ合っていた。
楽 「わ…悪ぃ千棘!」
千棘 「へ、へーきよ。
私とあんたは恋人同士なんだから、
これくらい………。」
ドキドキ………
千棘 (なんでだろう………
楽に抱きしめられるなんて、
本物の恋人同士になってからは何回もしてきたのに………
自分たちからしたんじゃなくて、
偶然しちゃったってだけで、
なんだかいつもと違う感じがする………。」
第1巻 第201話 完
このSSへのコメント