2020-04-01 07:35:34 更新

概要

注意事項

エロ本よ

この物語は18禁です
この物語はフィクションです
実在の氏名、団体、あとなんやかんやとは一切合切関係がありません
また、すべてのエロい人達の為に理想と現実の区別は付けてくださいね
まぁ、現実なんてしょーもないものだけど一応ね


前書き

清潔感を四角く切り取ったような部屋
病室でなければ、保健室といった風体の

部屋の隅に置かれた机、そこに腰掛けているのは一人の女
纏っている白衣から、ここの主であるのが容易に想像できた

「はい、こんばんは…。今日はどうしたの?」

あなたに気付いた女が、腰掛けてた椅子を回して立ち上がる
白衣に浮かび上がるような黒く長い髪
白い肌に、赤い唇が弧を描き優しそうに微笑んでいる

「そうよね、日常なんて退屈だもの…」

それじゃあ、と間を置いて、赤い瞳があなたを覗き込んできた
それから少しして、何か思いついた様に口を開く

「この前ね、女騎士ってのを見かけたのよ」




「難しいものね…意外と」


怒号が響く森の向こうを見つめて、女がひとり呟く

上がる火の手に魔力の輝き。きっと今も、この鬱蒼と薄暗い森の中では命がぶつかり合って砕けていることだろう


だとしても、だったとしても


そんな事、そんな些細なことにまるで頓着せずに、女は柳眉な眉根を煩わしげに寄せていた



やはり頭か


兵の質も、数も、上回っているはずなのに、どうにも攻めきれない所か押され始めているように見える

面白半分に兵隊だけは揃えてみたけど、その先を面倒臭がって適当に突っ込ませたのは見通しが甘かった風にも思える


それにしても


魔物や魔獣、その辺の人間なら10人がかりといった手合を

倍の数はぶつけておいて この体たらく、流石に予想外だと言い訳もしたくなる


「英雄か…」


まあ、たまにいる

私たち魔族に対するカウンターカードみたいなのは、人間の中にも生まれてくるものだ

それが、天使の加護だったり、悪魔に魂を売ってみたり、異種族とのハーフだったり出自は色々だが


そんなものに感化されて調子づいて、こんな所にまでノコノコやってくるんだから

人間というのは、本当に理解に苦しむ。集団自殺も甚だしい


「勝てるって…思っているんでしょうね」


右翼は崩れた、左翼は時間の問題。中央はそろそろ私の前に辿り着く頃だろうか


一つ…息を吐いて、手にした紙編を閉じる


やはり、兵法書なんかに頼ったのが間違いだった

こんなものは、人間(弱いやつら)が徒党を組んで戦うための技術であって、私があやかる必要がない

よしんばそれを理解すれば対処も容易かろうと、勤勉なものは口にするだろうが


「対処…たいしょねぇ…」


何をしろというのだ


確かに、戦争という局面では対処を間違えた風にも思うけど

なにも、最後まで付き合ってやる必要もない、そう見切りを付けてしまえば

向かってくる鎧の金切り声も、軽やかに感じてしまう



がしゃり と ぐしゃり…



鎧が地面を踏みしめて、挟まれたなにかの肉塊が潰される

向けられた切っ先から滴る血は、次はお前の番だと告げている様だった


「見つけたぞっ、霧の麗人っ!」


それは女の声だった


大量の兵士を従え、それでもなお自ら先んじて私に殺意と切っ先を向けてくる


騎士…とでも評するべきか


学のない私にすれば、鎧を着てれば皆そうは見えるけど

その心意気を称賛するのであれば、騎士と呼ぶには十分ではあるし

その無謀を嘲笑するならなおのこと、騎士様と蔑むにも十二分であった


女は吠える


私にむけて、その罪状を高らかに唱え続ける

娘達を辱めたこと、村々を滅ぼしたこと、人々を殺したこと

身に覚えのないことまで含まれて、全てお前が悪いと判決を下された


「滅びろ、悪魔めっ」


女が剣を構えると、従っていた兵士たちも武器を構え私を包囲するように陣形を整える


まるで魔女裁判のよう


弁護の機会は頂けないらしい、かといって弁解の言葉もないのはそうなんだけれど


「はぁ…」


これ見よがしと、大きなため息を吐いてみせる

抵抗なんてする気もない、せいぜい私に出来たのはこのくらいだ


そうして、それを合図にしたかのように

私を囲う向こう側、剣を構える女の後ろ、深い森の先々から悲鳴が上がり始めていた





「はぁっ…はぁっ…はぁっ…」


深い森の中、薄暗い森の中


女の子が走っていた、白い女の子が逃げていた

まるで、お城から飛び出してきたばかりのよう白いドレス

埋もれるほどにサイズの合わない出で立ちは、道もない森の中では不釣り合いで

引っかかる草はや小枝の一本までが、悪戯をするように女の子の足を攫っていく


何度も何度も躓いて、転びそうになって

見様によっては、けんけんぱっと遊んでるような有り様になりながらも、そんな努力は報われはしなかった


「あっ…!?」


足が滑る、体が浮かぶ

地面を求めて泳がせた足が木の根に引っかかると、さらに体を前へと押し出してしまった


女の子が倒れ込む

それを憐れむ訳もなく、受け止めた草木たちは仕返しでもするみたいに

先端で、葉先でもって、幼い素肌に赤い線を引いていく


じわり…


女の子の瞳に涙が浮かぶ

それに耐えながらも、手足を動かして起き上がろうとするけれど

転んだ衝撃に驚いた体は、女の子の言うことにそっぽを向き

あまつさえ、文句を言うように痛みばかりを訴え続ける


そんな女の子を助け起こしたのは、太い腕だった


いや違うか、掴まれた瞬間に女の子は悲鳴を上げるし

助け起こすように見えた腕は、うつ伏せに潰れていた女の子を仰向けに転がしていた


恐怖の色に涙をこらえて、赤い赤い女の子の瞳がそれを見上げる


出で立ちは想像される騎士のそれ

無骨な鎧姿。しかし、子供が想像する憧れのナイトとは反対の異形

震える手足はカタカタと鎧を笑わせ、兜の隙間から覗く瞳は不気味に血走ってもいた


怨嗟と火の手が上がる


人とも獣ともつかない声が、森のそこらじゅうから聞こえてきた


そう、ここは戦場だった


追いかけるナイトは、決してお姫様を迎えに来た訳もなく、哀れな女の子はお姫様になれはしない

獲物と狩人、生贄と司祭、加害者と被害者

伸ばされた手は救いを持たず、上がる悲鳴は恐怖に塗れる


引き裂かれた白いドレス


守ることなど考慮されていない衣服は、ナイトの手によってあっさりと破り捨てられる

羽毛を毟るような手軽さで、引き裂かれたドレスは宙を舞い、女の子の白い肌が暴かれた


ナイトが何かを叫んでいる


恨み節のような言葉と一緒に振り下ろされる拳

その痛みに、ささやかだった女の子の抵抗が止むと、ガチャガチャと音をたてて鎧が脱ぎ捨てられた


そうなると、ナイトはただの男でしかなかった


その目には、さぞ魅力的に映ったことだろう

白い肌と、白い髪、汚れのない真っ白な女の子

人形のようだと、お姫様のようだと、欲にまみれた男の目には映っただろう


汚すのは簡単で、戦火の中なら隠すのも簡単だ


被虐の心が男を煽る


年端も行かぬ女の子を、日常では許されぬ行為を


引きずり込まれるように男の手が伸びていく

幼い胸の膨らみも、薄い腰も、折れそうなほど細い手足も

痛みに叫ぶ声でさえ、男を高みに登らせる


ずぶり…


熱り立った男の肉棒が、女の子の中へと沈んでいく

強引に開いた両足を押さえつけ、薄い腰を抱きかかえて、乱暴に腰を沈めていく

濡れてもいない女の子割れ目は、それでも男のモノを咥えると、何の抵抗もなく受け入れる


ずぶり…


男の体が沈んでいく


蝕まれる様に、絡め取られるように

背筋を登る極上の快楽と、塗りつぶされる程に鮮明な恐怖が男の心を潰していた


果たして上がった悲鳴は男の物だった


野太い、汚らわしいだけの悲鳴

人のものとは程遠い、その辺の魔獣の方がまだ上品に鳴くだろう程に聞き苦しい

そんな声を上げながら、男が女の子を犯している、犯し続けている

狂おしい程に腰を振り続けて、アホらしい程に射精を繰り返す


しかし、止まらないのだ


どれだけ精を吐き出しても高ぶりは収まらず、すぐに固さを取り戻して快楽を呼び起こす

しかも、その感覚は次第に短くなり始る

すぐにも射精を繰り返し、終いには壊れたみたいに精を撒き散らしていた


肉棒が動く度に、溢れた精液が女の子の割れ目から掻き出されていく

そうして出来た隙間に、また新たな精液が注ぎ込まれて

ジュブジュブと不快な泡立ちが、肉棒に纏わりついていた


気づけば、立場は逆転していた


終わらない射精の快感に恐怖した男は泣き叫び

それを見上げる女の子は笑いをこぼす


細い腕を伸ばし、男の体を抱き寄せて

耳元で、くすくす…くすくすと…鈴なりのような笑い声を零している

それがまた男の耳朶をくすぎり、興奮を高め、快楽の上限を崩していく


繰り返す射精、魂の全部を引きずり出されそうな快楽

上がる声も力を無くし、それに合わせて精液の量も減っていく


「ねぇ、おじさん…」


最後に女の子が男の耳元で呟いた


「わたし…なんにみえる?」


男と、女の子の目が合った

驚愕か恐怖か、虚ろに沈んでいた瞳は見開かれ、声にもならない声が上がる


絶叫…とも言い難い


ああ、きっと、魂が砕けた音があるのなら、こんな風にもなろうかと


男の体が白濁に沈む


薄暗い白濁の中、男が沈む、淀んで、どす黒く濁る


ブクブクと膨れ上がっていく


さざめき、波打ち、沸き立って、溢れ出た恐怖が戦場に流れ出す


あはっ…


その中心で女の子が笑っていた


白い、真っ白い女の子が、白々しい笑顔を浮かべて笑っている

溺れる程に丈の合わない純白のドレスと、真白の髪を綺麗に靡かせて

遠ざかっていく、悲鳴の中心で女の子は笑いながら踊っていた


くるくる…くるくると…


オルゴールに据え付けられた人形がそうするみたいに

上がる悲鳴を奏でる指揮者の様に、女の子は恐怖の海で踊っている

戦火のスポットライトは女の子を照らしあげ、カーテンコールと共に闇が戦場を飲み込んだ





あるいは、振り返る度に敵を一人倒していれば逃げられたのかも知れない

ただ、自分は人間だと胸を張れなくなって久しくても、避けられるものは避けたいと

優しさにも似た甘さは、きっと最後に残った執着でしか無いんだろう


戦火の中を走るメイドの姿


手をつなぎ、引き連れた女の子と合わせてみれば、いかにも貴族の屋敷から逃げ出したといった風であった


そうして、行き着く先は行き止まり

腕を広げてもまだ余るほどの大木に、行く手を阻まれてしまっていた

迂回をしようにも、張り出した木の根に足を取られ、そうしている間にも大木を中心にして追手に囲まれる

幸いにしても、大木を背に 後ろを守ることは出来ても、気づけば視界の中は敵の気配で満たされていた


「みけちゃん…」


握り続けた手を引いて、大木と自分の背中の間に妹を押し込んだ

妹、とは言っても、私がそう思い そう扱っているだけでしか無いが

それでも、懐いてくれているのは素直に嬉しく、自分が矢面に立つ理由には十分だった


魔女めっ…


向けられた暴言は聞き慣れたもの

昔にもそうやって、理不尽に貶められた覚えもある


それが神の裁きだと口々に叫んで暴力を振り下ろす連中

それが聖職者だというのだから、きっと神様も迷惑しているだろう

なにせ、曲解された教義を袈裟に来て、言ってもいない事を宣誓され、その責任だけは丸投げだ

あるいはそれも、神の御心だというのなら、それが悪魔と何の違いあるのか、今の私に分からなかった


「引いてはくれませんか?」


分かっている、自分でもだ


人の話なんて聞きやしないのがこの手の連中だという事は

それでも、ギリギリまでは手を出したくなかったし。あるいは、自分ひとりで済むならとも考えていた


矢が一本


言葉の代わりに返されたのはソレだけだった

つぅっと、掠めた鏃が頬を傷つけ、後ろの大木に突き刺さる

下卑た笑顔だ。お前などいつでも殺せると言う脅しなんだろう


仕方もなし


息を吐いて切り替える


無駄死には出来ない

私の命はすでに私の物ではない以上、出来る限りの抵抗はしなければ

勝てないにしても せめて、みけちゃん だけでも逃がす道は作りたい


「かや…」


そんな状況だというのに


いつもように短く名前を呼ばれ、スカートの裾を掴まれる

ぐぅーと続く音はきっとお腹の音で、時計もないのになんとなくの時間が想像出来てしまった


「あとで…ね?」


努めて平静に、いつもどおりに答えたつもりだった

けれど、そんな大人の言い訳に納得するわけもなく、興味の向くままに背中から顔を覗かせる


途端に矢が一つ


わざわざ、顔を出した所を狙っての狙撃は、聖職者を名乗るにはあまりにも卑怯に思えてしまう


拡げた魔力で壁を作り矢を弾く

それを皮切りに、剣を構えた騎士たちが雪崩込んできた

多勢に無勢、一人二人ならともかく、私の力では集団を相手にするには及ばない

拙い魔力弾を撃ち込んでは、怯みこそすれ、すぐにも剣が振りかざされる距離になる


次の瞬間に身構えて、その瞬間はあっさりと横取りされた



栗色の髪の毛、弾む猫の様な耳、柔らかく膨らんだ尻尾

ぶかぶかだったパーカーの帽子から、余ったの裾の隙間から、飛び出した拍子に溢れ出る人外の形容

それが私の視界を覆うと同時に、剣を構えた騎士が横殴りに吹き飛んでいく


「…」


唸りもせず、私の前に飛び出した みけが、ただ不愉快そうに佇む


「…だめっ」


多分、そうした方が良いのは分かる

みけ一人に任せれば、彼女一人助かる余裕も、もっと言えばこの場の騎士たちをはっ倒すくらいするだろう

それをさせたくないのは、私のわがままで、血に濡れる みけの姿を目に止める覚悟が持てないまま


その小さな手を引いた


捕まえるように体を抱きしめ、むずがる彼女を自分の胸に押し込める


一人を倒したからか、流石に無謀な突撃こそ無くなったものの

飛んでくる矢の雨に、その場に磔にされてしまう

その間にも木々の影で高まっていく魔力の渦


…無理かな


私が防げる範囲を越えてしまっている

矢避けに張った薄い壁も、所々と綻び始め、掠めた矢から みけを庇うので精一杯

肩口に刺さる矢に体が竦み、あまりの痛みに みけを抱えた手が滑る


体から力抜けていく


みけの体が滑り出て、慌ててその手を掴み直す


血に濡れた感触、見上げれば赤く汚れた みけの体

あれだけ見るのをためらっていたのに、自分の血で汚してしまっている


「かや…」


振りほどかれこそしなかったものの、不満を抱えた声が短く私の名前を呟く


守れない


また、守れなくて


また、縋ろうとしたのは悪魔の名前で


それに答えのは人の悲鳴だった



ぎゃぁぁぁぁぁっ!?



ありきたりな叫びだった


戦場に置いて珍しいものでもなく、その聞き苦しさに耳が聞き流す事を覚える程


なのに…


久しく聞き流していた悲鳴が戦場を支配する

誰も彼もが手を止めて、振り返らずには居られない



張り詰めていた糸が切れたような


何かが砕けたような


それに唯一の救いを求めたような



表現こそ人によったかも知れないが、そこに合ったのは唯一の感情だった


歪みのない、淀みのない、真っ白なまでの…



あああああああああっ…!!!



止まった戦場を再び動かしたのは、やはりか悲鳴だった

木々の向こうで、魔力を編んでいた術者達が、一斉に飲み込まれている

這々の体で飛び出してきた僅かな生き残りが、ソレに足を取られ悲鳴を残し消えていく


焼き付いてしまった


騎士たちの瞳にそれが焼き付いてしまった


最後の瞬間


同胞の顔、歪んだ顔、歪な悲鳴


救いを求めて伸ばされた手だけを残して消えていく姿


落ちた手首が飲まれていく光景


津波の様に迫る薄暗い闇


恐怖を巻き込んだ汚泥が、反乱した川の様に流れ込んでくる



あああああああああっ…!!!



次は誰の悲鳴だったろう


手にした武器を放り投げ、縋るように握りしめ、一斉に逃げ出す騎士達の心はすでに折れていた



「かや…」


唐突に手が引かれる


気づいたときには体ごと引きずられ

宙に飛び上がったかと思うと、茂る枝葉の上に体を落とされた


同時に…


足元…いや、大木の根元を真っ黒な濁流が飲み込んでいく


間一髪か…


そういう安堵を押さえつけてなお、その光景からは恐怖がせり上がってくる

いま足を滑らせたらどうなるんだろう。アレに飲み込まれたらどうなるんだろう

見ているだけで、ありもしない恐怖が、合ったかも知れない未来を横取りして見せつけられているようだった


毒だと言えればまだ優しい、呪いに近いがまだ遠い

純粋な恐怖の塊は、それを想像を出来るものの心を鷲掴み、引きずり込まれそうになる

私なんかはまだ良い。だが、彼らはと…見下ろした汚泥の波に所々浮かぶ人の体


皆溺れている、恐怖に溺れて息をするのを忘れている


ただの人間なんかは 見ただけで卒倒するだろう密度の恐怖

それを全身で浴びてしまったら…

多少の加護がある程度の、ほんの少し鍛えただけの人間が、それに打ち勝てる訳もなく


気づけば みけを抱きしめていた


彼女を守るためだなんてもう言えない、単純に私は怖かったのだ

そうやって隙間を埋めないと、心に目張りでもするかのように

みけを抱きしめて、彼女への愛情と、その感触と温もりで押し込めて、必死に恐怖から目を背ける


パタリ…


ふと、みけの耳が跳ねて、その柔らかい毛が私の頬をくすぐった

同時に動く視線、見つめていたのは森の向こう側


そこには、小さな女の子がいた。小さくて、白い女の子が踊っていった

髪もドレスも真っ白で、唯一の色はルビーの様に赤い瞳。無邪気な子供は、無邪気なままに


我知らず、底知れず、恐怖の渦の中心で、それは楽しそうに踊っていた


人の恐怖を煽り、膨らませ、それが破裂する度に歓声を上げて手を叩く


「マムル・リムル…」


思わず呟いたその名前。その音に背筋が震える


溢れ出た恐怖、有り触れた恐怖、想像上の怪物と呼ばれる悪魔の名前

自分の飼い主も大概だとは思うが。理性の歯止めがない分だけコレはソレに輪をかけて質が悪い

気の向くままに被害を広げた結果のこの惨禍。もはや戦場が死に絶えるまでは止まらないだろう



戦争ごっこをしましょう


今朝方、何かの拍子に呟いた彼女の言葉

何千もの人間たちに追い立てられるのは生きた心地はしなかったが

それでも、「ごっこ」だと言ってのけらた理由の一つがコレだった


そうじゃなくたって、他にやりようはあったろうに


今頃、敵の本体は彼女の前だろうか

そう思い、屋敷のある辺りに目を向けてみれば、その背後まで汚泥が広がっていた







「なん…だとっ」


その女がその騎士が見上げたそれは、きっと人の腕のように見えていただろう

背後の森からゆっくりと、持ち上がった黒い影

泥でも練り上げたかのように、あまりにも歪で、天を覆う巨大さも手伝って認識に時間はかかっていようでは合ったが


「貴様っ! 何だアレはっ!?」


常套句の様に女騎士が叫んだ

敵対するものに答えを求めた所で、まともに取り合うわけもないのに

それでも自分の理解を越えた何かを、分かる所に押し込めようと必死な姿に、愛おしさすら込み上げてくる


「貴女にはアレが何に見えるのかしら?」


そうして返したのは、あの子のマムルの常套句


そうと問われれば見ずには居られない

直視して、認識して、理解をする


分からない恐怖を押さえつけようと、安易に形を与えるからそういう事になるとも知らず


「さいくろ…ぷす…」


呟くように、零すように、女騎士はソレをそうだと理解する


しかし…


何千との人間を飲み込んだ恐怖の渦が、どうしてか人型を取ろうとしている

歪に手足を歪めて伸ばしてこそいるものの、最低限の人型と呼べる形は成していた

面白半分に、マムルが捏ねてる遊んでる様子もないとすれば

人間の根本的な恐怖の象徴は、他人だと理解して良いのでしょうね


そうして出来上がるのが おとぎ話


他人に角を付け牙を生やし、異端を被せて排斥する

自分たちは正義でアイツらは悪だと、後光を浴びせて影を作るのだ


「総員、退却っ!」


その判断は早かった


部隊が恐慌をきたす直前に飛ばされた激に、兵の誰もが安堵したことだろう

我先にも陣形を組み直し、疾くと走り去る姿はまるで避難訓練のよう


何人かの将兵が、一緒にと懇願してはいたようだが

女騎士はその全てを叩き返し、ようやくと周囲が落ち着いた頃には二人っきりとなっていた


「私に任せて先に行けって? 健気なことね?」

「何を、貴様一人…私だけで十分だと言っているんだ」

「後ろの…目に入ってる?」


せせら笑いながら、後ろの…

そうね…言うなら「だいだらぼっち」に指を向けた瞬間だった


光…迸る剣閃は一筋と伸びて、巨人の影を両断する


「まぁ…」


その威力に、驚きと呆れを込めて思わず声を漏らしてしまう

そうして小さく拍手を贈り「それじゃあ…」と微笑みを浮かべて呟いた


「始めましょうか…」


何を? なんて無粋な言葉は返ってこない

代わりに、光をたたえた切っ先が私に向けられていた






それから後、暗い、真暗な部屋で女騎士は目を覚ました


死んではない…


そう思えたのは、偏に死んだ試しがなかっただけだ


体の感覚は何処にもなく、心臓の鼓動も、呼吸の感触すらも感じない

なにもない、真暗な中に、ただ心だけが浮かんでいるような感覚


走馬灯が見えたのならまだ諦めも付いた、地獄が見えたのなら抗いもする

光が見えたのなら、神にもう一度と希う事もしたが…


溜息か…


手持ち無沙汰な心情もを思えばそうもなるかと、心持ちを一つ落とした

自分の生死はどうであれ、結局私がアレに負けたことは確かなのだ


最初は優勢だったように思う


元より、実態に乏しい相手とは聞いては居たが

それでも私の剣は魔性を滅する聖剣で、実態の有無はなど関係なく討滅出来ると

切り裂く度に相手の体は千々に飛び散り、薄くなっていく圧力に最後の一つと剣を振り下ろした時


振り上げた剣を避雷針に、雷が落ちたようだった


一帯を焼き払っても有り余る威力を、それでも鎧の抗魔力は耐えきってみせたものだが

直後に振り払い。巨大な獣の爪が私の体を吹き飛ばし、地面の上に叩きつけられる

衝撃に霞む瞳に映ったのは、咆哮を上げる黄金に燃える獅子の体躯と、暗雲が掛かるような女の微笑みだった


負けたのか…


思い返しても実感は湧かない

いや、目の前の敵だけに集中していた私が悪いと言えばそう

戦争という最初の一手で勝ちを拾った為の油断

こと、個々人の戦いになれば、あの魔性達が何倍もの上の相手であると理解したつもりの油断

分かっていたつもりで、相手の土俵で戦ってしまっていた

勝てると思い込み、最後の一撃に全神経を向けてしまった私の落ち度でしかなかった


部下たちは逃げられただろうか…


私が負けたのは自業自得としても、あの場で引かせなければ全滅の目もあったはず

実際、最後に襲ってきた獅子の姿


神の如き光輪と、舞い散る燐火に雷を奔らせる異様

神々しいというには生ぬるい、あまりにも純粋な輝きは、神の暴力だけを掻き集めたようにも見えた


アレを並の兵がどうこう出来る訳もない

咆哮一つで、魂がすくみ上がり、心の弱いものはそのまま砕かれてしまうだろうと予想がつく


正しかった、間違っていない…


そう、信じるしか出来なかった

部下たちが体勢を立て直し、私を助けに来る

もし、今の私がまだ生きているとするならば、その瞬間まで耐え抜くのも戦いだと自分に言い聞かせる



ふと、思考に切れ目が出来た


いや、暗いばっかりだった感覚に線が引かれ、ベールを開くように捲られる

差し込む光に目を細め。自分の視界が生きていることに、まだ体があることに一先ずの安堵を覚えてしまっていた


「こんにちは」


女が、浮かび上がっていた


真暗な部屋より尚も暗い女の姿


墨をぶち撒けたような黒い髪が、白い肌の上に浮かび上がっている

血を滲ませたような豪奢な赤い着物は、目を引く程に美しかったが

ソレ以上に、女の容姿に目が奪われてしまった


それは、女のようで少女のようで

曖昧で、朧げで、儚げで、何一つ確かなものなど無いのに

美しいと…頭の後ろが悲鳴を上げる


女の赤い唇が弧を描き、少女のような瞳で私を見つめてくる


魅入られている


視線を逸したいが、逸らす為の目も首も、今の私には与えられては居なかった

ただひたすらに見つめてくる瞳、食入られる不快感が すぅっと意識の奥まで差し込まれていく


「…どうするつもりだ」


喉が、動いた


声という感覚を取り戻した途端、感じていた疑問がそのまま言葉になっていた


「どう? ねぇ?」


女は微笑む。少女の様に首を傾げながら、先の事を思っては物思いに耽っている


「これで勝ったつもりだろうが…」


たとえ負け惜しみに思われようが構わない

今は現状をと、私が負けた後の事をこいつの口から聞き出すために、わざと挑発するような言葉を投げかけた


「勝つ?…ふっ…あははははははっ」


そこで少女は笑いだしていた

あった筈の貞淑はは息を潜め、子供のようにお腹を抱えて笑い出す

「何が…?」と私が口開くまでもなく、笑顔を浮かべたままに少女が私を見つめ返す


「勝負のつもりだったのね? あなた達には…」


そうして伸ばされた指が私の頬をそっと撫ぜた


眉をしかめる、顔を背ける

そう出来たことに生を実感し、もどった感覚の全部を使い少女の指から顔を逃がす


「まあ、たしかにアレが戦争なら私の負けでも良かったんだけど」


やれやれと、呆れるふうに女は首を振る。そうして、手慰みに付き合っただけだと、あしらうような言葉を掛けられた

それは事実そうなんだろう。最初からサイクロプスが、黄金の獅子が動いていれば侵攻どころではなかったのだから


「そうして貴女は勝利に酔った。ノコノコ私の前までやってきて…。逃がすわけないじゃない」


嵌められたのか…


いや、違う


どのみち私はコイツをこそ倒しに着たのだ、思惑はどうあれ進むしかなかった

それが叶わなかった点に関しては、コイツの言う通りに違いはないが


「殺しに来たんだ。覚悟はあるんでしょう?」


にっこりと、女は微笑んだ

まるで、命乞いでも期待しているかのような顔に、それこそツバで吐きかける勢いで答えてやる


「なら殺せ」


それがなんの琴線に触れたのか、またまた少女のように笑い出す


「あははははっ。いえ、ごめんなさいね、本当に言う人がいるとは思わなくって」


その言葉が何を意味するのか

コイツは一体どれほどの者に、その選択を迫ってきたのか

それを思えば、フツフツと思考が沸騰するような怒りに襲われる


ごめんなさい、お願い、助けて、殺さないで


「だって、みーんな同じことを言うんだもの。私達が言っても聞きやしないのにね?」

「それで?」


あくまで冷徹の言葉を返す

なら、コイツの目的は私の屈服だろう。私を絶望の色に染めて、泣いて許しを乞う無様を拝みたいと

分かっていて、そんな悪趣味に付き合うつもりもない。たとえそれで、寿命を縮めても屈服だけは出来なかった


「それで復讐か? 粗末なものだな」

「まさか?」


そう思った私の言葉はしかし、あっけらかんと無表情に流された


「私はね? 私が保証されているなら何でも良いのよ?」


そうして女は笑う、空っぽな笑顔だけを浮かべて言葉を続ける

屍山血河の惨劇も、欲に塗れた泥沼も、ああきっと幸せなおとぎ話だって楽しめる


「臆病な上に随分と卑怯じゃないか」

「耳が痛いわ。けどね…そういうモノだから私達って、どこまでも開き直れるわ」


そうしてまた女は笑う


自分の有り様を卑屈と認めて尚、その泥沼を周囲に広げるような不快な笑顔


「ああそうだ…」


それから、一つ思い出したように言葉を残し、そのまま消え去っていった





なんと言っただろうか、あの女は

なんと言われただろうか、あの女に


「助けは来ない…」


その言葉を否定したくて、必死で心を閉ざす自分の姿は、どこかで認めてしまっている自分を見せつける


死の沼、そこから現れたサイクロプス、そうして神の如き黄金の獅子


王はきっと、戻った兵から状況を聞いただろう


「貴女一人を助けるより、国を取る。優秀な王様みたいね」


それは、その通りだ…


報復にとあんなものを国に差し向けられれば、それだけで終わる

今回の遠征で失った将兵も少なくない。それを思えば再侵攻など愚行だろう


だが…


不意に出来た思考の穴

正しい、正しい判断だ、私一人よりも国を取る


だが…


残された私はどうしたら良い

逃げることも叶わずに、救いも持てずに、あいつの玩具にされるというのか


その弱気に首を振る…


いや、振ったつもりだった

アイツが消えてからしばらくして、闇に飲まれるように体の感覚は乏しくなっていった

耳も目も、肌の感触さえも閉ざされて…また、生きてるかも死んでるかも分からない不安に包まれる


本当はもう死んでいて、魂だけが囚われているのではないか


そんな風に考えるのに時間は掛からなかった



「こんにちは」


暗闇を捲り、女の姿が浮かび上がる

同時に戻ってくる音と視界に、気が緩みそうになってしまう

きっと、このままではどれ程も持たないと重ねた理解と覚悟で、緩んだ気を締め直した


「ご機嫌はいかかが?」

「最悪だよ、お前のお陰でな」


誂うような言葉に、殊更力を込めて言葉を返す

その言葉に何を受け取ったのか、女の指が私の頬に触れると、少女がイタズラでもする様に指を這わせていった


声も戻った、口も動く

触れた頬に感触を感じ、動かした舌で歯の感触を確かめた


たぶん最後の賭け


自分の体に、余計な小細工はされてないだろうという前提の元、私は自分の舌を噛み切った


「っ!?」


その感触は固かった

想像した舌の感触は一瞬で、直ぐに別のなにかに歯を止められる


舌に落ちる雫


慣れた筈の血の味は、果たして自分のものではなかった


「まぁ、やるとは思ったけど…。あなた達は潔が良すぎる」


慌てて口を開き、喉に落ちる前に溜まった血を吐き捨てると

酷い、などとお茶らけて、私を殴り返すでもなく女は笑う


「まあ、それだけの元気があるなら大丈夫ね」


一つ、ゲームをしましょうか


勝手な言葉だけを残して、また女の姿は薄れていった





私が飽きたら逃してあげるわ


安い挑発だとは分かっていても、もとより選択肢なんてなかった

逃げる算段もない以上、アイツに媚を売るか、その瞬間まで耐えるしか無い


で、あれば…


ゴクリ…ツバを飲み込んだ


吐ききれなかったアイツの血が喉に落ち、そこから腹に、体中に広がっていく

嫌悪感は拭えないが、毛が逆立つような違和感は確実に私の体を巡り、存在を確かなものにしてくれた


縛らている訳でもない

5体は満足でもあるが、水底にでもあるように、掴むところが何もない場所に浮かされているというのが現状

呼吸こそ出来ているようだったが、手足を動かしても泳げるわけもなく

時間が立つにつれ、指先から次第に消えていく感覚に、言いようもない不安に潰されそうになる


まるで、風前のロウソクに残った最後の赤い灯のような不安感



「こんにちは」


それからしばらくして、また女が姿を見せる


何をするでもない、時折私に触れこそするものの、頭を振ると直ぐに指を離す

そんな程度の触れ合いを続けていた。口にするのも他愛の無い話ばかり

私達が、ただの娘であったなら、そういう話も当たり前にあったであろう話題

時に無視して、堪らず言い返して、言い負かされて、乱暴なキャッチボールを繰り返す


「こんにちは…」ではじまり「またね」と終わる


それだけのやり取りを続けていると、気づいた事がある

感覚的に、同じような間合いで あの女、霧里 楓 は現れることに


それから時間を数えるようになった


眠くもならない、腹も減らない、感情だけがぽっかりと浮かんでいる暗闇の中

結果的にその行為は有用ではあった。楓との会話が唯一自分の感覚を確かめられる機会


一日に一回の逢瀬


その合間に訪れる不安から目を逸らし、次の瞬間まで耐え続ける



5…4…3…2…1…


こんにちは…そう聞こえるはずのタイミングに何もない


じっとりと…訪れる不安


気が急いていた? 数えるのが早すぎた

慌てて時を数え直して、一時間後「こんにちは」と、いつものように楓は姿を現した


「ぁっ…」


ドクン…


なぜだろう、その瞬間、楓の声を、笑顔を見た瞬間、なくしていた筈の心臓の感覚が戻ったようだった

それから他愛の無い話をして、軽く触れられて、触れられた肌の感覚を取り戻し


「またね」


楓が去っていく


体温が下がっていくみたいだった

心臓が萎んでいくに合わせて、取り戻した体の感覚が急速に失われていく


慌てるし、慌てた


取り戻した感覚に神経を集めて、必死に縋り付く

けれども、無くなっていく感覚は無情にも、私の体は自分から離れていった



その頃からか


楓の来る時間がまばらになっていった

1時間が2時間と遅れたかと思えば、30分も早くなり、時には半日もずれ込んだ


楓が私に飽き始めたと…


普通ならそう考えるに値した状況なのに、その時にはもう私は私を信じられなくなっていた

楓に合うしか自分を確かめるすべがない中で、私を支えていた時間を数える行為

しかし、一度狂った時計の針は自分の正気までも狂わせていくようだった


数を数え、数え続けて


正確に時を刻めたことに安堵し、ちぐはぐになる時計の針に不安を覚える

楓が適当な時間に来ているだけと、理解はしても、合わない時間が私を焦らせた


狂ってない、狂っていない、私は大丈夫


けれど、私の正気を証明する時間は楓との逢瀬の間だけ

「またね」と、部屋が閉ざされれば私は私を見失う





「かえ、で…」


一日、それよりもっとか…

普段なら有り得ないほど放って置かれた後、彼女の姿を見つけると堪らず名前を呼んでしまった


「どうしたの、エリス? エリス・クロフォード。そんなに可愛そうな声をだして?」


優しく、慈しむような楓の声

その声に私は私を思い出す。エリス、エリス・クロフォード

そうだ、そうだった。間違ってない、私はココにいるし、生きている


楓の指が私の頬を挟み込む

優しく支えられ、上を向かされるとそのまま…


ちゅっ…


突然の出来事に目を開く

抵抗できなかった。そこに、否応もなく楓の感触が唇に、唇から全身に広がっていくみたいだった


ドクン…


心臓が高鳴る

全身に血が巡り、久しぶりに取り戻した体の感覚に酔いしれる


「少しは元気がでたかしら?」


ゆっくりと離れていく唇に感じる名残り

不安に崩れかかっていた思考が自己を取り戻すと、慌てて楓から顔を背けた


「貴様っ!? なにを急、に…」


だが、その怒声も弱々しい

嫌だという不快感もそこそこに、与えられた肉の感覚が堪らない

今ここで明確に拒絶してしまえば、この感覚はもう2度と取り戻せないような気がして声が詰まる


「寂しそうに見えたから」


そんな私の態度に脅しを翳すわけでもなく、ただただ心配そうな瞳で私を見つめる楓

いっそ、そうされたほうがどれだけ楽だったか、体を人質に弄ばれればまだ言い訳も出来たのに


仕方がないと…


そんな言葉さえも許されない

楓は待っている。私が私の口で、触れてほしいと願うのを

それが明確な屈服だと、お互いに理解しているが故に


「エリス…」


その名前が自分の名前だと理解できるのに安心する

頬に手が触れる、触れられた感触に、自分の体がまだ有ることに安堵する


頬から首筋に、指落ちていく


なぞられた輪郭に、私は私の体を思い出す

鎖骨に窪みに指先が落ち、這い上がったそれは、ついには私の胸元を撫で上げた


「ぁっ…」


ビク…と、震える体

その時になって、ようやく私は体の自由を取り戻していた

今なら突き飛ばすどころか、無防備な横顔に一撃を入れられる

その後、楓の後ろへ。暗いだけの空間に出来た、薄明かりの差し込むベールの向こう側に走ればいい


その間にも指先は私の胸の膨らみを辿り、遂には乳首を跳ね上げた


「ひゃっ」


急な刺激に堪らず上がる声

ソレだけなら まだ良かった。その声を笑われる、その程度の恥辱なら我慢もできたが


その刺激


弓が弾けたような甘い痺れが、乳首から全身へと広がっていく

意思が、揺らいでいく。取り戻した肉の感触はあまりにも甘すぎた

もしと、考えてしまう。逃げようとして逃げられず…再び囚われることを

楓の怒りを買って、そのまま放置されてしまうこと


ああ、そうだ…


ああやって、逃げ道を見せつけているだけなのかも知れない

逃げた先で、私はまた捕まって、逃げたことを理由に今よりひどい目に合わされるのかも知れない


まだ早い、まだ早い、まだはやいまだはやい…


自分が納得するまで、何度も何度も、その言葉を飲み込んだ

もうとっくに時計の針は狂っていた。バネはずれ、歯車は掛けて、正確な時間を刻めない

そんな中で完全に放置されれば、私は私を…今度こそ見失ってしまう


まだ早い、まだ早い、まだはやいまだはやい…


だから今は…



お腹のあたりに感じる感触

温かい手の動きがそっと、私の腹を撫でている

それが、下腹部に伸び、太ももの裏側を撫で上げて、ゾクゾクとしたもどかしさが全身に広がっていく


体がある、感覚を思い出す


指先から、つま先まで、髪の毛の一つに至るまで

それがたとえ、魔性の快楽だったとしても、取り戻した自分を失くすのだけは怖かった


ちゅっ…


最後にもう一度だけキスをされた

戸惑う私に笑顔を浮かべ「またね…」と、楓の姿が薄れていった





感覚は未だに残っていた

いつもの様に、すぐにも薄れていきそうなほど淡い感覚


恐る恐る、自分の体に触れる、触れ続ける


取り戻した感覚を確認するかのように、指先は知らず彼女の後を追って動いていく

頬を、首筋を、胸を、お腹を、太ももを、両の手で抱きしめるようにしながら

何度も、何度も、上から下へ、下から上へと自分の体を撫で回す


その熱が恋しかった


自分の体温でさえ愛おしく、だんだんと体を撫で回す手に力が籠もっていく

一時、それは肌を温めるには十分だったが、薄れ始めた感覚を留めておくには足りていない

まして、人肌の、他人の、彼女の、温もりの代わりにするには程遠いものだった


一人、たった一人…


自分が不確かになっていく暗闇の中で一人きり

唯一確かなものは、彼女、楓の存在だけ

しかしそれさえも、彼女の気まぐれ一つで無くしてしまいそうな不安の中

自分を失う恐怖が一秒ごとに積み重なっていく


知らずか、いや、どうだろう…


おもむろに伸びた指先は、自分の胸に伸びていた


沈む指先に、くすぐったさが押し込められると同時に、何処かもどかしさも覚える

羞恥が差し込む体に、心臓が鼓動を思い出す

そうして、楓の真似をして、私は自分の胸を弄んでいた


決して大きくはない、自分の手でもなんとか包める程度

剣をとってからは、それで都合が良かったし

敵に破れた後の事も含めて、まっとうな女の幸せは望めないのも覚悟していた


それこそ、楓に捕まった後は拷問か、快楽攻めかと腹も括ったものだが

今思えばそれより酷い責め苦。暗闇の中に放り込まれる、ただそれだけの事が今の私には恐ろしい

自分を見失う恐怖に、折れかかった心は必死に体を求めていた


自分の胸を自分で揉む

体を洗うためじゃなく、ただ快楽を得る行為

覚えはない。話には聞いていた程度で、その話でさえも低俗だと切り捨てていた

やり方も知らず、ただ胸をやり込めているだけでは

こそばゆさ以上の感触は得られずに、最初にあった興奮もだんだんと冷めていく


そうして…


冷めていった分だけ、つま先からの感覚が薄れていくのに気づく

また自分を見失う、もう楓がいつ来るかもわからない

自分さえも信じられない以上、少しでも長く自分を感じる以外に耐える術が思いつかない


焦る…


焦って乱暴に胸を掴んだ所で感じるのは痛みだけ

けれど、感じた痛みの分だけ意識がハッキリするみたいだった

今度は、わざとらしく胸に爪を立てる


がりっ…


引っかかれた肌が赤く染まった

鋭い痛みに全身を強張らせ、痛みを覚える体を見つけて安堵する


がりっ…


もう少し強く


がりっ…


もっと強く


痛みに痺れる体、苦痛にゆがむ筈の顔は堪らず唇を持ち上げる

痛いのが良い、痛いので良い。曖昧な快楽よりも確かな痛みを選んで、私を自分の胸に爪を立て続けた


「ひゃっ!?」


ビクッと、一際大きく体が弾む。たまらなくなって上げた声は、悲鳴にもにた別の声

自分でも出したことのない声に戸惑いながら見下ろすと、伸びた指先が乳首を引っ掻いた所だった


ごくり…


飲み込んだ吐息

そういえばと、彼女に触れられた事を思い出す

その時感じた甘い痺れ、同じ様にだした妙な声


恐る恐るに指が伸びる


此処を引っ掻けばもう一度、あの感覚を取り戻せるんじゃないかって

漠然とした確信が私の指を動かしていた

指先が乳首に触れると、妙な吐息が溢れた

大きな期待が私の鼓動を早くする。呼吸に合わせて動く乳首に指先が擦れると、それだけでむず痒さを覚えてしまう


1回、2回と呼吸を繰り返し


がり…


「んっぅぅぅぅ!?」


痛みに体が竦む

上がった声は、縮こまった体に押さえつけられて、ゴロゴロと喉が鳴る

鋭い痛みに全身を強張らせ、遅れてきた鈍い痛みが熱を伝え、吐き出した息と一緒に体中に広がっていた


じんわり、じんわりと…


乳首から全身に痛みが、その熱が広がっていく

痛いはずなのに、その痛みが自分を確かにする

浮かび上がった自分の輪郭に安堵して、引いていく痛みに体を震わせる


もっと…


考えるまもなく指は動く


一度覚えた感覚を貪りながら、焦るように指が体を這い回る

乳首を引っかき痛みに身を震わせて、自覚した自分の体を撫で回す


その一時が気持ちよかった


幼い頃に、頭を撫でられた時の感触、褒められた時のこそばゆさ

自分で自分の体を傷つけて、自分でその慰めをするのはなんとも滑稽な姿ではあるが

今の私にはそうするより他もなく。ただ、自分を失くさないために自身を削る矛盾を繰り返す



これが自慰だと自覚すれば、指は自ずとそこへ伸びていく


最初は自然と、お腹を撫で回していたついでに下腹部へと降りていき

次第と明確に、楓に触れてもらえなかった部分へと滑り落ちていく


誤魔化しようもない湿り気が指先を濡らす

割れ目を開けば、抱え込んでいた愛液が指の根元にまで垂れていく


「は…はははっ…」


思わず笑ってしまった


これは多分自虐で、自慰を始めた自分の体にではなく

痛みに快楽を覚え始めている私自身にだった


覚えのない興奮


高揚感とはまた違う

滑り落ちていくような不安の中、それでも指は止まらない


不思議と戸惑いはなかった

ただ、気持ちよくなるようにと願えば、指が勝手に動いてくれる

自分の体の事は、自分が一番良く知っているということなのだろうか

こんな事の為に鍛えてきた訳でもないのに、それでも、ピンっと伸ばした神経は自分の性感帯を探り当てていく


指が動く


割れ目の中に滑り込み、探るように膣の中を撫で回す

こそばゆい、もどかしい、奇妙な感覚

だんだんと下腹部に熱が集まっていくようで決してそれ以上にはならない焦れったさ


それでも、乳首を引っ掻けば体は敏感に反応して

驚きに竦んだ膣からは、とろり…愛液の量が増していく


たしかに気持ちいい


それは、それで良かったが、自分の求めているものとは違っていた

もっとひりつくような、尖った刺激が欲しかった

体が萎縮して、頭が白くなって、怖いことも忘れられるような強い刺激


指を曲げ、膣の天井、お腹の裏を引っ掻いた


爪が引っかかり、捲り上がりそうな感覚に腰が持ち上がる


「あ…」


その時、私はどんな顔をしていたんだろう

鏡がない、ガラスもない、求めていた自分の姿を見ないで済む事に息が溢れる


乳首にも似た刺激ではあったけど…


けれど、それは、もっときっと強く感じられると確信していた

指が膣から抜け置いて、割れ目を伝い結び目へと伸びていく


乳首とはまた違う、けれど興奮と快楽とで浮かび上がった小さな突起

柔らかい、けれども弾力がある、愛液で濡れそぼったそれに指が滑ると、弾けたような刺激に背筋が震えてしまう

そこがクリトリスだと、女性の性感帯だと、たとえ知識はなくても、ココが気持ちいいのだけは理解できた


それを理解すると、自然と人差し指が曲がっていく…


爪が伸びていくような錯覚さえも覚える中

自分がしようとしている事に興奮が重なっていった


乳首だけでもこんなに良かったのに、ココを引っ掻いたらどうなるか

頭がぼぅっとなる、なにかしていけないと危機感も覚えるのに指の動きが止められない

そんな事よりも、興味が、興奮が勝ってしまう


ごくり…


一つ飲み込んだだけでは、溢れてくる涎の量は減らず

半端にひらいた口の端から雫が溢れていく


あと少し、あと少しと…


期待に背中を押されながら、未知の感情に後ずさりを繰り返す


5…4…3、立ち戻って、4…3…2…1…


繰り返しながらも着実に、爪の先端はクリトリスに引っかかり、その隙間に柔肉が食い込んでいく


ぴんっ…


それまで、耐え忍んでいられたのが嘘みたいで、馬鹿みたいで

乳首だけでは得られなかった、確かな快楽が真っ直ぐに体に突き刺さった


「ふわぁぁぁぁぁっ!?」


馬鹿みたいな声を上げて体を震わせる

堪らない刺激に腰が引けるが、刺激の虜になった指先が獰猛に追いかけてくる

刺激に震えるクリトリスを摘み、けれど愛液で滑り逃げられる

滑りながらも指との間に潰されて、痛みとも快楽ともつかない強い刺激に全身を苛まれる


「あっ…あっ…あぁぁっ…」


短く、それでも何度も声を重ねる

クリトリスを潰す度に体が震えて、頭が白くなっていく

自分を見失うことに怯えていたのに、だんだんと自分が分からなくなっていく行為溺れていく矛盾


壊れる…壊れていく…


そう考えている、それを観察出来ている自分を見つけて安堵する、そんな矛盾に壊れていく



痛みと快楽とを、慰めるように体を撫でていた手が、思い出したように乳首に触れる

興奮は限界で、期待も興味も一杯で、もう一度と立てた爪は、クリトリスと一緒になって乳首を引っ掻いた


果てる…落ちる…


ともすれば何かが終わる予感

目に見える、手を伸ばせば、きっともっとよくなれるのに

尻込みでもする見たいに、指の動きを鈍らせる


絶頂…きっとこれがそうなんだろうと自覚して


今、そうする訳にはいかないと後ずさる


痛みと快楽の中、辛うじて自分を認識しているのに

それが果たされたらどうなるか、今度こそ無くなってしまうんじゃないか、この暗い闇の中に飲み込まれるんじゃないか

その想像は、快楽で鈍った頭でさえもハッキリと目覚めさせるほどだった


だからといって…


絶頂の寸前、火照った体の熱は引くはずもなく

油断をすれば、指はすぐ先の場所を求めて動きそうになる

自分を縛るように体を抱いてみれば、擦れる肌に乳首が震え、閉じた足は愛液を助けに擦れ合う


だからといって…


体を大の字に開き

必死に快楽を振り払っていけば、なんとか落ち着いても来る

落ち着いて…火照りもはれ、痛みが引いて…爪先から、指先から、冷えた体は感覚を無くしていくばかり


あと一分、あと十秒…


自分を誤魔化し続けるしかなかった


絶頂寸前の体を、それでも絶頂しないように慰め続ける生殺しの快楽を、それも自分の手で行わないといけない

自慰とは言うには辛すぎて、拷問のような刺激に耐える心は秒と崩れ落ちていく


「たすけて…おねがい…はやく…」


強がりは意味もない、生殺与奪は私にはなく、ただ彼女の気まぐれに縋るしかなかった






さて…と、一つ間をおいて、そろそろ頃合いかと首肯する


さり際に置いてきた軽い快楽

なにもない空間で一人になれば、その感覚に目がいくし

それを追いかけている間は、自分を見失わないで済むとなれば、求めずにもいられない


そこまでは予想できても、そこからは期待で胸が一杯になる


貞淑な女騎士様の事、まるで生娘のような拙い快楽に身悶えてる線が無難だろうか

あるいは、鬱屈した状況から、とんでもなく溺れてるというのも有り得る話

一番つまらないのは、それでも我慢して我慢して、本当に自分を見失ってる状態だけど


「まあ…ないか」


彼女の落とした聖剣を弄びながらも考える

あの娘にそこまでの気概はないだろう。文字通りの女騎士っていう奴だ


人々の正義を振りかざす聖剣


あの娘は所詮受け皿でしかなかった

それこそ、風が吹かないと進まない帆船みたいなもの

だれの賛辞もないあの空間の中では心は弱っていく一方


弱った人間のすることなんてのは…まあ、逃げやすい所に逃げるもの

道を作ってやれば直ぐに転がっていく。例えばそう、わかりやすい快楽だとか


「マムル…」


縁側で踊っている白い女の子の名前を呼ぶ

くるりと回っていた足が止まり、出来の悪いオートマタみたいに片足立ちに動きを止めた

「なに?」と、かしげる首と一緒に、広げた両手が斜めに崩れる


「少しでいいわ。アレが壊れない程度に」


そういって、聖剣を放って渡すと

マムルの足元から、黒い蔦が飛び出し空中でそれを受け止めた


「こんなモノ投げつけて…この子を傷つけるつもり?」


まっさらな笑顔で、真っ黒な声をだすマムル

相変わらずの過保護を笑いながら、それをどこ吹く風で受け流す


「そんなモノで終われるほど、私達は簡単ではないでしょう?」


私も、彼女も、あるいは世界一つを掛けて、勇者と殴り合っても有り余る

持ち手のない聖剣程度、少し眩しい程度の煩わしさしか無いのは分かりきっていた


「でしょうけど…」


不満げに、それも事実だと頷いて

そのうち興味もなさそうに聖剣を放って返される


「あら、私を傷つけるつもり」


オウム返しのように呟けば


「死ねもしないくせに」


嘲笑に乗せた暴言が返ってくる


「でしょうけど…」


それを笑って受け止めれば、悪びれもなく「それよりも」と話題を変えられた


「あの国、もらっていいのよね? マムルの機嫌がね、風船を割られたせいか悪くって」


あのとき、あのデイダラボッチやら、サイクロプスのようななり損ないを、バッサリ潰されたのが余程気に触ったらしい

それを宥めるために、国一つを生贄にしろとは随分な話だが

向こうからやってきて、やめてくれなんてのは通用するはずもなく、元よりそんな些事にはなんの感慨もない


「お好きに、私はあの娘があれば もう少しは楽しめるから」


「ありがと」と、とりあえずの礼の言葉を合図に「やったー♪」と子供のような声が響き渡たっていた





おどろいた…


「まぁ…」なんて言葉が、たまさか口を付くほどには予想外


考えなかった訳じゃない


たとえば、精錬な騎士様なこと、慣れない愛撫にイクことも出来ずに身悶えていたりだとか

たとえば、潔白な騎士様なこと、初めての快楽に溺れていたりだとか


そうするだけの準備はしていた


感覚を無くし、感情を乱し、外からの刺激は私だけ

嫌でも私を意識せずにはいられないのに、それさえもままならない

そんな折に落とした緩い快楽の種火に縋るのは、まぁまぁ自然な事


見られていないことが気を緩ませる

触れられない事に気を揉ませる


薄れていく自分を繋ぐこと


それは、意識的にしろ無意識的にしろ、彼女の心を救ったろうに


私に行為を見られて羞恥する

見られているのにも気づかずに快楽を堪能する


そのどれか、そのどれにも当てはまらずに


彼女、エリス・クロフォードは濁った瞳を私に向けてくる


「た、たのむ…」


震える声が訴える。もはや懇願にも近い泣き言を


予想通りだったのは、快楽が自分を認めさせた事だけ

あとは私が触れた跡をなぞってどうとでもするだろうと


その気配は確かにある


快楽で上気した端正な顔立ち、締まった太ももは緩み切り、しどろもどろに触れ合わせた隙間からは粘つく水音

髪を濡らす汗の雫がその金色を捉えて頬に貼り付ける。鈍色の瞳は輝きをなくし、浮かぶ涙に溶け込む快楽

裸の女、自慰に明け暮れたその体からは、女の色香が鬱蒼と垂れ込んできていた


してはいたのだろう


快楽の色はたしかにある

拘束するように自身を抱きしめた両手は、それでも思い出したように性感帯に触れている


苦しそうに潰れた胸の先、汗で滑り弾かれた乳首が顔を出す

やがて、力を無くした腕は垂れ下がり、お腹を撫でると、おもむろにクリトリスに指を掛ける


その刺激の全てに反応している体は、いっそ過剰とも言えるほどに震えていた


アレで絶頂していないのが不思議なくらい

いやさ、それこそが驚きだ。もはや肌を撫でられるだけで快楽に酔える程だろうに


なぜ?


驚きの後には、その疑問が顔をだす


さっさと絶頂してしまえばいいのに、イキかたが分からない風にも見えない

むしろ、分かっていて寸での所で遠ざけている様に見える

そうすれば、さらに辛くなるだけなのに、それが分からない状況でもないだろう

もしかしたら、ついさっき現れた私のせいで 絶頂を止められたのかと 疑いもすればそれも違う


何分も、何時間も、何回も、何十回も…


絶頂の直前で慌てて坂道を逆走している

そのまま、走りきって飛び降りてしまえばと、甘い誘惑に目を背けてまでだ


「おねがいだ…」


またの声


もう自分の発情は自分が一番理解しているだろうそんな声

荒い息が発情を認識させ、またも同時にそれを煽る

自分の吐息で耳を犯されるほどに感じているのに、どうしてそこまで我慢をするのか


「ずいぶんと…」


本当に、随分な格好だった


同時に、少し惜しくもある

「私は快楽になんて屈しないっ」とか言う奴、実際に見てみたかったんだけど


まぁ、無理か…


求められただけの英雄様にはこれが限界

動機が自分にない以上、人の目がなくなれば ただの小娘といった具合か


「どうしたの、エリス・クロフォード?」


努めて、努めて優しく声を掛ける

すれば、彼女の瞳に光が戻り、真っ直ぐと濡れた視線が見つめてくる


「たすけ…わたし、もう…あ、あぁぁっ…」


まるで別人のようだった


私が見ている。それを認識した途端に、彼女の両手が性感帯に殺到する

乳首を、クリトリスを、痛いくらいに潰して引っ掻き、嬌声を越えて悲鳴のような声を上げて身悶える


それは一瞬


彼女は確かに開放されたんだろう

助走をつけて崖から飛び出し、快楽の高みからどん底へと落ちていく


その一瞬に、私は手を差し伸べた


「ひぃっ!?」


気分はバンジージャンプさながらだったろうか


突然に現れた黒い影が五指になり、彼女の手足を拘束する


確かにイケた。その瞬間に絶頂の快楽はエリスの体を嬲っただろうが

手足を拘束された途端に、頂上付近にまで引き戻され、弾みを付けながらも絶頂の波は遠のいていく


「あ、あぁぁ…あっ…ぁぁぁ…」


悲鳴が、絶望のような嗚咽に変わる

やっとイケたのに、中途半端に止められて、体の高ぶりはもう意識の外で暴れていた

刺激を求めて腰を振り回し、高ぶった乳首を揺すって刺激を求める

言うことなんて聞きやしない、勝手に暴れて挙げ句に自傷も厭わないだろう


「わからないのよ、エリス…」

「な、なんで…」


私を見るエリスの瞳

救われたと思って、喜びに濡れていた瞳が真逆の色に濡れていた


「どうして? どうして私が来るまでイケずにいたの?」


まさかのまさか。私に初めての絶頂を見せつけたかったと訳もあるまい

いくら最近は、ぶっきらぼうながらも会話は成り立っていたとはいえ、そこまで愛されている自覚はなかった


「だって、私…きえちゃ…」


息も絶え絶えで、言葉も虚ろ

それでも、なんとなく読み取れた事に納得はできた


「そう、怖かったのね」


快楽が自分を繋いでくれた

けれど、絶頂に達して、それを解消した時に、再び暗闇の世界に叩き込まれたのでは堪らない


首が締まるような思いだったろう

足を付ければ楽に慣れるのに、首にかかった縄がそれを躊躇わせる

つま先立ちのまま延々と、息苦しい思いのまま悶々と


「ごめんなさいね」


そう言って、悪びれもせずに彼女を抱きしめる

頭をなで、髪を漉き、顔を向けさせ口を塞ぐ

背筋を辿りながら、乳首をつまみ。上がる嬌声を飲み込んで、ゆっくりと指先をクリトリスへと近づけていった


「ココが、好きなの?」


唇を離して問いかければ、焦れた視線は躊躇いながらも傾いた

傾き、頷いたまま、期待をするように注がれる視線が、自身の下腹部を焦がしている


わざと、あえて、ゆっくりと、見せつけるように

指を、指先を、エリスのクリトリスへと伸ばしていく

どれだけけ弄ったのか、すでに皮も向けて立派な性感帯になっているソコへ、汗と愛液とで濡れた場所へ向けたまま


指先は、乳首を引っ掻いた


嬌声が耳朶を打つ、心地のいい響きに私は胸を踊らせる


良いものは良い


処女の鳴き声は本当に耳障りの良いものだ

上質な絹を切り裂いたような確かな満足感に満たされる


気にはなっていた


乳首を弄るのは良い。摘む力が強すぎて、抓る具合になってしままでなら理解できる

だが、そこに爪を立てて引っ掻くとなると話は変わってくる

敏感だと分かっている所に、わざわざ加減の難しい痛みを与えるなんて

そりゃ、事に慣れている娘なら変わった刺激も欲しくなるんでしょうけど

見たところの生娘がそれをやるというのなら、それはあまりにも偏執的で


「とんだ変態ね…」


笑うしかなかった

弱々しく繰り返される否定を押しのけて口を塞ぐ


違うなんては言わせない


そんな事を言う舌を捕まえて、そんな事が言えなくなるまで私の舌で撫で回す

声が止む。エリスの中にたまった唾液を押し付けるように舌を伸ばし、喉の奥へと流し込む


ごくり…


苦しそうな表情も一時。飲み込んでしまえば、楽になった呼吸にすぅっと目が細まっていく


「ねぇ、エリス…」


選択肢の無い問いかけ

「どうされたい?」と問われ、ここに来て最後の自制心か、あるいは私の目を気にしたのか

言葉に詰まる彼女を尻目に、正直な反応をみせる体に口を近づけていった


固くなった乳首


近くで良く良く見てみれば、それは確かに赤らんでいて

通常の興奮とは異なる色合いを付けられている

血こそ滲んではいないもののそれだけで、もう何回もしないうちに流れ出るだろうほどには痛々しい


啄む


口づけをするより優しくに、優しく優しく啄んだ

それで十分、けれどそれでは足りない刺激

快楽で火照った体、傷ついて更に敏感になった乳首

薄い傷口に舌を這わせ、ひりつくような痛みを感じてやっと彼女は声を漏らす


ゆっくりと口を開く


決して逃がすわけじゃない、更に奥へと誘い込むために入り口を大きく開く

望むこと、望まれること。そうしただけで、彼女の乳首がほら、中の方へと進んでくる

どうされるかなんて分かっているだろうに、唇に彼女の膨らみが押し付けられた


「ぃっ!?」


痛みに竦む体

けれど、それが遠のいていくに従って、それ以上に緩んでいく彼女の体

滲んだ血を舌で舐め取る。その度に、這い回る痛みが彼女の体を痺れさせる


乳首を吸われて声を上げる

滲む傷口を、血を、舐め取られて感じている


おおよそ、聖騎士なんだと仰がれていた時とは思えない痴態


頭上から涙声が降ってくる

甘い甘い吐息が繰り返されて、否応もなく彼女が崩れていく音が心地良い


そろそろ…


そう思ったのはどちらからだったのか

高まっていく快感に彼女の声が荒ぶり、それを認めた私はようやくとクリトリスに指を掛けた


愛液が手を汚す


零れ落ち、吹き出して


掴まれている手足を置いていきそうなほどに体を暴れさせる


ようやくの絶頂、満足のいく快楽


寸止めも、引き戻されもしない


落ちるまま、落ちていく体と心とに私は更に爪を立てた


「ひゃぁぁぁあっあうっあっあっぁぁ…!?」


ビクンっ…


いい加減壊れたかと思うほどに体を跳ね上げさせるエリス

項垂れた顔は色を無くし、か細い息を繰り返していた





目が覚めると、女が微笑んでいた


「かえで…。っ!?」


その名が口を付いた途端、今までの痴態が雪崩の様に蘇り、堪らず頬が熱くなる


何も言わない。ただ微笑んだまま私を見下ろす楓

けれど、その顔は暗に「気持ちよかった?」と、問いかけてきているようで顔を上げられないでいた


そんな私の視界の隅


隠すように、それでも目につくように入り込む一振りの剣

吸い込まれるように視線が流れ、そうだと意識した時には手が伸びていた


「あぁ、これ?」


楓の手の中、雑に振るわれていたのは私の剣だった


「かえせっ」


意外と、大きな声が出た、思った以上に体が動いた

体を見失ったままじゃ出来なかった動き、快楽に身を焦がし続けていた事が報われた瞬間


「あら…」


けれど、それは、余りにもあっけなく私の手の中に返ってくる

子供のイタズラを咎めるでもなく、軽く声をもらしただけで、取り返そうともしな楓

不信感はそこにあった、疑問を抱くべきでもあった、何を考えたら相手の切り札をわざわざ持ってくるものかと


剣を握る、覚悟が戻る


そもそも、あの獅子の邪魔がなければ勝てていた筈だったのだ


剣が輝く、力が戻る


今一度剣を振り下ろし、この魔性を切り払う

それが英雄の、この剣に認められた私の責務だと背負い直す


避けるでもない、構えるでもない、楓はただほくそ笑んだまま、剣の輝きに目を細めている


「人の期待を背負うってどういう心境かしら?」


命乞いでもない。本当に思いついた疑問が口をついただけの問いかけ


「私の誇りだ」


次はない、禅問答など意味もない

輝きを増した剣を構え、大きく振りかぶる


「それは随分と重たいことで…」


戯言を、遺言にしては忠告めいた、いかにも憐憫を浮かべた表情だった

諦めの最後に、私の心を惑わそうとしているものかとも考える、考えて


おぼつかない足元を踏みしめる、剣を振り抜いて、そのまま床を踏み抜いたようだった


「なっ…」


足元が崩れたわけじゃない

むしろ、その重量は真っ先に腕を潰していた

押しつぶされそうなほどに重さを増した剣。支えきれなり、放り投げられるように、体が前に倒れ込む


腕ごと地面に叩きつけられた様だった


それでも離すまいと、握った剣に指先が押しつぶされそうになる


「言ったでしょう? 助けは来ないって」


ふわり…その結果を、さも当然の帰結と頷いて、楓が微笑んでいた


「貴女一人を助けているほどの余裕はないもの」

「なにを…したっ」


「なにも?」と首を振り、睨みつけた私に当てつけのように「私はね」と付け足される


最悪の予感が二つ


私を倒した獅子か、あのサイクロプスがまだ生きていたか

どっちにしろ、国を一つ滅ぼすには十分な相手に、焦りばかりが増していく


「今ごろ みーんな貴女の帰りを待っているのでしょうね?」


女も、子供も、ご立派な兵士達まで「直ぐに騎士様が助けに来てくれる」って


「だからこそだ…」


剣を杖に変え、なんとか立ち上がる

それを引きずり、無理にでも楓の前にと近づいていく


「だからこそよ…」


楓が微笑む


その勝利に酔った横っ面に目掛けて剣を振り上げる

私の帰りを待つ人々の願いが詰まった剣は、私の手に余るほどに重い

けれど、手に余るなら、足で、全身で、それを受け止めて


型もないもない、ただ我武者羅に剣を振り抜く



エリス様…



誰かの声が聞こえた気がした

名前を呼ばれたような気がした

助けを、求められたような気がした


女の声で、男の声で、幼子の声で…


ならばと、意気込んだ

その者たちの期待を受けて、私は楓を打倒し、すぐにでも助けに戻ると



どうして…?



楓は動かない。頬を掠める剣を気に留めるでもなくほくそ笑んでいた


「ぐっ…!!」


また、剣が重さを増す、増々増して、枷を嵌められたように私の体は下へと引きずり込まれる


ぞわりとした…


剣から伝わる力は、いつにも増して大きいのに

そこに、私を祈る言葉は一つもなかった


助けて、助けてと、泣き叫ぶ中

どうして、なんでと、か細く消えてゆく


エリス様が来てくださると、皆を励ます声の中に、私を罵倒する声が混じりだす

事情を知っている兵たちの口は塞がれ、真実を告げようものなら首を落とされる


そんな、そんな、地獄のような光景が、剣から私に向かって流れ込んできていた


「皆の願いを束ねる剣。そういえば随分と聞こえは良いわよね」


膝をつく私の前に、しゃがみ込む楓

そっと伸びた手が、剣を握る私の両手を包み込む


「けれどほら…。これが人の願いよ?」

「っ…やめっ」


絶望は、遂には怨嗟に変わっていた

どうして来ないの? なんで助けてくれないの?

アイツが負けたからだ、アイツが負けたから私達はこんな目に


アイツのせいだ、アイツのせいだ…


「ほら、どうしようもない理不尽の矛先は、力のある貴女に向けられる」


たまらず剣から手を離そうとする

けれど、その手は楓に抑えられて、押し付けられて、更に強く剣と繋がってしまう


エリス・クロフォードは逃げ、私達を裏切った


裏切り者の売国奴、悪魔に屈した魔女


「ちがっ、やめろっ、わたしはっ、はなせっ!?」


暴れる。暴れて、暴れて、楓の手を振りほどこうとして

あっけなく、尻もちをついた自分に、心底安心を覚えていた


「重いわよね、人の期待って」


笑う、嗤う、哂いながら、楓は剣を手に取り立ち上がる


「こんなモノはね、背負うもんじゃないのよ」


乱雑に弄ばれる剣、そうしてその切っ先は真っ直ぐに伸びて


「ひっ…」


身をすくめた私の横に突き刺さっていた



「さて…」


楓の口から溢れた提案は、脅しのようであり、甘い誘惑でもあった


「人から見捨てられた貴女は、これからどうするのかしら?」


言葉が出ない、悪魔に屈する抵抗よりも、その先の恐怖が私の心を締め付けている


剣は私に応えない。楓を振り切ってココ逃げ出す算段もつかない

詰め寄られた言葉からは最後通牒の余韻を含み、否応もなく私に決断を迫っていた


「良いのよもう。じきに命からがら逃げ出した奴らの何人かはこの森に迷い込むでしょうし」


それもいい気味でしょう? と楓は笑う


そうやって迷い込んだ者たちの末路は身を持って体感した

男は雑に殺され、女や子供はきっと私以上の玩具にされるんだと


憤る、哀れみもする


騎士として、自分を身代わりに少しでも助けたいと…


そんな感情に背を向けて、保身に走る自分を私は止められなかった


捨てられる、置き去りにされる

この暗闇の中に、一生捨て置かれて、少しずつ自分を見失っていく

その恐怖は、私から騎士の名誉を捨てさせるには十二分に過ぎていた



「いや、たすけて…」


恐る恐ると、楓を求めて手が伸びていく

もはや、自分の救いは目の前の彼女にしか無いと、心が折れてしまっていた


「良い子…」


手が取られる、楓が微笑んでくれている

たとえその笑顔が、道端で見かけた猫に向けられるような笑顔でも、私は縋るしかなかった





楓の手が優しく、私の頬に触れる

受け入れる様に瞳を閉じて、期待で顔が持ち上がる


触れ合う唇


入ってきた舌に口の中を舐め回されて、息苦しさに鼻息ばかりが荒くなっていた


「んっ…ぅぅっ…ぁっ…はっ…んぅ…」


息継ぎの間、とぎれとぎれの空白に慌てて息を吸い込んで、吸いきらないまま、また口を塞がれる

溜まっていく唾液が喉を塞ぎ、苦し紛れに飲み込んでは空気を求めて口を開く


口づけと言うには余りに苦しくて


その息苦しさに次第と頭が惚けてきていた


抵抗らしい抵抗はしても形だけ

舌を追い出すように動かして、体を離そうと、彼女の肩に手をかける


けれど、その舌を絡め取られ、逆に抱きしめ返されると、それさえも弱々しく変わっていく


「あっ…」


満足したのか、楓の口が離れていく

その頃にはとっくに私の心は溶かされていて、不満げな声がたまらず漏れてしまっていた


「ねぇ、エリス…。貴女、初めてでしょう?」


楓が立ち上がると、剣が向けられた

私の横から抜き取られて、その切っ先が真っ直ぐに私を捉えている


初めてと、この期に及んで惚けられもせず、もしかしてと頷いてしまう

悪魔に抱かれる嫌悪は名前を変えて、楓に抱かれる期待に満ちていく


切っ先がずれる、ずれていく

目の前からすぅっと下がり、胸の間を、鍛えられた腹の筋をなぞり落ちていく


ピタリ…


そうして止まった先は、だらしなく開いた足の間だった


「ぇっ…」


束の間の期待が凍りついていく

冗談であって欲しいと、冗談でなければ近づいてきた切っ先の行末が恐ろしい


切っ先が割れ目に滑り込んできた


金属の固さと、なにより冷たさに背筋を震わせる

逃げたい、逃げ出したいのに、後ずさりさえも許されない

下手に動いたらと思うと、凍りついたように体が固まってしまう


楓の気まぐれであってほしい、質の悪い悪戯だと固く固く願い続ける


「痛いのが良いのよね? なら、コレぐらいいけそうじゃない?」


違うと首は振っても、何も違いはしなかった


自分を慰めていたときも、口を塞がれ息苦しかった時も

そこから開放された安堵は、痛みが引いていくむず痒さは、変に私を興奮させていたのは事実で

割れ目に剣を突き立てられるのと、どれほどの差異が有るものかと楓は笑っていた


「や…っ」


声がでない

その先の恐怖に体が固まっているのもあるが

下手に抵抗して、彼女に捨てられるのもまた恐ろしい


そして、その無抵抗の頷きは、ゆっくりと剣の先を進めていった


切っ先が沈む


剣の幅に合わせて割れ目が広がっていく


不思議と痛みはなかった

そのせいで、愛液に刃が滑っているのか、膣内が切り裂かれているのかも分からずに

わからないまま、切っ先が自分の中に沈んでいくの見つめ続けている


「良いの? もう処女膜切れちゃうわよ?」

「っ…」


そう言われて、ようやく焦点が合った気がする

切っ先は沈みきり、剣はその先端をも私の中に滑らせている

刃に押され、恐怖に震えながらも広がる割れ目

少しでも体を守ろうと、滴る愛液が刃を伝い落ちていく


抵抗を促される声


けれど動けるわけがない


私の不用意な動きの一つで、彼女の気まぐれ一つで、膣の中がズタズタにされることに比べれば

処女膜の一つくらいなら自然な痛みだと目をつぶる以外の選択がない


「ひとーつ、ふたーつ、みーっつ、よーっつ…♪」


遂には歌うように数えだす楓

音を踏む度に揺すられる剣に、体はますます凍りついていった


「なーな、はーち、きゅーの…」


歌が途切れる、音が消える


私は、ぎゅっと目を閉じた


そうでもしないと涙がこぼれそうで、その悔しさを楓に見咎められたくはなかった

選択肢は何処にもないのに、それは、わずかに残った意地の名残だったのかもしれない


けれど、剣はそれ以上に進むことはなく、ゆっくりと…抜けていった



膣の中、緊張感が消えていく

張り詰めていた感覚が緩んでいき、私はようやく息をすることを思い出していた


「なに安心してるのよ?」

「ひっ…!?」


再び体が凍りついた

楓の笑顔とは裏腹に、無慈悲にも膣に埋まっていく剣に身を固くする


繰り返される、何度も、度々に…


刺しては抜いて、抜いては刺して


今度こそ処女膜を切り裂かれるかもしれない恐怖に身を固め、それが遠のいていく安堵に気を揉んだ

繰り返し、繰り返す。緊張と恐怖、弛緩と安堵を綯い交ぜにされ、体よりも先に心が切り刻まれていく様だった


「随分と、気持ちよさそうね?」


言われて気づく、「はぁ…はぁ…」と、繰り返しているのは自分の吐息だった


それを忘れるくらいに没頭して


気づけば…


差し込まれていた剣の切っ先の、その冷たさを感じなくなっていた



剣が割れ目を押し開き、膣に刃を這わせてていく

滑り込む恐怖心に身を捩り、抜けていく安堵に息を吐く


経験はないが、それが普通の自慰や性交と、どれほど違うのかといえばもう答えられもしなかった

ただ、私の中で動き回る剣の感触に、言い知らぬ感情が湧き上がる、

腹の中に溜まっていくその感覚は、楓に与えられた絶頂と呼べるものに近づいていく


その予感が体を震わせた


動いてはいけないと分かっているのに

剣の動きから逃げるでもなく、むしろわざと刃に沿わせるように腰をゆすり始めていた


もう少し、もう少ししたら切れるかも知れない


それはもちろん怖かったが…


その胸を締め付ける恐怖は、腹の中の熱を高めてもいく


むしろ、ココまでやっても平気なのだからと…

薄れていく恐怖は快感に成り代わり、ギリギリの快楽を求めて体は熱を上げていく



傍から見たら随分な光景だろう


剣を割れ目に突き立てられて悶ている自分

歪んだ快楽に彩られて、私の興奮は一刻と高まっていく


「ひとーつ、ふたーつ…」


楓がまた歌い出す


「みーつ、よーつ…」


数え歌に合わせて、私の興奮も絶頂に引きずりあげられていく


「いつつ、むーっつ…」


何が突き立てられているのか、完全に頭から抜け落ちていた


「なーな、はーち…」


割れ目は愛おしそうにソレを咥え込み、流れる愛液はその量を増していく


「きゅうの…」


ひっ…と、息を呑む

絶頂の瞬間、一瞬にも戻った理性は、きらめく刃に身をすくませた

それでも、腹に溜まった熱は収まるわけもなく

「あっ…」と、一つ声が漏れれば後は止めようなく、暴れる快楽に意識が落ちていった


「あっ、あっ、あぁぁぅぁあっぁぁぁ…!?」


声を上げる、その開放感に力が抜けていく

お腹が勝手に震えて、体中から集めた快楽が逃げ場を求めて喉を鳴らす


「と…」


最後の一つを、遂に楓が数え終わった


指先で突くような軽い音

絶頂に狂う私の体は快楽を求めて体を開く

無抵抗に落とされた切っ先は、あっさりと私の処女膜を切り裂いていた


「ぁ…」


切れる、切れた


快楽で溶ける感覚の中、なぜかそこだけがハッキリと自覚できる

膣の中に愛液とは違う感触が伝っていく


「ま…って…まって…」


繰り返す言葉

バラバラになった心と体はちぐはぐに、それを止めようと膣に力を込めた


埋まっていく剣の感覚に身を捩る、流れて出ていくモノを止めようと腰を持ち上げる

更に奥へと滑っていく剣。剣で埋まった膣の中から、押し出されるように割れ目から赤い色が滲んでくる


「あ、あぁぁ…はっ、ぁはは…」


笑っているのか呆れているのか、自分でも判断がつかなかった

すでに諦めていた女の人生が、こんな所で、こんな形で砕かれて


それでも、貪欲に、その快楽だけは受け取って…


「そんなんだから、見放されるのよ…」


楓のその言葉に、私は首を振ることさえできなかった





目の前に倒れている女の姿


白い肌に浮かぶ金色の髪が美しい女の姿


絶望に塗れ、快楽に濡れた女の姿


その様は随分と無様で、一層と美しくもあった



「何もしないってのもね…」


目の前に無抵抗に横たわる女を前に、裸の娘を前にして、何もしないというのも変な話し

確かに、やりたい事はやってしまったし、このまま捨て置いても良かったけれど


女は嘲笑う、少女の様に薄く微笑む


そうして、衣擦れの音がざわめくと、豪奢な紅い着物が解けていく


透き通るような白い肌、それを染める黒い髪

赤い視線を彷徨わせると、見つけた玩具を手にとった


それは剣


女騎士様の、エリス・クロフォードの誇りと、民達の願いの写し身

さりとて、恐怖と怨嗟に塗れた刀身は往時の輝きとは程遠くすっかりとくすんでしまっている


けれど、それはそれで使いようは合った


道具は道具。聖剣だの魔剣だのと言っても、そこに善悪がある訳がない

むしろ私に、私達にとってはコレぐらいの方が扱いやすいくらいで

眩しいばっかりだった聖剣よりも、よほどそれらしく思えた


刃に指を滑らせる


音もなく、抵抗もなく、切れた薄皮から滲んだ血が刃を汚していく

剣がその形を歪めていく。刃がこぼれる訳でもない、刀身が折れたりもしない

ただ崩れる、溶ける、血の色に染められて、赤く乱れていった


「やっぱり、あると便利よね…」


普段から付けようなどとは思わないが


やはり…


女性を犯す道具としては、コレ以上のものはないのだろう


異形の触手、不定形な体の一部、異様な大きさや、器械的な張形などなど

犯す道具は色々あれど、最後にたどり着くのはやっぱり、古典的で原始的な一物に限る


崩れた剣の塊を自分の股間にあてがう


感覚をつなげて、形を整えて、それらしく肉の皮で覆うと


「うん、ご立派ご立派」


自分のアソコから生える肉棒

子供を孕ませるわけでもない、女を犯すだけの器官

ちょっと欲張りはした気もするが、ビクビクと元気よく震えるそれは実に頼もしい



手をかける


女の上にまたがって、だらしなく開いた両足の間に体を落とす

気づいた時にはもう遅い。慌てて閉じられる足は私の腰を挟み込み

弱々しく押し返してくる両手を体重を掛けて押し返す


ぬるり…


肉棒の先端から伝わる感触。女の割れ目を押し開く感覚

柔らかく、いっそ熱いくらいに火照っていて、少し腰を押せば抵抗も無く沈んでいった


意外だと思ったのはその狭さ


剣で弄り回していたときは、随分と余裕が有るものだと思っていたが

いざ肉棒を押し込んで見れば、その息苦しさに声が漏れる


いや、それが決して痛い訳でもない


それが狭く、未熟な生娘だった膣というだけ


肉棒を締め付ける女の柔肉を押し開く感覚

確かに狭いが窮屈でもなく、むしろ、自分の肉棒の形に合わせて広がっていくのが愉しいぐらいだ

息苦しいと思ったのは、締め付けてくる柔肉の感触が予想以上の快楽となっているだけで

たまらずの溜息には、恍惚の色が隠せない


失敗した…


もったいないと思った


押し倒している女を見下ろして首を振る


呆然と見上げてくる瞳を見つめ返す

私と、一緒になっている恥部とを交互にみやり

これから起こるであろう出来事に、思いを馳せるそんな顔を


絶望もあるだろうに

それでも、私が植え付けた嘘みたいな恐怖心から目を逸らして

仕方がないという言い訳は、彼女の口を甘く開かせる


まるで餌を待つ雛の様


いや とか やめて とか、漏れる言葉が弱々しい

反面、沈む肉棒の感触に、飲み込む吐息は生々しい


何に期待をしているのか、何を期待されているのか…


そう思うほどに、その期待を裏切りたくなっていた



想像するのは、快楽に焦がれる女の体

そこに肉棒を打ち付けて、破瓜の痛みに泣き叫ぶ姿と、構わず膣内を蹂躙して射精する快感


その涙も、悲鳴も、きっと最高だったんだろう


まして、痛みで快楽を覚えられる娘だ


大した手を使わずとも、すぐに声音が快楽に染まるのは想像に易い


痛みで感じる自分に戸惑い、その間にも高まる快感に泣きわめく

感情の制御なんかも効かず、与えられる快感を真正面から受け取って


絶頂する


その震える膣内に、もう一度射精したやったらきっとどれほどか…



あーあ、失敗した…


初めてが自分の愛剣だなんて、よほど嫌がる姿が見れると思っていただけに

思いの外、快楽に抵抗が無いんだからつまらない

唯一と、私への依存に逃げ道を用意したのが間違ったのか

あるいは、女は捨てだとか、場違いな諦観で心を守ったのか


「っ…」


考えている間にも、女の中を押し広げた肉棒は、その先端で子宮口を押し上げる

亀頭を舐められるような感覚。たどり着いた行き止まりに突き刺さり、肉棒から痺れるような快楽が伝わってくる


堪らず漏れる息に、跳ね上がる心臓


ここが彼女の最奥で、これから私のと何度も重ねる快楽の最果て


何事も、準備をしている時間が一番楽しいという人がいる、かくいう私もそうなのだから

単純な興奮で言えば、きっと射精や絶頂の瞬間よりも強いかも知れない


分かりきった快楽の先よりも、不明確な想像の方が愉しい


だからといって…


止める手はない


ゆっくりと腰を引く


抜けていくごとに締め付けがなくなり楽にはなるが

その先の、甘い誘惑を求めて再び割れ目を開いて肉棒を沈めていく


確かに、想像するのは愉しいが、それで腹が膨れるわけじゃない

それで腹が膨れるなら、この世に私達みたいなもんはいないし、世界はもっと平和だっただろう


空腹と、飢餓と、渇望と…


それが世界の本質だと悪魔(わたし)は嗤う


満たされぬ快楽を少しでも満たすために、たとえ哀れな女が一人、陵辱されようと





絶頂の果からようやくと開放されて、何処へともなく倒れ込む

そもそも、どこが上か下かもわからないのだから、倒れ込むという表現も危ういものだった


倒れ伏した先に転がる剣


鈍く光る刃はくすんでいて、何一つとて正しくは写してはいなかった


恥ずべき状況


憤り、怒って、剣がだめでも拳を握って

心だけは折れないようにと、視線で、言葉でもって彼女を否定するくらいは出来た、出来たはずだったのに


絶頂の瞬間


何も考えられなかった


いや…


何も考えたくなかった

やっと、やっとと、それだけで、そればっかりで

散々煽られていた快楽が実を結んだことに、安心さえ覚えてなりふり構わずに飛び込んだ


気づいた時には、自分の剣が処女膜を切り裂いていても


膣の中を伝う血の温度に背筋を冷やしながらも


私は快楽に溺れるのを止められず、むしろ、その温度差に心が焦げ付くほどだった


意外と、女々しいものだと思ってしまう


戦場で、まっとうな女性でなどいられるはずもないのに

覚悟をしたつもりが、いざ失くしてしまえば後悔にもにた苦い気持ちが喉を震わせている


鈍い体を動かし、そこへ指を伸ばしてみても

それらしい痛みの色さえ残ってはいない


なんて無慈悲


失くすことの覚悟も、無くした実感も得られないまま、ただ無くなった


もういいか…


もう、楓の玩具としての道を…。たとえ、選ばされたのだとしても

見下ろす彼女の後ろ、薄く開いた明かりに指を伸ばす

あそこに私の居場所はない、ここにも私の居場所はない

私は私を見つけられず、私を見てくれる悪魔の名前に縋るよりもなかった



「ぇ…」


思わず声が漏れたのは


転がった剣が取られた事じゃなく、それが形を崩したからでもない


おもむろに服を脱ぎ去った楓の姿に目を奪われ

形を変えた剣が、男性の…肉棒として、歪にそそり立っていた


想像する…


これからのこと…


想像して、心がざわつく


嫌だと思い、なんとか起こそうとした体が押さえつけられる

入り込んできた体に足も閉じられず、震えた体は伸し掛かってくる彼女を押し返せもしない


まだ、それが無機質だったから良かったのかも知れない


そこに快楽が伴っていたとしても、たとえ絶頂に心を焦がしても

肉体的に、痛めつけられたと、拷問のようなものだと僅かばかりの諦観もできた


けど、実際にそれを、男性を意識してしまうと…


体が固くなる


震えて動きが出来なくなる


ドキドキと跳ね上がる心臓、グルグルと堂々巡りを繰り返す思考

逃げようとして逃げられなくて、暴れてるつもりが手を伸ばしているだけで


触れる肉棒の先端が、私の割れ目に触れた時


ふわり…


下腹部が熱を持ったのを自覚する


快楽に続く熱さ、その先にある絶頂の感覚


じっとりと、焦れていく快楽の波


嫌なことも怖いことも忘れられる瞬間


「いや…やめ…」


忘れる、失くしてしまう


また、絶頂に落ちている間に、大切だったものが失くなってしまう



身を捩っている間にも、沈み込んでいく肉棒の感触

恐る恐る向けた視線の先、映る肉棒の影は半分以上も飲まれていて

だというのに、私の中にそれを受け止める処女膜らしき感触は何にもなくて


下腹部が押し上げられる


初めての抵抗らしい抵抗は、私の膣の最奥だった

子宮が震える、じんわり広がった熱さが愛液に変わっていく


ずるずると…


抜けていく肉棒に、膣の内側を捲られていく

引っかかれ、引きずられて、膣の中から快楽が引っ張り出される


どれだけ我慢をして、首を振って嫌がって見せた程度では何も変わらなくて

むしろ、嫌がる自分と、関係もなしに焦がれる体の差異にこそ、私の興奮は増していった



淡々と続く肉棒の動き


寄せては返す快楽の波も一定のリズムで落ち着き始めていた

確かに気持ちいい、体も心も飲み込まれそうなのに、それ以上とはいかなかった


焦れる、焦がれる


どうせなら、もっと激しくしてほしい、早く絶頂させて欲しいと、そんな事ばかりを考え始め

男に、肉棒に犯される嫌悪感は次第にと薄れていった


「そろそろイキたい?」


ふいに囁かれた言葉


甘い香りのする その言葉に誘われるまま開きそうになった口を慌てて閉ざす


頷きたい体と、頷けない心


どうせ、最後には絶頂させられると薄々予感はしていても

僅かな反抗心が、全部が全部、彼女の思い通りにはなりたくはないと口を塞いでいる


そのくせ期待だけは大きく膨らんで…


こうして、反抗して見せればもっと激しくされるんじゃないかって

剣で処女膜を切り裂かれたように、もっと滅茶苦茶にされたい

その射精の瞬間まで我慢して、悪魔の精液で絶頂する瞬間、自分は何処までも落ちていけるんじゃないかって


ぐちゅぐちゅ…ぐちゅぐちゅ…


繰り返される波のような快楽

何一つリズムは変わりないのに、自分の息苦しさだけが増していく

溺れる、溺れていく、波の合間に慌てて息を吸って、それでさえも難しくなって


イキたい体と、イキたくない心


その葛藤を読まれたみたいに、肉棒からの快楽は私を絶頂させるには至らない


「ぁっ…ぁっ…」


期待が口から溢れる


奥を突き上げられる事を想像して、そこに届かずに焦れていく

なまじ最初にそれをされたばかりに、そこへ届かない快楽はもどかしいばかりだった


それでも、我慢していれば、楓の方が先に耐えきれなくなるって思っていた


剣の時とは違う生の肉棒


彼女の吐息だって荒くなっているのだからと思っても、一向にその時は訪れない

どころか、次第に私の方が耐えられなくなっている


楓の肉棒を受け入れるように、追いかけるように腰が動き始める

けれど、どれだけ不意をついて動かしてみても、肉棒が奥に届くことはなく

広がった雁首に膣の中が引っかかれ、絶頂にも満たない快楽の波が余計に掻き回されていく


まるで、桶に浮かべた小舟のようだった


自分でかき回して、いつ沈ものかと期待して

沈まないことに拗れて、そのうち沈む様に波を荒げていく


人の肉棒で自慰をする。惨め意外なにものでもないのに

一定だった快楽の波が、次第に荒ぶっていくのを感じていた


楓の体にしがみついて、自分で腰を動かし始める

両足を閉じて、彼女の動きを制限してまで、その肉棒を追いかける


「ひゃぁぁぁぁっ!?」


ようやく、ようやくと、奥を引っ掻いた肉棒の感触に声を上げる

背筋を反らし、彼女の肉棒に腰を押し付けて、ガクガクと体が震えてしまう


イキたい、イキたい、イキたいと…


そればっかりに体が染まっていく、なし崩し的に射精をされて絶頂

そんな浅はかな期待はとっくに崩れ去っていた



ずるり…


勢い余り、肉棒が膣の中から抜け出ていく

急に空っぽになった腹の中が異様に寂しく感じて、すぐに肉棒で埋めてしまいたくなる


「意外ね、自分で止めちゃうなんて」

「ぇ、あ、ちが…」


まるでそれが分かっているように微笑んで、それでも楓の体が離れていく


このまま止められては敵わない

また絶頂できないまま、暗闇に閉じ込められることを想像するだけで体が震えてしまう

それならもう、彼女がいなくなる前に自分で絶頂に追い込むか


「まって…」


ようやく絞り出した言葉に、楓が振り返る

細くなる瞳に、何かを期待されているようで、続く言葉を必死に探す


「おね、がい…つづき、を…」


それが限界

それ以上の言葉を私は知らなかったし、この状況では意味が通じない筈もない


「あら、嫌だったんじゃないの?」

「あ、…それは…だって…」


言われて思う。今だって嫌なじゃない訳がない

状況が許すなら逃げ出したいのに、それが出来ないから屈服する以外になにもないだけ

心が焦がれて、体が焦れて、与えられる快楽を知ってしまったら、自分でするだけじゃ届かないのも分かってしまう


「だって、なに?」


笑顔を浮かべ、近づいてくる楓

そうして、近づいてくる肉棒に私の視線が吸い込まれる


自分の愛液で濡れている肉棒

その先端から溢れる雫に、なんとも言えない匂いを感じてしまう

それが精液の匂いだと、それで貶められる自分を想像して、高まっていく興奮を止められない


やり方なんて分からない


ただ、こうすれば良いと聞いたことが無いわけでもない

どの道、膣の中で気持ちがいいなら、口で咥えても、舌で舐めても気持ちがいいんじゃないか…

そう考えたのは、私が自分で肉棒に手を伸ばしたのに気づいてからだった



膝を付き、両手を重ねる

祈るような姿。反面、少女の手に抱かれた肉棒は、その神聖さを汚し尽くし、卑猥に拍車を掛けていた


手にあまる肉棒の大きさ


飛び出した亀頭の先に、恐る恐る口を近づけていく

吸い込まれる、引き込まれる。ダメだ分かっていながら、それをダメだと押しのける

留まらない興奮が体を動かし、嫌悪感にも勝れば後は羞恥に染まるだけ

心臓の音は高まり、高まった心臓が興奮を助長していった


キス…


初めてのキス

いや、正確にはもう何度目か…

けれど、自分の意思で触れたのはコレが最初


そして、その相手は男の肉棒だった


柔らかい、けれど硬い、不思議な感触

興奮した乳首と、クリトリスに似ているといえばそうだけれど、そのどれとも言えない

勃起したそれを支えるように浮き出る血管。その脈動に合わせて震える肉棒


先端から滲む雫が唇に触れる


感じた精液の気配

絶頂を期待させる匂いに、ねだるように舌が伸びていく


ちろり…


ひと掬いと舌先で舐めあげる

喉が鳴る、喉を鳴らす。唾液に混ざる分まで惜しく思い、丸ごとに飲み干していく


ちろちろ…ちろちろ…


乳飲み子か、小動物か、ねだる様に、水を飲む様に、舌先を伸ばし亀頭の先端を舐めあげた

その度に肉棒が震え、震えた肉棒が零した先走りに私は喉を鳴らす


「口、開いて?」


お願いと言いたげな声音は、私にとっては命令に等しかった

口調こそは優しい、首を振ればきっと諦めてくれる

諦められて、呆れられて…私はそれを拒めない


言われるまま、触れているだけだった唇の先を少し開く

私の唾液と先走りに塗れた肉棒は、すんなりと唇を割り開いた

途中、歯にぶつかり、当たらないように慌てて口を開く

そうすれば、思いの外息苦しくなり、それでも喉の奥に触れた肉棒の刺激に胸が踊った


舌が動く


自分でもどうしてそうしたのか分からない程自然に

喉に入った肉棒の、その裏筋をなぞり、中に留まる先走りを絞る様に喉に落としていく

1回、2回、3回と…。肉棒をなぞる度に溢れる先走りは直ぐに私の口の中に貯まり、抵抗もなく私をそれを飲み込んだ


ずるり…


楓が腰を引く

唇に張り付く肉棒が、不揃いな血管の感触を際立たせる

唇を重ねたときとも、舌でなぞられたときとも違う、もっと乱暴で引きづられるだけなのに

そう感じるほどに私の興奮は増していき、肉棒に捲られる唇から甘い痺れが広がっていく


ずるり…


楓の腰が押し付けられる


肉棒が口の中に戻ってくる

押し込まれる肉棒に反射的に窄まる口。押し返すはずだった舌先は、受け止めるようにその剛直を出迎えた

肉棒が喉の奥を突く、息苦しさに頭にモヤが掛かる

甘い快感だけを残して、その感覚は私の中から色んなものを遠ざけていく


心配もなくなる、不安もなくなる、恐怖もなくなる、私は気持ち良い


口の中でうごめく肉棒

口の端から溢れた唾液が、体を汚すのも構わず縋り付いてしまう

だんだんと、大きくなる肉棒の脈動。たかまる射精の予感に、さらに奥まで肉棒を咥えこんでいく

肉棒を抱きしめていた両手は、気づけば楓の腰を抱いていた

単純に邪魔だった。肉棒に祈ることなんて何もない、私は懇願したいだけ


早く射精してください


早く絶頂させてください


その願いが届くように、唇で舌で、肉棒に奉仕を繰り返し、その瞬間は唐突に訪れる


「んっ!?」


喉が塞がれた


入り込んだ肉棒と、僅かにあった隙間が白濁で満たされる

小さな口の中には入り切らず、直ぐに口の中を満たして溢れ出す

口の端から白く汚し、溜まらなくなって喉を鳴らす


びくびく…どくどく…ごくごく…


精の脈動に合わせて喉を鳴らし

熱く粘ついた感触がお腹に溜まっていくと、そこから渦を巻いたように全身に広がっていった

胸が熱い、乳首の先が痺れて切なくなる。子宮が熱い、膣が震えて愛液がその量を増したのを自覚する

堪らずすり合わせた太もも。ぬるりと愛液が絡みつき、潰されたクリトリスから絶頂にも近い快感が背筋を奔っていく


びくびく…どくどく…ごくごく…ごっくん…


その最後の一滴までも口の中に出されて、私はその全部を飲み込んで

「はぁ…」と、取り戻した呼吸に押し出された精液の匂いが鼻を抜けていった





ぼぅっとする…


頭にモヤが掛かっている


私は私を見失っていた


アレだけ怖かったのに


快楽がその全てを溶かしてくれた


それで良かった


何も考えたくなかった


何も考えないで、真っ白になった心のまま消えていきたかった



お姉ちゃん…


呼ばれた気がした


お姉ちゃん…


そう呼ばれていた気がした


お姉ちゃん…


それが誇らしかった


守ろうと思った


国を、民を、何より…



「おはよう…」


あいつの、楓の声が、耳障りに私の目を覚まさせる


「大切な人の声は聞こえたかしら?」


人の願いを汲む聖剣

思うだけでは足りない力を、貴女を思う心を力に変えてくれる剣

形は変われど、こうして貴女に流して上げればきっと力になると思ってましたわ

憎悪は増えども、祈りは消えず…ね? 


そう言って微笑む楓


その意図が分からず、訝しげに彼女を睨みつける


私が快楽に落ちていたのなら、そのまま壊すなり玩具にすればよかったのものを

どうして、わざわざ正気にもどさせるような真似をしたのかわからない


だが、どうあれ行かねば、戻らねば、帰らねばならない


妹が待っている、国が、民が、私を恨んでも救わなければ


一瞬だけ、聖剣を…その末路に目を向ける

もはや使い物にはならないだろう。どのみちあんな形になったものを手に取る気もしなかったが


「お帰りはあちらで?」


身を引いた楓が、暗闇の切れ目に手を向ける

余りにあからさまなだったが、度を越せば疑う気もなくなった

有ると分かっているなら どうとでもなると、変に覚悟が固まる程だった


ふらつく体を起こす


お姉ちゃん…


その声が私に力をくれる

お腹が熱い。精液はまだ私の体を蝕んで、快楽の波を起こしているが

今は、その繋がりだけが拠り所でも合った


手を握る、地面を踏みしめる


平時…とは行かないが、楓の横を駆け抜けるくらいは出来ると確信する


お姉ちゃん…


呼ばれている、行かねばならない

その声に導かれるようにして、私は駆け出した


助けて…


助けて…


助けて…助けて…助けて…たすけてたすけてたすけてたすけて…


いやぁぁぁっぁぁぁぁっ!?


その悲鳴は誰のものだったのか

妹か私か、その声は重なって、駆け出した私の膝を崩すには十分だった


絶望、絶望だ


助けは来ないと諦めて、これから起こる陵辱に身を晒す、そんな絶望


お姉ちゃんっ、お姉ちゃんっ、お姉ちゃんっ


呼んでいる、呼ばれている、助けに行かないと


暗闇の切れ目、僅かに漏れる光に手を伸ばし


その手を撮ったのは悪魔だった



「貴女がここで快楽に耽っている間、貴女の妹はどうなったんでしょうね?」

「貴様っ…なにをしたっ」


「さぁ?」と首を傾げる楓

それは、からかっている風ではあっても、決してその答えを知っているわけでもなさそうでは合った


「私はただ、好きにすれば? と言っただけ」


その結果の予想はついても、その過程までは預かり知らんと無責任に微笑んでいる


「どけ…私は…」


楓の手を振り払い、立ち上がろうと力を込める

お腹から、快楽の波に合わせて私の助けを呼ぶ声が響いてくる

縋り付くように、その声は私の手足を蝕むが、今はそれを振り切ってでも立ち上がらなければならなかった


「今から行っても間に合わないでしょう?」

「うるさいっ」


転がる体に鞭打って、四つ這いに、這いながらでも先へと進む





健気、なんとも健気

無駄だと思っても諦めない。一度壊されても立ち上がれる

私には絶対にないもので、その姿をもって英雄と讃えても良いほどで


その輝きに、舌なめずりを隠せなかった


四つ這いの その腰に手を添える

願いに潰されながら、今までよく動いたと褒めてあげたい

ご褒美は肉棒と精液、それと極上の快楽


一瞬だけ睨まれこそすれ、それ以上構う気は無いのか光にむかって進み続けるエリス


頑固か意固地か、意思が固いと言えば聞こえは良いが

そんな無防備にされたら何もしないのも失礼に思う


肉棒があっさりとエリスの中に沈み込む。まるで吸い込まれるように

それだけ強く思われているのかと感心するほどで、それならもっと楽しめると笑えるほどだった


亀頭が子宮口に突き刺さる


その瞬間、エリスの悲鳴が色づいた


それはそう


体はすっかり出来上がっているし

お腹に溜まった精液は、民たちの感情を耐えずに流し込んでくる

そう、快楽に染まった恐怖と絶望。同じ目に合わせたい欲望と、責任逃れな願望と

エリスを思う祈りは、一時こそ彼女を正気に戻したが

それが風前の灯に消えた瞬間、彼女をまた絶望に落とすだけの装置になる


暴れる手足は力なく


与えられた快楽に、体は否応に反応してしまう

肉棒で子宮口を突く度に、膣全体に締め付けられて、子宮を押し出すように下腹部に力が込められる

精液を渇望して震える子宮が先端をくすぐり、逃すまいと締め付けてくる膣の感触は精液を絞り出すようだった


「はな、してっ…私はっ」


肉棒から伝わる快楽が腰を震わせて、背筋を伝わり頭を焦がす

けれどそれ以上に、使命のためにと私情で抗う彼女を嬲り、快楽に喘がせるのが堪らなく愉しい

一突、一度、肉棒を打ち付ける度に、悲鳴と否定で泣きながら、それでも私から逃げようとする背中


快楽と恐怖で逃げ道を塞いで、どうしようもなく縋ってくるのも楽しくはあったけど

芸術品が壊れる瞬間、それを壊す瞬間に得られる背徳と快楽に勝るものではなかった


びくり…


肉棒が震える

溜まりに溜まった性感が吐き出す場所を求めて刺激を求めていた

近づく射精の瞬間に、エリスの腰を掴み更に奥へと肉棒を打ち付ける


可愛い声


抗いきれない快楽に、腰から力が抜けていく

そんな彼女の体に覆いかぶさり、それでも前にと向かう手にそっと私の手を重ねた


「そろそろ出すわよ?」


予告と、同時に彼女への自覚を促す


今までどんな顔をしていたのだろうか

緩みきった表情は、それでも口元を置き去りにして引きつった


理解はしているはず


さんざん焦らされて、口の中に射精される

それでも、酩酊にも似た有る種の絶頂感は得られただろうけど

埋まらない子宮の隙間に、お腹に燻る快感の波に、体はもうとっくに限界


今だって


気を抜けばイッてしまいそうなのを我慢して、前に進もうとしているけれど


「いや…いやぁ…」


分かっている、分かってしまっている

精液がもたらす快楽を、聖剣の繋がりがもたらす暗い欲望を

耐えられないと、いま射精されたら確実に達してしまうと

そうなればもう2度と前にも進めず、この暗闇に引きずり込まれると


「ごー」


わざとらしく、大きな声で数を数え始める

それだけで「ひぃっ」と彼女の体が震えて、射精の瞬間に慄いてた


「よーん」


弱々しい抵抗は、それでも少しはマシになってきた

少しでも肉棒から距離を取ろうと腰を動かし、それでも体を支配する快楽に抗えずに声を上げる


「さーん」


声は鳴き声に「やめて」と繰り返し、けれど端々から止めどなく嬌声が続いていく


「にーい」


精液が肉棒をせり上がっていく

エリスの嬌声が断続的になり、絶頂の予感に体が打ち震える


「いーち」


「やだやだやだやだっ」悲鳴は大きく、首を振り、腰を振り、縋るように私の手を握り返す

藁をも掴む思い。何かに縋っていなければ、バラバラになりそうな快楽を


射精


絶頂


子宮を染める精液


爆発するような快楽


張り裂けそうな嬌声


肉棒が歓喜に震えて、押し開かんばかりに子宮口に突き刺さる

吐精の刺激に、熱に、浮かされる子宮、震える膣

彼女を襲う快楽は、彼女の意思に反して精液を求めて体を開いていく

足を、子宮口を、口までも、だらしなく開ききり、注がれる精液に、その快楽を受け止め溺れていった





体が動かない


暴力的な快楽は、私の全部を壊していく様だった


いやっ、いやっ、いやっ…


断続的に繰り返される声


聞こえる妹の声に、私の声が重なって

塗りつぶされる絶望的な快楽に、私の心も染まっていくようだった



恨みが、悲鳴が、絶望が、恐怖に塗れて私を責め苛む


民の、部下の、顔が浮かんでは消えていく

それが誰であるかも分からないのに、それが誰かで有るのは理解して

その者達は私を取り囲んで各々に責め立ててきた


お前が負けたから、お前が戻らなかったからだ、お前が国を売ったんだ

なんで? どうして? 娘が、息子が、お父さん、お母さん、男の怒号、女の悲鳴

貴女のせい、お前のせい、魔女め、売国奴…


口々に、ぐちぐちと…


この間までは感謝を讃えていた口は、ひたすらに呪詛を吐き出し続けている


捕まえろ、同じ目に合わせてしまえ


責任の所在を求めた腕が、乱暴に私の手足を捕まえて

さらけ出された体は、侮蔑と、好奇と、何より欲に塗れた視線にさらされる


「やめてくれ…」なんていう気も起こらなかった

「ごめんなさい…」なんてもっと言えない


そのどれもが言い訳で、私に求められていたのは勝利意外になかったのだと思い知る


「あぁ…ぁぁ…」


涙は流れない


ただ、私を取り囲む肉棒の群れを、私を黙って受け入れるしかなかった


肉棒が割れ目を押し開き、膣の中に押し入ってくる

絶頂の後、引き上げられた性感は堪らず嬌声を漏らして、その刺激を受け入れた


けど、それも一瞬


開いた私の口に、我先にと肉棒が殺到して、その一つが私の口を埋め尽くす

ぬるりとしと感触、纏わりついた精液の味と匂いに息が詰まりそうになる

肉棒の侵入に愛液が量を増し、溢れた唾液が口の端から溢れていく


苦しい…


膣の奥を突き上げる肉棒の刺激

声を上げると、口の中の肉棒が更に奥へと滑り込んできて、快楽の逃げ道がなくなる

呼吸を求める口も塞がれ、鼻で息を吸う度に精液の匂いに頭を染められた

白い、白くモヤのかかったような匂いに、私の思考がどんどん塗りつぶされていく


びちゃ…


なにか、熱く、粘ついたものが私の顔に掛かる

同時に立ち込める精臭が強くなり、それが精液だと理解する


ぐちゅぐちゅ…ぐちゅぐちゅ…


耳元で聞こえる水音

それは、私の割れ目から聞こえる音に似ていて、もっと乱暴なものだった


握っている、使われている


私の指が丸まり、その隙間に肉棒が押し込まれている

右も、左も、好き勝手に穴の形に丸められ、愛液の代わりとなった精液が肉棒の滑りを助けていた


びちゃ…


またの射精


手の隙間から肉棒が抜けていく

かと思えば、別の肉棒が入ってきて終わることがない


びちゃ…びちゃ…


次々に体に掛かる精液が私を汚していく

その匂いに思考を遮られ、全身に快楽だけが取り残されていった


膣が震える


子宮が熱くなる


粘ついた精液が、流し込まれて、快感が私の体を染め上げる

肉棒が引き出され、割れ目から溢れた精液が太ももを伝っていく


やっと終わった…


そんな安堵と引き換えに、次の肉棒がまた私の膣を貫いた


足を開かれ、両手を使われ、口を塞がれる


私を嬲る手はさらに増えて、両の胸を鷲掴みにした


一瞬の痛み

けれどそれは直ぐに快感へと変わっていった

当然だ、そうやって自分で慰めていたんだから、快感の高まりきった今ならもう、どれだけ乱暴にされても感じてしまえるんだろう

体にかかった精液を掬い上げ、塗りたくるように私の胸が揉みしだかれる

固くなった乳首を捕まえて、抓るようにと挟んだ指が、精液で滑って乳首を弾く


甘い痺れに乳首が震えた


上がらない声の代わりに喉を鳴らして、背筋が反り返る

それに気を良くしたのか、何度も何度も乳首を刺激され、その度に悶える私の体

咳き込む私の喉に、流し込まれる精液。震える膣の刺激に絞り出される精液

上からも下からも、射精されて、快感に板挟みになった心臓が悲鳴をあげている


抜ける肉棒


僅かに出来た隙間に、堪らず声を上げて

それを待たずに次の肉棒が入ってくる、口を埋めて、両手を塞ぎ、子宮口を突き上げられる

広がる快感は全身を覆い、握るだけだった指の隙間からも妙な熱を伝えてくる

精液に塗れた乳首が弾かれる度に、体を反らし鳴くことも許されずに身を焦がす


鈍い刺激


違和感を覚えた場所は、割れ目の向こうがわ、お尻の隙間

目を開く。口でも手でも、膣でもない。性交に使うべきではないその場所に感じる刺激

それに気づいた時には、肉棒の先端をすでに埋まり、体が持ち上げられるような感覚と、何かがお尻の穴を開いていく不快感


ぬるり…


入ってくる太い肉棒

それが止まると同時に、男の腰が打ち付けられる

膣を広げる肉棒と、その向こうに感じる熱い感覚

構わずに肉棒が割れ目を犯し続けている、その快楽がおしりの方にまで響いてくるみたいだった


乳首ともクリトリスとも違う鈍い感覚


しいて言えば子宮口を、子宮を刺激される感触に似てはいたけれど

それをもっと鈍く、厚くしたような、後に残る快感

入ってくる苦しさに変わって、捲られるような、抜ける時の快感が、鈍く厚く広がっていくと、全身の性感が一気に高まっていった


お尻に感じた熱が広がっていく


肉棒が波打ち、震える感覚は何度も感じた射精の動き

愛液に代わり、お尻の中に広がると肉棒の動きが軽くなっていく


それで楽になるかと言えばそうでもなく


さらに激しくなった肉棒が、膣を埋める肉棒と競い合うみたいに私を犯し尽くしていった



何度も射精され、絶頂を繰り返す

体を染める精液は量を増し、私を視姦しながら各々が私に精液を振りかけてきていた


お姉ちゃんっ、おねえちゃんっ、お姉ちゃんっ


頭の片隅、心の奥に響いている声


「お姉ちゃんっ」


ふいにそれが、目の前に落ちてきたようだった


投げ出していた意識が戻る


顔を上げ、肉棒たちを押しのけて、視線を聞こえた先へと向ける


「あっ、あっ、おねえ、ちゃん…」


視線が合う


私とよく似た、私よりも小柄な少女の姿


助けを求めて伸びる小さい手


私の所へと行こうとする体を抑え、男が妹の腰を抱えている


「やめ、おとう…さまっ、あっぁぁっ…」


それは、王の、父親であった


実の父親が、娘を、妹を助けるでもなく、その身を抱えて犯している

上ずった声、流れる涙、太ももを伝う愛液が、どれほどの乱暴を繰り返していたのかを明確に伝えてくる


「おねえちゃっ、たすけっ、あっやっ…」


助けを求めて、妹が手を伸ばす

それに応えようと私も手を伸ばし、それが叶うこともなく、伸ばしたては男の肉棒を掴まされた


抱えられ、お尻に、割れ目に、口に、手に、胸を揉まれて喘いでいる自分の姿

足を閉じることも、体を隠すことも出来ずに、その痴態はまざまざと妹の目に焼け付いている


そうして妹の痴態もまた私の目に焼き付いていた


自分よりも幼く小さな体


女の快楽どころか、恋に夢見るような年頃に、自分にも合った少女の面影を重ねてしまう


犯される妹の姿


自分によく似た、幼かった頃に自分の姿


父親に腰を抱えられ、割れ目に肉棒を突き立てられている

伸ばされた指先に胸を揉まれると、上げていた悲鳴は少女のものとは思えない甘い声に潰される



音が響く


粘液質で痛ましい…。けれど、甘く淫らでいやらしい音…


妹と心が繋がっていくようだった

悲しみと絶望と、抗えない快楽に喜びを隠せない体


肉棒で子宮を刺激される度、互い違いに声漏らし

妹の痴態は、ますますに私を興奮させていく


助けようなどとは思えなかった


助かるとも思えなかった


だったらもう、快楽に全てを流されるのが幸せな位に考えていた



精液の味に喉を鳴らす


抜けた肉棒、空いた口で私は愛おしい妹の名を呼んだ


「あっ、おねえちゃんっ、おねえちゃんっ!?」


お互いに手を伸ばす

けれど、それは届くこともなく、男たちに抑えられ、私達は犯される



粘液質で痛ましい音が、その勢い増していく

王の鼻息が荒くなる。鼻に掛かるような妹の嬌声が余裕をなくしていく


絶頂が近いんだろう


アレが初めてなのかは分からないけれど、せめて気持ちよくなってくれる事を願いながら

私は妹が泣き叫ぶ姿に、ぼんやりと視線を落とす


ドクリ…


肉棒が震える

それが少女の中で脈打つと、容赦もなく小さな割れ目の向こうに精液が流し込まれていく


「あぁぁ…あぁぁぁっ…!?」


おぼつかない悲鳴

嗚咽混じりの嬌声は、少女から理性を奪いその体を快楽で染め上げた

それを見ながら私も、膣に子宮に、お尻にと精液を流し込まれ、その刺激に溺れていく


どれだけそうしていたのか忘れるほど、永遠にも似た一瞬の時間


射精が終わり、少女の割れ目から父親の肉棒が抜ける頃

私達は感情が擦り切れ、痛みも忘れた体に、ただ刻み込まれた快感に震えていた





「どうして?」


そう彼女に問いかけてみた


あの時、エリスを襲った獅子の爪

燃費の悪い みけ の本性を開放してまでしてやるようなものでもなかった様に思う

まして、ワンちゃん 私が滅びるなら自分も開放されてハッピーエンドも見つけられたろうに

むしろ、あの程度で死ぬとか思われる方が心外なくらいだ


日本家屋な縁側で、佇むそのメイドは暫く逡巡した後に


「主を見捨てる従者もないでしょう…」


不本意を隠しもせずに、諦めたような澄まし顔で答えていた


後書き

気づけば姉妹姦みたいな展開になっちゃったわね
まあ、そっち側は後で考えるとして、妹に幼い日の自分を重ねて興奮する姉って最悪に最高だったわ
正直、輪姦されて落ちる姿より、こっちの方に焦点当てたほうが良かったわね

それと、コメントをくれた君、とってもありがとう
よければ、また夜の共にでも使って頂戴

さぁ、今日は此処までよ。右手はまだ元気かしら?出すものは出した?
少しでも興奮してくれたのなら、これ幸いね

それじゃあ、また次の夜にでも ちゃぉ~♪


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