第6話 「着任」
この物語は第5話の続きです!この作品をより楽しみたい方は、1話からお願いします。
これは記憶を無くした男。しかし元帥が勝手に提督にされる話...。これは己の記憶を思い出す為の機会だと思い提督になると言ってしまう。しかし...未だに艦娘は0だった事に気付くのであった。
皆さん!!こんにちは!!
え?朝に投稿しているから...普通はおはようございますって?そんなの気にしない気にしない!!
さて本題です。何故投稿が遅れて来たのか、その真相を話します!!実は...ラストオブアス2にハマってしまい、投稿が遅れてしまいました。本当にすいません。
しかも!!こんなに日が経っていたことにも関わらず...作品が完成してません!また更新って感じでやります!
ではゆっくりで良いので、読んで下さいね。
注意...誤字があるかもです。その時はこっそり治しますので、心配しないで下さいね。
皆さんお久しぶりです!雪だるまです!!
何故こんなに間が空いてしまっていたかと言うと...仕事が忙し過ぎて、時間が無いって事です!今日がたまたま休みをもらったので、更新出来ました。てか完成しました!なので...ここでの更新はここまでにして、次の方に更新したいと思います!(文字数が足らなくなる)
あと誤字とか酷いと思いますが...そこの所は〜サイレント修正しますので、御安心を...。では暇の時にゆっくりと〜〜読んで下さいませ。
2020/08/12 08:11:36
誤字修正
2020/08/13 04:43:16
空白修正
2021/05/07
男は白い部屋で真っ白なベットで眠っていた。腕に点滴を何ヶ所も打たれているせいか、痛みが薄らと感じていた。
薬品の匂いが飛び交う室内で男は目覚める
竹筒「.........」パチ
竹筒はゆっくり目蓋を開け、見渡すようにゆっくりと眼球を動かす。
竹筒「...ここは...どこだ」
自分が見知らぬ部屋にいた事に気づき、何故こうなったのか、思い出そうと脳を巡らせる。
竹筒「確か...軍曹を笑って、勝ち誇ったら気を失ったのか?まさか重傷を負った俺が生きているなんてな」ハハ
自分の生命力の強さに呆れつつも、身体を動かそうとした時...下半身がピクリとも動かなかった。
竹筒「マジかよ。動かせるのは上半身だけかよ!!もしかすると布団でまだ寝てろって事か!」
自分で納得して...そのまま二度寝しようとした時、ドアを開けたような音が室内に響いた。
竹筒(この時にお見舞いかよ!寝たフリした方が良いよな)
竹筒は寝たフリをバレないように安らかな顔をしながら寝そべっていた。少しだけ細目で誰が来たのか確認するとそこには奴が居た。
大佐「おぉ〜寝てるね!それもそうか、あんだけの傷を負ったら当分目覚めることは無いよね」
竹筒(もう目覚めているんだけど)
大佐「にしても、昨日は本当に大変だったな。呉提督がやっていたことや、憲兵との関係、それに【特殊部隊】が来るなんて...この世界は一体どうなっているんだか...」
竹筒(さっき大佐は昨日って言ってたよな。もしかして俺が倒れてから1日しか経ってないの!!それに特殊部隊って何だ?)
大佐の発言に疑問を抱いた竹筒は...さらに情報を聞き出そうと寝たフリを続けていた。
大佐「そんな事はどうでもいいか〜」
竹筒(いやいや!!どうでも良いで済ましちゃ駄目でしょ!)
大佐「よし!!ストレス発散するぞ!」
竹筒(ストレス?一体何をする気何だよ)
大佐は竹筒が寝ているフリをしている事も知らずに室内で大声で叫ぶ。
大佐「竹筒くんの禿げ!!芋男爵!!」
それを聞いた瞬間!!竹筒は急に上半身だけ動かし、そのまま大佐の顔面の方に右腕を伸ばす。
大佐「へ?」
大佐はあまりの出来事に把握出来ず、何故か当分目覚める筈がない男に顔を掴まれていた。
竹筒「誰が芋男爵だ!!」バン
そのまま地面に叩きつける!
大佐「ぐふ...」グシャ
室内で轟雷のような音が病院全体に行き渡る。
大佐「な...何で...お前が...目覚めているんだよ」
竹筒に強く地面に叩きつけられたのか、大佐は額から顎までポタポタと血が流れていた。
竹筒「ちっ!!生きてたか...」
大佐「舌打ちするなよ!危なく僕が二度と目覚め無くなるところだったよ!」
竹筒「二度と目覚め無くて良いよ」
大佐「え...酷い!!言うけど僕!!憲兵だよ!暴行罪で捕まるよ!」
竹筒「だったら憲兵に悪口言われて精神的に可笑しくなりましたって、元帥に伝えて良いですか?」
大佐「それは辞めて!!首無くなるから!!もし報告されたら、『お前のせいで名声が落ちた!だから貴様の首を飛ばし!!その首を人前で掲げるぞ!』って言われるよ!」
竹筒「お前らの元帥が一番怖いよな...。違う意味で...」
大佐「全く...そんなに元気なら直ぐにでも鎮守府で仕事してくれよ」
呆れた様子で大佐は左手にハンカチを出し、血を拭き取る。
竹筒「生憎だが、上半身は動くが下半身が言うこと聞かないんだよな」
大佐「そう言えば医者から、下半身の方は重傷だって言ってたな」
竹筒「確かに呉提督に脚を掴まれて脚骨に罅が入ったからな。それでも無理あり動かしたのか、悪化したのかな?」
大佐「そりゃ〜悪化するだろうな」ヤレヤレ
困った顔する大佐。そこで竹筒は、突然気になった事があったのか大佐の問う。
竹筒「なぁ...大佐。俺が気を失った後どうなったのか聞いて良いか?」
大佐「やっぱり気になるか」
大佐は俺を見ながら大きな溜め息を吐く。
竹筒「何だよ...。言いたくないのかよ」
大佐「実はお前が気を失った後、色んな出来事があったんだよ。聞きたい?」
竹筒「頼むよ」
俺がそう答えた瞬間、大佐は納得したような顔を浮かべ、白い天井を見上げながら語り出す。
大佐「あれは〜竹筒くんが気を失って、それを見た艦娘達は焦ってね。急いで鎮守府から外に出て、俺が病院に送ったわけ」
竹筒「なるほど!!それで俺が病院に居たわけか...」
大佐「そうだよ」
竹筒「じゃねーよ!!さっき深刻そうな顔をしてたやろ!その顔に合った言葉じゃないぞ」
大佐「えぇ〜」
大佐のふざけた態度にイラつき...そのまま横になる
大佐「怒らないでよ〜」
謝るも、竹筒は毛布に顔を埋めていた。
竹筒「帰れ!!俺は寝る...」
大佐「はいはい」
それに応えたのか大佐は帰ろうとドアの方まで寄っていくが。
大佐「なぁ竹筒くん。これは僕の独り言何だけどさ。君が気を失った後......」
病室で大佐は本当の事を長々と語り出す。
ーー昨日の事ーー
全裸のモブ「大佐殿!!本当に竹筒くんを助ける事なんて出来るのか!!」タッタ
大佐「まさか俺だって、竹筒がそんな重傷になるなんて考えもしなかったよ!」タッタ
呉鎮守府の中、長い廊下を駆け出しながらモブさんは焦りながらも、血で真っ赤に染まった竹筒を運んでいた。
時雨「ほ...本当に助かるんだよね?」
不安そうに時雨は蒼い瞳で大佐を見つめる。
大佐「当たり前だろ。外に僕達の仲間を呼んだからね。きっと間に合うよ〜」
夕立「もしかして...貴方も憲兵?」
大佐「そうだよ〜。けど僕はここの区域の憲兵じゃないけどね」
夕立「そう...それは良かったわ」
何故か夕立は落ち着いた表情を浮かべていた。
竹筒「ゲフ...」
竹筒は咳をする度に、口から真っ赤な液体が零れる。
全裸のモブ「おいおい!!本当に間に合うのか?このまま行くと死ぬぞ」
大佐「焦らせるな。今門の方に向かっているだろ」
不知火「竹筒さん...」
不知火は竹筒の状態を見た後、自分が悪いと、頭の中で責めていた。その時!!急に左肩に誰かの手が優しく叩いてきた。
大和「一人で責めない出ください。もし責めていたいのなら、私達全員を責めてください」
不知火「大和さん...」
大和「竹筒さんがこんな事になったのは、私達を救おうとした結果です。なので責任は私達です」
蒼龍「やっぱりそうなるよね」
飛龍「私のせいでこの人は...」
長門「そうだな。だが彼はまだ少しながらも、命の火種はまだ消えてない!だったらまだ救う事が出来る」
大和「えぇ...だから不知火。もし竹筒が目を覚ましたら、お礼を言うのよ」
不知火は周りを見るも、艦娘達の心は一心になったのか、どれも覚悟を決めていた表情だった。
それを見た不知火は、落ち着いた表情を取り戻してた。
不知火「そうですね。竹筒さんは絶対に死にませんよね」
大佐「もう少しで外に出れる!!」
廊下の先を見れば、そこには外の風景が見えた。
全裸のモブ「もうそろだ!!頑張れ竹筒くん」
北上(ここに出て大井っちに会うんだ)
霧島(遂に解放されるのね)
榛名(この地獄みたいな日々も終わりですね)
比叡(カレーが自由に作れる〜)
金剛(なんだろ?急に比叡から嫌な気配を感じた気がするネ)
天龍(龍田...仇は取ってやったぜ)
大佐達と廊下を駆け、やがて光が徐々に大きくなっていく。
全裸のモブ「これで俺達は自由だ!!」
全員「おぉぉぉ!!」
皆の喜びの声と共に外へと飛び出す!
不知火「これは...」
不知火は庭やグラウンドを見渡すように、目を動かしていた。そこには黒い軍服を着ていた憲兵の姿があった。それも数百人は下らない数だ。
A黒服憲兵「お務めご苦労様です!大佐殿!!」
急に一人の若い少年が脚と身体を真っ直ぐに揃え、右手で額まで手を持っていき、敬礼をしていた。
大佐「今は敬礼する場合では無い。早急に車を出せ!!一秒たりとも遅れてはならない」
そう言うと、若い憲兵は慌てながら謝り、すぐさま、車を取りいこうと門に向かった。
B黒服憲兵「一体何が起きたんですか?」
大佐「こいつ(竹筒)を運んでくれないか?本当は俺も一緒に行きたいが、ここに残らないと行けないからな」
全裸のモブ「竹筒くんを頼む!!」
B黒服憲兵「は...はい」
少し動揺しながらも竹筒を二人係で運び出す。
C黒服憲兵「おい!!ちゃんと左腕を持ってろよ」
B黒服憲兵「了解です。にしてもこの人...本当に生きてるんですかね?」
C黒服憲兵「大佐殿の命令だぞ!!信じれないのか!」
B黒服憲兵「すいません!!」
C黒服憲兵「分かれば良い!!取り敢えずこの人を病院に運ぶぞ!」
二人は竹筒を担ぎ、門へと向かう。しかし進むに連れて、ある疑問が生まれる。
B黒服憲兵&C黒服憲兵「なんであの人全裸なんだ?」
そのやり取りを聞いた大佐は呆れたような顔をしながら...。
大佐「アイツら...仕事中に優雅に会話しやがって、後で指導だな」
細目で見ていた大佐をモブさんは豪快に笑っていた。
全裸のモブ「若いな〜。昔の俺達を見てるようだよ」
大佐「隊長さんもアイツら見たいに騒がしかったのか?」
全裸のモブ「おう!!昔の俺達なんて、上の言う事も聞かずにどんバチやってたぜ。大佐殿には無いのか?」
大佐「無いですね。元々俺の家庭は軍に背く事しかやってないから、そんな呑気にやってられないよ」
全裸のモブ「複雑だな」
大佐「複雑だよ...てか隊長さん?服でも着たら?」
全裸のモブ「あ...」
二人は何気ない会話をしながらも、友情を深まっていた。すると大きな声で叫ぶ男が居た。
軍曹「離せ!!俺が誰だと思ってるんだ!!俺は軍曹だぞ」
D黒服憲兵「動かないで下さい!手錠を付けれません」
軍曹は黒服憲兵の手から逃れようと暴れるが...腕をがっちりと掴まれていたのか、解けることが無かった。
軍曹「クソが!!おいお前ら(憲兵)俺を助けろ!!助けたら艦娘とヤリ放題だぞ」
軍曹は自分のところの憲兵に助けを求める。
A憲兵「軍曹殿...もう辞めましょうよ!牢の中で一緒に罪を償いましょ」
軍曹「何を言っている!!」
A憲兵「正直...軍曹殿がやっている行為は許されることじゃありません!しかし今素直に捕まれば、罪だって少しだけですが軽くなると思います!」
軍曹「黙れ!!ただの駒が図々しく命令するんじゃねーよ!誰がお前ら見たいな不良を兵士まで育てたと思っているんだ!!」
A憲兵「.........」
軍曹「不良でも...育てれば使えると思ったんだよ!まさかこの場で裏切られる何て思わなかったけどな!!だって俺は軍曹!!偉いんだよ!!それなのに下っ端風情が!!調子に乗りやがって!!絶対に俺は認めないぞ」
軍曹は怒りで顔が真っ赤に染まっていた。すると軍曹の理屈に聞き飽きたのか、もう一人の憲兵が言い返す。
B憲兵「黙れよ!テメェの理屈何て聞き飽きた!!」
軍曹「は?」
B憲兵「何が偉い?その状況でよく言えるね!俺だったら恥ずかくて自殺するわ」
軍曹「貴様!!上司に向かって!!その口は何だ!!」
B憲兵「またそれですか?貴方は同じ言葉しか言えないロボットですか?」
軍曹「調子に乗るなよ!餓鬼が」
B憲兵「それはこっちの台詞です。俺達は負けました。あの侵入者に...。提督もやられて、残ったのは、クソも役に立たない貴方が残った瞬間、内心では負けたと思いましたよ」
軍曹「餓鬼がぁぁ」
軍曹が憲兵の元へと近付こうとしたが、黒服憲兵二人抑え込まれる。
B憲兵「正直俺は負けて良かったと思いましたよ。だって...もう二度とクソ軍曹には会わないで済むので...」タッタ
そう言い残してB憲兵は黒服憲兵と共に連れて行かれた。
軍曹「クソクソクソ!!」バンバン
軍曹は悔しそうに...歯を食いしばりながら、右拳で地面を殴る。
大佐「どうやら俺達の出番は無いようだ」
全裸のモブ「俺の仲間だ!!当然だろ。やる時はやる男だからな」
E黒服憲兵「大佐殿!!こちらの提督はどのように対処すれば良いでしょうか?」
黒服憲兵は呉提督を運びながら問い掛けていた。
大佐「問題のコイツか、これは弟の隊長さんに任せるよ」
全裸のモブ「そうか...では遠慮なく。提督を病院で治療するように頼んできてくれ。後に身体が完全に回復した事を確認し、牢にぶち込め!!」
E黒服憲兵「了解しました!」
モブさんの命令を聞いた黒服憲兵は呉提督を病院に行くように手配を電話でお願いの連絡をしていた。すると真っ赤に染まった呉提督が話しかけてきた。
呉提督「本当...お前は甘いよな」
全裸のモブ「うるせ!!俺には、これぐらいしか...」
呉提督「......それじゃ......約束の......意味が...無いだろうが...」
全裸のモブ「兄貴!!約束を覚えて...!!」
モブさんは呉提督に目線を合わせるが、呉提督は気を失ったのか、下を向いていた。
全裸のモブ「気絶しているのか」
大佐「驚いたな。この状態で意識を一時的に戻って来るとは、普通の人間じゃ、まずありえないな」
全裸のモブ「そ...そうだな」ボウヨミ
E黒服憲兵「取り敢えず...このお方を病院に運びます!では...」
そう言いながら黒服憲兵は去っていた。
大佐「ん?アイツは...」
大佐は何かに気付いたのか、奥を覗くように眼を細めていた。そこには二人の人物が門を潜り抜け、此方に向かっていた。
少佐「やっと着いた〜」
そこには息を切らした少佐が大佐の前に立っていた。すると、もう一人の桃色髪の子が時雨に抱きつく。
春雨「時雨姉さん!!会いたかった...」ダキ
時雨「春雨!!」ポロ
夕立「私も会いたかった...」ダキ
二人は春雨を抱き抱えながら涙を零していた
春雨「もう二度と会えないと...思いました」ポロ
時雨「僕も春雨が死んだと思ったよ...」
夕立「でも私達は今、こうやって、また会えた!」
春雨「はい!!もう離れません」
時雨「僕もだよ...」
夕立「これからはずっと一緒...」
三人はしばらく抱いた後...春雨はハッと気付き時雨と夕立に質問する
春雨「夕立姉さん。時雨姉さん。竹筒さんの姿が見えないのですが、あの人は何処に?」
春雨は周りを見渡すも竹筒の姿が見えないと答えていた。それを聞いた時雨と夕立は言葉を発する前に顔の表情で表していた。
春雨「もしかして...竹筒さんは」
時雨「それは...」
時雨は言えなかった。しかし夕立は悲しそうな表情を浮かべながら言葉を絞り出すように喋る。
夕立「竹筒は...病院よ。きっと生きてると思うわ」
春雨「やっぱり私のせいで...」
時雨「春雨は悪くないよ」
春雨「でも私は...何も出来なかった。ただ寝てただけなんですよ」
夕立「春雨...竹筒はただのお人好しだよ。けどね後悔はしてないと思うよ」
春雨「え...」
夕立「だって竹筒は此処の鎮守府の艦娘助けて笑ってたよ。俺が正義のヒーロー気取りをしてたしね」
春雨「夕立姉さん...」
夕立「だからさ...春雨も...泣かないで」ポロ
春雨「夕立姉さんも...泣いているんじゃないですか」ポロ
夕立「春雨!!」ポロ
春雨を強く抱き号泣していた。それに答えようと春雨も涙を流していた。時雨は二人の元に駆け寄り...静かに二人を包み込んだ。
空は晴天で...鳥が啜り泣く声が空に響く。
大佐「今日はやたらと綺麗だな〜」
全裸のモブ「そうですね〜」
少佐「鳥可愛いですね〜。って違うでしょ!元帥はまだ来てないですよね!!」
大佐「折角...綺麗な空を見ながら、ぼくなつを思い出したのに、邪魔しないでくれる?」
全裸のモブ「こんな晴れ晴れした空で昼寝したらどれだけ気持ちが良いか〜」
少佐「ちょっと大佐!!聞いてます!!元帥は此処に居るんですか?後次いでに、俺は...ぼくなつ3が好きです」
大佐「五月蝿いな。まだ来てないよ〜」
少佐「そうですか...それは良かったです。所でその変質者は誰ですか?」
全裸のモブ「俺か?俺は此処の区域の憲兵であり!!隊長をやっている者だ!!少佐殿よろしくな」
モブさんは少佐の方に右手を差し出す。
少佐「あ!!そうですか〜こちらこそよろしくお願いします」
二人はお互い手を握り握手をしていた。すると少佐は何かの事に気付きツッコミを入れてくる。
少佐「いやいや!!違うだろ!」
バッと手を離す
全裸のモブ「何が違うんだ?」
少佐「いや!!色々と可笑しいやろ!なんで全裸で普通に接してるんですか!」
全裸のモブ「いや〜済まないね。全裸に慣れたせいか...違和感が無いんだよね」
少佐「慣れるのか!!」
大佐「いやいや...普通の人なら慣れないし、捕まるよ」
全裸のモブ「俺の次元に立ちたいなら、まず全裸になることだぁ〜」ドン
少佐「は...はい」
大佐「だけど、もうそろ元帥が来ると思うよ。だから隊長殿は、その姿で居ては困るので、竹筒くんと一緒に病院に行ってもらえるかい?」
全裸のモブ「え〜俺も元帥に会いたい〜」
少佐「流石に元帥の前では無礼だと思います」
全裸のモブ「仕方無いな。じゃ...俺も竹筒の所に向かうわ〜」タッタ
モブさんは落ち込みながらも、竹筒を追うように、猛スピードで駆け走っていた。
少佐「あれって存在しても大丈夫なんですか?」
大佐「別に良いだろ。どの物語にも、一人可笑しい奴は居るぞ」
少佐「例えばなんですか?」
大佐「この物語とか?」
少佐「大佐...メタイ事は謹んで下さい。そのうち大目玉喰らいますよ」
大佐「はいはい...用心しますよ」
何気なく周りを見渡すと、ある人物を見て、少佐に伝える。
大佐「少佐...どうやら元帥が到着したようだ」
門の奥から、白い色の軍服...その軍服の右には、幾度の戦場を潜り抜けてきた有ろうと、証明するバッチやマフラー。そう大佐達の元帥の姿があった。
大佐「遠くから見ても凄い圧だな。少佐...見てみろ!!今まで騒がしく喋っていた野郎どもが...びっちり列で道を作ってやがる」
少佐「まぁ...元帥は怖いから、こうなるのも分かりますよ」
元帥は...黒服憲兵の列で作り...中心を歩んでいた。奥を見ればそこには大佐と動揺していた少佐が確認出来る。隣には秘書である大和が歩いていた。
大和「提督...この鎮守府、酷いものですね」
元帥「あぁ...何故気付く事が出来なかったのか、見つける事が出来なかった自分に腹が立つよ〜」
???「確かに許しませんね」
元帥「そうじゃろ!やはり貴様も思うか...舞鶴鎮守府の所属の提督よ」
舞鶴提督「はい!!艦娘は共に世界を一緒に守り、家族でもあります。それが此処の提督に弄ぶ何て言語道断!!」
元帥「まぁ...待て、その怒りは心の中に閉じ込めとけ提督よ。今!!するべき事は此処の艦娘達をどうするかだ」
舞鶴提督「だとすると...私は何のために此処へ」
元帥「それは大佐と少佐の元に着いたら話す」
舞鶴提督「了解です」
その後、元帥達は無言になり、そのまま大佐の元へ...。
大佐「態々遠い所に来て頂きありがとうございます!!」
少佐「喉は乾いてないですか?此方にお水を用意しております。もし乾いているのなら、これで潤して頂けると...」
大佐と少佐は元帥の前で左膝を地面に付く。騎士が王に敬礼するような形を作っていた。
元帥「大佐よ...ご苦労だったな。貴様の報告、しかと受け回ったぞ」
大佐「有り難きお言葉!!」
元帥「少佐...今は喉を乾いては居ないが、貴様の気遣いは有難く頂くぞ」
少佐「はい!!ありがとうございます」
舞鶴提督(これが元帥の元で優秀と言われる憲兵...)
しかし元帥は大佐と少佐の固い挨拶に違和感を感じていた。
元帥「う〜んやっぱり。大佐!!少佐!!ゆる〜く喋ってくれないか?電話できっぱりと頼むって言ったが、やはり駄目だな」
舞鶴提督「ゆる〜く?」
大佐「やっぱり駄目ですか。じゃ俺もゆる〜くします」
少佐「マジですか!!じゃ元帥!!水を撒き散らしても良いですか?」
元帥の発言をした瞬間...大佐と少佐は馬鹿見たいに騒ぎ出す。
元帥「確かにゆる〜く喋れって言ったが、水を撒き散らしは駄目だぞ!」
少佐「え〜」
舞鶴提督(これが優秀な憲兵...やはり世間は広いな)
大佐「ところで元帥!!俺凄く頑張ったので...一週間休み下さい!」
少佐「俺も俺も!!春雨を救いました」ピョンピョン
二人の発言に元帥はニコニコしながら言う。
元帥「別に良いよ?けど代わりに...いつもの倍は働いてもらうからね〜」ニコニコ
大佐&少佐「ヒィィィ」
舞鶴提督(やはり元帥は恐ろしい!怖い)
大和「提督!!あまり大佐達を困らせないで下さいよ」
元帥「えぇ!!でも大和。コイツらは当たり前の事をしただけだよ」
大和「それでもです!!大佐達のお陰でこの鎮守府の真相を暴ける事が出来たんですから〜」
元帥「で...でも」
大和「これ以上大佐達に酷い事するなら...嫌いになりますよ?」
元帥「それだけは!!いやぁぁぁ」
大和の発言を聞いた元帥は頭を振る。
舞鶴提督(これが大和...俺の鎮守府には居ないけど、もし着任してきたら気を付けよ)
内心で舞鶴提督は思っていた。すると元帥は頭を振る事を止め。大佐と少佐を悔しそうな表情を浮かべながら...。
元帥「一週間だけだからな!良いな」
大佐「よっしゃー」
少佐「今日はドン勝だ!!」
元帥「ちっ!!調子に乗りやがって...」
舞鶴提督「あの〜喜んでいるところすいませんが...一体此処で何を?」
舞鶴提督の質問で気付いた三人は慌てながら、本題に入る。
元帥「ゴホン!!大佐...此処の艦娘の状態は?」
大佐「そうですね。気を失っている五名を除けば無事ですね」
元帥「そうか...竹筒くんのお陰で被害はそんなに広まらなかったようだな。てか竹筒は今何処に?」
大佐「竹筒は此処の提督と戦い、命に関わる重傷を受けてしまい、現在病院に搬送中だと思います」
元帥「そうか...竹筒くんにはちゃんと謝らないといけないな。初期艦を送れない事を含めて」
舞鶴提督「初期艦が居ない!それって大丈夫なんですか!」
大佐「大丈夫じゃないね。けどこの元帥。何も考えないで申し込んじゃうから...こうなる」ヤレヤレ
舞鶴提督「えぇ〜」
元帥「大佐!!余計な事を言うな!評判が落ちるではないか!」
舞鶴提督「その竹筒さんも提督何ですよね」
元帥「そうじゃが?」
舞鶴提督「この事件を解決したのは竹筒さんだと聞きました。すると彼は艦娘が大好きでやった事になりますが、これって変じゃないですか?」
元帥「何が言いたい?」
舞鶴提督「竹筒さんは初めて提督になるのに、急に艦娘を助けようとしたんですか?しかも命をかけてまででも...助けようとした動き。私にはありえないと思います」
大佐「舞鶴提督...彼はただお人好しです。目の前に怪我した子が居たら、すぐに助けてしまう人です」
舞鶴提督「お人好しですか、だとすると竹筒くんは相当な艦娘達が好きなのですね!私と一緒ですね!家族だと思える人が居るなんて感動です」
大佐「そうかい...だったら竹筒も喜ぶだろうな〜」
元帥「アイツは面白いからな〜」
三人は竹筒の良い所を伝えていた。するとそこに水を差すように言葉が飛び交う。
少佐「すいませんが...その提督って何処の鎮守府に居るんですか」
誰もが疑った...新聞では深海棲艦を数百以上沈めたと有名な提督...それが舞鶴提督だ。舞鶴提督は駆逐艦や空母を上手く指示し...姫級の深海棲艦を沈めて来た。戦艦無しに!!
そんな有名な提督を知らない奴なんてこの世に居ないと思ったが...
少佐「う〜ん」パチパチ
何も知らない少佐は、眼を丸くして、軽く目蓋を瞬く。
大佐「.........」
元帥「.........」
舞鶴提督「やっぱり僕はまだ有名では無いようだ」
しばらく沈黙が続く。そこで急に大佐のスマホから電話が鳴る。
大佐「何だ急に!折角...少佐が馬鹿見たいな発言したのに〜」
少佐「ちょっと馬鹿ってなんだよ!」
大佐は少しだけ苛立ちながらも電話に出る。
大佐「はいもしもし!大佐だけど、今忙しいんだけど?」
するとスマホから、竹筒を運んで車に連れて行ったC黒服憲兵の声が聞こえた。
C黒服憲兵「大佐!!今すぐに増援を......お願い...します」ハァハァ
大佐「どうした!!声が...」
弱々しく喋るC黒服憲兵に驚く大佐...。
C黒服憲兵「すいません...。右腕を......持ってかれまして...。それに仲間も大半殺されまして...何も出来ませんでした...」
大佐「誰だ!!貴様らをやった奴は!」
少佐「大佐が怖い顔してる...」
元帥「まさか...俺達が此処に向かっている途中に前から燃えている車が樹にぶつかっていたが...」
大和「私も見ました。けどあれは何かの事故だと思って、そのまま行きましたよね」
舞鶴提督「一体...何が」
徐々に声が小さくなるC黒服憲兵は...振り絞るように声を出し...大佐に伝える。
C黒服憲兵「相手は一人...です。急に現れて、一瞬で皆......肉塊になって...」
大佐「分かった!!相手は一人だな!その情報があれば十分だ!!それ以上喋るなよ」
C黒服憲兵「無理ですよ...この出血じゃ...助かりません。今...奴はモブ隊長の食い止めによって阻止してます...。しかし長くは持たなそうです。なので最後に大佐に...死ぬ前に...知らそうと...しました」
大佐「喋るなって言っただろ!大佐命令だ!!」
それでもC黒服憲兵は喋り続ける
C黒服憲兵「大佐......こんなどうしようも無い。俺を拾ってくれて...あり...がとう」ボト
振り絞った声を上げた後、スマホから急に地面に叩きつけられたような音が鳴った。
大佐「......馬鹿野郎が」タッタ
少佐「大佐...」
大佐は右拳握っていた。仲間が殺された事により...怒りが込み上げたのか、周り憲兵達は固まっていた。
すると大佐は門の方へ向かっていく。だがすぐに元帥に止められる。
元帥「大佐!!一体何処へ行く気だい」
大佐「そんなの決まっている!!アイツの元だよ」
元帥「死ぬ気かい!!」
大佐「アイツは自分が死ぬ事を分かっていながら、俺に知らせたんだ。ここで引けば、俺はアイツの死を無意味になる」
元帥「しかし...」
言い合いになる二人見ていた大和は、溜め息を零しながら元帥に近付く
大和「提督...行かせて上げて下さい」
元帥「大和まで...」
大和の言葉に元帥は悩むが...仕方ないと表情しながら大佐に向く。
元帥「好きにすれば良い!!一応言うけど、そこには竹筒や呉提督に軍曹も居る。それを回収する為に行かせるんだからね!勘違いしないでよね」
少佐「うわ...男のツンデレって気持ち悪い」
元帥「おい...」
大和「まぁまぁ」
元帥の許可を得た大佐は...元帥や少佐に一言も言わず、門に向かう。
大佐「あきつ丸!!車を出せ。俺も竹筒達の元へ向かう」
大佐は何処かに居ることが分かっていたのか、名を呼ぶ。すると樹からガサガサと葉が地面に落ちながら、あきつ丸も降りてくる。
あきつ丸「折角...ゆっくりと漫画を読んでいたのに〜何事でありますか?」
大佐「俺の会話を聞いていた癖によく言うよ」
あきつ丸「あら?気付かれておられましたか、だったら騙せないでありますな」
大佐「行くぞ...」タッタ
あきつ丸「ちょっと大佐!!置いていかないで下さい!」
大佐とあきつ丸は竹筒の元へと向かうために、装甲車で向かって行った。
しかし...これが後々厄介になることは、彼等は、まだ知らない...。
ーー少しだけ戻るーー
???「.........」
黒いマントを着た仮面の謎の者は、門の上で竹筒、軍曹や呉提督を運んでいる車を見ていた。
ウルフ「此方...コードナンバー01:ウルフ。ターゲットを確認しました」
ウルフはそう言いながら受話器らしき物で、誰かと連絡をしていた。
???「そうか...では、ウルフよ。状況を伝えよ」
偉い人に命令されたのか、ウルフは両眼を紅く輝かせ、憲兵達が病院に向かっている車に目線を合わせると、急にスキャナー見たいなものが眼に映る。
ウルフ「了解...。呉鎮守府所属...呉提督。損傷が激しく、戦闘復帰は不可能」ピピ
ウルフは違うターゲット探すように眼を動かす。
???「ほう」
ウルフ「呉鎮守府との契約した憲兵。階級は軍曹。戦力外です」ピピ
???「確か...二人に力をやったから、人数は合ってるな。ではウルフ。そいつらを始末しろ!!俺らの存在や軍の裏でやっていることを話すかもしれんしな!!口封じ為に殺せ」
ウルフ「了解......!!」
???「どうしたウルフ?」
ウルフは何かを見つけたのか、眼を大きく見開いていた。
ウルフ「ボス...。深海殺しの反応が...」ピピピ
???「何だと!!そこに奴も居るのか」
ウルフ「はい...。しかし深海殺しは、重傷を受け。目覚める事も難しい状況に置かれています」
???「そうか...それは好都合だ!!ウルフよ...。弱っている深海殺しを殺せ!今しか奴を殺すことが出来る!」
ウルフ「了解...」バッ
ウルフは電話切り、憲兵が走らせている車を見る。まるで届く距離を確認しているように伺っていた。
するとウルフは車に目掛けるように飛ぶ。
ゴォォォ!!
ウルフが飛んだ瞬間...轟音が鳴り響く。
ジェット機が付いているようなスピードで空を切り、車に突っ込む。
ドガァァ
三人を運んでいた車の後ろを護衛として来た三台の車両が吹き飛ぶ。そのせいか、前の車は激しい衝撃波が来たのか、軌道がズレ、電柱に激突する。
吹き飛んだ車は空中を何回転も回り続け...やがて地面についた瞬間...爆発する。
残りの二台車は奇跡的に爆発を間逃れたが...ひっくり返えっていた。
ウルフ「違う...。この車じゃない」タッタ
ウルフは探るように眼を動かすが、居ないと確信したのか、電柱にぶつかっていた車の方へと近付く。
ウルフ「ん?」
急にウルフの脚が止まる。
B黒服憲兵「動くな!!貴様何者だ!!」
車から降り、ウルフの方へと銃を向ける。
ウルフ「私は...ただ。そこの三人を始末するだけ...だから邪魔しないで」タッタ
銃を突き出せれたにも関わらず、冷たい声で喋り、黒服憲兵の方へと向かう。
B黒服憲兵「それ以上近付くな!撃つぞ」スチャ
ウルフ「.........」タッタ
それでもウルフは前と前進してくる。すると...後ろから銃の発砲音が鳴り響く。
F黒服憲兵「ザマァ見ろ!化け物」
G黒服憲兵「流石先輩!!名も知らずの化け物の背後を狙うとは」
F黒服憲兵「そうだろそうだろ!後でラーメン奢りな」
G黒服憲兵「えぇ...」
H黒服憲兵「自惚れるな...奴はまだ生きているぞ」
先程ひっくり返された車に居た四人の憲兵の姿があった。
しかし...もう一人の憲兵が何かに気付いたのか青ざめながら、仲間に声を掛ける。
I黒服憲兵「お前ら...あれを見てみろよ!」フルエ
F黒服憲兵「何だよ。まさか俺の活躍に驚いたか?」
G黒服憲兵「どれどれ」
H黒服憲兵「うん?」
I黒服憲兵が指を指すと共に仲間達もウルフの目線に合わせる。
F黒服憲兵「おいおい!!マジか」
憲兵達が見たのはウルフの脚元に、銃弾らしき物が半分潰れた状態で転がっていた。
G黒服憲兵「まさか!!」
H黒服憲兵「そのまさかだ...。奴の背中には穴が一つも空いてない!!」
I黒服憲兵「あのマントにすら穴が空いていない何て...」
ウルフの後ろで騒ぎ出す憲兵達...。
ウルフ「.........?」
ウルフは自分の身に何かあったのか身体を確認をするような仕草をする
B黒服憲兵(此奴...一体何者なんだ)
するとウルフは背後で騒いでいる憲兵に気付く。
それを見て思ったのか、脚元を目線に合わせるとそこには弾が転がっていた。
そこでウルフはやっと撃たれた事に気付く...。
ウルフ「これ...貴方たちがやったの?」
ウルフは脚元に落ちていた弾を拾い。良く見えるように右手で弾を見せる。
F黒服憲兵「そうだよ!!いきなり襲いやがって」
ウルフ「そうですか...ならこれは、私を殺すと認識しても良いって事ですね」
ウルフは持っていた弾を潰し...地面に落とす。
H黒服憲兵「一体何をする気だ」
I黒服憲兵「殺される...」
ウルフ「ターゲット追加...。抵抗する者...憲兵四名を始末します!!」
そう告げた瞬間...。ウルフは右手で黒いコートの中の内ポケットから小さいナイフを四本取り出す。
ウルフ「始末...」
両眼に赤眼を輝きさせながら、憲兵の方へと向かう。
F黒服憲兵「撃てぇぇぇぇ」ドン
H黒服憲兵「うぉぉぉぉぉ」ドン
G黒服憲兵「くそがァァァァ」ドン
I黒服憲兵「あぁぁぁぁ」ドン
F黒服憲兵の発砲につれ、他の憲兵も発砲する。
ウルフ「.........」
この無数の弾丸をウルフは華麗に避けていく。
B黒服憲兵(何だあの動きは!まるで一つ一つの弾道を分かっているような動きをしている。このまま行けばアイツらは!しかし此処で加勢すれば、この車に乗っている竹筒を守れない...)ギュッ
F黒服憲兵「緩めるなぁぁぁぁぁ」ドドド
G黒服憲兵「死ねやぁぁぁ」ドドド
H黒服憲兵「っく!!弾が」カチ
I黒服憲兵「弾が持たない」
四人は撃ち続けたせいか前は砂煙を舞う。
F黒服憲兵「リロード!!」スチャ
F黒服憲兵の指示に憲兵達もリロードを行う。
F黒服憲兵「奴は何処に行った?」
銃を構えながら、周りを見渡す。すると急に砂煙の中から小型ナイフが飛び、四人の銃口に突き刺さる。
G黒服憲兵「嘘だろ!!これじゃ使い物にならねぇ」ガチャ
H黒服憲兵「この砂煙の中で正確に狙ってくるとは!!」
I黒服憲兵「終わりだぁ...。もう死ぬしか...」ガクガク
F黒服憲兵「諦めるな銃が無くても、武術がある!!何の為に大佐に教えてもらったと思っているんだ」グッ
G黒服憲兵「そうだよな!!武術がある」グッ
H黒服憲兵「大佐が教えてくれた武術で奴を...殺す」グッ
三人で盛り上がっている所に冷たい声で語り掛ける。
ウルフ「もう...お終い」シュ
言葉放った瞬間...砂煙が晴れたと、共にF黒服憲兵の背後に立つ。
G黒服憲兵「F憲兵!!後ろ!!」
H黒服憲兵「逃げて下さい!!」
F黒服憲兵「え...」
F黒服憲兵はゆっくりと首を右に動かすが...何故か身体が動かなかった...。ただそこに映ったのは、化け物の右腕に黒曜石のような漆黒の刃に血が付着していた物が薄ら見えただけだった。
G黒服憲兵「F憲兵...」
F黒服憲兵は...ズルりと、身体の斜めに滑っていく...。
F黒服憲兵「なぁ...お前ら、一体俺は何をされたんだ」ズル
I黒服憲兵「うわぁぁぁ」
未だにF黒服憲兵が切られたことに分からなかったのか、仲間に語り続ける。
F黒服憲兵「あれ?何で俺縮んで居るんだ?まさかお前らが大きくなったのか?」ズル
血を噴き出しながら、喋るF憲兵は...完全に胴体が斜めに落ち。やがて何も喋らなくなる。
G黒服憲兵「嘘だろ!!F憲兵!!何で...お前が」
I黒服憲兵「やだ!!やだやだ」
H黒服憲兵「この!!怪物がぁぁぁぁ」タッタ
F憲兵が目の前で殺されたせいか...H憲兵は逆上してウルフに殴り掛かる。
ウルフ「はぁ........」
ウルフは溜め息を静かに零し、向かってくるH憲兵を睨む。
H黒服憲兵「アイツの仇だぁ」ブン
右拳でウルフを殴り掛かろうとしたが...。
H黒服憲兵「あれ...?何で攻撃が届かない」
何故ウルフに攻撃が届かない事に疑問を抱き右腕を見るとそこには、あったはずの腕が地面に転がり落ちていた。
H黒服憲兵「あぁぁぁ...。俺の腕がぁ」
やっと自分の状況を確認したせいか、言葉では伝えきれない程の痛みが込み上げてくる。
H黒服憲兵「血が止まらない...」ギュッ
これ以上血を流さないようにと左手で出血を抑える。それを見たG憲兵は助けようと声を掛ける。
G黒服憲兵「H憲兵!!待ってろ今すぐに助けてやる」タッタ
G憲兵はショットガンを持ち出し、発砲しようとウルフの方にエイムを合わせるが...
H黒服憲兵「G憲兵?どうした!!早く撃て」
H憲兵の言葉を聞いてもG憲兵は固まっていた。すると急にG憲兵がショットガン諸共半分に切り裂かれたかのように身体が半分へと別れていく。
ウルフ「無駄...。その距離は私の範囲内。届かないと思った?」
H憲兵「G憲兵...。俺が突っ込んだせいで、俺は俺は......」グサ
悲しむH憲兵をウルフは首を飛ばす。
涙を浮かべた生首は地面に転がっていく。
I黒服憲兵「死にたくない死にたくない」
皆の死を見たせいか精神的に参ったI憲兵は壊れたロボットのように同じ言葉を繰り返す。
ウルフ「感情を持っている人間って...醜い者にしか見えない...」スチャ
ウルフはI憲兵の頭に小型ナイフを突き刺そうとした瞬間...何者かの銃弾が小型ナイフを弾く。
B黒服憲兵「もう止めろ!これ以上仲間を死なせない!」バン
ウルフ「貴方も私を殺す気ですね。ターゲット一人追加します」タッタ
B黒服憲兵「距離を取らないと!」バッ
B憲兵は仲間の死を見たせいか...ウルフの行動を把握していた。
B黒服憲兵(仲間の死を離れて見て分かったこと、それは圧倒的の抜刀の速さ。刀を抜く所すら見えなく...仲間を切った筈なのに太刀筋すら見えない。この化け物は一体...)
ウルフ「貴方は他の憲兵達とは違うようですね」
B黒服憲兵「そりゃ...仲間の死をあんだけ見たんだ。嫌でも覚えようとするぞ」
ウルフ「なるほど...それで距離を置こうと、確かに貴方の判断は正しいです。私の範囲内から入ろうとしないことは懸命な判断です」
B黒服憲兵「そこまで把握しているなら、何故...攻めて来ない?お前...まだ何かを隠しているな...」
ウルフ「別に隠しては無いです。ただ貴方見たいな慎重派をどうやって殺せるか、考えていたんです」
B黒服憲兵「それで...俺見たいな奴を殺すには、どうするんだ?」
ウルフ「簡単の事です。私の範囲以外に行くのなら、少し残酷ですが、この小型ナイフを投げ、貴方を串刺しにします」
凍えきった冷たい声を喋りながら、両手でコートの内ポケットを漁るように動かせ、何かを見つけたのか、何かを掴み外へ出す。
ウルフ「少しだけ長いですが、このナイフなら貴方を刺し殺せますね」スゥ
ウルフの両手に持っていたのは、六本のナイフ。それもよく研がれているであろうと...銀色に輝く刃。ウルフはB黒服憲兵に向けて構える。
ウルフ(マジか...。あの投げナイフは予想外だ...。もし俺が離れていけば、無数のナイフが俺を襲う。しかし...詰めようとしても、抜刀であの世行きだ...。どうする...俺)
ウルフ「覚悟は良いですね。遺言を言う時間は与えませんよ」ブン
B黒服憲兵「く...!!」
B憲兵はウルフの投げナイフのスピードに驚き、少し反応が遅れる。
B黒服憲兵「危ねぇ...。少し掠った。俺の予想の倍以上は速いな。けど俺だって負けれないんだ」バン
銃を発砲するが、その弾はウルフの目の前で、消える。
B黒服憲兵「何故届かない!!確かに俺は撃ったはずだ」
ウルフ「何を言ってるの?ただ私は飛んでいる小石を切っただけなんだけど?何が可笑しいの?」
B黒服憲兵「弾を小石って...」
ウルフ「まぁ...良いわ。どうせ此処で貴方は死ぬ...」ブン
ウルフはこれでもかって無数にナイフを投げ飛ばす。しかしB憲兵は何かを覚悟したのか、前と前進する。
B黒服憲兵「もうアレしかない...」タッタ
無数のナイフの中、B憲兵はウルフに近付こうと着々と進む。だが...ナイフは彼の意志を剥がそうと、襲い掛かってくる。
B黒服憲兵「くっ!!どうせ...俺の攻撃は何も効かないんだ!!逃げても死ぬ。だったら時間稼ぎでもぉぉ」タッタ
ナイフはB憲兵の左手腕や右脚、胸などがナイフに食い込む。
B黒服憲兵「俺は行けるんだぁ」タッタ
痛みも忘れ...血を地面に零しながらもウルフに近寄る。それを見たウルフは憐れみの眼で...。
ウルフ「やはり...普通の憲兵と変わらない...」スッ
B黒服憲兵「...!!」ズバ
B憲兵でも見えなかったウルフの抜刀で...身体は半分に別れていく。下半身は主を失ったように、血をド派手に撒き散らしながら、地に落ちる。しかし上半身はウルフの元へと迫っていた。
B黒服憲兵(これが...下半身を失った感覚か...思った以上に痛くない。けど、ただで死ぬつもりはないぞ...)
ウルフ「様子が...」
中に浮いた上半身はウルフの身体に逃げられないように両手で強く抱きしめ...頭を上に見上げる。
B黒服憲兵(消えろ...俺と共に!!)クチャ
身体を半分に切られたのか言葉を発する事は出来ないが、心は諦めていないと行動を見せ...口を開く。そこにはピンが刺さっていないプラグ爆弾だった。
ウルフ「これが...人間の【決意】」
その瞬間...火山の噴火のような轟音を上げ...爆発する...。それを近くで見たC憲兵は絶望そうな表情を浮かべ...叫び散らしていた。
C黒服憲兵「嘘だろ!!こんなのって...俺が眼を覚ました瞬間にこれって...何で起こしてくれなかったんだよ...」ポロ
涙を零し、ウルフが居た筈の場所に駆け寄る。
すると爆発で発生した煙から人影らしきものが映り出す。
C黒服憲兵「え......」
人影は前に進んでいるのか、段々濃くなっていき...。
ウルフ「まさか私が人間にダメージを受けるとは...想定外です」
C黒服憲兵「嘘だ...。アイツが命懸けでやったのにどうして生きているんだよ」
ウルフ「生きている?貴方は何を言っているの?私が人間に殺られる確率は0に等しいです。しかし...先程の爆発のダメージには、私の右腕が損傷してしまいました。直ちに修理を行いたいが、片付けるのが先です...」タッタ
C黒服憲兵を無視して、そのまま竹筒の元へと近付く。
C黒服憲兵「おい!!待てよ。いくら俺の仲間を殺そうとも、竹筒は命懸けで守る!!大佐の命令であり、俺達の本望だ」スチャ
ウルフ「貴方も私を殺す気?」
C黒服憲兵「国を守る憲兵なら当たり前だ。お前ら見たいな化け物を殺すのも俺達の使命。此奴ら(憲兵)だって死んだのも、国を守る為に犠牲になったんだ。だから俺も戦う!それが憲兵の誇りだぁぁ」バン
C憲兵の弾を、涼しいげな表情で、避けるウルフは...何かを納得したように、刀を右手に添え...そのまま寄ってくる。
ウルフ「愚か...。でも任務の為に命を張ることは褒めて上げる。だから貴方も任務の為に悔いなく死になさい」バッ
C黒服憲兵「まだだ!!先程車に積んであったRPGで吹き飛ばす」ガチャ
重々しい音を鳴らし、RPGを構え...エイムがあったのか、金を引く。
ブォォォォォン
勢い良く発射される弾はウルフの元へと飛んでくる。
ウルフ「無駄...」シュ
急に弾が半分に切られ、その間をウルフが通過する。目的を失った弾は...そのまま真っ直ぐに飛び爆発する。
C黒服憲兵「まだまだ!!弾ならまだ腐るほど持ってきたんだ...。これからが俺のしょうb...」
弾を詰め込もうとRPGに装填途中に奴が目の前に現れる。
ウルフ「そんな玩具で私を殺せるとも?」
C黒服憲兵「いつの間に!!距離を...」
ウルフ「今更距離を取ろうなんて...私が逃すと思う?」スチャ
C黒服憲兵「くそぉぉ」
ウルフは右脚を強く踏込み...C憲兵の元に近付こうと、右脚を強く地面を蹴る。
ウルフ「さよなら...」
急にC憲兵の懐に入り切り掛る!
C黒服憲兵「あ......」ズバ
C憲兵の右腕が勢い良く飛ばされたのか、真上に空中で腕が回転する。しかしウルフは驚いた表情浮かべていた。それが気になり、C憲兵はそっと、そちらに目線を合わせる...。
C黒服憲兵「貴方は......」
ウルフ「これは...一体」
そこには、ウルフの右腕を強く握り締めていた...ムキムキなモブさんが立っていた。
全裸のモブ「おい...俺の友人の友に何をしているんだ!!」ブン
怒りの顔を浮かべながらも...ウルフにストレートを打ち込む。
右腕を掴まれたせいか、防御の体勢に入れずに受ける。
ウルフ「これはどういう事?貴方は私の刃を受け止めた。まぐれでは無く、私の腕を掴んできた。これは一体!!予測不可能」
全裸のモブ「大丈夫か...ってその腕!!早く止血しないと」
C黒服憲兵「いえ...それよりもどうして、貴方が此処に?」
全裸のモブ「大佐に言われたんだよ...。この姿では元帥に合わせることが出来ないと...だから竹筒と一緒に病院に行けってね」
C黒服憲兵「走って?」
全裸のモブ「うん...」
C黒服憲兵「本当に人間ですか...」
全裸のモブ「これでもちゃんとした人間だ。しかしあの化け物は何だ?」
C黒服憲兵「分かりません...急に襲いかかってきて、それに対抗しようとしましたが...」
全裸のモブ「全滅したってことか...」
申し訳なさそうな顔を浮かべる。
C黒服憲兵「ですが...貴方が入れば、あの化け物を殺すことが出来ますね」
全裸のモブ「お前の応えには応じたいが、どうも無理でな」
C黒服憲兵「それって...どう意味で...」
C憲兵は困った顔をしながらもモブさんの身体を見る!そこには、上半身と下半身の間に切り口が、横に広がっていたせいか、血が下へと流れていた。
C黒服憲兵「これって!!」
全裸のモブ「あぁ...あの化け物をストレートで殴り飛ばした瞬間...獲物を逃がさないように斬りかかって来てな。もし俺じゃなかったら、下半身とお別れしてた所だぜ。しかも、あの化け物...俺の渾身の一撃を食らったと思うが、全く効いていない...」
C黒服憲兵「あの攻撃を食らって無傷ってそんな筈が...」
ウルフ「無傷ですよ。貴方が殴る瞬間...私は少しだけでも攻撃を軽減するため、わざと後退しました」
全裸のモブ「だろうな...」
ウルフ「ですが...貴方が私の刃を止めるとは、少しだけ驚きました」
全裸のモブ「切られたけどな...」
ウルフ「それでも貴方は生きている。そんな硬い肉体を持っている人間など、居ませんよ。私は今まで罪を犯してきた人間を殺してきましたが、同族以外に切れない人間が...存在するなんて...」
全裸のモブ「そりゃ...鍛えて来たからな!お前みたいな化け物に対抗する為にな」
モブさんの言葉を聞いた瞬間...クスッと笑うウルフ...。
ウルフ「確かに貴方は硬いです。ですが...硬いだけの身体で私に勝つ気でも?切れない身体なら...同じ傷の所をひたすら削ぎ落とせば、問題無いです...」スチャ
また抜刀で行おうとしているのか、刀を納刀し...再び構え出す。しかし先程の無かった殺意が溢れていることが分かった。
C黒服憲兵「この殺意は...」
全裸のモブ「いよいよ...本気を出したって事か...。勝てる気はしないが、引き返すことも許されないな...」
C黒服憲兵「これでは...」
全裸のモブ「C黒服憲兵!!お前はこの事を大佐に連絡しろ!!だが此処では何故か連絡が出来ないんだよ。恐らくこの場所で爆発した衝撃なのかもしれんが、電波が不安定だ。だから...安定した場所まで行き...連絡を頼む」
C黒服憲兵「しかし...貴方はどうするんですか?」
全裸のモブ「俺が生きている間、コイツを此処で食い止める。何分持つか知らないが、出来るところまで、頑張って見る」
C黒服憲兵「分かりました...。絶対に生きて下さいね...」タッタ
そう言い残して、C憲兵は鎮守府まで走っていき...姿が見えなくなるまでモブさんは見ていた。
すると待っていてくれたのか、ウルフは言う。
ウルフ「仲間思いも良いですが、そんなことをやり続ければ、いつか自分の身を滅ぼしますよ。そう...私みたいな化け物に会った時にね」
全裸のモブ「それでも...俺は守りたいのさ。お前見たいな化け物を少しだけでも傷を残せば、俺はそれで満足だ」
ウルフ「そうですか...では此処で貴方に残念な知らせです。あの憲兵はもうそろ死にます...」
全裸のモブ「......」
ウルフ「どうやら知っていた顔ですね。私の刀にはもう一つある物を入れています
全裸のモブ「毒か...」
ウルフ「そうです。弱い毒ですが、あの憲兵には耐えれないでしょう...本来は身体を半分にする予定でしたが、まさか腕のところで止められるとは思えませんでした」
全裸のモブ「毒を塗られていないことを察するため、その刀の刃は黒いのか...」
ウルフ「私は狼ですよ。一回狙った獲物は逃がしません...。さてお喋りに過ぎましたね。どうせ貴方も此処で死ぬ!!だから悔いが残らないようにしてください」
全裸のモブ「あぁ...」
お互いに二人は距離を縮めようと詰めていく。
全裸のモブ「うぉぉぉぉ」ブン
ウルフ「.........」シャキ
拳で答えようとするモブさんと速い抜刀で切りつけようとするウルフは...互いにぶつかり合う。
何度も何度も切られるモブさんはひたすら拳を振る。しかしウルフは...先読みでモブさんの攻撃を避け...ひたすら切りつけていく...。
その力の差はあまりにも大きかった...。
ーー時間は戻るーー
ブロロロ
大佐「この装甲車...滅茶苦茶煩いな」
あきつ丸「仕方ないであります!装甲車は車のように走れるなんて考えちゃ駄目でありますよ」
大佐「しかしだな...」
あきつ丸の言葉を聞き、不満を愚痴ろうとした瞬間...!!
あきつ丸「大佐殿!!あれを見て下さい...煙が上がっています!」
大佐「車の爆発で出来た煙に間違いない!急げ!...」
あきつ丸「ですが...これ以上出したらスピード違反になるであります...あれを見て下さい!!規定速度50って書いてありますよ」
大佐「緊急時だ!!貸せ...俺が運転する」ガシ
あきつ丸「え!!それは駄目って...あぁぁ」
あきつ丸を無理あり退かして、大佐が強くハンドルを握る!!それと同時に強くアクセルペダルを強く押し込む!
ブォォォォォン
あきつ丸「あぁぁぁ!!死ぬでありますよ!大佐殿ぉぉぉ」
大佐「俺の運転テクニック見せてやるぜ」ガシ
あきつ丸(これが元帥殿が言っていた...。大佐殿の暴走でありますか、薄々気付いていましたが、これ程運転が荒いとは、本当に免許取った人の運転なのか疑わしいでありますよ)
大佐「あきつ丸!!俺がちゃんと三途の川まで送って上げるよ!」
あきつ丸「私達の向かう所は三途の川ではなく、隊長殿の場所でありますよ!死ぬなら一人で死んで下さい!」
大佐「安心しろって...この装甲車がちゃんと言うこと聞いたら生きてるさ」
あきつ丸「言うことって...大佐の運転技術に掛かっているんですよ!」
大佐「分かっているとも!!」
ブォォォォォン
あきつ丸「スピードが...150って!!曲がれるんですか!!」
大佐「俺のハンドリングを舐めるなよ」グル
猛スピード走る装甲車の前にガードレールが見えた。しかし...大佐のハンドル裁きに、無事曲がることが出来た。
あきつ丸「嘘...」
大佐「もっとスピードを上げるぞぉぉ!」
ブィィィィィン
あきつ丸「大佐殿ぉ!!装甲車から有り得ない音が出ているでありますよ!」
大佐「もっと熱くなれよ!」
あきつ丸「あぁぁぁぁぁ」
今でも壊れそうな音を鳴らしながらも大佐には聞こえていないのか、そのまま走らせていく。
大佐「やば...!!」
すると目の前にひっくり返っていた車が二台が眼に映る!
大佐「おい!!あきつ丸...ちゃんとシートベルトしてるな」
あきつ丸「急になんでありますかって前に車って...もしかして」
大佐「そのもしかしてだ!!激突する...」
あきつ丸「な...!!だったらブレーキを」
大佐「それがよ...あきつ丸さん...。このスピードに耐えられなかったのか、ブレーキ掛けた瞬間...なんか折れた...」
あきつ丸「はい?」
大佐「だから折れた...」
あきつ丸「二度も言わないで下さい!ブレーキが折れたって...」
大佐「笑えるな」ハハ
あきつ丸「笑い事じゃありませんよ!どうする気ですか!」
大佐「突っ込むしかないよ...」
あきつ丸「私は死ぬのですね...さよなら提督」
大佐「ちょっと!!勝手に決めつけるn」
ドガァァァァァ
前を見る事を忘れていたのか、急に何か...鉄のパーツがバラバラに散るような音と共に激突する。
あきつ丸「あ......あ...」シロメ
大佐「俺...生きてるのか...」
自分が生きているのか、頬を引っ張り確認するが、夢では無いと痛みが込み上げてくる。
大佐「本当に生きてるし、おい!!あきつ丸〜起きろ」ユサユサ
あきつ丸「ここは...天国でありますか?」
大佐「だったら良かったのにな!」ニコ
あきつ丸「なんで大佐殿が此処に!!まさか...私は天国ではなく、地獄に...」
大佐「おいおい!!勝手に人を地獄行き扱いは止めてくれないか?」
大佐が居ることに怯えていたあきつ丸は...何故か距離を置こうと、離れていく。
大佐「ちゃんと生きてるから安心しろって...」
あきつ丸「本当に生きているでありますか?」
大佐の言葉を聞いたあきつ丸は疑心暗鬼になってた。すると大佐説明するのが面倒なのか、急にあきつ丸の頬を強く抓る。
あきつ丸「痛い...痛いでありますよ!」ベチ
大佐「痛!!急にビンタするなよ」
あきつ丸「乙女の顔を抓るとは、失礼極まりないでありますよ!」
涙を浮かべながらも...大佐に説教するあきつ丸。それを見た大佐は安心した表情を浮かべ...この装甲車から出ようとする。
大佐「少しだけ歪んでやがるな」
あきつ丸「私が艤装展開して壊しましょうか?」
大佐「大丈夫だ...。こんなの蹴破って行けば!!」
ボォンボォン...ドガァ
大佐「こんな感じに開く」
あきつ丸「強引でありますね」ヤレヤレ
大佐「別に良いだろ!今は隊長殿を助けないと...」
装甲車から出てきた二人は外を出た瞬間...生臭い臭いが漂っていた。
あきつ丸「これは...」
大佐「.........!!」
臭いに反して、大佐は違うものを見ていた。それは無惨にやられた憲兵達...。どうやらこの臭いの元凶は、この死体から発するに臭い。血の匂いだ......。
あきつ丸「大佐...殿」
大佐「.........」タッタ
先程...笑顔だった大佐は、この現状には無表情で歩んでいた。
大佐「ごめんな...駆けつけるのが遅くて...」
もう誰が誰なのか分からない状態でも、大佐は憲兵に語るように、喋る。
あきつ丸「大佐殿...。この死体はまだ...」
大佐「新しいだろ。まだハエすら集ってない。するとコイツらは死んで30分も経ってはいない...」
あきつ丸「隊長殿を探しましょう...」
大佐「あぁ...周りを見た感じ。死体はこれだけしか確認出来ない。もしかすると林の中でも死んでるかもな」
そう言い切った途端に大佐の目の前に上から人が落ちるように降ってくる。
ドォォォン
地面に強く叩きつけられ...それに見合った重々しい音が鳴り響く...。
あきつ丸「......これ...は」
大佐「...隊長...殿?」
そこにはモブさんの姿があった。しかし身体中に傷がくっきり刻まれており、何者かと激戦を交わっていたのか、その傷が物語っていた。
大佐「あきつ丸!!止血を!!」
あきつ丸「はい!!」タッタ
全裸のモブ「大佐...殿...」ハァ
大佐「喋るな!!血が溢れる!!」
全裸のモブ「悪いことは......言わない。俺を......置いてここから逃げろ!奴...が追いかけてくる前に...」ゲフ
大佐「冗談言うなよ!貴方が言う台詞じゃ無いだろ!」
全裸のモブ「頼むから......逃げてくれ!!じゃないと奴が!!」
???「中々しぶといですね。あんだけ切られていたのに、まだそんなに喋るなんて、人間は...私のデータ以上におかしな生き物ですね」
感情が篭っていない冷たい声で喋る少女が...蟻を見下ろすように、こちら睨んでいた...。
あきつ丸「何ですか!!アイツは」
大佐「アイツは...」
少女の姿を見て、動揺する大佐。その少女の姿は...膝までぐらいの黒いコートを着て、中には白いワイシャツ...下は黒色したジーパン。顔はバレないようにしているのか、死神みたいなお面を付けていた。
両眼は透き通ったルビー見たいな紅い眼...。
頭はフードで隠されており、その少しの隙間に見えた...くすんだ茶色の髪。左腰には狼模様した鞘があった。
そして...黒いコートの背中に大きく狼のようなマークが刻み込まれていた。
???「おや?妙ですね。この中に懐かしい者の反応がしますね...」ジッ
少女は...探るように三人をじっくり見る...。
大佐「何故...お前が此処に居る。ウルフ!!」
あきつ丸「大佐殿!!もしかして、あの少女のこと...ご存知何ですか」
大佐「あぁ...悪寒がする程の威圧感。間違いないい...ウルフだ」
ウルフも何かを思い出したのか、大佐を見下ろしながら、喋る。
ウルフ「思い出しました...。我らの部隊の中でも...優秀とも言われた人間...。確か特殊部隊で、【影の情報強奪部隊】軍長の鶴ケ谷(つるがや)でしたね」
大佐「これはこれは...態々俺の事を覚えてくれているなんて、光栄ですよ。第一特殊部隊所属、【ウルフの黄昏】軍長のウルフさんよ...」
ウルフ「此処で貴方に会うことは予想出来ませんでした」
大佐「俺も...まさかお前見たいな殺人鬼に会うなんて予想出来なかったよ!」
お互い睨むつけていたせいか、あきつ丸、モブさんは、この状況に把握出来なかった
全裸のモブ「まさかだと...思うが...。大佐殿の家庭が訳ありって...もしかして」
大佐「言ったろ...呑気にしてられないと、俺の親も軍に反逆を行っていたよ。けど、とある任務中に親父がやらかしてね、それに気付いた軍のお偉いさんが激怒し、血族を根絶やしにされたのさ。親族も家族もみんな死んだよ。唯一生きてたのは、【俺】のみだった...」
あきつ丸「大佐殿にそんな事情が...」
ウルフ「だから...貴方だけは殺されないようにボスが守ってくれたのよ?それなのに貴方はボスに泥を塗った...」ギュ
拳を強く締める...そのせいか、血が零れ始める。
大佐「黙れ!!お前らやっている事はただの殺し屋だ。何も関係ない人を殺し、成果を地道に上げてきた提督の手柄を奪う為に殺し、艦娘をより強い艦娘を作る為に改造。もう耐えきれないんだよ!俺の頭の中にまだ...艦娘達や提督の断末魔が消えない...けど、そんな俺を救い手を伸ばしてくれる人が居た」
あきつ丸「もしかして...」
大佐「俺は元帥殿のお陰で、此処に俺の居場所が出来た。俺がこうやって居られたのも元帥殿のお陰だ。だから決めた...。憲兵の大佐として、お前らを捕まえると...」
決断を仕出した大佐に...ウルフは細めで皮肉的に言ってくる。
ウルフ「それが人間で言う。感情ですか?ボスの恩も忘れ...裏切ると、本当に心ごと腐ってますね。仕方ありません...。貴方とは、それなりの準備をして始末しようと考えましたが、貴方の考えを聞いて変わりました」
大佐「それで?」
ウルフ「ここで殺します。少し手こずりますが、問題は無いでしょう...」シャキ
左腰にある刀を抜く...。
大佐「あきつ丸!!隊長殿を病院まで運べ!!お前は艦娘だろ!!運ぶことは容易いだろ!!」
あきつ丸「乙女に向かって、それはどうかと思いますよ!ですが...今回は目を瞑りましょう!」タッタ
あきつ丸はモブさんを連れて病院に向かっていく。
大佐は...戦いやすくする為、ブレザー脱ぎ、ネクタイを緩くする...首元を軽くするつもりなのか、第一ボタンを外していた。
ウルフ「準備はよろしいですか?」
大佐「掛かってこいよ!久々に血が滾る」
お互い...戦闘態勢に入るも、水を指すように...大きな音がなる。
ウルフ「此方...コードナンバー01:ウルフです」ピ
上を見上げると、ウルフが誰かと連絡しているように、受話器を耳に当てていた。
大佐「あの音は、ウルフから出ていたのか...」
するとウルフは...上から何かを言われたのか、納得してない表情を浮かべながら喋っていた。
ウルフ「しかし!!目の前に裏切り者が...」
大佐「.........」
ウルフ「分かりました...。すぐに帰還致します...」ピ
連絡を終えた後、ウルフはこちらを見て悔しそうな顔をしながら...。
ウルフ「運がよかったですね。ですが次は無いと思って下さいね!では...」シュ
ウルフはそのまま...林の中へと姿を消していく...。
大佐「............」
ウルフ姿が見えなくなったことを確認し、腰を下ろす。
大佐「怖ぇ〜。危なく死んでしまう所だった。しかし...ウルフがあんなに凶暴性を増してたとは、俺が昔会った時は、もう少し愛想良かったけどな。それに...あのウルフは艦娘だし。提督があのウルフを見れば驚くと思うな。だってあれは【神州丸】だった者だからな」
空を見えげながら言葉を零す。
大佐「本来...両眼は紅く無い。恐らく違法で改造されたんだな。さて...俺もそのまま病院に行こうかな。疲れたし、後の所は、少佐に頼んどこ」タッタ
彼は仕事を少佐に放り投げ...呑気に病院に向かうのであった...。
ーー呉鎮守府ーー
大佐が病院に向かっている間...呉鎮守府では元帥が舞鶴提督と会話をしていた。
元帥「提督...君にはここに居る艦娘達を託そうと思う」
舞鶴提督「どうして私なのか...聞いても宜しいでしょうか?」
元帥「うむ。君の経歴や仲間思い...そして艦娘を人として見ている君に託したい...それが儂の答えよ」
舞鶴提督「すいません...もう一つ質問いいですか?どうして竹筒さんじゃ...無いんですか?」
元帥「本来なら竹筒くんに任したい...しかし彼もあんな現状だ。いつ目覚めるのか分からないのに、託す訳には行かないんだよ。これは儂の個人の意見ではなく、軍の意見なんじゃ...」
舞鶴提督「元帥殿...了解です!!ここの艦娘達を、私の鎮守府に迎え入れます」
元帥「そうか...だったら儂は安心して安眠出来るぞ...」
成立したのか、元帥が安心している矢先に、艦娘に声が掛かる。
夕立「本当に大丈夫なんだろうな!もし変な事が起きれば、殺す」
元帥「これ...夕立。提督にそんな口の聞き方は...」
舞鶴提督「大丈夫です...」タッタ
元帥の言葉を遮り、夕立の前へ近付く。
舞鶴提督「もし...俺が艦娘に暴力が起きたら、躊躇わずに殺してくれ。だってそれは俺でも俺じゃないからね」
夕立「分かったよ!」
舞鶴提督「頼むよ...」
一生忘れる事が出来ない約束を契...それを見ていた時雨と春雨が駆け寄ってくる。
時雨「ごめんね提督...。夕立素直じゃないから、けど、君が僕らの新しい提督か...宜しくね」
舞鶴提督「あぁ...。君達を絶対に辛い思いはさせないよ...。」
時雨「その言葉を聞いて、僕は安心したよ...」
舞鶴提督「そうか...」
春雨「すいません...私、春雨って言います!貴方が私達の司令官になるのですね」
舞鶴提督「少佐殿から聞いているよ。君が竹筒くんに助けられた春雨だね」
春雨「は...はい」
舞鶴提督「辛い思いをさせて悪かった...。もし俺が早くに気付いていれば...こんなことには...」
春雨「大丈夫です!今もこうやって息を吸ったり、お姉さん達に...もう一度会えて、私は幸せ者です...。なので謝らないで下さい...」
舞鶴提督「まさか...謝る側の俺が、まさか励ませれているなんて...」
春雨「可笑しいですか」カシゲ
舞鶴提督「強いだなってね」
春雨「それ...村雨姉さんに良く言われてます」
時雨「そうだったね」
夕立「白露は...もっと春雨見たいに、強い子になって欲しいわ」
舞鶴提督「そうか...では俺は此処に居る艦娘達を集めて、報告としよう」
時雨「頼むよ。きっと彼女達も受け入れてくれるよ...」
舞鶴提督「受け入れるように頑張るよ...」タッタ
舞鶴提督は...鎮守府の庭に居る艦娘達に次々と声を掛ける。汗を流し、息を上げながらも走り続け、声を掛けていく...。その光景を見た元帥達は...。
元帥「若いねぇ〜。昔の俺も大和を良く追いかけ回したものだよ...」
大和「提督...余計な事を慎んでください。任務中ですよ?...」
大和の威圧に元帥は...身体を震わせていた。
元帥「ごめんよ〜。つい賑やかなものなんで、移ってしまったよ」
大和「全く...気を付けて下さいね」
元帥「はい...」
すると...大和は右の方角に頭だけ動かし、小声で呟いていた。
大和「年寄りのコスプレしているくせに...」小声
元帥「ん?大和...」
まさか...気付かれたくない人物に声を掛けられたのか、大和は高い声を上げる。
大和「ひゃ!!」
元帥「ひゃ?もしや...大和?俺に変な事を言ったのかな〜」
大和「なな...何も言ってませんよ!!」
元帥「本当か〜」ジッ
大和の方に顔を近付ける。それと同時に大和の頬が段々赤くなっていき...顔まで染まっていく...。
大和(提督の顔が近い...。もしかしてキスをする気じゃ...。いえそんな事はありえません任務中に破廉恥な事はしない人です!しかし提督が本当にキスしないで、そのまま遠ざかるのも...女として、私が攻めるべきでしょうか...)
何故か大和だけが、脳内で考え続けている。その場面を見た少佐は...心の中で。
少佐(これだからリア充は...)ケッ
憎んで目で見ていた。
元帥「どうした大和!!顔が赤いぞ!」
大和「私にはそんな度胸が...ありません...」
元帥「え?度胸とは...。って大和!!何で、のぼせているんだ!!」
大和「誰のせいだと...思っているんですか...」
元帥「取り敢えず...謝るよ。だから休んでて」
大和「はい...」
少佐は、元帥のやり取りに呆れながらも、心の中で語る。
少佐(てか...元帥。自分の事を儂じゃなくて俺って言ってたよな。隠しきれてないじゃん)モグ
そう思いつつ、元帥から盗んだミニソーセージをもう一本食おうとした時...運が悪いのか、たまたま元帥と目が合う。
すると表情が見る見る変わり、此方に向かってる!!
言わなくても分かる。ソーセージを奪う気だ!!
元帥「少佐!!それ俺のソーセージだぞ」タッタ
少佐「いえ〜い元帥のソーセージ取ったり〜」タッタ
お互い逃げ回るも、言っている言葉が下品に聞こえているせいか、憲兵や艦娘達に誤解を招く。
E黒服憲兵「あれが...元帥殿...棒ですか」
呉大和「人間の方にもあんな遊びがあるなんて...」
大淀「変態です」
不知火「この光景は一体?」
元帥「いやいや!!違うから!!俺のじゃなくて!!食品のソーセージだよ」
少佐「その食品のソーセージを元帥から盗んだ!!だから元帥のソーセージで合ってるんだよ!!」
元帥「ややこしいわ!!これ以上...変な真似をすれば、休みの話は無しだぞ!」
少佐「それだけは!!」タッタ
少佐は焦り...元帥に寄る。しかしそれが罠だったのか、笑みを浮かべ、左手を掴み、ソーセージを奪う...。
少佐「あぁ!!元帥のソーセージがぁ」
元帥「卑猥に聞こえるから止めろ!全く俺のおやつに手を出しよって、この罪は重いぞ...」
少佐「畜生......」
天龍「ふ...」
長門「これ...が人間なのか...」フルフル
榛名「面白い」ハハ
そのやり取りを見た憲兵、艦娘が笑っていた...
少佐「漫才でもやってたかな?」
元帥「お前が勝手にそうしたんじゃろ」
少佐「ははは...それは面白い。けど見ろよ。あんに切羽詰まってた艦娘達や憲兵が笑ってやがる」
元帥「そうだな。こんな幸せな時間が続けば良いのにな」
少佐「少なくとも...此処の艦娘達は救えるでしょ?」
元帥「そうじゃな。これも時間の流れか...」
少佐「見て下さい元帥...。空が綺麗ですよ」
元帥「晴天じゃな...」
二人は空を見上げ...清々しい青空、雲も無く。見ていると心の中がスッキリするぐらい晴天だった。
少佐「元帥...頑張りましょう」
元帥「そうじゃな...儂らの戦いはこれからじゃな......」
少佐「.........」
この世界は可笑しいかもしれない。本当に深海だけが悪いのか?いや違う。艦娘を悪用しようとする軍の奴らや、裏の方で行っている組織...きっと僕達はその真相がいつか辿りつくと思う。だけど今だけは、のんびりと暮らしたいものだな...。きっとお前もそう言うよな......。
少佐「葛城......」ボソ
ーー現在に戻るーー
大佐「これが昨日の事だよ...」
竹筒「.........」
大佐「まぁ...俺の独り言だから...じゃ〜ね」タッタ
大佐が病室から抜けようとした瞬間...背後から枕を投げ込まれる...。
大佐「痛い!!何をするの竹筒...」
竹筒「長いわ!!なに...お前は独り言でそんなにベラベラと話してるの?」
大佐「気にしてるのそこかよ!!」
竹筒「何だよ!!」
大佐は...俺に違う言葉が欲しかったのか、何とも言えない表情を向けていた...。
大佐「普通...俺がそのまま病院に行った事とか、あるでしょ!」
竹筒「あぁ〜すまん。途中ウザすぎて、耳に入って無いわ...」
大佐「マジかよ!!折角分かりやすく喋ったのに...」
竹筒「.........」
大佐「普通...人の話は真面目に聞くでしょ?本当にありえない」ボソ
大佐の不満を竹筒に向かって愚痴る。
竹筒「あっそ...俺の脚が動くようになったら覚えていろよ...。大佐の家燃やすから」
大佐「止めてぇぇぇ!!冗談ですよ!!」ザザ
大佐は勢いよく竹筒に向い飛び、その駿樹に土下座の構えを繰り出し、スライディング土下座を行う。
竹筒「あの〜すいません。ここ病院なので...静かにしてもらって良いですか?じゃないと警察呼びますよ」
大佐「竹筒くんが家を燃やすって言ったから謝ってるのに、それは無いぞ!!」
竹筒「うるせ狐顔...」
大佐「調子に乗りやがって...」
生意気に脅してくる竹筒を見ててあることを浮かぶ。
大佐「そう言えば...竹筒くん。さっき俺の話の半分は聞いて無いって言ったよね...」
竹筒「言ったが...」
大佐「だよね。だったらもう一度話して上げる!!」
竹筒「おい...待てよ」
大佐は口を開け...再び昨日の出来事を語ろうとしている。横で邪魔しようと喋ってくる輩が居るが、それを無視して始める...。
大佐「そうだな...あれは昨日の出来事だった。呉鎮守府の廊下で、重症だった竹筒くん運び...そのまま出口に...」
竹筒「言わせねぇよ!!」
大佐「聞いてなかったんでしょう?」
竹筒「ごめん...ちゃんと聞いてたから許して〜」
大佐(うわ...腹立つ!!絶対俺で遊んでいるやろ...。竹筒くんは本当に常識を知らない人だ)
竹筒(腹立つねぇ...)
大佐「勝手に俺の脳内で語るな」
竹筒「いや〜すまないね。さて...お前の昨日の出来事を聞いて、気になったのが沢山あった...」
先程笑顔だった竹筒は...顔の表情切り替えたのか...真剣な顔をしながら大佐を睨む。
大佐「沢山ね...。一番聞きたいのは、何かな?」
竹筒「お前が言っていた【特殊部隊】の事だ。それに...憲兵達を皆殺しにして、あのモブさんをあそこまで追い込んだ...ウルフの事をな」
大佐「やはりそこに食いつくか...」ハァ
大佐は...溜め息を吐いて。真っ直ぐに竹筒の方へと目線に合わせる...。
大佐「俺が言った通り...奴は裏の組織の中でも危険人物だと言われている化け物だ。見つかれば、高確率で殺される...」
竹筒「確かそのウルフって、第一特殊部隊所属、ウルフの黄昏って言う部隊名で軍長をやっているんだよな?」
大佐「あぁ...そうだ。しかしその部隊は裏組織が始めて作った部隊でもあるんだ。だから【ウルフの黄昏】に所属している奴らの名前も皆ウルフって名付けられている...」
竹筒「じゃ...区別が出来ないんじゃ...」
大佐「普通ならな、けど奴らは名ではなく...自分のコードナンバーを読み上げている。これだけ伝えれば分かるだろ?」
竹筒「なるほど...コードナンバーを伝えれば、呼んだり、誘導する事が出来るんじゃん。ん?待てよ。じゃ...大佐達に会ったウルフって」
大佐「あぁ...コードナンバー:01。無敗のウルフだな」
大佐がそう言うと竹筒は納得してない顔で、質問を投げくる。
竹筒「待てよ...無敗って、まさかそのウルフって単独だったってこと?」
大佐「ほう...今日の竹筒くん冴えてるね〜」
竹筒「だって、確か狼達は群れで行動して狩りをする生き物だったはずだよ...。もしそれが、部隊にも備わっている筈だと思っただけだ」
大佐「竹筒くんの言う通り。【ウルフの黄昏】は群れで相手を殺し、任務を遂行する部隊。しかし...俺達の所に現れたウルフは...通常のウルフと違うんだよ」
竹筒「.........」
大佐「コードナンバー:01は感情を持ったウルフ何だよ...。通常のウルフは...上の命令以外絶対に動かない...ヒューマンロボット見たいな物だよ」
竹筒「気になった事がもう一つあるんだが、その部隊って人間なのか?」
竹筒の質問に大佐何ともいえない表情をする。
大佐「.........」
やがて...覚悟が決まったのか、竹筒の方を向いて、語りだす...。
大佐「ウルフの黄昏の部隊達は、皆...実験に失敗した艦娘達だ...」
竹筒「は...」
俺は大佐の発言を聞いて困惑している...。確かに大佐は艦娘だと言っていた。嘘だと思いたいが、この世界はそんなに甘くない。
竹筒「どいつもこいつも艦娘を道具のように扱いやがって...。艦娘達は一体何をしたんだよ」
大佐「これが裏の組織のやり方だよ...」
竹筒「助ける事は出来ないのか?」
大佐「駄目だな。感情を失った艦娘...もう二度と戻る事は無いね。もしその子を救いたいと思うなら、殺すが救済になると思う...」
竹筒「殺すが救済...。もし俺がその子が目の前に居たとしても、きっと俺は殺せない...」
大佐「分かってるよ。竹筒くんの手は汚させないよ。その役目は、憲兵の俺達の仕事だから...」
竹筒「すまんな...。根性無しで...」
大佐「良いって事よ。さて...だいぶ話がズレてしまったな。確か何故...俺たちを襲ったウルフは感情があったのか...だったな。単純に言うと、実験に成功したから...なんだよ」
竹筒「予想はしてたが、やっぱりそうなるか」
大佐「あぁ...俺も実験に関しては詳しくないが、どうやら成功すると、今までの艦娘の能力が三倍に上がるらしい」
竹筒「三倍!!じゃ...無敗って言われている理由って...」
大佐「強過ぎるのさ、一人で艦娘達を壊滅させたり、元帥を始末したりね...」
竹筒「でも...そのウルフは、重要が無い任務があれば他のウルフに頼まれるんじゃないのか?」
大佐「これは俺の考えなんだが、どうやらあの軍曹と呉提督は裏の組織と繋がりがあるらしくてね。恐らく口封じで殺そうと...任務を絶対に遂行する無敗のウルフに指名が入ったと思う」
竹筒「だけど...失敗して終わったんだろ?無敗の称号は無くなったんだろ」
大佐「確かに任務は失敗したよ。けどあのまま電話が来なかったら...。いや、そもそもウルフが艤装をしていたら、死んでたかもしれん」
竹筒「始末するには生身の人間を二人って命令されたから、艤装して来なかったって事か、だとすると、運が相当いいな」
大佐「おいおい...俺が居なかったら...お前も殺されていたかもしれんぞ?」
竹筒「え...?なんで」
大佐「それは知らん。だがウルフはやけにお前の方を見てたぞ...。もしかして知り合いだったりして〜」
揶揄うように喋ってくる...
竹筒「何で俺がそんな化け物と知り合いになるんだよ!あと人を馬鹿にする癖は治した方が良いよ...」
大佐「お前に言われたくないよ!」バッ
竹筒「おい...人に指を指すなって習わなかったのかよ...」
大佐「生憎だが...親は俺に構う時間何て無かったから、習っても無いし、学校すら通ってないよ」
竹筒「そうかい...お前の行動の仕方で、教育がなっていな〜って思ったが、それが原因か...」
大佐「行動で判断するって...それは酷過ぎだよ!」
竹筒「本当の事を言ったまでだ。しかし、軍に逆らって行動する裏の組織。謎だらけな世界やな...」
大佐「世の中には知らない方が良いと言うが、こればかりは、放っておけないが、その話はおしまいだな。さて...あと竹筒くんに言うものってあったけ?」
竹筒「呉鎮守府に居た艦娘達はどうなるんだ?」
大佐「すまん!!忘れてたわ。俺も病院に行ってて、その現場には立ち寄って無かったんだが...。少佐に聞いた話だと舞鶴提督が引き取る見たいだよ」
竹筒「そうか...」
大佐「ん?もしかして〜竹筒くんが引き取る気だった?」
竹筒「俺もそう考えた。けど海域の攻略も知らない。流石になりたて提督には無理でしょ...。」
大佐「竹筒くんの言う通り...君が引き取るにしても...上の奴らが許さないだろうね」
竹筒「新種の深海戦艦が現れたからか?」
大佐「ご名答。今軍は即戦力が欲しい状況なのさ...。資材も豊富、艤装や主砲などの高性能持ちの提督を探していたり、中には、各所の鎮守府から抜かれていく優秀の艦娘達を集め...効率的に海域を攻略していく...。それが軍のやり方だね」
竹筒「だとすると、上の方は...舞鶴提督は優秀だと認め、艦娘を送ることに許可が降りたと...」
大佐「そう。正直俺は、そのやり方は嫌いだな。折角皆で力を合わせながら海域を攻略したりするが、逆に良い成績を残した艦娘が現れれば、その艦娘を狙い...階級が高い提督に抜かれる...。これってよく人間社会にある。上司と部下って感じだよな」
竹筒「確かにな...」
大佐「俺は思うんだ。上も下も関係なく、皆で力を合わせて、そこでやっと友情とか喜びがあると思うんだ...。しかし...人間って生き物はどうしても、自分より下の生き物を見下していたいらしいな...。結局軍の奴らはほとんど自分の事しか考えて居ない自己中的な奴が多いってことだよ」
竹筒「けど...中には良い上の人も居るよな」
大佐「そうだな...お前を提督として、道を切り開いたのも、何処かの馬鹿のお陰だな」
竹筒「鎮守府は新しいし、廊下は綺麗だわ、厨房も大きい。しかし艦娘は一人も居ないと...。初期艦すら...」
言葉を発しながら、ガッカリした顔で、大佐を見る。
大佐「そんな顔で俺に言っても、困るぞ!元帥に言えよ」
竹筒「そうだね...。話は戻るけど、その舞鶴提督って...どれだけ有名なの?」
大佐「そうか...竹筒くんは提督になって間もないから、舞鶴の関しての情報は知らないのか。仕方ない教えてやろう」
鼻を人差し指で擦り、自慢げそうな笑みを浮かべる大佐。その仕草に、(早く言えと)心の中で語っていた。
大佐「舞鶴提督は、艦娘を人間として、家族として見てるんだ。そのせいか、駆逐艦達に人気が出てね...。仕事が...うん」
竹筒「優しいあまりに、仕事より家族優先って事か...」
大佐「そう。けど...あの提督は、海域の攻略に関わると雰囲気が変わるんだよね〜。指示だって的確過ぎて、優秀どころか、恐怖を感じてくるよ」
竹筒「皆の命が関わっているから、舞鶴提督は、脳をずっとフル回転して、その場の判断の状況を捉え、艦娘達に的確な指示をする。簡単に言えば、頭脳戦見たいなものだな」
大佐「ほう。そこまで考えているとはな。やはり竹筒くんも記憶を失う前は、優秀な提督だったりして〜」
ニタニタと不気味な笑みを浮かべ、竹筒の方に振り向く。
竹筒「気持ち悪い顔で俺を見るな。それに俺は、まだ分からない。記憶を思い出したら教えてやる」
大佐「楽しみに待っているよ」
竹筒「それで、舞鶴に関しての情報は今ので終わりか?」
竹筒の質問に、大佐は困ったような顔で...右手で、髪を掻き出す。
大佐「そうだな〜。竹筒くんには、舞鶴提督の印象的なものを知って欲しかったから、これ以上言う必要は無いかな...」ボリボリ
竹筒「そうか...こんな頼りない俺に貴重な情報を教えてくれて、サンキューな」
大佐「あの......竹筒くんが...御礼を...」プルプル
竹筒の言葉に衝撃を受けたのか、大佐は左手で自分の口を抑え。涙を流さないように踏ん張っているのか、両目が潤っていた。
竹筒「失礼だな!俺だって御礼ぐらいするわ!」
大佐「悪かったよ。けど...無茶はしないことだ。俺だってすぐ竹筒くんを助けに行けるのか分からないし...。今回は奇跡だと思ってくれよ〜」タッタ
嫌味に言っているのか、大佐はそう告げ...病室のドアに手を伸ばす。すると...何かを伝え忘れたのか、こちらを向き。
大佐「そうそう。呉鎮守府の艦娘達。今日が正式に艦娘を舞鶴鎮守府に移る筈だから〜。恐らくお見舞いには来ないだろうね...」
竹筒「別に彼女達は、こんな無関係な人間にお見舞いに来るとは思ってないぞ」
大佐「可愛げ無いな〜。俺に頼んでくれれば、手紙ぐらい送ってやるのに〜」
竹筒「そうか...手紙は面倒だから...。口で伝えてくれ。悔いなく楽しめってね」
大佐「へいへい」ガラガラ
大佐はドアをスライドさせ、奥の廊下へと歩いていく。それを俺は、スライド式のドアが戻るまで大佐を見続けた...。やがて...扉が締閉まりきった瞬間、溜め息を零し、布団に潜っていく。
竹筒(大佐の情報が正しければ...俺はこれからも危険な事をするだろう...。けど、それでも俺は変えないといけない。この間違っている世界を正す為に!!例え記憶が戻ろうとしても、俺は変わらない!でも...今は、少しだけ眠る...)
ゆっくり瞼が下に落ちていき、闇が広がっていく。呼吸も一定の感覚を取り戻していく。最後に意識が無くなっていくように、静かに落ちる。
ーー???ーー
???「............」
男は黒い内装の中で、ブラックの椅子に座り、赤ワインが入ったグラスを持ち、ゆっくりと赤い液体を揺らす。
すると奥の扉から誰かがノックをしていた。..。
???「入れ...」
渋い声を発しながら、この部屋に招き入れる。
ウルフ「戻りました...ボス」
そこには、狼の紋章を刻まれていた黒いマントを羽織っていた人物...ウルフが立っていた。
???「戻ったか...コードナンバー01:ウルフよ」
ウルフ「はい...」
???「どうだった?奴らの強さは」
ウルフ「はい...戦力的や武術、銃の扱いなどは、壊滅的かと」
???「お前にしては、随分と低い評価だな」
ウルフ「仲間とも、ろくに連携を取れない相手は、私にとって脅威ではないです。むしろボスが拾い上げた子供の方が危険だと思いましたが」
???「そうだったな。あれは、私が育てた殺人鬼だ...」
ウルフ「その殺人鬼に私は会いました...」
???「そうだったな...。いつの間にか、殺人鬼から...立派な警察見たいに成り下がりやがって、仕方ない奴だな」
ウルフ「.........」
???「どうした?何か言いたげそうな顔をしよって...勝手の発言を許可するぞ。予想はしておるが...」
発言の許可を貰った途端、ウルフの唇が段々尖っていき、語り出す。
ウルフ「なぜ...撤退命令を出したんですか!あと少しで殺せる筈だったのに!」
???「相変わらずウルフは、怒ると感情的になるな。それも仕方ないか、今回は俺が悪いんだからな」
ウルフ「教えて下さい!ボス」
???「そうだな...俺は少し考えた。記憶を失ったまま深海殺しを殺しても良いのかと...。いや...駄目だ!!彼にはもっと絶望を味わって欲しいから生かした!簡単に言えば、この世界の流れ、絶望感をもっと味わってほしい!!そして、彼はきっと俺の元に脚を運んでくれるだろう!【また、一緒に世界を正そうと】」
ウルフ「では...残りの二名は?」
ウルフの発言に、眉毛を歪ませていた。まるで、存在を忘れていたかのように...。すると思い出したのか、手を打つ。
???「あ〜居たな。そんな奴。まぁ〜良いでしょ!軍に塩を送るって感じで見逃してやるか」
ウルフ「今日は随分とご機嫌ですね」
???「深海殺しが生きてた事に、嬉しくてね!さて...酒を飲むとするか!!ウルフは下がっていいぞ!」
ウルフ「了解しました」タッタ
???「さて...深海殺しはどんな道を辿る?綺麗な蒼色の海か、それとも...真っ赤な海をかな〜。ぐふふふ」
黒い部屋の中、赤ワインを揺らしながら、気色悪い笑え声を発する。快楽に落ちた人間のように...
ーー病室ーー
薬品の匂いが充満した病室の中、純白なベットに寝ていた彼は窓を見ていた。
竹筒「はぁ〜」
竹筒(あの出来事から四日が経ったのか...。時間というものは、長いようで、短く感じるな。
俺は、この四日間ずっと考えていた...。艦娘達の差別、今の軍は何を考えて、何をしているのか。裏で動いている謎の組織、一部の鎮守府は、提督がその力を借りて、悪さを働く奴。そして...まだハッキリと思い出してはいない...俺の記憶)
竹筒「あぁぁ!!やる事が多すぎる!まず何から手を付ければ良いのか、分からないぞ」アセアセ
あまりにも謎が多すぎて、混乱していく竹筒。両手で自分の頭を掴むように置き、頭を左右に振る。
すると奥から、ドアを開ける音が病室に響く...。
医者「......取り込み中だったかな?」
汚れが一つもない、綺麗な白い服を着たおじさんは、竹筒の行動を見てたのか、気を使って言葉を投げきた。
竹筒「あ...え。大丈夫です!ちょっと頭の血が左側に片寄っていた気がしたので、少しシャッフルしてました!」
医者「左に血が片寄る!?」
竹筒の焦って、誤魔化そうと...言葉を考えないで発言をした結果。医者の反応は驚いた見たいな顔をしていた。竹筒はまずいと...すぐに言葉を噤むが...
竹筒「別に問題無いですよ!先ほどの行為で、問題は完結しましたので、心配しないで下さい」
医者「分かりました...後で全身の検査もするので、昼飯を終えた後で良いので、私の所の来てくださいね...」
竹筒「マジかよ...」
結局、竹筒の誤った言葉を真に受けた医者は、診察すると言われてしまった。
医者「取り敢えず、その話は後ね。今は君の身体的検査をするから、腹と背中、腕や脚を見せなさい!」
竹筒「はい...」
服を上にたくし上げ、それを医者が聴診器を左胸に当てる。
何も異常が無かったのか、医者は無言で、背中を向けろと右手を横に振る仕草をする。それを答えようと、医者の前に背を向ける。
背にも...左や右に押し当てるが、医者の反応は、溜め息を零すのみだった。検査が終わったのか、服を下げ、再び医者の方を向ける。
医者「うん!!問題無いね!」
竹筒「マジですか!!だったら今日から退院ですか!」
医者「いや...最低でも明日じゃな。それに先程...頭の血が片寄るって聞いたし、その結果次第では、期間が伸びるかもしれない」
竹筒「だから...あれは冗談だって!!」
医者「普通の人は、そうやってすぐ誤魔化す!!そのせいで、すぐ治せる病気が、治せなくなるんだぞ!医者である私に任せろ!」
竹筒「......」
(駄目だ...ちっとも話を聞いてくれない!歳を取れば人の話を聞かないって言うのは、本当かもしれないな...)
医者「君の身体状況は安全じゃな。さて...私は次の患者の所に行くから、君は大人しくベットで寝てろよ...」
竹筒「えぇ〜コンビニとか、屋上に行って風に当たりたいです」
医者「文句言うな。それにコンビニに売っている食い物は殆ど栄養バランスが悪いんだぞ!それだったら、病院食でも食べてた方が健康も良いし、身体的にも良いぞ!あと風に浸りたいと言っていたが、ここに窓があるじゃろ!窓を開けて我慢しろ。良いな!!私は次の患者に行かないといけない!定時で帰りたいだよ!」
竹筒「...はい」
医者「では...昼過ぎに」タッタ
医者は、右手にしている腕時計を確認し、病室を出る。その瞬間、竹筒は何か忘れたような事を考え、すぐに答えが出た。
竹筒「待て!!俺の腕と脚を検査はどうなるんだよぉぉ!」
検査を忘れていた医者を追い掛けるように、竹筒も病室を出ていき、白い廊下をひたすら駆け巡った...。けどその行為は、他の人達に迷惑が掛かるとも知らずに、竹筒は走っていたのだった...。
ーー大本営ーー
元帥「大淀...これが例の情報かね?」
大淀「はい...全力で尽くしたんですが、青葉さん...仕事中にパフェを食ったり、遊園地で遊んだりと...していたので、あまりに情報が......」
元帥「.........」
大淀から受け取った情報が記載されているだろうと思う白い紙を持ったまま、大淀の言葉に固まる元帥...。すると急に溜め息を吐いたのか、大淀の身体がビクッと震える。
元帥「大淀...青葉に伝えてきてくれないか?今月の給料無しだと!!」
大淀「え...でもそれじゃ青葉さんが...かわいs」
元帥「大淀?」ギロ
大淀「すす...すみません!!行ってきます!!失礼しました」タッタ
大淀は慌てて司令部から出ていく。それを見届けたせいか、もう一度溜め息をする。
大和「提督、もう少し優しく出来ないんですか?」
そこには、秘書である大和が今までのやり取りを見てたのか、不満の言葉を投げる。
元帥「あのな大和。いくら俺でも、仕事中にパフェや遊園地に行ってましたって言われたら、誰でもブチ切れるぞ...」
大和「青葉さんはマイペースなお方なので...何とも〜」
元帥「全く...仕方ない連中だな。それにしても大佐の野郎...遅いな。予定時間が過ぎとる...」
大和「どれぐらい過ぎているです?」
元帥「集合時間が過ぎて二時間ぐらい...」
大和「え...」
元帥「え...」
大和は驚いた顔を元帥の方を向く。まるで、ちょっと所じゃ無いかと、思っている大和だった。
大和「何で!!貴方はいつもいつも!!」バン
元帥「何か事故があるかもしれないだろ〜。だから電話とか迷惑かな〜って」アセ
大和「貴方は元帥なのよ!何処まで気にしているの!!取り敢えず椅子から降りて!!」
元帥「え...でも」
大和「降・り・て!!」
元帥「あ...はい」
大和の圧に負けたのか、元帥は直ちに椅子を降り、大和の前に正座を繰り出す。
大和「私の言いたい事...分かります?」
元帥「はい...言いたいことは分かります」
大和「私は貴方の妻として、この11年間...ずっと暮らしてきました。生き物は年月が流れる度に、何かしらの成長を遂げる物。だから私はいつか、貴方にも成長すると思ってた...」
元帥(また...このお話。これ以上俺のメンタルを折ろうとしてくる鬼嫁だな...)
大和「ちっとも変わってない!すぐに遠慮するし!やりたい作戦に、誰かしらが被ったら、すぐに譲るし!!少しは男として、格好良い所を、私に見せてよ」
元帥「用心します...」
大和「もう...。さて立ってください。こんな所で誰かに見られたら、ヤバいですし...」
元帥「あぁ...すまないな」
元帥は立とうと、脚に力を入れていき、伸ばしていく。
元帥「ん?」
元帥は完璧に立つ前の中腰状態で何かを見つけていた...。物ではなく、奥に人影見たいなものが見えた。そいつは...。
大佐「あの〜取り込み中でした?だったら帰ります」タッタ
元帥「おい!!待て」タッタ
大佐「な...何ですか!!」
元帥「見たな......」
大佐「いえ...見ておりませぬ」
元帥「嘘を言うな!言葉が可笑しいぞ。普段そんなこと言わないだろ!」
大佐「仕方ないじゃないですか!人を呼んだのは元帥ですよ!それを従ったまでです」
元帥「......では、今大佐が持っている物は何だ?」
大佐の両手に持っていた紙袋らしきな物は、身体の中心の方まで持っていき、成る可く見えないように身体を曲げていたが、元帥が近くに寄ったせいか、バレてしまった。
大佐「これは...そのですね。え〜っと」
元帥「ハッキリと言わないか...。ちゃんと言えば怒らないから」
大佐「本当ですか!!それなら〜」
先程焦った表情をしていた大佐が...満面な笑みへと変化し浮かべていた。
大佐「これです!!〇ックです!」
元帥「え...〇ック?あの〇クドナルドかい」
大佐「そうです...」
元帥「大佐...。予定時間を過ぎてまで、〇ックを買っていたのか...」
大佐「左様で御座います。意外と距離がありまして、こんな時間になりました...」
大和「やっている事が、青葉さんそっくり...」
大佐「えぇ...」
元帥「そうか...貴様はそんな下らない物を買うため、態々遠い距離の〇ックで買ったと...」
元帥は、右拳を強く握っていた。血管が浮き出てくるぐらいに...。
元帥「ふざけるんじゃないぞ!それで、俺は大和に叱られたんだぞ」ブン
大和(そこまでショックを受けてたんですか!)
大佐「ぐふ...」ドス
元帥の綺麗な右ストレートが大佐の左頬にクリーンヒットする...。
大佐「痛いじゃないか!俺のビック〇ックが潰れたらどうするんだよ」サスサス
吹き飛びはしなかったが、少しだけ地面から脚が離れていた程度で済んだ。体勢を整えながら、左で殴られた頬を自分の手で摩る。
元帥「全く!!お前も今月の給料無しだからな...」
大佐「そ...そんな〜」
元帥「仕事中にやる行為では無い!!それに...これは俺だから、その程度で済んでいるが、普通の所なら、間違いなく強制退職だぞ」
大和(元帥らしい言葉。仲間を思っての行動なのかもね。不器用だけども)
大佐「すいません。どうやら...ここの元帥があまりにも緩いせいか、己の甘えが出てしまいました...」
元帥「以後...気を付けるように...」
大佐「了解です!!では...元帥も〇ック食べます?」ガサ
元帥「お前の切り替えの早さは、どうにかならないのか?」
大佐の態度の切り替えの早さに驚いたのか、ついつい元帥が口ずさむ。
大佐「これが...俺の取り柄なので〜」
大和「早く本題に入りましょう...」
元帥「そうだな。これ以上大佐の相手をしていると、永遠に終わらない気がする」
大佐「ふぇ」モグモグ
大和(もう...食べてるし...)
元帥「食べながらでも良いから聞いてくれ、大淀が必死こいて集めてくれた【竹筒】に関しての情報だ...」
そう言うと、執務室の広い台に、二枚の書類を広げる...。
大佐「こひゃれ(これは)?」モグモグ
大佐が台に広がる書類に簡単に目を通す。
その書類には、住所や属柄、長所や短所。もちろん自己PR見たいなものも、記載されていた。
元帥「履歴書だよ...」
大佐「ただの竹筒くんの履歴書では?」
元帥「確かに、この一枚では...竹筒の履歴書を見ているだけだ。そこで...もう一つ履歴書を持ってきたのさ...」
大佐「もう一つの履歴書?それってただの知らない人の物では?」
元帥「確かに大佐の言う通りかも知らない。けど...もしかすると、知らない人でも、その人物が竹筒かも知れない」
元帥の意味が分からない発言に思わず眉毛を寄せ、額に皺が浮き出る。
大佐「どう意味ですか?」
元帥「簡単に説明すれば...このもう一つ履歴書には、【記憶】があった竹筒の可能性が高いって事だ...」
大和「私も少しだけ妙だと思ったんです。新米が、艦娘達の名前が分かるのか...」
大佐「それは普通にテレビとか、街中で会うかもしれないから、可笑しくは無いと思う」
大和「それでも、多過ぎるんですよ...」
大佐「確かに竹筒くんのタイプは、あまり新聞とかニュースみなそうだもんな」
元帥「話の続きをしてもいいかね?」
大佐「お願いします」
大和「は...はい」
元帥は...身体に溜まっていた空気を、溜め息として吐き。口が動く。
元帥「それでは、少しだけこの二枚の書類書を比較しようではないか...」
ーーーー
竹筒履歴書
登録日…4月1日
名前:竹筒、下の名前は不明
歳と生年月日:16歳、不明
属柄:不明
血液型:AB型
ーーーー
大佐「これで...よく受かりましたね。殆ど不明とか、個人情報が無さ過ぎて怖ーよ!!」
元帥「記憶も無いって事だから、特別扱いにされたんだよ〜」
大和「正直、私も驚いてます。だってどんな馬鹿でも、バットとかハンマーで、記憶を忘れるぐらいに叩けば、受かるって事でしょ」
大佐「この人も怖えー」
元帥「大和...。流石に記憶を忘れるよりも、死の方が近付くと思うが...」
大和「そうですか〜」ブゥ
何故か不貞腐れた大和が頬に空気を溜め。膨らんでいた。それを元帥が膨らんでいる大和の頬を潰すように押し込む。
大和「ぷゎぁ...」
頬に溜まった空気が押し込まれ、耐えられなくなったのか、勝手に口が開き、情けない声を出す。
元帥「......本題にはいるぞ」
大和(今の私が悪いんですか!!何か罪悪感が...)
大佐「次の履歴書ですね...」
元帥「あぁ」ペラ
ーーーーー
知らない人の履歴書
登録日…12月21日
名前:竹筒 朱兎(アカト)
歳と生年月日:10歳、5月15日
属柄:父 竹筒健一
母 竹筒朱菜(アカナ)
血液型:AB型
ーーーー
大佐「これが竹筒くんと同じ苗字の人ね...」
元帥「大淀や明石達に頼んで、履歴書を漁ってくれたが、【竹筒】って言う名の苗字は、この一枚しかなかった...。確かに読み方は同じでも苗字が違ってたらな〜」
大佐「では元帥は...竹筒と言う苗字を見て、それが記憶がある竹筒くんだと?」
元帥「あぁ...そうだ。けど、これだけの情報では断言出来ない。だから!!俺は個人で、あるものを調べることにした...」
大和「いつの間に...。もしかして最近一緒に寝てくれない理由って...」
元帥「許せ大和。いくら愛している大和とて、この仕事は他人には任せられないのだよ」
大和「仕事熱心なのは嬉しいですが、時には大和に構って下さいよ...」
元帥「用心するよ」
大佐「それで、元帥が御一人で集めた情報とは?」
元帥「竹筒の父...竹筒健一の情報を探っていた」
大佐「まさか...俺を呼んだ理由って」
元帥「集め終えたってことだよ」タッタ
元帥は机に置いてあるノートパソコンに手を伸ばし、持ち上げる。そのまま大佐の方に方向転換してくる。
元帥「見よ!!俺が一週間、大和と寝れない辛い拷問を受けながらも、頑張った証を!!」
大佐の隣に行き、ノートパソコンを台に設置し、開く。
大佐「これって...」
ノートパソコンに映り込んでいたモニターには、様々な出来事。色んな所の記事が、そこに記載されていた。そして一番気になったのが...
大佐「無能の艦娘と結婚し...夫婦のようにやってきた男...」
気になったのか、無意識に大佐は口にしていた。
元帥「やはりそこに気付いたか...。そう...竹筒健一は、うちらと同じ...軍所属だ」
大佐「父は軍ってことは!!母も...」
元帥「恐らく艦娘だ。多分だが履歴書に記載されている名を見るが...こんな名の艦娘は知らない。ってことは偽名を使っている確率が高い」
大佐「一体どこの鎮守府だったんですか?」
元帥「それは...俺にも分からない。何せ...軍に関する情報はしっかりと消されているからな」
大佐「経歴を消されている...。もしかして!!その竹筒の父って...」
元帥「とっくに他界しておる」
大佐「やっぱりですか...」
元帥「そこのところは本部の方に頼むしか無いからな。けど...竹筒の情報らしきものなら見つけた...」カチカチ
元帥は手際良く、ノートパソコンのモニターを動かし、目的な情報を見つけたのか、ピタッと止まる。
大佐「え...」
大佐は...そのパソコンに映っていたものに眼を通す...。
ーーーー
5月15日
こちら研究員...今素晴らしいものが目の前に存在している...。息もしている...心臓の動く音。血がちゃんと身体全体に巡れさせている。ちゃんと生物として生きている!!あの戦う事すら叶わない無能艦娘と結婚し...共に暮らしている無能提督。
その無能共の間に子が誕生している!!初めは、戦にも不満を持っていて、欲求を満たし、たまたま出来たと取らえていたが、これを前にして、俺の愚かな脳の思考が変わった...。
この子は男の子だ...。色んな方角を見ても、股間辺りを見ても、男だと...思うしかない。
普通なら、艦娘から出てくる子は、その艦娘と似た顔の女の子は誕生する...。生まれつきなのか、その子は艦娘としての力が宿り、そのうち成長し、艦娘として誕生する。
しかし男は違う。てか、艦娘から男が産まれる確率も少ない。
もし男の子が産まれるなら、艦娘の力は宿らず、普通の人間として、守られる側になるだろう...。
しかししかし!何故俺が驚いているのは、艦娘から、確率の低い男を見て驚いているんじゃなくて、【艦娘の力】宿っているまま、産まれていたからだ...。
今すぐに、捌いて、解剖して...どんな細胞組織で動いているのか...見てみたい!!見てみたい見てみたい見てみたい
.........っと思ったけど、奥から怖い顔をした叔父さんが此方に向かってきてるから。残念だけど...解剖は出来ないみたい...。取り敢えず、俺が書いた記事は勝手にアップロードして、ここから去ろうっと...。
また...会えに来るからね...。
ーーーー
大佐「何だ...この狂った文章は...」
元帥「俺も気になった。これを書いた者は、イカれていると思う。だが、竹筒の情報には間違いない」
大佐「艦娘の力を持ったまま産まれた男...」
元帥「今までずっと生きてきたが、力を宿した男なんぞ、聞いた事が無いぞ」
大佐「ですが...意外と合っているかも知れませんね...」
元帥「なんと!!」
大佐は右手で、自分の顎に押し当てながら、考える仕草をする...。
大佐「そういえば...あの大雨が降っていた時、無理あり竹筒くんを連行する日だけども、俺に会う前にあきつ丸と会って戦ってたし、今回の件の呉提督だって...」
元帥「そうか...大佐も呉提督の身体のことを...」
大佐「そりゃ〜此方にも行くでしょ。呉提督の半分が【深海棲艦】だと言うことに...」
大和「恐らく裏の組織の手引きでしょうね...」
元帥「そいつらは、軍がやっている事の不満を抱いている奴らの集まりだと思うからな...本拠地を探すにも手間がな...」
大佐「例の軍曹や呉提督に聞けば、良いのでは?」
元帥「今も軍曹の方は尋問している途中だ...。呉提督の方は、未だに昏睡状態だ...」
大佐「そうですか...」
元帥「さて...話は戻るが。もしこの文章が合っていれば竹筒くんの半分は艦娘の力が有り。母も艦娘。そして父は軍人って言う事だ!!」
大佐「確かに有力の情報です。では母の行方は一体何処に?」
大和「それ!!私も気になります」
元帥「お前らそう言うと思って調べといた。ズバリ言うと母は生きておる」
大佐「マジか...。あ...でも艦娘って歳をとらないのか...」
大和「大佐...。女性は、歳に関しては思っていても、口にしない方が良いですよ...」
大佐「は...はい」
元帥「気になるのも仕方ない。人間だと言うと大和は、立派な三十...」
大和「.........」ドゴォン
真顔になった大和が、元帥の方に主砲を向け、発射する...。
元帥「あ......」
当てる気は無かったのか、元帥の横を弾が突っ切る...。
大和「今度、変な事を言ったら...」ニコニコ
元帥「言いませんよ!!すいませんでした!俺の頭いつも馬鹿なんで、許しで下さい!」
大佐(提督にならず、憲兵で良かった...)
大和「そうですか...。大佐。今日の話はここでお開きで...宜しいですか?」
ニコニコとしながら大佐の方を向くが、その笑顔は笑っているように見えて、心の中は怒りが込み上げているような...。笑ってないような気がした。
大佐「だ...大丈夫です」
元帥「ちょっと大和!!何勝手に終わらそうとしているんだ!!話したいことは沢山...」
大和「ふふ。ありがとうございます。では貴方。私達の部屋で話しましょうか?」ガシ
元帥「ちょっと!!身体を持ち上げないでもらえますか!!大の大人が妻にお姫様抱っこって恥ずかしくて死にそう...」
お姫様抱っこで運ばれ、元帥の言葉を無視して、そのまま執務室の扉の方に脚を運ぶ。
大佐「......」
元帥「た...大佐!!竹筒くんの母は自分の店で働いて、生活しているらしい。居場所は...通信で教えるから...その間任務に励んでくれたま...」
ヤケクソになった元帥は大佐に全てを教えた後、最後要らない言葉を、ドアが同時に閉じると共に遮った。
大佐「.........」
謎か大和の行動に急だった為か、思考停止していた後、廊下の方から断末魔が響いてくる。
元帥「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
元帥の断末魔が耳に入り、我に戻る大佐。今...大和に何をされているのか、想像もしたくなかったのか、身体が一瞬震える。
大佐「歳を気にする女って怖いな...」
女性の恐ろしさを心に刻まれたのか、大佐は...これからは女性に歳の関係話は、後輩や部下。艦娘には、話さないと誓う大佐であった...。
ーー何処かの病院ーー
???「............」
空は闇に覆われるも、その病室の窓からは、月の明かりが、照らされている。頭に包帯を巻かれ、患者が着ている薄い蒼色の服をした女性は立っていた。
高い音を、心臓の行動のような一定なバランスで鳴り続ける機関に繋がれ、呼吸器をずっと付けていた男性を見ていた。
???「ねぇ...どうして」
何故か...その女性は、泣き崩れそうなのか、声を震えながらも寝込んでいる男性に話しかける...
大井「どうして...私を殺さなかったの...提督」
そこには、呉提督に酷い目にあった大井の姿があった...。
大井「教えて下さい!何で貴方が、私を助けるような事を!!」
呉提督「.........」
しかし大井の質問に、答えが無かった。いや彼は昏睡状態の為か、話すことも...目覚めることすら。
大井「う...うぅぅ」グス
大井の心は、この虚しい空間に打ちのめされたのか、髪が乱れた茶色の髪。焦げ茶色した瞳から、涙が零れ出てくる。
呉提督「ご......め......ん...な」
大井が一人で泣いていた時...弱々しい声が聞こえた...。それに反応したのか、大井は呉提督を見る。
大井「テイ...トク?」
もう一度聞かせて欲しいと大井は呉提督の方を見つめる。すると...今現状目覚めることすら困難の筈なのに、その男は大井に応えようと口を、ゆっくり動かす...。
呉提督「さ......よ......な...ら」
呉提督は...そっと右腕をゆっくり上げ、大井顔をしっかりと見たかったのか、茶色の髪を分け、弱々しくでもありながら笑顔で笑い。右腕が、再びベットに落ちようとした時...。
大井「提督の手暖かい.........」ポロ
大井は...落ちようとした呉提督の手を掴み、自分の頬に当て...温もりを感じていた。きっとこれが...最後の言葉であり、会うことも最後だと思うから...。そう思い、大井は何時間も、呉提督の傍に付いていた...。
ーー五日目の病室ーー
朝に迎えたのか、窓からは太陽の光が照らされている病院の中、竹筒は医者に検査をされていた
竹筒「......」
医者「身体に異常無し!!呼吸も安定している!!竹筒さん...退院して大丈夫ですよ」
竹筒「マジですか!」
医者「う〜ん。しかし君の左眼は...変わった性質細胞で作られているようだね...。」
竹筒「あぁ...呉提督と戦闘してたら急に左眼に痛みが走ってね。少しでも記憶が戻ったせいかも知れないけど...」
医者「なるほどな...実は君の眼も念の為に調べたんだが、右眼と左眼の細胞組織が全然違うのだよ」
竹筒「だと...すると?」
医者「右眼は、人間が持つ細胞で間違いないが、左眼は、艦娘に近い細胞が入っておる」
竹筒「はぁ?じゃ...俺は艦娘なのか」
医者「断言は早い。もしかしたら艦娘の血を直接入れられたかもしれんしな...」
竹筒「そんな事ってあるのか!」
医者「なんじゃ?新聞を読んでおらんのか?まぁ...良いか、実はな深海棲艦の血を人間に入れる実験があったんだ」
竹筒「.........」
医者「勿論人間は深海棲艦の細胞に耐えきれず、実験体の身体に亀裂が入り、その亀裂から黒い液体状の物が溢れていく程に身体が白くなり、頭は膨張し...大きな口が作られた者。深海棲艦にもなれなかった...ただの出来損ないじゃ」
竹筒(もしかして...俺の街を燃やした二本足で立っていたイ級って...実験に失敗した人間なのか...いや...でも呉提督は深海棲艦の力を得ていた。あれが完成形なら、裏組織は本当に艦娘を潰したいらしいな...)
一人で考えているのか、無意識に右手で顎に付ける仕草をしていると、横にもう一人の爺さんが空気を読まない発言をする...。
医者「あぁ...。ただ君の頭は、私の力では......」グス
医者は煽るかのように発言し...それにあった仕草を取る。
竹筒「すいません...退院するんで、病院から出てくれませんか?」タッタ
医者「冗談だよ。ちゃんと大佐殿には聞いておるぞ...。君...記憶喪失なんだろ」アセ
急に医者の眼を変え、人差し指を立てて、俺の方に指す。それを見た竹筒は唾を飲み込むだけだった。
医者「はっきり言うぞ...。思い出さない方良いと思う。私の直感がそう疼いておる...」ポリポリ
竹筒「直感って...」
医者「私の直感は当たるんだぞ。特に悪い時にな...」
真剣な表情を向けて、竹筒に告げる...。
竹筒「それでも!!俺は...記憶を、今までこの身体で犯して来た罪を思い出したい。じゃないと...俺に殺されているであろうと思う人達が報われないと思う」
医者「罪を再び背負うってことか...」
竹筒「あぁ...罪を背負いながら、俺は戦うよ。きっと良い死に方はしないと思うけど...」
医者「そうか...」
竹筒「はい!!その話は終わりです。さて...本当に準備するので...」
医者「おっとすまんな」
そう言いながら、医者は...病室のドアの方に向かい、手を掛けた瞬間。最後に一言言いたいのか、口を開く。
医者「これは...私からのヒントじゃ。もし記憶を早く思い出すには、それに合うものを見て刺激を起こさなければ行けない...」
竹筒「記憶の俺が見た事があるもの...」
医者「あとは君の力で頑張ってくれたまえ。あと...また怪我して、ここに入院するんだったら、イチゴ牛乳奢りだぞ!」ガラ
勝手に約束を作り、部屋を出る。
竹筒「何故にイチゴ牛乳?」
急にイチゴ牛乳って言われ、疑問を持ちながらも、準備を行う...。
竹筒「やっとこの病室から出れるのか、長かったような短かったような。けど、目的も出来たし、職場復帰と持ち込もうか!」
白く綺麗な軍服を着て、病室から出ていく。
竹筒「さて...退院許可も医者にもらったし、このまま外に出ようと...」タッタ
そのままカウンターに行かずに、病院の出入口へと向かった。
ーー街中ーー
ブォォォ
竹筒「......車多いな」ブツブツ
あまりに街中を走らせている車を見て、思わず口にしてしまった。すると奥から手を振りながら竹筒の名前を呼んでいる憲兵の姿があった...。
大佐「お〜〜い竹筒くん!!迎えに来たよ〜」
そこにはお馴染みの狐顔した男。大佐の姿があった...。
竹筒「.........」クル
退院して、初めに会う人物が大佐だったのか、ショックを受け、身体を回転させ、反対側の道を歩く。だが...その先にも憲兵が一人...。
少佐「おいおい、何処に行くの?そりゃ〜退院後に大佐に会いたくないと思うけど...そこは我慢してくれよ...」ガシ
竹筒「おい離せ!!また俺を連行する気か!!」
少佐「違うって、竹筒君の鎮守府。ここから遠いから、送って上げようと、大佐が...」
竹筒「おい!!お前も知っているだろ!大佐の運転技術は...」
大佐「俺の技術は何だって?」
少佐に大佐の運転の技術を伝えようとした時...後ろから、知っている声が聞こえた...。
竹筒「お前...もうここまで走ってきたのかよ」
大佐「仕方ないじゃないか!!竹筒君が反対の方に行くから〜」
可愛いく両手をブンブンと振るが、男が、そんな仕草をしていると、可愛いより気持ち悪いが正しいと思った竹筒は...ゴミを見る目で大佐を見る。
大佐「何だよ!!その眼は!!別に良いじゃないか!!こんなフレンドリーな憲兵は居ないぞ」
竹筒「あ...ふ〜ん」
少佐「まぁまぁ、大佐も変な性癖があるから仕方ないよ」
竹筒「やっぱりか!!」
大佐「おい少佐!!変な性癖とは何だ!!毎日毎日、銃を眺めて、不気味な笑みをしながら笑っている奴に言われたくないぞ」
竹筒「早撃ちは尊敬するが、銃を眺めて笑っていたとは...引くわ〜」
少佐「それを何処で聞いた...」
大佐「いや...俺の部下が武器倉庫から何時間も少佐が出てきませんって苦情が入ってな。念の為、コソッと扉を開けたら、ライフルやらショットガンなど、頬を付けて擦り付ける行動を見てな。その後、俺の夢が悪夢へと化していたんだぞ」
少佐「.........帰ります」トボトボ
大佐「ちょっと待て!銃を綺麗に、長持ちで扱える事が出来たのは、お前の技術と愛だと思うんだ...。ちゃんと部下には内緒にしてやるし、元気出せよ!」
少佐「......」トボトボ
大佐「はぁ...。分かったよ!!飯奢るから元気出せよ!」
そう言葉を放った瞬間、少佐は大佐の方を向き、キラキラとした笑みをしていた。
少佐「マジですか!だったら仕事全力で頑張りますよ!」
竹筒(ちょろい)
大佐(ちょろすぎ...)
大佐「取り敢えず、竹筒君を鎮守府に送った後に奢るから〜」
少佐「了解です!!」
竹筒「やる気満々だな。これなら一つのブラック鎮守府潰せるんじゃね?」
少佐「いえ...二つは行けますよ!」
大佐「二人とも調子に乗るな。お前らが言うブラック鎮守府は...そう簡単に潰せないんだから。取り敢えず車に乗れ」
竹筒「へいへい」
少佐「ウェェイ」
大佐の言葉に従うように車に乗り出す。しかし、ここである事に気付く...。
竹筒「あ...しまった」
少佐「え?」
少佐は、未だに分かっていなかったが、竹筒はそれを気付いたのか、咄嗟に車のドアに手を伸ばし、レバーを引くが、そのドアは開かなかった。
竹筒「お...お前!!ドアロックしやがったな!」ガチャガチャ
少佐「そう言えば、何で大佐の車に乗っているんだ」
竹筒の反応に、少佐も...やっと状況を呑み込んだ。
大佐「さて!!鎮守府に行こうか!」ギュッ
竹筒や少佐が何かを言っている程度何か、大佐の耳には入らなかった。
ハンドルを強く握り、右脚で強くアクセルペダルを踏み込む!
キュルルルルル
車は変な後を鳴りながらも、急発進をする...。
竹筒「ぎゃぁぁぁ!!タイヤがパンクするぞ!」
少佐「ごめん...。竹筒君の言葉は正しかったよ!!だから...死んでも、俺の事は忘れないでね...」
竹筒「死ぬな!!まだ俺達は生きてる!もうそろ死ぬかもしれんけど...」
大佐「もっとスピードを出すぜぇぇぇ」
ブォォォォン
竹筒「こんな車が多い時にスピード出すとか!!本当に死ぬ気か!!」
大佐「ハハハハ!!そんなの避ければ問題ない!!」
大佐がそう言うと、信号が赤信号なのか...ある程度の車が列を作っていたが...
大佐「おらおら!!こんな細い道を見てしまうと、ついつい通りたくなるだろうが!!」
車と車に出来た細い間に大佐は強引に突っ込む!
少佐「後で元帥に怒られる」ガタガタ
竹筒「信号無視とか、憲兵がやっていいのかよ」
大佐「これは緊急事態なんで、大丈夫です!!」
すると奥から、憲兵らしき車が、こちらに目掛けて追いかけて来るのが、分かった。
竹筒「おい、暴走車だと思って、憲兵が追いかけてるぞ」
大佐「ッチ。何だよこんな楽しい時に」
竹筒(うわ...舌打ちとか最低な上司やな)
A憲兵「その車!!直ちに停車しなさい!」
B憲兵「スピード違反ですよ」
大佐「五月蝿いな」ブー
不満を愚痴りながら、窓を開き、警察手帳を、その憲兵に見せる。
B憲兵「あぁ...大佐殿で御座いましたか!A憲兵!!下がって良いぞ...」
A憲兵「了解!!大佐殿!!引き続き仕事を頑張って下さい」
そう言いながら、憲兵が乗っている車は違うの方向へと曲がっていく...。
竹筒「絶対、大佐だから言えなかったんだな。これが上下関係の闇なのか...」
少佐「仕方ないよ...。大佐の言葉には、皆...不満はあると思うけど、怖くて反論的な言葉は言わないようにしているんだよ〜。当の本人は、何にも知らないと思うけど〜」
大佐「何か言ったか?」
少佐「いえ...何も」
大佐「ではでは〜スピードをMAXにしたいと思います!」
竹筒「ちょっと待て!!ここは街中だぞ!それ以上スピードを上げたら...」
大佐「竹筒君は何を言っているんだい?とっくに街を出てるよ」
竹筒「え...」
竹筒は窓を見ると、森が茂っており、道の横には畑が広がっていた。
少佐「仕方ありませんよ。こんなスピードを出しているんですから、眼を離せば別の景色〜ってなりえますよ」
大佐「って事で、ぶっ飛ばして行くぜぇぇぇ!!」ドン
ギュィィィィィィィン
竹筒「うわぁぁぁぁ。空気が、圧が、身体を潰される感覚だ...」
少佐「.........」シロメ
白目を向きながら、口から泡を吹きながらも、気を失う...。
竹筒「おい少佐が気を失ったぞ!止めた方が良いんじゃ...」
大佐「えぇ〜、ここまでスピードを出したのに、止めるの?」
竹筒「そんな勿体無い見たいな事言っても駄目だぞ!止めろ!」
大佐「仕方ねぇな...」ッグ
竹筒の言葉に、テンションが下がり、アクセルペダルから右脚を離し、その脚をブレーキペダルを踏む...。
カキン
すると車内から...鉄を弾く音が響く...。
竹筒「今さっき...変な音鳴らなかった?」
大佐「.........」
何故か大佐は反応が無く、ずっとハンドルを握ったまま、そのまま運転を行う。
竹筒「おいブレーキ踏めって...」
大佐「ブ.........れ...た」
竹筒「え?」
何故か大佐が小さい声でボソボソと囁いていたのか、必死に聞き取ろうと近付く。
すると竹筒が近付くのが分かったのか、一瞬だけ此方を振り返り、青ざめた表情をしながら...
大佐「ブレーキ折れた...」
竹筒「おいおい!!あきつ丸の時もやらかしたと、お前から聞いたが、まさか退院後、これを体験出来るとは思わなかったよ」
大佐「仕方ないだろ!!ブレーキが貧弱過ぎたんだよ」
竹筒「変な音が出るまでスピードを上げる奴が悪い!!」
大佐「だ...大丈夫だ!!お前の鎮守府の壁にぶつければ、どうにかなるよな!」
竹筒「ぶつけるって...」
大佐のよく分からない質問に混乱しながらも、竹筒は車の正面を見る。すると目の前に何個も積み重ねたと思う煉瓦の壁が広がっていた...。
竹筒「俺の鎮守府じゃないか!!」
大佐「すまん。目的地には着いたものの、止まらくなったから...ぶつけるね」キラン
竹筒「海に落ちれば良いだろ!」
大佐「君は、俺達に死ねって言うのか!」
竹筒「五月蝿い!!ハンドル貸せ!!」ガシ
大佐「断る!!壁ぐらい、弁償してやるから!!」ブン
竹筒「そう言う問題じゃねーよ!」ブン
何故か二人はハンドルを奪いしてるせいか、車の動きも、バラバラに曲がっている状態だった。
すると、車内から大きな声で叫ぶ者の声が耳に入る。
少佐「二人共!!前見て!!」
少佐は指を指して、見るように手向ける。それに釣られ二人は前を見ると、一面に広がる煉瓦の壁は、目と鼻の先にあった...。
竹筒(死んだ...)
大佐(これなら、スポーツカーにしとけばよかった...)
ガジャン
重々しい音が空に鳴り響く...。
竹筒「......生きてるのか...」
大佐「これで二度目だよ」ハハ
少佐「笑い事じゃ...」
車の前だけのボディーが鉄の塊と化していた。
竹筒「おい!!この穴どうしてくれるんだよ!」
大佐「大丈夫だって!!弁償するから!!元帥が...」
少佐「怒られるのが脳に浮かびますよ」
大佐「その時は少佐に擦り付けとくよ...」
竹筒「それで...俺は鎮守府に入っても良いのかな?」カシゲ
大佐「執務の時間は過ぎてるし。急いで場に戻った方が、竹筒君の為だと思うけど...」
竹筒「お前らはどうするんだ?」
少佐「後輩達を呼ぶしか無いですね...」
溜め息を零し、少佐は右手にスマホを取り出し、誰かに掛けようとしてると...
大佐「おいおい!!何勝手に電話しようとしてるんだよ!」バシ
少佐「当たり前じゃないですか!じゃないと帰れませんよ?」
大佐「いや...まだだ...」
諦めの悪い大佐は、先程衝突した車に乗り、エンジン掛けようと、鍵を回す...。
竹筒「おい...それはもう...」
ブゥゥゥゥン
壊れた筈の車から息を返すようにエンジンが鳴り響く!
大佐「こいつはまだ行けるって、そう伝わってくるよ」
少佐「えぇ...」
大佐「って事で!!少佐。飯を食いに行くぞ!」
少佐の襟首を掴み、後部座席に投げるようにぶち込む!
少佐「ぐふ...」ドン
大佐「そうだ!!爽快に楽しんでたせいか、君に重要の事を忘れてたよ...」タッタ
大佐胸ポケットから...小さい白い紙を取り出し、竹筒の方にその紙を取らせるように向ける。
竹筒「これは...」パシ
急な事に疑問を抱きながらも、大佐から紙を貰う。
大佐「その紙には、お前の母が居る場所を示されている。行くか行かないかは、お前次第だ...」
竹筒「俺の母さんの居場所...」
大佐「さて...元帥に渡せって言われた紙も上げたし、俺らは別の任務に取り掛かるぜ」
竹筒「悪いな...一週間ダラダラとした俺にこんな有力の情報を提供してくれるなんて...」
大佐「良いって事よ...。ただ...呉提督見たいな奴を見掛けたら、すぐに行動に移さないようにしてくれ。前にも言ったが、俺達を呼んだとしても、すぐに助けに向かうことが出来るかは、俺達にも分からないだからな!危険な事は程々に!!」
竹筒に注意した後、そのまま車に乗る瞬間、しばらく黙ってた男は口を開く...。
竹筒「良いぜ。俺だけでも完結してやるから!!」
大佐「懲りない男だね〜」バン
言葉を残し、そのまま車を発進する。
車(行くでぇ!!)
少佐「ぎゃぁぁぁぁぁ」
少佐の断末魔を聞いた竹筒は、心の中でお気の毒にと思いながら、鎮守府の玄関に向かっていく。
竹筒「にしても...ここに来るのは久しぶりな気がする...。この五日間、鎮守府を空けていたが...泥棒とか居ないよな?」
鎮守府には、竹筒しかい居ない。その竹筒が留守だとすると、この鎮守府は空き巣へとなっているのだ。もしも泥棒なんか居たらどうしようと考えるも、高額ブランド品や高級の調理器具すら無い。
あるとすれば、執務室に置いてある家具ぐらいしか浮かべなかった。
しかし、ここでもう一つの疑問が...
竹筒「掃除する子も居ないから...。今の鎮守府内って...外装は立派で、中は汚いとか...絶対にあるよな」
確かに艦娘を早く着任させない自分が悪いと言い聞かせるが...軍の奴らも真面に新人の話すら聞いてくれないと思った。
唯一話を聞いてくれる人物だと言えば、頭の中に大和にデレデレした元帥が浮かぶ...
竹筒「いやいや!!俺は一体何を考えてるんだ!!」
浮かびでたものをかき消すように手を強く振り、玄関の扉前に立つ。
竹筒「よし落ち着け!鎮守府入ったらまず大掃除だ!!。広い廊下を雑巾で吹いて、風呂場を綺麗にして!!艦娘は居ないけど入渠も掃除。それから厨房と食堂もやらないと行けないし!!あぁ!!気が遠くなる」
今日の予定に頭が一杯になり、立ちくらみが起きる...。
竹筒「考えるだけで倒れそうだ...。でも!!これも仕事の一環だと思えば良いことよ!」ガラ
強い意気込みを口にしながら...右手で玄関のドアをスライドさせる。
ーー廊下ーー
竹筒「え.........」
あまりにもありえない光景を眼にしたのか、瞳孔が挙動不審に揺れる...。
竹筒「あまりにも綺麗過ぎる!五日間留守だと言え、埃は多少積もるはずだ。なのに、この廊下は一体?」
鎮守府の中は、汚れているのではなく、綺麗にされ過ぎている事に驚いたのだ。竹筒は腰を下ろし、人差し指で廊下の床を縦線でなぞる...。
竹筒「ピカピカ過ぎだろ。本当に俺の鎮守府?」
廊下の床は竹筒の姿までが映り込むほど、綺麗になっていた。床だけでも充分なのに、壁を見ればすぐに分かる...。
竹筒「染みが一つも無い...。それに茶色のドアがさらに濃く見えるのも驚きだ」
この怪奇現象に竹筒は考えていた。
竹筒「まさか!!この鎮守府に泥棒が居て、その泥棒は高額な物より、ここを綺麗にしてくれた。優しい泥棒なのか!」
では、何故そう言う人が泥棒なのかって言われると、何も答えることが出来ない。それは矛盾しているからである。しかしそう言う思考を取らなければと思い執務室に向かう。
竹筒「五日も鎮守府に居なかったが、意外と道は覚えてるもんだな...」
歩きながら、着任したばかりの竹筒を思い浮かべる。
竹筒「あの時は、厨房や食堂。風呂場に入渠の場所ですら分からなかったな...。一日ぐらいしか居なかったけど...」
翌々考えたら、着任して、すぐに事件に手を出したせいか...鎮守府に居た記憶があまりにも無かったと、今更気付く。
竹筒「見えてきたな...」
廊下を真っ直ぐ歩いていると、執務室のドアが見えてくる。
竹筒「よし!!ここだな...」
ドアの前に立ち尽くす竹筒は、本当に執務室なのか...右壁に記されている部屋の名を見る。
そこには、ちゃんと執務室だと書かれていることを確認し、扉のドアノブを右に捻りながら恐る恐る押し入る。
竹筒「やっぱり自分の場所は落ち着くな〜」ガチャ
扉を開けた瞬間、空間が広がっていた。仕事をここで務める机に、その机の手前に話し合いとかするソファ二つ。その間に配置されている木で出来た頑丈のテーブル。そしてこの部屋でしか見渡せない大きな窓が、この部屋には備わっている。
竹筒「にしても...やっぱり綺麗過ぎだな...ん?」
竹筒は何かを見つけたのか、半ドアなのか身を隠し、それを覗く感じで見ていた。
竹筒「あれ...何処かで...」
そこに眼に映ったのは、本棚の本を整理しているピンク髪の人物は、扉の開く音に気付いたのか、此方を振り返ろうとしていた...。
やがて...その人物は竹筒の方に向いて、満面の笑みで...。
春雨「おかえりなさい!!竹筒さん」
そこには、あの彼女の姿があった。竹筒は何が起きたのか、分からなくなり、そっと半ドア状態の扉を閉める...。
竹筒「あれ〜可笑しいな?此処って俺の鎮守府だよな?間違ってないよな...」
何度も何度も自分のスマホで登録しているマップを見ていると、ピンはしっかりここに示されていた...。
竹筒「だよな...今のは、そう!!疲れていただけだよ!幻に決まってるさ。さて...落ち着いた事だし、改めて!!行くぞ!」ガチャ
今度は扉を全開に開きながら、執務室へと入室する...。
竹筒「.........」
再び執務室の周りを確認するが、やはり彼女は居なかった。何故か無意識なのか溜め息を零し、胸を撫で下ろす。
春雨「何で...扉を閉めるんですか?」
竹筒「え?」
竹筒しか居ないはずの執務室から別の声が聞こえた事に驚く。
再び周りを見るも、その声の根元が分からなかったが、そこで頭が過る。聴こえた声は左耳から響いていた...。
竹筒「まさかね...」
何かに気付いたのか、扉で隠れていると思う空間を確認する...。するとそこには、紅色の瞳で俺を見つめる。
春雨「竹筒さん!!」
俺の名を呼ぶ彼女。それを目の前で見てしまったのか、再び扉を閉めようとする。しかし、今度はなかなか扉が閉まる事が出来なかった。
春雨「どうして急に扉を閉めようとするんですか!」ガシ
竹筒「ごめんよ。ここの提督は俺じゃないと思うよ!だから...もう少しここに待ってたら、本当の提督が着任すると思うから!!」
自分でも何を言っているのか意味が分からないと思うが、今必死に扉を閉めようと力を入れる!
春雨「一体何を言っているんですか?ここの司令官は、竹筒さんですよ!!」
竹筒「本当に言ってるの?」
春雨の言葉を聞いて、先程扉に力を入れてたものが、徐々に抜けていく。
春雨「全く、仕方ない人ですね?頭でも打ちましたか?」
引っ張る力も無くなったのか、春雨が扉を開き、俺の顔を覗きように、腰を下ろす。
竹筒「顔近いよ!!急に出てくるから死ぬかと...」
竹筒の前に急に春雨の顔が見えたのかびっくりしていた。しかし彼女のそう言う行動のお陰なのか、何故か徐々に落ち着きを取り戻していく...。
春雨「本当に完治したんですか?もう一回入院でも...」
竹筒「だ...大丈夫だ!!てか、何で春雨はここに?」
春雨「話せば長くなるんですが...。あの事件が解決した日に......」
春雨は淡々と竹筒が知らない真相を伝える。
ーー呉鎮守府の事件後ーー
白い軍服を着た男は綺麗に列を作っていた艦娘前に出てくる。
喉の調子を確認をしているのか、わざと咳をして...整える。
舞鶴提督「さて...。みんな聞いてくれ!!これからは俺が君達の提督になる者だ。しかし急にこんな事を突然言われたら、混乱すると思う。だけど!!俺はここの呉提督のようには決してならないと!!心から誓う!」
艦娘達「.........」
艦娘達は、舞鶴提督の言葉を聞いても、愚痴すら、文句の一言もなく、ただ真剣に前の男を見ていた。
舞鶴提督「君達が味わってきた痛みや屈辱、姉妹を目の前で失った辛さ、大切な人を殺された辛さ...悔しくてもやり返せない辛さ。それはきっと俺にも、死んでも分からないと思う。決して消えない思いは心に刻まれていることもあるだろう」
艦娘達「.........」
舞鶴提督「無理に忘れろとは言わない。時が過ぎれば忘れるって言っても、きっと俺の鎮守府に、君達の姉妹や友を見てしまえば、きっとまた此処であった出来事を思い出すと思う」
舞鶴提督は強く右拳を握ってたのか、爪が刺さり、赤い液体が点々と地面に零れる。
舞鶴提督「初めは辛いかもしれない、苦しいかもしれない。けど、君達は自由の身だ...。好きに遊んだり、食べたり、寝たりとして、生きていれば良い。死ぬ以外は楽しんで欲しい。仕事だけやる気出して、それ以外ダラダラしてても良い...。それが君達の思い出作りなら尚更だ!!ここで起きた出来事を新しい思い出に塗り変えれば良いんだから!!」
艦娘達「.........!!」
舞鶴提督「これは...絶対だ!!俺が決めた鎮守府の規則!!その一つ、やる事だけ本気でやって、後は好きにダラける!!これが俺のルールだ。もう一度言うけど、俺は呉提督見たいには、絶対にならないと誓う!もし...俺がそのような事になれば...。本当は自分でやりたいものだが。俺を殺してくれ...。それが約束出来るなら、歓迎するよ。来るか来ないかは、相談して決めてくれ!!俺は皆を送るバスの手配の準備をしとく。以上で話を終わります...」
全てを思った事を話したのか、息を切らしながら、艦娘達を見る...。
榛名「榛名はとてもとても感動しました!こんなに必死の私達の事を考えてもらってるいるだけで、嬉しいです」
北上「流石の北上様も心に来たよ...」
大和「.........」ポロ
長門「おい大和...泣いてるのか?」
大和「別に...泣いてませんよ」ズビー
長門「そうか...」
時雨「今日は良い天気になりそうだ...」
夕立「そうね...。てか白露!!いつまで気を失ってるの!!」ゲシゲシ
軽く白露を脚で蹴る。
白露「痛...何?敵の攻撃!!」
状況が読めなかったか、白露は勢いよく立ち上がり、戦闘態勢に入る。その行動に夕立は思わず...
夕立「はぁ〜」
時雨「白露...夕立が君を蹴っただけだよ」
白露「な〜んだ蹴っただけなのね......。え?蹴ったって言った?」
春雨「白露姉さん!!」ダキ
白露「うぉぉぉ!!」
ピンク髪の彼女は白露に抱きつく。白露は急に抱きつかれたせいか、体勢が崩れそうになる...
春雨「本当に...良かったです」
白露「春雨!?何で...。あぁ〜なるほどね」
先程驚いて眼を見開いていたが、何かに察したのか、表情を変える。
白露「寝てる間に終わったんだね...」
夕立「寝てるってより気絶だと思うけど...」
時雨「一番の姉さんがこれだと、少しショックだな。僕は別に大丈夫だけど...」
白露「酷い!!私は白露艦の中で一番のお姉さんなんだから!!てか時雨...大丈夫って何を!!」
春雨「大丈夫ですよ!!白露姉さんの唯一の取り柄だとすれば、すぐに寝て食べる!!流石...一番です」キラ
白露「うん...春雨。フォローになってないと思う」
不知火「やれやれ...相変わらず騒がしいですね」
夕立「あら不知火。ここに会うなんて奇遇ね」
不知火「いえいえ、ちょっと知らせたい事がありまして...」
時雨「なんだい?」
不知火「呉提督に殺される予定だった艦娘。私の姉妹達は憲兵達に頼んで、病院に運ぶように頼みました。それと...貴方達を救う為に、誰よりも多く吸った睡眠ガス。村雨も...運ぶように頼んで起きましたので...。心配は無いっと伝えに来ただけです!!では列に戻りますね...」タッタ
すると不知火は艦娘達の群れへと歩もうとした時...誰かの声で呼び止められる。
春雨「不知火さん!!」
不知火「ん?」
春雨「いつもありがとうございます!!」
不知火「別にこれは仕事なので...。もし真面に仕事を真っ当に出来なかったら、私の落ち度がありますので...では」タッタ
再び白露は歩き出し、今度は姿すら見えなくなる...。
夕立「不知火と竹筒が居なかったら、こうにはならなかっただろうね」
春雨「竹筒さん...」
心残りなのか...思わず会いたい男性の名を発言する。すると、前から舞鶴提督以外の人物が前に出て、大きな声で叫ぶ奴がいた。
少佐「私からも話があります!」
元帥(なんやコイツ?こんな大事な時に...)
少佐「皆さんはソーセージを何処から開けますか!前ですか後ろですか?」
舞鶴提督「え...」
艦娘達「え...」
元帥(あの馬鹿者!!何を言っているんだよアイツは)
ふざけた質問のせいか、先程のやる気の熱が一気に冷めていくのが、分かる。
少佐は滑ったと思ったのか、焦って言葉を紡ぐ。
少佐「正直ソーセージの開け方は様々だと思うんだよ!前からハサミで切って、少し切れた部分を指でこじ開けたりと、そのせいか、全然剥けなくて...逆に真ん中から開けると綺麗なまま楽に取れると思うけど...たまに先とか後ろだけの部分が、ソーセージの欠片が残るんだ!!流石にプライドが高い俺は...それが許せない!ソーセージって言うのは!お手頃に食べれる伝説の商品!!これを考えたものは天才だと思う!!だから...俺h...」
暑くソーセージの事に語ってるせいか、艦娘達舞鶴提督の表情は呆れて立ち尽くしていた。すると、突然元帥が少佐の背後を取ってそのまま右手で口を押せて、発言阻止を行う。そのまま左手で背中の中心辺りを思いっきり殴り込む!
少佐「ぶは......」
白目を向いた少佐を肩に担ぐ、表情を何一つもしないで、そのまま退場していく...。
元帥「提督殿、儂は此奴を署に送ってくる...。艦娘を頼むぞ...」タッタ
舞鶴提督「了解です!!元帥殿もお気を付けて...」
元帥「うむ」
元帥はこの場を去るように、鎮守府の門へと向かう。その後ろ姿を見た舞鶴提督は唾を飲み。
艦娘の方へと視線を合わせる...。
舞鶴提督「悪いんだが、俺も鎮守府に戻らなければ行けない...。付いてきてくれるか?」
大和「えぇ!!喜んで付いていくわ!私達が戦わないと平和も訪れないと思う。ここに居る皆も私と同じ考えだと思うわ!」
不知火「私も大和さんと同じ事を考えていました。誰かがやらないと永遠に平和も来ない。私達が戦わないと、深海戦艦は増えていく...。けど、皆で力を合わせば、辛い戦場だって、行ける気がするの。それが私達が生まれた意味だと思います」
北上「本当は人間の為に戦いたくは無いけど、それじゃ、ここの提督とやっている事が同じ事だし、私は戦うよ!大井っちの為でもあるし...」
夕立「えぇ...。人間って言う生き物は、自分の事しか考えていない自己中心的な存在だと思った。けど違ったの、こんなつまらない世界でも...私の心を動かしてくれた。【あの人】の分まで生きて、世界を救うわ」
舞鶴提督「君達...」
一斉に艦娘達は舞鶴提督に敬礼をする...。その光景に思わず、舞鶴提督は涙を流す。
舞鶴提督「分かった...君達の思いは凄く伝わったよ!だったらやってみようではないか!勝ちに...」
艦娘達「おぉぉ!!」
鎮守府に居た艦娘達と舞鶴提督は、気付けば心が一つに繋がってたように...息が合う。
舞鶴提督「よし!!ではバスへ向かおう!鎮守府に着き次第、着任の手続きを行うから、執務室に集合だ...」
艦娘達「......はい!!」
列を作っていた艦娘達は、一斉に鎮守府の門の方へと向かい、バスに乗ろうとする...。
春雨「......」タッタ
春雨も皆と一緒に向かっていた途中に、後ろから右肩を軽く叩く。その違和感に振り返ると、そこには、何かを言いたげそうな顔をしていた舞鶴提督だった。
舞鶴提督「やっと見つけたよ...」ハァ
春雨「はい。一体私に何の用が?」
舞鶴提督「竹筒くんに助けてもらったのは知ってるけど、そこを詳しく知りたくて...」
春雨「はい...。ここから逃げようとした最中に...憲兵に撃たれてしまって、運が良かったのか当たり所は良かったのか、致命傷では無かったですが、血が流し過ぎて、力が入らなくなり、海付近で倒れてました。死んでも可笑しくなかったですよ。もしあそこで竹筒さんに拾ってもらわなかった時は、恐らく死んでたでしょう」
舞鶴提督「そうか...。春雨は思い残りは無いのか...」
春雨「思い残り...。無いって言ったら嘘になっちゃいますが、ここで話す事の程では無いと思ってます」
舞鶴提督「なるほどね...」フムフム
春雨「あの〜もう行って良いですか?時間が無くなると思いますが...」
舞鶴提督「待て...俺は春雨に言いたい事があってここに来た...」
春雨「どうしてですか?」
舞鶴提督「俺が言いたいことは、竹筒くんの力になってみないか?」
あまりにも変な質問だったのか、眉毛を寄せる春雨。
春雨「一体何を言っているんですか?」
舞鶴提督「竹筒くんは、未だに艦娘が居ないのだよ。彼が一番ボロボロになっても、眼を覚めれば、何も無かったかのように虚しいと思うんだよ」
春雨「.........」
何故か舞鶴提督の言葉に理解が追い付いていないのか、クエッションマークが浮かんでいた。
舞鶴提督「ハハハ、その表情だと全然分かってないようだね?だったらハッキリ言うけど、竹筒くんの鎮守府に行きたいと思わないか」
春雨「え!!でも...それは無理だって聞きましたが...」
舞鶴提督「普通はね。でも俺の推薦で軍に報告すれば、許可を取ってくれると思うんだ。だから...そこは安心して良い。けど春雨はどうするかだな」
春雨「私は...」
舞鶴提督「.........」
春雨「私は......行かな...」
横に立っていた人物が迷っていた春雨の発言を遮るように、喋りだす!
時雨「行ってきなよ...」
夕立「えぇ...。私達の事は心配しないで...」
白露「そうだよ!!竹筒くんは私達を助ける為に、あんなに必死に戦ったんだから...今度は春雨が一番に竹筒くん助ければ良いのよ!!」
春雨「時雨姉さん、夕立姉さん、白露姉さん。
私は間違っていました。私のせいで竹筒さんがあんな事になったと考えてしましました。けどもう迷いません!姉さんのお陰で眼が覚めました!」
舞鶴提督「だとすると...」
春雨「行きます!!今度は竹筒さん助ける為に!!」
舞鶴提督「その答えが聞きたかったぜ!では...皆を鎮守府に送り出した。後に俺は申し込んでくるよ」
春雨「了解です!!」
話を終えたのか、舞鶴提督は春雨を抜かして、前とゆっくり歩きながら、心の中で語る。
舞鶴提督(やはり彼女達には希望がある。あんだけ酷い仕打ちを受けたと思うのに、それでも前と克服しようとしている。なのに......)
どうしてこの場に居ないのだ...竹筒くん。君はこんなに艦娘達を助けたと言うのに...。正直、俺も竹筒くんの事は知らない。けど...君の話を聞いていると、俺は、何故かここに居る彼女達に相応しいのは俺じゃなくて、竹筒くんだと思っているんだ。
軍の方では、新米には任せられないとか、この事件に関しては、黙認しろとか...意味が分からないと思う。一体この世界はどうなっているんだ...。
舞鶴提督は疑問だけを残し、艦娘達と共に歩んで行った...。
ーー現在ーー
春雨「そういう事です!!」
竹筒「えぇ〜」
春雨「なんですか!!そんな腑抜けた声は!!」
竹筒「だってよ...春雨がここに来たことで、仕事が増えるとなると...」
春雨「働いて下さい!!私は竹筒さんを助けるとは言いましたが、書類系はサポートぐらいしか出来ないので...。自分の力で頑張って下さいね!」
笑みを浮かべながら、執務室の机の前に行かせようと、竹筒の背中を推す。
竹筒「えぇ〜。コンビニ行かね?」
春雨「執務ですよ!秘書の私が許しませんよ」
竹筒「仕方ないな〜」
髪を掻きながら、椅子に腰を下ろし、ペンを持つ。すると春雨が何かに気付いたのか、急に執務室の中心に立つ。
春雨「そう言えば自己紹介まだでしたね〜」
竹筒「俺は竹筒!!下の名は知らん!!退院後に久々に鎮守府に戻ってきて、執務室に入ったら急にピンク髪の子に無理あり仕事をやらされそうになっております」
春雨「竹筒さんはしなくて良いですよ!あと途中に愚痴を言わないで下さい...」
竹筒「了解〜」カキカキ
春雨「全く、では改めて、白露型駆逐艦五番艦の春雨です、得意な事は輸送作戦です。なので、輸送の時は任してくださいね。あと色々と訳あり何ですが、私のこの姿は改に昇格した姿なので、通常の春雨とは...ひと回り成長もしています。特に...胸部装甲とか、大きくなったと思います。なので夜戦の時は不満とか無いと思います!」
竹筒「ハハハハ、そうか!!でも俺は改になった春雨も...通常の春雨もどっちも好きだから、気にしないでくれ......。え?夜戦?海域を攻略のあれ?」
春雨「いえ...夜戦でも、あっちの夜戦です!」
竹筒「あ〜〜うん。一体誰から聞いたんだい?」
春雨「舞鶴提督に竹筒さんも男だから、今まで一人で処理(意味深)してたと思うし、急に私が来たらやりづらいと思うから、私が管理をと...舞鶴提督に...」
竹筒「いや...処理とかしてないし、夜戦必要無いから!!」
春雨「そんな!!あんなに恥ずかしい言葉を選んだのに...」ショボ
竹筒「取り敢えず...仕事を手伝ってくれ...」ペラ
春雨「は...はい竹筒さん.........」タッタ
竹筒「どうした春雨?」
急に声が小さくなったのか、思わず、春雨の方に視線を送る。
春雨「いえ...よく考えたら竹筒さん呼びでは行けない気がするんです...」
竹筒「えぇ〜俺は別にどうでも良いんだけど...」
春雨「いえ!!ダメです!!そうですね。竹筒司令官で!!」
竹筒「それ...呼びにくいだろ...。いつも通り竹筒でいいよ。俺達は上も下も関係ないし」
春雨「分かりました...。けど竹筒さん...私は感謝してるんですよ。私が寝てる間にこっそり行くなんて、悪い人です...」
竹筒「あの〜仕事中何ですが、話しても良いですか?一度話すと、俺は止まらないですよ...」カキカキ
春雨「それは遠慮したいですね。けど、竹筒さん...」
春雨呼び掛けについつい、顔を上げてしまう。
春雨「いや...司令官。私達を助けてくれてありがとうございます!!」ニコ
竹筒「良いって事よ......」
何気ない事を返して、仕事に再び取り掛かる。
これが俺の本当の始まりであり、初めての艦娘。まさかあの事件から、着任してくると思わなかった。けど、俺は何故か嬉しいと思ってしまう。きっと俺も人間なんだ。何も残らない事は別に良いとは思っていたが、やはり何か無いと虚しいと思ってしまいそうな自分が居るのは驚きだったが、春雨がこの場に居るせいなのか、寂しい思いはしない。今は新米だが、何れ元帥まで這い上がって、変えてみせる!艦娘と共存出来る世界を...
春雨「何を考えて居るんですか?」
竹筒「早く寝たいと考えていた」
春雨「安心して下さい。寝落ちなんかしたら、起きるまでキスをするので...」
竹筒「はぁ!!冗談は辞めろよ〜」
春雨「フフ。冗談ではないんですよ〜」
竹筒「怖!!お母さん!!父さん助けてぇ〜」
春雨「ちゃんと仕事して下さい!手が止まってますよ!」
竹筒「春雨が余計なことを言うから〜」
春雨「それはそれは〜」フフ
竹筒の発言に思わず...態とらしくクスッ笑う春雨。その仕草に竹筒は...
竹筒(やっぱり...一人の方が楽だったよぉぉぉ〜)
初めての着任の春雨の行動に、心の中で虚しく後悔して騒ぐ竹筒なのだった...。
どんどん更新して行くので、ワクワクしながら待ってて下さいね。
けど...モンハンwではもうそろアルバが...装飾品集めしたいけど、作品が先...だよね。(困惑)
皆様ここまでの御付き合いに付き合ってもらいありがとうございました!!
今作もワクワクしてて待ってて下さい!時間があれば必ず更新するので、久々に雪だるまが居るじゃん感覚で見てくれれば幸いです。では...また会いましょう!
2020/08/12 08:24:56
作者「やっと更新が終えた。よし!!次の物語も書かなきゃ!」
時雨どうして...構ってくれないの?更新したら、僕と遊んでくれるって言う約束でしょ?」ハイライト
作者「聞いてくれ時雨!!俺はこれだけの時間があるにも関わらず、何も手を付けていない状態何だぞ!」
時雨「嘘つき...提督は僕の事をだけを愛すって言ったのに、どうしてどうしてどうして」
作者「あの〜時雨さん?」
時雨「いい事を考えたよ...。提督を縛れば良いんだ」
作者「束縛!!やめろ時雨...その紐をどうする気だ!!」
時雨「安心して...ご飯は、僕が口移しであげるから...だから...今だけは身を委ねて...」タッタ
作者「え...やめ.....ぎゃぁぁぁぁぁ」
もう二度と作者を見たものは、居ないと言う...。
作者:農業好き提督/雪だるまより
1話から見ました!すごく面白いです!
まだ半分しか思い出してない竹筒を見て⋯思ったことは、完全に記憶を思い出してしまったらどうなるのか、とても楽しみになって来ました!あと鎮守府で艦娘0人は驚きましたが、後ほどどうなるか、そこも気になる所です!
あと更新頑張って下さいね!楽しみにしてます!
デイル:クラウンさんコメント有難うございます!
ここまで長く読んで頂き有難うございます!これからも更新頑張っていくので、楽しみに待ってて下さいね。
あと...外伝も作っています。この話が終われば、次は外伝に力を入れようと思いますので、気楽にお待ち下さいね...。
主人公 戦うシーン早くみたいでち
レブロンさん:コメントありがとうございます!!
近いうちに主人公が戦闘シーンを書くので、お待ち下さい。(この回ではなく...次の話しになるかも...しれん)
お帰りなさいませ。続きを楽しみにさせていただきます。
50AEPさんコメントありがとうございます
復帰したので、全力で頑張りたいと思います!
着任して間も無いのにいきなり凄いことになっててビックリしました!
続きが凄く気になるので更新頑張って下さい!
それとお帰りなさい!
7番さんコメントありがとうございます!
はい!!新たな話も考えているので、楽しみに待っててください!