2021-05-08 02:36:44 更新

概要

愛が重いにも程がある。




【鎮守府内 執務室前廊下】








提督「失礼しました…後はよろしくお願い致します…」





本来自分が居るはずの執務室に対し頭を下げた後、提督が出てきた。





白露「提督…」


提督「白露…」



廊下に出るとすぐに白露が駆け寄って来る。



提督「すまないな、そういう事だ」


白露「提督ぅ…ぐすっ…」



提督の少し諦めたような謝罪に白露が目に涙を浮かべる。



白露「白露が一番だって言ってくれたの…嘘だったの…?」


提督「…」



俯いた白露の目から涙が零れた。


提督は何も言えず黙って口を噤んでいる。



村雨「白露姉さんに近寄らないでよ!このロリコンっ!!」


 

そこへ2人の白露の姉妹艦がやって来る。


 

時雨「君には心底失望したよ…!これまで白露がどんな気持ちで支えてきたと思っているんだ!」


村雨「そんな気持ちを踏みにじるようなことして!恥ずかしくないの!?」


白露「ふ、二人ともやめて…」


提督「はは…弁解するつもりはないよ」


 

白露を庇うように前に立って責め始める二人に提督は苦笑いで返すことしかできなかった。

 


提督「みんな、元気でな」 


村雨「さっさと白露姉さんの視界から消えて!この強姦魔!」


時雨「二度と僕達の前に現れないで…!」


提督「わかったよ…」



提督は寂しそうにしながらもどこかさっぱりとした笑みを見せ、鎮守府を去っていった。










『海防艦強姦未遂の現行犯・着替えや入渠施設の盗撮』

















これが原因で彼は鎮守府を追放され








 


地方の辺境の地へと飛ばされることになった

















白露「提督…」










白露は去り行く彼の背を寂しく見つめていた。









____________________










 


事の発端は1週間前



提督は同じく海軍提督である弟の鎮守府に行っていた。



弟は海防艦を中心とした艦隊で、主に鎮守府周辺海域の敵潜水艦への対処を行う任務を任されていた。



そんな弟の鎮守府に何をしに行ったのかというと…




【弟の鎮守府 廊下】




大本営の役員達が用事のために訪れていて弟の執務室へと向かう途中…








『キャアアアアアァァァァァッッ!!!』







耳をつんざくような悲鳴が聞こえてきた。



役員A「な、何事だ!?」



役員達が悲鳴の聞こえた方へ足を走らせた。

悲鳴が聞こえたであろう部屋のドアを開ける。



そこには…






提督「げっ…」








鎮守府にある客間で






役員A「お、お前、何を…!?」






提督がベッドの上で海防艦・石垣を左手で押さえ付け






役員B「へ、変態野郎!」


役員C「捕まえろっ!!」






右手で自分のズボンを降ろそうとしているところを現行犯で捕まった。




話はそれだけではない。




提督は海防艦の着替えやパンチラ等の写真を弟に取らせたり、下着を集めさせたりしていた正真正銘の変態だったのだ。



海軍提督をクビにされてもおかしくないような所業ではあったのだが、慢性的に人手不足である海軍であったため、遠い辺境の地へと飛ばされることとなった。




その知らせを聞いた秘書艦・白露は悲しそうに涙を零し、静かに泣き続けたという。









【辺境の鎮守府】








提督「さて…」






遠い北の果てに辿り着いた提督は深く深呼吸をする。




以前居た都会とは違いとても空気が澄んでいて何度も深呼吸を繰り返した。








提督「行くか…!」








深呼吸を終えた提督はまっすぐ前を見て歩き始める。






その表情はとても鎮守府を追い出された人間だとは思えないほどにスッキリとしていた。











【鎮守府内 執務室】










あちこち痛みのありそうな鎮守府内


その中を修理する目論見をしながら提督は執務室に辿り着いた。



青葉「どうもー!青葉ですー!着任の一言をお願いします司令官!」


提督「…」



いきなりの青葉の出迎えに提督は思わず口を噤む。



青葉「そんな警戒しないで下さいよ!海防艦に手を出そうとした司令官だからと言って無理な取材はしませんから!」


提督「…」


青葉「な、何とか言って下さいよぉ!」



青葉の不審な行動に提督は注意深く観察しながら口を開かなかった。



伊14「そんなこと言ってさ、またゴシップネタで一儲けしようと企んでるんじゃないの?」


提督「儲ける?」


青葉「イヨさん!しーーー!しーーー!」



後ろからひょっこり現れた潜水艦伊14の言葉に提督が眉を顰める。




伊14「こんちわー提督、伊14だよ。よろしくぅ!」


提督「う…」




元気よく提督の近くに来て挨拶をする伊14に対し提督は思わず後ずさる。




彼女がとても酒臭かったせいだ。



手には一升瓶を持っており足取りもおぼつかない。


昼間っから飲んでいることが嫌でも理解できてしまう。


 


伊14「どうしたのー提督?もしかして私に見惚れてたー?ひっく…」


提督「…」

 


あまりの酒臭さに眩暈がしたのか提督は息を止めながら立ち上がり窓を開けた。


 

提督「うおおぉ!?」

 


窓を開けるといきなり何かが飛び込んでくる。


 

提督「艦載機…?」

 


飛び込んできた艦載機は執務室の机に着地する。


 

伊14「あー、瑞雲だー。ひっ…うぷ…」


青葉「相変わらずですねえ、日向さん」


提督「…?」



着地した瑞雲を見ると何か手紙のような物が取り付けられていた。


 


 


 


『着任おめでとう、記念に特別な瑞雲をやろう。 瑞雲教教祖・日向』


 


 


 


伊14「日向さんってば、また信者増やそうとしてるー」


青葉「あまりにも布教活動がうっとおしいから前の鎮守府を追い出されたんですよねえ」 


提督「…」




この鎮守府にまともな奴はいないのか…






提督はそう思い頭を抱えた。






___________________






青葉、伊14を一旦退室させて提督はこの鎮守府に置いてある資料を確認する。


その中にこの鎮守府の艦娘達の資料を見つけた。


現在この鎮守府に居る艦娘は4人。問題児ばかりで鎮守府を追い出されたらしい。


青葉はゴシップネタで提督を脅し金品を巻き上げたり雑誌社に売り渡したりしたため。 


伊14は重度のアルコール依存症で酒を飲むだけでなく周りの艦娘達にも飲ませようとする迷惑行為が度を過ぎたため。


日向は瑞雲を世に広めようと任務をっちのけで行っていたため。



提督「…」



見ると彼女達の戦歴は華々しく実力も申し分ない。


 


それなのに問題行動が足を引っ張り過ぎているため各鎮守府からの評価は最低だった。


勿体無いなと思いながら次の資料を見る。

  


この鎮守府に居る4人目の艦娘


 


 


 


 


長門「失礼する」


 


 


 


いきなりノックもせずにドアが開けられた。



長門「海防艦に手を出して鎮守府を追い出されたというのはお前か?」


提督「ああ。君は長門?」


長門「うむ…」

 


返事をしながら長門はそのまま机の前に近づき、机に身を乗り出し提督に急接近する。

 


何事かと提督は身を怯ませた。


 

 


長門「同士よ…!」


 


 


提督「は?」


 

長門は身を乗り出しながら提督の手をギュッと握る。


 

長門「わかる、わかるぞ!海防艦は可愛いよな!駆逐艦と良い勝負…いや、それ以上だ!あの儚げな彼女達につい手を出してしまうのは仕方ないよな!」


提督「何言って…」


長門「聞けばお前は駆逐艦達だけの鎮守府に居たらしいな!それだけでは我慢できなかったのだな?そうだな!?」


提督「おい…」


長門「安心しろ!私が秘書艦をしてやろう!お前が戻れるよう全力でサポートする!だからその時は…」



長門は頬を紅く染め、うるんだ瞳を見せる。


一見告白前の乙女の表情だが…


 


長門「その時は私も一緒に連れて行ってくれ…!」


提督「…」


 


 


 


ビッグセブンにも名を連ねる大戦艦長門


 


 


 


 


彼女は前の鎮守府で海防艦達の風呂場に侵入しスキンシップと称してセクハラ行為をしたため追放となったらしい


 


 


 


 


 


 


提督「長門」


長門「なんだ!?」


提督「一緒にしないでくれないか?」


長門「はははは、照れるな照れるな!そうだ、私の駆逐艦これくしょんを持ってきたぞ!一緒に見よう!」


提督「…」


 

この後、提督は長門の持ってきた小さな駆逐艦達の写った写真集を見るのに3時間も付き合わされた。


 


 


 


 


 



その後…


 


 


 


青葉に大本営のゴシップネタを餌に働かせたり


 

伊14の酒を隠して出撃させたり



日向に瑞雲教に入りそうな艦娘を紹介したり


 

長門のロリコン談議に付き合わされたりと忙しい毎日を送っていた。


 

キャラの濃すぎる艦娘達との付き合いに提督は毎日振り回されたりしていたが


 

どこか心の安らぐ毎日を過ごすことができていた。


 

前の鎮守府での出来事を忘れようとしている頃


 

彼女はやって来た…

 






【鎮守府内 執務室】


 


 


 


 


 


提督「し、白露…」


白露「提督…」


 


提督の前に現れたのは前の鎮守府で秘書艦をしていた白露だった。


 


提督「どうしてここが…」


白露「探すの大変だったよ?大本営も中々行き先教えてくれなくってさ…本当、苦労したよ」


長門「提督、彼女は?」


提督「前の鎮守府で俺の秘書艦をしていた駆逐艦だ…」


長門「駆逐艦…」

 


長門がジロジロと白露を見る。


どうやら本当に駆逐艦なのか疑っている様だった。


無理もない、白露は既に改二改装を終えていてそこらの軽巡、重巡よりも身体の発育具合がとても良いためだ。


 


提督「一体何の用だ、こんなところまで来て」


白露「提督…」


 

白露は提督に対し深々と頭を下げる。


 

白露「どうか…白露達の鎮守府に帰ってきて下さい…!」


 

そして提督に鎮守府に帰ってくるようお願いした。


 

提督「今更何を言って…」


白露「提督…あの強姦未遂は嘘だよね?」


提督「…」


長門「なん…だと…」

 


提督よりも長門の方が驚いていた。



提督「いいや、事実だ」


白露「そんなはずないよ…!だって私、提督の弟さんに聞いたもん!」


提督「…!!」


 

弟の名を出されて提督が身体をビクつかせる。

 


白露「提督…弟さんのために…」


提督「黙れ…」


長門「提督?」


提督「その事は一切口にするな…!」


白露「…」



提督の咎めるような声に白露は黙るしかなかった。

 


白露「提督…お願い、誤解はもう解けるんだよ?帰って来てよ…」


提督「ダメだ。俺はここを離れるわけにはいかない」


白露「提督…!っ…ぅ…」



頑なに戻ろうとしない提督に対し白露が涙を零す。

 


白露「お願い…だよ…。提督がいなくなって…新しい提督が来たんだけどね…」



顔を俯かせながら白露がポツポツと話し出す。


 

白露「新しい提督は酷い人だよ…みんなに無理強いをして…休みなんてくれなくって…傷だらけになっても修理してくれなくって…挙句に…!」


 

白露が泣きながら唇を噛み締める。



白露「挙句に…私の妹達に…手を…夜の御供だって言って…!」


長門「な、なんだとぉ!?」

 


白露の言葉に大きく反応を示したのは長門だった。

 


提督「…」

 


しかし提督は黙って何も言わない。

 


長門「こうしてはおれん!提督、行くぞ!」


白露「お願いだよ提督…!みんなを…妹達を助けて…!」


 


長門に促され、白露に再度お願いされる。

 


提督「何度も言うが俺は戻る気は無い」

 


それでも提督は動こうとしなかった。



提督「さっさと帰れ!いい加減にしないとお前の鎮守府に連絡を入れるぞっ!!」


白露「…!?」


長門「おい…!」


 


提督の言葉に白露は力無く項垂れて


 


白露「わかったよ…」


 


元気を無くしたまま執務室を出て行ってしまった。


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


長門「提督…!なんであんな…本当に放っておいていいのか!?」


 


怒りを露にする長門に対し提督は


 


提督「あんなものは全部嘘だ」


長門「なに…?」


 


 


 


冷静な顔つきのままそう答えた。


 


 


 


 

 





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