結衣「二次創作とかいうやつ、きっもちわるい」 京子「えっ」
SSを否定するSSとは
旧茶道部室にて。結衣と京子の二人だけ
結衣「京子さっきから何やってるの」
京子「ミラクるんの同人誌描いてる」
結衣「・・・・・・・。」
京子「ここの色を塗って.......っと、よし!このページ終わり!今回は結衣の助けを借りなくても大丈夫そうだ」
結衣「・・・あのさぁ・・・。」
京子「何?」
結衣「前から言おうと思ってたんだけど・・・。」
京子「うん?」
結衣「同人誌描くのもうやめたら?」
京子「えっ」
結衣「同人誌に限らず二次創作?ってやつ?きっもちわるいんだけど」
京子「ちょちょちょ結衣さん?いいいい今何て?」
結衣「同人誌とかSSとか、やってて恥ずかしくなんないのかなー」
京子「そんなことない!楽しいよ!」
結衣「じゃあさ、なんで京子は漫画を描くの?漫画家になりたいの?」
京子「まあそこまでは考えてないけど、趣味として・・・。」
結衣「じゃあ京子のオリジナルのキャラクターで描けばいいじゃん」
京子「それじゃ駄目なんだよ!ミラクるんじゃないと面白くないの?」
結衣「そこまでして劣化版を描きたいの?」
京子「!」
結衣「二次創作である限り、京子の漫画は公式の劣化版でしかないんだよ?例えミラクるん本編よりも面白い筋の漫画を描いたとしても」
京子「いや、その・・・。」
結衣「しかも同人誌でお金稼いでる人もいるっていうし。著作権料払ってるとかなら法的には問題ないんだろうけど、他人のキャラクターで稼ぐって漫画家としてプライドが無いのかねぇ」
京子「ちょっ、あっ、むっ・・・。」
結衣「あと、なんでもかんでも恋愛とかエロとかにしたがるやつ?ああいうの元の作品の品を下げるよねえ」
京子「結衣、それは・・・。」
その時、扉が開いてあかりとちなつが入ってくる
あかり「ごめーん、遅くなっちゃった、京子ちゃん、結衣ちゃん」
ちなつ「結衣せんぱーい」
結衣「やあ、こんにちは二人とも」
ちなつ「結衣先輩、今お茶淹れますねー」
結衣「ありがとう」
京子「・・・・・・・・・。」
*
翌日、生徒会室にて。京子、綾乃、千歳が話している
千歳「それで、昨日は船見さんに何も言い返せなかったと」
綾乃「だから今日生徒会室に逃げてきたのね」
京子「結衣に二次創作の素晴らしさを分かってもらうにはどうしたらいいか、二人にも考えて欲しいんだ!」
千歳「うーん、そう言われても・・・。」
綾乃「一番手っ取り早いのは、船見さんも同じ沼に落とすってことじゃないかしら」
京子「ほう」
綾乃「船見さんもミラクるん見たことあるのよねぇ?」
京子「そうか!結衣もミラクるん難民にしてしまえば!」
千歳「二次創作ものに手を出すかもねー」
京子「よしやってみる!二人ともありがとう!」
*
その日、結衣の家。結衣と京子がいる。
京子「お邪魔しまーす」
結衣「どうしたんだ、急に遊びに来たいなんて」
京子「ふふ、結衣にデレたくなったのさ」
結衣「はいはい」
京子「で、何して遊ぶ?」
結衣「・・・何しようか」
京子「特にしたいこと無いんだったら、ミラクるん最終回見ようぜー。DVD持ってきたんだ」
結衣「い、いいけど・・・。」
~再生中~
ミラクるん『みんな、1年間応援ありがとう!魔女っ娘ミラクるんはこれで終わりです!』
京子「はー、良い終わり方したねぇ、ミラクるんは」
結衣「ああ、面白いな」
京子「ミラクるんによって救われた地球は、あの後どうなったんだろう」
結衣「さ、さぁ・・・。みんな平和に暮らしてるんじゃないか?」
京子「ライバるんは何を思って生きてるんだろう?」
結衣「うーん・・・。」
京子「気にならないかい?」
結衣「気になるね」
京子「最終回の続きの世界を知りたくないかい?」
結衣「知りたいね」
京子「そんな夢を叶えてくれるのが同人s」結衣「公式にOVA出してくださいってお手紙書いてみるよ」
京子「・・・・・・・・・・。」
*
翌日、生徒会室にて。京子、綾乃、千歳が話している
千歳「で、駄目だったわけやねー」
京子「うう~絶対落ちると思ったんだけどな~」
綾乃「私・・・ちょっと思ったんだけど・・・怒らないでね?」
京子「なぁにぃ?」
綾乃「その・・・歳納京子から言うから船見さんも意地になって言うこと聞かないんじゃないかなぁって」
千歳「ほう」
綾乃「誰か別の、意外な人物から同人誌を勧められれば、船見さんの心も動くんじゃないかなぁって」
京子「なるほど、意外な人物か・・・。」
*
その日の放課後、ごらく部にて。いつもの四人が集っている
京子「突然だけど、ミラクるんとライバるんってどういう関係なんだろうな」
ちなつ「ふぇっ?うーん、ライバル?まあ、後に分かり合って友情が芽生えますけど」
京子「それはホントに友情なのかな?」
ちなつ「え?」
京子「ミラクるんの正義の心に感動したライバるん!その心には、友情を通り越して、もっと熱い愛が生まれたのであった!とか!」
京子(ちなちゅは百合属性!こういう話は好きなはず!)
ちなつ「かもしれませんね!」
京子(食いついてきた!)
京子「でも、ミラクるんは子供も見てるから、あんまり露骨な描写は出来なくて、そこら辺が曖昧になってるんだ」
ちなつ「えー、ちょっとそれって残念ですね」
結衣「・・・・・・・」
京子「でしょ!?でも大丈夫。ミラクるんとライバるんを扱った同人誌はいっぱい出てるんだ。これなんて、私の知り合いの作家さんが描いたやつだけど、すっごい面白いよ~」
結衣「・・・・・・・」
ちなつ「わー読んでみたいです!」
京子「だってさ、結・・・」
結衣「京子、そうやって想像を膨らませるのは確かに楽しいかもしれない。でもミラクるんはあの本編だけがミラクるんなんだ」
京子「・・・・・・・」
結衣「受け手のすべきことはあくまで作品の解釈だ。余計な二次創作は自分のいいように作品を変えてしまおうという破壊行為なんだ。」
京子「そんな・・・。」
結衣「それに第一、子供っぽいと思わないか?もっと現実を生きなよ。例えばちなつちゃん」
ちなつ「何ですか?」
結衣「絵師の描いた偽物のミラクるんの体と、私の体とどっちの方がいい?」
ちなつ「勿論結衣先輩です!」
結衣「こういうことさ、京子」
京子「そんな・・・子供っぽいって・・・。」
結衣「そうだよ、私らもう中学生も半ばなんだよ?高校生が、義務教育が終わる時が近づいてるんだよ?いい加減そういうのは卒業して・・・。」
京子「・・・馬鹿」
結衣「え?」
京子「結衣の馬鹿っ!(立ち上がる)」
京子、退室
あかり「あ~京子ちゃん怒っちゃったよぉ。どうするの結衣ちゃん」
結衣「ほっとけよ」
あかり「え~・・・。」
ちなつ(なんだかヤバい雰囲気になってるけど、もしかして私のせい?)
ちなつ(いやでも、京子先輩が消えれば結衣先輩を独占出来るぞきゃー)
結衣(ほっとけなんて言ったけど、ほっとけないなぁ・・・どうしよう・・・。)
*
翌日、生徒会室にて。結衣、綾乃、千歳が話している。
千歳「それで、船見さんは歳納さんと仲直りしたいんやな?」
結衣「うん。私が言い過ぎたんだ。どうやったら京子に許してもらえるか、二人に相談したくて・・・。」
綾乃「問題ないないナイアガラよ」
千歳「船見さんはどうして同人誌活動が嫌いなん?」
結衣「あのね、昨夜気持ちを整理したら、ようやく分かった」
結衣「私は京子が同人誌活動に励んでいるところを見ると、なんだか京子が私のことを見てくれてないような気になって、寂しくなるんだって」
綾乃「はぁ!?あなた同人誌に嫉妬してたのぉ?」
結衣「そういうことだね・・・。」
千歳「きっかけは結構可愛いことなんやね。でも、船見さんがやってしまったことは重大やで。なんてったって歳納さんの自己同一性を否定してまったんやから」
結衣「うん・・・。」
綾乃「こうなったら、解決法は一つしかないわね!」
結衣「な、なに・・・?」
綾乃「船見さんが同人誌を描くのよ!」
結衣「えっ」
千歳「そらぁええなぁ。船見さん、京子ちゃんが同人誌描くの手伝ったことあるくらいやから、絵心はあるんやろ?」
結衣「うーん、でも、同人誌かぁー・・・。」
綾乃「船見さん、頑張れ!」
結衣「分かった、やってみよう。二人ともありがとう!」
*
[旧茶道部室にて。結衣入室
結衣「京子ー!一昨日はあんなこと言ってごめん!お詫びといったら何だけど、私も同人誌を描いてみt・・・。」
室内には、京子が一人で座っていた。そして床には、京子が今まで描いてきた同人誌の数々が散乱していた
結衣「おっと壮観だ」
京子「結衣・・・私は今まで、こんなに同人誌を描いてきたんだね・・・。」
結衣「そうだよ!凄いじゃないか!一つのことにこんなに打ち込めるなんて!」
京子「偽物に・・・ね。よくこんなに描く気になったよ。今から思うと馬鹿馬鹿しい。昔の自分に呆れちゃうね」
結衣「えっ」
京子「結衣に言われて気づいたよ。自分の愚行に。」
結衣「京子・・・。」
京子「まったく黒歴史だよ。こんなのっ!」
京子がナイフを取り出す。
結衣「きょ、京子っ!何するの!」
京子「葬り去るんだ、私の偽物の漫画を!こんなトイレットペーパーにも劣るインクの染みの束を切り刻んで過去と訣別するんだ!」
結衣「やめろ!京子ォーーー!」
京子が同人誌群にナイフを降り下ろそうとするのを、結衣はナイフを取り上げることでやめさせようとした。だが京子と結衣の体がもつれた拍子に、京子のナイフが結衣の胸に刺さってしまった!
結衣「ぐはっ」
京子「あっ、結衣!」
結衣、倒れる
京子「結衣、どうして・・・。」
結衣「私は同人誌活動が幼稚な遊びなんて、本気で言ってた訳じゃないんだ・・・どうか、京子は、京子だけは、自分の好きなことに真っ直ぐでいられる人になってほしくて・・・。」
京子「そんな・・・でも・・・結衣は・・・。」
結衣「私は後悔してないよ。輝きを失った京子を見ながら生きていても、面白いことなんて無いからね。」
京子「結衣・・・。」
結衣「そうだ・・・私も昨日、ミラクるんの同人漫画を描いてみたんだ・・・ここで・・・読んでみてよ・・・私が・・・生きてるうちに・・・。」
京子「う、うん・・・。」(漫画を受け取り、読み始める)
結衣「ど、どうかな・・・。絵はそれなりに自信あるんだけど・・・ストーリーがちょっと・・・ガバガバかな・・・。」
京子「ううん。すっごい面白いよ。結衣は天才だね・・・。」
京子(ホントは涙で目がかすんでよく読めないんだけど・・・。)
結衣「そう、良かった・・・。」
京子「だから死なないでよ結衣!私と一緒にこれからも同人誌を描き続けてよ!」
結衣「それは・・・無理っぽい・・・だけど・・・安心しな・・・私と京子の・・・絆は残る・・・いつまでも・・・この・・・ごら・・・く・・・部に・・・。」
船見結衣、死亡
京子「ねえ結衣・・・ちょっと、目を開けてよ、結衣!結衣ぃーーーーーー!」]
*
結衣「という漫画を描いてみた」
京子「ミラクるんの同人誌じゃないのかよ!」
終
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