電ですが、鎮守府の空気が最悪なのです2 NAKA48編
1話 http://sstokosokuho.com/ss/read/2666
2話 http://sstokosokuho.com/ss/read/2672
3話 http://sstokosokuho.com/ss/read/2679
4話 http://sstokosokuho.com/ss/read/2734
5話 http://sstokosokuho.com/ss/read/2808
6話前編 http://sstokosokuho.com/ss/read/2948
6話中編 http://sstokosokuho.com/ss/read/2975
6話後編 http://sstokosokuho.com/ss/read/2977
那珂ちゃんのファンを辞めた人々に捧ぐ。
次はhttp://sstokosokuho.com/ss/read/2679
http://sstokosokuho.com/ss/read/2666の続編です。未読の方はこちらをお先に。
これの続きはhttp://sstokosokuho.com/ss/read/2679
大変ブラックな内容で、キャラ崩壊を起こしています。
えげつないセリフも多く、そういうのが嫌いな方にはオススメできません。
エグいのが好きな方はどうぞ。
あと、那珂ちゃんに対する誹謗中傷、および那珂ちゃんファンの皆様を大変不快にさせてしまう記述が見られることを、ここに心よりお詫び申し上げます。申し訳ございません。
那珂「やっほー! 艦隊のアイドル、那珂ちゃんだよー!」
電「初めまして、秘書艦の電です。それじゃ、お部屋に案内しますね。こちらです」
那珂「あれ、あっちじゃないの? 他の着任した子たちは向こうに案内されてたけど」
電「実は、那珂ちゃん専用のお部屋があるんです」
那珂「うそ!? それって期待されてるってこと? やったー! 那珂ちゃん、センター確定!」
那珂ちゃんは着任直後、みんなこうした反応を取ります。それがとてもとても辛いのです。
那珂ちゃん専用部屋があるのは事実です。期待されていたこともある意味本当です。
それは病んだ提督による、屈折した思いつきによって産まれた代物なのでした。
電「・・・・・・こちらです」
那珂「ここって・・・・・・うそ!?」
その部屋の表札には、「NAKA48」のきらびやかな文字が踊っていました。
那珂「これって・・・・・・本当に那珂ちゃん、艦隊のアイドルデビュー!? すっごーい、48人もメンバーがいるの? 那珂ちゃんはその中のセンター!?」
電「えっと、詳しくは中で説明しますね」
那珂「りょーかい! 初めましてー! 艦隊のトップアイドル那珂ちゃん、ただいま着任しま、し・・・・・・た・・・・・・?」
扉を開けた那珂ちゃんは凍りついてしまいました。
それもそのはずです。部屋の中には自分と同じ川内型3番艦、軽巡洋艦那珂ちゃんが6人もいたのですから。
6人の那珂ちゃんはまったく同じではありません。
うち5人はみな表情がうつろで、椅子に座ってぐったりとしていたり、部屋の隅で膝を抱えて丸まっていたりしていて、動く気配がありません。
そして1人だけ表情の明るい那珂ちゃんが、入ってきた私達を見て嬉しそうに駆け寄ってきました。
那珂壱号「やっほー! 新しい那珂ちゃんだね? よっろしくー!」
那珂「え、えっと・・・・・・え?」
那珂壱号「うーんとね、あなたは・・・・・・拾八号! これからは拾八号ちゃんって呼ぶね! それじゃあ、そこら辺で適当にしてて!」
那珂拾八「あ、あの、どういうことですか? 拾八号って何なんですか?」
那珂壱号「あなたは18人目ってことだよー!」
那珂拾八「・・・・・・あっ」
那珂ちゃん(18人目)は事態を悟り、愕然としました。
そうです。ここはアイドルの控室などではありません。この部屋は、那珂ちゃん専用の流刑地なのです。
あるところに、合成や解体で艦娘を消すのは可哀想だと考える、心優しい新人提督さんがいました。
ですが、戦艦や空母が欲しくて建造、ドロップ狙いの出撃を繰り返すうちに、鎮守府には同名鑑が幾人も増えていきます。
特に、那珂ちゃんは大量に出ました。
軽巡自体が珍しかった最初期こそ喜んで艦隊に加えていましたが、戦艦が台頭してくる頃にはただの悪夢でしかありません。
10人目の那加ちゃんが鎮守府に着任した時、提督さんはうつろな笑みを浮かべながらこう言いました。
提督「そうだ。那珂ちゃんを48人集めてNAKA48を作ろう」
そうして提督さんの那珂ちゃん集めが始まりました。那珂ちゃんが出るたびに漏らしていた溜息は、一時的に歓喜の奇声へと変わります。
13人目の那珂ちゃんはなけなしの物資を投入した、空母狙いの建造で出ました。そのときに提督さんは短い夢から覚めたそうです。
那珂拾八「あの・・・・・・那珂ちゃん、どうなるんですか?」
電「言いにくいんですが・・・・・・ごめんなさい。ほかの5人の那珂ちゃんと一緒に、今日で解体が決まっているのです」
那珂拾八「そ・・・・・・そんな・・・・・・」
那珂壱号「そっか、ようやくって感じだね! 拾八号ちゃん、はじめまして&さよーならー!」
夢から覚めた提督さんは、非情な合理主義者に変貌していました。
提督「ダブった艦娘はすべて解体しろ。那珂ちゃんも例外ではない。すべてだ」
そう言い放ち、大量にいた同名鑑の一斉解体が始まりました。合成、解体を嫌った心優しい提督さんはもう、どこにもいません。
鎮守府の30人近い艦娘を解体するその様は、さながら地獄絵図のようです。
5人くらいいてにゃーにゃーと鳴き合い、まるで猫カフェの様相を呈していた多摩さんも1人になり、それ以来、彼女はめっきり無口になりました。
当然、那珂ちゃんたちも解体されました。しかし、あまりに数が多すぎたため、提督さんは途中で面倒になってしまったようです。
このうつろな目をした5人の那珂ちゃんは、そうして大した理由もなく解体を免れました。
彼女たちは、提督さんがふと思いついたポエムを走り書きし、直後に我に返って捨ててしまったノート紙の切れ端のようなもの。
いわば、残りカスなのです。
那珂拾八「そんな・・・・・・! 那珂ちゃんたち、みんな解体されちゃうの!?」
電「えっと、みんなではないのです。あの那珂ちゃんは1人目なので、解体されることはありません」
那珂壱号「そうっ! 那珂ちゃんだけがセンター!」
那珂拾八「ちゃ、チャンスをください! 那珂ちゃんだって、役に立つんだってことをアピールするチャンスを・・・・・・」
電「あの・・・・・・ごめんなさい。決まったことなので・・・・・・そういうわけで、壱号さん以外の方、集まってください」
そう呼びかけると、動く気配のなかった5人の那珂ちゃんたちはゆっくりと起き上がり、幽鬼のような足取りでこちらへ向かってきます。
ずっと放置されていたせいか、動くことも辛そうです。
でも、その表情はうつろではなくなっていました。それは、まるで救われたかのような、穏やかで・・・・・・それでいて寂しい笑顔でした。
電「それでは、ついてきてください。あ、それから壱号さん。この部屋は倉庫に改築するそうなので、荷物を引き払っておいてください」
那珂壱号「はいはーい! それじゃ、九号ちゃん、拾弐号ちゃん、拾参号ちゃん、拾六号ちゃん、拾七号ちゃん、それから拾八号ちゃん。さよーならー!」
那珂拾八「うっ、うっ・・・・・・やだよぅ、解体されたくないよぅ。歌ったり、踊ったりしたかったよぅ・・・・・・」
那珂壱号「あなたの分まで那珂ちゃんがやったげる! やったー! これで那珂ちゃんは1人だー!」
那珂壱号「もう壱号なんて呼ばれることもないぞー! また同名鑑が来たら、自分で解体してやろーっと!」
部屋にたった一人取り残され、壱号さんは嬉しそうにはしゃぎ回っていました。
鎮守府に同名鑑の解体という嵐が吹き荒れていた、あの頃。
唯一生き残ることが約束された那珂壱号さんは、次々と解体される自分を、解体すらされずに放置される自分を見て、何を思っていたのでしょうか。
5人の那珂ちゃんは、自分が無用の存在だと知ったことにより、心を捨てて生きる屍と化しました。
ただ1人特別だった那珂壱号さんも、あるいは・・・・・・あの解体の嵐の中で、心を壊してしまっていたのかもしれません。
那珂拾八「うっ、ぐすっ・・・・・・」
那珂ちゃん(18人目)は、もう何も言いません。自分の運命を悟ってしまったのでしょう。
着任した時は、あんなに楽しそうだったのに・・・・・・それは、ほかの5人の那珂ちゃんにも言えることです。
ダブった艦娘同士が嬉しそうに話す姿を見て、微笑んでいた頃の提督さんのことが頭によぎりました。
もう、あのころの提督さんには戻ってくれないんでしょうか・・・・・・?
電「・・・・・・着きました。この扉の向こうです」
鎮守府の最奥、「解体室」と書かれた、大きな鉄の扉の前に私達はやって来ました。
この扉の向こうに行って、戻って来た艦娘は・・・・・・1人もいません。
私が触れると、扉は鈍く大きな軋みを上げながら、ゆっくりと開いていきました。
その向こうは真っ暗で、何一つ見通すことはできません。私自身、この中のことはほとんど知らないのです。
電「それでは、奥に進んでください。中に妖精さんがいるそうなので、その子たちの指示に従ってください」
那珂拾八「はい・・・・・・それじゃ、短い間だったけど、さようなら。電ちゃん」
寂しく微笑んで、那珂(18人目)ちゃんは、ほかの那珂ちゃんと一緒に扉の奥へ進みます。
奥へ。奥へ。那珂ちゃんたちのシルエットは徐々にぼやけ、まるで闇に飲み込まれていくかのようでした。
私はその後ろ姿をずっと見つめていました。その脳裏には、さっきの寂しそうな笑顔がこびりついて離れません。
ぎゅうっと胸が締め付けられるように苦しくなって、私は耐え切れずに叫びました。
電「あ・・・・・・あのっ!」
突然大声を上げた私を、那珂(18人目)ちゃんだけが振り返ります。
その表情は、すでに周りの那珂ちゃんと同じ・・・・・・うつろなものに変わっていました。
那珂拾八「・・・・・・なに?」
電「あの、その・・・・・・」
電「私・・・・・・もしも那珂ちゃんが生まれ変わって、アイドルデビューしたら・・・・・・」
電「絶対、見に行きますから! 那珂ちゃんのライブ、楽しみにしてます!」
私の言葉は、どれだけ那珂ちゃんに届いたのでしょうか。
那珂ちゃんは少しだけ呆気に取られて、それから・・・・・・今日一番の笑顔で、私に手を振りました。
那珂拾八「・・・・・・うん! 次はステージで会おうね! 那珂ちゃんのライブ、よっろしくー!」
それはまるで、アイドルのような―――太陽みたいに、眩しい笑顔でした。
那珂ちゃんたちは闇に消え、再び軋みを上げながら鉄の扉が閉まります。もう、二度と開いてほしくありません。
電「・・・・・・きっと、これでよかったのです」
どうか、次はアイドルに生まれ変われますように。そっと祈りを捧げました。
もう少し感傷に浸っていたいのですが、そうもしていられません。
まだハッピーラッキー艦隊の補給は完了していないのです。那珂ちゃんたちの解体で、少しは燃料が増えたはずなのですが。
確認のため、工廠へと向かいます。悲しむヒマもないくらい、秘書艦のお仕事はとても忙しいのです。
できれば、そろそろ・・・・・・お休みが欲しいのです。
続く
ご意見、ご感想をお待ちしています。
悲しい...悲しすぎる
。゚(゚´Д`゚)゚。
那珂ァァァ!
俺、かんこれ初めて数ヶ月、何度も何度も建造してるのに、那珂一人しか出会ったことないよぉ...
byニシキゴイ
ガタガタガタガタ(震え)
↑マジでNAKA48作って
一号以外解体した人