八幡「全て腐ってるようにしか見えなくなってしまった」
少しキャラが変わっている場合があります
別ルート
結衣「全て曇ってるようにしか見えなくなっちゃった」未完
https://sstokosokuho.com/ss/read/20982
八幡『今の現状を報告しよう、俺は病院で入院中だ、なのに点滴や輸血もされていない。
ゆういつされていることと言えば、目隠しの包帯程度だろう。
今まで腐った目とか言われ続けてきたが、とうとう見えるもの腐ったようだ…………
そう………俺は今視界には入る物が腐って見えるのだ……』
さかのぼる事今から一週間ほど前になる
それは丁度、その日せは部活が無くて俺はボッチなので友達から「カラオケ行こうぜ!」とか「飯食いに行かない?」とか誘われること無く、そもそも友達がいないから、その問題は発生しないのだが………
本来なら速攻で自宅に帰るところだったのだが愛する妹から買い出しを頼まれていたので付近のスーパーに寄ることになっていた
頼まれていた商品を買い終え、駐輪場に向かっているところだった………
P.M 17:00 一週間前 スーパー前
八幡「さて、買うものは買ったしさっさと帰るか、おぉ寒い寒い」
12月のこの真冬の夕方、心底寒いこの時期
ここ千葉県の最高気温が7度という、鼻水がたれそうだ、そんな中歩道に見覚えのある人物が歩いていた
「さーちゃん…さーちゃん…どこいるのぉ…」ポロポロ
八幡『あれは確か、川なんとか……えーとそうだそうだ川崎の妹の京華ちゃんだった、ここにいるってことはアイツもいるはずだろうけど、どうやら迷子になったみたいだな……アイツもう少し妹に気を配ってやれよな、泣いちゃってるじゃねぇかよ』
京華「うぅ………あっ、はーちゃんだ!!」
八幡『あ、俺に気付いたみたいだな』
八幡「おぉ、けーちゃんお久し振り。どうかしたの?」
京華「さーちゃんとはぐれちゃったの……」ウルウル
やはりそんな事だろうと思っていた、しかしこの流れは俺が川崎を探すの手伝わないといけない流れである、ここで普通に交番に届けてサヨウナラでも良かったのだが、小町が幼い時といいどうやら自分は子供の涙に弱いらしい
八幡「そうなんだ、よし俺と一緒に戻って捜してみるか!」
八幡『選択肢は一つしか無いわけだし…はぁ』
京華「そっちにはいないよ、けーかがきたのそっち」
京華は俺の袖を引っ張り、モールの方に指を指す。どうやらスーパーでは無くて規模の大きいモールから流れてここまで来たらしい
八幡『えっ、モールの方かよ…こりゃあ手が掛かるな』
八幡「そっか、ともあれ一緒に探そうな!!」
京華「うん」
八幡「あ、そうだドーナツいるか?」
京華「けーかドーナツだいすきー!!」キャッキャッ!
八幡「一つあげるよ、俺買いすぎちゃったんだ」
八幡『もちろん買いすぎたなんて嘘だけどな、子供は単純でお菓子とか甘いものをあげると、機嫌が良くなるもので小町が京華ちゃんと同じ年頃の時は良くあげたものである。それに、少しでも機嫌を直してもらわないと追放されかねん……それだけはごめんだ。』
京華「はーちゃん!ありがとー!」
八幡「いえいえ、早く川崎を見付けような」
京華「かわさきじゃなくてさーちゃんだよ」
八幡「え、さ、さーちゃんを見付けような」
京華「うん!!」
最初の時と比べるとご機嫌が良くなっている見たいで、俺はため息をついた
八幡『結構落ち着いて来たみたいだな、よかったよかった………ん?』
〈ケーチャンー!ケーチャンー!!ドコニイルノー!!!
八幡『結構離れているけど、川崎だよな……よかった問題は解決したな』
八幡「けーちゃん、さーちゃん見付けたよ、ほらあそこ」指を指す
京華「あっ!さーちゃんだ!!」ダッ
八幡「お、おい!そんなに走るなって!」
あの時、もっと違う選択をしていればこんなことにはならなかっただろう
もっと近付いてから言えばよかったのだ………
ブゥオオオオオオ!!
居眠り運転だろうか蛇行して走行している大型トレーラーがこちらに向かって走ってきていた
信号を知らないのか、減速の動きを全くせずそのままである
八幡『まじかよ、この感じゲームや漫画の世界だと事故を起こすフラグ立っちゃってるじゃん
こんな時巻き込まれるのは京華ちゃんだ、こんな光景なんてみたくないんだ、だったらやることは一つ』
八幡「けーちゃん危ない!」ギュッ!
京華「キャッ!!!」
ブゥオオオオオオ!!!!ギィイイイイン!!!
丁度1~2メートルの前方を大型トレーラーが横切り、ガソリンスタンドに突っ込んだ
俺達はギリギリのところ引かれることなく済んだのだが
八幡「グハッ!!?」ガンッ!!
後先の事を考えていなかった俺は、けーちゃんを抱き抱えたまま、後頭部からアスファルトの地面に倒れてしまった
八幡『くそ……頭打ったせいで視界がぼやけて見える…それに体が動かねぇ……へんな音が頭から聞こえるし』
京華「はーちゃん!!はーちゃん!!」ポロポロ
京華ちゃんは泣きながら俺の体が一生懸命に揺さぶる、彼女の大粒の涙が顔に落ちるのがわかった
八幡「あぁけーちゃん、大丈夫だったか?」
京華「けーかはだいじょうぶ!でもはーちゃんのあたまからあかいしるが………」
八幡「無事でよかったよ、俺の事は心配しなくていいんだ……」
モァモァモァ
さっきのトレーラーから黒煙が噴出し始めていた、因みに突っ込んだガソリンスタンドから俺たちの距離は10メール程である
八幡『なんだ、この焦げ臭い匂い……まさか!ガソリンスタンドからか!まずいことになった!』
八幡「……けーちゃん、さーちゃんがいた方向に向かって走るんだ」
京華「でもはーちゃんが…………」ポロポロ
八幡「俺の事は気にしなくて良いから、言うことを聞いたらまたドーナツをあげるからさ」
京華「いやだ!はーちゃんといっしょにいく!」ポロポロ
八幡「早く行け!!!京華!!」ギロッ
京華「ヒィッ!?う、うん」ダッ!
京華は思わず言われた通りに、川崎のいた方向に走り出した。
彼女がある程度まで走り切ると、もう黒煙は道路先を隠す程にまで噴出していた
八幡『もう火もあがってきているじゃねぇか、体が思った通り動いてくれないし、俺もう死ぬのか……はぁ最後くらい妹の顔が見たかった』
ドッカァァァァァンンンン!!!!
俺の意識はここで無くなってしまった
…………………………………………………………………………………
川崎視点
川崎「けーちゃん!!けーちゃん!!何処にいるのー!!!」
川崎『私がしたことが、海老名のメールを返信していた為に京華を目から離してしまっていた!』
恐らく私は顔色が変わるほど、探し回っていたそしてモールから外に出て付近を探索している時だった
〈サーチャン!!!
川崎「京華!!この声は間違いない!けーちゃん!!」
京華の声がしたスーパーに向かって走り出していた、その時だった
私の横の車道に大型トレーラーが横切った、それも結構の速度で
ブゥオオオオオオ キィイイイイイイン!! ドッコォォォン!
大型トレーラーが京華がこの近くに、いたであろうガソリンスタンドに突っ込んで行った
川崎「うそよ……そんなの嘘よ………」
私は最悪事態を予想した、そして頭の中が真っ白になっていくのを感じた
その追い討ちをかけるかのようにトレーラーは火をあげていき
ドッカァァァァァンンンン!!!!
川崎「けーちゃん!!!!!!!!」
ガソリンに引火したのか爆発を起こした、もうだめかと頭の中に横切った、しかし今の爆風の影響で煙が吹き飛び視界が広がった
そして間一髪で助かったのか尻餅をついている京華の姿があった、私は全速力で走り駆けつけて抱きついた
川崎「けーちゃん!!!!!!!!よかった!!怪我はない!?」ダキッ
京華「…………」ポケー
川崎「けーちゃん!!大丈夫!?」
川崎『見た感じ怪我は無いから、なにも無いよね…………』
京華「さーちゃん…けーか、なにをしてたっけ?………あっ!けがはないよ!」
川崎「よかった!!無事で!でも心配だから病院に行こうね」ポロポロ
…………………………………………………………………………………
それから約一時間後 P.M 7:20 病院 八幡サイド
小町「お兄ちゃん!!先生!!お兄ちゃんは!!」ポロポロ
結衣「ヒッキーは!?無事なの!!」
雪乃「事故に巻き込まれたって聞いて駆けつけ来たのだけれど」
平塚「先生、私は教員の平塚です、アイツの様態の程は!」
医師「外傷は後頭部の頭蓋骨にひびが入りましたが脳内出血の心配はありません」
結衣「よかった…………」ハァ
平塚「ところで小町ちゃん、両親の方々は?」
小町「仕事場の都合上、急遽こちらにむかってるみたいですけれど、一時間は掛かるみたいです」
雪乃「安心するのは早いわ由比ヶ浜さん、先生他に問題はあります?」
医師「実はここから重要でね、彼の頭蓋骨内部で脳が衝撃を受けて脳本体に損傷を生じる、いわゆる脳挫傷を起こしていましてね、今のところは脳内出血の心配はありませんが今後頻繁に起こる可能性だってありまして、嘔吐・意識障害・運動知覚麻痺・痙攣発作・視野の欠損などの症状が起きる可能性があり、最悪昏睡状態になるかと…………」
小町「そ、そんな………お兄ちゃん、嘘でしょ…………」ガタッ
ショックの余りに、膝を落とす小町……
結衣「ヒッキー、大丈夫だよね?ヒッキーだもん絶対そんなことないもん」ポロポロ
突然の事に現実を受け入れられない由比ヶ浜…
雪乃「先生!手術はしているですよね!?どうなのですか!」
気が動転して、普段からは考えられない程に怒鳴る雪ノ下…………
平塚「雪ノ下!落ち着きたまえ!頭の中は複雑で精密なのだ!手術が出来ない事ぐらい分かっているだろ!由比ヶ浜も気を確かにするんだ!」
生徒の混乱にフォローを入れる平塚先生…………
医師「損傷範囲が広い場合が多いうえに、神経細胞の分裂能は極めて低いので原則的に手術などは適さず、保存的治療となります。どうなるかはわかりませんが、運動神経や記憶や言語など後遺症が残ることは覚悟してください」
小町「先生!お兄ちゃんに会わしてください!お願いします!」
医師の白衣にガッツリ掴み、頼み込む小町
しかし、先生は速答に
医師「それは無理です、一番安静にしてもらわないといけない時なのです、頭に響くようなことは極力避けなければいけません…………」
と、言い放った
雪乃「仕方がありません、ここは一旦退きましょう」
小町「…………お兄ちゃん、ごめんなさい」ポロポロ
雪乃「どうして貴女が謝るの?謝るのはドライバーの運転手でしょ?とは、言っても運転手も即死だったらしいけど」
八幡が事故にあってから、救急車にタンカーで乗せ輸送中、救急隊員が制服と生徒手帳で総武高校の生徒であることと名前を知った事もあり、生徒手帳から学校の電話番号を確認し報告をしたという経緯がある
その時にドライバーの即死も伝えられた
平塚「雪ノ下、二人を頼めるか?私は病院の入院の手続きをしなければならない」
雪乃「わかりました、外で待っています」
雪ノ下が二人の背中を優しく撫でながらこの場を後にする
平塚「…………先生、事実を全て話してください彼女らの前でしたので、控えていたのですよね?」
平塚は目付きを変え、医師を見詰める
医師「………実は彼…さっきの報告より酷く重症です、同じ箇所に二回も強く打っているですよね…おそらく一回目は立ちくらみ程の物ですが二回目は爆発で吹き飛ばされているので損傷が激しいです、もしかしたら第五感に障害が残るかもしれない、それに時間差で襲ってくるかと…………」
平塚「そんな…………仮に昏睡状態が解けそれで比企谷が学校に通えるようになるのは?」
医師「彼の状態に寄るけれど、早くて恐らく一ヶ月程かと……それは悪魔で植物状態になっていなければの話ですが」
平塚「学校には私から報告します、それとどうか比企谷八幡をよろしくお願いします」
医師「残念ながら私どもには手が負えない………ですから大学病院に移動となります」
平塚「そうですか………」
医師「医療費は加害者の遺族に行くようになってるみたいですので、心配することはないでしょう」
一方で市内の病院では 川崎サイド
川崎「で、京華はどこも異常はありませんでしたか?」
医師「えぇ、どこも問題ありませんね、ただ」
川崎「ただ?」
医師「京華ちゃんの訴え通りに考えてみると、やはりあれだけの爆発だったのですから、ショックでその時間帯の記憶が一時的ではありますが無くなってしまったのでしょう、心配することはありませんよ、脳に障害があるとか全くありませんのでご心配なく」
川崎「よかったぁ……」
医師「それと、先程警察から電話があったのですが京華ちゃんが今着用している上着を鑑識に回したいと」
川崎「なぜ京華の上着なのでしょうか?」
医師「恐らく事故の検証に必要とかじゃないかな?」
川崎「はぁなるほど……それなら別に構いませんが」
医師「入り口にパトカーが停まっている見たいですので、乗車して送ってもらってください」
川崎「なぜ警察がここまでしてくれるのですか?」
医師「出来るだけ早く押収したいのでしょう、まぁ京華ちゃんもお寝むみたいだし、ここは警察に任せてみては?」
川崎「そういうことでしたら、お言葉に甘えて」
京華「…………はーちゃん」ムニャムニャ
川崎自宅にて P.M 21:00
私は警察に京華の上着を渡した後、夕食などの片付けにおわれていた
なにも、家事なんていつもと変わらない日常である
大志「お姉ちゃん、これって今日のあの事故じゃん!?」
大志がテレビの音量を上げる、私も気になっていたのでリビングに戻ってテレビを確認する
テレビには千葉放送から中継で今日の事故現場を報道していた
現場には警察が黄色のテープのkeep outが貼られており立ち入り禁止になっており周りには報道陣が群がっていた
「今回の事故で総武高校の生徒一名が意識不明の重傷、大型トレーラーの運転手はガソリンスタンドの引火により死亡が確認されました。警察は運転手の所属会社に不備がなかったか家宅捜索に入る見通しです」
大志「その高校ってお姉ちゃんの学校じゃん!何か聞いてないの?」
川崎「何も聞いてないよ、被害者には悪いけど私には関係ないし」
大志「そりゃあそうか、それにお姉ちゃんボッチだから聞いた時点で間違えてたよ」
川崎「うるっさい!そんな事言っている暇があったら受験勉強しなさい!!」
大志「ハイハイー」
川崎「ハイは一回!……全く」
テレビの電源を消して、台所に戻ろうとしたのだが
京華「さーちゃん!」
川崎「ん?どーしたの?」
京華「けーか、きょうドーナツってたべたっけ?」
川崎「うんうん、今日のおやつはクッキーだったでしょ?」
京華「ちがうのおかしのじかんじゃなくて、きおくがないときにドーナツをたべたきがするの」
川崎「え?そんな私ドーナツなんてあげてないよ」
京華「うーん、きのせいかなー?」
川崎『言われてみれば、あの時口の回りにそれっぽい食べかすがついてた気がする』
川崎「今日は疲れたでしょ?もう寝ようか?」
京華「うーん、そうするー」
川崎『ん?まてよ…京華の言ってた事が正しかったとしたら、迷子になっていた時に誰かと一緒にいたってことよね……京華はこうして無事だけれど、気になるわね………』
…………………………………………………………………………………
次の日 A.M 8:20 教室
戸塚「由比ヶ浜さんー、今日八幡は来てないの?」
結衣「え、やっはろーさいちゃん!今日ヒッキーはどうやら風邪をこじらしたみたいだよ」
やけに挙動不審な由比ヶ浜、そんな彼女に唯さえ勘のいい戸塚は気付かない訳がなく
戸塚「あれ?あの八幡が由比ヶ浜さんに態々休む理由を教えるとは思わないんだけれど?」
結衣「ギクッ」!?
戸塚「どうしてそんな、バレハレの嘘をついたの?」
結衣「………さいちゃんだから、おしえるね、実は…」
戸塚「……そんな、八幡が……まさかあの事故の被害者だなんて……」
結衣「この事は誰にも言わないであげてほしいんだ」
戸塚「わかったよ…八幡の事だから変な噂をたてられて人目がつきやすくなったら引きこもりになりかねないからだよね」
結衣「さいちゃん!ヒッキーは引きこもりじゃないからね!!?」
戸塚「ハハッ わかってるよ、でも八幡の性格じゃあり得なくはないでしょ?」
結衣「ハッ!た、たしかに!」
戸塚「明日なら土曜日で、部活も昼までだからお見舞に行けるけど病院の場所は?」
結衣「えーと、たしか大学病院に引き渡されたって言ってたよ」
戸塚「大学病院に言っても沢山あるよ……」
結衣「そ、そーだね!えーと確か一番近い大学病院って言ってたからー」
戸塚「あ、わかったからいいよ、ありがとう由比ヶ浜さん事実を教えてくれて」
結衣「う、うん!」
放課後 奉仕部 PM5:30
結衣「ねぇ、ゆきのん?」
雪乃「なにかしら?」
結衣「やっぱりヒッキーが居ないと寂しいね…」
雪乃「まぁ空気のような存在で、腐った目をしてる彼だけれど、いざ居なくなると………わからないものね」
結衣「ゆきのん…こんなときに強気になっても意味がないよ……正直になろうよ、小説だってさっきからいっこうにページが進んでないもの」
雪乃「……別に強がっているわけでは」
バンッ!!ドアが勢いよく開かれる
空気の読めない破天荒な客は、よりその場の空気を悪くする
一色「せぇんぱぁいー!!お邪魔しにきましたぁー!!……って先輩は?」
雪乃「今日はいないわよ、彼目当てなら帰ってくれる?」
結衣「まぁまぁゆきのん、いいよお茶くらい出すよ!」
一色「あ、いや大丈夫ですよ由比ヶ浜先輩、私は先輩に今週の日曜日に買い物を誘いに来ただけですから」
結衣「あれ?そうだったの?」
一色「そうですよ、それに先輩に昨日の夜にメールしても出てくれないし電話もしたのに出てくれないんですよ!」
結衣「!?」
雪乃「それって貴女がしつこいからでしょう」
一色「酷いですよ~雪ノ下先輩、まるで私がストーカーみたいじゃないですかぁ♪」
雪乃「悪いけれど今機嫌が悪いの、邪魔をするなら出ていって貰える?それにそのような性格が彼と貴女を引き離していることに気付くべきね」ギロッ
結衣「ゆ、ゆきのん…………」アタフタ
一色「まぁ言われなくとも出ていきますよ、お邪魔しました~、それとですけれど雪ノ下先輩の何時も先輩に罵倒しているみたいですけれど、確か腐った目とかでしたっけ?その目が仮に本当に腐ってしまったら責任とれるのですか?」
雪乃「ッ!?」ビクッ
一色「では、また会いましょう♪」ピシャ!
…………………………………………
結衣「ゆきのん…今日はどうしちゃったの?…何時ものゆきのんじゃないみたい…」
雪乃「そうかしら?」
結衣「そうだよ!だってゆきのん!眉間にしわがよってるもん」
雪乃「それって何時もと違うと言えるのかしら?」
結衣「そ、それは…でも!説明出来ないけれど何時ものとゆきのんじゃない!」
雪乃「…………まぁ確かに今日は、何事もにも集中出来てないのは確かね」
結衣「自覚はあるんだ!」
雪乃「………はぁ、彼がいないと余計に疲れる気がするわ」
一方、大学病院 雪乃視点PM 7:00
私は、部活動が終わった後に彼が入院した大学病院に行くことにした
悪魔で行き方の確認する事が目的であった、今彼に会わして欲しいと訴えても面会許可なんて降りるわけが無いのだが、自然に足が勝手に大学病院の中に運んでいた
雪乃『来てしまった…どうせなら彼の様態だけ聞いて帰ろう』
しかし、受付には嫌って程見たことある人物が立っていた
陽乃「やっはろーって言いたいところだけど、やっぱりまだお見舞は無理みたいだね、比企谷くん…しっかり雪乃ちゃんを貰ってくれないと許さないわよ……あ、因み私でも良いのだけれどね」
雪乃「姉さん……なにしているの」
陽乃「やっはろー雪乃ちゃん!話は聞いたわ、脳挫傷なのでしょ?比企谷くん」
雪乃「そう……彼はまだ昏睡状態のまま、そのまま植物状態になる可能性も、というかそもそも何で姉さんがこの事を知っているのよ……」
陽乃「気にしたら負けよ、でも確かに心配なのは分かるけどね、雪乃ちゃんはそれでいいのかしら?」
雪乃「え?」
陽乃「ここはポイントを稼ぐ期間でもあるのよ、彼が目が覚めてから喜ぶようなサプライズを考える期間ね、それでは私は戻るから~」
雪乃「…………姉さん」
…………………………………………………………………………………
八幡視線 AM 2:30 病室
八幡「ぁあ、なんだぁ…」
八幡『ここは、病室か……俺は確か京華ちゃんを助けてそれから………くそっ!後頭部から頭痛が!』
余りにも痛みからか、まぶたを塞いでしまった
頭痛が引き始め重たく閉じたまぶたを開いた
しかし、そこに広がっていたのは全く違う景色だった
八幡「んあ、いてて………」
八幡「ぎぃゃぁぁぁぁぁあああ!!!!!」
八幡『何だよこれ!?お、おい嘘だろ?壁や床も、それだけじゃない!ベットだって棚だって全てのものが異常な姿で見える!まるで肉塊のような姿形で豚の臓物をぶちまけて塗りたくった様な!なんだよこれ……そうだこれは幻覚なんだ……とうとう俺の目が本当に腐り始めただけ…………って、それも嫌なんだけどな』
俺は今見えている物は全て幻覚で、きっと悪い夢なんだと思って割り切った
しかし、いざその肉塊を触ってみると
ベチャ…………
八幡「なんだってんだよ……」
八幡『嘘だろ……幻覚じゃねぇのかよ…触れた感触ですら尋常ではなくなってるじゃねぇか…………』
〈比企谷さん!意識がお戻りになったのですか?
八幡「た、助けれください…………」
そうだこれは夢だ、悪い夢なんだ……そして俺は、意識が戻って現実に戻るんだ…………
試しに自分の顔を引っ張ってみる
八幡「クソ……いてぇじゃねぇか…………」
八幡『気がおかしくなりそうだ………そうだ人は普通だよな…』
普通なものが肉塊に見えるのに人だけが普通な訳がない、ただもしかしたという希望を抱いていた
「大丈夫ですか!?」ピシャ! ドアを開ける
八幡「ヒィッ!?ば、化物!!」
「はい?化物?」
八幡「ちくしょぉお!!人も!おぞましい肉塊なのかよ!!死ね!!化物がぁ!!」
混乱した俺は箒を掴みとり、目の前にいる化物に対して振り上げる
その化物はかわし続ける
「お、落ち着いてください!一度楽に!」
八幡「ふざけるな!!認めねぇぞ!そんなこと」
俺は気が動転した勢いで、壁や棚に対してひたすら箒の棒で叩き付ける
八幡「俺がぁ!!何をしたってんだ!!」
「誰か来てください!!緊急事態です!」
八幡「俺に何をしやがった!!元に戻しやがれ!!」
理性なんてあったもんじゃない、俺は散々暴れまわり勢いで病室を出た
道中で患者や看護師や全ての人が、肉塊で目玉が何個もある肉塊化物に見える
勢いで病院の外に出るが、その景色は千葉の街が全て肉塊に染まっていた
そう……月でさえ肉塊に見えるのだ………それに夜空のはずが赤く染まっている……
道路には、自動車だろうか肉塊が走っている
八幡「ハ、ハハハッ、アハハハハハハ!!」
自分がおかしくなっていくのがわかる、今まで奉仕部の活動で依頼してくる内容がへっぽこですら感じる
「いたぞ!取り押さえろ!!」
化物が俺を拘束する、腸のような触手が俺の両腕を縛る
そんな中、俺は気を失うまで笑い続けた
…………………………………………………………………………………
報告書
今は何を仕出かすか分からないため隔離室にて拘束しているが、五感の視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の内の視覚、触覚、味覚、が異常をきたしているらしい。
本人曰く周りの物や人が肉塊に見え、触覚は生肉や臓器と同じらしい
朝食を与えたが、吐き出しまるで生臭くて血の味がするとの事らしい
今後、残りの聴覚、嗅覚にも異常をきたすのも時間の問題かと思われる
来客者に対しては今のうちに会わせるのが良いかと思われる、今のところ聴覚は無事機能しているので、それが失われるとコミュニケーションを図るのは難しいだろう
よって面会の時には目隠しと拘束は必要不可欠であり彼に飲食を与えない事が条件である
しかし、基本ユッケ等は食べれるとの事
…………………………………………………………………………………
「しかし、よろしいのでしょうか面会許可を出して…………」
「正直、本来なら面会許可なんて出せない状態だろうが、彼の聴覚に異常がおこるのは時間の問題だろう、せめて最後くらい親族と会話させてやりたいからな、一度異常が起きた五感が正常に戻るなんてゼロに近いしことだし………」
「恐らく彼の友達も訪れると思われますが、面会は親族だけに限定にしておきましょうか?」
「いや、会わせてやりなさい……その代わりに事前忠告だけはしておけよ、変わり果てた姿に後悔されても困るしな」
「それでは、担当の窓口と看護師に伝えておきます」
「ちょっとまて、彼には絶対に目隠しは着用させろ!今後のトラウマになりかねん」
「たしかに、家族や友達が肉塊の化物になった姿なんて見たくないでしょうね」
「それと保険として病室には男性の看護師を常に待機させておけ、何かあってからでは遅いからな」
「了解しました」
…………………………………………………………………………………
朝 PM9:30 病院
今日の今朝の病院は少し騒がしかった
病院から一報を聞いた比企谷家の家族が、病院に駆けつけて来たのだ
八幡父「先生!息子が!意識を取り戻したとは本当ですか!!」
医師「えぇ、本当ですよ………」
小町「よかった……本当に…お兄ちゃん…」シクシク
八幡母「先生ありがとうございました!」ウルウル
医師はここから表情が固くなる、そして一呼吸し真っ直ぐ家族に向き合う
医師「ですが、考え方によっては彼は死より辛い後遺症が見つかりました」
小町「…………えっ?」
八幡父「 先生……それは…………どうゆうことで」
医師「落ち着いて聞いてください。人間には五感という物が存在します、視覚、聴覚、味覚、触覚、嗅覚、の五つの内、視覚、味覚、触覚に異常があることがわかりました。」
八幡母「先生!異常とは!?具体的にどうなったのですか!?」
医師「彼は見える物が全て、肉塊に見えてしまう例のない後遺症が見受けられました。
壁や床は元より、草木や全てがにその肉塊に触れてみると、人間は目玉が何個もついて肉塊なのは代わりないと、触るとまるで臓器と同じ感触がするらしいです。
今朝病院食を食べさせたのですが、全て吐き出して喉を通さない状態でして病院食が不味いとかという理由ではなく、まるで粘土を噛んでいるような食感で腐った魚みたいな味がするだそうです、本当に腐っていたら不味いので看護師10人で同じ病院食を食べましたが何の問題もありませんでした、ただ生肉繋がりでユッケは食べれたそうです。」
八幡父「……先生、その後遺症って治すことは出来ないんですか!?」
医師「一度傷付いた五感を治すことは出来ません、自然に何らかの切っ掛けがないと……今の医学の技術ではどうこうできません……」
小町「それじゃ………お兄ちゃん、まるで」
小町「ゾンビみたいじゃないですか!!」
医師「……強制はしませんが、聴覚が正常な今のうちに面会しておくことをオススメします、その方が彼は喜ぶと思いますが」
八幡母「会います!会わせてください!!」
医師「わかりました、しかし彼が気を取り乱しだしたら関係なく、お開きとさせていただきます」
病室 AM9:45 八幡目線
看護師「今、医師から連絡があった。君のお家族が、み見舞いに来たらしくここ病室に来てくれるだそうだ」
八幡「そーですか、ありがとうございます」
今、俺はベットに寝かされており薬の影響か体の自由がきかない、点滴が繋がれており俺の目は目隠しで隠され視界は全く何も見えない。
それに目隠しもベットも肉塊の感触なので、気持ちが悪いったらありゃしない
コンコン〈八幡、お見舞いに来たわよ。入ってもいいかしら?
どうやらお出ましのようだ、正直来てくれて嬉しい半面、家族の泣きそうな声を聞くことになるという罪悪感がある
八幡「いいですよ」
すると、ドアが勢いよく開かれてドタドタと足音が俺に迫ってくる。目隠しはしているが大体誰が来たのか分かるな………
八幡『全く病院では静かにということを知らないのか』
小町「お兄ちゃん!!」ウルウル
八幡「あぁ、小町かぁ良く来てくれたな、あ、八幡的にポイントは高い」
小町「馬鹿!!妹に心配させている時点で小町にはポイントは最悪だよ!」
八幡「すまんかった、親父も母さんもいるのか?」
八幡父「あぁ、元気そうでよかったよ」
八幡母「本当にもう心配したんだから」
小町「あ、そうだった!お兄ちゃんの私物をバックにつめて持ってきたの忘れてた!車に入ってるからお父さん!車の鍵かして!」
八幡父「あいよ」ポイッ
小町「よっと!それじゃお兄ちゃん、今から取ってくるからね!」
小町はそう言うと病室を後にした
八幡「…心配かけてすまない」
八幡父「あぁ、気にすることじゃないさ」
八幡「…今回は早かったんですね、お見舞来るのは…」
八幡父「どういうことだ?」
八幡「今年の4月頃に俺は車に跳ねられた、その時親父も母さんも俺が入院して三日後ぐらいに来たじゃないか」
八幡父「一体お前は何を言いたい?」
八幡「へ、しらばっくれてるんじゃねぇよ、わかってます小町と俺と比べて、ひいきしていることぐらい」
八幡母「貴方何を言い出すの!?」
八幡「見ればわかる、小町が捻挫した時は仕事を早退してまで駆けつけて来た癖に、俺が車に跳ねられた時は三日も空けて来たよな?」
八幡父「それは偶々で」
八幡「そりゃあ俺みたいな腐った目をして性格もひねくれている俺と比べて小町は良くできた娘だもんな!そりゃあひいきしたくなるよな」
八幡母「そんなの思い込みよ!」
八幡「良く言うぜ、今回そんな早く来たのは前回の時に小町にこっぴどく言われて嫌われたからだろ!もう嫌われたくないから早く来たのだろうが!」
八幡父「……………………」
八幡『何言ってんだ俺は……そんな事を言いたかったんじゃないだろ、』
八幡父「……すまなかった、お前がそのような不快感を持っていると知らなかった」
八幡母「あなた…」
八幡父「確かに小町に過剰と言えるほど俺も母さんも愛情をかけていた、それと裏腹にお前に対してはまったくみれていなかった………」
八幡『親父…何を言っているんだ、俺は嫌味のつもりで言ったのに…………』
八幡父「小町は俺たちが理想していた通りの娘に育ってくれた、しかしお前が交通事故に巻き込まれた時、小町は凄く大泣きしているところ私達は目撃してまった、そこまで兄思いだと思わんかった、それにアイツが一喝言われなかったら俺たちはまだ仕事を優先していたかもしれなかった……すまない…」
八幡母「…………」
八幡「…出ていけよ」
八幡母「!!?」
八幡「今更、親面なんかしてんじゃねぇよ」
八幡父「…………」
〈ドサッ!!
八幡母「ッ!?」
小町「…………どういうこと?」
荷物を届けに来てくれたのか小町の声が聞こえる、だがその声は弱々しかった
八幡『くそ………最悪のタイミングだ……最悪の中の最悪だ…』
八幡父「小町!?こ、こここ、 これはだな!」
小町「…………最低…お父さんもお母さんも!二度と見たくない!!」ダッ
八幡父「小町!!」ダッ
八幡母「………八幡、また来るから…」ダッ
八幡「…………」
八幡『決して、こんなことをしたかったわけでは無い、なんでこんな事を言ったのかなぁと思う……俺は最低の人間だ…ひねくれている、だけど嫌いだとは思わない、それが俺のモットだからだ、だがそれが小町を巻き込んでしまったのが問題なのだ』
前によんだラノベ《事実ゲーム》にこのような事が記されていた
確か、火星から来た地球外生命対の進行を防ぐためガン●ムみたいなロボットで食い止めるという話だった
起死回生の為に人類が使用した兵器で地球が滅茶苦茶になってしまい、安全な土地を求めてカナダ・フランスとアメリカ・日本が戦争になったというところだったか、
塩原という場所を渡りきる主人公とヒロインとその仲間達、そんな厳しい環境を記した場面が印象に残っている
それでわかったことは『どんな環境の中でも、我を忘れると命を落とす』ということだ
結果的主人公とヒロインは助け合い助かったが…………
俺は、今までこの主人公は悪魔できれいごとだと思っていたのだが、今のくそったれな状態になってからだと、少しわかるものがある
だが、なんか性格が葉山と重なって見えるのであまり好きではない
看護師「それでよかったのか?」
八幡「…………わかりません」
八幡『知るかよそんなこと、赤の他人が首を突っ込むな!………はぁどこかの中尉みたいには行かないみたいだ』
…一方 どこかの世界のアメリカ、シアトルでは
??「ヘックチョン!!」
??「どうしたの?響?風邪でもひいたの?」ハァハァ
響「いや誰かに噂されている気がして…」ハァハァ
??「気にしすぎよ?フフッ」ハァハァ
響「そうだな千堂少尉……いや、柚香!それじゃあ続きと行こうか!」パンッ!
柚香「あぁん!だめぇえ!!そんなっ!?いきなりなんてっ!!?」ハァハァ
響「柚香!大好きだ!!」パンッ!パンッ!
柚香「私もです!響!だめぇえ!イっちゃう!!」ハァハァ
響「俺も……イキそうだ…」ハァハァ
柚香「ヒビキ!!一緒に!!」ハァハァ
響「あぁ!イクぞ!!」ゾクゾク
柚香「ああっ!!あぁん!だめぇえ!イクぅうううう!!!」ビクンビクン
響「はぁはぁ…………」
柚香「は、はしたない女だなんて思わないでくださいね……ふぁあ、熱いのが中に…」ハァハァ
響「当たり前だけどよ、責任はしっかりとるぜ
柚香……結婚しよう」
柚香「ッ!?…………ハイ!!」
…………………………………………………………………………………
現実 にもどる
八幡「………すいませんが、目隠しを外してもいいですか?」
看護師「別に構いませんが……来客者が来る際には報告しますのでその時は着用お願いします」
八幡「わかりました」
臓器のような感触がする目隠しを外す、やはりそこには肉塊の景色が広がっていた
紅色だった空は今朝なのか明るみのある赤に変わっていた
八幡『やはり変わらないか………この狂った光景に落ち着いてきた自分にビックリするわ』
こんな化物と肉塊しかいない世界、聴覚も狂い始めるのも時間の問題……
そんなもん実感なんて沸いてこないのが事実だ
だからこそ不安なのだ、聞こえなくなるのかもしくは意味のわからない幻聴を聞かされるのか
それにこんな肉塊だらけの世界だ、しまいには赤と黒という色しか思い出せなくなるのでは無いか
人間という物ももしかしたら……というマイナス思考しか思い付かない
八幡「…………少し、疲れた寝よう」
看護師「あ、目隠しを」
八幡「わかってますよ」スッ
…………………………………………………………………………………
夢の中
??「貴方の目は何の目?」
周りには何もない真っ暗な空間、肉塊も無く本当に真っ暗だ、なにも見えないのだが人の気配がする
八幡「………誰だ、聞いたこと無い声だな」
??「そりゃそうよ、初対面だもん」
八幡「だから誰だよ」
女子の声だってことは分かっているんだ、しかし相手はいっこうに姿を見せない。
声の高さから俺より年下だろう
??「やはり自分の姿を見せないのは、失礼かも知れないわね」
すると目の前が白く光だした、それは現実のものではなく夢の中なので眩しくなく偽物だ
その光から人影が写り出された、それも少しづつ姿が見えてくるようなってきた、
長いストレートの、緑とも黒ともつかない色髪でやや動物耳の様な癖っ毛で染み一つない白いワンピースを着た、成人前かと思わせるぐらい幼い容姿の女の子だった
沙耶「はじめまして、私は沙耶といいます♪」ニコッ
俺は驚かなかった、何故なら俺の夢で起きていることなのだ、現実ではないのだ
沙耶「あっ!信じてないでしょ!」
八幡『所詮夢なんだ、都合よくいくものだろ?』
沙耶「………まぁ、いいや信じるか信じないかは貴方しだいってね」
八幡「…………はぁ、それでお前はなに?」
沙耶「私は貴方の夢の住人よ」
八幡「夢の住人?」
沙耶「そう貴方がこの世界に入ってから私は存在しているの」
八幡「そうかよ、俺を乗っとるつもりか?」
沙耶「そんな事しないわよ!私は貴方をサポートしに来たの」
八幡「は?何のリミットがあってそんなことするんですか?」
沙耶「悪魔だもん♪」
八幡「そうか、だったらソウルソサ●●●ィでも開いて帰ってくれ」
沙耶「ごめんって!冗談だって!本当の事話すから!」
八幡『なんだこいつ、由比ヶ浜タイプか?』
沙耶「貴方が見えている肉塊の世界、貴方が最初では無いのよ」
八幡「は?」
沙耶「そのまま続けるよ、その人は医大生だったの、でも事故で五感がいかれてしまった貴方と同じようにね」
八幡『お、落ち着け俺。まず俺が知らない事が何故こいつが知っている?確か医師は例が無いって言ってたよな?』
沙耶「今例が無いって思ったでしょ?そりゃそうよ当時の担当の先生は、もうこの世にいないの、おまけにデータは残されていないし関係者も少ない…というよりいなくなったが正解かも」
八幡「……いなくなった?」
沙耶「そう、その人は知り合いを食べたり殺したりしたから」
八幡「食べたのか?それはファンキーだな」
沙耶「まぁ簡単に言えば物事を逆にとらえてみたら分かるよ、
ユッケを食べた君ならわかるだろうけど元から生肉だったものは食べれるようになる、
そうなるとユッケばかりだと飽きてしまう、だから飢えに飢えると他に目に行ってしまう、その結果どうなるかは想像にまかせるよ、そして人の肉はとてもおいしいらしいわよ」
八幡「………いかれる」
沙耶「常識的に考えたらそうかもしれないね、でも人間が本当に追い込まれた時、何を仕出かすか分かったものじゃない」
八幡「…………」
沙耶「そんな状況で、対応策があるの。一つは聴覚がまともな間は目隠しを常に装備すること、二つ目は聴覚がおかしくなった時は筆談で会話しコミュニケーションをとり続けること。そして最後は、マイナスな事を考えない事よ。」
八幡「…………」
沙耶「今の会話の事や私の事も信じなくても構わない、覚えてくれているだけでも構わない。
でもこれだけは言っておくよ、貴方がこの世界に居る間は貴方の中で居続ける」
話終わると彼女が薄く透過し始めた、そして夢が覚める
…………………………………………………………………………
病室 PM 2:15
目が覚めて一時間ぐらいたっただろうか、まだ今の状態では聴覚が正常に機能している
昼食は、味気無いお粥とドレッシング無しのサラダだったという、他に食べれる物がないか模索しているようだが、結果朝食と同じく吐いてしまい栄養剤が入った点滴をするしかなかった
そして俺はスマホを取りだしlineからメールが来てないか確認する
後から気が付いた事だが、スマホに関しては感触は肉塊と同じである点に変わりは無いが、スマホならではの光を放っておりlineなどには問題なく使える事が分かった、しかし動画等は肉塊で埋め尽くされて使えない
八幡『あ、小町からメールが着ている……』ピッ
小町【ごめんなさい、お兄ちゃん……取り乱して逃げちゃってたりして……おまけに荷物も落としたままで…
一番辛いのはお兄ちゃんなのに…お父さん達から話は聞いたわ……私が産まれてきてしまったから……ごめんなさい】
八幡『…………そんな事言うんじゃねぇよ』
八幡【大丈夫だ小町、なにもお前のせいじゃない、俺は何度もお前の存在に助けられてきたんだ、だから産まれてきてごめんなさいとかは無し
もう俺は普通じゃ無くなってしまったんだ、心の支えになってくれているお前までが狂ってしまったら、俺は生きられない。】ピッ
看護師「比企谷さん、お友達がお見舞いに来てくれているけれど、準備はいいかな?」
八幡「……友達?」
看護師「えぇ、女子二人と男子一人だね」
八幡「………わかりました、通してください」
看護師「わかりました」
この時、俺が面会を拒んでいたら。なにか違ったかもしれない…………
あんな事にはならなかったかもしれない
数秒後、病院内なのに激しい足音が響き渡る
ドタドタとドタドタと、学校の廊下じゃないのだから静かに出来ないのかと、溜め息を吐く
この足音が近くなって来て、バンッ!!と慌ただしくドアを開ける
結衣「ヒッキー!!」
戸塚「八幡!!」
雪乃「比企谷君!!」
全くもってわかりやすいお見舞い人な事である
こんな気分で会いたい訳では無かったのだが、折角来てくれたのに、帰らすのは流石の俺でも気が引けたのだ
八幡「この声は……雪ノ下達か…」
雪乃「そうよ、貴方の為にね……にしてもどうしてアイマスクみたいな物をつけている訳かしら?」
八幡「へ?」
八幡『おかしい、確かここに来る前に事前に警告と注意事項などを聞かされているはずだ…』
戸塚「そんなことは後からでもいいじゃん!何より生きている事が分かっただけでも良かったよ!」
結衣「そうだよ!本当に心配したんだから!」
ギュッ!
由比ヶ浜はそういい放つと、俺に抱きつく。
八幡「ッ!?やめろ!!俺に触るな!!」ブンッ
結衣「キャッ!!?」バタッ!
俺は勢いよく抱きついた由比ヶ浜を振る払いのけた、由比ヶ浜は恐らくだが尻餅を付いた
触覚がおかしくなっているせいで、臓器がのし掛かったように感じたのだ
結衣「ひ、ヒッキー?」ウル
雪乃「貴方!由比ヶ浜さんに謝りなさい!」
八幡「おまえら…俺を苦しめに来たのか?」
雪乃「は?」
看護師「…………まさか、注意事項を聞かされていないのでは?」
戸塚「注意事項なんて聞いてないよ!」
看護師「なんだって!」
雪乃「注意事項なんて関係無いわよ!ほら目隠しを外して確りと由比ヶ浜さんの顔を見て謝りなさい!」
彼女はこう言うと強引に俺の目隠しを外そうとする
看護師「お、おいこら!やめなさい!」
八幡「や、やめろ!」
雪乃「貴方は謝る事も出来ないの!見損なったわ!!」ガシッ!
そして彼女は目隠しをわしづかみし、勢いよく引っ張り抜く
目隠しの紐はブチブチと音をたてて千切れる
真っ暗な世界から肉塊の世界に戻されてしまった
八幡「や、やめぇろぉおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
雪乃「ヒイッ!?」
八幡「ば、化け物が!!!来るんじゃねぇ!」
目の前にいる皆が肉塊の化け物に見える、そして俺を襲って食べるかのように口らしき部分をガチガチと音をたてている
八幡『だ、駄目だ、殺される、殺される前に殺るんだ!』
八幡「殺してやる、殺してやる!」
俺は立て掛けてあった松葉杖を握りしめ、一番近い手前の肉塊の化け物に降り下ろす
戸塚「雪ノ下さん!危ない!!」バッ
近くに居た同じ化け物が、目標の化け物を押し出し交わさせる
看護師「離れていて下さい!!」ダッ
肉塊の化け物が俺の背後に周り、注射器を刺す
そして俺の意識はもうろうとし、気を失う。
…………………………………………………………………………………
病室 PM2:30 麻酔薬投与 雪乃視線
八幡「くっ…………」バタッ!!
注射器を刺され白目を剥きながら倒れる比企谷君、彼の顔の色は真っ赤になっていた
雪乃「…………比企谷君?」
戸塚「八幡…どうしちゃったんだろ?」
結衣「ヒッキー!大丈夫!?」ダッ
雪乃『なんだったの?さっきの彼、今まで見たことない!前のクールな性格は何処に行ったの?おまけに化け物ってどういうこと?』
看護師「申し訳ございませんが、状況が状況の為ここから退出願います」
結衣「まってよ!!ヒッキーに何をしたの!?」
看護師「彼には少しの間、眠ってもらうだけだよ。」
戸塚「さっきの発狂といい、八幡の身に何が起きているのですか!?」
看護師「私には貴方達に話すことが出来る程の権限はありません、廊下にある長椅子に座って待っていてください、担当医が説明しに参るとのことですので」
雪乃「……わかりました、行きましょう二人とも」
私は二人を押すような形で、この場を退出することにした
そして待つこと30分、この間に何人の看護師達が出入りを繰り返していた
それが激しくなることに、由比ヶ浜さんも戸塚くんも不安が溜まる一方である、由比ヶ浜さんに関してはすすり泣き始める始末である
私は平常心を保とうと努力した、何故ならここで私も正気を無くしてしまえば誰が、比企谷君の容態を聴くのだと
しかし、私はロボットではなく人間だ……感情も沸く
雪乃「…………ハチマン」ボソッ
戸塚「雪ノ下さん、心配なんだね」
雪乃「っ!?………えぇ、本当にどうしようも無いくらい心配よ」
戸塚「そうだね、僕も心配しすぎて泣き出したい位だよ…」
結衣「ヒッキー…………ヒッキー…………」
皆が不安に明け暮れているその時だった、白衣をまとった一人の医者がこちらに向かって歩いてきたのだ
恐らくこの方が担当医で、間違いなさそうである。
担当医「長いこと待たせてすまなかったね」
雪乃「いえいえ、そんなことありません。」
担当医「ここでは話しにくいだろうから、個室を用意させてもらったよ、ついてきてくれたまえ」
雪乃「ありがとうございます、由比ヶ浜さん?立てますか?」
結衣「う、うん」フラフラ
戸塚「フラフラじゃないか、僕が支えになるから確り捕まって」
結衣「ありがとうね、さいちゃん…」
そして私達は担当医の後ろに続いて、ある個室にまでついて行った
その部屋のドアには関係者以外立入禁止と書かれていた
担当医「ここだ、入りたまえ」
一同「失礼します」
部屋は薄暗くボードには脳のレントゲン写真がはられていた
担当医「まぁ、ここに座って楽にしてもらってね」
戸塚「ここは」
担当医「ここはね、彼専用の対策室みたいなものだよ、ここで名医達が会議しているのだよ」
結衣「名医って、ヒッキーはここまで深刻なのですか!」
担当医「ヒッキーって彼のあだ名かね?彼は深刻なのかどうなのか分からないのが正解だね」
雪乃「分からないとは、どういうことですか?」
担当医は深刻そうな顔をして、溜め息を吐いた後に重いトーンで話し出した
担当医「彼は重度の知的障害になられた可能性が極めて高いです
「知覚障害」とは、知覚伝導路の障害やヒステリーなどの心因性の反応により、刺激を正常に知覚できない状態の事をいいます。
感覚的なものであるということで痛みはもちろん触れた感覚やしびれ、麻痺など。重度の場合はパニック障害を起こす可能性もあります 」
雪乃「パニック障害……」
担当医「先程パニック状態に彼が陥ってしまったと聞きました、その前に何か気になる反応などしませんでした?」
結衣「ヒッキーの腕を掴んだ瞬間、払いのけてられて呼吸が荒くなりました………」
担当医「まぁこれが関係があるでしょう」
結衣「そ、そんな……私は」
担当医「ですがこれだけでパニック状態にならないです、他に何か心当たりありますか?」
雪乃「そ、そういえば目隠しを外される事をかなり嫌がっていました」
担当医「それで、取り上げたのですか?」
雪乃「…………はい」
担当医「それが、原因です、間違いなく」
雪乃「え?」
担当医「彼にはもう一つ重大な障害がありまして、総合失調症といわれるものです
精神障害の一つで、基礎症状は連合障害(認知障害)と自閉(自生思考等)等であるが。
副次的に精神病状態(幻覚・妄想)等多様な症状を示し、罹患者によって症状のスペクトラムも多様であることで知られています」
雪乃「それはどのような症状が」
担当医「その病は色々な種類があるのですが、一様全て説明しておきましょう。
思考過程障害に関してはコミュニケーションがとれているので、問題はありません
次に思考内容障害は、現場にいた看護師の証言や監視カメラでの監視の結果、彼にはそれほど問題はないと思いました
次の知覚障害に関してなのだが…………」
雪乃「何か問題が!」
担当医「重症を超えているかも知れません………
実在しない知覚情報を体験する症状を、幻覚 という事はご存知であると思うが。幻覚には色々なものがあるが、統合失調症では幻聴が多くみられる一方、幻視は極めて希のはずなのだ」
雪乃「…………まさか」
担当医「えぇ、その通り極めて希のはずの幻覚が彼には見えてしまっている」
雪乃「だからあんなに目隠しを外そうとはしなかった……」
担当医「そういうことです、それに見えているもの建造物や物や動物も全て、臓器がぶちまかれて肉塊に見えるらしいのだ、生き物は肉塊の化け物に見えるとの事」
雪乃「そんな…………私はなんて事を…」
担当医はそんな私に追い討ちをかけるかのように話を続ける
担当医「それと関連してるかのように、知覚障害の触感、触ると臓器のような感じがするという、本当に可愛そうで仕方がないよ」
戸塚「まって、それでは目隠しも肉塊の感触がするのでは?」
担当医「だろうね、でも彼の負担を出来るだけかけないことが大事なんだよ、だれも友達の肉塊の化け物に、なった姿なんて見たくないものね、それに化け物が余りにも恐ろしいのか見ただけで取り乱してしまう……もはやトラウマになっているね」
戸塚「すみませんが、どうして病院側は先に私たちにその事を報告しなかったのですか?」
雪乃「!?」
結衣「!?」
戸塚「先にしていれば、このような不測の事態を防げたはずではなかったのですか?」
担当医「それに関してはお詫び申し上げます、担当の看護師に事前に説明しろと義務化しているのですが、どうやら手違いがあったらしく」
雪乃『そういえば、あの時の男性看護師も同じような対応をして……』
担当医「最後に彼は味覚も異常を来していましてね、食べることが出来るのがユッケだけということ」
雪乃「どうしてユッケは食べれるのでしょうか?」
担当医「元が生肉だから、だとしか言いようがありませんね」
戸塚「今はユッケだけしか食べれないのでは食事もユッケしか食べていないのでは?」
担当医「それではバランスが片寄って体に良くないので、点滴で対応しているよ」
結衣「ヒッキー…とは…また会えますか?」
担当医「…………えぇ、」
雪乃『曖昧な返事……たぶん由比ヶ浜さんに機を使ってのことだろうけれど』
担当医「後これはわかりませんが、今後いつの日か聴覚にも異常が発生すると思われます、直ぐになる可能性は低いですが、その時には最悪面会は出来ても話すことは出来ない事になることは心構えしてください」
雪乃「それって……まさか」
結衣「聞こえなくなるとかじゃあ」
担当医「その可能性も十分にありえますしね、先程申し上げたように幻聴などといった類いになるかもしれないし、今の段階では何とも申し上げれません」
結衣「そ、そんなの酷すぎるよ!」
戸塚「…………先生、八幡は、この病を治すことが出来ますよね!?」
担当医「風邪やインフルエンザと違って、薬を服用すれば治るという病では無いということは承知だと思うが、まぁ落ち着かせる事なら近年開発された、第2世代の抗精神病薬と呼ばれる治療薬が有効とされているね。
この薬の特徴は、陽性症状に効果があるばかりでなく陰性症状にも効果があるといわれていることと、 錐体外路症状と呼ばれる、手の震えや体のこわばりといった生活に支障を起こしやすい副作用が少ない事で我々医療関係者に知られているね」
雪乃「他に方法は無いのですか!!何でも良いんです!!」
結衣「ゆきのん………」
雪乃『そうよ、こんなのおかしい!何で彼だけがこんな目に遇わないといけないの!性格が腐っていたとしても!
こんな仕打ち、可愛そうすぎるわよ!!』
担当医「確かに薬物以外として、あるのはあるのだけれど、彼の病状だと余計悪化させてしまうだけなのだ、出来ることと言えば彼の心の拠り所を与えてあげることが何より効果があるだろう」
雪乃「…………わかりました、ありがとうございます」
担当医「今の段階ではわかっていることはそれだけだよ、他に質問は?」
雪乃「聴覚に異常が起きた場合、面会は今日みたいに出来ますか?」
担当医「そうだね、多分出来ると思うけど」
ピロリン♪ ピロリン♪ 担当医の携帯が鳴る
担当医「失礼、私だ、…………何?」
担当医の表情がかわった、それはまるで予想外な事が起きてしまったと言わんばかりな表情だった
担当医「悪いが急用が出来た、すまないがここでお引き取りいただきたい」
結衣「先生!!ヒッキーに何かあったのですか!!教えてください!」
雪乃「よしなさい由比ヶ浜さん!まだそうだと決まった訳じゃないでしょ?それに先生だって仕事があるのよ」
担当医「すまないね、緊急事態なのだ」
雪乃「わかりました、今日は大人しく引くことにします、今の私たちでは何も出来そうにありませんから」ガチャ
私達は大人しく先生に言われるまま、この場を後にした
帰る時に由比ヶ浜さんの表情を見てみると、悲しさと悔しさでたまらないという顔をしていた
戸塚君もそうだし私だってそう同じ気持ちである
そう、前までの私なら強がって彼に罵倒を遭わせていただろう
しかし、今の状況で強がっている場合では無いのだ
聴覚がおかしくなる前に、彼に本当の事を言おう…そうじゃないと後悔してしまう気がするのだ
返事はどちらでも構わないし聴いてくれるだけでも構わない、ただ彼が私の気持ちをわかってくれるだけで十分なのだ
雪乃『やっばり、私…貴方、比企谷君の事が好きみたい……』
…………………………………………………………………………………
明日日曜日 事故現場 PM2:00 川崎沙希視線
私は京華が欲しがっていた絵本を買い終わり、モールから出た
もちろん京華も一緒である、何の絵本が欲しいのか分からないから当然だ
でも本当は、ここのモールには行きたくなかった、なぜなら目の前に未だに警察官が張り付いている事故現場があるからである
京華がどうしてもここが良いというから来てしまったけれど、ここが本人にとって悪影響であることは間違いない
沙希「さぁ、けーちゃん帰ろう!」
京華「……さーちゃん、ちょっとまって!」ジー
沙希「……え?」
私は京華が見つめている方向を見る、そこには忌々しい事故現場だった
私はこんな所を見えるべきじゃないととっさに京華の目を隠す
京華「あっ!!さーちゃん!なにをするの!」
沙希「そんな所見てはいけないの!分かった!?」
すると京華は思いもつかない事を口にする
京華「けーかね、おもいだしそうなの」
沙希「駄目よ!!忘れなさい!」
京華「ちがうのさーちゃんがおもってるようなことじゃないよ」
沙希「え?」
京華「まえにここでまいごになったときにね、さーちゃんをさがすのをてつだってくれたひとがいたの」
沙希『まえって、あの事故当日ことよね?まさか記憶がいつの間にか戻っていたってこと!?………そうか、病院の先生も一次的だって言ってた気がする。』
京華「そしてそのひとはけーかにドーナツをくれたの、そして…………」
沙希「…………そして?」
京華「けーかをトラックからまもってくれたの」
沙希「……うん」
京華「でもそのひとは、あたまをけがしてしまったの、そしてほのおがトラックからでてきたの」
沙希「…………」
京華「けーかはそのひとをゆらしつづけて……っ!?」ビクッ
途中から京華の体が小刻みに震え始めた、私はとっさに京華を抱き締めた
沙希「もういいの!何も言わなくていいから!」
京華「だめだよ…さーちゃん、だってけーか、おもいだしたもん…そのひとのことを」ポロポロ
沙希「っ!?」
京華「そのひとはけーかに、さーちゃんのところにはやくいけって、おこられちゃった……けーかはね、がんばってはしったの」ポロポロ
沙希「……どういうこと?どうしてその人は私の事を知っているの!?」
京華は大粒の涙を流して、震えている口を開ける
京華「だって…………ヒッグ!!…そのひと…エグッ!!」
京華「はーちゃんだったの!!」
私は耳を疑った、はーちゃんというのは比企谷のことである
沙希「………え?はーちゃんって、もしかして、比企谷八幡のことじゃ」
京華「さーちゃん!…………はーちゃんは、つぎのひに、さーちゃんのがっこうにきてた?」
沙希「………そ、それは」
京華「はーちゃんね、おれもすぐにいくっていってたのに、ずっとたおれたままでそしたら、ばくはつが…………」
京華「はーちゃんはうそつきだよ…………」
沙希『正直彼が、そんな奴やとは未だに信じ難いし信じられない……しかし、京華がこんな嘘をつくとも思えない。
それが事実だとしたらNEWSで報道されていた総武校の生徒は奴だという事に繋がる……』
京華「わたし!はーちゃんに会いたい!会っておれいをしたい!」
沙希「………えぇ、そうだね私も彼にお礼をしたいし入院している病院がわかり次第お見舞いに行こうか?」
京華「うん!」
ふと私は事故現場に歩み寄る、アスファルトの道路には爆発の跡が真っ黒に焦げて表れていた
沙希「……明日、先生にでも聞いてみるか」
…………………………………………………………………………………
PM5:00 大学病院 八幡視線
俺はいつも通りに目が覚め、いつも通り糞不味い病院食を吐き出し、いつも通り点滴をうってもらっていた
何故か昨日何があったのかハッキリと覚えていない、雪ノ下達がお見舞いに来てくれたのは覚えているのだが…
少しは体を動かすのも必要だと担当医がいうので、今日から適当な時間に白杖を使って一階のピロティ内を回るという簡単な運動だ
コツコツ、コツコツ
八幡『確かにずいぶんと長い間体を動かしていないから良い気分転換にはなるが、正直毎月あるのがめんどくさい、それに案外今の障害を除いて状況は好きだ、なんせ学校という人目がつくような所にいかなくて済むのだから。
ここなら最小限のコミュニケーションをはかるだけで済む、まるで楽園じゃん?』
しかし、目隠しをしているので何も見えないのが難儀だ
階段から転げ転びそうになるし、物によくぶつかる、盲目の人ってこんな生活を続けていて本当に大変だと思う
コツコツ、コツコツ バシッ!
??「おっとと」
八幡「あ、すいません」
??「あ、ごめんごめん僕の不注意だから僕の方が謝らないといけないよ、どうだ飲み物を奢ろうか?」
八幡「あ、いいですよ」
??「そう?でも大人の優しさは黙って受けとるものだぜ」
八幡「はぁでも本当に大丈夫です、」
??「あ、そう…なんだか済まない事をしたな」
八幡「いえ…それでは自分行きますので」コツコツ
??「あ、ちょいと待って」
自分はさっさと別れたかったのに、長いこと話しかける彼に対してイラだっていた
八幡「なんですか?」
と、不機嫌そうに返事を返す
??「出来たら話し相手になってくれたら嬉しいんだけれどなー」
八幡「嫌です」キッパリ
??「即答だな……お兄さん落ち込んじゃうよ」
八幡「嫌なものは嫌ですから」
対馬「まぁそう言いなさんな、俺は対馬レオと言うんだ、ピチピチの22歳だぜ」
八幡「誰も付き合うとは言ってないのですが………僕の名前は比企谷八幡です、高校二年生」
対馬「高2かぁ、懐かしい…一番楽しかった時だったな」
八幡「大学は楽しくないのですか?」
対馬「大学?…あ、そうか目が見えないなら仕方がないか、これでも俺はスーツをまとったサラリーマンなんだぜ?大学は短大だったから卒業しているし」
八幡「そうですか、すいません社会人とは思えなかったので」
対馬「ひどっ!?」
八幡「今はどうなのですか?」
対馬「ん?、今は楽しいもあるけれど強いて言えば幸せかな」
幸せ………サラリーマンという社畜になっているのに何が幸せなのか、俺には理解が出来なかった
でもその答えは直ぐにわかった
??「事故でアナタが搬送されたと聞いて駆けつけてみれば、思ったより元気そうですね」
対馬「な、なごみ!来てくれたのか!?」
八幡「??」
なごみ「当たり前です、自分の夫が搬送されたと聞いたら誰でもそうします。」
八幡『なるほどね……奥さんでしたか……もう俺はいる必要は無いだろ』
白杖を持って、その場を離れようと思ったその時だった
なごみ「それで隣の人は誰ですか?楽しそうに話しかけてましたけれど」
八幡『なんでよりによってまた捕まるんだよ』
対馬「あぁ、話し相手になってくれた比企谷君だよ高2だそうだ」
八幡「よ、よろしくおねがいします」
なごみ「えぇ、私の名前は対馬なごみ、すいません夫のわがままに付き合っていもらって」
八幡「あ、はい大丈夫です」
八幡『わかっているなら早く解放させてくれないかな?俺はボッチライフを満喫したいんだ』
なごみ「貴方の目隠しといい、はりの無い肌といい何故このようになったのか、聞かないでおく…でもどんな辛い時でも周りの人達には迷惑をかけるようなことをしないこと、いい?」
八幡『余計なお世話だよ、赤の他人の癖にして口出ししてくるんじゃねえよ』
対馬「ちょうど5年前のお前に言ってやりたいよな、なごみ」
なごみ「潰しますよ」
対馬「すいません」
なごみ「……それでは私たちはこれで、…お大事に」
八幡「はい、ありがとうございます」ペコリ
対馬「わ、わかったから引っ張らないで!比企谷君お大事に~」グイグイ
八幡「…………」
今の俺には見れない為、あの二人両方ともどんな顔をしていて感じも想像できなかった
ただ、悪い人では無いだろう
そして俺は白杖をもって戻ろうとした、その時だった
「元気そうじゃないか、比企谷よ」
八幡「平塚先生ですか」
平塚「おぉ!声たけで私を当てるとは感心するな」
八幡「んで、なんのようですか?課題でも渡しに来たのですか?」
平塚「今の状態のお前に何が出来るのだ?普通にお見舞いに来たと思わないのか君は」
八幡「すいませんね……」
平塚「まぁいい……でだ、今の状態を全て話してくれないか?」
八幡「わかりました、実は…………」カクカクシカシカ
俺は全て今分かっている病状や状態を洗いざらい話した、顔は見えなくとも声の張りが無くなっていき今どんな表情をしているか想像がつく
八幡「…………ということで今説明した事が、今僕の現状です」
平塚「そうか、お前も大変だったんだな……異常さえ無ければお前を抱き締めてあげれたのだが」
八幡「同情なんて求めていませんし、安心してください」
平塚「……この期に及んで、またこのような事をいうだろ、お前ってやつは」ハァー
八幡「これでしばらく学校に行かなくて済むわけですし、悪いことばかりじゃないですよ」
平塚「………こんな時に強がっても意味がないぞ、お前は自分が気付かないだけで相当精神的に来ているはずだ、なんせ声に張りがなく弱々しい……表情がわからなくとも分かる」
八幡「…………」
平塚「お前はいつまでこんな糞みたいな態度を取るつもりだ?今のお前には仲間がいるじゃないか」
八幡「仲間ですか?そんな関係を持った覚えがないですね」
平塚「なっ!?」
八幡「ぼっちの自分が周囲にとって無価値なものであると思っているのでね」
平塚「お前……本気で言っているのか?雪ノ下や由比ヶ浜の事をどう思っている?」
八幡「本気ですよ嘘なんてついたって仕方がないでしょ?それにアイツらは悪魔で同僚なだけで、それ以上もそれ以下でもないのですから」
こんなけの事を言ったんだ、普通の人ならブチギレて二度と見たくない程嫌いになる
そしてボッチライフを改めて開始する……ハズだった
平塚「真ん中から打ち砕く!!俺の自慢の、拳でぇぇ!!」ドカッ!!!
八幡「いでぇえ!!」ガクッ
いきなり俺の腹部に拳が入る、後に言う鉄拳制裁である
平塚「全く、私はどんなけお前を見てきていると思っているのだ?
今更そんな事を言って嫌いになるとでも思ったのか?
こんな戦略を考えている暇があったら、もう少し考えを改めることだな」
八幡『やっぱりこの人容赦ねぇ…それに通用しねぇか…この人には敵わねぇな』
八幡「暴力反対ーだから結婚出来ないままなのですよ」
平塚「うっ!?何故先週ドタキャンされた事が…………」
八幡『あ、地雷を踏んだ…………』
平塚「うぅ……もうそろそろ身を固めたいのに……」シクシク
八幡『頼むから、この可哀想な人を誰か貰ってあげて!貰っちゃうよ僕貰っちゃうよ!』
平塚「…………帰る」
八幡「へ?」
平塚「うわぁあああん!!」ビューン
八幡「…………足音からして帰ったのか?見えないけど」
嵐のように過ぎ去っていった、いったい何をしに来たのだろうか
それよりもう、疲れたので俺はエレベーターを使って病室に戻ることにした
PM 6:00 病室
ベットに横になり、ラノベを読むのが何時ものスタイルである
ベットとはいっても肉塊で内蔵のような感触であるが、それも今となっては悲しいことに慣れてしまった
ラノベも変な感触で血のせいでベトベトとしているが、黒字なので読めるのは読める
グゥウウウウ
腹から空腹を知らせるタイマーがなる、しかし用意されるものは全て吐いてしまうので最終的に点滴で終わってしまう
これまで色々な料理が出てきたのだが、食べれたのはユッケとハムだけである
病院なのでそんな物は出せるわけが無く、空腹が増すばかりである
八幡「…………腹は減るしイライラしてラノベの内容が入ってこないし、今日はもう寝ようかな」
俺はベットの隣に置かれている机(肉塊)にラノベを置き、目をつむる
腹が減ったときは寝ることによって誤魔化しているのだ
しかし、今回は少し違った
沙耶「フフッ、苦労しているようね」
八幡『オカシイ…………まだ意識があるハズなのに夢の少女の声が聞こえる、幻聴だろうか…』
沙耶「私が助けてあげようか?」
八幡『嘘だろ……俺は幼女の声で気遣いをされる幻聴を聴くほどにまで追い詰められていたのか……なんだか虚しいな』
沙耶「無視すんなやゴラァァァァ!」ジンジン
八幡「イデデデデデデデデ!!!!」
思わず叫んでしまう程の頭痛が走る、その威力は頭を抱え込んでもがく程である
看護師「だ、大丈夫ですか!?」
八幡「…………あっ、はい、大丈夫です」
念のため周りを見渡すが、誰も居なかった
看護師は別室で監視カメラから病室の様子を確認しているので、その姿は無い
さっきの看護師の声もスピーカーによるものである
沙耶「これで信じてもらえたかな?」
どうも頭に直接話しかけられているようだ、中々信じられた事じゃないが、聞こえてくるので仕方がない
八幡『で、なんのようだ?』
沙耶「空腹で苦しいという悩み、助けてあげれないことも無いよ」
八幡『そんな事、可能なのか?』
沙耶「可能よ♪方法は簡単、夜中に貴方の意識を私に譲ってくれれば良いのよ」
八幡『何をするつもりだ、このクソビッチが』
沙耶「親切に助けてあげようて言うのに失礼ね」
八幡『大体人を乗っ取ろうとする奴がしようとすることは、ろくでもない事だって相場が決まってます』
沙耶「………だけれど、いくら点滴で栄養を持っていようが、このままだと生命の危機に関わるわよ」
八幡『俺の体は俺が決める』
沙耶「その意欲はどこまで続くか楽しみにしているわ♪」
八幡『言ってろクソビッチ』
しかし、ここ最近自分の顔を見ていない気がする
余り気が進まないが、スマホを取り出し内カメラで自分の顔を確認する
するとこれが切っ掛けで意外な事が解った
八幡「…………ほう」
画面に写りだされたのは、背景が相変わらずの肉塊で蛆虫がわいているのだが、自分だけがまとものままで写っていた
どうやら自分だけまともに見えるらしい
八幡「しかし、酷い顔面な事……顔が痩けているじゃねぇかよ、たった四日間でこの様なのか……ルックスだけ俺の取り柄だったのによ、どうしてくれるんだ」
〈グゥウウウウ
八幡「腹が減った…………はぁ」
…………………………………………………………………………………
AM 2:15 病室 月曜 沙耶視線
八幡「zzzzzz」
沙耶「……悪く思わないでね、でも仕方が無いのよ」スッ
私は強引に比企谷の身体に憑依した、簡単に言えば乗っ取る事である
八幡「…………」ムクッ
スタスタスタスタ
ガララ …………バン!(ドアを開けて閉める音
AM 2:18 トイレ前
「はぁ、やっぱり夜中の病院って慣れないものね…やっぱり怖いわ」
見た目20代前半で丁度大学を出たばかりであろう女看護師がトイレから出てきたのだ、丁度この時間帯は非常口表示以外の電灯は消灯しており動く際は懐中電灯を持って明かりを照すのが一般的である
〈パン!!!…パン!!!
「ひぃっ!?だ、誰かいるの!?」アタフタ
若手女看護師は懐中電灯で辺りを照らし確認する
すると人影らしき影が写りだされた、そこにいたのは八幡の姿
八幡「…………」
「はぁなんだぁ、比企谷君でしたか……どうしたのですか?こんな時間に、目隠ししてない見たいですが大丈夫ですか?」
八幡「………テラサナイデ、ボクヲ、トイレニツレテクダサイ」
「え?あぁ、そういうことでしたか、わかりました!私が補助になってあげますよ!」
どうやらこの若手女看護師は、八幡の病状を詳しく知らないようだった
若手女看護師は八幡の手を肩に握らせて、トイレに誘導させる
AM 2:20 多目的トイレ《車椅子マーク》
《注意。グロテスクな表現があります》
「わ、私もトイレの中に入ってよかったのでしょうか……でも患者様の為だもん仕方が無いよね、でも」ブツブツ
この多目的トイレ、監視カメラ無し暗闇の中
若手女看護師と八幡は二人きりの状況
沙耶『悪く思わないでね♪若い者』
八幡「…………アノォ」トントン
「はい!どうかしましたか?」
若手女看護師が振り向いたその時だった
八幡「」ガシッ!!!!
「ウグッ!?」ギュゥゥ
右手で若手女看護師の首を握り締める、何とか振りほどこうと抵抗するが、プロレスラー級の握力で握り締められた右手は、外れる事が無い
「は、はなじでぇ」ガクガク
八幡「フンッ!」ゴスッ!
八幡は空いていた左手で腹パンを食らわす
「ウゲェ!!!」
看護師はアへ顔になり口から舌を垂らしていた
でもこの状態でも抵抗してくる
八幡「……」ゴスッ!!!
「アガッ!!」シューン
今度は子宮にあたる部分を左手で殴る
彼女は小便をもらし、口からは泡をふいており身体は痙攣して仰向けで倒れ込む
まだ意識があるみたいだが、この状態から悲鳴など出せない
八幡「…………」ビリッ!
彼女が着ていたナース服を破りちぎり、ブラジャーを引きちぎり立派な胸《D》を表にする
そしてパンツも破り捨てる
全裸にされた彼女だが抵抗もせず白眼を向いている
沙耶『普通に殺しても面白くないわね、一層の事拷問してあげようかな』
すると彼の体で、看護師の物だと思われるボールペンを拾い上げ、そのペンを芯を出し握りそのまま右胸に思い切り刺し込む
「きゃぁぁぁっ!痛いっ!」
流石に痛みには勝てなかったのか彼女はもがきだした
刺し込んだ部分から血が溢れだしており、布化としたナース服が血でそまる
「そ、そんな。なぜ、わたしが何をしたっていうの?キャッ!」
八幡は刺さったボールペンを抜き出し、また右胸に刺し込んだ。看護師の顔は青ざめ、額には脂汗が吹いている
「痛い、もうやめて。こんなことして、楽しいんですか」
八幡「……」
憑依されている彼に感情と言うものがなく、ただ私の思うがままに動いている為、真顔のままである
「いたーっ!や、やめて、もう耐えられません!」
沙耶『アハッ♪癖になりそう♪』
〈グサッグサッグサッグサッグサッ
興奮した私は、さらにボールペンを打ち込んだ。
50回ほど、打ち込んでも、看護師は意識を保っていた。苦しそうに息をしている。
沙耶『どうせならもっと刺激を!』
彼女と会う前に、手術室から取ってきた大量の縫い針を取り出す
そしてその針を乱雑に乳房に刺し込んだ
「あっ!あっ!いたぁぁぁぁぁっ!や、やめて!お、おねがい・・・し、し・・ますぅ!お、おねがいで・・す、すから~っあ~~っ!」
約70本の縫い針が全部刺し終わる頃には看護師の胸はお花畑のように針の頭部に埋め尽くされている。
八幡は、両手で乳房を握りつぶすがごとくもむ
「ぎゃあああああっ!やめて!い、いたい!死んじゃいますぅ!」
70本の縫い針先が、乳房の内部を掻きむしっていた。
看護師は逃れようとと暴れるが、化物の力をもった八幡の怪力にはかなわない。
沙耶は、看護師の悲鳴にさらに興奮して乱暴に乳房をもみはじめた。
「じ、じぬぅ!!」
沙耶『おっぱい飽きてきたわね、今度はしたかしら?』
八幡は、陰毛を鷲づかみにして引っ張った。
「痛い!や、やめてください!」
悲鳴で大きく開けられた看護師の口内に八幡がトイレ清掃用の管を挿入してゆく。
喉につかえるように、わざと乱暴に挿入する。
管の回りに付いた弁が喉を擦り上げ、嘔吐感が込み上げてくる
看護師は目尻に涙を浮かべて耐えてるが、八幡は弁を喉にこすり付けるように、管を送り込んでは引っ張りだすのを何度も繰り返す。
激しく込み上げてくる嘔吐感に看護師の腹筋が大きく痙攣する。
管が胃まで届いたのを確認し、八幡がポンプのスイッチをいれると、水が強制的に看護師の胃の中へ送り込まれてゆく。
看護師は全身から脂汗を吹き出し、顔を真っ青にしながら耐えていたが、やがて白目を剥いて気を失ってしまった。
腹部を襲う激痛に看護師は意識を取り戻した。
口には相変わらず管が差し込まれたままであったが、ポンプは外され、代わりに栓が差し込んだ。
その状態で腹部に対して殴りまくる、彼女は泡吹きを始める
乳房は、パンパンに腫れ、乳首からは母乳が滲み出ていた。
「胸が、苦しい破裂しそうですぅ」
看護師は、うめいた。
どうやら彼女は妊娠していたようだ、乳管は妊娠した後、徐々に広がり出産の2,3ヶ月前まで配乳の準備を終える。まだ、未熟な乳腺は強制的に乳を分泌させられ、相当の負荷がかけられ、激しく苦しんでいた
八幡は、看護師の乳房を指でつついた。
「きゃあああああっ!い、痛いですっ、さ、さわらないで!」
看護師の悲鳴が上がる。
もし仮に乳房を解剖すれば腫れ上がっているのが解るだろう。触れられただけで乳房の奥深くまで激痛が走るようだ。八幡は、乳房を搾った
「いたぁぁぁっ」
はねるように悶える看護師。乳首から、黄白色の母乳が飛び散った。
八幡は乳首にむしゃぶりついた。
「いたい、痛いーっ、や、やめてください!」
母乳などは普通、成人が味わえばけしてうまいものではない。しかし、泣き声を上げながら搾り出される母乳は私や体の主である八幡にとって何ともいえない味であった。
看護師は、乳首から、絶え間なく母乳をながし、腫れ上がった乳房を嘖まれ、悲鳴を上げつづけた。
こんどは彼女の身体を立たせる
八幡は、清掃用のホースに血まみれの縫い針を刺す、この様はまるでサボテンのようだ。
「ひぃーっ」
彼女は震え上がった。こんなもので突かれたら死んでしまうかもしれない。
「い、入れないで・・・・」
膝を抱え脚を開かせた彼女の体は、宙に浮き、手首に体重がかかり、千切れそうに痛んでる
「い、いれないでーっ!ぎゃあぁぁぁぁぁっ!」
ホースが、柔らかな肉を引き裂きながら、看護師の体内に没していく。
「い、い、いたあぁぁぁっ、だ、だめですっう!う、動かさないでーっ!」
八幡は、容赦なく、突き入れていく。
「あうううっ!だ、だめぇぇぇっ!」
奥まで射し込んだ八幡は、激しく振り始めた。
「ぎゃあああぁぁっ!い、痛いーっ!」
看護師は内臓が引き出されるような激痛に悶え狂う。が、苦痛を増すだけだ。
「ヒーッ、ヤダッ、ヤダよ。ヤーッ」
彼女の抵抗や悲鳴、哀願などは私を興奮させ、ますます、動きが激しくなっていった
マンコからは大量の愛液ではなく血が流れ出ていた
「…………」ピクッピクッ
彼女は、この時点で痙攣だけしていたが白眼を向いて泡を吹き出し何も言わなくなり、しだいに痙攣も止まり動かなくなってしまった
沙耶『もう壊れてしまったの?面白くないわね仕方が無いから本来の目的に取り掛かりましょうかしら』
〈グチャ ボキッ クチャクチャ ゴキン!! グチャ………ゴクンッ!!
八幡「……」バタンッ!!
こうしてトイレを後にした、そのトイレに彼女の姿は無かった
それに全監視カメラが昨日撮影された動画を再生していたという不気味な事故があった
AM7:10 病室
彼が普通に起き、顔を洗いに洗面所に向かっていた
八幡「なんだ?口のなかが妙に鉄ぽい味がする……」
疑問に思った彼は口の中に指を入れ、周りをなすくる
その結果、指には血が付着していた
八幡「寝ているときに、口内炎でも出来たのか?」
こうして彼の今日の一日が始まるのだ
…………………………………………………………………………………
AM8:40 教室 川崎視線
ごくごく普通の教室、ザワザワと騒がしく何一つ変わらない光景だ
しかし、比企谷の席は空席であり由比ヶ浜も元気が無いように見えた
そして教室のドアが開き担任の先生がおはようの挨拶をする、これで朝のホームルームが始まる
ただ、いつもなら適当に点呼をつけて教室をでるのだが、今日は重い面立ちで教卓の前に立っていた
先生「えーとだな、欠席をしている比企谷の事なんだが…」
「……だれ?」
「そんなやついたか?」
「アイツだよ、文化祭の時に罵倒したアイツだよ」
「キモかったよねー」
川崎『お前ら、いくら本人が居ないからって、もう少しオブラートに包むとかしろよ……』
葉山「まぁまぁ、落ち着けって」
「彼が事故に合いましてね、今ニュースで報道されているガソリンスタンドの事故の被害者であり、重傷を負い入院したとのことで暫く学校に来れないらしいです」
川崎『な、なんだと……本当にアイツが……』
私は知らなかったといえ、間接的にアイツに対して酷いことを言ってしまった
なにが無関係だ、十分に大有りじゃないか
そんな中、アイツに対する中傷的な声が飛び交う
相模「フフッ、ざまぁないわ!!」
「そんよ!あんなヤツ、バチに当たったんだわ!」
「ゴミが消えてせいぜいしたな!」
相模「バチが当たったのよ、クソヤロウ」
すると彼女は比企谷の机を蹴り倒し、ホコリまみれにする
便乗し他の人達も賛同する
川崎「お、おい、なにしてんだ」
ふと先生の方に振り向くと、止めようとはせずうつ向きになり、ニヤけた顔を隠していた
彼の評判は先生達からも悪いのだ
狂っている……コイツら全員狂っている、そんな彼女たちに対して我慢の限界だった
川崎「いい加減にしろよ!!テメェら!!」
相模「えっ…………か、川崎さん?」
川崎「こんなのっておかしいだろ!?テメェらがやっていることは虐めだぞ!?」
相模「何を言っているの?彼は文化祭の時にそれに価するほどの事をしてきたのよ!?」
川崎「この際正直言わして貰うが、あの時にアイツに言われたこと、図星じゃないのか?」
相模「川崎さん!!もしかしてアイツの肩を持つ気じゃないでしょうね!?」
川崎「悪いがそのつもりだ、今お前がやっている事は唯の陰湿な嫌がらせだ」
結衣「…………」
相模「あ、貴女はあんな糞野郎の考えに賛同するとでも!?」
川崎「全て賛同する訳じゃない、ただ人の不幸を笑いそれを良いことに陰湿な嫌がらせをしているお前の方が糞野郎だと思うがな」
相模「なっ!?」
川崎「先生、アイツが入院している病院は!?」
先生「え、えーと、」カクカクシカシカ
川崎「……わかった、アイツの場所が分かればここにいる必要はないな」
こう言い放つと通学カバンをもち、教室を出ようとした
すると丁度出入口辺りで
相模「どこにいつくもりよ」
川崎「テメェらに関係無い、それにこんな居心地の悪い所に居たくないのでね」
こうしてこの場を後にした、こんな狂った教室にいるより、今はアイツの元に行ってやるべきだと判断したのだ
AM 10:00 大学病院
時間帯が時間なので、端から見たら私は学校をサボってうろついている不良とでも思われているのかチラホラと視線を感じたが気にしない
警察に足止めを食らった時も合ったが、適当な理由をつけて誤魔化した
そんてなんとか大学病院にまでたどり着く事が出来た
ここは受付窓口に行くべきなのかと思い
川崎「すいませんが、ここに比企谷八幡が入院していると思うのですが、お見舞いは可能ですか?」
「比企谷さんですか、少しお待ちください…………はい、すいませんが貴女の名前を教えて貰っても構いませんか?」
川崎「川崎 沙希です」
「はい……川崎 沙希さんですね、わかりました少しお待ちください」
待つこと10分ほど、お見舞いなのにここまで時間が掛かるのだろうかと不思議に思ったが、素人の私が言えることではないだろう
そしてマイクで私の名前を呼ばれて、さっきと同じ窓口に行く
「比企谷さんの病室は809号室となっております、入る前に部屋の前にたっている看護師から諸注意をお聞きしてください、それではどうぞ」
川崎「ありがとうございます」ペコッ
エレベーターで8階まで行く、病院内は思った他広く病室一つ一つが大きく別けられていた
809号室前に行くと、言われた通りに看護師が待機して立っていた
川崎「すいません、お見舞いにきた川崎という者なのですが」
「はい、話は聞いております、それでは先に諸注意の説明をさせていただきます…………」カクカクシカシカ
川崎「…………はい、わかりました」
「それではどうぞ、お入り下さい」
さっきの看護師の話を聞いただけで嫌な余寒はしていたんだ、なにより注意の内容がよくわからなかった、何故それが駄目なのかという所で駄目だったり
意を決して重く閉ざされたドアを開く
川崎「失礼します……元気して……た……か」
八幡「予想もつかない客が来たな」
衝撃的だった、3つほど繋げられた点滴と栄養材
目には目隠しが付けられており、ものかけには白杖が置かれてあった
あっちこっち巻かれた包帯
川崎「…………私は、どうお詫びしたらいいか…………」
八幡「それより京華ちゃんは怪我してないのか?」
川崎「あぁ、お前のおかげで何処も怪我すること無く無邪気で元気しているぞ」
八幡「それはよかった」
川崎「なぁ、比企谷……今、お前の病状を教えてくれないか?」
八幡「なんでお前に話さないといけないんだ」
川崎「お前らしい返答だな、そう言わずに話してくれないか」
八幡「俺はボッチだボッチライフが好きなんだ」
八幡「だから一人の時間はもっとも重要なんだ、同情なんて求めてねぇんだよ」
川崎「………こうしてお前は人が嫌がることを、言い孤立を計ろうとする…なんでお前はいつもそういうやり方しか出来ない?」
八幡「葉山と同じことを言うんだな、お前も」
川崎「誰だそれ?」
八幡「……俺のことより自分の事を心配した方が良いぞ多分」
川崎「まぁいい、それに今さらお前の事を拒むつもりもなし、私はお前を介護することにした」
八幡「なんでだよ、京華ちゃんを助けてくれた恩返しですか」
川崎「駄目か?」
八幡「はぁ……さっきも言ったが俺はボッチライフを満喫したいんだ、それにこういう恩返しとかお節介な事をされるのは嫌いなんだ」
川崎「では言い方を変えよう、私が好きでやる事だ、例えば目の前に年寄りが困っていたら自然と助けてあげることと同じだ」
八幡「学校をサボって来た人から、このような言葉を聞けるとはな」フッ
川崎「潰すぞテメェ」
八幡「す、すみませんでした」
川崎「まったく……まぁいい、にしてもお前白髪が何本かはえているぞ、ストレスが溜まっているのか?この様子だと目の下の隈もひどそうだな」
八幡「だろうな、こんなに窶れた顔は俺自身も初めてだ」
川崎「え?失明したワケではなかったのか?」
八幡「人を勝手に失明と決めつけんな、と言いたいところだけど、この姿だと勘違いされても仕方ないか」
川崎「なんで目隠しなんてしているんだ?薬の副作用か何か?」
八幡「薬の副作用だったらどんなけ良かっただろうな」ボソッ
川崎「なんか言ったか?」
八幡「いや、なんでもねぇ」
川崎「…それとな、由比ヶ浜達からお見舞い来てくれたのか?」
八幡「一応来てくれた」
川崎『やっぱりな、朝からあんな表情をしていたんだ、土日のいずれかに訪れたのだろうか……』
川崎「あいつらにも病状の事は説明しなかったのか?」
八幡「…………俺からはな」
川崎「どういうことだ?」
八幡「川崎、お前はこの部屋に入る前に看護師から注意を受けただろ?」
川崎「まぁ、何故駄目なのか分からないけど」
八幡「あの時はその注意事項の説明を受けていなかったんだ」
川崎「アイツらって、他に誰か居たのか?」
八幡「雪ノ下と由比ヶ浜と戸塚だ、話を戻すが注意事項を知らないアイツらは、ためらいもなく禁を破ったんだ」
川崎「その……お前に触れてはいけない事とか目隠しを外してはいけないとかか?」
八幡「その通りだ、過剰反応した俺はアイツらに襲いかかってしまった……」
川崎「イマイチ理解が出来ないんだが、その過剰反応ってなんだ?」
八幡「…………仕方が無いか、この際だし俺の病状を説明したほうが楽そうだ」
こうして私は比企谷から、今の病状の全てを話された、謎の化け物の事や臓器のような感触や味覚異常の事も全て聞いた
白髪の事や窶れた顔の理由がはっきりとわかった
そして、目隠しの重要性を知った
誰も家族や知人が肉塊の化け物になった姿なんて見たくないだろう
こうしている内に時間は刻々とたち、時計の針は午後の2時半を指していた
川崎「すまないが比企谷、もうそろそろ京華を迎えに行かないといけない……京華もお前に会いたがっていたことだし、次来るときは京華も連れて行くよ」
八幡「そうか、気を付けて帰れよ」
川崎「フッ、普通に気の効いたこと言えるじゃんか」
こうして私は病室を後にした、それにしてもこんなにも比企谷と話したことは初めてだ、もしかしかたらこれが彼の人生で一番話した瞬間だったかもしれない
そこであることを察した、アイツの事だからわざと嫌われて誰も寄り付けないようにすることによって後遺症の負担を減らそうと考えたのだろう、でも看護師と担当の医者し話せない為だろうか、意外なことにアイツから話し掛けて来ることが多かった
そんなアイツの姿や素振りを見ていたら、皆が言うほど嫌な奴じゃないと確信が持てた
恐らく今の現状だと、まともに話せるのは私だけだろうから、アイツ曰くお節介なお見舞いを続けさせて貰う事に決めた
これがアイツの心のケアになるというなら
…………………………………………………………………………………
PM 6:10 放課後の学校の廊下
日が暮れるのが早い冬の夕方、大抵のクラブは早くなった完全下校時間に合わせて早目に切り上げでいた
勿論廊下には人気がなく明かりも点々と着いているだけで薄暗い
平塚「寒っ!本当に冬の廊下って慣れないものね…まぁ当番で完全に閉まる前に見回らないのは分かるけど、だれも学校になんて忍び込んだりしないっての!」
自称まだアラサーの独身先生は愚痴りながら校内の見回りをしていた
雪乃「あら平塚先生、こんな所にいたのですか探しましたよ」
平塚「お、雪ノ下か、部室の鍵を返しに来たのか?御苦労様」
雪乃「はい」チャリ♪
平塚「そういえば由比ヶ浜はどうしたんだ?」
雪乃「今日は来ていませんね、一昨日の今日ですからショックが続いているかもしれないので深く考えていませんが」
平塚「少し気になるな…あ、言っている側から彼女の教室に来たな」
先生は戸締まりの点検を行う、しかし本来鍵がかかっているハズのドアが開いていた
平塚「あれ?鍵が開いている…」
普通なら鍵を閉め直して終わりなのだが、この日は何故か明かりのない教室からシンナーの臭いと物音が聞こえていた
雪乃「誰か居るかもしれませんね」
平塚「そうみたいだな、面倒だがこれが仕事の一貫だからな仕方がない……確認してくるか」
先生は携帯していた懐中電灯に明かりをつけ、教室に入る
平塚「おい、下校時間はとっくに過ぎているぞ!さっさと荷物をまとめて早くここを出ろ!」
そう言い放ち、懐中電灯で周りを見渡す
すると人影が写り出され、近付くと見覚えのある後ろ姿だった
平塚「……って、由比ヶ浜じゃないか!こんな暗闇で何をしているんだ?」
問い掛けてみるが、反応が無くそのまま黙々と作業を続ける
平塚「言わないなら勝手に見させて貰うぞ…………って何だ…これは」
先生は完全に固まってしまった、それを見かねた雪乃は先生の所まで歩み寄る
そしてまた、彼女もフリーズ状態になる
雪乃「これは、流石に酷いわね…………」
そこにあったのは、比企谷の机に落書きされており、内容が【ゴミクズ】や【このまま死んでくれ】や【キモいんだよ】など、悪意のある言葉がマジックペンで書かれていた
これらの言葉はまだ軽い方で、もっと酷い中傷的な事も書かれており、由比ヶ浜は無我夢中で
雑巾で消していた
冬場なので手は霜焼けで悴んでおり、真っ赤に染まっているのに対し関係無く消し続ける
結衣「皆酷いよ…ヒッキーが一体何をしたっていうのよ……」
雪乃「人とは嫌な生物よ、一度流れが出来ると自分もその考えに便乗する、それが自分になにもやられていなくとも関係無しに」
平塚「おい!ここの担任の先生は誰だ!この現状を知っているのか!?」
結衣「平塚先生、無駄ですよ……ここの担任はヒッキーの事を厄介者扱いしてますから」
雪乃「やっていることが中学生と同じね、しょうもなくて幼いのよ」
平塚「誰がこんな事をしたんだ…」
雪乃「検討はつきますがね」
平塚「雪ノ下、心当たりはあるのか?」
雪乃「ここにいる人全員、冷静に考えたら直ぐにわかると思いますよ、心底彼の事を恨んでいる人なんて」
平塚「相模か……」
雪乃「一度彼に面子丸潰れの危機に追い込まれた事がある彼女なら、やりかねない事だとおもうのだけれど…由比ヶ浜さん?彼女に何か変わった事あるかしら?」
結衣「……確か、今朝のホームルームの時にかなりヒッキーの悪口を言っていたよ」
雪乃「決まりね」
平塚「てか、同じクラスなら誰が何をしていたかなんて分かるハズだろ?」
結衣「それが、まだ私立ち直っていないので周りを見る余裕が無くて……」
平塚「そうか……一応その可能性があるということで目を光らせておくとするとしてだ、由比ヶ浜、お前はもう帰れ」
結衣「!??な、なぜですか!?まだ落書きが落ちていないのですよ!」
平塚「お前の意思は認める、だがこんな冷える時期に冷水をさわり続けた手は限界を超えているだろ?」
結衣「…………」
雪乃「それにしても、この落書き…とれにくい油性のペンを使っているわね、悪意を感じるわ」
平塚「とりあえず、片付けてさっさと帰宅しろこの事は校長に報告しておくから」
こうして先生は片付けをさせて生徒二人を帰宅させた
そして二人は一緒に下校することになった
結衣「……ごめんね、ゆきのん、部活サボっちゃって」
雪乃「気にすることは無いわ、今日も誰も来なかったし」
結衣「にしても、ゆきのん、部活よりヒッキーの事を優先しそうなのに、どうして?」
雪乃「それはあり得ないわ由比ヶ浜さん、女子に手を出すような入院患者に気にかけるつもりも無いから」
結衣「でもあれは、そうなった理由も説明されたじゃん!仕方がない事だよ!」
雪乃「それだけで片付いたら警察はいらないのよ、いかなる理由があろうと犯してしまった罪は有罪となるのよ」
結衣「それじゃヒッキーの事を許さないの!?」
雪乃「そ、そういうわけじゃ……」
結衣「ゆきのんもクラスの皆と同じことを言うんだね」
雪乃「由比ヶ浜さん!?誤解」
結衣「もういい!!ヒッキーは私が介護するから!!」ダッ
雪乃「………行ってしまった、後でメールを使って誤解を解くとして」
雪乃「もう少し、マシな尾行の仕方をしたらどうかしら?一色いろはさん?」
雪乃は後ろに振り向き自動販売機に対して指を指す、その自動販売機には少しながら学生鞄とチャックに付けているストラップがはみ出ていた。
一色「…やっぱりバレていましたか先輩、いつからです?」
雪乃「最初の門から出る辺りから気付いていたわよ、それにしても私たちの会話を盗み聞きだなんてね……」
一色「だって仕方がないじゃないですか!比企谷先輩が学校を欠席していると聞いて、本人に電話やメールを繰り返しても無視されるし!」
雪乃「流石にここまでしたら気持ち悪いわね……」
一色「それなら由比ヶ浜先輩に聞こうと思って教室に行ったら先輩めっさ暗い顔をしてて聞こうに聞けなかったし!」
雪乃「どうして貴女はここまで彼の事を探るのかしら?何か用事でもあったかしら?」
一色「えぇ、鬼のように溜まった生徒会の仕事を手伝って貰おうと思ってまして!」
雪乃「それぐらい自分でやりなさいよ、奉仕部はこんな事の為にある訳じゃ無いの、それに同じ生徒会の城廻先輩に助けてもらったらいいじゃない?」
一色「いやぁ、先輩に迷惑を掛けたく無いじゃないですかぁ!」
雪乃「比企谷君なら別に迷惑を掛けてもいいとでも?」
一色「えぇ、以前ならそう思っていました」
雪乃「以前?今は違うとでも?」
一色「そりゃあ、比企谷先輩…入院しているのですよね?流石に患者に仕事を押し付けるほど外道じゃありませんよ」
雪乃「よく言うわね、それに尾行してきたのは比企谷君が音信不通欠席の理由を知るためだった、というところからしら?」
一色「間違ってはいません、ただ比企谷先輩がどのような様態なのか、まだ聞いていません」
雪乃「悪いけれど貴女が知りたい事は私の口から、いや私以外関係者全員も貴女に教える事は出来ないわ」
一色「……ここまで来てそれは無いんじゃないですか?」イラッ
一色は急にイラつき始めた、彼女の性格上当たり前だろう、ここまで時間をさいて尾行までしたのに門前払いされたようなものだ
雪乃「残念ながら病院側から言われていることなの、彼のプライバシーに関わることだから」
一色「先輩からこんな言葉が聞けるとは思いませんでしたよ」
雪乃「貴女、喧嘩をうっているのかしら?」イラッ
一色「そんなつもりは無いですよ、しかし先輩の言い方でしたら結構重傷なのですか?」
雪乃「捉え方は貴女の自由よ」
一色「先輩らしいですね、隙が無い」
雪乃「まぁ、これだけは教えてあげてもいいわ」
一色「?」
雪乃「ここから一番近い大学病院、そこが彼が入院している病院」
一色「大学病院!?それって大丈夫なんですか!?」
雪乃「それは私が一番しりたいわよ!!!!」
一色「ッ!?…………す、すみません」
雪乃「私は…酷い女よ、人の事を考えずに罵倒する酷い女よ」
一色「せ、先輩?」
雪乃「この前貴女は私に言ったわよね、本当に腐ってしまったらどうするの?って……私は……そんなつもりじゃなかったのに……」
一色「先輩!どうしたというのです!?落ち着いてください!」
雪乃「……ごめん、ここは退いてくれるかしら?一人にさせて」
一色「……わかりました、状況を把握できたので大人しく退きます、何も知らない私が言うことじゃないと思いますが余り考え過ぎない方がいいですよ」
雪乃「気を使わしてごめんなさい、わかっているわ」
一色「では、また学校で会いましょう」
雪乃「……えぇ」
雪乃『なに強がっているのよ私……本当は部活よりお見舞いに行きたかったわよ、それが私の短所……ごめんなさい、みんな』
…………………………………………………………………………………
From病室 PM11:30 八幡視線
食っては吐いて寝ての繰り返しの生活を強いてられている、この食事がありつけないだけで相当のストレスが貯まっていた
たまには体を動かしているが、眼帯して白状を使っているので走るところか、まともに歩く事が出来ないので、またそこでイラつきストレスが貯まってしまう。
そして、何時もの通り沙耶という悪霊が俺の身体を乗っ取ろうとしてくるのである。
沙耶「身体かしてよー!」
八幡『やかましいぞっ!!このアマッ!!』
沙耶「てかこのやり取りをしたのこれで何回目なのだろう」
八幡『そんな事知ったことじゃあない』
沙耶「むぅーー…………あっ、そうだ!」
八幡『…………』
沙耶「貴方の意識はそのまま残しておくから、身体だけを交代するのはどう?」
八幡『妙に怪しいな、お前にはマイナスしか無いですよね』
沙耶「あら?案外そんな事無くてよ♪今の貴方は人を見てしまうと発作が出てしまいパニックになってしまう、だから私が視力と身体の自由を乗っ取り貴方は聴覚と意識はそのままにしてしまえば、私だって外の世界を見て回れるし貴方だって運動不足解消出来るじゃない」
八幡『……たしかに悪い話では無い』
八幡『その代わりに俺の意思に反した事をされたら困るから身体の自由は制限させてもらうぞ、それに俺は目隠しは取らないからな』
沙耶「えっ!?なんでよ!」
八幡『当たり前だバーカ、病院側から目隠しするよう言われてんだろ?それにお前は霊魂みたいな存在なんなら、別に目隠しいらないよね』
沙耶「それはそうだけど…なんかこの目隠し、気持ち悪いのよね」
八幡『そんなこと知らない、別に俺は寝てても構わないし、条件を読まない限り俺の身体を貸すつもりないからな』
そういいならがら八幡は、ベットの上でゴロンと寝転がる
沙耶「もう!わかったわよ!それでいいわよ!」
八幡『てかよ、霊魂なら俺が動かなくても幽体離脱みたいな事して自由に移動できないのかよ』
沙耶「それが出来たらそんなお願いしないわよ、取り憑いた宿い主から離れる事は出来ないのよ」
八幡『何かと霊魂も欠陥があるんだな』フッ
沙耶「うるさい!本当捻くれ者ね!」
こんな形で、なんだかんだで流れ的に彼女は俺の条件を読み目隠しをしながら白状を持ち、あるきはじめる
当たり前の事だが、目隠しと白状をついて歩いているのにスタスタと歩いていると明らかおかしいので、病院内では交代せず自分で歩いた
八幡『ほら、病院を出たぞ』
沙耶「サンキュー、右手と聴覚と口と声帯だけ自由にしてあげる」
八幡『身体が勝手に歩き出したけど』
沙耶「そりゃあ貴方の身体を乗っ取っているんだもん」
八幡『なんだか変な気分というか、慣れないなまるでロボットのようだ』
よくよく考えれば、白杖の経験の無い沙耶には仕方が無い事なのだが
自分の右腕で白杖を突くスピードより、早いスピードで歩いている
目隠しをしているのにもかかわらず障害物に当たること無くスラスラと病院付近を散歩していると
「あ、ヒッキー!!」
沙耶「おい、誰じゃ?」
八幡『由比ヶ浜 結衣だ、声で直ぐにわかった』
沙耶「私にとって興味が無いんだけど」
八幡『まだ時間はいくらでもあるだろ?少し待ってくれないか』
沙耶「…わかったわよ」
八幡「由比ヶ浜か、こんな時間でこんな所で何してる?そもそも今日平日だろ?学校は?」
結衣「学校はサボっちゃった!それにちょっと散歩をしてて」
八幡「お前が学校をサボるとはな、今日の天気はかなり荒れそうだな」
結衣「えっ!?それってどういうこと!?」
八幡「…学校で何かあったのか?」
結衣「…え?」
八幡「声に元気が無かった、それにお前が学校をサボるなんて考えられないからだ」
結衣「何も…ないよ」
結衣『言える訳ないよ…学校ではヒッキーの扱いは最悪だって事』
八幡「まぁいいたくなければいいけど、別にお前が何されようが知ったことじゃないし」
結衣「聞いてきたのヒッキーの方じゃん!」
八幡「知るかバーカ」
結衣「馬鹿って言う方が馬鹿なんだから!バーカ!!」
そんな他愛もない会話をしていると自分の左腕が勝手に動いている事に気づく
その左手は真っ直ぐ前に飛び出し、由比ヶ浜の左胸を握る
結衣「キャッ!?ヒッ、ヒッキー!??///」
手触りこそ生肉のような感覚だが、感触は柔らかくそのものだったので見えなくとも直ぐに分かった
八幡『おい沙耶、何をしている?よせ!このままだと公然わいせつで捕まるだろ!』ギュー
俺の意思を無視して左手は由比ヶ浜の胸を力強く揉み続ける
結衣「ヒ、ヒッキー////や、やめて!い、痛いよ!」
八幡『沙耶、今直ぐ離してくれ』
沙耶「何を言っているんだ八幡、こんなにも美味しそうな肉が目の前にあるんだ!」
すると自分の口が乗っ取られたのか、それも意思関係なく低い唸り声をあげながら犬歯を立てる
結衣『もしかして、症状が悪化してきているのかも…だってヒッキー、こんなに苦しそうでお腹も鳴っている…誰もヒッキーの苦しみがわかってあげれないだもの、だったらその苦しみや痛みを共有してあげれないかなぁ』
とうとう右腕も自由が失われ右胸も同様に掴む
この通りは高速道路の高架下にあり、人目もつきにくくなっているので、誰も止めてくれない
すると由比ヶ浜は急に大人しくなり、そっと俺の両腕を掴みだす
八幡『な、なにをするつもりだ…』
結衣「いいよヒッキー、お腹が空いているのよね?私を犠牲にして…胸くらい」
八幡『なに馬鹿な事を言っての!?おい!沙耶!頼むから止めてくれ!』
沙耶「本人が承諾しているんだ!こんなチャンスないわ!」
すると俺の身体は、由比ヶ浜に襲いかかるように前越しになり犬歯をたてた口は由比ヶ浜の首を狙って噛みつこうとしていた
八幡『よせぇ!!』ガブッ!
血がポトポトと地面に落ちる、それも量は段々と増していく
結衣「ひ、ヒッキー?な、何を…」
間一髪の所で無理やり自分の意思で自分の左腕に噛り付いていた
そして少し自由が戻ってきた右腕で自分の顔を勢いよく殴る
あまりの衝撃で唇を切り血が流れる
八幡「ペッ!い、いいか、自分を粗末に扱うもんじゃない」
結衣「ひ、ヒッキー…」
八幡『く、くそぉ…自分に合わない事を言ってしまった…俺のした事が』
結衣「…ヒッキーこそ、余り自分で抱え込まないで!」ぎゅー!
由比ヶ浜は、よろけてた俺を勢いよく抱きしめてきた
最初は気持ち悪くて突き放そうとしたが、思ったより力強く気持ち悪いの裏腹に人間の心の温かさがあった
そんな温もりを感じたのは、いつ振りだろうかと思いながら俺は抵抗する事をやめた
シクシク…ヒグッ
泣いているのか、すすり上げる音と心臓の鼓動を感じていた
そんな彼女は今どんな表情をしているのだろうかと思い目隠しを外そうとしたが、思い留まった
折角の所を台無しになるのが怖かったのだ
数分後………
八幡「学校で何かあったのか?」
結衣「別にどうでも良かったんじゃなかったの?」
八幡「少し気になったんだよ、悪いか?」
結衣「ううん、悪くないよヒッキー!」
八幡「…どうなんだ?」
結衣「実は…かくかくしかじか…」
八幡「…何だ、そんな事か」
結衣「えっ!?そんな事で終わらせるの!?」
八幡「おかしいか?」
結衣「おかしいよ!普通なら悲しいよ!腹が立つよ!」
八幡「まあ…お前ならそうかもな、でも俺は気にしない…相漠にそれそうをされてもおかしくない事を過去にした」
結衣「あれはっ!」
八幡「由比ヶ浜、気遣ってくれるのはありがたい…ありがとう」
結衣「ヒッキーに…今初めて素でありがとうって言ってくれた気がする…」
八幡「え?」
結衣「今まで痴女とかバカとかボケとかカブトムシみたいな匂いがするとかしか言わなかったヒッキーが…」
八幡「人をサディストみたいに言わないでくれるか」
結衣「だって今までのヒッキーはそうだったじゃん!」
八幡「……由比ヶ浜」
結衣「どうしたの?ヒッキー?」
八幡「さっきはごめん…」
結衣「へ?なんで謝るの?」
八幡「謝ったって許される事じゃない事を普通にした」
八幡『俺の意思ではないけど』
結衣「ああそれ…」あははは
八幡「なんなら、思いっ切り殴ってもいいし…訴えてもいい…覚悟は出来ている」
結衣「それはもういいの、ヒッキー」
八幡「…いいって?」
結衣「ヒッキーだって色々な事情があるんだよね?目はマスクで隠されて見えないけど…大変なんだよね?」
八幡『どうしてだろう、由比ヶ浜の言葉がグサッとくるものがある…俺はそんなに飢えていたか?』
結衣「ほら髪だってボサボサだし、直してあげ…たいけど、触っちゃあダメなんだよね…?」
八幡「仮に触れても、触らせないけどな」
結衣「もう!可愛くないんだから!」
八幡『よくよく考えたら、そんな事の為に悩んで抱え込んでコイツは学校をサボったんだよな…』
結衣「…どうしたの?」
八幡「いや、なんでもない」
八幡『コイツ、なんでこんなに手が霜焼けになってるんだよ』
……………………………………………………………………………
数週間後 学校
ザワザワ ザワザワ
「あいつ、なんで学校にいるの?」
「何よあれ、アイマスクしてるわよ」
「とうとう目まで腐ったんじゃね?w」
そう俺は退院許可が降りて、学校に登校した
ここまでの道のりが大変だった、俺は時間をかけてアイマスクを外して、肉塊みたいな人間を見ても動じないようにリハビリを繰り返した
そして晴れて外出許可を得る事になった
制服等は材木座が見舞いに来たから時に頼んで持って来てくれた
よって、この事は材木座と先生しか知らない事だ
俺らしくない事をしているのはわかっている、だが由比ヶ浜が隠したがっていた事をその目で知りたいと思った
そして、俺は由比ヶ浜の学校生活を元に戻さないといけない責任がある、俺は少し早く登校した
戸塚「八幡…退院したんだね」
八幡「…お、おう」
戸塚「そうなんだ…」スタタッ
八幡「?」
声からして戸塚なのは分かった、だがそれはどこかしら不気味な感じがした
戸塚の事だから、大袈裟なくらいに祝ってくれると思っていたが思い込みだったようだ
教室に入ると、早速陰口のオンパレードだった
それは入院する前からも変わらないのだが、久々に言われると中々精神的に来るものがある
そんな中、葉山だけは「退院おめでとう!」て、言ってくれたが俺はそれを無視して白杖で自分の席を探して座った
八幡「いたっ…なんだこれ」
尻から血が出て来た、その正体はボンドでつけられていた画鋲だった
それを見ていた男子生徒は必死で笑いをこらえていた
それは想定外だったが、念のためにクッションを持って来ていた為、難は逃れた
だが、これは序の口でしか過ぎなかった
数秒ペースで4人組の男子生徒が俺の耳元で何かしらの事を呟いていた
すると、その中の誰かが無理矢理アイマスクを外しにかかった
「なんでお前アイマスクしてんだ?気持ち悪いんだけど」
「とっちまえよ、どうせ演技なんだし」
「そうだぜ、こんなクズみたいな奴には制裁をしないとな!」
俺は抵抗する事無く、あっさりとアイマスクを外された
すると周りの男子生徒は一瞬だけ静まりかえった
当たり前といったらそうなるのかもしれない、アイマスクのおかげで目はずっと暗闇の中にいた、だから明るい所には弱くなっていた
その影響で日光や光を浴びるとすぐに目が真っ赤に充血する
「こいつ!目が真っ赤になってるぞ」
「ハハッ気持ち悪!!」
「見えてんのか?オイ!ウホッ!ウホッ!」
「やめとけって、頭と目が腐ってるから日本語分からないって、サルでも無駄だってw」
言葉こそはわかるが、俺には肉塊が何かしているにしか見えない
周りを見渡すが人間は全て肉塊だ、自分が座っいる椅子も内臓がぶち撒けられているように見える
だが、そればかり分かった事がある
コイツらは葉山がいない時にしかやってこない
もしこの光景を見たら葉山はあんな性格だ、恐らく俺を助けに来るだろう
コイツらも、それは分かっている
あと由比ヶ浜がいる時でも同じ事が言えるだろう
数分後
「おい、由比ヶ浜が来たぞ」
「うおっ!やべっ!」サッ
来たみたいだ、彼らはこの場を離れていった
俺はすぐにアイマスクを付け直す
いくら慣れたといっても身近の人間の肉塊姿なんて見たくなかったからだ
結衣「…ヒッキー?」
八幡「…」
結衣「た、退院…出来たんだ…」
八幡『やめてくれ』
その声は涙声で、まともな声ではなかった
そんなところを見たら、俺が泣かしたみたいになるからだ
その思いとは裏腹に足音はこちらに向かっきた、それも段々早く
だが、その足音は俺の目の前で止まった
結衣「どうして教えてくれなかったの」
当たり前の疑問だろうな、どうせ教えたら葉山とかにも伝わって
壮大な事をして来るに違いない、可能性はゼロに近いが少しでもあるのであれば対策をしておく方がいいからだ
八幡「聞いてこなかったからな」
結衣「でも私、ヒッキーの友達だよ?」
八幡「…知るかよ」
結衣「そんな問題じゃ」
八幡「病み上がりなんだ、消えてくれ」
結衣「…ごめん」
そういうと由比ヶ浜は、離れて行ってくれた
そして陰口のオンパレードが始まる
これでいいんだ、俺に近づくとろくな事にならない
………………………………………………………………………………
「えー、いいですか?これらは3つはサイン、コサイン、タンジェント、っていいます」
数学の授業が始まった、入院していた所為で全く授業が分からない
それでもノートをとらないといけないので、アイマスクを外して黒板に書かれている事を書き上げる
もちろん、黒板もノートも内臓がぶち撒けられているように見えている
黒板の文字は刈り込まれた様に血の様な字に見える
八幡『参ったな、本当に分からない』
こうして頭を悩まして頭をかいているとケシカスが乗っている時がある
恐らく投げられているのだろうが、それに近い事が今まであったので今更ながら気にしない
だが、今まで入院生活が長かったんだろうかメンタル面にズキっとくる
他にもプリント返却の時に、前から配られるのだが俺のプリントには、死ね、キモい、ゴミ人間、と書かれていたり
提出用のプリントが破かれていたりと、陰湿なイジメが始まっていた
それからと言うものの、休み時間は基本机にうつ伏せとなって寝ているが
嫌がらせは平然と続いた、唾を吐いて来たりガムをつけて来たりと悪質差が増してきた
……………………………………………………………………………
昼休み 学校
俺は病院から貰ったゼリーを吸っていると、足音が多数こちらに向かってきた
恐らくまたアイツらだろう、そう思っていた矢先だった
相模「比企谷、体育館裏まで来てくれない?」
八幡「ああ…」
俺は相模に従って体育館裏まで付いて行った
だが俺は知らなかった、その時教室には葉山も由比ヶ浜もいなかった事に
そして俺は体育館裏まで白杖ついてやって来た
相模「とりあえず上着を脱いでくれる?」
俺はそれに従い、近くのベンチに置いた
八幡「…で、何のようだ?」
と聞いた瞬間、重い拳が顔面に直撃する
思わず俺は反動でその場で倒れる
八幡「っ、」
相模「どうかしら?痛い?」
八幡「…そりゃまぁ」
相模「そう、やっちゃって♩」
相模の合図と同時に俺は髪の毛を引っ張られ腹わたを殴られた
八幡「うっ!?…」
胃が宙返りした気分で嘔吐感が襲いかかる、この拳の重さは恐らく空手部の生徒だろう
そして多数の生徒から借りられ続けた、途中からアイマスクは取れていたが、視界が朦朧としていてまともに見えなかった
「ヤベェ…癖になりそうだ!」
「しかも相手はクソ人間!俺らは成敗しているんだ!」
「何…超ウケるんですけど!」パシャパシャ!
相模「…どうして、こんな事をするのか聞きたい?」
俺は黙り続けた、どうせ聞いたところで予想はついているからだ
それより黙っていた方が、何もされずに済みそうだと判断した
相模「…まあ、言わないけど」
八幡『…言わないのかい』
相模「チクったらどうなるか、わかってるわよね?」
八幡「……」
相模「だんまりか…ま、いいわ帰りましょ」
「ザマァねぇな」ペッ
八幡「…はぁ、臭え唾だな」ベタァ
しかしよく考えた物だ、上着を脱せた理由には暴行がバレにくくするためだろう
相模の考えでは、恐らく俺はチクるような人間じゃないと想定しているんだろう
ま、その通りだけど…面倒ごとは避けたい
由比ヶ浜や雪ノ下に迷惑は掛けたくない
………………………………………………………………………
放課後
今日1日嫌がらせを受けた学校生活が終了した、本当ならもう学校に行きたくないと思うが
そう言うわけにはいかない、自分のせいで身内の人間が不幸になるのが嫌だった
もっとも切っ掛けは、由比ヶ浜の凍傷でもしたのか赤くなっていた手だった
材木座に詳しい事を調べさせたところ、由比ヶ浜は落書きされていた俺の机を一生懸命に拭き取っていたそうだ
俺がいなくなって平和になるかと思っていたら違ったようだ
肉食動物は標的が無くなったら、次の獲物を探す、その標的が由比ヶ浜になる可能性はある
不幸になるのは自分だけで十分だ、そう思い込ませた
八幡「…はぁ」
不思議な物だ、習慣って怖いものだ、
今日はそのまま帰ろうと思ったのに、自然と足が奉仕部の部室に向かっていた
今の俺が行ったところで何になる、それに俺から近寄ってどうする
引き返して帰ろうとしていた時だった
雪乃「……比企谷君?」
奉仕部の部室から出て来た雪ノ下に遭遇してしまった
タイミングが悪すぎた、それしか言いようがない
八幡「う、うーっす」
雪乃「あら、久しぶりね。あなた…と会うのは……何日ぶりかしら」
八幡「…ほんと、そうだな」
いつもなら
毎日会ってんだろ、どんだけ俺の記憶消したいんだよってツッコミ入れていた
それが本当に何日ぶりになるとは思わなかった
雪乃「……う、うぅ」ポロポロ
見なくたっていい、泣いているんだってことぐらいわかる
ほんと女子って、涙もろいものだ
八幡「…じゃ、帰るから」
雪乃「ま、待ちなさい!」
八幡「……俺、奉仕部、辞めるから」
雪乃「っ!?ど、どうして……………」
八幡「奉仕部ってのは奉仕させる部活だろ」
雪乃「……ぅ」ポロポロ
八幡「俺が奉仕されてどうする」
八幡『そう、これでいい』
俺は振り向きもせずそのまま真っ直ぐ下足ロッカーに向かった
雪ノ下のすすり泣く声はしばらく聞こえていた
振り向いても見えないんじゃあ仕方がない
それに彼女達から離れていくのに一番効果的な事をしたと思っている
一緒にいたら不幸になる
……………………………………………………………………………………
ニ週間後 学校
あれから暴行は続いた、日にちを重ねていく内にエスカレートしていった
相模は賢い、どんな暴行や悪行でも顔には一切傷付けなかった
おかげで身体中が 打撲 擦過傷 刺創 赤痣 といった傷だらけになっていた
八幡「なんで学校に行っているんだろうな」
もはや本来の目的すら忘れかけていた、それほど暴行がヒートアップしている証拠だった
登校中、すごく足が重たくなり嘔吐感が湧き出る
体が限界に来ているサインでもあった
川崎「比企谷…退院してたんだな」
八幡「あれ?なんだ、かわ……川島?」
川崎「川崎だ、ぶつよ?」
八幡「冗談だ、本気にしないでください死んじゃうから」
川崎「アンタが名前を間違えるからだ」
八幡「…久々ですね」
川崎「ああ、京華が体調崩しちゃってね」
八幡「大変だな…」
川崎「にしても、アンタ…ちゃんと食ってるか?あ、ごめん食べれなかったんだった」
八幡「なに、まさかこんな返ししてくるの?」
川崎「悪気は無かったんだ、でも本当に酷い顔をしているぞ」
八幡「元々だ」
川崎「目を見たらダメか?」
八幡「嫌だ」
川崎「だったらスマホで撮らしてくれ」
八幡「どうして?」
川崎「いいから、撮らせろ」
そういうと川崎は俺のアイマスクを無理矢理取り外した
登校中の道でなにをしているんだと疑問を抱いたが仕方がない
反抗したって勝てる相手じゃない
パシャ!!
八幡「これでいいか?」
川崎「あ、ああ」
八幡「じゃ行くわ」
川崎「お前は一緒に行こうとか無いのか?」
八幡「いや、別に」
川崎「全く…」ハァ…
八幡「じゃあ一緒に行くか」
川崎「うん」
………………………………………………………………
この日はどういう訳か、何もされずに済んだ
不思議な事もあるものだ
結衣「ヒッキー…」
八幡「なんだ?」
結衣「奉仕部に戻る気は無いの?」
八幡「無い」
きっぱりと言った、それに対して由比ヶ浜は少し動揺した
そう、俺は退部届けも出して正式に退部した
事故起きる前なら退部届けを出したら平塚先生に鉄拳をくらっていたんだが
今となっては先生も拝領したのか、すんなりと受領してくれた
その時に平塚先生に言われた言葉が「強く生きろ」だった
その時に「先生は早く結婚してくださいね」と言ったら恐らく最後となる鉄拳をくらってしまった
今の怪我であんな物くらってしまったら本当に死んでしまいそうだ
結衣「だったら今日は一緒に」
八幡「帰らない」
結衣「うっ…」
葉山「ヒキタニ…結衣に謝れ!」
やっぱり来たよ正義のヒーローさん
本当にそういうのを見ると腹が立って仕方がない
八幡「なんで、そもそも俺は今日病院だ」
葉山「だったとしても!ましな断り方があっただろ!!」
八幡「なんで、俺こんなに追い詰められてんの?」
葉山「わからないか!?」
葉山はそういうと屋上の時にみたいに胸倉を掴み握りこぶしをつくる
それは見なくても雰囲気で分かった
八幡「殴りたきゃ殴れ」
葉山「っ!?」
八幡「その方が喜びそうな人も少なからずいるだろうな」
相模「なっ…」
葉山「どういう事だ?」
八幡「お前も薄っすら気づいているんだろ?」
葉山「…どうして」
八幡「は?」
葉山「…どうしてお前は」
そっと葉山は胸倉から手を離す
葉山「そんな目をしているんだ…」
八幡「あ、ああ元からだ」
葉山「…」
そう…俺の目は一瞬だけ目が開いていても真っ暗になることがある
それはストレスが原因だと医師は言う、だから本当は入院して欲しいとのことだった
だとしたら今の俺は…瞳孔が開いて無い
ただ不気味な目、感情の無い目である
そして俺はその場を後にした
三浦「隼人!?大丈夫!?ヒキオ!!待っ」
葉山「いいんだ」
三浦「え?」
葉山「ほっといてあげてくれ、あそこまでいったら手遅れだ…」
結衣「…」
………………………………………………………………………………
次の日 体育館裏
「てめぇ、昨日チクろうとしたな!」ブンッ!
八幡「ふごぉ……」
ビチャビチャ……
相模「アンタの嘔吐は何回も見たけれど、いつも汁しか出てこないわね…」
八幡「…そりゃあほぼゼリーしか食べてないからな」
相模「あら可哀想ね、ほら?何か食べさせてあげましょうか?」
そう言うと彼女は虫カゴみたいな物からトングで芋虫を掴み取った
八幡「いや、気持ちだけで充分ですわ」
「ふぅん!!」ブンッ!
八幡「んげぇ…」ゲホゲホ
相模「ほらぁ?お食事ですよ?しっかりお食べ」ニッコリ
そういうと柔道部の男子が無理矢理俺の口を開けさせ、相模はその中に芋虫を入れ込んできた
口の中でウネウネと動き回る、凡人なら吐き出してもがき苦しむだろう
しかし、元々味覚と触感が死んでいる俺には何を食べても同じようにしか感じなかった
芋虫とゼリー、全部同じ味で同じ食感なのだ
八幡「グチャグチャ…」ゴクンッ…
相模「う、うそでしょ…」ドン引き
「吐くどころか、食いやがった…」
「しかも噛みながら…」
八幡「…予想外か?」
相模「どこのスネークよ…」
八幡「褒め言葉として受け止めていいか?」
相模「ちっ、まだ時間はあるわね?」
「あぁ、15分…全然あるぞ」
相模「容赦しなくていいわ、そこにスコップがあるからそれで殴ってやって」
八幡「っ!?」
「さ、相模…これはちょっと」
相模「は?今更何行ってんの?」
「…死ぬぞ?そんな事をやったら」
「さすがにゴミ野郎でも…」
相模の想定外な発言に周りの男子達も戸惑いを隠せない様子だった
俺でも想定外だった、中学校でもそんな事なかったぞ…
沙耶『…このままだと死ぬわよ?』
ここ1ヶ月、久々に出て来た沙耶だが正直絶望的な状況に変わりはない
八幡『お前なら、どうするんだ?この状況』
沙耶『知らないわよそんな事』
八幡『まあ、そうだよな』
沙耶『頑張って耐えるのね、貴方には見えないかもしれないけど彼らはやる気見たいよ』
八幡『そりゃ参ったな』
ここからはハッキリと覚えてなかった、途中から痛覚なんて死んでいたに等しい
それでも顔は綺麗な物で傷1つも無い、その代わりに顔から下は言わなくてもわかるだろう
沙耶『どうしてやり返さない?助けを求めない?』
八幡『やり返したら負けだ、それに助けを求めたらアイツらは俺の事を助けに来る…』
沙耶『それが何が嫌なの?』
八幡『…群れるのは嫌いなんだ』
沙耶『…よく分からないよ、何が貴方をここまで動かしているのか』
次の時間は体育だ、女子ははグランドのテニスコートでテニスだった
男子は体育館でバスケだった気がする、だがこんな身体で体育はキツイ…
この暴行は約10分間続いた、人間の集団心理なんて怖いものだ
1971年、アメリカ、スタンフォード大学で行われた「監獄」実験では、精神的に健全な学生を囚人と看守のグループに分け、24時間その役割を演じさせたという
当初、2週間続く予定だった実験は、囚人たちに対する看守グループの暴力が、制御不能なほどエスカレートしたことで6日間で打ちきりになるほどだった
それと同じ事が言えるんじゃないだろうか
八幡「…こんなに血が飛び散ってる」
あたりの砂地や校舎の壁が返り血で飛び散っていた
辺り一面、内臓がぶち撒けられて見えていても自分の血はハッキリと分かる
なんせ元々俺は、肉しか美味しいとしか感じない人間なのだから
焼肉屋前でいい匂いと感じると同じ事だった
俺は傷口から流れ出ている少量の血を、人差し指ですくい舐める
八幡「…アハ、ハハハハハ!!!!」
暴行が終わって20分後の事だった
笑いが止まらなかった、1ヶ月ぶりに美味しいと感じた物だった
地球上でヴァンパイアの気持ちが分かるのは俺1人だけだろう、そして…ただただ滑稽だった
八幡「ハハハハハ…いてぇ」
何のために俺はこんな暴行をうけているんだ
意味なんてない、
………………………………………………………………………………
その数分前 体育館
先生「出欠とるぞー、………あれ、比企谷はどうした?」
「彼なら保健室に行きましたよ!何せ体調が優れないとか」
先生「そーか、彼も大変だな…それじゃあバスケするぞ!」
〈はーい!!!
〈よっしゃああマジやったるで!!
何が保健室に行きましただ…よくまぁ平然と嘘がつける
この男子の中で1人だけ真実に気付いていた戸塚はイラついていた
戸塚『助けてあげたい…あげたい』
戸塚は八幡が来る前に、相模達に口封じされていた
「何かしたら貴方も同じ運命にしてあげる」
相模は文化祭以降、八幡以外に結衣にも恨みがあった
しかし、結衣は葉山グループと仲が良かった
あの勢力には太刀打ち出来ないと判断した相模は、ボッチでありそもそもの原因であった八幡に目を付けた
そして彼が入院中の間に様々な悪態を行なっていた
その周りには彼に対する、嫉妬、鬱憤、逆恨みとか言った感情を持った者が便乗して組織が出来た
しかし、結衣が放課後に八幡の机の落書きを落としている所が発見され事件が明るみに出た
そして仲間のうちの1人が自白し、相模グループ全員生徒指導行きになり一週間の出停処分された
だけど、それがかえって彼女達の鬱憤が溜まる切っ掛けとなった
相模と元々仲が良かった2人は離れて行き、立場は最悪にまで突き落とされた
自白した生徒は転校、ぶつける行き場の無かった彼女達だったが
一週間後、八幡が退院し学校に登校
それが全ての真相だった
〈ハハハハハ!!
微かながら笑い声が聞こえて来る
僕は先生にトイレに行くと嘘をつき、声のする方向に向かって走った
するとそこにあった光景は想像もできなかった
戸塚「あ、…あああ…八幡…」ペタンッ
思わずその場で尻餅をついてしまった、八幡の身体は虐待を受けた子供の写真より酷い怪我を負うっており
彼の周りの砂地や壁には返り血が飛び散ってあり、血がついたスコップが放置されていた
とてもじゃ無いが動けるような身体では無い
彼を助けようと歩み寄ろうとした、その時だった
〈アイツ…どうしてるか見ようぜ?
〈あぁ、生きてるよな?
〈気にするなよ、あんな奴仮に死んでても誰も悲しま無いって
戸塚『まずい!奴らだ!隠れないと!』サッ
僕は近くに放棄されていた段ボールに被って隠れた
すると直ぐに奴らが姿を現した、一方の八幡は笑いながら気を失っていた
「キチってるぜ?こいつ」
「あぁ、心底産まれたのがコイツじゃなくて良かったぜ」
「直ぐに戻ろうぜ、だれかに見られたらやばいし」
「だな、行こうぜ」
そして3人組は戻っていった
段ボール最強説は本当の様だ、本当にバレなかった
すると八幡はムクッと起き上がって、ゆったりゆったりと歩き始めた
時刻をみるとチャイムまで数分ってところ、彼は体操服から制服に着替えると教室に向かっていった
このままだと八幡が壊れてしまう、僕の大切な親友…
でも、僕にはそんな止める力がない…
誰……他…誰か…
『川崎だ、ぶつぞ?』
そうだ…川崎さんだ!!
僕は川崎さんにLINEで、メッセージを送った
……………………………………………………………………………………
夜の10時頃 某公園
川崎「まさか…あんたから呼び出されるなんてな…戸塚」
戸塚「う、うん…どうしても話したい事があって」
川崎「それってLINE通話でも良かったんじゃないか?」
戸塚「そうだよね…ついテンパっちゃって」
川崎「ま、別にいいけどね…で、何があった」
戸塚「実は……」
僕は八幡が今までされていた事は敢えて話さなかった
話したら川崎さんは直ぐにアイツらを、しばきに行くだろう
でもその方法だと相模さんは八幡がチクったと思って何か仕掛けるだろう
だから僕は
戸塚「という事で、明日八幡と一緒にいてあげて欲しいんだ!」
川崎「な、なな何で私がそんな事をしないといけないんだ!?
あ…でも、病室で一方的に私が言っちゃたもんな、手助けするって…」ブツブツ
何やら僕が知らない所で何かがあったみたいだけど
川崎さんがいいって言うなら何でもよかった
というより、僕の考えでは恐らくアイツらは川崎さん一緒にいる時でも手出し出来ないと踏んだ
だからしばらく川崎さんが八幡と一緒に行動することで、八幡がこれ以上傷付かないで済むと考えた
口実としては
八幡が退院したばかりで不自由しているみたいだから助けてあげて、そして嫌がらせとかあったら助けてあげてほしい
僕としては適切な口実だと思った
川崎「…わかった、出来ることをする」
戸塚「本当に!?ありがとう!川崎さん!」
川崎「でも、本当にそれだけか?」
戸塚「え?」
川崎「これは私の感だけど、他に隠し事はないか?」
戸塚「な、何言っているのさ!そんな訳ないよ!」
川崎「ふーん、ま、なんでもいいけど」
………………………………………………………………………………
次の日の朝 6時頃
八幡「…さて、もうそろそろ行かないとな」
小町「…行くてらっしゃい、お兄ちゃん」
八幡「おう、行ってくる」
お兄ちゃんが退院してから生活パターンは変わった
どういう訳か布団のスーツや、制服のシャツや体操服などは自分で洗うようになった
そしてお兄ちゃんは何故か絶対夜中に風呂に入る
そして段々痩せていく身体、そりゃあゼリーばっかり食べていたら当然体重も落ちる
だから、せめて夜だけは無理矢理にでも食べさている
お兄ちゃんは味覚障害なのにいつも
「美味しいよ、小町」
と言ってくれる、味なんてわからないのに…全部食べてくれる
だけどお兄ちゃんは食べ終わってから数分後に絶対トイレに行く
身体が受け付けない食べ物を食べているんだから、拒絶反応を起こして嘔吐に襲われる
最初は全部吐いていたけど、今は吐く量は減っているように感じる
だって何とか二週間前と同じ体重を維持しているから
小町「…さて、自分のお弁当を作らなきゃね」
お母さんは、お父さんと一緒にアメリカに出張しており
仕事と同時進行で最先端医療でお兄ちゃんの症状を治せる医者を探しているらしい
小町『今日のお兄ちゃん、元気無かったな…』
お兄ちゃんが退院後、自転車通学だったのが徒歩通学となった
なので朝早く通学しないと遅刻するという
私自身弁当を自分で作らないといけないから、早くしないと遅刻する
でも今日は昨日の残りがあるから、いつもより時間に余裕が出来てしまった
そんな時は、お兄ちゃんの部屋の掃除や色々してあげている
今日も掃除してあげようと部屋に入る、そこにはいつも洗濯機にいれて洗っているスーツがそのままになっていた
小町「お兄ちゃん忘れてたのかな?小町的にはポイントは低いかも!でも仕方がないからやってあげる!」
そう独り言を呟きながら布団のスーツを取り替えようとする
だけど、何か手にジメッとした何かに触れた事に気が付く
小町「ヒッ!?き、気持ち悪!!何よこれ…」
恐る恐る手を確認すると赤いのが手に付着していた
血…小町は咄嗟に布団を裏返す、そこには白地の布団が至る所に赤い血が付着していた
小町「血、血が…」ガタガタ
私は全て察した、退院してからのお兄ちゃんの不可解な行動の真相を
毎日いち早く自分の洗濯物を洗う、夜中に風呂入る
洗濯物→血の付着を隠すため、見られてはいけない物を隠すため
風呂→見られたくない身体
お兄ちゃんは学校で暴行にあっている可能性が浮上した
私は咄嗟にスマホを取り出し由比ヶ浜さんに対してLINEでメッセージを送った
もちろん、お兄ちゃんが学校で暴行にあってないかの確認である
ピロンッ♬
結衣《え!?ヒッキーが!?Σ(゚д゚lll)
そんなところ見たことないけどなぁ(・・?)》
そんなハズが無い…そうだったらこんな血が付着するはずがない
絶対何かがあるはずなんだと
…………………………………………………………………………………
朝 通学路
コツコツ
〈こんな若いのに、盲目って可哀想…
〈何があったんだろう…
通行中に必ず言われるフレーズだ、俺は盲目などではないがアイマスクを付け白杖をつきながら登校している
点字ブロックがこんなにも役に立つとは思いもしなかった
スタスタスタ!!
足音が聞こえる、それも段々こっちに近づいてくる
一色「せぇんぱぁい!!」ギュッ!
八幡「痛っ!!」ドサッ
一色が勢いよく俺の背中に抱き付いてきたのだ、しかし俺の身体はズタボロ、そんな体を締め付けられると激痛が走る
そのあまりの痛さに尻餅をつく
一色「…えっ?」
一色は力が抜けたような声を出した、そんな抱き付いたぐらいでだと思っているだろう、普通ならそう思う
一色「せ、先輩!!大丈夫ですか!?」
八幡「一色…か?」
一色「そうです、一色いろはです!…て、どうして先輩はアイマスクと白杖を持っているんですか…?」
八幡「あれ、雪ノ下とかから聞いてなかったのか?」
一色「雪ノ下先輩は教えてくれませんでした、ですが入院している事は教えてくれました」
八幡「そうか…」
一色「うわっ! なんですかそれ!?」
一色「残念そうにして私の思いを確かめようとしているんですか!?」
一色「ゴメンなさい本当に気持ち悪いですお断りします!」ペコ
八幡「……まだ何も言ってないだろ」
一色「それで何があったのですか…」
八幡『あまりベラベラ喋るような事では無いが、一応一色とはそれなりの付き合いだ』
八幡「実は…………」
俺は、今身に起きている症状を包み隠さず全て話した
普通なら何を言っているのか、頭がおかしいと思うだろうが
一色は何も言わず全部聞いていてくれた
八幡「…といった感じだ」
一色「何をそんな死んだ目で自慢げに言ってるんですか…キモいです」
八幡「一発目で何を言い出すんだ」
一色「…お芝居とかじゃなくてですか?」
八幡「どう思うかはお前の自由だ」
一色「別に…疑いませんよ私は、こんな弱々しい先輩は初めてみましたから」
八幡「そうか…」
一色「すみません…」
八幡「なんで謝る、気持ち悪いな」
一色「私…何も知らず先輩を脅かすつもりで抱きついたんですが、軽率な行動でした」
八幡「別に気にしてない」
一色「…」
本当に反省しているようだ、彼女は根っこは本当に優しい人なんだ
だから心底そういうのに弱い
一色「決めました」
八幡「は?何を」
一色「これから先輩の事をサポートします!」
八幡「ちょっ」
一色「その代わり病気が治ったら生徒会の仕事を手伝ってもらいますから!」
八幡「いや、求めてないから」
一色「拒否権はありませんよ」
八幡「…まじ?」
一色「大マジです」
八幡「……はぁ、わぁったよ……」
一色「それじゃあ!昼休み教室に居てくださいね!」スタタ…
本当に嵐のような奴だった、でもお前の約束は守れそうにない
そして、嫌いになってくれた方がお前自身幸せになれるだろう
八幡「…一緒に行こうとかは無いのか」
……………………………………………………………………………………
昼頃 教室
今日は、いつもより何が違う
そう…なんで
川崎「どうした?ブツブツとさっきから」
八幡「なんで川崎か隣がいるのかについて」
川崎「あたしがここにいたらダメか?」
八幡「だめ…ではないが」
川崎「それより……」
一色「せぇんぱぁい…暇で〜す」ゴロゴロ
川崎「この人は誰なんだ?」
八幡「うん?誰なんでしょうね?」
一色「は?何言ってるんですか?」イラッ
八幡「その失礼な物言い……ああ、間違いない、一色か」
一色「先輩は私を何だと思っているんですか…」
そう、なぜか川崎に関しては一時間目から俺の近くにいる
そのおかげか今日は何も嫌がらせや暴行はして来ない
確かに、こんな目つきの悪いスケバンみたいなんがいたら誰もやって来ないだろう
川崎「…なんか失礼な事を考えてないかい?」
八幡「いや気のせいでしょ」
川崎「そう、ならいいんだ」
八幡『どんなけ勘が鋭いんですか!?この人は!?』
一色「てか先輩、普段はこの時間何しているんですか?
好きな本を読もうにも、この目じゃあ読めませんよね?」
川崎「確かにそうだな…」
八幡「寝てるかぼーっとしてる」
一色「何それ暇そうですねぇ…」
八幡「…ほっとけ」
川崎「そういや、テレビとかどうしてるんだ?」
八幡「見えるものも化け物や肉塊なら、テレビに映る物も同じだ」
川崎「そうか…お前の好きなプリキュアが見れなくなってしまうな」
八幡「お、おい!」
一色「うわっ、先輩、プリキュア見てたんですか…気持ち悪いです」
八幡「…ほっとけ」
一色「まぁ、どうでもいいですけれどね」
八幡「どうでもいいのかよ」
川崎「まぁ、なんだ…あんた退院してから不自由しているらしいじゃないか」
八幡「見ればわかるだろ」
川崎「え、遠慮なんていらないからな!助けて欲しいことがあ、あれば…」///
八幡「…川崎」
川崎「なんだ?さっそく」キラーン
八幡「無理しなくてもいいぞ?」
川崎「んな!?」ガーン
一色「すみません、私から見てもわかりますよ…無理してるんだなあって」
川崎「ぐぬぬ…」
八幡『てか…俺って、もしかして楽しんでいるのか…』
沙耶『…群れるのが嫌いじゃなかったのか?』
八幡『きらいだ』
沙耶『だけど今の状況はどう見ても群れているし、満更でもなさそうだが?』
八幡『……』
…………………………………………………
〈ガヤガヤ……
結衣『…ヒッキー、楽しそうに話してる…あんなヒッキーを見たのはいつぶりだろう』
三浦「でさ…って結衣?何ぼーっとしてるのよ?」
結衣「えっ!?ああ…ごめんごめん!」
葉山「ヒキタニ君の事だろ?」
結衣「う、うん」
戸部「ヒキタニ君、マジ楽しそうだよね!」
結衣「やっぱりそう思う?」
三浦「…結衣はいいの?あのままほっといて」
結衣「な、何言ってのよ!」
三浦「これはあーしの直感だけど、あの2人はヒキオの事を狙ってるわよ」
戸部「後輩とスケバン…マジレベル高いわ!」
葉山「…どうもわからないな」ボソッ
三浦「隼人?」
葉山「いや…なんでも無いよ」
結衣『あんなに楽しそうなのに、暴行なんてありえないよね…大丈夫って小町ちゃんにLINEしとこ!』
………………………………………………………
相模「…けっ、気にくわないわね」
「後輩とスケバンか…新勢力が出てきたな」
「どうします?」
「流石にあのままだとバレるのは時間の問題ですね」
相模「なぁに、簡単な事よ…」
「と言いますと?」
相模「貴方、生徒会でしょ?」
「あ、はい」
相模「あの後輩を放課後に呼び出して、仕事をやらせてちょうだい」
「はぁ…わかりましたよ」
相模「そして、アンタは川崎さんに話しかけて職員室で先生が呼んでいると言って比企谷から引き離して
時間稼ぎで3人ほどの先生の名前を言っておきなさい」
「了解」
相模「残った2人は私と一緒に来て頂戴、簡単な事よ…彼が彼女達から離れるように仕込ませればいいだけよ」
『聞いてるだけで、本当に恐ろしい事をサラッと思い付くんだよな、この人は…』
『そうとう恨みがあるんだろうな』
相模『そう簡単に逃げれると思ったら大間違いよ』ジーッ
川崎「ん?」ギロッ
相模「っ!?」ビクッ!
川崎「…相模さん?あたしに何か?」
相模「…スカートにホコリ、付いてるわよ?」
川崎「あ、本当だ…すまない」
相模「いいえ…」
相模『本当に勘の鋭い女ね…』
………………………………………………………
放課後
そして運命の時がやって来た
「ごめん!いろはちゃん!」
一色「はい?どうかしましたか先輩?」
「城廻さんが、いろはちゃんを呼んで来いって」
一色「はぁ…また仕事ですか…わかりました直ぐに戻りますよ」
『そう、城廻さんからの呼び出しなんて真っ赤な嘘…あいつら上手い事やってるかな』
そして教室では
川崎「え?そんなに呼ばれているのか?」
「あ、あぁ、な、何せ単位がどうとか言ってけど?ほら?休み過ぎてるから」
川崎「あー、成る程な…でもおかしいな、テストはそんな悪い点数取ってないが」
「そ、そんな事、俺に言われても…」
川崎「…直接聞いて見たほうがいいな、ありがとう」
「あ、ああ、お構いなく」
『はぁ…寿命が縮むかと思った』
そして体育館裏では………
八幡「…」ゲホッ
相模「なに、仲間作った気になっているのよ」
八幡「…」
相模「お得意のだんまりね…」
〈は、離してよ!!
八幡「っ!?この声は……戸塚!」
相模「幸い今日は体育館は改装工事の為に体育館のクラブ生は休み、それにこの時間帯は作業員もいないの、だから騒いでもバレない」
〈こらっ!大人しくしてろ!
ガンッ!!
明らか身体のどこかを殴った音がした、それも見えないところで
その音が何発も聞こえてくる、戸塚の喚き声も次第にしなくなっていった
八幡「…あ、ああ」
相模「…おわった?」
「あぁ、終わったよ…ほら?完全に目が逝ってる」
ドサッ!!
人間の身体が落ちる音がした、それは見なくても分かっていることだった
自分が何回も聞いた音だ、忘れる訳がない
相模「あーあ、忠告したのにね…コソコソしているから何をするのか、あえて泳がしていたら…やってくれたわね」
戸塚「は…はちまん」ゲホッ
八幡「と、戸塚…おまえ」
戸塚の声は弱々しかった、何度か嘔吐して胃酸の影響で声帯がおかしくなっているのがわかる
相模「そうね、次あの2人と一緒にいたら…戸塚も同じ運命にしてあげる」
八幡「…」
相模「でも比企谷、アンタは直ぐに忘れるでじょ?だから書いてあげる♬」
八幡「何をする気だ…」
すると相模は俺の服を脱がして、上半身裸にさせる
丁度この寒い季節には凍え死にそうな気温だ、身体がガタガタと寒さで震える
グサッ!
八幡「いぎゃぁあああ!!!!」
相模「懐かしいでしょ?彫刻刀よ?」
正気か!?この女!?
なんの躊躇いも無く俺の胸板に彫刻刀で切っていく
今までの痛さとは違った別の痛さが襲いかかる
戸塚「や、やめろぉ…」
相模「こら、暴れないの、心臓まで行っちゃうわよ?」
「お似合いだぜ?このタトゥーww」
「それを言うなら刺繍だろ?」
戸塚『い、いかれてる…コイツら人間じゃない…』
そして俺の身体に彫られた文字は
ゴミグズ
全く関係の無い、ただの悪口罵倒語でしかない言葉だった
それを見ていたのか、戸塚のすすり泣く声が聞こえてくる
おかしいな、俺の計画は完璧だったはずなのに
誰も傷つかない方法の完成だったはずなのに
相模「これでわかったでしょう、私は帰るから…解散」
「「おつかれさん」」
ようやく開放されたのか、身体がその場で仰向けになって倒れる
でも身体が動かないし痛さで気を失いそうだ
戸塚「八幡!しっかりして!八幡!」ヨサヨサ
戸塚が一生懸命に俺の体を揺さぶる、ポツポツと涙が俺の胸板に落ちる
無理だ、もうしばらく身体が動きそうに無い
八幡「と、戸塚…大丈夫か?」
戸塚「僕なんかより八幡の身体が心配だよ!」
俺は目を伏せていた、本当ならレアな戸塚の泣き顔を拝みたかったが…
生憎様、戸塚のグロ肉姿なんて見たくない
俺の記憶のままの、可愛い戸塚でいたいんだ
八幡「戸塚、スマホで写真を撮ってくれ」
戸塚「え?」
八幡「お願いだ…」
そう言うと俺は、ガタガタと震える身体を起こしアイマスクを取り外す。
勿論、目は瞑ったままだが
パシャ! パシャ!
正面、背中と撮影する戸塚
この写真は何かあった時に役に立つはずだ
戸塚「それより八幡!!すぐに病院に!」
八幡「その必要はない…」
戸塚はあることに気付く、跡は残っているものの切り傷は固まっており止血していた
いくらなんでも早すぎる勢いだった
それが沙耶の仕業だと知るよしもない
戸塚「ごめん、八幡…川崎さんを引き寄せたのは僕のせいなんだ」
八幡「いいんだ、戸塚…」
戸塚「ごめんなさい…ごめんなさい…」ポロポロ
俺は声を辿って震えている戸塚の身体を引き寄せる
相変わらず内臓を触ったような触りここちだが、こんな俺で戸塚の震えを収めれるのならやるしかなかった
………………………………………………………………………
夕方頃 下校道
ズタボロになった身体を一生懸命に動かして歩いて下校していた時だった
〈ブゥオオオオオン
エンジン音で対向車が来ていると分かり、路側帯によると、その車は俺の隣を停車した
車の時点で予想できるのは1人しかいない
陽乃「やっはろー!!比企谷くん!!」
八幡「お久しぶりですね…陽乃さん」
陽乃「雪乃から聞いたわよ、退院おめでとう!」
八幡「そうですか、ありがとうございます」
陽乃「この後、時間あるかしら?」
八幡「忙しいので、それじゃ」シラッ
陽乃「とほほ………比企谷くんが冷たいよー」
八幡「…俺の症状しっているでしょ?」
陽乃「うーん、軽くはね」
八幡「…何の用ですか?」
陽乃「君に会いたいじゃあ駄目?」
八幡「雪ノ下から何か聞いたんですか?もしくは察した?」
陽乃「へ〜、何かあったんだ〜」
不覚だった、陽乃さんは誘導とかするの得意なのを忘れていた
すっかり話の流れを持っていかれてしまう、そう思っていた
陽乃「ま、なんでもいいけどね」
八幡「え?」
陽乃「ん?どうしたの?意外?」
八幡「えぇ、スゴく」
陽乃「う〜ん、気になるのは確かだけど今はそれより比企谷くんに久々に会えて色んな話をしたいなぁ、私的に」
八幡「っ!?」
相変わらず何を考えているのか読めない人だ、例え見えていたとしても、この人だけは読めない自信しかない
陽乃「ま、乗って!乗って!」
八幡「俺は意識は無視ですか…そうですか」
そして半端強制的に陽乃さんの車に乗せられることになった
勿論、隣の席は陽乃さんで運転手は家の者が運転手しているのだろう
ブゥオオオオオン………
八幡「…これってどこに向かってるんですか?」
陽乃「ナイショ!♬」
八幡「えぇ…」
陽乃「…にしても比企谷くん、その傷、どうしたのかな?」
八幡「っ!?」
一瞬鳥肌がたった、それは寒さがどうこうじゃない、本能的に危機を感じたのだ
オマケにいつもみたいに、ふざけてた陽乃さんが低いトーンで話しかけて来た
陽乃「回答次第では…」
八幡「白杖になれない時に、よく転んだりしてたんですよ、その時に出来た傷ですよ」
陽乃「ふーん、そうなんだ…私てっきり暴行に合ってるんじゃないかなって思ってたんどけどなぁ」
八幡「…」
陽乃「違ったかな?」
八幡『なんでこの人ドンピシャに当ててくるの!?怖いよ』
八幡「なんでそうだと思ったんですか?」
陽乃「うーん、だってその傷…こけた傷にしてては痛々しい傷跡だなって、まるで鋭利な物で殴られたみたいな…」
八幡『どうする…この人には隠せる自信がないぞ…』
あまりこの人に考えさせる時間を与えるのはよろしくないと考えた俺は、違う話を切り出す事にした
八幡「それより、陽乃さんはどこまで俺の症状を知っているんですか?」
陽乃「視・嗅・味・触の4つの感覚が異常になった事かな
そして……見える肉塊、胃の拒絶反応、触感の異常…全て調べさせてもらったよ」
八幡「結局全部知ってるじゃないですか」
陽乃「えぇ、雪乃ちゃんやガハマちゃんに退院の事を教えなかった事もね」
八幡「…」ポリポリ
陽乃「ま、言いたくない事もあるよね」
八幡「そりゃ…ありま、うっ!?」
陽乃「え?比企谷くん?」
急になぞの嘔吐感に襲われる
陽乃さんは「紙袋!」と言い、バサバサと音を立てながら何を広げると、俺の背中をさする
陽乃「大丈夫よ、紙袋を広げたから吐いてもいいわよ」
八幡『痛い痛い、傷だらけの身体をさすらないで!』ズキズキ
俺は痛さと嘔吐感に襲われ、大量に吐き出した
まさか吐き出すなんて事は陽乃さんも想定外だったのか、少し慌てているように感じた
八幡「ゲホッ…すみません陽乃さん…人の車の中で吐いてしまって」
陽乃「比企谷くん…どうしたの…シャツに血が染まってきて…」
八幡「え?…あ、」チラッ
俺はアイマスクを少しずらし、今着ている制服を確認すると
白地のシャツが至る所に血が付着していた
八幡「多分ケチャップをこぼした時の染みですよ」
陽乃「ごめん比企谷くん、いくらの私でも見逃せない物を見ちゃったかな…」
八幡「大丈夫です、この染みh」
陽乃「なんで嘔吐物の中にイモムシや幼虫が入っているの…」
八幡「っ!?」
想定外だった、まさか消化出来ていなかったとは…
そう、これは身体の悲鳴…恐らく限界なんだというサインなのだろう
陽乃「教えてくれないかな比企谷くん、学校で何が」
八幡「すみません陽乃さん、ここは失礼します」ガチャ!
陽乃「比企谷くん!」
車が赤信号で停車しているところを見計らって車から降り無我夢中で走り続けた
アイマスクを外してひたすらこの場から離れた
陽乃さんは追ってこようとはしなかった
…………………………………………………
ひたすら走り続けた、白杖を陽乃さんの車の中に忘れてしまったが、今はその場から立ち去りたかった
見えるものは形状はあるものの、全てクソ肉、肉塊、内臓、がぶち撒けられているように見える
初日の病院の時のように、俺はパニックになっていた
「キモい、死ね、ゴミ人間、」
この様な幻聴が聞こえてくる、今までの俺ならなんの問題もなかったかもしれない
だが、今はそんな余裕が無かった
……………………………………………………
………………………………………
…………………………
【そして星になり……BADEND】↓
こんな世界、何が楽しいんだ
頭の中で、ずーっと悪口がリピートされている
ただひたすら暴行の毎日
まともな物や人間が見えない生活
八幡『…つかれたな』
沙耶『相当まいっているみたいね』
八幡『……ああ』
沙耶『こんな世界から逃げたい?』
八幡『…死んで楽になろう』
沙耶『…え?』
八幡『最後ぐらい〇〇☆*生き方をしてみせる』
沙耶『ちょっ』
それ以降、俺は沙耶の聞く耳を持たなかった
そして陽乃さんの車から逃げてから数分後
ようやく、自分の自宅に帰宅した
アイマスクをつけてドアを開けた先に、待っていたのは妹の小町だった
八幡「…」
小町「お兄ちゃん…話があるんだけど」
八幡「うるせぇよ、疲れてんだ」
小町「っ!?」
八幡「飯、いらねぇから」
小町「……お兄ちゃんだよね?」ポロポロ
小町『あんなお兄ちゃん初めてみた、何があったの…』
その日の夜、一階から小町の泣き叫ぶ声が響き渡った
当然だろう、いきなりあんな事を言ったんだ
今までの俺なら溺愛していた妹の小町が泣きだしたらすぐに謝っていただろう
だけど、今の俺にはそんな感情は無かった
……………………………………………………
次の日の朝
チュンチュン!
清々しい程の赤空なんだろうと思いながら俺は起き上がる
鏡を見ると自分以外は全部クソ肉、そんな生活が当たり前になってきていた
身体中には痣だらけ傷だらけ、胸板にはゴミクズ…
支度を終えると、玄関に向かう
小町「zzz」
泣き疲れたのか小町は廊下で壁に身を寄せながら眠っていた
残念ながら寝顔なんて見れないが、俺は毛布をそっとかける
八幡「今までありがとうな、小町」ナデナデ
軽く小町の頭を撫でると、靴を履き俺はこの家を後にした
……………………………………………………
そして昼頃だった
相模はイライラしていた、八幡が学校に来ていないからだ
相模「なんでアイツ…学校に来てないのよ」
「やりすぎたんだよ…」
「彫刻刀なんて…な」
相模「今更何言っているのよ」
「それにしても、知っているか?」
「どうした?」
「学校近くの公園で自殺者が見つかったっていう」
相模「それが?」
「それがさ、うちの学校の生徒らしいよ」
相模「っ!?」
「まさか…気のせいだろ?」
〈ファン!!ファン!!
〈おい!あれ見ろよ!パトカーだぜ!
〈嘘!?あの話本当だったの!?
嫌な予感がしていた、今までの行いが一気に不安へと変わる
そんな一行に対して、1人のクラスメイトが相模の方へ駆け寄る
戸塚「あまり顔色よくないみたいだね」
相模「…あ?」
戸塚「もしかして、八幡じゃないかって心配している?」
相模「っ!?」
戸塚「僕は信じているよ、八幡が自分から死ぬような人じゃないって」
「何が言いたい」
戸塚「もし八幡が自殺してたら僕は」
戸塚は無表情でスマホ画面を相模達にかざす
そこに写っていたのは、傷だらけの身体の八幡の写真と暴行を加える相模達の動画だった
相模「あ、あんたっ!」
戸塚「この写真と動画をSNSに投稿するから」
相模「そんな事したらどう」
戸塚「どうなるかって?自分の事を心配したら?」
《ピンポンパンポーン!2年F組の生徒は至急教室にお戻りください
相模「な、…」ガタガタ
「ヤベェんじゃねぇか!?おい!」
ザワザワ ザワザワ
川崎「んだ…やけにうるさいなぁ」ふぁ…
〈おいおい、うちのクラスだぞ
〈嘘っ!?
葉山「みんな静かに!先生が来るまで落ち着くんだ!」
結衣「やだやだやだやだ…」ガタガタ
三浦「こら結衣!しっかりしなさい!」
戸部「無理もないで、欠席なのはヒキタニ君だけだしマジその気持ちわかるわ」
葉山「くそっ比企谷君、キミじゃないよね…」
クラスは騒然としていた、まだ状況が掴めてない者もいれば、ある程度予想している者もいる
そして放送から15分後、昼休みは既に終わって5時間目に突入している時間になっていた
ガララ……
平塚先生が教室に入って教卓の前に立つ
まぶたが腫れており、泣いて来た事がわかる
平塚「えぇ、担任に変わって私から報告させて貰う…」
平塚「知っている者もいると思うが…本日、朝の…9時頃に…近くの公園で本校の生徒が自殺した遺体が発見されたと警察から連絡があった」
ザワザワ ザワザワ
平塚「静かにしろ!!……そしてその生徒が…私が持っている奉仕部の元部員であり、このクラスメイトである…比企谷 八幡だったと…」
一瞬時が止まった気がした、皆の嫌われ者だった比企谷 八幡の自殺
2年始まったばかりの頃は影が薄くて皆の記憶の中に残るような人物ではなかった
しかし、文化祭騒動など一連の事があってから最低ゴミ人間として皆の頭の中に残るようになっていた
結衣「…うそだよね……先生?」
平塚「由比ヶ浜…」
結衣「ヒッキーが死ぬわけ無いよ…だって昨日はあんなに楽しそうにしてたんだよ?」
川崎「あたしも同意見だ、比企谷が自殺する程の勇気があると思えない」
相模「…」ガタガタ
戸塚「ご不安のようだね、相模さん」
相模「そりゃ…」ガタガタ
結衣「当たり前だよ!誤報でも、さがみんがヒッキーが死んだなんて聞いたら…」
戸塚「それが例え八幡を自殺に追いやった人間でもそれが言える?」
相模「っ!?…」
結衣「どういうこと…」
戸塚「今、クラスのLINEグループにある画像と動画を送信した」
相模「おまっ!?」ガタッ!
ピロンッ!ピロンッ!ピロンッ!!
戸塚「心臓に悪い人は見なくても構わないよ、気分を害する人の方が多いと思うから」
一斉にLINE通知音が鳴り響く、クラスメイトの皆は一斉にスマホを取り出し確認する
相模は焦っていた、それは同じく加害者の男子達も同じだった
結衣「…こ、これって…ヒッキーの身体……」ガタガタ
葉山「なんだよこれ…」
〈おいおい…いくらなんでもこれは…
〈合成じゃないのか…
戸塚「もうじき動画送信が終わる頃だよ、合成かどうかなんてすぐに分かるさ」
相模「…」ダラダラ
相模は冷や汗をかきながら戸塚を睨んでいた
それに対して彼は全く平然としており屈指るそぶりも見せなかった
戸塚「先生は何のことか分からないですよね?」
平塚「あ、ああ…」
戸塚「僕のスマホを渡しますので、それで確認してください」
平塚「あ、ありがとう…」
ピロンッ!ピロンッ!
第2回目のLINEの通知音が鳴り響く
戸塚が送信した動画がLINEグループに送信終了した事を表していた
〈うそだろ…お前、そんな事を
「ち、違う!俺は、俺はそんな事をしていない!」
結衣「」ドサッ
葉山「結衣!?」
戸部「だれか!保健室に連れて行ったあげて!マジで!」
三浦「あーしが連れて行くわ!隼人!」
葉山「たのんだ!!」
〈相模…そんなやつだったなんて
相模「何よ!何信じてるのよ!合成よ!何の根拠も証拠も無いじゃない!」
「そうだ!戸塚が俺たちを陥れようとしている!」
戸塚「証拠ならあるよ?」
相模「は?」
戸塚は制服を脱ぎ始め、上半身が下に着ていたTシャツだけになる
戸塚「これが証拠だよ」
戸塚が最後のTシャツを脱ぎ終わると、あたりは騒然とした
八幡までとはいかないが、背中と腹部が集中的に殴られた跡があり、痣となって残っている
戸塚「先生、スマホを右にスライドさせて次の動画を再生させてくれませんか?」
平塚先生は黙って次の動画を再生させた
画面は真っ暗なままで、音質は悪いが相模の声だということは誰でもわかった
《幸い今日は体育館は改装工事の為に体育館のクラブ生は休み、それにこの時間帯は作業員もいないの、だから騒いでもバレない
《こらっ!大人しくしてろ!
《ドサッドサッ…ドスドスドス…ガサガサ…
《…おわった?
《あぁ、終わったよ…ほら?完全に目が逝ってる
《ドサッ!!
《あーあ、忠告したのにね…コソコソしているから何をするのか、あえて泳がしていたら…やってくれたわね
《は…はちまん…ゲホッ
《と、戸塚…おまえ
《そうね、次あの2人と一緒にいたら…戸塚も同じ運命にしてあげる
《でも比企谷、アンタは直ぐに忘れるでじょ?だから書いてあげる♬
《な、何をする気だ……いぎゃぁあああ!!!
《懐かしいでしょ?彫刻刀よ?
ここで動画は終わっている
現場の映像こそ無いが、証拠としては充分であった
ガタッ!!
川崎「戸塚、どうしてあの時教えてくれなかった」
戸塚「ごめん川崎さん…」
「川崎!!お前アイツの言うことを信じるのか!?」
川崎「あ?」ブンッ!
「んごっ!?…」グルンッ
ドサッ…
川崎の裏拳がもろに顎に直撃し、その男子生徒は白目を剥きその場で倒れる
平塚「川崎!落ち着け!!」
川崎「落ち着けるわけ無いでしょ先生…」
戸塚「相模さん、この写真と動画はtwitterにも投稿させてもらいました」
相模「は?そんな事したら」
戸塚「twitterは拡散方法に最適だよね、あっと言う間に2000リツイート突破だよ」
相模「なんて事をしてくれてるのよ!!」
戸塚「この事は間違いなく世間に知れ渡りマスコミ各社の手にも伝わるだろうね、僕は相模さん達を許さない、死ぬまで償ってもらうよ」
葉山「…相模さん、この写真や映像の事は本当なのか?」
相模「……何よ、あんたらクラスメイト全員同罪よ」
ザワザワ ザワザワ
相模「皆、比企谷の事を陰口言ってたり嫌がらせしてたでしょ?…私はそんなアンタ達の声を代表したまでよ」
平塚「相模…認めるのか?」
相模「認めるも何も別よ、自分の事しか考えない!あんな奴死んだって誰も困らないわよ!!ゴミk」
ブンッ!!
相模「キャッ!?い、痛いじゃない!」
川崎「アンタ…今なんて言った」
相模「な、何なのよ!あんt」
ブンッ!!
相模「ゲホッ!?」ガタッ
川崎「立てよアンタ、今までやって来たことなんだろ?」
相模「ひっ!?」
バシッ!
川崎がもう一度殴ろうと振りかぶった瞬間、その腕を葉山が掴み止める
葉山「そこまでだ、川崎」グググ
川崎「誰だアンタ、止めるならぶつよ?」
葉山「暴力は不幸を生むだけだ」
………………………………………………………………………………
30分前 生徒会室
丁度四時間目の授業が終わって5分後
本当なら葉山先輩や比企谷先輩がいる2年F組の教室に行きたいところなのだが
生徒会の仕事が、たまっていたので
こうして生徒会室に監禁されているところである
一色「しんどーい、ねぇ休んでもいいすか?」
「駄目に決まってるでしょ、さっさとやってください」
一色「…スマホの充電が一時間目で完全になくなって、しかも蓄電も忘れたし…やる気が出ないっすよぉ」ズーン
城廻「いつも比企谷くんにやらせてたからね〜いろはさ〜ん」ぽわ〜ん
一色「それはめぐり先輩もじゃないですか…」
城廻「えへへ〜そうだったかなぁ」
一色「もういいです…」ハァ〜
城廻「そういえば最近、比企谷くんに会ってないなぁ〜」
一色「そういえば、めぐり先輩は知らないんでしたっけ?」
城廻「ん?」
一色「先輩が入院してたってことです」
城廻「えーっ!比企谷くん、入院してたの?」
一色「そうですよ?もう退院して学校に登校してますけど」
城廻「なんで入院してたの?知ってる?いろはさん」
一色「本人から聞いたんですけれど、2ヶ月ほど前に起きたガソスタの爆発事故に巻き込まれたみたいですよ?」
城廻「……うん」
いつもなら、ぽわ〜んとしててマイナスイオンが出てるような雰囲気がでている、めぐり先輩が今は真剣な顔付きをしていた
あ、この人も先輩の事が気になっていたんだ…
きっとそうだったんだろう
一色「なんと助かったみたいですけれど、後頭部を強く打ったらしくて今まで確認された事がない認知症を発症したらしく…
五感の内の聴覚以外の全てに異常をきたしているみたいですよ
よっぽど嫌な物が見えているみたいで、アイマスクをいつも欠かさずつけてます」
城廻「比企谷くん…そんな事になってたんだ」
一色「そうなんですよ…」
一色『一応肉塊が見えている事は隠しといたほうがいいかな』
城廻「何かサポートしてあげれないかな〜」
「…なんでだよ」ボソッ
一色「え?何か言いました?」
「あ、いいえ、何も無いです…」
生徒会の一員であり、先輩と同じクラスである彼は何故か先輩の話をすると、いつも機嫌悪そうな表情をする
そりゃあ先輩は嫌われ者だから、そういう人がいるのは珍しく無い
私は軽い気持ちで無視をしたが、めぐり先輩はそんな彼を何故か見つめていた
「あ、あの…城廻先輩」
城廻「ん?何かなぁ〜」
「そ、そんなに見つめられても…」
城廻「やっぱり…違うね。いつも生徒会室にいるときと」
「っ!?」ダラダラ
その言葉を聞いた瞬間、彼は何故かこれでもかという程の汗をかいていた
いくら暖房が効いていると言えども、異様な程の汗を頭から流していた
〈ザワザワ…ザワザワ
一色「ん?やたら廊下が騒がしいですね」
城廻「言われてみればそうだね、何かあったのかなぁ」
そう言っている間に警察のサイレンが聞こえてきた、恐らく校内に入ってきているのだろう
私達は生徒会室から直ぐに廊下に出て確認すると
3台ほどのパトカーが校門から入って来ていた
一色「何かあったんですかね〜」
城廻「あ、そうだキミ、今携帯で調べてもらえる?」
「…」ガタガタ
一色「先輩?」
呼びかけても返事がない、彼はスマホを見たまま大量の汗をかいて固まっていた
何かに焦っているのは間違いないのだろう
《…2年F組の生徒は至急教室に集まってください
放送が流れると、彼は直ぐ様に無言で生徒会室を飛び出して行った
一色「…なんだったんですかね」
城廻「トイレかなぁ〜」ぽわ〜ん
一色「違うと思います」
生徒会室に戻ると彼が座っていた椅子にスマホが放置されていた
どうやら焦って出て行った所為なのか、スマホを忘れて行ったようだ
一色「えーっと、どうやら学校の近くの公園で死体が見つかって……って!私達の学校の生徒らしいですよっ!」
城廻「うえぇぇぇぇ!!!?」
でもなんでさっき2年F組だけが呼ばれたのかが頭の中で引っかかっていた
そうしている内に昼休みは終わる時間帯まで来ているが、めぐり先輩は私の手を掴んでここに居ようと提案してくる
私は、その提案を飲む事にした
城廻「……気になってしょうがないんだ、比企谷くんのことが」
一色「えっ?」
城廻「これが恋心というのかな?こんなにも彼の事が心配で仕方がないの…」
いきなり予想外のカミングアウトにビックリしたが、微かながら先輩の手は震えていた
それは私も同じ事だった、2年F組が呼ばれた理由に先輩が絡んでいるのでは無いかとう不安が
私は彼のLINEを見る事にした、何か情報が得られるのでは無いかという思いから
するとやっぱりクラスのグループが動いていた
その会話内容に、先輩が今日欠席、という事が書かれていた
一色「うそ…先輩、今日学校に来てないみたいです」
城廻「ま、まさかね…」
一色「そ、そうですよ!まさか先輩にそんな度胸もありませんって!」
とっくにチャイムは鳴り授業は始まっている時間だが私達2人は生徒会室にこもっていた
数分の間、何もなかったが
ピロンッ!
二人「っ!?」ビクッ
通知内容には、先輩のクラスメイトの戸塚先輩がクラスグループに画像送信されたという通知だった
私は恐る恐るLINEのグループ会話を開く
一色「え、………」ガタンッ
貧血の時のように私はストーンと力が抜けていった
それからの事はハッキリと覚えてないが、この一文だけはハッキリと覚えていた
《相模のせいで八幡は自殺した》
………………………………………………………
放課後 学校
私はクラスに友達はいない、だけど嫌でも聞こえてくる2年F組のクラスメイトの自殺
私自身、それが比企谷くんの事では無いと思い込んで心配していなかった
こうしていつも通り、終礼が始まり連絡事項だけ伝えて解散だと思っていた
だけど…
「F組の比企谷君が自殺しました」
その担任の先生の発表に、私は頭の中が真っ白になるのを感じた
彼が自殺する程の度胸も無い人間のはずだと信じていた、いくらボロカス言われても平然としていた彼が自殺なんて程遠い人間だと
この後の警察の事情聴取も会話にならず、警察はメンタル面を配慮して私を直ぐに帰宅させた
平塚「…雪ノ下」
雪乃「…平塚先生」
平塚「あいつの自殺は…君のせいじゃ無い」
雪乃「…何言っているんですか、先生」
平塚「雪ノ下?」
雪乃「比企谷くんは生きてます」
平塚「…雪ノ下、気持ちはわかるが」
雪乃「平塚先生は直接見てないでしょう?」
平塚「……確認済みだ」
雪乃「え?」
平塚「さっき車であいつの家まで行って来たんだ、今回は他殺じゃなく自殺…だから死体は遺族に引き渡される」
雪乃「…」
平塚「雪ノ下、お前だけが頼りなんだ」
雪乃「どういう事ですか?」
平塚「…直ぐにわかる、急いで家に帰った方がいい」
雪乃「その前に彼に会わせてください」
平塚「やめた方がいい、妹の小町に何をされるかわからないぞ」
雪乃「関係ありません」
平塚「どちらにせよ、今は会えない、警察官が出入りしている」
平塚先生はスマホを取り出し、テレビ放送を私に見せた
《自殺現場の公園前ですが、凶器らしき物は無く警察は自殺として捜査していますが
今日の昼頃にtwitterに拡散された、自殺した男子生徒に対するイジメの暴行シーンや写真が関係あるとしてクラスメイト5名に対して事情聴取をしています
中継変わります、自殺した17歳の少年の自宅付近の住宅街ですが、警察はここ最近変わった事無かったか遺族の方や近所の方々に書き込みを始めています
平塚「今、彼の家に行くのはやめたほうがいいそれより…陽乃を頼んだぞ」
雪乃「どうして姉さんの名前が出てくるんですか?」
平塚「いや、少し前に電話で話したんだが…なんだか様子がおかしかった…今まであんなトーンの陽乃は初めてだ」
雪乃「…姉さんが?」
私は言われた通りに、そのまま自宅マンションに帰ることにした
家の中は電気1つもつけておらず、人気を感じなかった
何処かに出掛けているだろうか、そう思ったが姉さんの部屋の方から何やら聞こえてくる
〈うぅ………
雪乃『姉さん…?』
泣いているのか、あの姉さんが泣いている
私は忍び足で姉さんの部屋の近くまでに歩み寄る
〈あの時…わかってたのに…助けられなくてごめんね…比企谷くん…
驚いた、興味のないものには何もせず、好きなものを構いすぎて殺すか、嫌いなものを徹底的に潰すことしかしない人が、人の為に泣いて後悔している
たまに比企谷くんに対してからかったり、構ってあげたりと好意を感じさせる節はあったが
ここまでとは思いもしなかった
陽乃「雪乃ちゃん、盗み聞きなんてお姉ちゃん感心しないな〜」
雪乃「っ!?ね、姉さん」
陽乃「お姉ちゃんが泣いているところがそんなに珍しかったかな?」
姉さんはさっきまで泣いたとは思えないぐらいいつものポーカーフェイスで部屋から出てきて私に話しかけてきた
雪乃「姉さんはそういうのに疎いと思ってたわ」
陽乃「失礼な事を言う妹ね、まるで人をロボットみたいに」
雪乃「あら、事実を言ったまでよ」
陽乃「疎いのは雪乃ちゃんの方だと思うな」
雪乃「…どういうことかしら?」
陽乃「比企谷くんの事を何も見抜け無かった、間抜けだって事だよ」
雪乃「っ!?…姉さんの言われる筋合いは無いわ」
陽乃「そっくりそのまま雪乃ちゃんに返すよ、とは言っても私も人のことは言えない、か」
雪乃「珍しいじゃない、姉さんの方から引き下がるなんて」
陽乃「私ね昨日比企谷くんに会ったんだよね」
雪乃「なんですって、そもそもなんで姉さんが比企谷くんと会ったの?」
陽乃「比企谷くんがとっくに退院してるのに雪乃ちゃんが浮かない顔をしてるから、何かあったのか聞こうと思ってね」
雪乃「そんな訳ないでしょ、それが本当ならさっきの言葉は出ないはずよ、他の目的があったのでしょ?」
陽乃「…私ね、正直比企谷くんは雪乃ちゃんには勿体無いと思ってたの」
雪乃「何を言って」
陽乃「最初、比企谷くんなら雪乃ちゃんを変えてくれるかなっと思ってみてたんだけどね段々彼と接していくうちに、今までの社交辞令な人達とは違って変わってる比企谷くんに惹かれている事に気付いちゃったの」
雪乃「…」
陽乃「でも出来るだけ可愛い妹が幸せになってほしいと思って見てるだけにしてたんだけどなぁ…貴女達一向に変化しないじゃん」
雪乃「比企谷くんとはそんな関係じゃないわ、まず勝手に思い込まないで頂戴」
陽乃「そう…そうやって自分の気持ちを否定しているから最後まで比企谷くんのコトが見えなかったのよ」
雪乃「なんですって…姉さんは気付いて」
陽乃「たわよ、昨日会って直ぐに」
雪乃「っ!?」
陽乃「でも比企谷くんは最後まで自分の弱いところを見せなかったなぁ〜、頼ってほしかったんだけど彼は何も言わず私から離れて行った」
雪乃「…姉さん」
表情はいつも通りなのに、姉さんのその目には涙が溢れようとしていた
私が姉さんの立場なら泣いて悔やんだに違いないだろう
何せ、あの時引き止めるたり無理矢理にでも比企谷くんを安全な場所に連れて行ったりしたら死なずに済んだのだから
陽乃「ようやく信じれる人に出会えたと思ったのに…どうして、ねぇ?どうして…」
雪乃「わ、私に聞かれても」
陽乃「ガハマちゃんもガハマちゃんだよ、どうして一番近いところにいたのに何もしなかったのかな…そんな無力だった人を見ているとね」
雪乃「お、落ち着いて」
陽乃「殺したくなっちゃうかな?」
雪乃「っ!?」ゾクッ
陽乃「どう足掻いても私は、貴女達二人の立ち位置に立てない挙句、何もしない二人が」
雪乃「そんな事を私に言われても」
すると姉さんは段々ヒートアップしていく、好きな人の事だけで人はここまでにも変えてしまうものなのか
いかなる時でもポーカーフェイスを崩さなかった姉さんの面影は、もうそこには無かった
………………………………………………………
午後7時頃 比企谷自宅近辺
どうしてこんな事になってしまったんだろう
私は担任から比企谷の自宅の住所を教えてもらい、彼の家に向かっていた
家の事は大志に任せるとLINEで伝えてある
川崎『…全て話さないといけない、彼の妹に』
彼が入院中にお見舞いに行った時の事だった
川崎「そういや、アンタ」
八幡「なんだ?」
川崎「ご家族の方には、京華の事は話したのか?」
八幡「話してねぇよ、面倒くさいし」
私はその時、直接家族の方に話すと言ったが彼は、やめてくれと止められた
あの時は特別な事情があるものだと思っていた
川崎『比企谷…今日の朝、京華がお前に会いたがっていたんだぞ…私は妹になんて言ったらいい…』
なんだかんだで考え事をしていると、彼の家の近くまで来ていた
そこにはマスコミや報道陣が陣取っており、何か動きが無いか見張っているのだろう
あたしはそんな物には気にも触れず、真っ直ぐ彼の家に向かった
〈おい、あの女子高校生は
〈あの家に向かっているぞ、カメラ回せ!
パシャパシャ!!
マスコミやテレビ局のカメラが一斉にあたしに向けて写真やら撮影してきたが、フラッシュの光が眩しい程度で気にも触れず、彼の家のインターフォンを鳴らす
だけど応答せず反応がなかった、こんなけの報道陣がいたらそうなる事は分かっていた
駄目元でドアノブを引っ張ると鍵がかかっておらずそのままドアが開た
川崎「なんで鍵がかかってないんだ?お邪魔します…」
家の中に入りリビングに入るが誰もいなかっただとしたら二階だと判断した私は階段を登り二階に行くとギシギシと部屋の向こう側から音がした
私は恐る恐るドアを開ける、そこにあったのは
プラーン プラーン
彼の遺体だろうか、布団の上で彼の妹、小町が首を吊っていたのだ
川崎「な、何してるんだ!!!」シュタッ
ドサッ!!
私は咄嗟に彼の妹を首から縄を外した
小町「どうして止めたのですか…」
川崎「そりゃ後追い自殺しようとしている人がいたら止めるだろ…」ハァハァ
小町「私はお兄ちゃんの事を気付けなかった…」
川崎「…聞いてください」
小町「どうしたんですか?大志くんのお姉ちゃん…沙希さん」
私は全て話した、ガソリンスタンド事故の真相、彼の障害は彼が京華をかばった時に後頭部を打ったせいだという事を話した
小町「…そうだったのですか」
川崎「だから…妹の貴女に何をされても文句は言えない…だけど京華は許してやってほしい
無理承知なのは分かっている…」
小町「何を言っているんすか、私は嬉しかったです」
川崎「え?」
小町「どうしようもないお兄ちゃんが、人を助けたという事が知れてよかったです
あ、小町的にはポイントが高いっ」ポロポロ
川崎「…」
小町「安心してください、大志くんも特別に恨んだり避けたりしませんので…ま、後追い自殺をしようとしていた人間が何を言ってんだですがね」
そういうと小町は苦笑いをして、流れた涙を拭きとる
私はこの子の心の強さは、やっぱり比企谷と同じように強いんだと実感し、兄妹は似るものだと強く思った
小町「それにしても、お兄ちゃんは色んな人に好かれていたんだなって思いましたよ」
川崎「というと、他にもあたしみたいに来た人がいたのかい?」
小町「来たのは平塚先生と陽乃さんの二人ですが、LINEをしてくれたのは…雪乃さんと結衣さん、お兄ちゃんのスマホにはその二人を始めとした数名の人からの通知が来てました
今まで見た事ないですよ、お兄ちゃんのLINEの通知数が100を超えたところ…」ポロポロ
川崎「…それにしても、本当に死んでいるのか?本当は生きているんじゃないか…」
私は冷たくなった比企谷の身体をさする
最初は公園に呼び出された時に、どうして教えてくれなかったのかと戸塚を恨んだりしたが、彼には彼なりの事情があったんだろう
それよりもっと早く気付けなかったのかと自分を責めていた
小町「本当…死んでいるのは目だけにして欲しいですよ」
〈パシャパシャ
外の報道陣がカメラのシャッターを切り出したと思うとインターフォンのベルが鳴る
そして私と同様のようにドアを開けて入っていく
一色いろは辺りかと思っていたが、入って来たのは、全く知らない制服の女子高校生だった
??「お、お邪魔します」
小町「えーっと、どちら様?」
折本「すみません、自己紹介が遅れました…折本かおりと言います、彼とは中学校の時の同級生です」
そうだ、思い出した…お菓子作りの時にいた気がする
それは小町も気付いたようで、あっ、という表情をしている
川崎「単に同級生という関係じゃないよね?」
折本「実は私、比企谷とは朝…会ったんだよ…マジで」
小町「えっ!?いつ!?何時!?どこで!?」
川崎「小町、少し落ち着きなって言っている事がめちゃくちゃだ」
折本「…ちょうど、朝の何時頃だったかな…覚えてないけど」
………………………………………………………
遡る事 朝 の8時半頃
折本「はぁ…寝坊とかマジついてないわ…今走っても絶対間に合わないし…もういいや歩こ」
どう足掻いても遅刻は確実なので、私は一時間目をサボるつもりで、ゆっくり歩いていると
前から盲目の人が白杖をついて歩いて来た
アイマスクしているが、姿格好を見て何処かで見たことがあった様な気がした
折本『あれって…総武高校の制服よね…どこかで見た事があるような…あ、』
折本「比企谷、アンタ何してんの?」
八幡「…この声は折本か…はぁ」
折本「なんで会ってそうそうため息つかれなきゃいけないのよ」
八幡「い、いや…特に意味はない」
折本「それよりさ、なんでアイマスクしてんの?まじウケる」
八幡「いや、ウケないから」
折本「いやだってさ、比企谷盲目じゃないじゃん?なのに白杖って意味わからないし気になるじゃん」
八幡「…ほっとけ」
折本「…前に会った時は中学の時と比べて変わったと思ったけど、今はもっと変わったよね」
八幡「どういうこと」
折本「本質は変わってないけど、身体、痩せすぎよ!まるでボヤッキーみたい!まじウケる!」
八幡「ネタ古すぎるだろ」
折本「なーんだ、普通に受け答えできんじゃん!最初からやればいいのに」バシバシッ
八幡「ゲホッ…」びちゃびちゃ
折本「え?」
中学の時みたいに軽く背中を叩いたつもりだった、比企谷は口から吐血しだした
折本「比企谷!?そ、そんなに強く叩いたつもりじゃ」
八幡「どっか行け…」
折本「そ、そんな」
八幡「折本、お前が俺の事をどう思っているのかはしらない、俺は入院してたから考える時間はあった…」
折本「入院?」
八幡「その間時間だけはあったからね、今までの事を振り返ってた、だからもう答えは出ている」
折本「ちょっ、話が全くわからないんだけど」
八幡「なら一方的に話させてもらう、折本、俺はあんたのことが大嫌いだ、顔も見たくない」
私は一方的に大嫌いと言われて、コイツのふざけた顔をぶってやった
その時に装着していたアイマスクが外れた
八幡「だからせめて、俺に話しかけないでくれ…と言っても会う事もないか」
好き勝手言いやがって比企谷のくせにと思った
でもコイツの顔を見ていると、そんな気は段々と伏せていった
なんて悲しそうな、今にも死にそうな目をしているんだろうか
彼は落ちたアイマスクを拾いつけ直すと、白杖を持って私の横を通り過ぎて行った
あれから一時間後 彼は自殺した
………………………………………………………
川崎「…そんな事が」
川崎達は場所を変えて小町の部屋に移動し、話を聞いていた
小町「お兄ちゃん…」
た͜͜͏̘̣͔͙͎͎̘̜̫̗͍͚͓͜͜͏̘̣͔͙͎͎す͜͜͏̘̣͔͙͎͎ơ̟̤̖̗͖͇̍͋̀͆̓́͞͡け̜ͪ̅̍̅͂͊て
3人「!?」
川崎「誰かいるのか?」
返事がない、その代わりに、何か濡れた柔らかい物が転がるようなピチャピチャという音が聞こえた
折本「……」
いま耳にした音の正体について、なかなか意味をなす思考を形に出来ないまま、3人は呆然と閉ざされたドアの向こうを眺めていた
小町「もしかしたらお兄ちゃんは生きているかもしれない!」
折本「ありえないって!警察が調べたんでしょ!?」
小町「でも、さっきたすけてって」
川崎「私が様子を見てくる」
川崎は小町の部屋から出て、スマホのライトを使って調べることにした
廊下に出て気付いた事だが、さっきまでいたはずの彼の部屋からは、魚の臓物をかき集めて腐らせたような、鼻の曲がりそうな汚臭がしていた
彼の部屋から物音がする
川崎「…開けるしかないか」
川崎は勇気を振り絞ってドアを開ける、するとそこにはさっきと変わらない部屋が広がっていた
しかし、頭上から汁が垂れてきていた
川崎は恐る恐る上を見上げる、川崎の生涯で最悪の不幸は、その時に上を見上げた事かもしれない
天井に張り付いて待ち伏せし、今まさに直下の獲物を襲いかからんとしていた捕食者の容姿を目の当たりにしてしまった事だ
悲鳴をあげる直前に、口も鼻もすっぽりと覆われて口から内臓を食いちぎり、膣を突き破り侵入してくる異物
その感触を感じる頃には川崎の精神は崩壊していた
「JZエ紘4QPヲ. a寐Oⅳサササ・ シ昮叝58lB婁・8PY,訛・擇セカ彑シp#Tチホt ケ)・]y8gz」
………………………………………………………
次の日 朝 千葉県警
相模「…どうしてこんなことになっちゃったのよ」
昨日の放課後、警察の人達がネットに出回っている事について聞きたい事があるとの事で
私達はパトカーに乗せら、千葉県警の本部まで送迎された
スマホで色々な事を調べてみると、私の事について炎上して叩かれまくっていた
当たり前で自業自得だと誰だっていうだろう、私のせいで彼は自殺したようなものなのだから
自宅にはスプレーによる落書きや投石もあったという
相模「どうして私だけ、こんな仕打ちされなきゃならないのよ…どうして!」
ギィィ……
相模「え?…今、室内機から音が」
ギィィ…ギシギシ
相模「な、なに?…ネズミ?」
「ル ー・Ιエ釛e、・�"EPュ株2a)R猛-・�iル影�ュエJYM」
明らか人間離れした声が、室内機の方から聞こえてきた
すると室内機から触手のようなものが伸びてきていた、私は悲鳴をできるだけ大きな声で叫びまくった
しかし、警察の人達が入って来る様子はない
「《●》」
相模「ひぃっ!?」
私は思わず尻餅をついてしまった、足がガタガタと震えて力も入らない
何せ、目の前には室内機から出てきた肉塊が落ちてきたからだ、おまけにその目玉のような物がずーっとこちらを見つめていた
………………………………
相模「…ん、」
私は気を失っていたのか、壁にもたれて座っていた
「4珎 D」xマ&$Hコ1U2・オ��縫チ?」
ぶよぶよと蠢く肉塊が、暗く粘ついた声でそう言った
似たような肉塊があと2つ、目の前に並んでいる。私を囲んで金切り声と唸り声とそれ以外の奇声を交しあっている
相模「ひぃっ!?き、気持ち悪!!近寄らないで!」
「ダァ足こてほネタ?」
何を言っているのか分からない、それ以前に目の前に広がっている光景に驚きを隠せなかった
色 色 色
臓物の紫と腐肉の茶色と鮮血の真紅と脂肪の黄色と、それ以外は言葉にならない色彩の狂乱
色だけではない、ぶよぶよとした壁に床…周りは内臓をぶち撒けたような光景が広がっていた
相模「い、いやぁ…こっちに来ないで!」
私は咄嗟にぶよぶよしたティッシュ箱らしき物を化け物に対して投げ飛ばした
しかし、その化け物はサッとよけて肉塊同士で話し合っている
数秒後、その肉塊達は部屋から退出した
これはきっと何かの間違いだと、ドッキリじゃないかとありもしない事に希望を持って私は出窓から外を覗き込む
そこに広がっていた景色は言うまでもない
「どう?気に入ってくれた?」
相模「だれ!?」
そこにいたのはつかない色髪でやや動物耳の様な癖っ毛で染み一つない白いワンピースを着た、成人前かと思わせるぐらい幼い容姿の女の子が立っていた
「私の名前なんてどうでもいいよ、それよりこの景色、どう思う?」
相模「気持ち悪いに決まってるでしょ!?」
「そう、気持ち悪いよね」
相模「な、なんなのよアンタは!」
「これは比企谷 八幡が見えていた世界だよ」
相模「は?」
「覚えているよね?アイマスクしていた事を」
相模「えぇしっかりと覚えているわ」
「だったら話は早いね、貴女は今から死ぬまでずーっとこの世界を過ごしてもらうね」
相模「は?何を言って」
「だって八幡を自殺に追いやった主犯格でしょ?だったら罪を償わないと」
相模「ふざけないで!こんな世界、過ごせる訳ないでしょうが!」
「八幡はやってのけたよ?まぁ彼の場合は聴覚は無事だったからかもしれないけど」
相模「わ、私が悪かったから!なんでもするから!元に戻してよぉ」グズッ
「ま、私にはどうする事も出来ないから…頑張ってね〜、それと自殺も出来ないように身体は頑丈にしてあるから」
相模「…うそ…助けて」
「助けて?その言葉は貴女は何回聞いたか覚えてる?」
そう言うと少女は姿を消していった
それから他の四人は原因不明の心臓麻痺で死亡
相模は精神疾患として精神病院に搬送され、原因不明の認知症として監禁される事になる
その頃では八幡自宅に警察関係者が訪問したが反応がなかった為、令状を手にして家宅捜査をしたが彼の遺体は姿を消しており
他の3人は見るも無残な死体となって発見された
それからも負の連鎖は続く事になる
次の日、県内の高級住宅マンションに住む女子高生が失踪
のちの半年後に利根川下流付近でドラム缶にバラバラになり詰められた状態で発見
雪ノ下 雪乃とDNAが一致した事も判明した
また由比ヶ浜は、DD《隔離生障害》となり自分を守る為に記憶を封じる解離性健忘
さらに人格すら変わってしまう隔離生同一性健忘
結衣はその中間あたりだという、彼女は年月たってもまだ高校二年生だと思い込んでいる
記憶と矛盾する言葉は消えて来ないという
「ねぇ!ヒッキー!」と、サブレに問い続けたという
………………………………………………………
ザバァ…ザバァ…
カモメが数匹飛んでいる、そして潮の香り
陽乃「やっと二人きりになれたね…」
八幡「」
ゆったりとゆったりと、私と比企谷くんは太平洋側の海に向かってヨットにのっている
艦内には何も無く、睡眠薬と水しかない
すっかり冷たくなっている比企谷くんの体を自分の身に引き寄せる
彼の手を胸に当てさせたり、性感帯にも触れさせたりもした
すごく胸が気持ちがトキメクのを感じることができたが、それは自分の自己満足にしかすぎない
それにこのままほっておいたら遺体は腐敗を始めてしまう
そんな彼は見たくない
陽乃「寂しい思いをさせちゃったね、だから私も比企谷くんのところに向かうよ」
ゴクンッゴクンッ
私は睡眠薬を大量に飲み、そっと比企谷くんの身体を抱きしめる
陽乃「これからもずーっと一緒だね比企谷くん」
………………………………
それから四年後
一色「先輩、元気にしてますか?一応花を持ってきましたよ」
私は墓石に花束を添える
一色「花束の中にワスレナグサを入れておきました、花言葉で私を忘れないでという意味があるそうですよ」
一色「あざとかわいいって思ってるんでしょうね…先輩の事ですから」
一色「私はあれから大学に進学しました、以前に先輩が言ってた大学にへと」
一色「あれから立ち直るのに大変でしたよ、先輩達が数人死んで、結衣さんも城廻先輩と精神が病んでしまって…」
一色「残されたのは私だけとなってしまいましたよ…先輩、今なら言える気がします」
一色「好きでしたよ…せぇんぱぁい」
END
………………………………………………………
【世界侵食 trueend】短編予定
陽乃さんから逃げて俺はすっかり疲れ果ててしまった
沙耶「私と取り引きしない?」
八幡「沙耶か?」
沙耶「うん、もう目隠ししなくていいよ」
八幡「は?」
沙耶「ま、騙されたと思って」
俺は言われた通りにアイマスクを取り外すと肉塊グロ肉の町の風景にぽつんと
長いストレートの、緑とも黒ともつかない色髪でやや動物耳の様な癖っ毛で染み一つない白いワンピースを着た、成人前かと思わせるぐらい幼い容姿の女の子が立っていた
八幡「お前…実体化出来たのか」
沙耶「元々私は実体してるよ、今までは頭の中に語りかけてただけ」
八幡「そう、それで今更何のようで」
沙耶「あれ、驚かないの?」
八幡「もう…驚ろくのが疲れてる」
沙耶「…久々の人間の姿なのに?」
八幡「小町と戸塚の事を妄想してるから充分」
沙耶「うわ…流石にひくわ」
八幡「ほっとけ…」
沙耶「治してあげようか?」
八幡「何を…」
沙耶「異常をきたしている事故の後遺症を」
八幡「治すって…どうやって」
沙耶「簡単だよ」
すると沙耶は笑顔で容姿から予想もつかない事を俺に提案してきた
沙耶「私とセックスしてくれたらいいんだよ」
八幡「何を言っているんだ」
沙耶「あれ?こんな美少女とセックスだよ?」
八幡「自分で言うな、自分を」
沙耶「ふーん、だったら好みの女性も連れてきたらいいのかな」
八幡「そういう問題じゃ」
すると彼女は俺の応答を聞かない内に瞬時に姿を消した
数秒後に沙耶は目の前にまた瞬間的に姿を現した
ここが路地裏でまだ良かったといえよう、こんなところを誰かに見られたら、面倒な事になるに決まっている
平塚「っ!?」ドンッ!
八幡「せん…せい?」
沙耶がどのような方法で、ここまで先生を連れて来たのか知らないが先生はその場でうずくまっていた
沙耶「八幡の好みなんて頭の中を覗けば直ぐにわかるよ」
八幡「なんで先生まで普通に見れるように」
沙耶「私の手にかかればどうって事はないよ」
平塚「ぁ…」ガタガタ
沙耶「ほら、久々の女性の身体だよ?」ビリビリ
本来の平塚先生なら、こんな子供のやられたい放題される訳がない
そんな先生がいいように抵抗もせず服を破かれていた
色々冷静に思い出してみると、発症して数日後に色々な検査をした時、数ある検査の中で魚の煮付けを見た際
俺は普通の魚に見えていた、それは逆手に取ると元が普通だと異常に見えていて、逆に元が死んでいたり原型をとどめてなかったりすると
普通に見えている事になる
そう、おぞましいものと美しいものが逆に見えて感じている
それに沙耶は最初の時に治せるかと聞いた時に
「それは無理だね」とハッキリ言った
という事は、彼女の力でグロ肉じゃない様に見えるようにすることなんて不可能だ
ただひたすら好き勝手に弄りまくられている平塚先生は…
おそらく無残な姿になっている事になる
沙耶「ほら?こんなに濡れてるよ?八幡」
彼女の言う通り、俺の目には平塚先生がアクメして潮吹きしているように映っている
だが、実際はどうだ?その吹き出している物はなんだ?
考えるだけで恐ろしい、だが、体は正直だ…
沙耶「うれしい…ずーっと欲しかった…」///
自分が何をしているのかなんて、わかっている
でも久々の人間、それに精神的に病んでしまっている状態だ
少しでも希望があるのなら、やる価値はあると判断したのだ
沙耶「ハァハァ…」///
平塚「ぅ…」
こんな路地裏で、野外プレイをしている
クソ人間だ…
沙耶「八幡…元の世界に戻りたい?」
八幡「あ、あたりまえだ…」
沙耶「そうだね、全てをハッピーエンドに」
すると沙耶の身体から花が咲き始めた、その花は明るく光っていた
なんて綺麗な光景なのだろう、そして俺は沙耶の光に包まれていく
………………………………………………………
ピピピッ!ピピピッ!
スマホの目覚ましが鳴り響く、俺は目覚ましを止め布団から起き上がる
どうしてだろう、今まで凄く嫌な夢を長い間見ていた気がする
そして目の前に広がるいつも通りの自分の部屋が凄く懐かしく感じられた
12月の上旬、俺はいつも通りに歯を磨き顔を洗い朝食を食べに向かう
小町「あれ?お兄ちゃん?なんか目がいつもより綺麗な目をしているよ?」
八幡「気のせいだろ」
小町「いや、本当だって!でも小町的にはポイント高い!」ニィッ!
そんな他愛のない日常が凄く新鮮に感じるのは何故だろうか、こんなにご飯が美味しいと感じるのは何故だろうか
そう思うと自然と目頭が熱くなってきた
小町「お兄ちゃん?」
八幡「な、なんだ?」
小町「なんで泣いているの?」
八幡「な、ないてねーし」
小町「ふーん、変なお兄ちゃん」
そして俺はいつも通りに学校に向かった、すると何かの違和感に気づいた
八幡『なんで、こんなに花が多いんだっけ?』
道の至る所に花が咲いていたって事だ、そしてクラスには
結衣「やっはろーヒッキー!」
八幡「う、うっす」
戸塚「おはよう八幡!」
八幡「おはよう戸塚」
結衣「ちょっと!!私の時と全然態度が違うんだけど!」ムキー!
八幡「戸塚は天使だ」
戸塚「えっ!?」///
結衣「ヒッキーまじキモい!ゲイ!」
八幡「全国のゲイの方に謝れ」
そんないつも通りの日々が凄く平和だった、まるで今までは誰かに襲われてたみたいな感じがするのだ
そして今までで一番の違和感は
一色「先輩!今日も生徒会の仕事手伝ってください!」
沙耶「ま、待ってよ〜いろはちゃん!」
そう、このひと沙耶の存在感である
俺は沙耶って人との記憶が全く無い、なのに対して写真などをみると奉仕部との写真に必ずと言ってほど、沙耶って人が一緒に写っていた
それに初対面という感じがしないのは何故だろうか
そりゃ俺がそう思っているだけで、他の人は部員仲間という認識なんだろう
…………………
沙耶『もちろん、異常なのは八幡だけだよ』
簡単に説明すると、八幡の予想はある程度あっていた
平塚先生を連れてきたのは、頭の中でこの人の事を、あと10年ほど早く生まれていたら俺はこの人の事を心底惚れていただろう、という認識していたからだ
それに私は1つの生物だけをまともに見えるようにする事はできない
という事は平塚先生は死んでいた訳ではないが、はらわたから内臓が飛び出ていたりと死にかけてはいたけど
そう、八幡自体は変わってない
世界が八幡に合わせたんだよ、私と八幡の子供達によってね
……………………
当時のテレビ放送
《番組の途中ですが緊急速報をお伝えします、今朝日本の千葉県で未確認生物が大量に姿を表しました
日本政府はこの事態に自衛隊に防衛出動を発令しました
合衆国大統領は、この事態に東アジアの安全保障に関わるとして在日米軍に出動命令がなされました》
数日後
《未確認生命体は日本だけではなく、中国 東南アジア 中東 ロシア ヨーロッパ 南米 オーストラリア アフリカにも出現しており
我が合衆国にも出現し、すでに西海岸沿いにあるカルフォルニア州やワシントン州では奴らに制圧され
首都ワシントンD.Cにも奴らによって攻められようとしています
大統領はホワイトハウスを放棄、洋上の空母に政治機能を移転するとの事です
モスクワとは通信が途絶、北京では天安門が炎上、パリ、ローマでは略奪が横行、ロンドンでは治安が保たれているものの時間の問題かと、思われています》
こうやって世界、人間はグロ肉となっていった
八幡の周りの人間は沙耶によって記憶を埋め込められた沙耶の子孫…グロ肉に過ぎない
八幡は事故の前の記憶にまで遡り、今までの記憶は全部削除され
沙耶の存在だけ上書きされていた
それは八幡が望んだ世界より、沙耶が望んだ世界なのかもしれない
END
………………………………………………………
【そして永遠に happyend】↓
私と取り引きしない?
俺はその提案をすぐに蹴った
沙耶「どうして?」
八幡「お前の取り引きはろくでもないと直ぐに想像できる」
沙耶「そんな事を無い!」
八幡「必要ない、てか面倒だし」
沙耶「…そういうもんかな」
八幡「そうだ」
そんな事を言っているうちに、また後ろから車のエンジン音が聞こえる
陽乃さんが追いかけてきたのだろう、俺はアイマスクを付け直し話しかけられてもいいような体制をとった
陽乃「比企谷くん…ごめんね」
八幡「へ?…」
するとドアが開く音が聞こえたと思ったら、何かが俺の身体を抱き抱えて無理やり車内に押し込む
八幡「うおっ!?」
陽乃「荒っぽくてごめんね、でもそうでもしないと逃げるでしょ?」
八幡「そんなやり方をしたら誰でも逃げますよ」
陽乃「ここで比企谷くんを行かせると、後々絶対後悔すると思ってね…」
八幡「どういうことですか?」
陽乃「正直な事を教えてほしいなぁって?」
八幡「…今更じゃないですかね?」
陽乃「え?」
八幡「たとえどんな答え出したって、あなた信じないでしょ?」
陽乃「…うん、そうだね、私から言っといてなんだけど信じないかもね目にしたって」
八幡「でしょうね」
陽乃「今までの私ならね…」
八幡「は?」
陽乃「比企谷くんなら、どうなんだろうってね」
八幡「他の今までの人と俺とは違うみたいな言い方ですね」
陽乃「君らしい答え方だね…やっばりますます雪乃ちゃんには勿体無いね…で?」
八幡「で?」
陽乃「教えてほしいなぁって?いい?」
八幡「…」
陽乃「因みにどんな答えでも沈黙でも、すべて肯定と取られるから」
八幡「それって無理ゲーじゃ…」
陽乃「うん、それに今、私の自宅に向かってるから」
八幡「は?」
陽乃「雪乃ちゃんはまだ帰って無いから安心して」
八幡「そういう問題じゃ」
陽乃「ま、どうこうしている内にもう着いたよ」
高速道路を使ったのか思ったより早くに到着したようだ
俺は問答無用で陽乃さんに腕を掴まれマンションの中に連れて行かれる
八幡「あの…いつまで掴んでいるんですか?」
陽乃「そうでもしないと逃げるでしょ?」
八幡「やっている事が半分誘拐ですよ」
陽乃「人聞きの悪い事をいうなぁ君は…」
八幡「それに流石にエレベーターにまで乗せられたら逃げようがありませんよ」ハァ
陽乃「スゴイ!目隠ししているのによく気付いたね!」
八幡「そりゃ、伊達に盲目のような生活をしている訳ではないので…それに放してくれませんか?その手を」
陽乃「嫌だと言ったら?」
八幡「俺の事を調べたのであれば、なんで嫌なのか知ってますよね?」
すると察したのか手を俺の腕から放して服の裾を掴む
このブヨブヨした感触にはもう慣れたつもりだが、やっぱりいいものではない
するとエレベーターのドアが開き、俺は抵抗する事なく彼女に引っ張られて自宅まで連れて行かれた
陽乃「それじゃ入った入った!」
八幡「お、お邪魔します…」
八幡『てか…誘拐犯の家に被害者がお邪魔しますって言うのはどうかと思う』
と自分の事を自分でツッコミ入れていると陽乃さんは俺をある部屋に入れされる
八幡「この部屋は…」
陽乃「ここは私の部屋よ、どう?女の子の部屋は?」
八幡「わざと言ってます?」
陽乃「もう!匂いとかあるでしょ!?」プンプン
八幡「確かに…アロマでも炊いているんですか?」
陽乃「そうだよ、よくわかったね!」
八幡「…これは」
陽乃「伊達に盲目やっている訳じゃないから?」
八幡「いや、ただの勘です」
陽乃「そっか、それじゃ始めちゃいましょうか」
八幡「いや、何を」
陽乃「さ、脱いじゃって!」
八幡「それでハイそうですかって、脱ぐわけないでしょ?」
陽乃「脱がないと帰らせないよ?」
八幡「…」ポリポリ
八幡『面倒なことになったな…恐らく陽乃さんは俺が隙を突いて逃げようとしていることなんて見抜いているだろうし…』
それではいつもよりまして、しつこく付きまとって来るだろう
しかし、これで打開策が無くなった訳ではない俺は俺らしい方法を取らせてもらう
八幡「いいですよ、それでは脱ぎます…」
陽乃「お、珍しく諦めが早いね!」
八幡『動揺は無しか…相変わらず何を考えているのか分からない人だ』
俺は言われた通りに、制服を脱ぎ捨て上半身裸なってみせた
陽乃さんが今、どんな表情になっているのか確認出来ないが、無言が続いているところを見るとショックを受けているところだろう
そりゃ妹の小町にもみせた事ない傷だらけの姿だ、自分で言うのもおかしいがこの痛々しさに驚いて言葉も出ないが普通の反応だ
八幡「いてっ…」
至る所に瘡蓋があるため、少し身体を動かすと一部の瘡蓋が引っ張られ痛みが襲う
少し油断すると瘡蓋が剥がれ出血する時だってある
ペタッ
八幡「え?…」
絆創膏だろうか傷口に何か貼られている感覚がした
触ってみると知っている感触と違うが恐らく絆創膏だろう
陽乃「触っちゃだめだよ、傷口が開いちゃうから」ガサゴソ
八幡「いてて…な、何をしているんですか?」
薬のような匂いがしたので、恐らく薬で消毒されているのだろう
陽乃「…ほら、化膿してるところもある」
八幡「……こんな事をして、貴女に何のメリットがあるんですか?」
この人の事だ、何か裏があるんじゃないかと疑った
パチィーン………
しかし、飛んできたのは平手打ちだった
陽乃「流石の私も今の発言は怒るよ」
八幡「っ!?……」ヒリヒリ
陽乃「朴念仁にも程があるわ…」
八幡『あれ?陽乃さんってこんな事を言う人だったけ?』
陽乃さんは続けて身体中にある傷口を全部消毒して治療をしてくれた
染みるのは染みるが、スコップで叩かれるよりか断然ましだった
最後に包帯を上半身の胴体部分にグルグル巻きにしてくれた
陽乃「比企谷くんの性格上、嫌われものだってことは知ってたけど…どうしたらここまでやられるのかな…」
八幡「俺に言われてもしりませんよ…」
陽乃「雪乃ちゃんには何か心配の言葉1つ2つ言われなかったの?」
八幡「…とくになにも」
陽乃「そっ…か、雪乃ちゃんもかなり鈍感だったのね…」ゴゴゴ
八幡「でも雪ノ下を責めないであげてください、俺から離れたような物ですから」
陽乃「ふーん、で、誰にやられているの?」
八幡「言っても分からないでしょ」
陽乃「まぁね、でもその答えで納得すると思った?」
八幡「思ってませんよ、でもそれで納得してもらえたら嬉しいですね」
陽乃「やーだ」
八幡『やっぱりしつこいなこの人は…』
陽乃「じゃあ静ちゃんに電話しちゃお!」
八幡「無駄ですよ、あの人は確か今合コンに行ってます…丁度今頃玉砕してると思いますから長い相談に乗られる事になりますよ?」
陽乃「それは…流石の私も面倒くさいね」
八幡「ま、そういう事で雪ノ下が帰ってくる前に帰りたいので」
陽乃「比企谷くんはどうして助けてを求めないのかな?」
八幡「え?」
陽乃「だって普通の人なら助けを求めたくなる程の仕打ちを受けているでしょ?」
八幡「あー、そうですね…面倒事を避けたいからですかね」
陽乃「比企谷くんなら先生に言ってさっさと終わらせると思ったんだけどなぁ」
八幡「後処理がめんどくさいでしょ…」
陽乃「…もしかして、自分がこうして黙って暴行を受けていたら他の人に被害が及ばないからとか思ってない?」
八幡「…」
陽乃「図星かしら?」
八幡「どう思うかなんて貴女の勝手ですからね…」
陽乃「ブレないなぁ比企谷くんは…」
八幡「貴女もブレませんね…陽乃さん」
陽乃「でもね、いい加減出てきてほしいかな?」
八幡「は?」
陽乃「雪乃ちゃん?…出てきたら?」
八幡「え?」
するとドアがゆっくりと開く音がした、まさか雪ノ下が既に帰ってたとは思ってなかった
陽乃「バレバレだよ雪乃ちゃん」
雪乃「あら?姉さんにバレてようがバレてなかろうが関係ないわ」
陽乃「でも、まぶたが腫れてるよ?」
雪乃「っ!?」
陽乃「自分の無力さに気付いて泣いちゃった?」
雪乃「あら?姉さんこそ目が赤いわよ?」
陽乃「そりゃそうだよ、ショックだったもの…好きな人がこんな目に遭ってたら」
八幡「は?」
雪乃「なっ!?」
流石の俺もその言葉には驚いた、しかし彼女の性格の事を考えると
その意思は本物とは限らないのだ、それは雪ノ下も同じように思ったのか、少し戸惑ったがいつもの冷静な雪ノ下に戻る
雪乃「あら?人の事を信じられない姉さんが、何を言っているのかしら
いくら彼が惨めそうに見えたとしても…」
八幡「今さらっと俺の事を馬鹿にしたよね」
陽乃「確かに雪乃ちゃんの言う通り、私は人を信じた事なんて無いし、この気持ちが恋愛感情なのかなんて分からないよ」
雪乃「珍しく自分から引き下がるのね」
その場の空気は最悪だった、俺はいち早くその場から離れたかった
しかし、ここは雪ノ下姉妹の自宅…オマケに俺には今、白杖がない
よって、状況も最悪のなのは変わらなかった
八幡「そもそも何で?」
二人「「少し黙って(くれるかしら?)」」
八幡「えぇ…」
アイマスクしているが二人が睨みあっているのは雰囲気で分かっている、見えてないぶん尚更怖い
そもそも、陽乃さんは本気で俺の事をそう思っているのだろうか
それとも、ただ妹の雪ノ下をイジりたいだけだろうか
やっぱり俺に関わると、ろくな事がない
それでは、何の為に俺が暴行を受けていたのかわからなくなってしまう
だったら今まで通りのやり方で、とことん嫌われてやろう
八幡「あのさ?だったら帰ってもいいですか?」
雪乃「貴方の目は節穴なのかしら?この状況で帰れると思って?」
八幡「この目で見えるわけ無いだろ」
雪乃「それもそうだったわね糞谷くん」
八幡「…あのさ、言っておくけどさお前もうそろそろ罵倒するのやめてくれないか」
雪乃「え?」
八幡「以前から言おうと思ってたけど、お前のその罵倒に結構傷ついてるんだわ」
雪乃「なんでそれを今」
八幡「言うのかって?嫌だからに決まってるだろ?」
俺は雪ノ下の反応を確認せずに淡々と言いたい事を言い続けた、たしかに今更な事だが、それが原因でストレスが溜まっているのも事実であった。
八幡「雪ノ下、お前、俺のこと嫌いなんだよな?」
雪乃「…嫌い、なん」
八幡「あぁ、そうかよ、悪かったな、葉山じゃなくて」
雪乃「どうしてここで葉山の名前が!」
八幡「俺だってお前の事、大嫌いだ!」
雪乃「っ!?」
俺は今まで決してする事もなかっであろう怒鳴り声をあげ、その場から勢いよく壁にぶつかりながら出て行った
正直キャラでもないことをするぐらい、その場から離れたかった、身の危険をも感じれるほどだった
俺は遠くには逃げず、近くの高架下の薄ら暗い倉庫に隠れ込んだ
外に出たらアイマスクを外し血みどろな道を掻い潜ってきた
おそらく遠くに逃げても、陽乃さんに見つかるのがオチだろう
八幡「あ、」
落ち着いてようやく自分の身物を彼女の部屋に置いてきてしまった事に気付いた
そして汗でびしょ濡れになった制服、しかし手当てされたおかげで傷口に染みることはなかった
………………………………………………
………………………
あれから小一時間ほどたった、俺は錆びついた土管に座って二本の高速道路の隙間から赤々と薄く光る月を眺めていた時間は丁度5時頃だ
これからどうしようかと…
沙耶「八幡、隣りいい?」
八幡「おまえ…いつの間に実体化できたんだ」
沙耶「…本当ら最初からやろうと思ったらいつでも出来たよ」
八幡「そうかよ…」ポリポリ
沙耶「反応薄っ!」
八幡「もう今更なんでも驚かないな」
沙耶「…で、どうするの」
八幡「どうするもクソもねぇよ、ボッチライフが今日で台無しだ」
沙耶「まぁ、彼女達のあの様子だと明日の学校で何かしらのアクションをおこすでしょうね」
八幡「…仕方ない」
正直、できれば…いや、絶対やりたくなかったが、これ以上自体が悪化したくない
だから
八幡「かたをつけるしかないだろう」
沙耶「八幡、やるんだね、今」
八幡「あぁ…俺らしくない」ポリポリ
すると隣に座っていた沙耶は、この長いサラサラの黒髪をなびかせる
ほんと、この世界だと沙耶は美しく輝いてみえる、なんせたった、一人だけ人間に見えるのだから
八幡『ここからだと、家からそんなに離れてない、準備するか』
………………………………………………………………………
20分後 自宅
八幡「ただいま」ガチャ
俺はいつも通りに、平然を装い家に入った、しかし妹の気配がしない、アイマスクしているがなんとなくながらわかる
すると沙耶が脳内に直接話しかけてきた
沙耶『小町はさらわれたみたいね』
八幡「…は?」
俺は呆気にとられた、どういう事か全然理解できなかった
沙耶『この紙、内容からして貴方を呼び出すのが目的でしょうね』
八幡「相手は」
沙耶「あのグループでしょうね筆跡からして」
八幡「上等だ…小町に手を出したことを後悔させてやる」
僕は自分でも驚くほど冷静に無駄のない動きで居間をすり抜けると、台所のシンクの横にある肉切り包丁を手に取った。
〇〇倉庫に来い、妹がどうにかなる前にな
………………………………………………………………………
倉庫……
「グエッ!」バタンッ!
沙希「貴様ら、覚悟できてるんだろうな」
川崎沙希は次々と人をなぎ倒していた、倉庫には彼女の弟である大志も拘束されていたからだ
何人かは息をしていないだろう、しかし今の彼女にはそんな事知った事ないのである
「これ以上近づくな、弟がどうなってもいいのか?」
沙希「なっ、」
………………………
「ほら、口がお留守だぞ」バンッ!
沙希「ッン!!」クボッ!
ジュポッ!ジュポッ!
小町「…ヒグッ!」
大志「や、やめてくれ!ねぇちゃんは関係ないだろ!」
小町と大志は縄で縛られていた、その二人の真上には鉄骨があり見張りがその場を離れると、仕掛けが外れ鉄骨が真っ逆さまに二人に落ちる仕掛けとなっており
川崎沙希は八幡と同じ紙を読み、助けに来たが脅され、レイプされかけている状況である
沙希「エップゥ……」バタンッ
大志「ねぇちゃん!!」
殴られ痣だらけになった沙希は体力の限界もあり、その場で倒れ込んだ
口は白い液体で溢れかえっていた
………………………………………………
倉庫裏口
俺は待ち合わせの倉庫場所に着いた時、沙耶は突然また直接脳内に話しかけてきた
沙耶『さっきも言ったけど、私には、私にしかできない方法で生き物の身体に干渉できる。』
八幡「またその話か、俺は断っただろ」
沙耶『今なら、あなたの頭をもとの状態に戻すことも、できるの』
八幡「その代わりの代償がいるんだろ?」
沙耶『そんなもの、必要ないの』
八幡「どういうことなのか詳しく教えろ」
沙耶『そもそも、八幡のこの後遺症は私のせいでもあるの』
俺はその場で立ち止まり、沙耶の話を聞いた
沙耶『八幡、貴方はあの交通事故で強く頭を打った、その際で頭に障害が応じてこんな事になったと思っているでしょうが、それは違うの』
沙耶『実は、八幡はその後の手術はドナーの移植によって一命をとりとめた、そのドナーが私が憑依していた人間の肉体だった
それによって貴方はゲームの上書き保存のように私に憑依されてしまった』
沙耶『私は最初は貴方の事を利用して目標を達成させるつもりだった、でもそれは辞めたの』
八幡「どうして、それは」
沙耶は静かにため息を吐きながら、少し笑いながら返事をした
沙耶『どこかの誰かさんと似て来たからかな、おかしな話だよね』
八幡「実に不愉快だなそれ」
沙耶『だから八幡、教えて。あなたが昔の暮らしに戻りたいかどうか。あの事故で失ったものを、取り戻したいのかどうか』
八幡「どうして、このタイミングなんだ」
沙耶『肉塊をどうやって見極めるのよ』
八幡「…」
沙耶『で、答えは?』
八幡「そりゃあもちろん、元に戻れるのなら…元に戻りたいと思う」
沙耶『そう…心配しないで、段々と目が覚めるときには何もかもが終わっているから』
ピカッ!!
沙耶はそう言い放った瞬間、目の視野がいきなり明るく光だした
俺は恐る恐る、目を開けると周りの景色は事故前にみた普通の世界が広がっていた
街の街灯や多種多色の光景がそこにあった、しかし人は一部まだ化け物のままの人もいれば、元に戻った人も居た
俺は興奮を隠せなかったが、俺はその気持ちを押し殺して、小町の元に向かった
………………………………………………………………………
俺は倉庫に入るなり、小町と沙希に群がる肉塊の化け物と怯えている大志の姿があった
俺は我を忘れて二人の身体に没頭していた怪物がようやく首を巡らせて俺のほうを見る。
俺は自分でも驚くほど冷静に無駄のない動きでヤツの傍らをすり抜ける
そして有無をいわさず、ヤツの目玉の並んだ顔とおぼしき部分を切り払う。
絶叫を上げて怪物は小町の上から離れた。今の一撃で視覚を失ったらしく、伸ばした触手を遮二無二振り回して俺を遠ざけようとする。
俺は我を忘れて吼え猛りながら肉塊を斬って斬って斬って斬って斬りまくり、ヤツらが微動だにしなくなってからも切り刻み、それから屍がもう苦痛を感じないことに気が付いて余計に逆上し、さっさと殺してしまった悔しさに駆られて包丁を突き立てた
………………………………………………………………………………………………………
………………………
「て、」
「………めてよ!」
「やめて…!」
小町「もうやめて!お兄ちゃん!」
八幡「ッ!」
自分の意思がはっきりとして来た時、まず目に入って来たのは
あのガタイのいい柔道部の男の無残な姿だった
人がどうかわからないくらい切り込まれており独特の血の匂いが漂っていた
なんて匂いだ…吐きそうなくらいだ
しかし、それは前までは美味しそうだと思っていた匂いだ
そう思うと、気持ち悪く、矛盾して仕方がなかった
沙希「…」ギュ
八幡「川崎…」
川崎は弱々しく俺を抱きしめた
沙希「ごめんな、比企谷」
八幡「…これ俺がやったのか、これを」
沙希「ごめんな比企ヶ谷…アンタを護るって言ったのに」ギュ
八幡「いいんだ、川崎…俺は小町を」
沙希「アンタは命懸けで大志を助けてくれた、そしてまた…」
小町「…お兄ちゃん……元に戻ったの?」
沙希「っ!?」
そりゃそう思うだろう、アイマスクしてなくてこれだけ拒絶せず普通にしてるんだから
俺は川崎の方を振り向いた
沙希「…」ポロポロ
川崎は大粒の涙を流していた、今まで人を殺しそうな目つきをしていたのに対し、今の川崎はまるで、か弱い女の子の様な表情をしている
大志「ねぇちゃん……」
ファンファン!!
パトカーのサイレン音が聞こえる、おそらく誰かが追放したのだろう
そんなの誰だっていい、こんな現場を見られたら只事でない事ぐらい、誰だってわかるはずだ
「おまえら…全部」
八幡「」シュッ!
俺は手に持っていた包丁を投げ飛ばして、そいつの脳天を突き刺した
そいつは脳汁を噴き出しながら倒れ込んだ
大志「ヒィッ!?」
八幡「大志」
大志「な、なに?」
八幡「二人を連れてここから離れろ」
沙希「!?アンタ、何する気?」
八幡「どーもこーもないっす」
小町「お兄ちゃんも一緒に!?」
八幡「かわいい妹の願いでも、無理だね」
小町「小町的にはポイント下落だよ!」
八幡「これは残念」
俺は川崎を退かし、周りを見渡す
どうやらここはリサイクル処理場のようだ、だったら引火性液体があるはずだ
それを見つけ出し、爆破させて証拠をごまかさせれる
全てここで終わらさせるために
ボォン!!!!
俺は倉庫を爆破させ、炎上させた
サイレンの音も大きくなってきた、もう逃げることはできないだろう
俺は記憶が戻ってきてわかったが、、、人を食ってしまった事があるらしい、無関係の看護師を殺してしまっている
意思関係無くても事実には関係ない
沙希「どこに行くつもり…?」
八幡「決まってる、出頭する」
大志小町「!?」
沙希「し、出頭って…」
八幡「悪い事をした人は罰を受けないとならないと教わりませんでしたか?」
沙希「ふざけるな!それなら私も人を殺した!私も」
八幡「おまえが出頭したら大志とけーちゃんはどうなる?」
沙希「っ!?」
小町『止めなきゃいけないのに…かける言葉が見当たらないよ』
川崎はいつものクールキャラを捨て、ガムシャラになって俺を止めた
まるで愚図り始めた子供のように
沙希「や、やだ!イヤだ!イヤだ!」ポロポロ
大志『オネェちゃんは、、お兄さんの事を好きなんだ、だから必死に止めてるんだ…』
そんな思いとは裏腹に警察のパトカーは肉眼にも見える距離にまで迫ってきていた
八幡「大志、川崎沙希と小町をたのんだぞ」
大志「うん、わかった」
大志は察したのか、素直に従った
沙希を引っ張って俺から引き剥がす
沙希「離して!折角!折角まともに会えたのに!」
八幡「おまえなら、この先どうすればいいのかわかるだろ?なら大丈夫だ」
正直、川崎が俺に対する気持ちは分かっているつもりだ、いつからかは知らないが
おそらく、お見舞いに来た時からだろう
でもな、俺よりいい男ならいくらでもいるはずだ、と
でも。考える時間はいくらでもあった
だから言える事があるのだが、、、
付き合うのなら、川崎のような人がいいなと思ってしまっていたのだ
それはなぜなのかは、おれにもわからない
他の人にはない特別な感情があるからなのだろう…
嗚呼、おかしいな、これからはボッチライフでなにもしなくてもいい生活が待っているはずなのに
おかしい、なんでこんなにもむねがくるしいんだろう
神様がいるなら、こんなに祈っている美人の問いかけにも答えてくれるだろうか
………………………………………………
俺は警察に自首し逮捕された、裁判の結果殺人罪の重みは高く、懲役28年と言い渡されたが
川崎達の活動のおかげで、最高裁判所では懲役12年まで減らしてくれた。
雪ノ下姉妹や由比ヶ浜、戸塚やいろはも面会に来てくれた
小町に関しては日々可愛いから美しくなっていく
今は大志と交際しているそうだ
しかし、川崎は姿を現さなかったが手紙でやり取りしていた。
あれか9年の年月がたった、そして
仮釈放
八幡「はぁ、何回か仮釈放あっあけどやっぱシャブの空気はいいもんだ」
刑務所から解放された俺は伸びをしていた、厳しい世界にいたもんだから、すっかり生活感がかわった
「こんにちわ」
八幡「え?」
知らない総武高の女子制服を来た女の子がそこにいた
しかし、ポイントを見てみると川崎にそっくりである、しかしそんな若くないはず
そう考えると…
八幡「おぉ、けーちゃんお久し振り。どうかしたの?」
京華「気付くの遅いよ、、、」ポツリ
八幡「おいおい、どうして泣いているんだ」
京華「ごめん、嬉しくて///」ゴシゴシ
八幡「そうか…ところで沙希は?」
俺と沙希は連絡していくうちに、いつの間にか付き合う事になった
おかしな話だ、面会もしていない相手と
しかし、安心できた、彼女なら安心できるという確証が
京華「お姉ちゃんは遅れてくるって!…あ、もう着くって!」
けーちゃんは謎の電子端末を使いながら教えてくれた
当たり前だろう、9年の時が経てば携帯も進化するだろう
そして
八幡「えーと、川なんとかだった」
沙希「川崎だ、ぶつよ?」
八幡沙希「……ぷっ」
沙希「なん年ぶりかしら、このやり取り」
八幡「9年ぶりだろ、そして元気だったか、沙希」
沙希「えぇ、アナタ///」
そう、薬指に指輪を光らせ、お腹を膨らませながら
それでも彼女は美しく可愛い
グチャビチャ
沙耶『よかったね、八幡』
end
由比ヶ浜は戸塚を戸塚くんとは言わ無いですよ
さいちゃんです
あとゆっきーじゃなくてゆきのんです
あと戸塚は比企谷のことを彼とかじゃなくて八幡って呼びます
平塚先生は雪ノ下にさん付けはしません
長文失礼いたしました
後頭部に骨盤は無いですよね、、
あとゆきのんがはるのんのことお姉さん呼びするのは違和感が、、
「ゆういつ」の時点で地雷は分かってて踏みぬいたつもりでしたが…
誤字や表現に突っ込みどころが多すぎてなんとも。内容があまり入って来ませんでした。
自分でおかしいところがないかよく見直してみることをおすすめします。
沙耶の唄とか懐かしいですね。
はるのんは雪ノ下のことを雪乃とは言いませんよ雪乃ちゃんと言います
沙耶の唄かぁ
久しぶりにやろうかな
この沙耶の唄沙耶がいないと詰むんじゃ…
沙耶の歌って何ですか?教えてください<(_ _)>
楽しみ
9<<沙耶の唄はニトロプラスのゲームですよ。面白いので買ってみては?
ss続き楽しみにしてます!
11<<ありがとうございます
出だしから結構な割合で日本語がオカシイ
外国の方かな?
展開急すぎない?( ̄。 ̄;)
俺ガイル読んだ事ないけど、かなり面白いです
頑張ってください!
二度とSS書くなゴミ
完結しないのかな?
できれば完結して欲しいな
原作読もう?
ss書くのは初めてですか?話の所々に違和感がありますが、とりあえず最後まで書ききって下さい
はぁ
なんか読んでて疲れる
批評家(笑)が多いですね…アドバイスするなら良いですけど悪口書く人は自分は"読ませて貰っている"ことに気づいた方が良いですよ
※23
作者が自らの意思で不特定多数人が閲覧する場所に自作の小説を投稿するという形で表現行為を行った以上、それに対して批評・批判という形の対抗言論がなされることは甘受すべきではありませんか?
作者に表現の自由が保障されているように、読者の側にも他者の名誉を毀損したり、プライバシーを侵害しない限度で、合理的な批評・批判をなす権利・自由が保障されているのに、第三者のあなたがそのような作者・読者間の表現行為に対して容喙しようとすること自体が筋違いだと思います。
ここまで見てきたところ、作者の側にも読者の側にも他者の名誉を徒に毀損したり、プライバシーを侵害するなどの違法・不当な表現行為はありませんでした。
しかし他方で、あなたの見当外れの指摘は、憲法及び下位法規によって保障されている表現行為を正当な理由もなく掣肘し萎縮させるという意味で、不当な表現行為になっています。
他ならぬあなたこそがこの作品の作者と読者にとっての唯一かつ共通の害悪となっている事実に気づいた方がよろしいかと存じます。
皆仲良く!これ目指しとけば、とりあえずはおk。どうしても論争っていうか小競り合いしたいならスレでも立ててそこですれば?つか>>1はよ書けし
誤字が多すぎる…
あ、内容はつまらないです
作品んを数日置いてから『読み直す』『内容修正』、を繰り返すと大分捗りますよ!
訂正
自身の作品を数日置いてから『読み直す』『内容修正』を繰り返すと客観的な視点で添削出来て大分捗りますよ!
23
作品が世に出た以上は法の範囲内であれば評価は読者の自由だ
むしろ他人の見解をねじ曲げて作者側へ添削等の指摘を怠れば酷い物になる
想像してみろ、この作品の誤字や原作への研究不足がこの先も続くんだぞ
勿論上記が意図的な物であればクオリティに問題ないが間違いなく意図的ではないし、この評価も意図的な誘導ではないだろう。
しかしながら評価が自由なら作者も自由であるべきだから、作者は好きな評価だけを受け入れれば良いね。
キャラ崩壊というか、キャラを把握してないのでは?と思ってしまうほど口調が滅茶苦茶。川崎は平塚先生の話し方になってるし、一色のセリフは人の呼称がぐちゃぐちゃ。一度俺ガイルの原作と照らし合わせて修正した方がいいと思います。あと、「あくまで」が全部「悪魔で」となってます。ここまでくるとわざとかと思わされます
人物の話し方が気になるけど、直せば良くなると思うから頑張れ。 続き待ってるで
うーん・・・
沙耶の唄と俺ガイルのクロス、という発想は面白いと思います。
が、俺ガイルのキャラクター(話し方や性格等)が違います。
他の方も言われていますが、原作を読んだり
アニメだけでも何回か観てみるだけでも良いので
話し方や呼称だけは形にした方が良いと思います。
誤字・脱字も気になりますが
続きを楽しみに待ってますので、
エタらずに完走してもらいたいです。
頑張ってください。
面白い。皆よろしく
登場人物の言葉遣いや敬語に違和感ありすぎ。これならオリジナルでやったほうがまだマシ。
雪の下ならクールじゃなくて冷静っていうと思う(笑)統合失調の間違いでは?ssなんだからオリジナルの病でいいと思う。医者が敬語だったり、論文口調かと思えばタメ語になったりしててシリアス感皆無で笑った(笑)
川崎って誰やねんって程、口調オカシイ…なんで男口調にしたんすか。
火の鳥のパクリ
ガハマは食べられるべきところでしょ。
八幡がプロレスラー級の怪力を持つ沙耶
に勝てる訳が無いんだから、自由を奪い
返すことは出来ません。
あと、それぞれのキャラの台詞が所々
おかしいですよ。
アニメとか見て、喋り方の特徴とかを
勉強し直してからssを書いて下さい。
男は自分の左胸噛めないだろjk
正直言って面白くない
ありえなくない事かも知れないけど話が突飛すぎて内容が入ってこない
そして所々口調が違うのが気になった
まあ、設定は借りてるとこ俺好み。だが、キャラの性格や沙耶の性格全部違いすぎて沙耶の唄の設定とはまちのきゃらをつかっただけのオリ作だ。むろん斬新味のない糞作
簡単に言いたいこと言うと。
俺がここまで好きな二作をクロスしてここまでどの作の良さも表現できてないし、不愉快感を得るまでこれは両方活かされない糞だ。ということ。
最初からおかしい
さきさきの口調が原作と違いすぎっていうか他の人もだいぶ違うわ原作読み直してこいよ
口調が変だし
文も稚拙すぎる
いや、あのさ、オレもなんとなく分かってんだよ?
二次創作やで? SSやで? そんなものに何を本気になってんだよって…
でも、言うわ
コレ酷い、批評されてもしかたない、嫌なら努力しなよってレベル、作者の 味方 できないや
余計なお世話か(笑)
まぁ、良いところはあるよ?発想とかさ
でも、設定を把握してないし、展開が雑なんだよ、
特に違和感あるのは
キャラの口調と
キャラの心情やら考えもとい主張が変化するまでの期間、
どうすればこのキャラがの成長や変化が自然になるか、超御都合主義にならないかを考えなきゃ…
例えば、単純に課題をぶつけたりとか、…風呂敷を広げたくないなら説明や描写を増やすだけにしたり、逆に無駄なところ減らしたりしてさ
原作読むとか、アニメ見るとか、Wiki見るとかして対策するべき
とりあえず、研究と推敲作業が足りない
口調さえなんとかすればまぁいい
シンプルにピンク頭と貧乳がうざい。
はよ死ねよ
読んでてずっと気になってたけど「一様」じゃなくて「一応」なw
タンカーって船じゃなかったっけ?もしかして担架のことか?
更新はよはよ
まだもっと下さい!
更新はよはよ! ∧_∧
( ・ω・)
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八時まで待つので溜めて書いてください
めっちゃ楽しみ。
夏から読んでますこのss
あーしさん「〜かしら」なんて使いませんよ。
もう1人の人格の方に意識渡してさがみん食い殺してくれないかな
毎日更新お願いします!
引きが気になる
うーん、内容を変えるのは全然良いんだけどさ、キャラの口調とかはもうちょっと勉強しよっか
キタ━(゚∀゚)━!支援
死ぬんかーい!
いや、八幡死ぬんかーい!
みんな、暴言とアドバイス間違ってない?
それにこれ、ssだよ?
サキサキつえぇ
そろそろラストスパートかな?
ネットにさらんしてんだから何言われても文句言えないでしょ
戸塚、サキサキ以外はるのんが殺して行く展開がええな
↑それはヤバイだろww
さがみんクラステロ起こしそうwwww
そういえばさ、忘れてたけど八幡人殺したよね?
看護師を
ていうかもう1人の人格っぽい方がそう簡単に死なせるか?
主人公が死ぬぐらいなんだから全員不幸にならなきゃいけないよね
↑3人こういうサイコなやつすきかい?
俺は好きやでw
ここまでカオスやとね笑
サイコっぽいのにならなきゃおもんないでしょ。
サキサキ殺したんだから全員殺せよ?作者さん?
な、なにがなんだかわからんな
諦めんなや笑
何がなんだかわからねぇが…
混沌としてるって事だけは解ったぜ…
意味解らん…
俺は応援してるよ!頑張れ!誹謗中傷に負けんな!
内容は、かなり良く。
奥が深いとおもいました。
読むがわからして感情移入できる作品でした。
ちなみに、眠いのに読み切ったのは、はじめてでした。
誤字や表現の間違いや呼び方の間違いは、仕方ないと思えましたし。
伝わればそれでいいです。
これからもいい作品きたいしてます。
pixivのgadoとかいう奴氏ね
続きあったんだ笑笑
ちょっと待ったー
何故に平塚先生wwwww
gado死ね
gadoってなんだよ
お疲れ様でした!
別ルート?はるのんが殺して行く展開なのか笑
これはないな
夜中にこれに時間かけたの後悔するわ
誤字何回するねん
誤字とか呼称の仕方とかそんなのは脳内で保管すればいいんだから特に何も言わない。
内容は理解が追いつかないし読み終わって考えてもあんまし面白くない。なんか、良くないリアリティの無さってのが露骨に出てる。フィクションだからで片付けられないようなシーンが多々。短くまとめてくれた方が文句言う奴は少なくなったと思う
まぁこういうのは需要ある人にとっては滅茶苦茶いい感じで良かっただで。ただラストは陽乃関係のもっと欲しかったかな。読者様(笑)の言うことなんか8割聞き逃せばええんやで
看護師さん結構余裕あって笑ってしまった
設定などが面白い。
キャラの口調や誤字、脱字などは直せば良いし、なんなら脳内で補完もできる。八幡の目が腐ってしか見えなくなってしまうなどの展開やいじめの描写などは見ていて面白かった。
いろいろ勿体ない。
だから、いろいろと回数重ねて経験積んで、頑張ってくれ