2017-02-19 17:25:06 更新

概要

男装女提督と鎮守府の15年前の物語です。どちらから見ても楽しめるように頑張ります。


15年前の物語



「そこっ!左に散開!同航戦に持ち込め!!」



海に少女達の怒号が響き渡る。



「くそっ!!そこのお前!!テンポが遅れているぞ!!」



「すっ、すみません!!」



一人の艦娘が10メートルほど、距離を離される。



「時津風!!援護に行け!!」



「わ、分かりました!」



「残った三人は私についてこい!」



「「「了解!!」」」



怒号が響き渡った次は、水柱が立つ音が響き渡る。



「偏差射撃!目視で敵艦から5メートル前を撃て!」



一人の艦娘に従い、全員が指示通りの場所に撃つと、全ての砲弾が当たり撃沈する。



「次だ!!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


それから1時間後、少女達は海域一帯の深海棲艦を掃討し、鎮守府へと帰ってきた。



「今日の作戦はこれまでだ。そこの二人は、今作戦の反省をノートに書き次第、私の部屋まで持ってこい。それでは、これにて解散!!」



「「はい!!!」」



二人は自分の部屋へと戻り、三人は少女の元へと集まってきた。



「お疲れさまです。姉さん」



旧磯風「浜風か。どうした、私は解散するよう言ったはずだが?」



旧浜風「私達は姉さんと同じ部屋じゃないですか...」



旧磯風「ふ、分かっている。すまないな、私の訓練に付き合わせて」



旧浜風「いえ、あの二人には艦隊行動を教えるためには、六人でするしかありませんし、部屋でいると、体が鈍ってしまいそうなので」



旧磯風「そう言ってくれるとありがたいな」



旧天津風「ねぇねぇ♪なに話してんの?」



旧磯風「貴様には話しても無駄だ」



旧天津風「ええぇ......」



旧時津風「あ、あの...私、今回上手く立ち回れたでしょうか...?」



旧磯風「ああ、新人の援護をよくやってくれた。ありがとう」ナデナデ



旧時津風「わふっ......♪」



旧磯風「さてと、私はこれから作戦の報告に行ってくる。お前達は部屋で休んでいろ」



旧浜風「分かりました」



磯風は三人と別れて、今作戦の報告にしに執務室へと向かった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


コンコン



扉をノックし、中に入る許可をもらうため、中にいる司令官に話しかける。



旧磯風「私だ。今作戦の報告にしに来た。入ってもいいか?」



提督「磯風か、入ってくれ」



旧磯風「失礼する」



提督「お疲れさま、磯風。新しい娘はどうだった?」



旧磯風「あれじゃ、まるでダメだ。艦隊行動が全くなってない...」



提督「まぁ、最初だからな。これから成長していくんだ」



旧磯風「それもそうだな。明日も面倒を見るとしよう」



提督「ああ、磯風。明日は別に見なくてもいいぞ」



旧磯風「何故だ?」



提督「明日は天龍と龍田に哨戒任務に連れていってもらうからな」



旧磯風「大丈夫か?さっきも言ったが艦隊行動が全くなってないのだぞ?天龍に迷惑をかけてしまわないか?」



提督「天龍達は磯風が教えたんだろう?なら、心配はないさ」



旧磯風「奴らもなかなかの問題児だが...」



提督「でも、君のおかげでかなり丸くなったんだろう?」



旧磯風「確かに丸くなったが...」



提督「なら、大丈夫だ。二人にもいい経験になるだろう」



旧磯風「そうか、なら私はここで失礼するとしよう。それではな」



提督「ああ」



磯風は執務室からでる。



旧磯風「ふぅ...あっ...」フラッ



少しよろめく。ずっと気を張っていたので、気が抜けた途端、体の力がかなり抜けてしまった。



旧磯風「おっとと...危なかったぁ...」



旧浜風「やっぱり...様子を見に来て良かったです」



旧磯風「浜風...」



旧浜風「これから私達、お風呂に入りに行くんです。姉さんも一緒にどうですか?」



旧磯風「あ...うん、私も入る...♪」



旧浜風「では、行きましょうか♪」



二人は入渠スペースの近くにある、入浴スペースへと向かう。



旧浜風「明日の訓練はどうするんですか?」



旧磯風「あ...えっと...二人は明日、天龍達の遠征に行くから私達はゆっくりしたら良いって...」



旧浜風「そうですか、なら明日は皆で鎮守府の外の遊園地に行きませんか?」



旧磯風「遊園地...?」



旧浜風「はい、最近は休みが無かったので、たまの息抜きということで」



旧磯風「うん、分かった...♪」



旧浜風「(ホントに、気が抜けると一気に可愛らしい女の子にやりますね...)」



旧磯風「?どうしたの...?」



旧浜風「い、いえ、何でもありません。それよりもお風呂に着きましたよ」



旧磯風「ホントだ...」



旧浜風「恐らく中で二人が待ってますから。早く入りましょう」



旧磯風「うん♪」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


磯風達が、中に入ると二人が既に湯槽に入っており、体を暖めていた。



旧天津風「案外遅かったじゃーん♪」



旧磯風「天津風...遅れてごめんなさい...」



旧天津風「いやいやいや、いきなり謝るのはもう止めてってば~」



旧時津風「そうですよ、それに湯槽に入って間もないですし...」



旧磯風「そうなの...?」



旧天津風「そうだよ~...もう、こっちの姉さんは冗談が通じないから困るよぉ...」



天津風を浜風が呆れた様な目で見ると、磯風に促す。



旧浜風「はぁ...姉さん。早く体洗ってお湯に浸かりましょう」



旧磯風「あ...うん...そうだね...」



旧天津風「ちょっと待ったぁ!姉さんを洗うんだったらこの天津風にまっかせなさ~い!」



天津風は湯槽から慌てて出て、磯風をイスに座らせ背中をタオルでこすり始める。



旧天津風「どぉ~よ♪」



旧磯風「気持ちいいよ...♪ありがとう...天津風...♪」



旧天津風「いつもはこんなに大人しいくせして...胸だけは一人前に大きいよねぇ...」モニュ



旧磯風「ひゃっ...!?天津風...!?」



旧天津風「うらやましいよねぇ...妬ましい妬ましい...」モニュモニュモニュモニュ



旧磯風「あっ...やめ...揉んじゃダメェ...///」



旧浜風「天津風...何をしてるんですか...」



旧天津風「何ってこうやって姉さんの胸を弄ってるだけだけどお?」モニュモニュモニュモニュ クリュックリュッ



旧磯風「んっ...らめぇ...///」



旧天津風「やばっ...やり過ぎた?」



旧浜風「当たり前です!」



旧磯風「はぁ......はぁ......///」



旧時津風「もう...私が拭きます...磯風姉さん、かゆいところはないですか?」



旧磯風「あっ...うん...大丈夫だよ...ごめんなさい...」



旧時津風「いえ、そんなに謝らないでください。私が何かしたみたいになるじゃないですか...」ゴシゴシ



旧時津風「そういえば、明日の遊園地は何に乗りますか?」ゴシゴシ



旧磯風「う~んと...観覧車とか...?」



旧時津風「観覧車ですか...良いですね」ゴシゴシ



旧時津風「それじゃ姉さん、流しますよ」ジャバー



旧磯風「......」プルプル



旧時津風「良し、これで完了です」



旧磯風「ありがとう...時津風...♪」ナデナデ



旧時津風「わふっ...」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


~~数十分後~~


旧天津風「いやぁ、暖まるねぇ♪」



旧浜風「お風呂なのだから暖まるでしょう...」



旧磯風「気持ちよかったぁ...♪」



ピーンポーンパーンポーン!



『磯風型駆逐艦一番艦『磯風』直ちに執務室まで出頭せよ』



旧磯風「あっ...呼ばれた...ちょっと行ってくるね...」



旧浜風「分かりました。私達は部屋で計画を立てていますので」フリフリ



旧磯風「それじゃあね...」フリフリ



磯風は3人と別れ、1人で執務室へと向かう。



旧磯風「突然の呼び出し...私...何かやらかしたかな...」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


入浴スペースから歩いて5分。磯風は執務室の前まで来ていた。



旧磯風「怒られたらどうしよう...でも...覚悟決めなきゃ...!」



執務室の扉をノックすると、いつも通りの提督の声が返ってきた。



提督「ああ、入ってくれ」



旧磯風「失礼します...!」ガチャッ



提督「何をそんなに緊張してるんだ?」



旧磯風「呼び出しということは怒られると思ったので...!」



提督「怒らないよ。それよりも1つ頼みたいことがあるんだ」



旧磯風「よかった...お願いというのは...?」



提督「来週の演習大会なんだが、明日の会議の君も出てほしいんだ」



旧磯風「私もですか...?」



提督「ああ、新人達のチーム組みのこともあるし、なにより君たち『磯風型』の配置もどうにかしないといけないからね」



旧磯風「私達はそんなに強くないんですが...」



提督「そんなことを言いながら、この鎮守府での一番戦果を挙げているのと、演習大会で毎回1位をとっているは誰かな?」



磯風「......1つ良いですか?」



提督「何だ?」



旧磯風「なぜ旧型の私達をいつまでも使い続けるのですか...?」



旧磯風「私達の上位互換の艦娘達もたくさん居ますし...」



提督「なんだ、そんなことか」ハハッ



旧磯風「......」



提督「なら答えてあげよう。私が君達を気に入ったからだ」



旧磯風「気に入った...?」



提督「新型艦が出たというのに、衰えないその機動力と戦闘力、君達を残すために最新型に改装しただろう?」



旧磯風「確かにそうですけど...」



提督「まぁ、そういうことで明日の会議、頼んだよ」



旧磯風「...分かりました...失礼します...」



提督「...ふぅ...磯風と一緒に5年か...長いもんだなぁ...」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


ガチャッ!



旧磯風「ただいま...」



旧浜風「あ、お帰りなさい。今、明日の計画が...」



旧磯風「それなんだけど...私行けなくなっちゃった...」



旧天津風「えぇー?何でぇ~?」



旧磯風「明日...来週の演習大会の会議に参加しないといけなくなって...」



旧時津風「ええ...予定が...」



旧磯風「3人で行っておいでよ...♪私のことは放っておいてさ...♪」



旧浜風「ですが...」



旧磯風「大丈夫...♪私は休みなしでも働けるから...♪」



旧浜風「...では、お言葉に甘えさせて頂きます」



旧磯風「うん...♪明日、楽しんできてね...♪」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


~~翌日 演習大会会議 1時間前~~



旧磯風「司令官、今回の会議で出す書類だ。ここに置いておくぞ」



提督「ああ、ありがとう」



旧磯風「それで、今回参加する鎮守府は?」



提督「今分かっているのは...大湊、鹿屋、リンガ、トラック、呉...その5つの泊地と鎮守府だな。あと、2つの鎮守府か泊地が参加するようだ」



旧磯風「それは今日の会議で分かるだろう。それは良いんだが...また、私達『磯風型』はあれをやらないといけないのか?」



提督「そうだな、もう大丈夫の一部と化してるからな。いつも通り頼むぞ」



旧磯風「はぁ...」



提督「!!」ピコーン



提督「ん?どうしたんだ?戦闘狂」



旧磯風「その呼び方は止めろ。今の私は戦闘狂ではない」



提督「何を言うか。今はましだが、昔のお前はそれこそ戦闘狂だったろう?」



旧磯風「昔は昔だ。今は関係ない」



提督「今も今だ。艦隊を組んで出港すれば何ともないが、1人になると狂ったかのように戦い始めるだろう?」



旧磯風「それはだな...その...ガス抜きというか...」



提督「否定はしないか。はっはっはっ」



旧磯風「くぅ~...!」



提督「まぁ、今ではこの鎮守府の大黒柱だ。これからもよろしく頼むぞ」



旧磯風「......」



提督「??磯風??」



旧磯風「フフッ...任せろ」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


~~鎮守府内 会議室にて~~


提督「さて、今回参加する鎮守府の自己紹介を順にしてもらおうか」



呉提督「それではまずは私から。今回、初参加の呉所属の者です。私の鎮守府から参加する艦隊は3艦隊です」



提督「なるほど、次」



舞鶴提督「はい!今回で2回目の参加となる、舞鶴所属の者です!私の鎮守府から参加する艦隊は4艦隊です!」



提督「次」



リンガ提督「今回、4回目の参加となるリンガ所属の者です。こちらからは2艦隊となります」



提督「次」



大湊提督「大湊所属、今回で2回目の参加です。私達は3艦隊で挑みます」



提督「次」



トラック提督「トラック泊地所属、今回で3回目の参加となります。4艦隊で挑みます」



提督「次」



鹿屋提督「鹿屋基地所属。今回で4回目の参加となります。こちらが参加する艦隊は、3艦隊」



提督「次」



佐世保提督「佐世保鎮守府所属で、今回が4回目の参加です。こちらは3艦隊です」



提督「ありがとう、これで全員だな?」



旧磯風「ああ、これで全員集まっている」



提督「それではルール説明だ。特に初参加の呉の者はよく聞いておけ」



呉提督「分かりました」



提督「今回はトーナメント戦だ。くじで対戦相手を決めるため、もしかしたら同じ所属どうし戦うことがあるだろう。だが、それに対しての文句は受け付けない。分かったな?」



呉提督「はい」



提督「それと私の横須賀鎮守府からは2艦隊出させてもらう。1つは第一主力艦隊。そしてもう1つが私の横に立っている『磯風型』の子達だ」



旧磯風「よろしく頼む」



呉提督「...『磯風型』...?確か旧式の...未だに横須賀はそんなのを使っているのか...?」ボソッ



大湊提督「新人、旧式といってなめてはいけないぞ。最悪全く歯が立たないからな」ボソッ



呉提督「そうですかねぇ......」



提督「そして、砲弾と機銃はペイント弾を使い、その撃沈判定はうちの鎮守府に居る青葉にしてもらう」



呉提督「しかし、それではひいきが...」



提督「安心してくれ。もし青葉がひいきをするようなことがあれば、隣の磯風が青葉を沈める」



旧磯風「...」ガシャッ



呉提督「...分かりました」



提督「よし、それでは1か月後。また会おう」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


旧磯風「お疲れ様だ」



提督「ああ、すまないな。本当は今日3人と遊園地へと行くつもりだったんだろう?」



旧磯風「どこでそれを聞いたんだ?」



提督「浜風達が伝えてくれた。すまないな」



旧磯風「謝らないでくれ。別に怒ってはいない」ハハハ



少しにやけながら、話を返す。



提督「そうそう、1か月後の演習大会なのだが」



旧磯風「?どうしたんだ?」



提督「今回は1人で参加してみてくれないか?」



提督の突然の提案に、磯風は怪訝そうな顔をする。



旧磯風「...話の主旨がよく分からない。どういうことだ?」



提督「なに、1つの興味だ。磯風の限界を知りたくてな」



旧磯風「...司令官の悪いところはそこだ。1度興味を持つと、何がなんでも知ろうとする...」



提督「私はまだまだ好青年だ。好奇心がたくさんあるんだよ。なんせまだ22歳だからな」



旧磯風「出来ればその好奇心を私達に向けないでくれると良いんだがな...」



提督「と言われてもだな、君達磯風型に対する興味が止まない。なぜ、改装したとはいえ旧式の君達がそこまで戦えるのか。なぜ、そこまで私についていてくれるのか。探せば山ほどあるぞ」



旧磯風「...はぁ...」



提督「なぜ溜め息をつく?」



旧磯風「呆れているのだ...ただ、1つだけ答えられる質問がある」



提督「なんだ?ぜひとも聞かせてくれ」



旧磯風「私達が司令官についていくのは、貴方に魅せられたからだ」



提督「?私が何かしたか?」



旧磯風「私が初めて使われ始めた頃、すぐに深海棲艦との戦闘の前線に送られた。場所は...タウイタウイだったか...」



提督「ああ、5年前の南方攻略作戦...私が磯風達と会った頃か」



旧磯風「何せ、私は練度が全く無かったから、戦闘参加してすぐに大破した。その頃は捨て艦が多い頃だ。私はすぐに見棄てられ、まともに航行できない状態で放置された」



提督「確かにあの頃は艦娘の轟沈数が凄く多かったな。それこそ、海底が君達の死体で埋められているんじゃ無いかって思うほどな...」



旧磯風「私は航行できない放置された状態で、深海棲艦がそこにやって来た。私は死を覚悟したよ、でも司令官の艦隊がやって来てくれておかげでなんとか死ぬことは無かったよ」



提督「ああ、あの時か。そのときのことは鮮明に覚えている。艤装はほぼ全壊で、体も沈んでいたな」



旧磯風「私はそこで司令官についていこうと決めた」



提督「?もしかして恩返しの為に一緒にいてくれたのか?」



旧磯風「ちょっと違うな。そこで見た艦娘達の表情を見てだ」



提督「表情?」



旧磯風「ああ、皆笑顔で私を助けてくれた。初めて見た光景だったよ。たった短時間だが、そこで見た表情は全て、蔑む様な表情か、見下す様な表情だ。だから貴方についていくと決めたんだ」



提督「なるほど...」



旧磯風「これが司令官の好奇心に対する答えだ。これで納得してくれたか?」



提督「ああ、1つの疑問は消えた。ありがとう」



旧磯風「どういたしまして」



そんな雑談をしていると...



ドォォーーーン!!



突然の爆発と共に、爆風が執務室を襲い、窓ガラスがこちらへと降り注いでくる。



旧磯風「まずい!伏せろ!!」ガバッ



提督「ぐぅぅ...!!」



一旦の爆風はおさまったが、爆発音は止まず、だんだんと空が赤くなる。



旧磯風「無事か?」



提督「ああ、守ってくれたからな。それよりも何が起きたんだ?」



旧磯風「突然の空爆...何故だ!レーダーが機能していたはず...!」



提督「大淀!!いったい何が起きている!?」



無線のスイッチを押し、大淀に連絡を取ろうとするが



ザザッ!



ノイズ音が酷く、人は全く聞こえてこない。



提督「無線が使えない!ジャミングか!?」



旧磯風「司令官!鎮守府の状況を確認しろ!!私は敵を食い止める!」タッタッタッ



提督「ああ!頼んだぞ!!」タッタッタッ



磯風は艤装が置いてある保管所へ、提督は辺りの状況を確認するために屋上へ向かう。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


旧磯風「おい!そこのお前!」



出港してすぐに、対空砲火をしている艦娘へと話しかける。



「は、はい!」



旧磯風「いったい何があったんだ!?」



「わ、わかりません...!哨戒していた筈の艦隊と連絡がとれなくなった直後、突然敵が攻めてきたんです!」



旧磯風「敵の数は!?」



「わ、わかりません!おそらく、空母と軽空母合わせて100隻はいるかと!」



旧磯風「くそっ!制空権は絶望的か...!私は前に出る!対空砲火を頼んだぞ!!」



「はいっ!!」



磯風は更に前へ進んでいく。進んでいくにつれて、味方の数は減り、深海棲艦の姿が見え始めてくる。



旧磯風「貴様ら...!!覚悟は出来ているだろうなぁ!!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


提督「なんだこれは...!!」



辺りを見渡すと、港などの施設はほぼ全壊し、居住区などの建物は半壊していた。



提督「くそっ...!残っている対空砲は...あれか!!」タッタッタッ



対空砲に向かうのだが、建物の損傷による破片などで、今日非番だった艦娘達が血を流して倒れていた。至るところからうなり声や悲鳴、叫び声が聞こえていた。



妖精〈ハコベーー!!イソゲーー!!



妖精達や作業員達が総員で、負傷者の搬送や破片の除去をしているのだが、大きな鎮守府なので、人手が足りず、なかなか作業が進まず、停滞していたままだった。



「い゛た゛い゛...い゛た゛い゛よ゛ぉ゛...」



提督「大丈夫だ!落ち着いて深呼吸をするんだ!妖精!モルヒネがあった筈だ!あと何個位だ!?」



妖精〈ノコリガ50コグライシカナイヨ!!



提督「そこのお前!ここは私が対応する!お前は外にある対空砲で一機でも多く落とすんだ!」



作業員「分かりました!!」タッタッタッ



提督「大丈夫!深呼吸だ!深呼吸をするんだ!」



「い゛た゛い゛よ゛ぉ゛...た゛す゛け゛て゛ぇ゛...」



提督「モルヒネはまだか!?心配するな!必ず助けてやる!」グッ!



軍服のシャツの一部を破り、それで傷口を強く縛り止血をする。



妖精〈コレガツイカノモルヒネダヨ!!



提督「よし!」プスッ



モルヒネをうち、何とか怪我の痛みが引いた。



提督「この子を医務室へと連れていけ!!一刻も争う!」



提督「次の子だ!」



だんだんと火の手が回る、手の空いている者は消火器を使って日を消そうとするが、全く勢いはおさまらず、天井の一部が崩れたりしていた。



提督「海からの放水は望めない...!どうすれば良い...!!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


旧磯風「まだまだぁ!!」



手当たり次第に深海棲艦を潰していく。すると相手の注目が磯風へ向き始める。



旧磯風「空母は...!空母は何処だ...!!」バキッ



目に入った深海棲艦から沈め、奥にいるだろう空母へと向かう。しかし、一筋縄ではいかず、圧倒的数の前に苦戦を強いられる。



旧磯風「貴様らに構っている暇はない!!さっさとどけぇ!!」



重巡リ級の体を磯風の主砲がぶち抜く。



旧磯風「何処だ...!空母は何処だ...!」



磯風の前に戦艦ル級とタ級のフラグシップ達が、磯風の道を塞ぐ。



旧磯風「私が探しているのは空母だ!貴様ら戦艦に用はない!!そこをどけっ!!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


旧浜風「ふぅ...なかなか怖かったですね...」



旧天津風「そうかなぁ?結構面白かったけどね~♪」



旧時津風「もう...お化け屋敷は......」ガクガクガクガク



3人は遊園地のお化け屋敷から出てきて、休日を満喫していたようだ。



旧浜風「今の時刻は...」



時計を見ると、1の所を指していた。



旧浜風「午後1時...あと2時間したら帰りましょうか」



旧天津風「ちぇ~...」



旧時津風「磯風姉さんは大丈夫かな...」



旧浜風「大丈夫でしょう。事務仕事ですし...いつも秘書艦の姉さんのことでしょうから大丈夫大丈夫ですよ」



旧天津風「んじゃ!もっと遊んじゃいましょう!」タッタッタッ



彼女達が磯風のピンチを知るのはかなり先となる。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


旧磯風「はぁ...はぁ...はぁ...はぁ...」ガクッ



あまりの数に、磯風の体は悲鳴をあげる。疲労がピークに達し、足腰が立たなくなってきた



旧磯風「足が...まずい...動かなければ...」グググッ



「磯風さん!!助けに来ました!!」



旧磯風「!?なぜ来た!!」



「援護します!!」



旧磯風「下がれ!!」



深海棲艦の注目が後から艦娘に移る。



旧磯風「くそっ...!動け...!」



「あったれー!!」バァン!バァン!



対空砲火に特化した彼女の砲撃は当たらず、当たってもほとんどダメージがなかった。



旧磯風「ぐぅぅ...!」グググッ!!



「うおおおお!!」バァン!バァン!



旧磯風「回避行動を取れ!!死にたいのか!」



「キャァァァァ!?」



砲弾が艤装に当たり、何メートルかほど吹き飛ばされた。



旧磯風「......っ!!」



「そんな......」



ドォォーーーン!!


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


提督「妖精!今、何隻使える船がある!」



妖精〈ジゴセキシカノコッテナイヨ!!



提督「それを使って海水を汲み上げて火を消せ!」



妖精〈デ,デモ!テキカラノホウゲキガ!!



提督「今の戦闘中の艦娘達に護衛させる!このままでは鎮守府内で負傷している子達が、火で焼かれてしまう!」



妖精〈ワカッタ!ミンナヲヨンデクル!!



提督「頼んだぞ!!」



妖精〈キュウゴハマカセタヨ!!


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「......っ?」



本来、来る筈の痛みが全く来ない。そのかわり、上から生暖かい液体が顔に滴る。



「何が......ヒッ!?」



旧磯風「良かった...無事か...」



左腕が千切れ、1面の海を血に染めている磯風が立っていた。



「そ...んな......!う...腕が......!」



旧磯風「大丈夫...だ...モルヒネをうっている...いつも...常備しているからな...」



モルヒネをうったとは言え、激しい痛みがしているのは表情ですぐに分かる。



旧磯風「私が...失血で...死ぬ前に早く行け...もう...半分意識がないんだ...」



「私には出来ません...!今から曳航すれば...!」



旧磯風「聞け...!私を曳航すれば...鈍い動く的だ...!」



「でも...!」



旧磯風「もう...私は旧型の艦娘...それなら...お前達新型の艦娘を...生かすのが...得策だ...そうだろう...?」



「ううぅぅ......!」



旧磯風「さぁ...行け...!それと...司令官のことは...任せたぞ...特型駆逐艦一番艦...『吹雪』...!」



吹雪「.........!!」



吹雪は磯風からどんどんと距離をとっていく。目には涙を滲ませ、燃ゆる鎮守府へと戻る。



旧磯風「さて...これが私の...最後の戦闘か...」





「...司令官...今までありがとう...」



彼女の頬には、一筋の涙が伝っていた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


提督「これで負傷者は最後か!」



妖精〈ウン!ソレデサイゴダヨ!!



医務室のベッドには、1つあたり二人が乗せられ、それでも全員がベッドに乗せられておらず、毛布で仮の布団を作ってそこに乗せていた。



提督「どうして...こんなことが...!」



吹雪「司令官!!」



提督「吹雪!もう外の敵は大丈夫なのか!?」



吹雪「磯風さんが...!1人で...!」



提督「磯風になにかあったのか!?」



吹雪「1人で...1人で...!」



吹雪は涙が止まらなかった。 マトモに話せなくなり、その場に座り込んだ。



提督「吹雪...俺の目を見てくれ」



吹雪「司令官...?」



提督「今、敵の砲撃が止んでいるのは、磯風のお陰なんだな?」



吹雪「...はい...!」



提督「なら、俺達はその時間を無駄にしてはいけない。そうだろう?」



吹雪「っ!はいっ!」



提督「よし、今から反撃の為の艦隊をすぐに考える!目的は敵艦隊の撃滅、それと磯風の救出だ!」



旧浜風「ただ今、戻りました!」



提督「良いタイミングだ!君達3人で今残っている子達を率いて、鎮守府正面海域に居る敵艦隊を殲滅してくれ!それと...」



旧天津風「分かってるって!姉さんのことでしょ!ここに居ない時点で分かってるよ!」



旧時津風「安心してください、司令官。必ず姉さんを連れて帰ります」



提督「任せた、鎮守府内のことは全て俺達、作業員がやるから、海のことだけに集中してくれ!」



「「「「「「「了解!!」」」」」」」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


旧磯風「流石に...意識がなくなってきたな...体がふらつく...」



魚雷発射艦は消え、艤装も半分がえぐれ、ほとんど機能しておらず、浮いているのだけで精一杯だった。



旧磯風「こんなに...痛みを感じたのは...はじめてだ...」



旧磯風「皆は...これを味わっていたのだな...」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


旧浜風「目標!前方敵艦隊!撃てー!」



無数の砲弾が、敵艦隊を襲う。たくさんの水柱と共に大きな爆音が聞こえて来る。



旧浜風「天津風!残り敵艦数は!?」



旧天津風「残り30隻。何なのさ!あの数は!」



旧浜風「全艦、再装填!」



出撃している艦娘全員が、弾を込める。今、出撃出来ている艦娘の数は、たった40隻。そのうち戦艦と空母はたった15隻だった。



旧浜風「よし、全艦、撃てー!」



再び、砲弾の雨が降る。しかし、敵艦が後退していたことによって、距離が離され、砲弾のほとんどが外れてしまった。



旧浜風「空母とその護衛の艦は東の風上へ!恐らく敵も同じことを考えていますので、戦艦の半分は護衛についてください。残りの艦は南と西に2手に別れ、追撃を!」



次から次へと指揮を繰り出す浜風の喉は、枯れかけていた。



旧浜風「散開!」



指示により、全員が散開する。空母全隻は、東の風上へと向かい、発艦準備を始める。



旧時津風「浜風姉さん、指揮は私が引き継ぎます」



旧浜風「何を言ってるの?私はまだ...ゲホッゲホッ」



旧時津風「いつも指揮は磯風姉さんはしてくれているから、大きな声を出すのになれていないでしょう?」



旧浜風「分かった...指揮の内容は伝えるから、それを伝えてね」



旧時津風「はい!」



だんだん深海棲艦を押し返し、鎮守府正面海域から押し出すことが出来た。



敵は撤退を始め、空母の艦載機が追撃を始める。空母の部隊から連絡が入り、ほとんどの敵艦を沈めることが出来たと伝えられた。



旧浜風「姉さん!何処ですか!姉さん!!」



3人はその報告を聞いて、すぐに部隊から離れ、磯風の捜索へと向かう。



旧時津風「磯風姉さん!聞こえてますか!?返事をしてください!」



無線のオープンチャンネルで、磯風に呼びかけるが、全く返事が来ない。



その時だった。



ザザッ!!



無線に大きなノイズ音が聞こえた。



旧浜風「!?磯風姉さん!?」



返事はないが、浜風が前へと進んでいくに連れ、ノイズ音が小さくなっていった。



旧浜風「この先に...!待っていて下さい!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


提督「...ふぅ...ひとまず何とかなったか...」



鎮守府の火は全て消え負傷者の治療も何とか終わった。



提督「妖精、ありがとう」



妖精〈ソンナコトヨリモ、ムセンガマダツウジナイ...シンカイセイカンニジャミングソウチデモアッタノカナ...



提督「分からん、EMPと同じ効果がある装置があるのかも知れない」



提督「それに、奇襲...今日哨戒をしていた艦隊はどこへ行った...?」



考えれば考えるほど、謎が増えていく。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


鳳翔「ふぅ...何とかなりましたね...ん?」



鳳翔が目を向けた先に、今日哨戒をしていたはずの艦隊が居た。



鳳翔「あの方達は...」



天龍「やっと戻ってこれたぜ...何なんだよあの

スコールは...」



鳳翔「あなた達!」



天龍「ほ、鳳翔さん!?」



鳳翔「哨戒任務を承っていたはずでしょう!?」



天龍「えっと...敵艦を見つけたから無線を飛ばしたんですが...何故か通じなくて...敵は駆逐艦だけだったから殲滅することになって...撤退をし始めたから追撃して...なら突然スコールに巻き込まれて...まともに航行も出来なくて...今に至ります...」



天龍が率いる艦隊は、ほとんどが新人で哨戒任務と共に訓練も行っていた。



鳳翔「とにかく!あなたには罰を受けてもらいます!覚悟してくださいね!!」



天龍「すんませんした...」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


旧浜風「これは...」



ノイズ音がかなり小さくなってきた頃、海がほんのり紅くなっていた。



旧浜風「...っ!居た...!!」



遠くに、横たわっている磯風が居た。近付くと顔はほとんど白く、微かに息をしている程度であった。



旧浜風「姉さん!姉さん!!」



旧磯風「はま......かぜ......」



旧浜風「今すぐ、連れて帰ります!」



旧磯風「皆は......?」



旧浜風「大丈夫です!負傷者はたくさん出てしまいましたが、死人は出ていません!」



旧磯風「そう......か......」



旧浜風「もう、喋らないで下さい!姉さんはこんな所で死んではダメなんです!死人を出さないためにも死んだらダメなんです!!絶対に生きて帰るんです!!」



旧磯風「ふふっ......」ガクッ



旧浜風「姉さん...?嘘ですよね...?姉さん...姉さん...!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


提督「後はあの子達が帰ってくるのを待っているだけか...1つベッドを開けておけ、磯風のことだ...必ず怪我をしてる...」



妖精〈リョウカイ、ベッドヲジュンビスルヨ



提督「ああ、頼むよ。あの子は無茶をするからね」



そんなことを言っていると、天龍達を連れた、鳳翔達空母機動部隊が帰ってきた。



提督「天龍、今帰ってきたのか。今まで何処へ行っていた?」



天龍「すまない...提督...」



提督「俺は叱りはしない。だが、この惨状を見て何が起こったか分かるな」



天龍「...はい...」



提督「だったら反省しろ。敵に翻弄させられるような、練習はしてないはずだ」



天龍「......」



次第に、各部隊が帰ってきたのだが、出ていった浜風が帰ってこない。



提督「時津風、浜風はどうした?」



旧時津風「磯風姉さんを見つけたと聞いて戻ってきたのですが...」



提督「なに?そちらでは無線が使えたのか...?」



旧時津風「は、はい。ノイズ音が大きかったですが...微かに声が聞こえてました」



提督「ジャミング装置が鎮守府にあるのか...大淀は近くにいるか?」



大淀「ここに」



提督「鎮守府に居る役員と妖精を総動員して、何かおかしな装置があるかを探してくれ」



大淀「分かりました」



大淀は人を集め、鎮守府の中へと向かった。



提督「あとは、二人を待つだけか...」



提督の鼓動はいつもに増して、速くなっていた。



提督「あれか...!」



水平線の向こうから、二つの人影が見えてきた。



提督「んっ...?」ジー



目を凝らすと、何かおかしなことに気がついた。



提督「...!?妖精!医療器具の用意をしろ!早急にだ!」



妖精〈エッ!?アッ、ウン!!



提督「担架を持ってこい!それと止血剤と包帯もだ!!」



提督が見た人影には、腕が1つ足りなかった。



やがて、提督の前まで二人はやって来た。



旧浜風「司令官!!」



提督「言われずとも分かっている!!この担架に乗せろ!止血剤を急げ!!」



役員「持ってきました!!」



提督「よし、急いで医務室に連れていけ!手遅れになるまえにだ!!」



首筋に止血剤をうちこみ、急いで担架で運ばれる。依然、腕からの出血は止まず、顔色は更に悪くなり、呼吸は深く、浅くなっていく。



旧時津風「そ...そんな...!!」



旧天津風「浜風姉さん!!磯風姉さんは助かるんだよね!?大丈夫なんだよね!?」ガシッ!



旧浜風「.........」



旧天津風「ねぇ...こっち見てよ...!お願いだよ...!お願いだから...!大丈夫って言ってよ...!」



旧浜風「......っ」



旧天津風「ねぇ!浜風姉さん!!」



提督「天津風...」



しばらくの間、全体に沈黙が続き、その沈黙を破ったのは時津風だった。



旧時津風「司令官...明石さんに容態を聞いてきても良いですか...?」



提督「ああ...君達二人も行くといい。私は鎮守府の被害を確認してからそっちに向かう...」



旧浜風「...分かりました...」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


3人は医務室へとゆっくりと向かっていく。向かっていく際に、空き部屋だった部屋が、代理の医務室にへと変わっているところを見た。中には負傷者がたくさん居り、彼女達は自分達の肩が重くなっていくような感じがした。



旧浜風「...明石さん、入ってもいいですか?」コンコン



明石「ああ、浜風さん。ということはお二人も居られるんですね。分かりました、入ってきてください」



旧浜風「失礼します...」



中に入ると、治療をするための衣服に着替えた明石が居た。手袋には血が付いており、マスクもしていた。



明石「こんな姿で申し訳ありません。ついさっき応急手当が終わったところなので、まだ着替えられていないんです」



旧浜風「いえ、大丈夫です。それよりも磯風姉さんの状態は...?」



明石「輸血と傷口の治療はしました。あとは、磯風さん次第ですね。私にはもうどうすることもできません...」



旧時津風「磯風姉さんをこの目で見ることは出来ますか...?」



明石「ええ、大丈夫ですよ。ただ、あまりにも怪我が酷いので、10分程度が制限時間ですが...」



旧浜風「分かりました...」



奥の治療室にへと、3人が連れられる。



明石「この先の部屋に居ます。私はここで10分を計っていますね」



部屋に入っていくと、左腕を無くし、身体中を包帯で巻かれた磯風が居た。



旧浜風「姉さん...!」



ベッドには血の染みが付いており、横には取り替えるためのシーツがたくさん積み重ねられていた。輸血の点滴とその他のたくさんの点滴が痛々しく刺されており、見るに耐えない状況だった。



旧時津風「ごめんなさい...私もう見ていられないです...!」



旧天津風「私も...見てらんない...」



二人は治療室の外へに出ていく。たった一人、中に浜風が残った。



旧浜風「姉さんのおかけで...何とか死人が出ずに助かりました...ありがとうございました」



浜風も治療室から出ていく。



明石「もう、良いですか?」



旧浜風「はい...姉さんのことをよろしくお願いします...」



明石「はい、出来る限りのことをさせていただきます」



3人は医務室を後にし、執務室へと向かった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


提督「3人とも来たか。どうだった?」



旧浜風「...助かる可能性は少ないかと...」



浜風以外の二人は顔をそむけ、壁か床を見ていた。



提督「...そうか、分かった。ありがとう」



旧浜風「...すみません...司令官...」



提督「?どうして君が謝るんだい?」



旧浜風「私達が出かけていなければ...こんなことには...!」



浜風は拳を握りしめる。その握りしめた手を提督はそっと両手で包む。



提督「謝らないでくれ。磯風の為にも」



旧浜風「うぅ......ううぅ......!」グスッ



浜風の足から力が抜け、その場に座り込む。顔を手で覆い、流れ出る涙を必死におさえる。



提督「天津風、時津風。すまないが浜風を部屋につれていってあげてくれないか?」



二人は浜風に近づくと、浜風の肩をもって執務室から出ていった。



バタン!



提督「俺は...何もできなかった...提督でありながら大勢の少女たちを傷つけてしまった...」



提督「くそっ...!くそっくそっ!!」



壁を握った拳でなぐりつける。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


あの襲撃から3週間、鎮守府の修理はあらかた終わったが、資材や入渠ドックは甚大な被害を受け、艤装の修理や艦娘たちの治療はまだ終わっていなかった。



明石「う~ん...入渠ドックがもう1つでも使えれば効率は上がるんだけどなぁ...」



明石は今回の鎮守府の修理の任務を任せられ、何とかして効率よく修理をしようとするのだが、状況が最悪なだけにまともに運用が出来ない状態であった。



明石「まだ治療も完全には終わってないし...どうしたものか~...あぁ...資材を援助してくれたらなぁ...」



明石は書類にチェックの印をつける。小さな机に大きな書類の山があり、未だに半分も終わっていなかった。



旧磯風「.........」



明石「磯風さんも全然目を覚まさないし...提督は中央に呼ばれて後1週間は帰ってこないし...あぁもう...」



旧磯風「.........」ピクッ



明石「...ん?今動いた?」



微かに動いたように見えた明石は、イスから立ち上がって磯風の容態を確認する。



明石「脈は安定しててちゃんと呼吸もしてる。もしかしてもう意識があったり...?」



旧磯風「あ......かし...」



明石「うひゃぁ!?」



明石はあまりの驚きのあまり飛び上がる。



明石「ビックリしたぁ...もう起きてたんですね...もう、脅かさないで下さいよ~」



旧磯風「みん......なは......?」



明石「浜風さんは提督と一緒に中央の大本営へ行きました。天津風さんと時津風さんは今も部屋に居られますよ」



旧磯風「良かっ...た...」



磯風が無理矢理起き上がろうとするのを明石は慌てて止める。



明石「ダメですよ!まだ完治ではないんですから!」



旧磯風「でも...皆の所に...」



明石「大丈夫です。皆さんもう歩ける程度には怪我が治っていますから」



旧磯風「...そう...」



明石「ああ、そうだ。聞くことがありました」



旧磯風「?」



明石「磯風さんの右腕のことなんですが...」



旧磯風「...義手つけること出来る...?」



明石「...はぁ...先に言われました。はい、出来ます。戦闘用と生活用の義手と使い分けてもらいますが」



旧磯風「どういうこと...?」


明石「もし、戦闘時といつもの生活の時に同じ義手では何かと不便です。ですので、戦闘時の義手は固くて壊れにくく砲撃が当たっても耐えられる様に、生活時は柔軟で柔らかく人の素肌と同等の質感とで使い分けるのです」



旧磯風「例えば...どんなの...?」



明石「サンプルを持ってきました」



2つの義手を磯風の前に出す。



明石「左が生活時の義手、右が戦闘時の義手になります」



旧磯風「つける...」



明石「分かりました。ですが、今すぐはしません。流石に横になっている怪我人を座らせるなんて出来ませんから」



旧磯風「でも...」



明石「でもじゃありません。早く万全の状態にしたかったらもっと休んでいてください」



旧磯風「ううぅ...」



プルルルルル



部屋の電話がかかる。



明石「少し待っていて下さい」



磯風を少し待たせ、電話に向かう。



明石「はい、明石です......はい...はい...今からですか?...はい...分かりました。直ちに向かいます」



話が終わると電話を切り、外出の準備をする。



明石「少し出かけてきます。くれぐれも動かないでくださいね」



服を着終えると部屋から出ていく。



旧磯風「......もう離れたかな...?」



耳を澄まし足音が離れていくのを確認する。



旧磯風「よし...よっと...」



点滴を押し、サンダルを履き外へと出ていく。服装はベッドに寝ていた時のままだった。



旧磯風「やっぱり...左腕がないと不便かな...」



時々、今はもう無い左腕で壁に手をつこうとし、よろけてしまう。



旧磯風「やっと外に出れた...」



そこで見た鎮守府の姿は、ほとんどの建物が半壊もしくは全壊し、半壊の建物はかなり傾いていた。



旧磯風「酷い...こんなに被害が...」



散らばった瓦礫はまだ片付けが終わってはいなく、何個か血が付着している。



旧磯風「入渠ドック、港湾、クレーン...ほとんど壊されてる...艤装保管庫も半壊...軽負傷者と重負傷者...合わせたら今の鎮守府の艦娘の半分を超えてる...今攻められたら勝つことなんて出来ない...」



何人かの艦娘が瓦礫の向こうから姿を見せる。それは磯風がよく知っている子だった。



旧時津風「えっ!?磯風姉さん!?」



旧磯風「天津風...被害の状況を教えて...」



旧天津風「いや...でも...」



旧磯風「良いから...」



旧天津風「...これが今回の被害の状況をまとめた書類。全部書いてあるよ」



束になった書類を天津風から手渡され、全てに目をある程度通す。



旧磯風「...燃料...鋼材...弾薬...ボーキサイト...全部残りの数を3桁を下回ってる...高速修理材も...このままじゃまともに運用出来ない...」



旧時津風「それに加えて艤装も大半が使えなくなってしまい、皆さんの怪我はある程度治ったのですが...」



旧天津風「艤装が無いから生身の人間と全くおなじ。戦力にならないよ...」



旧磯風「司令官が居たら...」



旧時津風「司令官は中央へ行ってまだ帰ってきていません。恐らく、あと一週間はかかるかと...」



旧磯風「...時津風...電話はもう使える...?」



旧時津風「え?えっと...確か電話は優先して修理されたのでもう使用できるかと...」



旧磯風「二人とも...ちょっとついて来て...」



磯風は点滴スタンドを押し、二人を引き連れて通信室に向かう。先程よりの歩行時よりもはっきりとした歩行になり、彼女の背中はとても大きな物に見えた。



歩いて10分。階段は時津風と天津風に手伝ってもらい、何とか通信室に辿り着いた。中に入ると、即座に電話をどこかへかける。



旧磯風「......もしもし...こちら磯風型駆逐艦一番艦『磯風』です......はい......出来るだけ早く来てもらえると......はい......分かりました......それではお待ちしております...『旧聯合艦隊旗艦』殿...」



旧磯風「ふぅ...」



旧天津風「誰と?」



旧磯風「...それは秘密...♪」



切った電話の向こう側では、女性が口角を上げ微笑んでいた。



?「ふふっ...まさかあの子から私に頼ってくれるなんてね...♪」



電話を切った磯風は仮の執務室に向かう。



旧磯風「ねぇ天津風...今動ける人は何人位いる...?」



旧天津風「え?えっと...重負傷者以外はもう皆治ったし...重負傷者も骨折などの怪我が治ったら皆動けるようになるかな」



旧磯風「ありがとう...時津風...司令官の帰還はいつ頃...?」



旧時津風「あと、一週間後に帰ってこられるかと...」



旧磯風「うん、ありがとう...♪」



途中、自分達の部屋の前まで来ると、中に入りいつもの服装に着替える。そして、大きく深呼吸をして頬を叩き気合いを入れる。



旧磯風「これで良し」



部屋から出て再び執務室に向かう。後ろからついていく二人は気合いを入れた磯風の姿を見てニヤニヤし、小さくガッツポーズしていた。



旧磯風「お前達、何を笑っている?」



旧天津風「いやぁ~、いつもの姉さんが帰ってきたなぁ、てね♪」



旧時津風「はい、やはりいつもの姉さんが一番です♪」



旧磯風「おかしな奴らだ」



そんな話をしていると、執務室の前に辿り着く。扉を開けると机の上に書類が山積みになっている。



旧磯風「...今まで執務は誰がやっていた?」



旧時津風「誰もやっていません。浜風姉さんは司令官と一緒に行ってしまいました」



旧天津風「まぁ~、今から処理していくしかないよねぇ~♪」



旧磯風「はぁ...お前達、今から手伝え。...今は午前10時だな。昼までには全て終わらせるぞ」



旧天津風「相変わらずハードワークだねぇ~」



旧時津風「ですが、私達の得意分野ですね♪」



旧磯風「無駄口を叩くな」



3人はそれぞれの机に書類を分けて、一斉に処理し始める。中には他の鎮守府からの資源の援助や艦娘の派遣の援助の書類等々がたくさんあった。



旧磯風「他の鎮守府は被害が無かったのか?」



旧天津風「いや、他の鎮守府もかなりの被害を受けたみたいだよ。まぁ、ここよりは酷くは無いから援助出来るんだってさ」



旧時津風「私達の鎮守府に深海棲艦の本隊がやって来たようです。それも、私達が倒した深海棲艦はただの一部分でしかないようで...」



旧磯風「なかなか酷い状況だな...私が寝ていたのはどれくらいだ?」



旧時津風「3週間です」



旧磯風「その間に何か進展は?」



旧天津風「資源が無いから何も出来てないよ。ホントいやになるよねぇ~」



旧磯風「なら、この書類を送れ。出来るだけ早くだ。今は鎮守府の復興を最優先させる。この1週間で3週間分の遅れを取り戻すぞ」



旧天津風「了解、ああそれとあと一人つれてきた方がいいかな?」



旧磯風「いや、いい。それよりも高速修復材を援助してくれる鎮守府はないか?艤装の修理が出来ないと意味がない」



旧時津風「それなら、この書類ですね。舞鶴から援助してくれるそうです」



旧磯風「貸せ。それと今空いている業者を呼べ。入渠ドックの修理だ」



旧天津風「その業者なんだけど...他の鎮守府からの要望も来てて、空いてる所無いらしいよ...」



旧磯風「なら、建物だけでも先に直す。建物専門の業者はどれくらい空いている?」



旧時津風「そっちは2つの業者が空いているようですよ」



旧磯風「今すぐ呼べ。今の仮の寝床ではやる気が出ないからな」



旧時津風「では、今すぐ電話で呼びかけます」



旧磯風「頼む。早急にな」



時津風は書類を持って執務室から出ていく。その表紙には『重要』と書いてあった。



旧磯風「天津風」



旧天津風「?何?」



旧磯風「今からこれを急ぎで中央へ送れ」



旧天津風「そんなに重要なもの?」



旧磯風「...この鎮守府が残れるかこの書類にかかっている」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


~~中央 大本営~~


提督「これが我が鎮守府の被害状況となります」



元帥「ふむ...他の鎮守府に比べ、一番被害が大きいな。すまないな、こんなに遅れてしまって」



提督「いえ、元帥の仕事が多忙なのはわかっています」



元帥「理解してくれると助かる。さて、先程も言ったが一番横須賀が被害が大きい。そこで、よその鎮守府から余裕があれば横須賀へと援助をするよう頼んだ。今頃、君の鎮守府に書類が届いているはずだ」



提督「申し訳ありません。今横須賀には秘書艦が...」



元帥「おや?おかしいな、先程私の優秀な仲間が、とても嬉しそうに横須賀に向かったんだがな」



その言葉を聞いた提督は、怪訝な表情をしていた。



元帥「すまん、話が脱線した。さて、君の所の艦娘のことだが...この資料を見てくれ」



提督「...!これは...」



手渡された、太平洋沖の地図だった。所々赤く塗られ、一番奥に当たる海域は黒の混ざった深紅と言うべき色だった。



元帥「この地図の海域に深海棲艦の大艦隊が現れた。規模は分からないが相当な規模になるとみている」



提督「...なぜ私にこれを?」



元帥「君にこの海域を攻略してもらいたい」



提督「...我が鎮守府はとても運用出来るような状況ではありません」



元帥「分かっている。そこでこちらから専属の業者を送る。酷かも知れないが鎮守府の修理が終わり次第、攻略を開始して欲しい」



提督「分かりました。それでは、失礼します」



敬礼をし、部屋から出ていこうとしたとき、だれか丁度部屋に入ってきた。



??「失礼します」



扉から髪をストレートロングにし、コートを羽織って帽子を被った女性が入ってきた。



元帥「ああ、敷島か。どうした、三笠なら先程出かけたぞ」



敷島「本当ですか?全く...あの子ったら...」



提督「あの...」



敷島「あっ、申し訳ありません。それでは、私はこれにて」



敷島は扉を閉め、申し訳なさそうにして部屋から出ていく。



提督「あの方は?」



元帥「旧型の戦艦、敷島だ。今は退役してるが、書類の処理や訓練を手伝ってもらっている」



提督「旧型の戦艦...ですか...」



元帥「そんなこと言ったら、君のところの磯風もそうだろう?」



提督「まぁ、そうですね」



元帥「さて、今日はここまでにしよう。すまないが、当分は帰れんかもしれぬ」



提督「大丈夫です。磯風型が上手くやってくれるでしょう」



元帥「信頼が厚いのだな」



提督「ええ、五年間、ずっとやって来ましたから」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


~~横須賀鎮守府、正面ゲート前~~



??「ここが横須賀鎮守府...酷いやられよう」



正面ゲートの前にはとある女性が立っていた。敷島と同じ様にコートを羽織って帽子を被っており、腰には刀がさしてあった。



守衛「そこの貴女、身分証を提示してください」



??「身分証ね。ちょっと待って...えっと...どこやったっけ?」



守衛「身分証を提出できないのであれば、お通しすることが出来ません」



??「そんなぁ~...」



旧磯風「その方を通してくれ」



奥から磯風がやって来る。目覚めてから二日、未だ点滴スタンドを押していたが、変な所はなかった。ただ1つ、左腕がないことを除けば。



守衛「これは...秘書艦殿の知り合いでございましたか。失礼いたしました」



守衛は女性を通すと、再び正面ゲートの警備に戻る。



??「ごめんね。ちょっと、遅れちゃった」



旧磯風「いえ、気にしないで下さい。では、早速ですが執務室に案内します」



??「ねぇ、左腕どうしたの?」



旧磯風「これですか。先の戦闘で失っただけです」



??「そう...大変だったのね」



旧磯風「いえ、それよりも1つだけ頼みたいことがあります」



??「何かしら?」



旧磯風「明日、他の鎮守府から艦娘が来るのですが、その者達に訓練させてもらえないかと」



??「どうして、私なの?貴女が居るじゃない」



旧磯風「恥ずかしながら、このような状態では戦闘訓練をさせることが出来ません。そこで、2代目聯合艦隊旗艦の貴女なら、有名ですし」



??「あら、聯合艦隊旗艦っていっても、かなり前だし私は旧型よ?」



旧磯風「大丈夫です。戦艦としては初めての聯合艦隊旗艦として、かなり有名です」



二人が談笑していると、奥から天津風と時津風がやって来る。



時津風「姉さん、先程連絡が来て、今日の午後に業者が来てくれるそうです」



旧磯風「ああ、そうか。ありがとう」



旧天津風「ねぇ、そっちの人って誰?」



その言葉を聞いた磯風は、俯いて溜め息をしていた。言われた本人は、全く笑顔を崩していなかった。



旧磯風「こちらは2代目聯合艦隊旗艦『三笠』さんだ。お前も会ったあるだろう?」



三笠「ねぇ、本当に私知っている人多いの?不安になってきたんだけど...」



そんなことを言いながらも、全く笑顔は崩れない。



旧時津風「三笠さん、よろしくお願いします」



三笠「うん、よろしくね」



旧磯風 「さて、二人とも三笠さんを執務室につれていって欲しい」



旧天津風「どっか行くの?」



旧磯風「そろそろ明石が帰ってきている筈だ」



旧時津風「ああ...それならさっき怒ってましたよ」



旧磯風「やはりか...勝手に抜け出したからな...」



旧天津風「まぁ、怒られておいでよ~」



旧磯風「ああ、そうするとしよう」



磯風は3人と別れ、1人医務室へと向かう。



旧磯風「はぁ...左腕が無いとここまで不便だとは...」



明石「ええ、不便でしょうね。左腕が無かったら」



旧磯風「あ...明石...医務室に居たんじゃ...」



明石「ええ居ましたよ。先程までね」



旧磯風「そ、そうなのか...」



明石「磯風さん...貴女には失望しましたよ...」



旧磯風「い、いやぁ~、書類が溜まってるだろうから...その、な?」



明石「磯風さん、そこになおりなさい」



旧磯風「明石...こちらの話を...」



明石「な お り な さ い」



旧磯風「はい...」



磯風はシュンとして正座をする。



明石「分かってましたよ?貴女のことですし、どうせベッドから抜け出しているんだろうな、とはね」



旧磯風「なら許してくれても...」



明石「許すとでも?」



旧磯風「で、ですよねぇ~...」



明石「はぁ...全く...どうして貴女はこうも私に心配させるんでしょうね...」



旧磯風「しょうがないな。それが私の性と言うものなのだろう」



明石「威張れることですか!全く...本来はもうちょっと回復してからの方がいいんですが...」



旧磯風「何?義手のはなしか?」



明石「(あ、食いついた)そうです。まぁ、貴女が着けたいと言うのなら着けても良いでしょう」



旧磯風「本当か!?」



明石「ただし!義手のメンテナンスは2週間に1度しか行いません。もし1週間で故障させても直しませんからね!」



旧磯風「それで十分だ!頼む明石!」



明石「では、こちらへ」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



執務室にへと到着した三笠は、机に山のように積もった書類を見て絶句する。



三笠「何この量...」



旧浜風「...見ての通りです。さっき少しだけでもと減らしたはずなんですが...」



旧天津風「むしろ増えてるよね~...」



三笠「やるしかないか...それじゃ三人とも、手分けして片付けていきましょう」



旧天津風「りょーかーい」



盛り上がってる書類の山を3人で分ける。それでも高さは50㎝はある。


後書き

時津風はスイッチの入ってる磯風に対して、恐いという感情を持っているので、スイッチの切れている状態の時は磯風に普通に話しかけることが出来ます。

ちなみに、吹雪の設定はリアルの私の鎮守府の吹雪からとっています。秋月が居らへんから吹雪に対空砲をガン乗せさせて、代わりになってもらってるんや......


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1: 万屋頼 2015-12-21 19:14:19 ID: ad8zmUyE

 面白いです!旧の方の艦はあまり詳しくないのですが、このような設定で出してみるのも面白いですね!書き方・発想・内容等、色々と勉強にさせていただいています!

2: 特型駆逐艦一番艦 2015-12-21 20:43:00 ID: htC9BCY2

↑コメントありがとうございます
私なんてまだまだ素人です。文章等は思いつきなどで書いているので、所々おかしな日本語を書いてしまったりしている計画性のないただのバカな投稿者です


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