犯罪者と心優しき艦娘
あるアニメをみて、思いつきました
ある獄中にて...
「......」
〈コン......コン......
静かな場所に、足音が響く...
それと同時に、少し辺りがざわつく
「静かにしろ!!」ガァン!!
怒号が獄中の罪人を黙らせ、裁人はとある牢獄の前で止まる
「おい、お前、牢獄から出てこい」
ガチャンと大きな音を立てて、今まで開く事の無かった大きな扉が開く
「俺がか...?」
「そうだ」
男は立ち上がり、久しぶりの牢獄の外へと出た
裁人は男を引っ張り、とある部屋へと入れる
「何をするつもりだ...?」
「黙っていろ」
数分経って、女性が入ってくる
男は見たことのある女性だ
「!お前は!!」
「黙っていろと言ったはずだ!」
裁人は男を押さえつけ、警棒で殴り付けようとすると、女性がそれを制止する
「そこまではしなくても良いわ」
「ですが...」
何かを言う前に、女性は裁人を目で威圧した
「も、申し訳ありません!」
裁人は慌てて、扉の外へと出ていく
しばらく、辺りに静けさが走る
「...さっきはごめんなさいね」
「いや、良い...それよりも用件は何だ...」
「貴方に頼み事があるの」
『鎮守府の提督になってもらえないかしら』
男は驚いた、かつては自分を嫌っていた者が、自分に頼っていたのだ
「何故だ?俺は近頃死刑になる身...そんな奴に頼みなんて良いのか?」
「ええ、本当なら貴方は゛今日゛死刑になるはずだったわ」
男に衝撃が走る、それもそうだ、突然、今日死刑になるはず、と言われれば殆どの死刑囚が驚くだろう
「でも、貴方は鎮守府の提督になるだけで、貴方の命は助かるの」
「でも、どうして俺に頼む?俺のことを嫌っているのだろう?」
「ええ、でもこれは上からの命令なのよ」
「上からだぁ?一体何を考えてるんだ...」
「で、どうするの?なるの?」
男は答えに詰まった、だがやはりまだ彼の中には生きたいという願望があったのだろう
「分かった...提督というものにまたならせてもらう...」
彼は生きるためにこの決断をした
死よりも辛いとは知らずに...
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
あれから男は今までしたことのない正装と、防弾ガラス付きの車で揺られていた
「おい、なんだこの服装は」
着なれない服を着て、男は少し苛立っている
「今から行くのは軍事施設なの、囚人服で行けるわけないでしょ?」
「くそったれが...」
そんな会話をしていると、辺りの建物よりも大きな建物が見えて来る
「あれが鎮守府よ」
今まで見たことのがない、いや前よりは一回り大きい建物だった
「あれがか?」
「ええ、佐世保鎮守府よ」
「そうか...」
佐世保という単語を聞いた男は、少し顔がうつむいていた
それを見た女性は、少々慰めるように言葉をかけた
「貴方は以前、優秀な指揮者と聞いたわ貴方なら大丈夫でしょ?」
「...そんなのは過去の話だ...」
車は、鎮守府の敷地の中に入り、建物の入口の前に止まった
男は周りを少し見渡す
「綺麗だな」
「そりゃそうよ、ここは日本で一二を争う鎮守府よ?大きくて当たり前じゃない」
プルルルルと携帯の音が響く
「あ、電話だわ、少し待ってて」
建物の影へと携帯電話を持って、走っていく
「っ...まずい...薬を飲まないと...」
男の禁断症状が出かかっていた、つい最近のことだ、とあることが起きてからこの抑制剤を飲まないとおかしくなってしまうのだ
「くそっ......水場は何処だ...?」トテトテ
「あのぉ...大丈夫ですか...?」
男が顔を上げると...そこには中学生位の背丈の
女の子が立っていた
「!お前は...!」ガシッ!
「ふぇっ!?わ、私何かしましたか!?」
はっとした顔で、少女から手を放した
「す、すまない、水を飲める場所に案内してくれないか...?」
「あ、はい!こっちです!」
提督「さっきはすまなかったな...」
「いえ、私は大丈夫ですよ」
提督「それで磯波」
磯波「絵?どうして私の名前を知っているのですか?」
提督「あ...それは資料を読ませてもらったからな...」
磯波「そうですか?」
提督「そうだが?」
磯波「なら、いいのですが...」
女性「あ、いたいた、一体何処に行ってたのよ」
提督「すまんな...」
女性「えっと、君が磯波ちゃんかな?」
磯波「はい!この度、この鎮守府の司令官の秘書艦をすることになりました!宜しくお願いします!」ペコッ
提督「宜しく頼む」
磯波「では、施設の説明を」
提督「いや、しなくて良い」
磯波「へ?」
女性「こいつはね、一回鎮守府に着任してたのよ」
磯波「そうなんですか?」
提督「......」
磯波「司令官さん?」
女性「ああ...あんまり聞かないでやって」
磯波「?」
提督「それよりも磯波」
磯波「は、はい!何でしょうか!」
提督「今から、建造をしに行こうと思う、ついてきてくれるか?」
磯波「え?でも、書類の説明とかをしないと...」
提督「それに対しては大丈夫だ、書類のやり方はまだ覚えている」
提督「ほら、行くぞ」
磯波「はい!」タッタッタッ
女性「じゃ、私はもう総司令部に帰るから、後は任せたわ」
提督「ああ、分かった」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
磯波「司令官、つきました」
提督「ああ、久しぶりだな、これを見るのは...」
磯波「司令官...?」
提督「いや、気にするな。それよりも建造をするぞ。今は戦力が必要だ」
磯波「分かりました。資材の量はどうしますか?」
提督「全て30だ。最初から重巡なんてものはまだ要らん。だか、駆逐艦1隻ではダメだ。2回建造をしてくれ」
磯波「2回ですね。分かりました。資材の量は30...よし、完了しました」
提督「よし、では次に行こう」
磯波「は、はい。えっと、次は...食堂ですね」
提督「そうか。分かった。すぐに行こう」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
磯波「食堂に着きましたよ」
提督「ここが食堂か...前よりも少し小さいな」
磯波「まえはこれよりも大きいのですか?」
提督「ああ、あと30人程入れる大きさだったな」
磯波「へぇ~...」
間宮「あら、新しい提督ですか?」
提督「この度、この鎮守府に着任した。ある程度までは、お前達の思いがけない行動をしてしまうかも知れないが、許してくれるとありがたい」
間宮「分かりました。出来るだけ慣れれる様にしますね」
提督「さて、他に回らないといけないところはどこだ?」
磯波「えっと...もう無いですね。まだ建造しているとはいえ私を入れて3人だけですし...」
提督「そうか、早く艦娘を増やさないとさびしいからな。とはいえ建造ばかりするつもりはない」
磯波「と、言いますと?」
提督「出撃して艦娘を確保する。それが今の一番効率のいい方法だろう。だが、それには艦娘の練度も必要だ。よって、建造が終わり次第、訓練をする」
磯波「訓練...ですか?」
提督「ああ、流石に最初からキツいメニューにするつもりはない」
磯波「そうですか...」
提督「さて、執務室に向かおう。荷物が色々と置いてあるはずだ」スタスタ
磯波「了解です」スタスタ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
提督「ああ、やっぱり置いてあった」ガサゴソ
磯波「何が入ってるんですか?」
提督「メモ、ボールペン、万年筆。数え出したかキリがないと思うぞ」
磯波「な、なんでそんなにあるんですか...?」
提督「これから必要だからだ。書類を書くのに筆記具は必要だろう?」
磯波「そうですけど...」
提督「とにかく、今日はまだ書類はないな。だが、そろそろ30分経った頃だろう。工廠に向かうぞ」
磯波「は、はい!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
提督「完成しているようだな。さて、開けるとするか」ガチャッ
電「んん......」スゥ
提督「なぁ磯波。なんでこいつは寝てるんだ?」
磯波「さ、さぁ...?」
提督「はぁ...まぁいい。ほれ、起きろ。起きんか」ユッサユッサ
電「ふえっ......?誰なのです...?」ムクッ
提督「この鎮守府の提督だ。何で寝てたんだ?」
電「分からないのです...気が付いたら貴方が...て、ああ!!」ガバッ!!
提督「な、なんだ?」
電「司令官さん!申し訳ありません!名乗っていなかったのです!」
提督「それに関しては安心しろ。名前なら知ってる。電だろう?」
電「はわわ!何で知っているのです!?」
提督「こっちにも色々あってな。その辺りはあまり探らないでほしい」
電「わ、分かったのです」
提督「さて、もうひとつの方も開けるとしよう」ガチャッ!
?「あ、やっと開いたぜ...もうちょっと早く開けてくれよ~...」
提督「次は深雪か、駆逐艦3隻なら鎮守府前の海域位は攻略出来るだろう」
磯波「さ、早速出撃ですか...?」
提督「いや、その前にまずは訓練だ。射撃、体力、戦術面で訓練をしていく。その課程を乗り越えたら遂に出撃だ」
電「戦術はどうやって訓練をするのです?」
提督「座学だ。とにかく体の動かし方を目を通じて、頭に焼き付けてもらう。やるときはとことんやるからな」
深雪「うへぇ...座学かよぉ~...めんどくせぇ...」
電「何か大変そうなのです...」
提督「最初の座学は二時間だけにしてやるから安心しろ」
深雪「最初から二時間からとか...」
電「流石に厳しすぎるのでは...?」
提督「そうか?これくらい前の鎮守府だったがな」
深雪「あばばばば」
提督「お前は集中力つけることだ。これからの戦いに集中力はかなり影響する。遠征では何日も出かけることがあるんだ。沈みたくなかったら座学位慣れろ」
深雪「こっちの場合は電にぶつかって沈みそうなんだが!?」
電「心外なのです!!」
提督「ああ、お前達はなぁ...どうしたものか...」
ガタッ
提督「誰だ!!」クルッ!
電「?どうしたのです?」
磯波「司令官...?」
提督「ったく...まさか初日から来るとはな...」
電「司令官さん?」
提督「お前達は気にするな。これは俺の問題だ」
電「???」
提督「今は部屋に戻ろう。それからここの掃除をしなければいけないしな」
深雪「了解っと!」
電「了解なのです!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
磯波「ところで掃除とはいったいどんなことをするんですか?」
提督「棚や机に前任の艦娘の遺留品等がないか。調べるんだ。もしあったらこの机に置いてくれ。それじゃ、掃除開始!!」
一同「おーー!!」
それぞれ持っている掃除用具で、各々の持ち場に向かう。
電「はわわ!?凄い埃なのです!!」
白雪「こんなに埃が...どれだけ放置されていたのですか?」
提督「いや、この鎮守府が空いていた期間はたった1週間。ずっと掃除をしてなかっただけだろう」
深雪「酷いなぁ...流石の私でもここまで汚くないって...」
提督「とにかく目の前のゴミを片づけろ。こんなんではマトモに居住も出来ない」
磯波「司令官、こんなものを見つけたんですが...」
提督「見せてみろ」
磯波が1つの書類の束を提督に渡す。
提督「これは...前任の艦娘一覧表だな」
磯波「前の人が忘れていったのですかね?」
提督「こういうのを見ると前の鎮守府を思い出すな...」
電「もしかして前から司令官だったのです!?」
提督「ああ、そうだ。あることがきっかけで投獄させられたがな」
白雪「意外と凄い人生おくっているんですね...」
提督「まぁな、少し席を外させてくれ。この薬を飲まなければいけない」
深雪「おぉ?何だ何だぁ?持病かぁ?」
提督「まぁ、そんなところだ。あまり気にしないでくれるとありがたい」
提督「それと...1つ良いか?」
電「どうしたのです?」
提督「白雪...お前いつからここに居た」
白雪「へ?」
深雪「うわぁ!?なんかしれっと混ざってる!!」
提督「ふむ、まさか前任の艦娘か...」
電「どうしてわかるのです?」
提督「この一覧表に白雪の名前がある。それに白雪はまだ建造してないからな」
白雪「1週間?何かあったのですか?」
磯波「何か覚えてないですか?1つ覚えてることがあったら聞かせてほしいです」
白雪「覚えてること...出撃して帰還して...眠くなってきたから部屋で寝てあて...そこから記憶がありません」
提督「白雪、戦い方などは覚えているか?」
白雪「はい、練度もそれなりに高めていましたし...それより前任ということは...貴方は新しい司令官ですか?」
提督「ああ、そうだ。よろしく頼む」
白雪「はい、よろしくお願いいたします」
提督「それで何だが、
死刑執行は執行当日に死刑囚へ言い渡されるんですが…
申し訳ない...そこまでは調べていませんでしたm(_ _)m
こんにちは、お疲れ様です
興味深い物語です、今後はどのように進行していくのか
犯罪者提督の過去も気になります
応援しておりますではでは
続きが気になる内容です、無理せずに更新おねしゃす!
いつの間にか白雪が
続きって書くつもりあります?