生まれてはいけなかったイレギュラーな存在
『艦娘の世界に入り込んだ少女』の続きとなるSSです。楽しんでいただければ幸いです。
水の滴る音がする。チャポンチャポンって響いてくる。視界は霞んでいるけど、意識ははっきりしてる。
「ここは......?」
『やぁ、おはよう。気が付いた?』
声のする方向を見てみると、中学生位の男の子が居た。頭にフードを被っていて顔は全く見えないけど。
「あなたは...?」
『そうだねぇ~...僕は『観測者』と言ったところかな』
「観測者...?」
どういうことか私には理解できない。『観測者』というのが何かが分からない。
『今までいろんな世界のことを見てきたけど、君と榛名の世界は本当に面白かったよ♪』
「榛名...?」
『うん、さっきも言った通り、君が居た世界の他にたくさんの世界があるんだ』
余計に私の頭の中がこんがらがる。
『別に君は知らなくても良いよ。それと...』
男の子の言葉が、途中で途切れる。
「どうしたの...?」
『...君は『生まれてはいけない存在』だってこと、分かってる?』
『生まれてはいけない存在』なんていきなり言われても私が理解出来るわけ無い。
「どういうこと...?」
『いくつもの世界があったけど、君みたいな『イレギュラー』な存在は始めてなんだよ』
私の存在を否定しているように聞こえて凄く不愉快。イライラもしてきた。
「いったい何が言いたいの?」
『それは、君が分かるんじゃないかな?ね、菖蒲』
いちいち上から目線の言い方が頭に来る。つい言葉がキツくなってしまうのを、何とか堪えて男の子と話をする。
菖蒲「私は、お姉ちゃん達に会いたいの。お姉ちゃんに会わせて」
『お姉ちゃん達...?ああ、鈴谷と熊野のことか。二人は今頃どうしてるだろうな~、もう沈んでるんじゃないかな?』
菖蒲「っ!いい加減に!」
『冗談冗談。ちょっとした冗談だって。そんなに怒らないでよ』
あまりのイライラに堪えられなかった。
『でも、二人の世界に行かせてあげることは出来ない』
菖蒲「どうして...?」
『君が居ると都合が悪いって言えば良いかな?』
菖蒲「訳が分からない...とにかくお姉ちゃんに会わせて」
『はぁ...分かったよ...行けば良い。何が起きても知らないからね』
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