1945年4月7日

ー12時30分ー

大和｢来ましたね｣

矢矧｢敵機襲来！各艦対空射撃用意！｣

磯風｢了解！｣

雪風｢わかりました！｣

大和｢主砲、三式弾装填！初霜さん、前部主砲で対空射撃を開始するので、注意してください！｣

初霜｢はいっ｣

ー12時34分ー

大和｢第一、第二主砲、対空射撃開始！！｣

矢矧｢第二水雷戦隊は、敵機を目視し次第対空射撃開始！｣

ー12時45分ー

ﾄﾞｶｰﾝ

磯風｢っ！浜風っ！！！｣

浜風｢...磯風.....あなたは...必ず生きて帰って.....ください...｣

磯風｢浜風っ！！！！｣

ﾄﾞｶｰｰｰﾝ!!!

磯風｢くそぉ！！！！！｣

ー12時46分ー

ﾄﾞｰｰﾝ!!ﾄﾞｶｰｰﾝ!!!

磯風｢矢矧！！！｣

雪風｢大和さん！！！｣

大和｢私はまだ大丈夫...です！それより矢矧を！｣

磯風｢わかった！｣

磯風｢矢矧！大丈夫かっ！？｣

矢矧｢私もまだいけるわ！阿賀野型の装甲を甘く見られては困るわ！｣

ー13時20分ー

大和｢第二次攻撃隊、来きます！｣

矢矧｢対空射撃開始！！！｣

ー13時25分ー

大和｢通信設備損傷！初霜さん！艦隊通信の代行をお願いします！｣

初霜｢わ、わかりましたっ！｣

ー13時33分ー

大和｢左舷への傾斜拡大！右舷ボイラー室並びに機関室への注水傾斜復元を試みます！｣

初霜｢でも、そうしたら速力が！｣

大和｢このままでは沈みます！.........初霜さん、離れていて...いいですよ｣

初霜｢ダメです！！｣

大和｢！｣

ﾄﾞｶｰﾝ!!!

雪風｢霞さん！！｣

霞｢アンタは...必ず......沖縄に...行くのよ......｣

雪風｢霞さんっ！！！！！｣

ﾄﾞｰｰｰﾝ!!!

磯風｢矢矧！！！｣

矢矧｢磯風...私はもう...ダメね。｣

磯風｢何を言ってるんだ！このまま沈むというのか！？｣

矢矧｢.....磯風、これを。｣

磯風｢...これは.....二水戦将旗......！｣

矢矧｢二水戦を.....水雷戦隊の華を...絶やしてはいけないわ｣

磯風｢受け取れるわけないだr...

矢矧｢磯風！直上！！！！｣

ﾄﾞｶｰｰﾝ!!!

矢矧｢磯風！！！｣

磯風｢くっ！！｣

磯風｢くそっ、動け、動け.....！！｣

ー14時05分ー

矢矧｢......大和、最後までいられなくてごめんない........みんな、後は任せたわよ...｣

ー14時10分～20分ー

大和｢傾斜拡大.....とても復元できない...｣

大和｢初霜さん.....大和は...これまでみたい｣

初霜｢大和さんっ！｣

大和｢...あとは.....頼みますね........｣

初霜｢大和さんっ！！！！！！｣

雪風｢大和さん！！！！｣

磯風｢大和っ！！！！！！｣

..........ﾄﾞｯｯｯｯｶｰｰｰｰｰﾝﾝｯｯｯｯ!!!!!!!

ーその夜ー

雪風｢磯風は曳航します！！｣

磯風｢私を曳航しては、夜明けまでに帰れないぞ！｣

雪風｢雪風が頑張ります！だからっ！！！｣

磯風｢.....｣

ﾋﾟﾋﾟﾋﾟｯ

雪風｢！｣

磯風｢.....聞こえたか？｣

雪風｢聞こえません...｣

磯風｢司令部からは、“磯風は沈没処分にしろ”との命r...

雪風｢聞こえませんっ！！！！！｣

磯風｢！｣

雪風｢雪風は嫌です！！！！｣

磯風｢.....なぁ雪風、｣

雪風｢..........｣

磯風｢雪風は.....これまでに自分が沈没処分をした仲間の人数を覚えているか？｣

雪風｢...............｣

磯風｢私は覚えている。数はおろか、名前や作戦まで、はっきりと覚えている｣

雪風｢..............｣

磯風｢.....雪風........雪風の心の中で、私をずっと生かしてはくれないか？｣

雪風｢.....！｣

磯風｢名も知れぬ敵に沈められるくらいなら.....私は...雪風に.....私の最後の姉に...沈められたい｣

雪風｢.............｣ｽｯ

磯風｢そうだ.....頼むぞ｣

雪風｢.............嫌です｣

磯風｢雪風...頼む.....ここだって安全な訳じゃない｣

雪風｢...嫌です｣

磯風｢雪風｣

雪風｢嫌です！｣

磯風｢雪風！｣

雪風｢嫌です！！！｣

磯風｢早く撃たんか雪風ぇ！！！！！｣

ﾄﾞｰｰﾝ!!

磯風｢どうした、“呉の雪風”ともあろうものが、この距離で外すのか？｣

雪風｢磯風...き、きっと他に方法があるはずですっ｣

磯風｢...くどい。......早くやってくれ。今なら先に逝った浜風に追いつけるやもしれん｣

雪風｢...本当に、これしかないんですか.....｣

磯風｢あぁ...そうだ。その魚雷でやってくれ。｣

雪風｢...........｣ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

ｼｭｯ...ｻﾞﾊﾞｰﾝ........

磯風｢...魚雷まで外すか｣

雪風｢...............｣

磯風｢.....ならば私が持っていてやる｣ｽｯ

雪風｢磯風っ！｣

磯風｢これなら、“ここ”(魚雷)を外すことは無いな｣

雪風｢........磯風...手が震えて｣

磯風｢さぁ早くしろ！！私の決意が揺らがぬうちに！｣

雪風｢........みんなに会ったら、ごめんなさいって伝えてください｣

磯風｢何を謝る。雪風は、私たちの自慢の姉妹だ｣

雪風｢.....でも...｣

磯風｢雪風......誇りに思うぞ。雪風と姉妹で、私は嬉しかった｣

雪風｢！｣

磯風｢金剛、大鳳、信濃、大和.....そして陽炎型の姉妹たち.....磯風はそちらに向かいます。後は、雪風が無事港に辿り着き、1日でも長く生きることを願います。｣

磯風｢雪風.....さようなら、だ｣ﾆｺ

雪風｢.....はいっ｣ﾆｺ

...ﾄﾞｶｰﾝ