西住まほ「妹との距離感がつかめない」
まほお姉ちゃんがいいお姉ちゃんすぎるんだよなぁ...
ガルパン劇場版でみほが西住家に里帰りして来た時の話のつもりです。
みほ「あの...お姉ちゃん」
まほ「どうした、みほ。」
まほ(サインをごまかし書類をつくったところまではよかった。)
まほ(しかしこれでは、みほはもう帰ってしまうのではないか!?)
まほ(だって今まさに“もう帰るね”的なこと言いそうな雰囲気を全身から発している!)
まほ(私にはわかる、そう、私くらいのレベルになればオーラでわかる)
まほ(だからこそ、みほに帰るのをなんとしても待ってもらわなければ)
ーーここまで約1秒
みほ「私...そろそろ......」
まほ「まぁそう急ぐこともないだろう」
まほ(せっかく熊本まで帰ってきたんだ、積もる話でもして、久々に姉妹の関係を修復したいのだが...)
まほ(うん?修復?)
まほ(そもそも、私たちの関係に亀裂が入っているのか?)
まほ(確かに、去年の決勝でのみほの行動は“西住流としては”褒められるものではなかったが、私個人としては優しいみほらしい行動だなと納得するものがあったし、別に試合後も特に責めることもしなかった)
まほ(むしろ、仲間を助けに行ってるんだからそこは空気を読んでフラッグ車だからって撃つなよ、だから身長もちっさいままなんだよ、そーゆーのが戦車道だろ、とプラウダに対して思ってるくらいだしな)
まほ(黒森峰にいづらくなるのは確かにそうだろう。転校してしまうのも仕方ないことだろう。かと言って、別に私との距離が離れていってしまったとは言えないのではないか?)
みほ「でも、お母様に会っちゃうとお姉ちゃんが困るし...」
まほ「この時間なら大丈夫だ」
まほ(こんな状況でも私のことを心配してくれるのかっ!やはり天使...いや大天使!)
まほ(......そんなことを言っている場合ではない。確かにみほの言う通りお母様に会うのはまずい)
まほ(おそらく障子越しでもみほだということはわかっているだろう。しかしそこを気づいていない設定で通しているのだから会うわけにはいかない。)
まほ(しかもあのお母様のことだ、もしみほと顔を合わせても、“よく帰ってきたわね、今日はカレーよっ♡”などと何事も無かったかのような対応をするはずがない)
まほ(......そもそも、生まれてこの方そんなお母様を見たことは無かったな)
まほ(と言うか、私やみほが学校に行っている間、お母様は犬の散歩とか行っているのだろうか?)
まほ(......あの鋭い視線のまま丸っこい柴犬を散歩させているのか?ちょっと面白いじゃないかその光景)
まほ(......まずい、お母様が散歩させているところを想像したら思わずにやけてきた)ニヤリ
〜〜〜
みほ(お姉ちゃんが急にニヤけてる...何かいいことあったのかな)
〜〜〜
まほ(うん?そもそも、なんで私は今実家にいるんだ?)
まほ(夏休みだから?いや、夏休み終わってるような...)
まほ(普通、戦車道の練習とかしまくるよな、全国大会で負けたわけだし。)
まほ(まぁ、そこはエリカが上手くやってくれているということにしておこう。)
まほ(そんなことよりもこのままいかに姉妹の会話を増やすかだ。)
まほ(どこか喫茶店とかで......と思ったが、そんなちょうどいい店なんてなかったな。)
まほ(そうだ、ここはとりあえず私の部屋で...)
まほ「私の部屋においで。麦茶でもだそう。」
みほ「あ、ありがとう...」
みほ(ニヤけたのは何だったんだろう...)
〜〜〜〜〜
まほ(よしっ、これでしばらくは大丈夫だ。)
まほ(...ここはどう話を振るべきだ?)
まほ(お土産についてか?しかし、みほもまだ大洗に引っ越してから半年もたってないし、話を振られても“私もよくわからない”とかなることは必至だ。)
まほ(ここは大人しく戦車道の話か?)
まほ(しかし、大会で負けてる以上、まるで負け惜しみのようになるし、そもそももっと軽い世間話のようなもので場を和ませたいところだ。)
まほ(なにか...当たり障りのない話題は......)
まほ「ね、ねぇ、こんな格言を知ってる?」
まほ「恥ずかしいと感じることから、進歩は始まる。」
みほ「...............。」
まほ「...............。」
まほ(な、なんだこの空気は!確かに私はダージリンの真似をしたが、決して地吹雪のカチューシャを呼んだつもりはないぞ!?)
まほ(......我ながらうまい事言ったな。)ドヤッ
〜〜〜
みほ(お姉ちゃんがいきなりダージリンさんみたいに名言を言って、ドヤ顔してる......)
〜〜〜
まほ(などと言ってる場合ではない、野村克也名言集からとってきた言葉がこれではあまりに無様だ。)
まほ(しかし、この空気からさらにこの言葉について解説を加える勇気など私には......)
??(撃てば必中、護りは硬く......)
まほ(!!)
??(進む姿は乱れなし......)
まほ(そうだ、私は...私は......こんなところで立ち止まるものかっ!!!)
まほ「これは、前人未到の3000試合出場を果たした野村克也の言葉なのだ。彼は自身の現役生活を“恥をかき続けた27年”と称したが、恥ずかしいという思いに比例して人間は努力をし、それこそが修行であると言った。我々も戦車道という道を歩んでゆくにあたり、失敗もあるかもしれない、しかし、それを恥として折れてしまうのではなく、恥を糧に努力を重ね、より一層磨きをかけていくべきだ。」
まほ(よし...言い切った......。)
??(鉄の掟...鋼の心...)
優花里(これが...西住流.........!)
まほ(お母様、私は西住流を体現致しました。確かに大きな犠牲を払いましたが、犠牲なき勝利など無きに等しい。)
まほ(これでよかったのだ.....)
みほ「お姉ちゃん...」
まほ(あぁ、みほの声が心なしか震えている......私もここまでか.........)
まほ(長いようで短い人生だった......みほの姉として、私はどうであっただろうか...)
まほ(時に厳しいことも言ったかもしれない。しかしそれはすべてはみほのことを思ってのこと。じきにそれをわかってくれる時が来るだろう。)
まほ(我が人生に...一片の...)
みほ「......お姉ちゃんも野村克也さん好きだったんだね!!!!」パァッ
まほ「えっ?」
みほ「ボコの憧れの人が野村克也さんなんだよ!!!」
まほ「えっえっ???」
まほ(なんで!?なにその渋すぎるチョイス!)
まほ(月見草だから?杉浦の球受けてたから?わけわかんない!!!!)
※もちろんこのssのみの設定です
まほ(しかし待て、これはまたとない好機だ。みほが見たこともない笑顔でこちらを見ている。)
まほ(やっとできた戦車道以外の話題。しかもそれはみほの好むボコ関連の話題。)
まほ(みほの方からこんなに距離を詰めてくれるなんて、最初からボコについてブリーフィングわ受けてくればよかった...)
まほ(しかし、今悔やんでいても仕方がない。ここはこのまま突破する。)
みほ「やっぱり野村克也さんってすごいんだね!」
まほ「みほ...」スッ
みほ「?これは?」
まほ「野村克也名言集だ。」
みほ「!!!」
まほ(唯一大洗に土をつけた聖グロリアーナの強さを探るために各種名言・格言集を集めていたのが、まさかこんなところで役に立つとは......)
まほ「みほ、それをあげよう」
みほ「ホントに!?!?」パァッ
まほ(あぁ、この笑顔を見ることが我が人生の喜び)
まほ(普段のあの自信なさげな表情ももちろん愛らしいのだが、まゆがずっと下がったままというのは心苦しい)
まほ(やはりみほには笑顔が似合う。やはりみほには笑顔が似合う。)
まほ(まずい、大事なことだからついつい2回言ってしまった。しかし、みほのこの表情を見て落ち着いていられようか!)
まほ(成長するにつれ、なかなかこんな素直な笑顔を見せてくれることが少なくなってきたみほが、こんなにも笑ってくれている...それだけで私はうれs...)
やーってやるやーってやるやぁーってやるぜ〜♪
まほ「??」
みほ「あれ、電話だ......誰だろ?」
みほ「もしもし?」
まほ(電話?大洗の同級生からか?)
みほ「...あ、エリカさん!」
まほ「!?」
まほ(えっ、ちょっ、エリカ!?なぜ!?)
みほ「...うん......ちょうど実家に.........」
まほ(......なにを話してるんだ。)
みほ「えぇーっ、そんなことないよぉー」フフッ
まほ(あ``ぁ``ーーーっ!!なにを楽しそうにそんなっ!!!)
まほ(エリカとはあの一件があるから勝手にまだ仲が良くないものだと思っていたが......っ!)
みほ「......うん...うん、じゃあまた後でねーっ」
まほ「............」
みほ「ごめんねお姉ちゃん急に」
まほ「いや、大丈夫だ」
まほ(大丈夫じゃない。)
まほ(え、“また後でね”って言った?会うの?エリカと出かける約束を......?)
まほ(いつの間にそんなに親しくなったと言うんだ......)ワナワナ
まほ(私は犠牲を顧みない攻めによってようやく共通の話題を手にすることができたというのに......エリカは...............!)ワナワナ
まほ(かくなる上は、なるべくみほを引き止めて...)
みほ「じゃあ、私そろそろ行くねっ」
まほ「え、ちょまっ...」
まほ(まずいっ、先手を打たれた。それだけじゃない、なんかちょっと楽しげなのか余計悔しい!)
みほ「エリカさん待たせちゃうと悪いしっ」
まほ「じ、じゃあ、私が送っていこう」
まほ(ここで負けてたまるかっ、ここで引くわけにはいかないのだっ)
みほ「あ、エリカさんがもう近くまで迎えに来てくれてるみたい!」
まほ「」(絶句)
みほ「たまたまうちの近くまで来てたみたいだから、街まで送ってもらうね!」
まほ(…………完…全…敗…北…)
まほ(いいのか…?このまま、みほを帰してしまって…)チラッ
みほ「」ニコニコ
まほ(...こんな笑顔を......)
みほ「」ニコニコ
まほ(...エリカに独り占めさせて......)
みほ「」ニコニコ
まほ(西住の名が廃れるってもんじゃないのかッ!!!」
みほ「お、お姉ちゃん!?」
まほ「みほ、エリカが来たら少し話をしてもいいか?」
みほ「う、うん...」
〜〜〜〜〜〜〜〜
エリカ「みほー、迎えに来たわよー」
まほ「...エリカ」ヌッ
エリカ「た、隊長!」
まほ「みほは私が送っていく」
エリカ「えっ...わざわざ隊長の手を煩わせずとm」
まほ「私が送る!!!」
エリカ「隊長、どうしました、顔色が...」
まほ「私に送らせてくれっ!!!」ドゲザ
エリカ「たっ、隊長!やめてください!顔を上げてください!!」
??「撃てば必中、護りは硬く、進む姿は乱れなし」
まほ「私に、送らせてくれるか......!?」クワッ
エリカ「わ、わかりました...」
??「鉄の掟、鋼の心」
優花里「これが...西住流......」
まほ「ありがとう!」
エリカ「送るためだけに土下座しなくっても...」
まほ「苦もなくみほと楽しい会話ができるエリカとは違うのだ!」クワッ
エリカ「えっ......」
まほ「お前にはわかるまいっ!!!」クワッ
エリカ「......あの、良ければこれから3人で買い物でもしませんか...?」
まほ「いいのかっ!?」パアッ
エリカ「え、えぇ......//」
エリカ「みほも、くまモングッズを買いたいと言っていたのでちょうどいいんじゃないですか?」
まほ「エリカぁ......」ダキッ
エリカ「たっ、隊長っ/////」
まほ「......お礼にヒトラー名言集をあげよう」
エリカ「それはいりません」
まほ (´・ω・`)
〜〜〜〜〜〜
優花里「その後、3人で仲良くお買い物で楽しんで、姉妹仲を深めたのでありますっ!」
優花里「全ては西住流のなせる技ですねぇ!」
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