2023-04-04 08:35:43 更新

概要

艦これとFFのキャラが出ます
お気をつけあそばせ


前書き

元タイトル:ボツ気味な話たち
元内容:導入だけ考えてほったらかしになってるやつら
元々は↑であげていた作品です。
タイトル変更しました。

【艦これ】提督は白魔道士【FF】を可能な範囲ひっそりと更新していく所存

大雑把な解説↓
「」は普通の会話
《》は主人公に伝わっていない会話

魔法の効果にゲームと違う部分あり


では、我々も行くか


これからは、彼らの時代だ…!


彼らなら…


変えてくれると信じよう…。血塗られた戦いの歴史を…



その言葉を終えると、私たちの前に立ち籠めた霧が辺りへと広がっていく。


全てが白に染まった世界は我が身を無に帰するものだろうか。


どうやらもう瞼を開き続けることも、わずかに指先を動かすことも難しい。


体を支える感覚全てが途切れていく。


これが魂の消滅…。


私の運命の旅はこれで終わったのだ。









新たなる世界へ






…、…


…、…、…!


ここ…は…?


目の前に広がる青々とした海に、日差しが降り注ぐ高い空。そして白い砂浜。


穏やかに奏でる潮騒の調べが聞こえて来る。閉じていた瞼を


金色の光が水平線に吸い込まれ、朱に彩られた空の色は宵闇に染まっていく。


目覚めた私は


ここは本当に死後の世界なのか、それともまだ見知らぬ場所へ飛ばされたのだろうか?


スコット、ヨーゼフ、リチャード。


先程まで傍らにいた仲間達はいない。


死後にラキアへと導かれ、アルテマの封印を解きその力を手にしたこと。


アラボトの主となった皇帝の半身を倒し、一連の戦いに終止符を打ったこと。


共に戦った仲間と最後に交わした言葉も鮮明に蘇ってくる。


リチャード「では、我々も行くか」


ヨーゼフ「これからは、彼らの時代だ…!」


スコット「ミンウ、彼らなら…」


ミンウ「変えてくれると信じよう…。血塗られた戦いの歴史を…」


その後に襲われたあの感覚。


フリオニールたちに世界を託し、全ての役目を終えた私の魂は消えゆくものだとばかりに思っていたが…。


まずは私が何を成すためにこの場所にいるのか、それを確かめねばなるまい。


ぐるりと周りを見渡せば海沿いの彼方には何やら建物がある。


まずはあそこへ向かうとするか。










すっかり日も暮れ空は宵闇に染まり、星々は光を放ち始めている。ようやく目的地までたどり着いたものの、そこは酷いありさまだった。


港として機能していたであろう場所は戦火の爪痕か建物の一部は崩れさり、辺りもスス色に染まった壊れかけの瓦礫の山。


石畳に残る黒く広がったシミは血の跡だろう。


やはりこの地も戦いによって多くの命が犠牲になっているのだろうか…。



コツ、コツ、コツ、コツ



コツ、コツ、コツ、コツ



港を少し歩いて廻ると、損傷は酷いがまだ新しいものがある。人影がないのは、既に放棄された場所なのだろうか…。


私はこの港の中でも一際目立つ巨大な建物の前まで辿り着くと、手掛かりを求めて大きく広がる入り口から暗闇の中を覗き込んだ。


中を調べてみるか。


ジャリッ!


小石が弾ける音が聞こえた刹那、月明かりを受けた刃が私の命を刈り取るように眼前へと添えられている。


《ねぇ…、ここには何の用かしら〜》


背筋を撫でるその声色からは不釣り合いな程に強い力で、掴まれた腕を背中まで絞り上げられた。


ミンウ「グッ…」


体が沈むのを必死に杖で支えてみたが抗う事はできない。私は膝を折りそのまま地べたへと押さえ付けられてしまった。


ミンウ「私は争うつもりはない」


《?》


《もう一度きくわぁ。ね〜、何がお目当てで来たのかしら?》


ミンウ「私はキミに敵対する者ではない」


《ん〜…》


《What brings you here,man?》(アナタ、なにをしに来たのかしら〜?)


ミンウ「…」


《上手く通じないわねぇ〜》


先ほどから私へ向けられているのは初めて耳にする異国の言葉だ。彼女が何を言っているか判別はできないが、およそ不審者だと思われていることは想像に難くない。


ミンウ「私の名はミンウ。フィン王国の白魔道士だ」


ピッ! 


《…ちゃん、聞こえるからしら。 ええ…、そう。ちょっとこっちにこれる〜?》ザザーッ




———

——




龍田と夕張



《ハァ ハァ ハァ 龍田さん、お待たせしました》


彼女はどうやら仲間を呼んでいたようだ。


龍田《わざわざ悪いわね夕張ちゃん》


夕張《いえ、それで何か?》


先ほどフィン王国の名を出してはみたが伝わってはいないだろう。彼女達にとっても私の使う言葉は初めて聞くもののはずだ。


アラボトやパンデモニウムといった次元の繋がりを考えれば、言葉が通じないこの見知らぬ場所へと私が導かれた可能性が高い。


侵入者であるのは事実だが、敵意が無いことを彼女らに伝えられると良いのだが。


まずは言葉の壁か…。


龍田《この人。無断で入ってきたから取り敢えず押さえつけて拘束したの。でも、訪ねても彼の言葉がわからないのよね〜。英語は伝わらないみたいだけど、話したくないって感じじゃなさそうだから、夕張ちゃんならどうにかできるかしら〜って》


夕張《取り敢えずでいきなり拘束って、ちょっとやり過ぎな気もしますけど…》


龍田《何かあったら取り返しがつかないんだから当然の対応よ〜》


夕張《う〜ん。そもそもどうしてこんな所まで一般人がっていう疑問もありますし、仕方ないところですね。まあ、服装からすると中東系みたいですし、アラビア語とかペルシア語とかの類いじゃないですか?詳しくないので自信はないですけど…》


龍田《誰も話せそうにないわね〜》


夕張《あっ、そう言えば!》


龍田《な〜に?》


夕張《前に作ったものでイケそうなのがあるんですよ。ちょっと取ってきますね》タッ タッ… タッ タッ… タッ


龍田《そう? なら頼んだわよ〜♪》


一体何を話していたのだろうか? 新たにやって来た少女は、私の心に気がかりを残しつつ、月明かりに輝く銀髪を揺らしながら暗闇に吸い込まれていった。



———

——



夕張《お待たせしました》タッ… タッ タッ… タッ


龍田《お帰りなさい。どう、何とかなりそう?》


夕張《ビスマルクさん達がいた頃に使ったものがあったんで試してみます。取り敢えずやってみましょう》スッ


龍田《その棒みたいなの?》


夕張《はい。遊び感覚で作っただけなんで、小型化もしてなくてちょっと不恰好ですけど//》


龍田《へぇ〜、それが役にたつのねぇ》


夕張《こんな見た目に似合わず翻訳機なんですよ》


龍田《そんな機械には見えないわぁ。長良ちゃんがよく使ってたあの筋トレ器具?みたいなヤツに見えちゃうんだけど〜》


夕張《アームバーじゃないですよ、もぉ〜。まあ、形は似てますけど…。実際、棒の両はしのグリップ部分をお互いで握って喋れば、どんな言葉だってたちまち翻訳できちゃうんですからね!》


龍田《どんな言葉でも?》


夕張《そこは妖精さんに協力をお願いしたんですけど。実際の言語を解析するとかじゃなくって、話し手側の言葉の意思を汲み取って、聞き手側の知ってる言葉として頭の中に響かせるって言ってましたよ》


龍田《妖精さんって、やっぱりすごいのね〜》


夕張《作った "私" も褒めて下さいよ〜》


龍田《たまには夕張ちゃんのガラクラ作りも役立つのね》クスッ


夕張《龍田さん、酷い》プクーッ


龍田《ふふっ、ごめんなさいね》


夕張《まあ、細かい説明はいいとして、やってみましょうか》


龍田《そうね、試してみて〜》


夕張《はい。まずは彼から私に流される翻訳結果を龍田さんにも聞こえるように音声出力を設定してっと》カチッ カチッ


夕張《よし、オッケーかな♪》


夕張《杖はいったん横に置いてっと、こっちを握ってね》


うつ伏せに押さえつけられた私は、目の前で膝を着いた銀髪の少女によって、杖の代わりに棒を握らされた。


夕張「私の名前は夕張。私の声が聞こえますか?夕張です。夕張ですよー。聞こえてますかー?」


突如頭の中に響いたユウバリと名乗る少女の声。


ミンウ「ああ…、これはキミの声か? 聞こえている」


夕張「良かった。ちゃんと動いてるみたいね」


ユウバリにも私の言葉が伝わったのだろう。これは魔力を使った装置の類いだろうか。いずれにせよ、意思の疎通が可能になるというのはありがたい話だ。


まずは私に敵意が無い事を彼女達に伝えねば。



———

——




龍田《拘束してゴメンなさいね》


夕張「押さえ付けてゴメンなさいって。あっ、こちらは龍田さんです」


ミンウ「キミたち達の敷地へ無断で入りこんだのだ。不審者として対応するのも当然だろう。謝罪すべきは私だ」


私を最初に拘束した女性が龍田。会話が可能になる装置を持ってきてくれたのが夕張という名の少女だった。


私に敵意がない事を伝えると龍田は拘束を解いてくれた。


彼女の持つ体術の技量を考えれば、私を再び制するなど容易いと判断したのだろう。その力の差を感じたのも確かだ。


ミンウ「私の名はミンウ。フィン王国に仕える白魔道士だ」


夕張「しろまどうし?」


ミンウ「ああ、魔法による治療を行う者だ」


夕張「魔法…ですか?」


ミンウ「その反応では魔法には馴染みが無いといったところだな」


夕張「え、えぇ…」


ミンウ「そうか。ならば実際に見てもらった方が早いだろう」


ミンウ「その足に巻かれた包帯を見る限り、あまり状態は良くないはずだ。先ほども走りながら、右足をかばっていた」


夕張「うん。ちょっと前に怪我しちゃって…」


ミンウ「ならば私が治療しよう」


夕張「え、ええっ!?」


ミンウ「心配はいらない。この程度であれば痛みを感じる間もなく、すぐに終わる」


夕張「あっ、はい」


『ケアル』


夕張「白い光がキラキラして…。あっ、消えた」


ミンウ「どうだ、キミの足の傷は既に癒えているはずだが」


夕張「え、ほんとうに?」ギューッ!!


夕張「お、押しても痛くない!」


ミンウ「これが白魔法。主に癒しを司る魔法だ」


夕張「ちょ、ちょっと待って、包帯とるから」クルクル パサッ


夕張「本当に傷が塞がって…。あんなに深い傷が何もなかったみたいにキレイになってる。入渠した訳でもないのに…」


龍田《入渠……って、ちょっと夕張ちゃん!》ガシィッ


夕張「はっ、ハイ!?」


龍田《ねえ、今のを他の子にもお願いできるのかしら?》


夕張「あ、そうですね!」


夕張「ミンウさん!」


ミンウ「何だ?」


夕張「今、私の足を治してくれましたよね!」


ミンウ「ああ」


夕張「他にも私よりも重い怪我で苦しんでいる仲間がいて。それを治して頂けませんか?」


ミンウ「勿論だ。協力しよう」


夕張「ああ、よかったー」


ミンウ「では案内を頼む」


夕張「はいッ!」


龍田《天龍ちゃん…。これなら天龍ちゃんも》




———

——


避難所地下室


ガチャン


夕張《ただいま〜》


…《おっ、外の様子はどうだったんだい?》プハァーッ


夕張《はぁ…、また隼鷹さんはお酒飲んで〜」


隼鷹《ふぃ〜っ。この一杯で生き返るねぇ〜ッ。夕張も…って、そこのやっこさんは誰なんだい?》


夕張《さっき外で知り合ったばかりだけどミンウさんよ。隼鷹さんもお酒は終わりにして早くベッドで横になって》


隼鷹《いやいやいや、ヘーキだってこんくらい。今までだって散々大怪我したじゃないのさ〜》


夕張《いや、そうなんだけど、そうじゃなくって》


龍田《隼鷹ちゃ〜ん》ニコニコ


隼鷹《ゲッ!姐御》


龍田《今は夕張ちゃんの言うこと聞いてもらえるかなぁ〜》ニッコリ


隼鷹《ハイ、勿論です!すぐ横になります》アタフタ


ミンウ「賑やかだな」


夕張「いつもこんな感じなんですよ」


隼鷹《おろっ!》フラッ


夕張《もう、危ないですよ》ガシッ


隼鷹《酒のせいじゃないって。喰われちまった片足の感覚がまだ掴めてないだけだって》


夕張《さてと、これでヨシっと》


隼鷹《手伝ってもらって悪いね。酒は惜しいけど、まあ大人しくしてるよ》


夕張「ミンウさんの力で彼女の失った足を治せそうですか?」


ミンウ「事故にでもあったのか?」


夕張「戦闘ですね。みんなを逃そうとしてくれた時に…」


ミンウ「そうか…、やってみよう」スッ


隼鷹《へへ、アンタがアタシを気持ち良くしてくれるってのかい?》


ミンウ「…」スゥ…


隼鷹《こんなイケメン美男子がお相手だなんて我が生涯に一片の悔いなしって感じで、拳を高く突き上げちまいたくなるってもんさ〜》ケラケラ


龍田《じゅんようちゃ〜ん。少し大人しくしてもらえるかしら〜》ニッコリ


隼鷹《姐御〜。冗談だって…》


夕張「隼鷹さんの包帯とりますね」シュルシュル


隼鷹《ん!? 夕張、どういうこと?》


『ケアル』


隼鷹《えっ、ええッ!? うおっ、眩しッ! って、あっつ、熱ぅ〜ッ!》


隼鷹《あち、あち、足、足があちぃって!》ペシペシ


ミンウ「よし、終わったぞ」


隼鷹《って、アレ!? ハッ!!》ペシペシ


隼鷹《なにこれ、ぱっくり喰われちまったアタシの足がまた生えてきたんだけど!?》


龍田《ふふ、良かったわね〜》


夕張《ほんと、高速修復材を使った時みたい》


隼鷹《うはっ、マジかよ。いやー、マジで治るとかスゲエって》


隼鷹《ほんと助かったよアンタ。サンキューな》


夕張《隼鷹さん、これ使って》


隼鷹《何だい、この棒っきれ?》


夕張《ミンウさんは私たちの言葉がわからないからコレで通訳してるのよ》


隼鷹《へえ〜。んじゃ、ちょっと失礼して》


夕張《使い方はねぇ…》








隼鷹「よし、これであんたと会話が出来るって訳だねえ」


ミンウ「ああ、迷惑を掛ける」


隼鷹「いや、迷惑だなんて思ってないさ。足だって治してもらったし、ホント感謝の言葉だけじゃ足りないくらいさね」


隼鷹「そうそう、あたしは軽空母の隼鷹だよ」


ミンウ「ケイクウボノジュンヨウ」


隼鷹「あー…悪いね。隼鷹の部分が名前だよ」


ミンウ「そうか。ところで隼鷹、先ほどの傷もそうだがキミたちは戦士なのか?」


隼鷹「戦士? 何言ってんのさ、あたしらは艦娘だよ」


ミンウ「カンムス?」


隼鷹「えっ、あんた。まさか艦娘を知らないってのかい?」


ミンウ「私の世界ではカンムスと呼ばれる仕事を生業とする者はいなかったが」


隼鷹「うそぉー。このご時世で艦娘を知らないってありえるのかい…」


ミンウ「この世界は私のいた世界とは異なる文化や文明のようだ。殆どが知らないことばかりだろう」


隼鷹「ねぇ…、ちょっと待った。今、言った私のいた世界ってなんなのさ?」


ミンウ「理解してもらうのは難しいだろうが、私は別の世界からこの地へと飛ばされたのだ」


隼鷹「へ?」


ミンウ「キミたちがいるこの世界とは違う世界から来た…と、言うことだ。先ほどキミの足を治療したのは私の世界では一般的な白魔法による回復の力を使ったものだ」


隼鷹「ま、まほう?」


夕張《隼鷹さん、ちょっと代わって》


隼鷹《あ、ああ》


夕張「ねえ、ミンウさんが私たちを治してくれたのが魔法なのは十分理解できたし。実際、凄いなって思ったけど。あなたは別の世界から来た異世界人ってこと?」


ミンウ「異世界人…。キミたちにとっては、そう言うことになるのだろう。ただ私は意図してこの世界にたどり着いた訳ではない。そう…、運命に導かれるように目を開けた時にはこの地に降り立っていた」


ミンウ「私は、自分がこの地へと導かれた目的が何なのか。その意味を探し求めている」


夕張「へ〜、それはとっても興味深いわね。って、そう言えば艦娘の話しの途中だったから私たちの説明もしないとね」


ミンウ「ああ、問題がなければ教えて欲しい」


夕張「簡単な説明になるけど、この世界では今、突如海から現れた深海棲艦と呼ばれる魚の怪物みたいなのが暴れ回ってて、この国を守るためにそれと戦う存在が艦娘って呼ばれてるの」


ミンウ「なるほど、魔物と戦う戦士が艦娘か。だとすれば、キミたちの傷は他国との争いなどで負ったものではないのだな」


夕張「ええ、深海棲艦による侵攻は世界中で起きてるから、どの国も協力しながら対抗してるんだけど。ただ、最近は陸地にも怪物が出始めちゃって、自国の防衛に手一杯って感じ。とても共闘できるような状況じゃないの…」


ミンウ「国や人同士の争いであれば、部外者である私はあまり手を出すべきではないとも思ったが、魔物が相手であれば話は別だ。苦しむ人々を救うことこそ、白魔道士としての私の務め」


夕張「それって…」


ミンウ「ああ、私が成すべき事を見付けるまでの間、キミたちと共に戦おう」


夕張「や、やったーー!」


龍田《あ、あの〜、夕張ちゃん。話しの最中に悪いんだけど》


夕張「はい? ・・・って、あーーっ!!」


ミンウ「どうかしたのか夕張?」


夕張「はい。隼鷹さんも重傷だったんですが、もっと危険な状態の仲間がいるんです」


ミンウ「わかった」


夕張「じゃあ、さっそく行きましょう」


龍田《天龍ちゃん…》





営倉



《ぅぅッ…》


ミンウ「彼女か?」


夕張「はい…、天龍さんです。戦闘で受けた傷が原因だと思うんですけど、今は病気というか、衰弱してしまって動く事もできなくて。このままじゃ…」


ミンウ「これまでの症状は?」


夕張「はっきり言って良くわかりません。最初は苦しそうに悶えたり、引き付けを起こしていたんですが、それが落ち着いたと思ったら、錯乱したみたいに暴れるのを繰り返したりで、拘束しないといけなくなって。しかも、それだけじゃないんです」


ミンウ「どうした?」


夕張「信じてもらえるか分からないんですけど、日に日に天龍さんの体が小さくなっているんです。元々は私より背が高いくらいだったんですが…」


ミンウ「そうか。この状態になってからどれくらいだ?」


夕張「今日で8日目です。もう、私たちじゃ手の打ちようがなくて…」


龍田《お願い! 天龍ちゃんを助けて…》


ミンウ「8日か、よくそれだけの時を耐えられたものだ。彼女のこれは、毒に、麻痺、混乱。それに小人化…だな」


夕張「小人化? って、ミンウさんはこの症状を知ってるんですか?」


ミンウ「ああ…。私の居た国では、この症状と同じような状態を治療する魔法や薬がある」


夕張「本当に!?」


ミンウ「夕張、龍田と共に彼女の手足を抑えておいて欲しい。魔力を流す影響で別の症状が出て暴れる可能性がある」


夕張「はい」


龍田《分かったわ》


ミンウ「はじめるぞ」


『エスナ』


天龍《ア"ア"ァーーーーーーーー》ガチャン


龍田《天龍ちゃん。頑張って!!」ギュッ


天龍《ウガガッ…、ウッ…、》ガチャ ガチャ ガチャン


夕張《天龍さん、動かないでっ!!》ギュッ


ミンウ「もう少しの辛抱だ…」


天龍《アッ…、アァ…、ァァ…、……、…、…》ビクンッ ビクッ ビクッ…


ミンウ「よし、これで安心だろう」


夕張《えっ!? もう終わったの? こんなにあっさり?》


龍田《あ、あぁ…、天龍ちゃん》


夕張「ミンウさん。天龍さんは落ち着いたみたいですけど、もう平気なんですか?」


ミンウ「ああ、問題ない。あとは意識が戻るのを待つだけだ」


夕張「やった! 龍田さん、大丈夫ですって!」


龍田《ありがとう…。良かったわね、天龍ちゃん》ウルウル


天龍《Zzz…、Zzz…、Zzz…》


ミンウ「ゆっくりと寝かせてやろう」


『リジェネ』


夕張「それも魔法ですか?」


ミンウ「ああ、生命力の回復を促す魔法だ。毒などの治療は終わったが、今の彼女には失った体力の回復が必要になる。しばらくすれば自然と目覚めるだろう」


夕張「魔法って、色々とすごいんですね」


ミンウ「夕張、他に怪我人はいるのか?」


夕張「いえ、隼鷹さんと、天龍さんで終わりです。それにしてもこんなにすぐ治療できちゃうなんて思いませんでした」


龍田《夕張ちゃん。ミンウさんにお礼を言いたいのだけど…》


夕張《あっ、はい。どうぞ!》パッ


龍田《ありがとう夕張ちゃん》パシッ


龍田「ミンウさん…」


ミンウ「どうした龍田?」


龍田「こんな言葉だけじゃ足りないのは分かってるけど、改めて言わせて欲しいの。天龍ちゃんを助けてくれてありがとうございます」


ミンウ「間に合って何よりだ。もう彼女は心配ないだろう。それにしても、8日も経った症状の進行があれだけで済んでいるのは驚きだ」


龍田「そうなんですか?」


ミンウ「ああ、普通は大人でも放っておけば3日と経たずに衰弱死してしまうものだ。最初に龍田に拘束された時にも思ったが、キミたちはとても身体能力が高い。私が思うより優れた耐性を持っているのだろう」


龍田「それは私たちが艦娘だからかもしれませんね〜」


ミンウ「艦娘…。キミたち戦士が持つ能力(ちから)か」


龍田「天龍ちゃんも今はゆっくりと休ませてあげたいですし、私たちも少し休憩にしませんか〜。お互いに分からないところも多いので、お茶でもしながらお話しなんてどうでしょう?」


夕張《いいですね》


龍田「艦娘も含めて、さっきあまり詳しく説明出来なかった事もありますから〜」


ミンウ「ああ…、願ってもない申し出だ。よろしく頼む」







避難所広間




暁《…》ジィーーーーッ


純真無垢な子供らしい笑顔を見せる暁と名乗った少女。昨晩、彼女のような年端のいかぬ子供でさえも戦場で戦う艦娘だと教えられ、説明を続けた夕張の話に私は驚きを隠せなかった。


艦娘は今の姿のまま生まれ、歳を重ねることもない。その理由は人の手によって造られた、人ではない存在だと言われたからだ。


隼鷹《さ〜て、これからどうすっかねぇ〜》


暁《ねえねえ、天龍が元気になったら鎮守府を取り返しにいける?》


隼鷹《まあ、取り返せるかは別として、あの時はみんな散り散りになって逃げ出しちまったから、今の鎮守府がどうなってるかを確認する必要はあるだろうねぇ》


暁《響たちは逃げられたのかな…》


隼鷹《足が治って元気になった分、働いて返したいとこだけど、あたしの艤装は襲われた時にオシャカになっちまったしなぁー。これじゃ気軽に偵察もできやしないよ》


暁《暁の艤装もほとんど壊れちゃった》


隼鷹《工廠で修理するにしたって、鎮守府を取り返さないといけないし。こりゃあ、にっちもさっちも行かないねぇ》


暁《ミンウも手伝ってくれるんでしょ?》


ミンウ「???」


隼鷹《暁。翻訳機を改良するって夕張が昨日から作業部屋にこもっちまったんだから、伝わらないはずだよ》


暁《あっ、そうだった。ごめんねミンウ》


話の内容までは理解が及ばないが、暁が私の名前を呼んでいるのは何度か耳にした音の感覚から伝わってきた。


隼鷹《龍田の姐御は天龍の付き添いにいってるし。しばらくはヒマだねぇ》


ガチャン


夕張《おはよー、みんな》


隼鷹《おはようさん》


暁《夕張おはよう。って、酷い顔してるわ》


隼鷹《ププッ…。言われてやんの》


夕張《暁ちゃん。酷い顔とか言わない!》


暁《目の下にクマさんいるんだもん》


夕張《徹夜しちゃったしね》


隼鷹《どうだい、翻訳機の改良は出来たのかい?》


夕張《えへへ、もっちろん》


暁《ちゃんと寝ないと、大っきくなれないんだから》


隼鷹《うんうん。暁は好いこと言うねぇ》ケラケラ


夕張《くッ…》


夕張《その話は終わり。さっそく新バージョンのお披露目よッ!》スッ


夕張「おはよう、ミンウさん」


ミンウ「ああ、おはよう。夕張」


夕張「どうですか。昨日はゆっくり眠れました?」


ミンウ「ああ…、十分な休息は取れた。キミはそうでもなさそうだが」


夕張「あはは…バレちゃいましたか」


ミンウ「昨日、この装置を改良すると言っていたが、寝ずにやっていたのか?」


夕張「夜ふかしは半分趣味みたいなもので」///


ミンウ「手間を取らせてしまったようだな。少し目を閉じてくれ夕張」


夕張「あっ、はい…」


『バスナ』


夕張「ふぁっ!!」パチクリ


暁《ど、どうしたの?》


隼鷹《いきなり大声出すなって》


夕張「す、すごい。少しぽわっとしてた頭の中がスッキリしてる」


ミンウ「毒や睡眠などの軽い症状を治療する魔法だ。本来の使い方とは異なるがキミの眠気は解消できたはずだ」


隼鷹《これも魔法たぁ、大したもんだねぇ》


暁《魔法使い》キラキラ


ミンウ「ところで、この装置の話の続きだが…」


夕張「そうでした。これは昨日と同じままです。それでこっちが新しく完成させた新型なんですよ。それを今から説明しちゃいます」テッテレー


暁&隼鷹《おー!》


夕張「こちらが新バージョンの骨伝導式フルワイヤレスイヤホン型翻訳機でーす」ドゾ


ミンウ「ずいぶんと小さいが、これを握ればいいのか?」


夕張「あっ、違うんです。ちょっと待って下さいね。これはですね、こーやって片方の耳に掛ける感じで使いまーす」スチャッ


ミンウ「わかった」スチャッ


夕張「みんなの分もあるからやってみて」ドゾドゾ


隼鷹《おっ、サンキュー》スチャッ


暁《やった!》スチャッ


夕張「さーて、みんな準備はできたかな」


ミンウ「これは…。夕張の言葉が頭の中に響いてくる」


暁「あーー! ミンウの声が聞こえる♪」キャッ キャッ


隼鷹「なるほどねー。インカムに翻訳機をくっつけたって感じかい?」


夕張「さっすが隼鷹さん、そのとーり。ミンウさんに渡したのは私たちの声を、私たちにはミンウさんの声を翻訳してくれる装置になってます」


ミンウ「これを使えば、この棒の翻訳機が不要という事か」


夕張「そうです。ちなみにインカムみたいに全体とかグループで聞こえる人を分けるんじゃなくて外音取り込み機能を使ってます」


暁「ねえ、夕張。そとおととりこみってなに?」


夕張「簡単に説明すると近くで話したり、少し遠くから大声で呼んだり。私たちの耳で聞こえる範囲の音が拾えるようになってるの。だから、仮にミンウさんと離れた場所で私たちの会話が聞こえない音量だったらどっちにも反応しないわ。ちなみにミンウさんに聞こえる音量なら、この装置を付けてない人の声だって翻訳できちゃうんだから!」


隼鷹「まあ、よーするに普段通りに喋ってる会話が翻訳されるってことだろ」


夕張「そう!」


暁「あー、わかりやすい!」


ミンウ「私も理解ができた。ありがとう隼鷹」


夕張「もぉーっ! 私だって同じ事を言ってるのに…」プクーッ


ミンウ「キミには感謝している夕張」


夕張「なら良いですけど…」/// フイッ


隼鷹「それにしても、良くこんなの突貫で作れたもんだ。さすが夕張」


夕張「元の技術は完成してたし、小型化も以前に考えてたお陰かしら」


暁「これならみんなでお話しできるわ。ねっ、ミンウ♪」ニコニコ


ミンウ「ああ」クスッ


ガチャン


…「へー、なら俺たちも交ぜてくんねえかァ」


…「仲間外れは嫌よね〜」


隼鷹「おっ!?」


暁「てんりゅーーッ」タタタッ! ドンッ!


天龍「おい、暁。いきなりタックルかますんじゃねえ。イッてえなぁ」


暁「だって、だってぇ〜」グスグス


天龍「オイオイ。全く、泣き虫なヤツだよ」ポンポン


龍田「夕張ちゃん。それ、昨日のやつもう出来たのね。私たちにもちょ〜だい」


夕張「は〜い」ドゾドゾ


天龍「おうっ! もらうぜ」スチャッ


龍田「ありがとう」スチャッ


天龍「さ〜て、ミンウってのはアンタだろ」


ミンウ「ああ、私だ」


天龍「龍田から話は聞いたぜ。死に掛けのオレを助けくれたらしいじゃねーか。ホント、感謝してる」


龍田「天龍ちゃん。きちんとお礼は言わないとダメよ〜」キラーン


天龍「ちょっ、龍田。これがオレ流なんだって。うわっ、ヤメ、ヤメロって」


隼鷹「いや〜、一気に明るい雰囲気になって来たってもんだ。これは快気祝いが必要だねぇ」ソローリ


暁「あっ、隼鷹がまたお酒飲もうとしてるッ!」


夕張「ほんっと、油断も隙もないんだから」ガシッ


隼鷹「おろッ!? 夕張、見逃してくれよぉ〜」


龍田「隼鷹ちゃ〜ん。あなたもああ成りたいのかしら〜」ギロリ


天龍だったもの「…」チーン


隼鷹「いやぁ、姉御。冗談ですって、冗談」ビクッ


龍田「そうよね〜」


ミンウ「賑やかだな」


夕張「天龍さんはムードメーカーですから。みんな元気な顔が見れてホッとしてるんだと思います。これもミンウさんのお陰ですよ」


後書き

いい感じな魔法の演出が思い浮かばないのね〜
【ウボァー】

補足
本来なら天龍は『バスナ』という戦闘中の状態異常を治療する魔法で治しますが、『エスナ』の方が永続する状態異常を治す定番なので利用しました。

戦闘修理後も続いてしまっている状態異常という事で見逃してやって下さい。
『バスナ』は軽い状態異常に効く魔法として採用しています。


このSSへの評価

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皐月さんから
2023-03-05 14:32:53

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2023-04-03 21:08:35

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皐月さんから
2023-03-05 14:32:53

SS好きの名無しさんから
2023-02-25 16:50:38

このSSへのコメント

2件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2023-02-25 16:50:37 ID: S:Rz8EQL

FF2…俺にとっての初めて遊んだRPGだからなぁ…是非(ストーリーを)描いてほしいなぁ…

2: ごろごろ 2023-02-26 10:04:48 ID: S:lenE8d

1さん
コメントありがとうございます。
FF2は私も思い出深いゲームです。
続きの話を考えてみたいと思います。


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