2021-01-07 01:31:53 更新

概要

平行する別世界の物語  分割版2になります

2.ごちゃまぜな試練、ごちゃまぜな結果……タイトル付けるならこうなります(泣)

メンテナンス前の保管作業ですm(__)m


前書き

色々あって反省を込めて、サボってました……半年以上たったのでぼちぼちと

需要は相変わらず無いと思いますが、生温かく見てやってください(泣)

チョコチョコ直してはいますが、誤字脱字がな………



「さて、あれから一カ月か……」


大淀 「ですね…そろそろ遠征任務だけではなく、実戦任務もこなすようにと、大本営から催促が…」


「え~……やっとこさ間宮さんが来てくれて、食生活が改善されたのに……」


大淀 「司令…叢雲さん達の練度も上々ですし、ここら辺りで此処の力を見せないと……」


「解ってはいますけれど……でもまだこっちの世界の戦争の経験はまだしていませんよね?」


大淀 「…確かに仰る通りですが、私達艦娘は前世の戦いの記憶も引き継いでますので、戦争自体は大丈夫ですよ?」


「……無理しなくても大丈夫ですよ、確かにこちらの世界には無い戦争の記憶があるかもしれませんが、今は肉体と感情と心がある

 艦娘って存在なのですよ?心配するな~って方が無理なお話です」


大淀 「ありがとうごさいます……しかし何時までも大本営の指示を無視されるのは………司令の立場が……」


「大丈夫、そもそも立場なんて無いし~」


大淀 「もう少し御自分を大事にして下さい!」


「はい(泣)……でもまぁ確かに色々拙いのは拙いのですが……実はもう一つ不安がありまして……」


大淀 「不安?ですか?」


「……皆さんを信用していない訳ではありませんが……指揮官として部下の限界も知らないといけないのです」


大淀 「限界?ですか?」


「はい、人は追い詰められると……命の危機に晒されると、本性が出ます……自分も含めてかなり悪い所が出て来ますね……

 実際に歴史が証明しています」


大淀 「……」


「……では艦娘はどうなのでしょうか?……彼女達はいわゆる前世の記憶が強く、高潔に……悪い言い方をするとすぐに死にたがります」


大淀 「それは……私達は人とは違いますので……」


「それでは駄目なんですよ?少なくとも自分の部下には……」


大淀 「えっ?」


「例えどんなに高潔な魂を持っていても、絶対生きて帰って来ない事には……どんな武功を立てても意味が無いのですよ」


大淀 「……だけどそれは戦争中の我が国にとっては……とても難しい事ではないでしょうか?」


「ですよね~…だからせめて大淀さん達には生き残ってほしいのですよ」


大淀 「艦娘にそこまで考えてもらえるは大変有り難いのですが……それと先程の不安との関係は?」


「もしですよ?もし自分が戦死等しちゃったら大淀さん…あなたは自分のこの話を覚えてて、尚且つ自分の考えで行動出来ますか?」


大淀 「司令!そんな事なんて考えたくありません!」


「駄目です……我々は残念ながら軍人なのです………考えを放棄しちゃ駄目なんですよ?」


大淀 「…………」


「…虐め過ぎましたね…ごめんなさい……あ~お茶が飲みたいのでーす!」


大淀 「……司令、大丈夫ですよ?叢雲さん達はちゃんと司令の期待を受けてくれますよ?」


「そうかな?」


大淀 「そうですよ!」


「……ならば一つ協力してもらいたい」


大淀 「?何をですか?」


「……叢雲達を試す協力を」




                    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~





「……大淀さん達はあれで良いかな?………問題は……」


 どこかに継がる直通電話機(デンワスル?シナイ?)


「……えぇい!南無三だ!」




                      ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~





?? 『なるほど、それでわざわざ私に連絡したのか?』


「そうですよ、富士校長!可愛い教え子の頼みを聴いてくれませんか?」


富士 『別に貴様は可愛いくも何とも無いが?』


 酷い(泣)


「可愛いは言い過ぎでしたが…わざわざ此処に、自分みたいな奴を着任させた事も含めてお願いします!」


富士 『その件に関しては逆に、私の方がお礼を言われる立場だな?』


 酷いよ(泣)


「……こんな最下位の落ちこぼれに、この様な待遇を与えてくださり、本当にありがとうごさいます!だから、富士校長の所の一艦隊を

 お借り出来ませんか?」


富士 『別にお礼の言葉は欲しくも無いし、他に求める物も無いしな』


 酷過ぎるよ~(泣)


「叢雲達がこの先、何があっても生き残る為にも、今回の演習はど~~~しても必要なのです…だからお願いしますよ!」


富士 『……そこまで言うのならば、何故自分自身をそこまで貶めるのだ?私が欲しいのは、貴様の実力なのだが?』


「……富士校長、自分はそこまで能力があるわけでもありませんし、第一艦娘と人とは色々違い過ぎますよ?」


富士 『それはそうだろう、だが貴様は艦娘に興味を持ち、人と同じ扱いをする、そんな奴は意外に少ない』


「……自分自身もこの戦局で生き残れと?しかも困難な人と艦娘を結ぶ立場で?」


富士 『そうだ、両方知っている貴様は実に貴重だ、しかも我々の歴史と人の歴史、両方知識として理解している存在はな』


「……わかりましたよ(泣)やれるだけやってみますよ(泣)」


富士 『ふむ、ギリギリ合格点だな、榛名達第一艦隊を向かわせよう、詳細はしっかり詰めておけよ?』


「……ありがとうごさいます……ではこれで……」


富士 『ふむ、まぁそう落ち込むな、たかだか深海棲艦と、軍上層部、理解しない人間を相手するだけだぞ?』


「勘弁して下さい!それでは周りが敵だらけじゃ無いですか(泣)」


富士 『知らなかったのか?貴様の周りは元々四面楚歌だぞ?ではまたな』


 ぎゃ~!こっちは楽に生きたいだけなのに(泣)





                      ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




「はい、注~目~!」


電  「?なのです?」


暁  「いきなりどうしたの?」


雷  「まさか!変な物でも食べたの?」


響  「そう言えば最近、食堂で鼠用の硼酸団子が無くなっているって間宮さんが…」


雷  「それよ!司令早く吐き出して!」


暁  「いくらお腹が空いているからってネズミさんのご飯を食べちゃ…」


「違う!と言うかそんな物を食べちゃう様に見えるの!?」


第六駆逐隊「見えるわよ?」(ナノデス!)


「……叢雲、後の説明を頼みます」(泣)


叢雲 「いやよ、私達を出撃させるのでしょう?指揮官としてアンタがしっかり説明しなさい!」


暁  「出撃?」


雷  「私達が?」


響  「……遂に戦場に出るんだね」


電  「なのです!」


「そうなるかな?でも今日は対岸の横須賀鎮守府の哨戒線の内側の警備だ」


暁  「え~!つまんない!」


雷  「そうよ、私達だって十分戦えるわよ!」


電  「なのです!」


響  「……内側って事は帝都湾内かい?」


「そうだよ、君達にとっては帝都湾内、自分達にとっては皇都湾内だね」


初霜 「対岸の横須賀鎮守府に行って…帰って来る道順ですね」


叢雲 「私と初霜がしてきた事を、暁達にもやって貰うのね」


「そうなるね…此処は皇都湾と外洋を繋ぐ入口だから、結構重要な任務だよ?」


暁  「なるほど……つまりレディーに相応しいお仕事なのね!」


雷  「それって相応しいの?」


暁  「当然よ!湾内の安全を守れて、尚且つ美味しいカレーも食べに行ける……正にレディーよ!」


響  「レディーの定義が解らない…」


電  「…なのです」


「…一応安全は安全だけど……ハグレ深海棲艦とか出るから油断は禁物!」


雷  「油断って言ったって、どうせ駆逐艦級位でしょう?」


初霜 「確かにそうかもしれませんが、慢心は駄目ですよ?」


叢雲 「そうね、慢心するとどこかの空母達みたいな事になるわよ?」





                        ~~~~~某薩摩湾内~~~~~





?? 「ハックチョン!」


?? 「あっ!?爆撃が外れちゃったよ!次当てれば成功率十割だったのに…」


?? 「実戦だったらそんな事じゃ駄目って多聞丸なら言うわよ?」


?? 「……風邪ですか?」


?? 「いいえ、大丈夫です……だけど頭の中で何かが……」





                        ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~






「そうだよ…だから始めは叢雲と初霜君達も一緒に行って貰う」


第六駆逐隊「え~」(ナノデス)


「しっかりと叢雲と初霜君の言う事を聴くように」


第六駆逐隊「は~い」(ナノデス)


「と、言う訳で頼むよ叢雲、初霜君」


叢雲 「はいはい、頼まれたわよ」


初霜 「頑張ります!」


「よし、ではヒトヒトマルマルに出撃!ちゃんと無事に帰って来る様に!」


叢雲 「ちょっと心配し過ぎじゃない?……なんかアンタらしく無いわね?」


「そうかな?……確かに少しお腹の調子が悪いけれど……」


叢雲 「アンタ……まさか本当に硼酸団子食べたの?」


「いやいや、食べたのは食堂に置いてあった饅頭だよ?」


初霜 「間宮さん…硼酸団子じゃなくて硼酸饅頭にしたって仰っていましたよ?」


「…………えっ?」


初霜 「えっと…何でも、お団子は飽きたって……」


「………………ちょっと医務室に行って来ます……」


叢雲 「……変な食い意地はるからよ…どこかの正規空母じゃ無いんだから……」







                         ~~~再び某薩摩湾内~~~






?? 「ハクチョン!」


?? 「私も外れちゃった!」


?? 「そんな事だから駄目なのよ?五航戦」


?? 「何ですって!」


?? 「落ち着きなさい……先輩、やっぱりお風邪では無いでしょうか?」


?? 「大丈夫ですよ……でもやっぱり頭の中で何かが……」






                    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~






「……出撃したかな?」


大淀 「…はい、時間通り出撃いたしました……」


「計画通りかな?」


明石 「司令が硼酸饅頭つまみ食いした事以外は」


「……アレ結構ヤバかった」(泣)


夕張 「まぁこれからやる事の前罰が当たったと思えば大丈夫じゃないかな?」


「えっ?前があるって事は?」


明石 「当然、本罰に後罰もあるよ」


「厄年かな?」


夕張 「これからやる事を考えるとそれ位当然よね」


「え~(泣)」


大淀 「……やはり止めませんか?………叢雲さん達が可哀想です……」


「……やりますよ、多分叢雲達は大丈夫な筈です」


 目の前の無線機を取り、呟きの様に言う


「……だって、自分ごときの戦術位は……咬み破ってもらわないと深海棲艦には勝て無いし、この先とても生き残れ無いから……」






                    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~






『…叢雲?聞こえる?オレ、オレ!』


叢雲 『…無線でオレオレ詐欺は辞めなさいよ…』


『はい……ところで調子はどうかな?』


叢雲 『別に?……暁が横須賀のカレーを食べ過ぎた事と、電が茄子を残した位ね』(レディーニアルマジキシッパイ…イッチャダメナノデス!!)


『何時も通りかな?』


叢雲 『そうね、深海棲艦も居ないし、何時もより暇ね』


『そうか……ちょっと待って!…大淀さんどうしました?』(シレイ!デンタンニハンノウガ!)


叢雲 『どうしたの?』


『……こちらの電探が、敵艦載機を捉えた!』


叢雲 『えっ?敵襲!?』


『そちらも気を……』


直後にした鋭い爆発音で通話中の無線が切れる


初霜 「どうしました?叢雲さん?」


叢雲 「……警備府が敵襲にあったみたいね…」


雷  「皆見て!私達の警備府の方から……凄い黒煙が!!」






                      ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~







夕張 「あ~あ…とうとうやっちゃった……私知~らない!」


「それにしては良い感じだったけれど?」


夕張 「いや~…空砲とはいえ搭載数限界は流石に気分が昂揚しますよ?」


「早く艤装が来ると良いね……」


夕張 「……ですね」


明石 「良いのかな?そんな無駄話してても?」


「そうだった!大淀さん、榛名さんに無線を繋げて下さい」


大淀 「……繋がりました」


「ありがとうです……聞こえますか?榛名さん?」


榛名 『感度は良好です』


「早速ですが、叢雲達はどんな感じでしょうか?」


榛名 『……利根さんによると、最初は少し陣形が乱れたみたいですが、すぐに響ちゃんを中心にした輪形陣になったそうです』


「…流石だ…早いな……無線は何回発信したか解りますか?」


榛名 『……熊野さん解りますか?………そちらの警備府に一回、横須賀に緊急無線が一回ずつだそうです』


「手堅いな……ありがとうごさいます……では鳳翔さんと隼鷹さんは計画通り艦載機の発艦をお願いします」


榛名 『……本当にやるのですか?』


「……はい、お願いします」


榛名 『……解りました………艦載機お願いします』


「それとですね…叢雲達に接触したら榛名さんと利根さん、熊野さんは横須賀方面から超長距離砲撃をしてもらえませんか?」


榛名 『……叢雲さん達の逃げ道を塞ぐつもりですか?』


「はい…前門の敵艦載機、後門の戦艦級の砲撃……叢雲達がどちらを取るか知りたいので……」


榛名 『……どちらを取っても叢雲さん達にとっては地獄ですが……』


「……彼女達ならば、最良の選択をしてくれる筈です」






                     ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~







初霜 「……駄目ですね、警備府、横須賀両方共無線が繋がりません」


叢雲 「………………」


暁  「早く警備府に戻らないと、司令達が!?」


雷  「そうよね!私達しか戦える戦力は無いんだから!」


電  「なのです!」


叢雲 「駄目よ!!」


電  「何故なのです?!叢雲さんは司令達が心配じゃ無いのですか?」


叢雲 「あの馬鹿はともかく、大淀達がいるから大丈夫でしょう……問題は私達の方よ?」


暁  「暁達の問題?」


響  「話を纏めると、警備府を襲ったのは深海棲艦の艦載機……多分横須賀も同じ様に襲われた可能性があるよ」


雷  「どう言う事?」


初霜 「あまり考えたく無いのですが、空母を従った深海棲艦の攻勢が考えられます……横須賀鎮守府と、私達の警備府が沈黙

    してしまう規模の…」


暁  「それって、とっっってもレディーから離れちゃう事態じゃ無いの!!」


叢雲 「だから絶対に私達はバラバラに行動しては駄目なのよ?」


雷  「……解ったわ…でもどうするの?」


初霜 「叢雲さん、とりあえず輪形陣で様子を見ましょう……それならば全方位警戒できますよ」


叢雲 「そうね……響は真ん中で対潜警戒、初霜は補助してあげて」


初霜 「落ち着いてやれば、響ちゃんなら大丈夫ですよ」(ニッコリ)


響  「初霜ならば安心して潜水艦を探せるよ」


叢雲 「残りのチビっ娘達は外輪で対空、対艦警戒よ」


暁  「チビっ娘じゃ無い!レディーよ!!」


雷  「暁ネェ、今はそんな事を言っている場合じゃ無いわよ?!」


電  「なのです!」


叢雲 「………あの馬鹿、無事じゃなかったら、許さないんだから……」







                   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~







「何か急に寒気が……」(ブルブル)


夕張 「まさか叢雲ちゃんにバレたとか?」


「考えられる最悪の事態だ!」


明石 「だったら辞めとけば良かったのに……」


大淀 「まだ間に合うのではありませんか?」


「いいえ、どちらにしても酸素魚雷を頂戴するか、一殺しで殴られるか、物凄く罵られるか……」

 (タブン、ゼンブ!!)


明石・夕張・大淀「妖精さん大正解!」


「……味方が居ない………」


榛名 『榛名達もそう思います』


「………司令辞めたい」(泣)


鳳翔 『お話中失礼します……艦載機は叢雲さん達と接敵しました』


「そうですか…どうですか?」


鳳翔 『そうですね……私と隼鷹さんの艦載機相手に良く防いでますね…中々の練度だと思いますよ?』


「そうですか!鳳翔さんに誉めて貰える練度ですか!」


夕張 「…ねぇ……自分で罠に嵌めて置いて喜んでいるわね?」


明石 「……ほら…よくいる司令馬鹿だから」


夕張 「……あぁ、親馬鹿みたいな感じね」


鳳翔 『……あくまでも叢雲さん達を誉めているだけで…あなたのやり方は褒められる物ではありませんよ?』


「はい、すいません」(泣)


夕張 「あっ、怒られた」


明石 「流石に艦隊のお艦さんも、司令のやり方は駄目みたいですね」


「……良いもん…嫌われ者で……」


夕張 「泣く位ならやらなければ良いのに……」


「……榛名さん、計画通り砲撃して下さい」


榛名 『……もうよろしいのではありませんか?』


「……まだです……まだ彼女達には余裕がありますので……」


榛名 『……解りました…利根さん!弾着観測射撃をするので、よろしくお願いします……』


大淀 「……まだ続けるのですか?」


「はい……実はまだまだなんですよ」






                   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~







叢雲 「くっ!数が多すぎるわね!」


雷  「もっと密集して弾幕を厚くするべきよ!」


初霜 「駄目です!もし相手に戦艦級がいたら……密集した所を弾着観測射撃でやられちゃいます!」


電  「なのです!」


暁  「電、よく目をつぶって当てられるわね?」


響  「!暁危ない!」


暁  「えっ?……きゃー!!」






                     ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~







榛名 『…………第一制射終了です…』


「戦果は?」


利根 『流石に視界外からの砲撃じゃからな……近三、後は外れじゃな』


「えっ?近三?」


利根 『そうじゃ、近三に遠一、超長距離からの鳳翔達の艦載機に紛れ込んでの観測射撃じゃから…厳しいのじゃ』


 いやいやいや、どんな訓練しているんだ?富士校長(泣)


「…………で、どうですか?」


利根 『……中々根性がある娘達じゃ、陣形を立て直して鳳翔達の方に向かっておる』


「!!……解りました、引き続き見つからない様に観測し続けて下さい、榛名さん、計画通り艦載機を引かせながら、榛名隊と鳳翔隊は

 合流して下さい」


榛名 『……砲撃を加えながらの合流でしたよね?』


「そうです……合流地点はこの警備府の南南西側二十キロの場所です」







                    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~







叢雲 「今の被害状況を教えなさい!!」


暁  「水も滴る良いレディーになっただけよ!!」


雷  「だから、レディーの使い方が雑すぎるわよ!?」


電  「なのです!!」


響  「……ちょっと爆音で耳が痛いけれど、それ意外は大丈夫だよ」


初霜 「ごめんなさい……魚雷一本おとしました」


叢雲 「それ位なら良いわ……今の方向は横須賀からよね?」


初霜 「そうですね…横須賀方面からは戦艦級の水上打撃部隊、警備府方面は機動部隊……ですね」


叢雲 「解ったわ………敵機動部隊を叩くわよ」


第六駆逐隊「えっ?」


初霜 「解りました…そこまでの陣形はどうします?」


第六駆逐隊「わかっちゃってる!」(ナノデス!!)


叢雲 「変形の複縦陣で行くわ、先頭は私、チビっ娘達は二人一組でお互いを守りなさい!初霜は後をお願いするわ」


雷  「と言うことは……警備府の近くを通るわね」


叢雲 「……関係無いわ、向こうは向こうよ……」


暁  「叢雲!それはあまりにもあんまりよ!!」


電  「なのです!どうせこの空襲さんを突破するなんて無理なのです!、電はどうせなら、少しでも警備府の近くが良いのです!!」


雷  「私も!もう誰かを置いていったり、置いてけぼりになるは嫌よ!」


響  「そうだね……一人は寂しいよ…」


初霜 「……皆さん、出撃する時に司令さんは、なんて言ってましたっけ?」


第六駆逐隊「…それは……」


初霜 「叢雲さんの言う事をちゃんと聞きなさい……って感じでしたね?」


第六駆逐隊「……でした」(ナノデス)


初霜 「だったら、この艦隊の旗艦…叢雲さんの言う事をしっかり聞いて…そして理解しましょう?」


第六駆逐隊「で、でも!」


初霜 「叢雲さんは、敵機動部隊を叩くって言いました……つまりこれ以上私達の警備府や司令さん達を攻撃されない為に……」


叢雲 「最後まで言わなくても良いの!!さぁ征くわよ!!」


第六駆逐隊「了解です!!」(ナノデス!!)


叢雲 「初霜……アンタ以外とお喋りね………」


初霜 「そうですか?」


叢雲 「そうよ…しかもしっかりと手を抜かずに対空射撃までしてたし……」


初霜 「はい!皆さんは私が守ります!」






                    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~







「早!動き出しが早! 叢雲~……少しは躊躇って下さいよ…」


利根 『ほう……艦載機の群れに敢えて突貫するとは…中々豪気じゃのう』


「ですよね?中々出来ませんよね?敢えて艦載機と混戦状態に持っていって打撃艦隊の砲撃を避けるなんて!」


利根 『……別にお主を褒めた訳では無いぞ?』


「でした(泣)……熊野さんの瑞雲隊も出して下さい、此処と合流地点の間まで誘導お願いします」


榛名 『……もう良いのでは無いですか?……叢雲さん達の練度、判断を見極めるのには十分過ぎるのでは?』


「まだなんですよ……自分が欲しい状況はまだなんです」


榛名 『……榛名はどうなって知りません!』


「責任も罰も全部自分が負うので大丈夫です」






                     ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~






暁  「……とりあえず、相手はレディーに恐れ入ったらしいわね?」


雷  「恐れられるレディーって何なの?」


電  「なのです…」


響  「…とりあえずは一息つけそうだね」


叢雲 「そうね…いくら深海棲艦でも、補給は必要な筈よ」


初霜 「丁度真南に艦載機が撤退したので……多分そこに敵機動部隊が居そうですね」


雷  「……警備府、凄い煙ね……」


電  「……なのです……」


響  「皆大丈夫かな?」


暁  「大丈夫よ!暁達だって無事なんだから!」


雷  「ねぇ叢雲……やっぱり警備府に戻っちゃ駄目かな?」


叢雲 「駄目よ……今さら戻っても私達に出来る事は無いわ」


響  「そうだね……せめて敵機動部隊をなんとかしないとね」


叢雲 「本当!忌々しいわね……!」


暁  「でもでも、何とかなりそうじゃない!此処まで誰も小破すらしてないし!」


電  「なのです!」


雷  「そう言われてみればそうね……よ~し!派手に空母でも沈めちゃうんだから!」


叢雲 「あなた達はお気楽ね…ま、らしいけれど」


初霜 「……艦載機が戻って来たみたいですね…」


叢雲 「さて……休憩はお終いね……征くわよ!」


初霜 「待ってください…艦載機の行き先は……警備府です!」






                   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~







榛名 『…支持通りにしました……』


「ありがとうごさいます…どう動くかな?」


大淀 「司令……叢雲さん達はどう動けば正解なのですか?」


「………実は正解なんてのは無いのですよ…」


大淀 「えっ?それはどう言う意味でしょうか?」


「今回は追い詰めるの事が目的なので……最良の選択はあっても正解は無いんですよ…」


大淀 「つまりは、どうやっても苦しい選択しか無い……のですか?」


「はい、何個か禁止事項がありますが…皇都、横須賀、後は此処に来たら演習中止、誰か大破しても中止、そして、勝手に分散しても

 中止にする予定です…」


大淀 「それ意外は続けると……言うのですか?」


「一応、もう一つありますが…」


大淀 「それは?」


「榛名さん達に接近肉薄した時です……流石に榛名さん達に深海棲艦に偽装させてまで続ける訳にはいきませんから」


大淀 「司令……それはあまりにも…」


「罰はいくらでも受けますよ?」


大淀 「違います!……叢雲さん達の信頼を無くしたいのですか!?」


「信頼よりも、あの娘達の生き残る能力を見極める方が大事です!……残念ながら今は戦争中なんです!」


大淀 「ですが!」


明石 「辞めましょう?司令に協力した時点で、私達も共犯…ですよね?」


大淀 「明石さんまで!」


明石 「……ほら…私工作艦だから戦闘苦手でしょ?……だけど今も昔も傷ついた娘達を治すだけ……」


大淀 「それは明石さんしかできない、とても重要で大事な事じゃないですか」


明石 「………待つだけってかなり辛いのよ?」


大淀 「それは……」


明石 「生きて帰ってくればどんな事をしても治すけれど……帰ってこなければ何も出来ない!」


大淀 「…………」


明石 「まぁ司令は私と役割は違うけど……自分の指揮で艦娘達の生き死にが決まってしまう……私より遥かに厳しいわね……」


「ありがとう…十分だよ……結局騙して、何らかの結果を出そうとしている自分が悪い」


明石 「そうよ?だから後でみっちりと罰を受けてもらうわよ?」


「了解です!……大淀さんも今はそれで納得して下さい」


大淀 「解りました……」


「ありがとうです……榛名さん?叢雲達の動きはどうですか?」


榛名 『……その前に、さっきの話丸聞こえでしたよ?』


「えっ?」


榛名 『その罰は私達も加わりますから、覚悟して下さいね?』


「解りました!こうなったら是非叢雲達には頑張って貰わなければ!」


榛名 『……それなんですが…利根さんの観測機が落とされました』


「えっ?視界外から観測してたのでは?」


利根 『そうなのじゃが…どうも初霜が誤射したらしく、それがたまたま当たってしまってな』


「誤射?初霜君が?」


利根 『言い訳じゃが…初霜は超長距離射撃を受けた時も、魚雷を誤射しておる……性格か艤装、どちらかのせいじゃろう…』


「解りました……替わりの観測機をお願いします」


利根 『それは既に発艦済みじゃ……もうすぐ着くはずじゃが…』


「……状況が解り次第連絡お願いします」






                      ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~







雷  「どうして?なんでこっちに来ないで警備府に?」


響  「ひょっとして……警備府に止めを刺すつもりじゃないのかな?」


電  「!司令さん達が危ないのです!」


暁  「やっぱり今すぐ助けに行かなきゃ!」


叢雲 「………初霜…相手の居場所は解ったのかしら?」


暁  「……もう十分じゃない!このまま司令達を見捨てるのは、レディーのやる事じゃないわ!」


叢雲 「私は今、初霜に聞いているの…少し黙りなさい!」


暁  「叢雲!!あなた警備府や司令達の事が心配じゃ無いの!?」


叢雲 「心配よ!!アンタ達がいなかったら、とっくの昔に戻っているわよ!!だけどアイツと約束したの!!アンタ達を頼むって!!」


暁  「それは……」


叢雲 「私は絶対にアンタ達をあの馬鹿の所に帰す!しかも……」


 この場面にも関わらず、何時もの少し意地の悪い笑顔を浮かべ


叢雲 「ちゃ~んと武功を立てて、あの馬鹿の吠え面を見せてやるんだから!」


暁  「……それは私も見てみたい…」


電  「なのです!」


雷  「確かにそれは見たいわね」


響  「…何時も見ていると思うけれど?」


叢雲 「あれは単なる間抜け面よ……これから私達が見れるのは吠え面の方よ?」


第六駆逐隊「大体同じだと思う」(ナノデス!)


初霜 「それならば…景気祝いに祝砲でも撃ちましょうか?」(ニッコリ)


 と、同時に右手から本当に砲撃をしてしまう


初霜 「あれ?本当に撃っちゃいました」


叢雲 「初霜…アンタね……」


雷  「で、どうするの?早くしないと……吠え面も何も無いわよ?」


叢雲 「相手の場所が解れば、後は全力突撃!ありったけの弾と魚雷を叩き込んであげるわよ!!」


響  「悪く無いと思うけれど……あっちだって護衛の深海棲艦が居る筈だけど?」


叢雲 「だからよ…艦載機が居ない今の内に接近して私達の間合いに入るのよ」


暁  「つまり近距離での力の殴り合いね!レディーの血がたぎるわ!!」


雷  「レディーの定義って…」


電  「なのです…」


初霜 「それならば…私達駆逐艦の強さを生かした方法がありますよ?」


叢雲 「どんな方法かしら?」


初霜 「はい、それは……」






                     ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~







利根 『……着いたみたいじゃな』


「!どうですか?」


利根 『………単縦陣でそちらに向かうみたいじゃな…』


「……そう…ですか……」


大淀 「叢雲さん…」


「………ならば、榛名さん達の観測射撃で足止めしつつ、鳳翔さんと隼鷹さんの艦載機を向かわせて下さい」


榛名 『……解りました…多分この制射でお終いだと思いますが……』


「……ですね、行き先は艦載機で押さえられ、的が大きくなる横からは戦艦、重巡の精密観測射撃……叢雲、よりによって戦術的に

 やってはいけない事を……」


  こちらに来ようとしてくれるのは本当にありがたい


  だって自分達を心配してくれるのだから……


  だけどいくらなんでもわざわざ自分達の弱点を敵に晒すなんて……


利根 『……しかし妙じゃな……先頭が初霜に変わっておる…しかも殿は叢雲とはな…』


「えっ?先頭は叢雲じゃないのですか?」


利根 『うむ、先頭から、初霜、電、雷、暁、響、叢雲の順番じゃ』


「……確かにおかしい……観測機が落とされて、今の艦載機が着くまでの間は何分くらいでした?」


利根 『10分はかかって無い筈じゃが…カタパルトの調子が悪かったからかのぅ…』


  ちょっと待てよ?いくらなんでもあの叢雲が先頭をゆずるなんて有り得ない、何にしても真っ先に来る筈……


  不利な戦術、不利な陣形、不利な戦力差……あれ?同じ様な状況を自分は知っているぞ?


「……まさか!榛名さん達は緊急回避を!!」


榛名 『えっ?どうしたのですか?』


「何でも良いので早く!」


榛名 『私達は観測射撃の調整中ですし、鳳翔さん達は艦載機の統制で今は動けません』


「やっぱりか!……流石だな叢雲!!」


榛名 『えっ?』


「とにかく全工程は中止して魚雷に備えて下さい!……無防備に喰らうといくら訓練弾にこっそり替えているとは言えども

 ただではすみませんから!」


榛名 『魚雷!?こんな長距離からですか?』


「そうです!時間的にも状況的にも榛名さん達の所に来る筈です!」


 不利な戦力差を補う為に、あえて不利な陣形にし、弱点を晒しながらも、持てる火力を最大に特化させる……博打的で戦史的に見ても

 一回位しか成功例がない極めて不利な戦術……


 三笠長官や富士校長達が過去にやったあの戦術を!


「駆逐艦最大火力である酸素魚雷!しかも最多長距離投射可能状態での艦隊統制投射雷撃!!…無数の魚雷群が襲いかかって来ます!!」


利根 『……遅かった様じゃ…無数の魚雷群が接近!この数では流石に回避は無理じゃな…』


「頑張って耐えて下さい!」


榛名 『…榛名と利根さん、青葉さんは前に!鳳翔さん達の盾になります!熊野さんは鳳翔さん達が回避し易い様に援護を!』


青葉 『やっと出番だと思ったらこんな事って…』






                    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~







雷  「魚雷全弾投射完了!!」


電  「なのです!」


初霜 「了解しました……叢雲さん!」


叢雲 「解ったわ!単縦陣から六時方向に梯形陣に移行しつつ、全速力で相手に突撃するわよ!!」


第六駆逐隊「了解です!」(ナノデス!)


初霜 「艦載機の方は私が抑えます…横は気にしないで下さいね」(ニッコリ)


電  「いなずまの本気を見るのです!!」


響  「 Ураааааааа!!!!!!」


暁  「レディーの生き様見せてあげるわ!」


雷  「暁ネェ…だからレディーの使い方間違えているって!」


叢雲 「……悪いけれどさっさと沈めて…あの馬鹿の所に戻るわよ!!」







                   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~







「被害状況は?榛名さん大丈夫ですか?」


榛名 『…榛名達は大丈夫です……』


青葉 『大丈夫じゃ無いですよ…』


熊野 『ですわね……』


「…そんなに酷いですか?」


利根 『酷いな、榛名、青葉、熊野大破じゃな、吾輩と鳳翔、隼鷹は中破じゃが、接近してくる叢雲達を止めるのは厳しいのぅ……』


「そう…ですか…艦載機が戻る前に肉薄されますし…離れる為の打撃出来る艦娘も居ないので……」


榛名 『終わり…ですか?』


「そうなります……お疲れ様でした…叢雲達が接近して来たら事情説明お願いします」


榛名 『それはご自分の口からおっしゃた方が良いかと、榛名は思いますけれど?』


「そうなのですが…今から本罰を受けに行きますので……」


榛名 『そうでしたね、叢雲さん達と合流してそちらに戻ります』


「お願いします、補給やお風呂の準備をして置きます、では……」


 今度こそしっかりと無線を切る


「大淀さん!叢雲達は勝ちましたよ!!」


大淀 「みたいですね……え~っとおめでとうございます?」


「ありがとうです!あの状況からまさかの反撃ですよ?!冷静な判断力、状況確認能力、指揮力とそれに従える信頼関係………

 あれならば何処に行っても生き残れる可能性が広がりますよ!」


大淀 「ですね…だけど司令は……」


「自分はこれで十分です!どうせ軍人とか合わないので、辞められる口実も出来たし!」


  あっ!つい本音が(泣)


大淀 「司令?まさかまさか辞めれると御思いですか?」


「えっ?だって叢雲達に酷い事したし、罰は受け無いと……」


大淀 「罰は私達が決めますわ……それに明石さん達が工廠でお待ちですよ?」


「あれ?ひょっとして辞められ無いのかな?」


大淀 「少なくとも私は許しませんですし……それに決めるのは叢雲さん達です」


「そうですか……そうですよね………ちゃんと謝ってから辞めますか」(泣)


大淀 「もう…とにかく工廠に行ってください」


「はい……ところで何故に工廠?」


大淀 「……なんか鋏とか剃刀とかバリカンとか集めてましたよ?」


 あれ?それって…


「……なんか行く前にやられる事がバレバレなのですが…」


夕張 「大丈夫!身体中のありとあらゆる毛を刈るだけだから!」


明石 「そうよ?鋸とか、ペンチとか、半田小手とか、工具は色々あるわよ?」

    (オレタチノチョウギジュツモナ!!)


「妖精さんまで……自分どうなっちゃうの?」


夕張 「ほら、とっとと逝くわよ?」


  ガシッ!


明石 「最後に美人に挟まれて良かったわね?」


    ガシッ!!


「助けて!大淀さん!」


大淀 「私は今から叢雲さん達を迎える準備をしますので……」


 大淀さんまで!


「反省も後悔もしたので、助けてください!」


大淀、明石、夕張「駄目です」(アキラメロ!)


  ぎゃ~(泣)






                   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~







 山に日が沈みかけた夕方頃、自分は埠頭で叢雲達を待っていた……


  ……あの後、警備府中に設置した発煙装置やらなんやらを片付けられたからなんだけれど……


大淀 「司令、榛名さんから連絡です……もうすぐ着くそうです」


「解りました……もう着くの(泣)」


明石 「諦めましょう」


夕張 「そうそう、諦めが肝心ですよ?」


「はい(泣)」


 沈む夕日とは反対側の海から月が上り始める


 富士教導艦隊と、我が第一水雷戦隊の姿が、徐々に大きくなって来た


明石 「結構皆ずぶ濡れね…」


「叢雲達は艦載機や砲撃をされてたし、榛名さん達は六十近い魚雷の波状攻撃をもらってたからね……それはずぶ濡れにもなるよ」


 話をしていると、全員埠頭から上陸してくる


榛名 「申告します!」(ケイレイ!)


「お願いします」 ('-'*ゞ)


 本当は一刻も早く休ませたいけれど……残念ながらまだ軍務中なので形式は守らないといけない(泣)


榛名 「第一教導艦隊及び、第一水雷戦隊は、同時刻を持って特別演習を終了しました!」(ケイレイ)


「……ありがとうございます……お疲れ様でした」 ('-'*ゞ)


艦娘達「………………」


  ヤバい、やっぱり怒っているよ!オニおこだよ!鬼怒さんだよ!!


「……後でこの演習の総括と言うか反省会をやりますが、その前に補給と、お風呂はしっかりと入ってください…」



 暁君は頬を膨らましてこっちを見ている


 響君は略帽を深く被ってこっちをジッと見ている


 雷ちゃんは腕を組んで如何にも私は怒ってますよってこっちを睨んでいる


 電ちゃんはそんな姉達とこっちを交互に見て、はわわっている


 初霜君は……いつもと変わらない顔で立っている


 ……そして叢雲、何故かずっと下を向いて顔を上げていなかった



「……以上ですが…最後に……」


 何はともあれ謝ろう!まずは謝ってからだ!


「叢雲!初霜君、暁君、響君に雷さんに電ちゃん……本当にごめんなさい!!」


 勢いよく頭を下げると、明石さん達に一本ずつ抜かれた後に妖精さん達の謎超技術により、鏡よりも摩擦係数が無くなってしまった

 頭から、勢いよく制帽が叢雲の足元まで飛んで行った


暁  「……ぷっ!!!ちょっとレディーを笑い殺す気なの!?」


響  「見事なまでにツルッパゲだね…響達の顔が映っているよ…」


雷  「これは怒っているのが馬鹿馬鹿しいほどツルツルね!」


電  「なのです!!」


初霜 「お似合いですよ?司令」(ニッコリ)


叢雲 「………………」


「これは明石さん達にやられたと言うか何と言うか…自分の反省の形と言うか……とにかく皆!ごめんなさい!」


暁  「もう!良いから!早く頭をしまってよ!!息が…!」


雷  「いけない!暁ネェが笑い過ぎて酸欠気味に!」


電  「なのです!」


「しかし、ちゃんと謝らないと!」


響  「もう皆司令の事許しているよ?……だから早く帽子を被って欲しいな?」


「えっ?そうなの?」


初霜 「はい…榛名さん達から事情も聴きましたし、結果的には皆無事でしたので」(ニッコリ)


「そうか…皆ありがとう」


暁  「何でも!何でも良いから……!早く帽子を……ぷっ!」


「…解ったよ……叢雲、帽子を取ってくれないかな?」


叢雲  「……………」


 叢雲はさっきからずっと黙って下を向いたままだった……


「……初霜君…叢雲はずっとあの感じなのかな?」


初霜 「いいえ?…さっきまで司令の事をずっと言っていましたし、榛名さん達に演習をもう一回って…元気いっぱいでしたよ?」


 何それ?色々恐い(泣)


「叢雲?どうした?やっぱり怒っているのか?」


叢雲 「…………」


「今回は全面的に自分が悪い…だからいつもみたいに怒ってくれないかな?」


叢雲 「…………」


 相変わらず黙っている叢雲に近付き、頭を撫でながら


「叢雲…本当にごめん」


叢雲 「アンタね!」


  一発良いのを貰う覚悟をしていたのだが……何故か叢雲は自分の胸に抱き付く


  ……まぁ、しっかりと頭の兎耳は、自分の顔に直撃していたが(泣)


叢雲 「…皆どれだけ心配したか!」


   顔をうずめたまま、話始める


「…そうだな……皆の心を弄んだ事と同じだよな……」


叢雲 「皆どれだけ心細かったか!」


   叢雲の顔をうずめた所が段々と湿ってくる


「…だよね、四方敵に囲まれて…あんなに攻撃されたのならね」


   叢雲の抱き締める力が強くなる


「……私がどれだけアンタを心配したのか?」


   …………ん?


「え~っと?叢雲?ひょっとして自分の心配をしてくれたのかな?」


艦娘達「……………」


                     ……………………あれ?



「え?だって普段から散々悪口言われ放題だよ?三分に一回は正座だよ?十分に一回は酸素魚雷だよ?……そんな叢雲から心配

 されちゃうって事ってあるのかな?」


  (ダメダコイツ ニブチンサン? カモネ ナノデス!!)


「?????」


 わからない……何でさっきより酷い目で見られるのかな?


叢雲 「……アンタ…」


 あれ?何か肋骨がメキメキしているけど?


「ちょっ!叢雲さん痛い(泣)」


叢雲 「アンタなんか!!」


 急に解放されたかと思ったら、何故か空に舞っていた…


「えっ??」


叢雲 「海の底にしずみなさい!!」


 はい!お約束の頭から入水!!



                          ズポンっ!!



頭(妖精さんの謎超技術により、摩擦係数が限り無く零)から入ったおかげで、何の抵抗も無く沈没、危うく着底大破する所だった……


榛名 「………此処は呉軍港では無いのですが…………」







                 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~








「皆さんお疲れの所大変申し訳無いけれど……今から特別演習の総括と言うか、反省会をします」


 出席者は… 富士教導艦隊からは、榛名さんと利根さん


……旗艦と観測艦が参加してもらって大変ありがたい


利根 「そうじゃな…一司令が全て悪い、以上じゃな!」


 バッサリ過ぎる(泣)


 ちなみにこちらからは初霜君と響君……叢雲は部屋に籠もって出て来ないらしい(泣)


響  「代理の代理だけど、大丈夫かな?」


初霜 「大丈夫ですよ、私も似た様なものですし」(ニッコリ)


 初霜君……期待の君がそんな感じなのは困るのですが(泣)


大淀 「書記艦の大淀です、一応今回のは、演習として大本営にも上げますので、お願いします」


 そして大淀さん…ただ彼女は書類作成上いるだけなので、意見等は言え無い立場です(泣)


「本来は、相手の司令官……富士校長も参加するのですが……何故か連絡が取れないので…榛名さんが代理でお願いします」


榛名「はい、榛名は大丈夫です」


「ありがとうございます……さて、最初は艦載機による先制攻撃からですが……」


利根 「じゃから、全てお主が悪いとさっきも言った筈じゃが?」


「そうなんですけれど……その時々の状況を照らし合わせて知りたいのです(泣)」


利根 「叢雲達に話すのは当然じゃが…何故お主にも話さなければならないのじゃ?」


榛名 「利根さん!それは余りにも失礼ですよ?」


利根 「失礼?こやつのやり方の方がよっぽど我ら艦娘に対して失礼じゃぞ?」


榛名 「でも……」


「ありがとう榛名さん…だけど利根さんが言う事も、もっともです……ならば後で叢雲達に教えてあげて貰えませんか?」


利根 「……結局はお主に情報として入るから変わらんな」


「お願いします……今回の経験は叢雲達に取ってとても大事な事ですので……」


利根 「その頭で下げられたら何も言え無いのぅ……わかった今言うとしよう」


「ありがとうございます」


利根 「…別にお主の為では無い…叢雲達の為じゃ」


「十分です…では最初に観測機で見た感想は……」


利根 「……確か暁達は初めての敵襲じゃったのじゃろ?その割には大した混乱も無く、叢雲と初霜の指示に従っておったみたいじゃ……

    特にこちらからの超長距離射撃を受けた後の行動は早かったな」


響  「……あの時はたまたま当たらなかっただけで済んだからね」


利根 「…確かにな…だがそれでも魚雷一発誤射だけで済んでいるのだから、初めてにしてはとても良くやったと思うぞ?」


初霜 「誤射した私が逆に落ち着かなきゃ駄目なのにね…」


利根 「それが気になっておったのじゃ!初霜は二回誤射しておるが、原因はなんなのじゃ?」


初霜 「えっと…魚雷はその時ビックリして落としちゃいました……二回目は景気付けの為でした」


響  「あの時の祝砲かい?あれは誤射でも何でも無いと思うけど?」


利根 「……あの時我輩の観測機にそれが直撃したのじゃ」


榛名 「利根さん……やっぱりあの時のは偶然だったのでは?」


?? 「いや、最初の魚雷も二回目のそれも偶然では無いな」


 えっ?何でこの人此処に居るの??


「!全員起立!!富士大将に対し敬礼!!」


富士 「ほう?鯱が酸素魚雷を食らった顔しながらも、すぐに対処出来たな?」


「在学中に鍛えられましたから……こちらの席にどうぞ」


富士 「うむ、みなも座って良いぞ」


  ……あれ?自分の椅子は?


大淀 「すいません…随伴艦の伊勢さんに渡してしまいまして……私のを使いますか?」


「えっと…大丈夫です……大淀さんは書記をしないといけないので…使って下さい」


富士 「そうじゃな、貴様は立っておれ」


 在学中に廊下に立たされた事を思い出すな~(泣)


富士 「さて、さっきの話の続きだが…実はあの魚雷は離れて見ていた日向に命中してしまってな」


榛名 「えっ?日向さんに?」


伊勢 「そうそう…富士校長と一緒に遠くで演習を見学してたんだけどさ~…瑞雲の操作に集中し過ぎて当たっちゃたんだよね~」


富士 「一応弁護すると、日向に当たらなければ私に当たっていたがな」


利根 「……校長も人が悪い…のじゃ」


榛名 「まさか見られてたなんて…」


富士 「まぁ、その後日向がごねてな…」


伊勢 「何か~魚雷の貰い所が悪かったらしくて~轟沈判定してくれって言ってたらしいよ?」


富士 「そうじゃ、伊勢が来るまで海の上で待ちぼうけじゃったな…」


伊勢 「そうそう…だからその後の事は解らないから大丈夫だよ?」


榛名 「……と、言う事は?」


利根 「初霜よ、お主解っててやったのじゃな?」


初霜 「えっ?そんな事無いですよ?たまたま偶然です」(ニッコリ)


富士 「まぁ、本人がそう言うならばそうじゃろう」


初霜 「はい」(ニッコリ)


富士 「貴様良い艦娘を引いたな?」


「そうですね!此処に居る娘達は良い娘揃いですよ!」


富士 「そうか……それならば良い」


 と言って立ち上がる


富士 「そろそろ戻るか…利根よ」


利根 「はい!」


富士 「余りコイツを苛めるなよ?」


利根 「じゃが……」


富士 「コイツは馬鹿だからな……自分の目と体験でしか理解できぬだけだ」


利根 「…解りました、富士校長」


富士 「教育熱心なのは利根の良い所だ……そこも解っているからな?」


利根 「はい!」


富士 「では行こうか、伊勢よ」


「ちょっと待って下さい、富士校長…」


富士 「なんじゃ?書類は適当に纏めておけば良いぞ?」


「それはありがたい……いえいえ、一応今回の演習はこちらの勝ちですけれど…」


富士 「なるほど…つまり報酬が欲しいと?」


「なのです!!」


  だって貰える物は貰わないと!はっきり言って台所事情は厳しい(泣)


富士 「ふむ、ならば今この場で貴様を一階級あげ、」


  えっ?


富士 「此処を私の鎮守府の直轄にし、後日更に一階級あげ、」


    えっ?えっ?


富士 「しかる後、我が第二艦隊を此処に転属させ、」


       えっ?えっ?えっ?


富士 「此処を正式な鎮守府にさせ、それに相応しい階級にしてやろう」


                ぎゃー!!


「いらない!そんなの要りません!!」


富士 「諦めろ、今回の演習は其処までの価値はあったのじゃろう?」


「無いですよ!も~!せっかく安心して辞められると思ったのに……」


富士 「ふむ、まぁ世の中そんなに、甘く無いと言う事だ、勉強になったな?」


 (泣)としか言えない!


富士 「まぁせいぜい頑張るのだな……戻るぞ、伊勢」


伊勢 「はい、ではまたね~」






                   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~







榛名 「……続きします?」


「やめて置きます……後で書類で纏めて下さい……」


榛名 「解りました……えっと…お疲れ様です……」


「ありがとうございます……」


響  「…結局どうなったんだい?」


初霜 「これからも此処で…皆と一緒って事ですよ」(ニッコリ)







                   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~







「何か、とんでもない事になったな…」


 一人執務室で考える


 ……何故こうなった(泣)


「…何もして無いのに…何故面倒が増えるのかな?」


 おかしい!絶対におかしい!!


「もう自分が居なくても皆大丈夫な筈だけど …」


叢雲 「入るわよ?」


「だから……もう入っているよね?」


叢雲 「何?不満なの?」


「…イイエ、不満は無いです」


叢雲 「……ねぇ、ちょっと良いかしら?」


  今閉めた扉に寄りかかりながら聞いてくる


「珍しい!あの叢雲がこっちの都合を聴いてくるなんて!」


叢雲 「五月蝿いわね!………これだから駄目なのね……」


 ?何だ?何か様子のおかしいぞ?


「……何か変な物でも食べた?」


叢雲 「……アンタ階級が上がったらしいわね?」


「そうだね(泣)上がりたくはなかった(泣)」


叢雲 「……で、此処が鎮守府になるみたいね?」


「…そうらしい(泣)…富士校長にゴリ押しされた(泣)」


叢雲 「……鎮守府になったら艦娘も増えるのよね?」


「……どうかな?」


叢雲 「…だって鎮守府よ?戦艦、空母、重巡…火力も装甲も私達とは大違いよ?」


「…う~ん……」


叢雲 「…?何故悩むのかしら?」


「…いや……考え方の違いかなって」


叢雲 「どう言う意味?」


「どうって言われても……だってそんな凄い艦娘を揃えたってさ……自分じゃ指揮しきれないし……」


叢雲 「はぁっ?アンタ私達をあそこまで追い詰めたでしょう?」


「いやいや、結局叢雲達はそれを食い破っているよね?」


叢雲 「たまたまでしょう?」


「残念ながらたまたまではないな~(泣)」


叢雲 「…実戦だったら、負けていた可能性の方が高かったわ……」


「いやいや、それは無いよ?」


叢雲 「……青葉から聞いたわよ?色々と条件を付けていたのでしょう?」


「それは付けるよ?だって叢雲達の反応を見たかっただけだし…」


叢雲 「アンタ、手加減したでしょう?」


「いやいやいや……全くして無いよ?あれが自分の実力だし~」


叢雲 「アンタね…私達がどう動かざる得ないか解っていたのでしょう?帝國海軍の駆逐艦として…」


「……知識だけはあったからね…そちらの世界の駆逐艦は、攻撃、索敵、哨戒、補給、救助、護衛と、何でもござれだったよね?」


叢雲 「そうよ」


「特に艦隊決戦……文字通り戦艦や空母などを駆逐するのが本懐……だね?」


叢雲 「そうね、私達はそういう存在だったわ……よく調べたわね」


「こちらの世界には無い話だからね……興味が勝っただけだよ」


叢雲 「つまり、その興味が本当かどうか知りたかっただけなのね?」


「それもあるけれど……やっぱり叢雲達の今の状態が一番知りたかった」


叢雲 「そう…だったらやっぱり戦艦や空母達のが良くなくて?」


「……いやいやいや…やっぱり自分は叢雲達の方が合っていると思うけどな~……面倒臭いけど…」


叢雲 「面倒ならば…辞めれば良いじゃ無い……」


「文字通り辞めたかったんだけど……何か知らない内に提督になりそうだし…」


叢雲 「こちらの世界では……確か准将からだったわね…」


「叢雲?さっきから何を言いたいんだい?」


叢雲 「ねぇ、やっぱりそれなりの位置になるんだから………秘書艦とか変えるのかしら?」


「?いや、変えないよ?」


叢雲 「なんで?」


「だって軍人で偉くなってもな~……それにとっとと辞めて、恩給でダラダラ暮らしたい!」


叢雲 「えっ?」


「どうせ辞めるんだから、後は良く知っていて、絶対に大丈夫な人を残したいからな~」


叢雲 「……………」


「そうすれば、安心してダラダラ出来るし……叢雲さん?」


  あれ?さっきと違って何か怖い気が……


叢雲 「アンタの性根よっっっく解ったわ!これからもビシバシやらせて貰うわ!」


    えっ?


「いやいや、そんな良いですよ、ご遠慮申し上げます!」


叢雲 「駄目よ!アンタを【提督】として、今まで以上に教育してやるんだから!!」


      ぎゃー!!


「辞めて下さい(泣)死んでしまいます(泣)」


叢雲 「初期艦として、秘書艦として海の底まで付き合ってあげるわよ!」


          更にぎゃー(泣)


「どうせなら、大淀さんとか間宮さんみたいに優しい方を希望したいです!」


叢雲 「何よ?!私じゃ不満なの!?」


「イイエ、ムラクモサンニ、フマンハゴザイマセン」


叢雲 「心が籠もって無いわよ!!」


「……ほどほどに願います(泣)」


   だから、自分は楽にダラダラしたいだけなのに!!




後書き

黒い歴史がまた1ページ……


このSSへの評価

このSSへの応援

このSSへのコメント


このSSへのオススメ


オススメ度を★で指定してください