2017-09-16 19:03:48 更新

概要

異常な提督の鎮守府物語、その4章です。今回は新しく着任したのは満潮です。けれど、メインは提督TUEEEEEになっちゃってるところがありますね、はい。お楽しみいただけると嬉しいです。


前書き

提督「…ストレス発散、か」の続きです。あの娘と表記しているところは、あのこ、と読む感じです。ルビをふる方法があれば楽なんですが…。

艦これにそこまで詳しいわけではありません。自分なりにいろいろ調べて書いていますが、おかしな点があるかもしれません。それでもいいという方は楽しんでいただけると嬉しいです。


2218 執務室


コンコン


提督「はい?」


間宮「提督、入ってもよろしいでしょうか?」


提督「間宮さん?いいですよ~」


ガチャ


間宮「いきなりすいません提督。早速ですけど、一杯、どうですか?」


提督「お、いいですね。ちょっと待ってください。今、準備しますから」


そう言って提督は、畳にちゃぶ台と座布団2つを用意する。間宮は用意された座布団の一つに座った。

2つのグラスを持ってきた後、提督も座り、お互いに酒を注ぎあう。


提督「それじゃあ、」


間宮「はい、提督」


カンパイ


提督「ゴクゴク、ぷはぁ~、いやぁおいしいですね」


間宮「ゴクッ、ふぅ、そうですね」


それから二人は他愛のない話を始めた。深い意味などない、普通の話を。


提督「あぁ、アレは確かに面白かったですね」


間宮「はい、まさかあんなになるとは思ってもみませんでしたからね」


お互いに笑いあい、また酒を注いだり…。

遠くから見ると、この二人は今、夫婦のように見えるかもしれない。


間宮「ーーー。それでですね、提督」


提督「ん、どうやらここから本題みたいですね」


間宮「はい。…、率直に質問しますね」


提督「えぇ、どうぞ」


間宮「提督はたらしなのですか?」


提督「………、は?」


間宮「今日、飛龍さんが着任なされました。これは確かに喜ばしいことです、はい。ですが、来ていきなりアナタに惚れているって、一体どういうことですか!?」バンッ


提督「…いや、それ、俺に言われても」


というか、飛龍のやつ、蒼龍や間宮さんに本心バレてて、それを本命に直接言われるとか…。

なんか不憫に思えてきた。

それに暴露されてる俺も、なんか聞いてて恥ずかしくなるなぁ。


間宮「今日ですよ、今日!いくらなんでも手を出すの、早すぎじゃないですか!!」バンバン


提督「…」


間宮さん、もしかして酔ってる?


間宮「提督はハーレムでも作ろうとしているんですか!?他の子もアナタに惚れ込んでるみたいだし…」


さらっと全員分暴露しやがった。明日から顔を会わしづらくなっちまったじゃん。


その後も間宮さんの話は続いて、1時間ほどして、やっと眠ってくれた。


提督「…うーん、やっぱり皆と会って日も浅いし、間宮さんが言ってるようなことはないと思うんだけどな」


さて、これから間宮さんを部屋まで運んでから…コップとか片付けないと…。

その時、


ツー ツー ツー


どこからか、通信が入った。それも、緊急時のみに使う通信。


提督「!はい、こちらR鎮守府」


雷『あ!司令官!!!』


提督「うおっ、雷か…。っ、一体何があった!?」


提督は嫌な予想をどんどん膨らませていく。

深海棲艦の襲撃か?誰かが被弾して大破したのか?それとも…それとも…!


雷『司令官、落ち着いて聞いてね』


提督「っ…」


その言葉により、心臓がはりさけそうになるぐらい鼓動する。

そんな…まさか…!


雷『実はね…』 


提督「…」ゴクッ


雷『大破してる別鎮守府の艦娘を保護したの』


提督「………、何!?」


予想とは大分違う報告だったが、こっちもこっちで大変だ。


提督「大破してからどれぐらい時間が経っているかわかるか?」


雷『えっと…、流石に詳しくは…。でも、数日間は放置されていたと思われるわ』


提督「っ!?」


なんてことだ。大破した状態で数日間、海の上にいたというのか。もう少し遅ければ轟沈してるところだ。


雷『今、スピードをかなり上げて鎮守府に戻ってるわ』


提督「わかった!こっちも出来る限りの準備をしとく。後、鎮守府が少しでも見える距離になったら信号を送ってくれ。そこからは俺がそっちに行ってその娘を」


雷『いえダメよ。少しでも動かさないほうが安全よ。引き渡す際にもし、この娘に負担がかかってしまったら…』


提督「…、雷の言う通りだな。考えが足りなかった。頼むぞ、雷」


雷『ええ、私に任せておいて、司令官!』


提督「後…」



提督『気をつけて帰ってこいよ』ブツッ


雷「…。まったく、本当に優しすぎるんだから。司令官は…」


霞「雷、速度もう少し上げて!遅れないで!」


雷「わかったわ!」


ーーーーー

ーーー



0238 R鎮守府


提督「……!帰ってきた!」←仮面着用


明石「それでは応急処置の用意を開始しますね」


提督「あぁ、頼む」


高雄「提督!高速修理剤見つかりました!」


提督「!ありがとう高雄」


深夜のこの時間、なんとか手伝ってくれる人を探して準備を手伝ってもらっている。



十数分後


愛宕「艦隊が帰投しましたぁ」


提督「お帰り。例の娘は?」


愛宕「ここよ」


愛宕は背負っていた娘の顔を提督に見えるようにしてくれる。

背負われている娘は、ひどく衰弱していた。


提督「っ!?これはひどい…、早く入渠させよう。愛宕、そのままお前も一緒に入渠してこい」


愛宕「わかったわぁ」


提督「他にケガしているやつはいないか?」


霞「ええ、大丈夫よ」


提督「そうか…、一応料理は作ってある。もし食べたいなら」


駆逐艦's「食べたい!」


提督「…そ、そうか」


あ、あれ?夜食べると太るから、って言って、夜何か食べる女性は少ないって聞いたんだけど…。

とりあえず、早く温めなおさないとな。


ーーーーー

ーーー



0312 食堂


愛宕「う~ん♪やっぱり提督の料理もおいしいわねぇ」


愛宕はあの後、大破したあの娘を入渠させ、自分はケガしてるわけでもないから少しつかって出てきた、とのこと。

それで愛宕も食べたいとのことで、今料理を温めてふるまっていたところだ。


提督「話を変えるが、あの娘の艤装を調べてみた」


曙「それで?何かわかったの?」


提督「まず、装備の劣化から見て、雷の言う通り大破してから数日は放置されていたと推測できる。そして、装備にはあの娘の所属していると思える鎮守府の名前があった」


潮「…どうするんですか?提督」


提督「勿論、その鎮守府に確認をとってみる。まあ、その娘を保護しているのは内緒で、だけど」


潮「」ホッ


霞「で、でも、それじゃあ提督が軍規違反することにならない?」


提督「あぁ、あの他の鎮守府の艦娘を保護した場合、即、所属鎮守府に連絡を入れろってやつか。そこらへんは、ほら、気づきませんでしたでとおすさ」


霞「無理があるでしょ…。確認とってるわけだし、艤装に鎮守府の名前が書いてあるんでしょ?」


提督「劣化してるようだったので、よく確認せずに修理を始めちゃいました、って言えば相手も噛みついてはこないでしょ」


霞「…そうかしら?」


高雄「確認をとった後はどうするんですか?」


提督「まだそこまでは考えられてない。なんせ、急なことだったからな」


雷「けど!大破した子をそのまま放置するようなところよ!そんな場所に返すなんてあんまりだわ!!」


提督「落ち着いて雷。誰もそんなことは言ってない」


しかし、困ったなら。雷の言う通り、そんな場所にあの娘を返す気なんて起きない。だが、鎮守府の場所が場所だ。下手に弱みを握って潰す、なんてことは出来ない。


霞「もう、いっそのこと潰しちゃえば?」


曙「!?」


提督「いや、それは出来ない」


霞「…どうしてよ?」


提督「実は、あの娘が所属している鎮守府、最前線に位置する鎮守府なんだよ。だから、下手に潰すとこちら側の戦況が悪くなるかもしれない」


潮「そんな…」


明石「そんなの、あのこが可哀想ですよ!」


提督「!明石…。どうだ、大破した娘の状況は?」


明石「何とか命に別状がないとこまでは…。それで、提督はあのこをどうする気なんですか!?」


提督「明石も落ち着いて!今それを考えているところだから」


明石「…」


提督「とりあえず、あの娘を今は匿っておこう。所属鎮守府があまりにも酷いところだったら、さすがに帰すわけにはいかないからね。まずはその鎮守府がどんなところか調べてから、じゃないと何も決まらないしね」


全員「…」


提督「もしかしたら遭難したあの娘を必死に探しているところかもしれないしね」


明石「提督がそう言うなら…従います」


提督「あぁ、ごめんな」


霞「…」


口調が最初の頃に戻ってきてる…。前、提督にはもっと自信もってもらったほうが私たちも安心する、と言ったことがあって、それ以来、提督は口調を変えるようにしていた。

それだけ今回の件には提督も参ってるってこと…?


提督「明日聞きに行ってくるよ。仕事は2週間分終わらせてあるから気にしないで。それでは、解散」


その後、それぞれの部屋に戻っていった。なんだかんだ言っても遠征帰り。皆、かなりの披露が溜まっていたんだろう。解散したら、ほとんどの子が眠そうにあくびをしたり、まぶたをこすったりしてた。

さて、俺も明日早いし、少しでも寝ないとな。


ーーーーー

ーーー



1055 A鎮守府正門


提督「」


さすがは最前線、攻めこんでくる敵の量も質もこっちとはすごい違いだ。

目に見えるだけですごい数の水柱が立っている。


キイィィィ


そんなかんだ考えていると、正門が開きだした。


大淀「お待ちしておりました、R提督殿。ここの秘書艦の大淀といいます。どうぞこちらへ」


提督「出迎え、ありがとうございます。お手数かけて申し訳ありません」


大淀「いえ…」



執務室


大淀「失礼します、R提督をお連れしました」


提督「お初に目にかかります。今日はお忙しい中、時間をとっていただきありがとうございます」


A提督「全く、急に電話をかけてきて、…まあいい、要件は何だ?」


提督「では、この鎮守府で遭難している艦娘はおりますか?」


A提督「何だ?その質問は。いるに決まっているだろう」


提督「…」


A提督「ここは最前線だ。轟沈や行方不明になるなど日常茶飯事。そんな当たり前なことを聞くためにここまで来たのか?」


提督「そう…ですか。……、実はですね、今、ある艦娘を預かってまして」


A提督「ああ、軍規にのっとって、その艦娘の鎮守府を探しているといったところか。その艦娘の名は?」


提督「まだ彼女は入渠中でして、遭難した子がいる鎮守府が見つかれば、そこかな、っと予想がたてれると思ったんですが」


A提督「それなら無駄足だったな。最前線ならそんな艦娘は大量にいる。何の情報もなしに探すは無謀だぞ。艤装に書いてなかったのか?」


提督「艤装…ですか。実は、劣化がひどく、よく確認しないまま修理するように明石に言ったので…」


A提督「…そうか。なら、戻ってから確認するべきだ。このまま探しても成果はでないだろう」


提督「わかりました。それでは失礼します」


そのまま提督は大淀に軽く頭を下げ、部屋を出た。部屋を出た後、提督は隠していた怒りをあらわにしながらA鎮守府の正門まで歩いた。


ふざけるなよ。あのクソ野郎…。


ーーーーー

ーーー



1409 R鎮守府 食堂


愛宕「そっかぁ、満潮ちゃんも大変だったわねぇ」


時雨「そういう提督は、本当にいなくなればいいと思うよ」


提督「今帰った。…ん?もしかしてその娘は」


高雄「はい、今日の深夜に愛宕たちが保護した艦娘です。名前は満潮というらしいです」


提督「そうか、満潮か」


満潮「…」


満潮は提督をみることにより俯いてしまう。俯く前に見えた満潮の顔、怒りか恐れかはよくわからないが、負の感情がたくさん籠められているように見えた。


霞「提督、どうだったの?」


提督「ん、まあ、そうだな。とりあえず、あることは決めたぞ」


霞「あること?」


提督「満潮はあの鎮守府には帰さん!」


満潮「!!?」


潮「じゃ、じゃあ」


提督「満潮、いちよ、君の意見も聞いておきたい。まあ、何を言おうとあんな鎮守府に帰すことは絶対しないが」


満潮は首を傾げていた。

私の意見を…きく?兵器に何を求めているのだろう?

満潮は自分が兵器だと、あの提督にすりこまれてきた。つまり、今、初めて自分の意志を問われたことになった。

満潮は戸惑うどころか、頭が真っ白になっていた。


満潮「…あ…うぅ…ぁ」


満潮は怯えているように見える。その怯えは、自分の意見を言ったら酷い目に合うと思ってからか、何を言ったらいいか、わからないからかはわからない。


明石「提督…」フルフル


明石が提督に向かって首をふる。それで提督は何となく事情を察した。


提督「……よし。満潮、君にここの鎮守府残って欲しい。大丈夫、手続きとかそういうのはこっちで何とかするから」


満潮「…わかりました」


先ほどもいったが、満潮が自分の気持ちを提督に伝えることはない。提督にとって満潮は兵器でしかないと思い込まされたから。


提督「…」


何とか、満潮の個性を表に出させる方法はないものか…。

…うん、やっぱりアレしか思いうかばないな。


提督「間宮さん、ちょっとお話が」


間宮「はい、わかりました」


そうして二人は厨房に入る。


提督「お話というのは」


間宮「サプライズパーティーのことですね!」


提督「あ、いえ、それは本当の意味で満潮がここの鎮守府にきてくるようになった時、飛龍たちと一緒に」


間宮「あ、そうですか…」


提督「…何か、すいません」


間宮「いえ…、それで?お話とは」


提督「あ、はい。今日の夜食を満潮にふるまってやろうと…思い…まして…」


間宮「…」ジトー


間宮さんがすごい目で見てくる。

ど、どうしたんだ?


提督「ま、間宮さん?」


間宮「…またですか」


提督「へ?」


間宮「早速新しい子に手を出そうって言うんですか!この女たらし!!」


提督「ひどっ!?」


間宮「全く…ただでさえ、すでにライバルが多いというのに…」ブツブツ


提督「…。ええっと、とりあえずそういうことで…」


何か酷い勘違いをされているな。誰がそんなことをするか!


ーーーーー

ーーー



1900 執務室


コンコン


満潮「朝潮型駆逐艦、満潮です。提督、いらっしゃますか?」


シーン


満潮「?失礼します」ガチャ


満潮は夜、執務室に来るよう言われていた。だが、実際に来てみると提督はおらず、机に1枚の書き置きが。


『すぐに戻る。そこで待っていてくれ』


これを見て満潮は提督が来るまで執務机の前にずっと立っていた。



0712 執務室


ガチャ


提督「すまんな満潮、少し遅くなった…、お前、そこでずっと立っていたのか?」


満潮「はい」


提督「…そこらへんに座っていればよかったのに…」


満潮「…」


提督「まあ、とりあえずそこに座りな」


満潮「はい、失礼します」スッ


執務室にあるソファーに満潮を座らせる。そして、提督はその前の机の上に作ってきた料理をおいた。


メニュー:餃子、野菜炒め、白米


提督「はい。どうぞ」


満潮「………、?」


だが、満潮は食べようとしない。それどころか、これは何ですか?、と言わんばかりに首を傾げている。


提督「遠慮しなくていいんだぞ。…それとも、もしかして苦手な物でもあった?」


満潮「これを…食べていいんですか?私みたいな駆逐艦が…」


提督「」ハッ


何で最初に料理を作って持ってくると、皆同じような反応をするんだろう?料理ぐらい、普通に食べるでしょ。

提督にとっては当たり前のこと。だが、彼女たち艦娘は、そんな扱いを受けたことがほとんどないのだ。いつも簡単なカロリーメイトに似たような物を食べていた。

それが急に料理を作られ、食べていい、なんて言われたら戸惑うに決まっている。


提督「いいから食べなさい。じゃないと冷めちゃうよ」


満潮「…わかりました。えと、いただきます」


満潮はまず野菜炒めに箸をのばす。一口、少な目にとって口に運ぶ。


パクッ


満潮「!!!!!!」


さらに一口、一口と、どんどん料理を口に運んでいく。その姿は、初めてご馳走を食べた子供のようだった。



満潮「ご馳走さまでした」


提督「はい、お粗末さまでした」


さて、これからどうするか?

満潮は、さっきよりは柔らかい表情にはなったものの、まだ自分の気持ちを表に出すとは思えなかった。

だが、後は時間が解決してくれる、という言葉が提督は何より嫌いだった。

だってそれは、問題を先送りにして見なかったことにしようとしているのと同義ではないか!

と、思っているからだそうだ。

…しょうがない。恨まれることになったとしても、ここで満潮が他の子と笑いあえるなら。

そうして、提督は満潮にとって、とても酷い言葉を投げかけた。


提督「……いやあ、それにしても満潮は運がいいなぁ」


満潮「……………え?」


提督「深雪と清霜だったか?最後にお前と一緒に出撃したのは」


満潮「どうして…それを…」


提督「二人は沈んだのにお前は生き残った」


満潮「!!!」


提督「いやはや、大した運だよ」


満潮「…」フルフル


提督「…」


我ながら最低だな…、これ。


満潮「……らないくせに」


提督「ん?何だ?」


すまないな満潮。後できちんと謝礼はする。だから、悪いがもう一言、言わせてもらう。


提督「あっ!もしかして、実はお前、二人を盾にして生き残っちゃったのか?」


ダァン!!!


満潮「ふざけるな!!!このクソ司令官!!何も知らないくせに、勝手なことばっかいってんじゃないわよ!!!!」


提督「…」


そうだ、もっと怒れ。もっと内に溜めたものを吐き出しちまえ。


満潮「あの子達を犠牲にしてまで生き残りたいなんて思うわけなけないじゃない!あの子達は、…私を…、かばって…」ポロポロ


満潮「何、やってんだろ。クソなのは…司令官じゃなくて…私だ…。あの子達は私のせいで沈んだのに…私は…私だけ…」ポロポロ


提督「満潮…」スッ


満潮「!!触らないで!!!」バシッ!


提督「っ」


満潮「なんで…、なんでよ…。私たち、お国のために頑張ったじゃん。それなのに…どうして?…どうしてこんなに辛い思い、しなきゃいけないの…?」ポロポロ


提督「…」


提督には、その質問を答えることはできなかった。その答えは提督自身も持ち合わせていなかったからだ。だから、提督は確かに言える一言を満潮に告げる。


提督「……満潮、俺はお前に言えることが一つある。それは、お前は死ぬべきだった、なんて言ってはいけないということだ」


満潮「…」ポロポロ


提督「お前は庇われたという自覚がある。つまり、その子達はお前に生きてほしいと思ったからこそ、お前を庇ったんだ。満潮、庇われたほうは助けられた分、生きなきゃいけない義務がある。死んで償うことこそ、その子逹の思いを踏みにじる行為に等しいんだ」


満潮「…何よ、急に。さっきまであんなこと言ってたくせに」ポロ ポロ


提督「ああ、さっきまでのは自分でも最低だと思うよ。だから、俺にできることは何でもする。けど今は、満潮に、ここで、笑って過ごしてもらえるよう、例え許してもらえなくなろうと、非道と言われようと、この方法をとる」


満潮「…でも、私…」ポロポロ


提督「自分を許せないと言うなら、やれることをやっていこう」


満潮「あの子達のために、私ができること…。そんなの、思い浮かばないよぉ」ヒック エッグ


提督「そうだなぁ…。それじゃあ、まずは笑うことから始めようか。その子達も、きっとお前に幸せになってほしいハズだ」


満潮「…そんなわけ」ポロ


提督「俺だって、誰かを庇ったら、その子の幸せを祈るさ。だから笑おう。その小さなことから始めていこう。一人が辛いっていうなら、俺もいるし、時雨や雷、霞や曙、みんないる。だからさ、」


満潮「ふぅ、ぅぅぅ…」ポロポロポロ


提督「一緒にがんばっていこうよ、満潮」

満潮「うわあああぁぁぁぁ~~!!」



間宮「…」


間宮は執務室の扉の前で途中からこのやり取りを聞いていた。何かあったら自分も会話に参加しようと思っていたから。

でも、そんな余地はなかった。提督は見事、満潮の本音を引き出して受け止めた。

提督は言って欲しい言葉を的確に私たちに言ってくれる。


間宮「…すごい人です」


でも、じゃあ提督の思いは、誰が引き受けてくれるのだろうか。あの人が溜め込んだものを吐き出しているところを見たことがない。これだけいろんな子達の思いを聞き、受け止め、慰めて…、ストレスがたまらないわけがないのだ。


間宮「…」


できれば、その役は私が引き受けたいですね。

そんなことを考えながら間宮は食堂に戻っていった。


ーーーーー

ーーー



あれから一週間ほどが経った。

満潮は、まだぎこちない部分もあるけど、前よりはかなり思ったことを口に出してると思う。


時雨「提督!大変だよ!」バアン


提督「ノックぐらいしようよ。…で、どうした?」


時雨「A鎮守府の提督が訪問しににきた」


R鎮守府正門


A提督「おぉ、R提督殿、すまないね、突然来てしまって」


提督「驚きましたよ、それで?どうかしたんですか?」


A提督「いえいえ、すぐに済む話だ。ウチの満潮を返しもらいたい」


提督「…」


A提督「それにしてもR提督殿、嘘をつきましたね?アナタは保護した艦娘の鎮守府を探していると言っていた。ところがどうだ?訪問した鎮守府はウチのところだけと言うじゃないか。つまり、アナタは満潮がウチの艦娘だと知りながら黙っていた。これは立派な軍規違反だ。けれど、安心したまえ、私は上に報告などはしたりしない。反省している、という誠意さえ見せてくれればこの件は水に流そうじゃないか」ハハハ


曙「あいつ…!」


霞「…なんて外道な」


提督「…」


A提督「さて、それでは満潮をこちらにひき」

提督「断る!」


A提督「…君、立場がわかっているのか?」


提督「ったく、さっきからどうでもいいことを長々と話しやがって…。そんなこと言ったら、そっちはどうなんですか?」


A提督「…どういう意味だ?」


提督「脱税に賄賂、それに自分より立場の低い人間を騙して襲ってるとも言うじゃないですか」


A提督「なっ!?」


提督「これくらい、調べればすぐに出てきますよ。でも、この件は黙っといてあげますよ。軍規違反はお互い様なので」ニコ


A提督「」ギリッ


提督「それではお帰り願いますか?」


A提督「……、貴様は何もわかってない!今、我々の海域では深海棲艦がかなりの数迫ってきてる。少しでも多くの艦娘が必要なのだ!満潮は俺のところに長いこといた艦娘だ。練度は99に達している。これは貴重な戦力だ。故に!こんな場所に置いといていい物ではないのだ!」


提督「…その貴重な戦力を見殺しにしようとしたのはアナタだ。それと、」


「満潮は物じゃない!!」


A提督「」イラッ


提督「…」


A提督「ふふ、ふははは!そうかそうか、ならしょうがない。……私、A鎮守府提督は決闘を申し込む!」


提督「何…?」


A提督「演習は何か予定がなければ断ることは許されない。そして私は日にちを指定しない。つまり、貴様は絶対にこの決闘を拒むことはできない!」


提督「」ギリッ


A提督「で、そちらの要求は満潮だったな。なら、こちらも満潮と同等の要求をさせてもらおうか」


提督「な!?待て、それはおか」


A提督「そうだ、確かそっちには二抗戦がいたな。練度にはいささか不満があるが、こちらは飛龍と蒼龍を要求しよう。これ以外は認めん」


艦娘逹「!?」


提督「」


おいおい、マジかよこいつ。こっちは相手が持っている以上の弱みを握ってるんだぞ。それなのに、こちらにも要求するだと?頭イカれてるのかよ。

無論、こんなメチャクチャな言い分は通らない。そう思った提督は要求を拒否しようとした。…のだが、


満潮「」スッ


提督「満潮?」


急に満潮がこちらに歩いてきた。

ちょっと待て。まさか…。


満潮「すいません、提督。私のせいで迷惑をかけて。でも大丈夫です。私がこっちに戻れば済む話なので」


A提督「おいおい満潮、提督は俺だろ?何ふざけてるんだ?」ニヤァ


満潮「…そうでした、すいません提督」


潮「そんなのおかしいよ!何で満潮ちゃんがそっちに行っちゃうの!?」


曙「そうよ!そいつの言い分、さっきから意味不明じゃない!そんなの聞く必要はないわ!」


満潮「…」


提督「」


マズい…。このままじゃ、あんなクソ野郎に満潮を連れていかれる。あの野郎、これを読んでやがったのか!


飛龍「提督!」


提督「!」


飛龍と蒼龍がこっちを見て首を縦にふっている。

私たちを賭けざらにのせてもいいから満潮を止めて!

そう言ってるのがなんとなく伝わる。

…クソが!


提督「その決闘、受ける!」


満潮「!!?」


A提督「………ほう」


提督「日時と場所は追って伝える。後、決闘が終わるまではこちらで満潮を預かる」


A提督「…ふん、まあいいだろう。では、私たちはここらで一時金退散させてもらうよ。決闘、楽しみにしてるいよ、R提督殿」


そうして同行していた艦娘と一緒にA提督は帰っていった。

ーーーーー

ーーー



1732 食堂


高雄「さて、どうしますか…」


雷「相手は最前線で戦っている艦娘逹。練度99は当たり前だろうし、」


霞「ケッコンカッコカリによる限界突破をした艦も複数いるでしょうね」


愛宕「う~ん、正直、勝てる気がしないわね」


提督「そうか?」


潮「そうか、って…」


曙「ったく、これだからクソ提督は」


提督「あぁ?」ギロリ


曙「ひぃっ」ビクッ


霞「なんでアンタは自分から地雷踏みに行くのよ…?」


雷「司令官、よく聞いてね。相手は最低が99。対してこちらの最高は高雄さんの78。どう考えても勝てるハズがないのよ」


潮「正直、私達じゃあ、相手にダメージが入るかどうかも怪しいところで…」


蒼龍「…現実的に考えて、勝てる確率は0、かぁ…」


飛龍「…」


提督「いや、何言ってるんだよ。あんなふざけた野郎との決闘でお前らを巻き込むわけないだろ。俺が一人で全員相手してやるよ」


艦娘逹(雷&時雨以外)「はっ!?」


雷「あぁ~」


時雨「なるほど、そういう手があるか…」


霞「いやいや、出すわけないじゃない!アホなの!?」


潮「そうですよ!いくら水上歩行ができるからって、提督はただの人間、危なすぎます!」


提督「まあ、確かに素手じゃ流石にきついから…、明石」


明石「は、はい!何ですか?」


提督「…」ボソボソ


明石「わ、わかりました。では、すぐにとりかかります」


提督「頼んだぞぉ~」


曙「ちょ!人の話聞きなさいよ、このクソ提督!」


潮「あ、曙ちゃん!?」


霞(もうワザとやってるんじゃないかしら、アレ…)


この後、曙は大変怒られましたw


ーーーーー

ーーー



1週間後 1000 演習場


提督は一人で相手がくるのを待っていた。提督の艦娘逹は近くにある観察塔におり、その様子を伺っている。


青葉「いやぁ、中々来ませんねぇ」


艦娘逹「!?」


雷「あ、青葉さん!?」


曙「最近見かけないなとは思ってたけど…」


高雄「一体どこに行ってたの、アナタ」


青葉「その感じだと、皆さんあまり心配してくださらなかったんですね。青葉、悲しいです」


高雄「いや、その、そういうわけじゃぁ…」


愛宕「ちょっといろいろあったからねぇ」


潮「あ!A鎮守府の方が出てきました!」


A鎮守府の艦娘たちが提督とは反対側から出てくる。その中にはケッコンカッコカリの指輪をした艦娘もちらほら。


青葉「…マズいですね」


雷「嘘!?戦艦長門!?」


飛龍「しかも、ケッコンカッコカリしてるっぽいね…」


蒼龍「勝率は絶望的、かぁ」


満潮「…」


相手艦娘

 ケッコンカッコカリ済み 長門 筑摩


 練度99  重巡一隻 駆逐二隻


長門「ん?相手艦娘の姿が見えないな」


筑摩「というかより、あそこに立っているのって、相手鎮守府の提督ですよ」


長門「どういうことだ?……よろしいだろうか!少し聞きたいことがあるのだが!」


長門は提督に向けて大声で話しかける。

それに対して提督も少し大きめの声で返事する。


提督「何だ!?」


長門「まだ演習相手を我々は見ていないのだが!」


提督「何言ってる!ここにいるだろうが!」


筑摩「ここにって…、まさか!」


提督「俺が相手だ!」


長門「…なるほど、どうやら私達はなめられているらしいな」


筑摩「って、言ってる場合じゃないですよ。R提督!アナタは生身の人間ですし危険です!」


提督「問題ない!君たちも日頃人間に対しての不満がたまっているだろ!今ここで存分にぶつけていこよ!」


筑摩「…、そういうことなら」


駆逐艦A「え?いいの?」


駆逐艦B「本人がああ言ってるんだし、いいんじゃない?」


A提督「くく、確かに戦線に共に出て戦う提督もいると聞くが、たったの一人で我が艦隊を相手に出来ると思ったのか?とんでもない阿呆だな」ハハハ!


R鎮守府の艦娘逹とは別の観察塔にいるA提督も完全に提督のことを侮っていた。

その間に演習開始のアナウンスが流れだす。


『演習を、開始してください』


長門「まあ、何かあったらあっちの責任ということでいいだろう。それではや」

バッシャアァァァ!!!


敵艦娘「え?」


長門が話し終わる前に提督は駆逐艦Aの目の前まで一瞬で移動し、頭を思いっきり水面に叩きつけた。駆逐艦Aはその衝撃で大破する。


提督「…おい、もう戦闘は始まっているぞ。何を流暢に話してんだ?」


その場にいたほとんどの者が今、何が起きたかを把握できていなかった。提督の実力を見たことのある雷や時雨さえも今の出来事には驚いていた。敵は練度99、それを一瞬で退場させたのだから。


『艦娘が大破しました。残り、A鎮守府戦力、戦艦1、重巡2、駆逐艦1』


長門「ぐっ、筑摩!コイツは私が足留めする!その間に陣形を立て直して援護してくれ!!」


筑摩「りょ、了解!」


そうして長門以外の艦娘が一時、提督から距離をとる。長門は提督と筑摩逹の間に立ち、提督を通さないよう接近する。


グッ、っと提督は右腕に力を込めて長門が射程距離に入るのを待つ。そして、


ドキャ!!! バシャァァ...


提督の渾身の右ストレートが長門に炸裂する。水の上ではこの衝撃に耐えられず、凄い勢いで吹き飛ぶ。だが、流石は戦艦。この一撃を受けても長門は小破すらしなかった。


長門「ぐっ、ふぅ、な、何だ…?この威力は」


説明しよう。実は、今提督が身につけている黒い手袋は明石が作った、明石製強化手袋なのである。これを身につけたものは、握力、腕力が共に1.5倍まではね上がるのである。勿論、明石が作ったのはこれだけではない。提督が着ている黒色のジャケット、これも明石作である。名付けて、明石製対艦娘&深海棲艦用防護戦闘服。…名前長っ。コホン、これを着た者はすべてのダメージを軽減する。けど、提督にはいらなかったかもしれないね。

そして、もう1つ…。


筑摩「長門さん!」


提督「よそ見をしてる場合か?」


長門を吹き飛ばした後、提督はすぐに筑摩逹との距離を詰める。そした、筑摩の横にいた重巡をなぎはらう。


バシャアァァン!!!


『艦娘が中破しました。残り、A鎮守府戦力、戦艦1、重巡1、駆逐艦1』


筑摩「一旦距離をとって!」


筑摩の指示により駆逐艦Bも距離をとろうとする。だが、それを見逃すほど提督は甘くない。

すぐに駆逐艦Bの腕を掴み、筑摩に向かって投げ飛ばした。それにより、筑摩は小破、駆逐艦Bは大破する。


『艦娘が大破しました。残り、A鎮守府戦力、戦艦1、重巡1』


筑摩「う、ぅぅ…」


長門「まさか…、こんなことが…」


A提督もこの状況に驚愕していた。

我が艦隊があんな一人の提督にここまで圧されるなんて…。有ってはならない、有ってはならないんだ!


A提督『何をしているだ、長門、筑摩!!早く二人がかりでその男を潰せ。さもないと貴様ら、後でどうなるかわかっているなぁ!!』


長門「くっ…」


筑摩「うぅ…」


提督「…」


自分の仲間がここまで傷ついているのにあの言い様。本当にクソだな、あの男。


提督「…お前らも辛いよな。あんな無能が司令官で」


長門&筑摩「…」


提督「悪いが、もうこれで終わらせてもらう」


提督はそう言って水中の中に潜る。

明石が開発したもう1つの兵器は、


提督『明石、アレのチャージ具合は?』


明石『現在52%です』


提督『…そういえば、100%までチャージするとどれくらいの威力が出るの?』


明石『そうですね…、R鎮守府は余裕で吹き飛ぶ威力は出ると思います』


!!?


提督『す、ストップ!チャージはそれまででいい!』


明石『わかりました』ブツッ


ったく、なんて物作っているんだ。確かに、飛びっきりのを、とはいったけどさぁ…。限度があるでしょ、限度が。


提督が潜った理由、それは水中にあらかじめ接地しておいた、明石式360mm水圧砲を使うためだ。この兵器は水中でしか使えない。この兵器は重く、そして大量の水を必要とするためである。提督は水圧砲のトリガーに手をかける。


提督(ターゲット、観察塔、A提督、ロックオン)


そうして標的を定め、トリガーをひいた。


提督(ファイヤ!!!)


ドシャアァ!!  パキッ!


圧倒的な威力の水の彈が圧し出された。水面は荒れ、観察塔のガラスにはひびが入っていた。

そもそも、観察塔のガラスは艦娘の流れ弾がもし飛んできても耐えられるよう作られている。

その強化ガラスにひびが入ったのだ。

明石、恐るべし。


A提督「あ…、あ…」ペタッ


A提督は、あまりにも一瞬の出来事に驚き、腰が抜けてしまった。

ザバッ、っと提督は水中から出る。そして、観察塔にいるA提督に聞こえてるように通信機を耳にかける。


提督『あーあー、聞こえるな?恐怖なんて感じるのは久しぶりなんじゃないか?』


A提督「」ガクガク


提督『艦娘逹はそれ以外の死の恐怖といつも戦っているんだ。その子達にお前は今まで何をしてきた?』


A提督「う…、あっ…」ビクビク


提督『いいか!その恐怖、絶対に忘れるな!!そして、これからは彼女達のことをもっと大切にしろ!わかったか!!!』


A提督「は、はい…」ガクガク



筑摩「…あ、アナタは…、一体…」


提督「…さて、まだ演習は終了していないわけだが、どうする?」


長門「………ふっ、我々の降参だ」


提督「そうか」ニッ


『A鎮守府側が降参しました。R鎮守府側の勝利です』


ワッ


観察塔にいた時雨逹が一斉に喜びの歓声を上げる。特に飛龍と蒼龍は涙さえ流しているようだった。


満潮「」ギュッ



1402 演習場帰路


飛龍「いやぁ、それにしても提督、すごかったねぇ」


蒼龍「うん!本当びっくり!」


あの時は何かの比喩表現かと思ってた。でも、提督の言ってたこと、全部本当なんだ。そっか、提督も私達と同じなんだ…。だから提督は、私達のことをよくわかってくれるんだ。


蒼龍は以前、自我崩壊を起こしそうになった時のことを思い出していた。あの時、提督は蒼龍にこう告げていた。


「俺もお前と同じ、兵器だ」


と。


青葉「青葉、もっと提督のことについて知りたくなっちゃいました。帰ったら取材させてください!」


提督「んー、今日はダメだ。明日、例のことも兼ねて受けてやるよ」


青葉「了解です!」ビシッ


潮「でも、本当に強かったよね、提督」


曙「ええ、もう私達なんて必要ないんじゃない?って思うくらいだったわ」


提督「そんなことはないぞ。お前逹は俺にとって絶対に必要な存在だ」


曙「あ///」ボッ


霞「それぐらい圧倒的だったってことよ、わかりなさいよ、このクズ///」


提督「おい、何で俺、今罵倒されたんだ」


愛宕「さあねぇ」クスクス


高雄「///」


提督「?まあいいや。そろそろ卯月と北上も慣らすために出てもらった遠征から帰ってくることだし…」チラッ


艦娘逹(一部のぞく)「」コクッ


提督「帰ったら忙しくなるぞ!」


飛龍「?どうゆうこと?」


蒼龍「何かあるのかな?」


満潮「…」


満潮は演習が終わってから黙ってしまっていた。まあ、何か思うところがあるのだろう。


ーーーーー

ーーー



卯月「急に呼び出しって何ぴょん?」


北上「さあねぇ、まだ夜ご飯の時間には早いしねー」


卯月、北上、飛龍、蒼龍、満潮の5人は先程来た子達によって食堂に集合をかけられていた。


1923 集合


卯月「ぴょん!?」


北上「…真っ暗、だねー」


飛龍「どうしちゃったんだろう?」


パッ


飛龍逹「」ビクッ


全員(飛龍逹除く)「「ようこそ、R鎮守府へ!」」


飛龍逹「「へ?」」


提督「ウチでは毎回、新しい子が着任すると歓迎会をするようにしてるんだ」


飛龍「…歓迎会?」


提督「まあ所謂、サプライズパーティーだ。今日は思う存分、楽しんでくれ!」


卯月「うわぁ!いっぱいお料理があるぴょん」


北上「これはすごいねぇ」


蒼龍「行こう、飛龍」


飛龍「うん、今日は思いっきり食べるぞぉ!」


満潮「…」


提督「どうした?満潮」


満潮「…私、ここにいていいんでしょうか?」


提督「?」


満潮「私は、あの子達の犠牲の上に生きている。司令官はいい人で、ここでは皆明るい。本当に楽しいところです」


提督「だったら…」


満潮「だからこそ!私は不安になるんです。私だけ、こんなに、良い思いをしていいのかって」フルフル


提督「…ハァ、お前は気にしすぎなんだよ」ポン


提督は満潮の頭の上に手を置いた。それと同時に満潮は涙を流し始める。


提督「言ったろ?その子達の分まで生きろって。だから、幸せになってもいいんだよ。お前がその子達のことを忘れさえしなければな」ナデナデ


満潮「……で、でも」ポロッ


提督「ゴチャゴチャうるさい。もうお前は正式にウチの仲間なの。だからウチの方針には従ってもらう。だからな、」


「楽しもう」


言い方はアレだったが、凄く優しく満潮にその言葉を告げた。

満潮を縛るものはもうないんだ。

提督はただ、この一言を満潮にわかってほしかったのだ。


満潮「うぅ…、ひっく…」ポロポロ


提督「さあ、行こうか満潮」ニコッ


満潮「グスッ、はい!」


そうして今夜も賑やかR鎮守府のパーティーが始まった。


ーーーーー

ーーー



同時刻 大本営


元帥「それは真か?」


部下A「はい、通信部から多くの深海棲艦がこちらに集まってきてるとの報告がきたので、間違いなく」


部下B「もしかしたら、ここらの深海棲艦が結託し始めてるのかもしれません」


元帥「ぬぅ」


部下A「どうなさいますか?元帥殿」


元帥「……川内逹をここに呼べ」


部下B「了解!」




一時間後


川内「どうしたの?元帥」


神通「ね、ねえさん!口の聞き方に気を付けないと」


元帥「いや、そんなことはいい。それより、用件を話す」


那珂「何々!?那珂ちゃんの歌が聞きたくなったとか!?」


神通「那珂ちゃん、アナタまで…」


元帥「残念ながら違う。君逹に行くように命じてたあの鎮守府に一刻も早く行ってほしい。ややこしい規則はすべて無視してくれて構わん」


神通「わかりました」


元帥「それと、練度偽装の件だが、アレはしなくていい」


神通「!?」


川内「んー、それだと調査しづらくなるかもしれないよ。最高練度の艦娘がいきなり大本営から送られてくるなんて、何かあるって思って、思いっきり警戒されちゃうよ」


元帥「構わん。調査は行わなくても、すで今日のA鎮守府との結果でわかった」


那珂「おお!それでそれで!?結果は?」


元帥「間違いないだろう」


川内逹「!!!」


川内「そっかぁ…、そうなんだ…。えへへへ」


神通「嬉しそうですね、姉さん」


川内「そりゃあね、私の上って今までいなかったからね」


那珂「那珂ちゃんも早く会いたいなぁ」


神通「そうですね、私も楽しみです」


川内「うん、…やっと会えるんだぁ」


「お兄ちゃん」


元帥「……お前ら、そういうのは任務聞いてからやれ」


後書き

更新遅くなりました、すいません。いやぁ、何だかんだで大詰めを迎えそうです。ストーリー的には、一回番外編出してから最終章にいこうと思ってます。ちょっと無理矢理艦これ設定をいじるところもありますが、最後まで読んでいただけると嬉しいです、はい。あ、それと、多分次の更新も遅くなると思います。理由は別サイトで小説を投稿し始めたからです。いや、最後までやってからやれよ、ですか?いやですね、すいません。返す言葉もありません。とりあえず、そういうことで。それではまた次回で。


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2018-04-03 09:29:44

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5件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2017-09-16 05:30:51 ID: dJze03X_

悲しいね。長く戦いが続くと人間は疲弊し摩擦し心を殺してしまう。
忙しいという字は心を亡くすと読む。
言葉の通りに心を亡くすことで痛みを忘れて初めて生き残れる
この提督が痛みを忘れずに生き残る。その為にも彼には友が必要だよ
殴ってでも心を思い出させてくれる対等の友が必要だ

2: SS好きの名無しさん 2017-09-16 08:16:44 ID: dJze03X_

ミッチーが幸せだと自分も嬉しいw

3: SS好きの名無しさん 2017-09-17 20:13:16 ID: lz26XEos

提督は強い。はっきりわかんだね。

4: SS好きの名無しさん 2017-10-16 13:24:24 ID: J9i0WZzY

続きが見たい!

5: SS好きの名無しさん 2018-08-31 00:47:14 ID: vcvsMILe

水圧砲…ハイパープレッサー…
うっ頭が


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