戻ってきたアホ提督〜地獄篇〜part2
地獄篇第2弾!!!
※オリキャラ注意
どうも。第2弾です。今回のシリーズはオリジナルのキャラクターを混ぜてみました。すみません。許してください。
今回も濃い内容になってると思います!それでは後書きでお会いしましょう。
「お前あの事件知ってるか???」
「あの事件???」
月の光が背の小さい男とガタイのいい男を照らしていた。ガタイのいい男は腕を組み背の小さい男と話していた。
「人間が深海棲艦に拉致されて何人も死人が出た事件だ」
「あぁ!あの……えっと確か1人だけ助かってそいつは今も生きててしかも半分深海棲艦なんだっけ?」
ガタイのいい男はこくこくと頷いた。
「んで?今回のミッションはそいつを殺すの?」
「いや、仲間にするんだ。あいつは深海棲艦の中でもトップクラスの血を持ってる。半分だから力は半減してるがな」
背の小さい男はつまんないと言ってどこかへ行ってしまった。
月が雲に隠れて外は真っ暗になった。
提督「なんだよこの手紙……本当の戦争……?」
俺は机の上で肘をついて悩んでいた。
長門に渡された手紙には本当の戦争が始まると書いてあった。
レ級は味方?敵?そもそも戦う意志がないのか……
考えても無駄だと思った俺はカップラーメンを作ろうとした。
現在時刻は深夜の2時。胃もたれが怖いけど太るためにも食べなければいけない。
本当の戦争、今までがチュートリアル。
要するに元帥の計画も艦娘が深海棲艦になったのもすべて知っていた……?
ずっと悩んでいると後ろから視線を感じた。
視線を感じた先に立っていたのは戦友、瑞鶴だった。
瑞鶴「こんな時間からラーメン……」
提督「カップうどんあるから食べていいよ」
瑞鶴「太るからやだ」
あっさり拒否されてしまった。
戦友、瑞鶴。彼女には本当に世話になった。
少しの間加賀さんと喧嘩してた時もあったけど色々あって解決。今は第一艦隊のリーダーとして毎日頑張ってもらっている。
今回のことを瑞鶴に聞いてみるべきかどうか……
俺は手紙をゴミ箱に捨てた。
瑞鶴「レ級……何考えてるんだろうね」
提督「そーだな……やっぱり深海棲艦の中にも和解したいやつはいるんじゃないのか?」
瑞鶴「なにか隠してるでしょ」
すげぇなこいつ。なんでわかるの…
提督「まぁ隠してないって言ったら嘘になる」
瑞鶴「レ級になにかされたの?」
提督「いやそういう訳じゃない。手紙を渡されたんだ。中見てみ」
ゴミ箱から手紙を取って瑞鶴に渡した。
瑞鶴はなにこれ…って言いながら手紙の中身を恐る恐る見ている。
瑞鶴「チュートリアル……!?アレが!??」
提督「シッ!声でかいって!」
瑞鶴「ごめん……」
提督「多分俺が深海棲艦の血を持ってるから俺のところに寄ってきたんだと思う」
瑞鶴「まだ治ってないんだっけ」
提督「おう。あと2年はかかるらしい」
瑞鶴「あんまり無理しないでよ……」
提督「大丈夫だってw」
ーーーーー
いつも通りの朝が来た。
出張の準備をして外に出る。門を通り過ぎた先には見知らぬ車が止まっていた。
「お待ちしておりました。選ばれし者よ」
人1倍強そうな男が俺を選ばれし者と呼んでいた。
提督「選ばれし者?よくわかんないけど俺忙しいから」
「あなたはあの事件の生き残りですよね?」
足が止まった。こいつ……何を知ってるんだ?
「まさか敵にあの事件の生き残りがいたのは驚きました。見た感じ侵食は徐々に改善されているようですね。トップクラスの血を失われては困ります……あなたには戦ってもらわなければいけないのに」
何を言ってるか分からない。あの事件、思い当たるのはあれしかない。
人間拉致事件。
俺は過去に深海棲艦に拉致されて深海棲艦になりかけた。明確な目的は分からず、結局事件は闇の中に消えていった。
俺が元帥と戦えたのも深海棲艦の血が体の中を巡っていたからだ。驚く程に俺の体に深海棲艦の血は適応していった。だが我が鎮守府の医療班と明石のお陰で徐々に回復している、という状況だった。
「私、岳と申します。あなたに相談があってここにやって来ました。」
提督「俺ほんとに忙しいから他の人に相手してもらって。電話するからさ。頼むよ」
岳「えぇ、他の方でも問題はありません。私が問題を起こさない限り、ね」
威圧的な態度にイラッとした俺は瑞鶴にありのまま伝えて出張に行った。
瑞鶴side
演習も出撃もない休日。我が鎮守府の提督は出張で朝早くから出かけてしまった。おにぎりを作って渡すつもりだったのに……
ゆっくりと起き上がって髪を結んでいるとスマホから音が鳴っていた。画面には提督という文字が表示されていた。
またいつもの忘れ物か……と呆れながら電話に出るとかなり緊迫したような感じだった。
瑞鶴「え?なにどうしたの?」
提督『よくわかんねぇけど俺のことに関してめちゃくちゃ詳しいやつが急に話しかけてきた。俺は全く知らない人なんだけど……伝えたいことがあるから来たらしい。瑞鶴、対応してくれ。あと、何かあったら絶対に俺に言え。最悪横須賀が……俺の鎮守府が壊れてもいいから、やばいと思ったら殺せ』
何を言ってるかさっぱり分からないが対応しないといけないという事が充分伝わってきた。
瑞鶴「うん、わかった」
電話を切った私は外でずっと立っている人を呼んで応接室に連れてきた。
瑞鶴「お茶、どうぞ」
「あぁ、ありがとうございます」
瑞鶴「どのようなご要件で……?」
ガタイのいい男はゆっくりと口を開いて話し始めた。
「私、岳と申します。あなたの提督、深海棲艦ですよ。」
瑞鶴「いや知ってますけど」
なんでこの人当たり前のこと聞いてきたんだ?
ガタイのいい男、岳は驚いた顔をしていた。
瑞鶴「提督が深海棲艦ってことは知ってますし本当は人間ってことも知ってます。何せずっと横にいましたからね。」
岳「それじゃああなたには真相を伝えることができますね」
岳は悲しそうな顔をして話し始めた。まるであの時、提督が自分の親を殺した時のような。
「人間拉致事件はご存知ですね?あの時捕まってしまった人は約10000人、死者9997人、その場で死にました。死因はほとんどが深海棲艦の血を注入されたからです。じゃあ死んでしまった人以外の残りの3人。誰か分かりますか?」
「あなたの提督と僕と、もう1人背の小さい男が生き残ったんです。本当に怖かった。周りの人間が、見なことない人間が助けを求めてくるんです。『まだ死にたくない』『嫁と子供がいる、助けてくれ』と」
「僕を含めた3人は協力して収容場から逃げようとしました。その時はまだ小さかったから記憶は曖昧ですけどね」
「一方その頃本土の、鎮守府は何をしていたか。ご存知ではないですよね?拉致されてしまった人たちを助けるために各鎮守府から選ばれた艦娘が集められ救出作戦が始まっていました。そのことを知ったのはつい最近です」
「僕達は収容所から外に出ることに成功しました。街に帰ろうと三人で決意して海を泳ごうとしたんです。真夜中で怖かったけれど死にたくないって思いが強かったんでしょうね」
「海を泳ごうとして飛び込んだ瞬間沈まなかったんです。あなた達艦娘は艤装を装備してやっと水上を走ることが出来ますよね?僕達3人は何も装備してなかったんです。なのに浮くことが出来た。」
「僕達3人は訳が分からない状況になりました。何せ人生初の経験ですからね。しかも海の上に立っているって状況ですから」
「海の上で動くことができることを知った僕達は街に帰るために必死に前に進みました。その道中、救出作戦メンバーの艦娘達が前から来ていることに気づいた僕達は助けを求めました。しかし」
「僕達は攻撃されました。きっとあの人たちに指示を出していた人たちが会ったやつはすべて殺せ、みたいな命令をしてたんでしょうね。身の危険を感じた僕達は死んでしまった深海棲艦の砲台を使って作戦メンバーの1人……陸奥を殺しました」
「メンバーの方々は驚いてましたよ……何故こんな子供が陸奥以上の戦力を持っているのか……ってね」
「僕達は撤退した作戦メンバーにこっそりついて行って途中で見つけた山の中に隠れました。あの時の会話は今でも覚えてますよ…」
ーーー事件当時ーーー
少年「どうするんだよ……!ほんとに人を……艦娘を殺したんだぞ……!?」
岳「馬鹿野郎。お前は何も分かってない。あのまま攻撃を受けてたら死んでたかもしれないんだぞ?考えてから物事を言え!」
提督(幼少期)「なんで僕達は海の上で動くことができたんだ……?」
岳「俺たちの体は多分深海棲艦の血にかなり適応してるんだと思う。血を注入された人たちはみんな目の前で死んだ……俺達が生きてるのはきっとそういう理由だと思う」
少年「この後俺たちはどうするんだ?」
岳「提督……お前は生きろ……!絶対に!そしてこの事件を世間に伝えろ!!!!」
提督「じゃあ君たちは…!」
岳「いいんだ。とにかく逃げろ。山を降りたらすぐ横須賀に着くはずだ。明かりが見える。」
提督「絶対に君たちも生きてくれよ…!」
ザッザッザッ………
岳「行ったか……よし。俺たちは戦うぞ」
少年「まじで言ってるのか!!??相手は熟練どころか普段訓練を受けてるやつらだぞ!!?俺たちみたいな貧弱がっ!?」ガシッ
岳「俺らが戦わなくてどうする……死ぬだけだぞ。俺たちはきっともう……深海棲艦になっている……後戻りできないんだ。」
少年「………」
岳「あいつのためにも生きて帰るぞ」
ーーーーーーーーーー
岳は悲しそうな顔をして私の顔を見た。救いを求めるような。
瑞鶴「そんな過去が……それで私たちに何の用ですか??」
岳「協力して欲しいんです。僕達3人は命を狙われています」
瑞鶴「命を狙われている……?まさかあんた!!」
岳は申し訳なさそうに頷いた。
前回の事件で死にかけた彼がまだ命を狙われている。なぜ彼はそんなに狙われるのか……。私には分からない。
岳「レ級がこの前ここに来たはずなんですけど……」
瑞鶴「えぇ。来ましたよ」
岳「彼女を筆頭に我々は戦争賛同派を潰すために毎日戦っています。僕達3人は戦争賛同派にとって脅威なんです。普通じゃないから」
瑞鶴「あなたと一緒にしないで。あの人は……どれだけ深海棲艦の血が入っていようがここの……私たちのために戦い続けてた。普通じゃないあなたと普通じゃないけど人類のため、艦娘のために戦う人……どちらが立派でしょうね?あなたは努力の1つくらいしたのかしら?艦娘を殺した深海棲艦が。綺麗事ほざくな。殺すぞ」
岳「くっ…貴様ッ!!!」
瑞鶴「おっと、暴力ですか?フッ…他人を巻き込んで最終的には暴力ですか……これを見て頂きたいんですけど」
岳の目の前にレ級から渡された手紙を叩きつけた。
岳はうっ…と小さい声を出した。動揺している。他に隠していることがあるはずだ…今日はこいつから全てを聞き出すまでは帰すつもりはない……。
瑞鶴「さぁ……隠していること全て吐け。じゃなきゃここにいる艦娘がお前を殺す。たとえ化け物でも一気に砲撃食らったら耐えれないでしょ?ほら、はやく!!!全部吐けよ!!!!!」
岳「彼の……彼の出張先は……ミッドウェー島だ……彼はもう既に戦争賛同派と戦っている」
瑞鶴「………まだ隠してるだろ。本当に殺すぞ」
岳「彼は……もう戻れない。僕達3人はもう普通の人間には戻れない。絶対に。深海棲艦の血は一度入ると抜くことができない。そして彼はあの事件の時1番血を注入された。だから化け物級、そして賛同派の脅威」
日はゆっくりと暮れていた
一方その頃……
提督「うぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
右手に握られた刀で深海棲艦を切って切って切りまくる。
提督「それにしても……この刀かっけぇ……なぁ深瀬」
深瀬、と呼ばれた少年は俺に駆け寄ってきた。背が低くてとても可愛らしい少年。
深瀬「でしょでしょ!??うちの製造班は恐ろしい程に切れ味抜群の刀作るからね!」
ミッドウェー島付近。俺は深瀬という男に連れられて体を隅々まで調べられて軽く艤装を付けられて刀を持たされた。
状況を、全く読めなかった俺をあのレ級が簡単に説明してくれた。
どうやら俺に断られたのが諦めきれないらしく、どうしても仲間になって欲しいらしい。
岳は俺の鎮守府にいる艦娘達の説得。深瀬は俺の戦闘データを入手するため出張と偽って俺に嘘の通知を送ってきた。
俺の戦っている相手は戦争賛同派、らしい
よくわかんないけど裏の俺が出なくても全然戦える。恐ろしい……。
ゾロゾロと敵艦が出てきては俺が切って倒すだけ。簡単な事だ。
提督「んで??いつ帰れるよ?」
深瀬「近い内に♡」
提督「気持ち悪い」
深瀬「ひどいなぁ!」
瑞鶴は今頃何をしてるんだろうか……。
今すぐ戻りたいけど戻れない。目の前の深海棲艦を全て倒さないともしかするとうちの艦娘がやられるかもしれない。
敵の敵は味方、という言葉は本当だった。
どうだったでしょうか?楽しんで頂けたら幸いです。これからもどんどん書いていくのでよろしくお願いします!
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