2024-05-24 06:00:57 更新

概要

修正完了(2024/05/24)
この作品は犯罪者に救いの手5の続きになります


前書き

蒼野夜一

【過去に人を何百人も殺めた犯罪者 現在は四季達と仕事して罪を解している】
【過去、天龍遥を佐久間グループから守る為に人を殺めていたが最後の最後で遥に守られ守りきれなかった…】
【体力、剣術、知識が高い万能型的存在(作者は頭悪いですがそこは置いておいてください…)】
【蒼野は死んだのかは不明 佐久間グループ殲滅後謎の人間?らしき者が突如出現し、その謎の人間が出したと思われる謎の空間によって蒼野は裁判所の目の前に居た】
【キレるとかなり危ない】


四季映姫

【幻想郷の閻魔を務める閻魔大王】
【蒼野と一緒に仕事をしている】
【蒼野は犯罪者だが四季映姫は蒼野が行為を持って人を殺してたとは考えられず、四季映姫と共に仕事の手伝いなどをして罪を償う刑にした】


小野塚小町

【四季の部下で亡くなった者の霊を裁判所まで運ぶ死神…だが、よくサボっている】
【よくサボって人里の団子やミスティアの夜雀に居る】


大閻魔

【四季達の上司…だけ】











ドクンッ!!!!!!


蒼野 「かはぁっ!!!!」ビクンッ!! ビクンと体が勢いよく飛び跳ねる


てゐ 「っ!? おい今すごい勢いで宙に浮いたぞ!これヤバくないか!?」


鈴仙 「だっ大丈夫ですか!?」プチプチ…パサッ 蒼野の着てる服をはだけさせる


蒼野 「はぁっ!!はぁっ!!くぅぅぅ…っ!!」ゼェー…ゼェー…


鈴仙 「…っえ」


てゐ 「どうしたんだウサ?…って、え?」


てゐ 「【…傷が、もう治ってる…?】」


鈴仙 「うそでしょ!?あの薬は三日間に割けて治療されていくものよ それなのに経った数分程度で治るはずが!」


蒼野 「はぁっ…はぁ…っなぁ なんか痛みが引いてきたんだが…まさかワクチン打ったのか?」ゼェー…ゼェー…


てゐ 「いや打ってない それよりも体の方はどうだ?まさか動かせたりするか?」


蒼野 「…まだ薬を打ってから数分程度しか経ってないだろ?そんな早く傷が治るわけが…」スッ… 身体をゆっくり起こす


鈴仙&てゐ 「「っ!?」」


蒼野 「…あれ なんで体起こせるんだ?昨日は全然動かせなかったのに」


蒼野 「それに痛みも引いてもう痛くねぇ…この薬は三日間に分けて痛みが襲うんじゃなかったのか?」


鈴仙 「そっそのはずですが…なんででしょう」


てゐ 「私たちもわからない…」


永琳 「相性がよかったのよ」ガラッ… 蒼野の病室に入ってくる


鈴仙 「師匠!」


てゐ 「っげ!来てたのか…」


永琳 「あたりまえでしょ あんな叫び声が病院中響き渡っていたのに来ないわけないでしょ」


てゐ 「たしかに…」


蒼野 「先生 相性が良かったとは一体どういうことですか?相性が良かったから通常三日間かかるはずがこんなにも早く短縮されたんですか?」


永琳 「えぇそうよ あなた昔からけがは治りやすいと言ってたわよね?その体質と薬の相性が合わさって一気に効果が発揮されたのだと思うわ」


永琳 「こんなこと滅多にないことよ 薬と体質がこんなにも合うなんて私も初めて見たわ あなたを実験体に使いたいぐらいね…!」ニヤリ


蒼野 「…実験体にされるのはごめんだな 実験目的で身体を弄られるのはあまり好きじゃないんでね」


永琳 「それは残念ね 実験に使えたら最高だと思ったのに…っね うどんげ?」チラッ


鈴仙 「なんで私を見るんですか…」


永琳 「ちょうど試したい薬があったのだけど…」スッ… どこからともなく薬を取り出して鈴仙に見せる


鈴仙 「…今回はなんの薬ですか?また変な薬じゃありませんよね?」


永琳 「治療薬なんだけど、本来なら人間に使わないといけないものなのよ 妖怪とかが使うと…」


蒼野 「…使うと?」


永琳 「なにかしらの後遺症が残る可能性があるのよ」


鈴仙 「後遺症!?」


蒼野 「…それをその娘に飲ませようとしてるのか?」


永琳 「えぇ だってこの病院の従業員に人間がいないのだからうどんげで試すしかないでしょ?」


永琳 「というわけでうどんげ 今すぐ飲みなさい」


鈴仙 「今ですか!?せめて実験台室でやらせてください!」


永琳 「だめよ 今すぐ飲みなさい」


鈴仙 「えぇーっ!!?」


蒼野 「…はぁ、先生 その実験体、俺にやらせてくれませんか?人間になら害はないんですよね」


鈴仙 「…っえ」


永琳 「えぇ 人間には害がないことは確実よ そういう成分で作ったから安心して」


蒼野 「ならやります この前の治療代も外来人だからいいと支払わずに済ませてもらった恩があるのでやらせてください」


永琳 「別に恩を売ったわけじゃないけど…まぁあなたがそう思うなら恩を返してもらおうかしら」


永琳 「ちなみにこの薬はかなり強力なものだけど、治療薬と相性が合うあなたならより効果が発揮しそうね」スッ 例の薬を蒼野に渡す


蒼野 「…褒め言葉として受け取っておくよ 実験台にされてるとわかってるから嬉しくないけど」スッ…ゴクッ 薬を受け取って飲み込む


永琳 「ちなみにその薬は即効性だからすぐに効き目が現れるわ どう?体の様子は」


蒼野 「…まだなにも」


…トクン


蒼野 「っ!」


永琳 「…始まったようね どうかしら?身体に異変は感じられる?」


蒼野 「…なんか、身体が暑くなってきたんだが…この薬ってなんの治療薬なんですか?」


永琳 「身体全体の生命活動を活発化させる薬よ 筋肉とかが衰えてる人とかにその薬を飲ませて一気に活発化させるものよ」


永琳 「衰えてなくても栄養剤みたいな効果が発揮するわ 調子はいいかしら?」


蒼野 「…気分が良い、とは言い難いですが体調が優れているという実感は湧きます 今の状態なら今まで以上に身体が動きそうです!」


永琳 「それならよかったわ この薬は人間になら市販しても良さそうね」


蒼野 「効果が切れたらなにか副作用とかってあるんですか?」


永琳 「とくにはないわ あるとしたら薬で活発化させてた状態から効果が切れるといつも通りに戻るからだるく感じることはあるわ」


蒼野 「なるほど それぐらいでしたら平気そうですね」


永琳 「うどんげ これと同じ薬が薬品倉庫にしまってあるから適当な数持ってきてもらえるかしら?」


鈴仙 「っえ 適当な数って…何個持ってくればいいんですか?」


永琳 「好きなだけ持ってきていいわ 面倒だったら全部もってきて?」


鈴仙 「わかりました」タッタッタッ…


永琳 「てゐ あなたは薬を勝手に使った罰を免除にしてあげるからさっきあなたが使った薬の弱くしたやつを適当な数持ってきてもらえるかしら?」


てゐ 「いやだからなんで適当な数なんだ 何個かいってくれ」


永琳 「適当でいいわ 面倒だったら全部もってきて?」


てゐ 「いや全部の方がめんどうだ…めんどくさいね」タッタッタッ…


永琳 「今から二人が持ってくる薬、あなたにタダであげるわ どう使うかはあなたに任せるわ」


蒼野 「…っえ なんでですか?そんな大事な薬をなぜタダで自分に」


永琳 「…実はね あの薬を打って完全に効いた人、あなただけなのよ 他にもてゐが勝手に持ち出して使った人を見ていたのだけど誰一人完全に治癒するまで我慢できなかったの」


永琳 「どんな大男でも激痛の痛みには耐えきれずに自ら命を絶とうとしてしまうほど…なのにあなただけは耐えきって完全治癒できた」


永琳 「だからこの薬はあなたに託した方がいいと思ったのよ 他の人に飲ませてもどうせ同じ結果になるのが目に見えてるからね」


永琳 「とは言ってもさすがにさっき使った激薬を事あるごとに飲んでたら身が持たないと思うから少し弱めた薬を渡すわ そっちの方がいいでしょ?」


蒼野 「…たしかに深い傷負う度にさっきの薬を使ってたら身が持ちそうにありませんね」


蒼野 「でも本当にタダで貰っていいんですか?せっかく研究して作った薬を…」


永琳 「破棄するのに困ってたからそれをあげたと思えばいいだけよ 破棄してくれるお礼に筋肉活性化をあげると思えばね」


蒼野 「…わかった それじゃ遠慮なくその薬を貰うよ ありがとな先生」


永琳 「どういたしまして」


鈴仙 「師匠 頼まれた薬全部もってきました」タッタッタッ…


てゐ 「持ってきてやったぞ」タッタッタッ…ドサッ 薬を蒼野のベッドの上に置く


永琳 「ありがとう二人とも」


鈴仙 「それにしても師匠 この薬全部もってきたのはいいんですが一体何に使うんですか?」


永琳 「あげるのよ この人にね」


鈴仙 「…っえ」


てゐ 「まじか!あのケチで自分勝手で誰からの指図を受けないやぶ医者があげるだと!?信じられない!!」


永琳 「誰がやぶ医者だって…?」

(#^▽^)


てゐ 「やべ つい本音がでちまった」


永琳 「やっぱり後でこき使ってやるわ うどんげを!」


鈴仙 「なんで私なんですか!?」


永琳 「てゐの悪事=うどんげの罰だからよ」


鈴仙 「理不尽なうえにとばっちりだー!!!!」

(´;□;`)ブワッ


てゐ 「がんば!」( •̀∀•́ )b


鈴仙 「あとで殺す!!」ギロッ!!


てゐ 「やってみろ」


蒼野 「…えっと、先生 話しを戻すけどいいかな?」


永琳 「あらごめんなさい 退院のことかしら?」


蒼野 「…よくわかりましたね 俺が退院いつできるのか聞こうとしてたって?」


永琳 「前も怪我が完全に治ってない状態で早く退院しようとしてたからもしかしたらと思ったのよ」


永琳 「今からでも退院できると思うけど、念のため今日は様子見で入院してちょうだい 明日の朝まで何事もなければ退院を許可するわ」


蒼野 「わかりました」


永琳 「二人とも その薬を渡してあげて」


鈴仙 「はい」タッタッタッ…


鈴仙 「どうぞ」スッ 薬の入った紙袋を渡す


蒼野 「ありがとう」スッ


てゐ 「ほらよ 布団の上に置いてあるから受け取れ」


蒼野 「ありがとな」スッ


永琳 「それじゃ行くわよ 今日はもう休んで明日に備えなさい」


鈴仙 「…わかりました」ムスッ


てゐ 「了解だ」


タッタッタッ…パタンっ



蒼野 「…」


蒼野 「…明日には退院できるっか てゐからもらった薬のおかげだな 激痛に耐えた甲斐があったな」


蒼野 「(これならすぐにでも仕事に戻れそうだな 退院したらメイの墓参りに行かないと…四季の話しだと閻魔嫌いの幽香の敷地、太陽の畑に立ててあるって言ってたからな)」


蒼野 「…綾瀬……」


蒼野 「(…俺があの時、背後に回ったノンに気づいていれば、綾瀬は死ぬことなかったのに…)」


蒼野 「…くそっまた俺のせいで……!!」ツツー…


蒼野 「うぅ…ごめん、本当に…ごめん…!!」ポタッポタッ…













朝ー蒼野の病室



蒼野 「よっと」スルスル… 元の着替えに着替え直す


鈴仙 「どうぞ あなたのお荷物です」スッ 蒼野の荷物を渡す


蒼野 「ありがとう」スッ


てゐ 「店主にはもう話をつけてあるからあとは案内する」


蒼野 「すまないが頼む」


永琳 「充分に動けそうね?これならもう退院してもよさそうね」


蒼野 「そうだな もう身体も痛くないし、体も軽いからこれなら平気そうです!」


永琳 「ならいいわ 次は来ないようしなさいよ?閻魔様にもあまり心配かけるんじゃないわよ」


蒼野 「わかっています 世話になったな!それじゃ」タッタッタッ…


ガララ…


四季 「失礼します 蒼野 具合はどうです…」


蒼野 「おっす!四季 今日も閻魔の仕事休みなのか?」


四季 「…っえ あっ蒼野?あなた、なんで私服で立って…?」


永琳 「あら?ちょうどいいタイミングで来てくれたわね 閻魔様に話しておかないといけないわね」


四季 「なにをですか?てかなんで蒼野が私服を着て立ってるんですか?まだ立てる状態じゃなかったはずでは…」


永琳 「それも兼ねて話すわ 昨日の夜のことなんだけど」



永琳説明中…



四季 「…なるほど そういうことでしたか」


永琳 「見た感じ大丈夫そうだから今日退院させたのよ …まぁ、ちょっと無理して治したのが気になるけどね」


四季 「医者であるあなたが退院してもいいと言うならなにも言いませんが…」


四季 「蒼野には後で叱りますので覚えておいてください」


蒼野 「なんで!?」


四季 「無理に傷を治したからです 危険な薬に手を出してまで傷を治す必要はなかったはずです 違いますか?」


蒼野 「…別にいいだろ 早く傷を治して仕事に復帰したかったんだから」


四季 「そんな理由のために危険な薬に手を出したんですか!!万が一、あなたが痛みに耐えきれなくて自害していたらどうするんですか!!」


四季 「ケガをしていたら仕事なんて休んでいいんです!だれも怪我してでもやれなんて言ってないでしょ!!」


蒼野 「それは…」


四季 「大閻魔様が今まであなたに無理してでも仕事をやれと言ったことありますか!慧音さんの時だって蒼野がケガしてることを知ったら任せようとしませんでしたよね!」


四季 「あなたが無理しなければ平気だと言って受けましたよね!その結果あなたはさらに大怪我して入院しました 覚えていますよね!」


蒼野 「…あぁ 覚えてるよ」


四季 「過去にそういうことがあったと言うのにまだ無理しようとしますか!もう無理はしないと約束しましたよね!」


蒼野 「今回は無理してないだろ ただ傷を早く治すために薬を使っただけで…」


四季 「それを無理してると言うんですよ!!怪我を治すために半年以上かかる怪我をたった一日で治したじゃありませんか!」


四季 「昨夜、怪我を治すために激痛に耐えながらも怪我を治したんですよね?それを無理してると言うんですよ!!」


四季 「なにか間違ったこと私は言いましたか?なにも間違っていませんよね!事実ですよね!!」


蒼野 「そりゃっまぁ…事実だけど…」


永琳 「そこまでにしておきなさい ここをどこだと思ってるの?病院で騒がないでちょうだい」


四季 「…すみません 少々頭に血が上りすぎました」


永琳 「わかればいいわ 叱るならここじゃない場所でしてちょうだい それよりてゐ あなたは早く場所を案内してあげなさい」


てゐ 「わかってる それじゃ早く行くぞ」


蒼野 「あぁ わかった」


蒼野 「四季 とりあえず説教はあとで聞くから今は刀を治しに行きたい いいかな?」


四季 「…次はないと思ってください いいですね?」


蒼野 「…できる限りはするよ」


四季 「…まぁいいでしょう それと蒼野 あなたに渡すものがあります」スゥ…スッ どこからともなく蒼色の鞘の中に収まった刀を蒼野に差し出す


蒼野 「っ! その刀…メイの!」


四季 「蒼の刀と言うそうです あなたに渡すよう頼まれました」


蒼野 「頼まれたって…あいつはもう死んでるのに、どうやって…?」カタッ


四季 「あなたが入院してる間にその方は裁判を受けに来たんです その時に頼まれました」


蒼野 「あいつお前のところで裁判を受けに行ったのか!?はっ判決は!」


四季 「…」


蒼野 「…うん そうだよな…天国なわけ、ないよな…」


蒼野 「あいつだってそれなりに悪いことしてたからな…天国に行けるわけないよな…」


蒼野 「…メイ…!!」ギリッ!!


四季 「…たしかにあの方は地獄に落としました 前歴もかなりあったので天国にいけるようなものではありませんでした」


四季 「ですが地獄に落としたと言っても深い層ではないのでそこは変に勘違いしないでください」


蒼野 「…っえ 深い層じゃない?どういうことだ?」


四季 「地獄というのは八階層に分かれているんです 八大地獄を知っていればわかるかと」


蒼野 「八大地獄…たしか等活地獄、黒縄地獄、衆合地獄、叫喚地獄、大叫喚地獄、焦熱地獄、大焦熱地獄、無間地獄をまとめたやつだよな」


四季 「ご存知なら話が早いです あの方を落とした階層は等活地獄…軽罰を償うところです 綾瀬さんは悪いこともしていれば良いこともしていたので、そのおかげで深い層に落とされずに済みました」


四季 「等活地獄なら他のところと比べてまだマシです 地獄には違いありませんがそれより下の階層とは比べ物にならないので善行を積んでたのが吉と出ましたね」


蒼野 「…そうか 地獄でも深い層じゃないのか ならよかった 深くなくて…」ホッ


四季 「…あなたらしくない表情を見せますね まっそれほど綾瀬さんのことを思っていたという証拠ですね」


蒼野 「っ! …わるい 別にそういう表情を出そうと思ったわけじゃ」


四季 「別に謝ることはありません 誰かのことを心配することに関して叱ることはしません」


四季 「…まぁ 敵である者のことを心配したことに関しては褒めませんがね 一応あの方も佐久間グループの一員ですからね」


蒼野 「…」


四季 「まぁそれは置いといて、早く霖之助さんのもとに行きましょう この後行かないといけない場所があるので時間かけたくありません」


蒼野 「行かないといけない場所?いったいどこに行くんだ 俺もこの後行きたい場所があるんだが」


四季 「その心配は無用です あなたの行きたい場所と一緒の場所ですから安心してください」


蒼野 「…っえ いっしょ?」


四季 「それでは行きますよ」タッタッタッ…


蒼野 「あっあぁ…」タッタッタッ…


てゐ 「それじゃ行ってくるウサー」タッタッタッ…













香霖堂



カランカラン…


てゐ 「じゃまするぞー」


四季 「お邪魔させてもらいます」


蒼野 「(…なんか、この世界に無いものがいっぱいあるような…?)」


霖之助 「いらっしゃい 待っていたよ?永遠亭に住まうウサギさん」


霖之助 「刀を治して欲しいという人はその方かな?腰に刀を付けているけど」


てゐ 「そうだ 早速だが見てくれ」


霖之助 「わかった」


蒼野 「…あんたが鍛冶師か?」


霖之助 「正確には鍛冶師ではない ただ気まぐれにやってるだけだ」


蒼野 「…ほんとに折れた刀を治せるのか?」


霖之助 「ものを見ないことにはわからない まずは折れた刀を見せてくれるかい?」


蒼野 「…わかった」カタッ…スッ 闇の刀を腰から引き抜いて渡す


霖之助 「…これはまたなかなか使い込まれてるね 鞘は至る所にキズが入って柄糸(手を握る部分に付けている糸)がボロボロじゃないか」カタッ


蒼野 「ずっと使ってたからな ほぼ毎日のように」


霖之助 「…これはまたポッキリと折れてるね 相当無理して使ったみたいだね?」


蒼野 「………」


霖之助 「えっと 刃先はっと…」スーッ…カタンカタンッ 鞘を斜めさせて折れた刃先を机の上に取り出す


霖之助 「…へぇ かなり人を切ったみたいだね?刀が紅色に光ってるけど」


蒼野 「その刀で百人以上は切ってきたからな 紅色に光っていてもおかしくはない」


霖之助 「なるほど…」ジ…


四季 「どうでしょうか 治せそうですか?」


霖之助 「…うん ただ折れただけみたいだから取り付ければいいだけみたいだ?これくらいなら明後日ぐらいまでには治せそうだね」


蒼野 「ほんとか!?」


霖之助 「うん それと柄糸やキズとかもついでに治しておくから二日~三日ぐらい時間をくれないかい?やっぱり刀は美しくないとかっこ悪いからね」


蒼野 「わかった すまないが修理お願いするよ」


霖之助 「引き受けた 責任をもって修理するよ」カチャカチャ…カチャンッ 刃先を鞘に入れて取っ手を鞘に収める


てゐ 「それじゃ約束の物だ これが欲しかったんだろ?」スッ… 茶封筒になにか入ったものを霖之助に渡す


霖之助 「…本当にこれで例のものが動くんだろうね?」スッ


てゐ 「安心しろ そこは保証する」


霖之助 「…信じるよ その言葉」カサッ…スッ 茶封筒の中から紙を取り出して読む


蒼野 「…なにを渡したんだ?」


てゐ 「外の世界に存在する物の使い方が載ってる書斎だ」


蒼野 「…外の世界の物の使い方?」


てゐ 「おっと!余計なことは言うなよ お前が外来人だと知れば店主はここにある外の世界の物の使い方を全部聞いてくるぞ」ヒソヒソ


蒼野 「っえ ぜんぶ…?」ボソッ


霖之助 「…なるほど あれはあぁやって使うものなのか…覚えておかないと?」フムフム


てゐ 「納得したか?納得したならこれで取引成立だ」


霖之助 「いいだろう ここに書いてあることは全部本当のことのようだ?取引成立だ」


てゐ 「それじゃこいつの刀のことは任せるぞ」


霖之助 「責任持って修理するよ」


四季 「それでは次の場所に行きましょう 行きますよ」


蒼野 「あいよ」


霖之助 「あ、ちょっと待って」


蒼野 「? なんだ?」


霖之助 「もしよかったらなんだけど…この闇の刀を預かっている間 僕の刀を貸しておくよ?」カチャカチャ…


霖之助 「僕の愛刀 草薙の剣をね!」スッ


蒼野 「…っえ」


霖之助 「この刀の名前と用途を見させてもらったけど、用途の中に君が大事に使ってるのも感じ取れたんだ そんな刀を大事にする人なら僕の刀を貸しても平気かなと思ってね」


蒼野 「…名前と用途を?それは能力か?」


霖之助 「うん 僕は道具の名前と用途が分かる程度の能力を使えてね 本来なら用途だけでわかるわけないんだけど、その用途の中に君が出てきて刀を振っていたんだ」


霖之助 「こんなこと初めてだよ用途の中に人が現れてくるなんて おかげでいい経験ができた!ありがとう」


蒼野 「別に俺はなにもしてないが…それよりいいのか?初めて会った奴に自分の刀を貸すなんて それにその刀がなくともあと二本あるから平気だぞ?」


霖之助 「それじゃ僕からのお願いで使ってくれないか?ずっと使われないでしまってあるより 誰かに使ってもらった方が刀も喜ぶと思うんだ」


蒼野 「…紅色に染めちまうぞ」


霖之助 「刀なんだから紅色に染まってしまうのは仕方ないことだ だから君の刀を預かってる間使ってくれないか?」


蒼野 「…わかった それじゃありがたく使わせてもらうよ」カタッ 草薙の剣を受け取る


クンッスー… 刀を鞘から抜き取り刃を見る


蒼野 「…見事な刃だな すげぇ切れ味がよさそうだ」


霖之助 「切れ味と耐久性は保証するよ 重さはちょっとあるけど、君が持ってたこの闇の刀もかなり重量があるから楽に扱えると思う」


蒼野 「…」ヒュンヒュンッ…ヒュンッ 刀を軽く振って腕を慣らす


霖之助 「…いい刃音だ やっぱり君に持たせて正解だったよ 風を切る音がすごく心地よい音だ!」


蒼野 「…それはどうも」スチャンッ


てゐ 「あのけちな店主が刀を貸すとはな…驚いた」


霖之助 「自分でも思ってるよ 基本的に自分が非売品にしたものはゆずったりしないからね」


てゐ 「明日は大雪かもしれないな」


霖之助 「かもしれないね」


蒼野 「…冷静だなあんた バカにされてること気づいてないのか?」


霖之助 「気づいてるよ だけど本当のことだから怒っても仕方ないだろ?事実だからね」


蒼野 「(…ここの店主 意外にやり手か?バカにされても言い返すことなどはしないで平常心で返答する 普通のやつならなにかしら言い返すのに…)」


四季 「それでは次の場所に行きましょう てゐさん手伝っていただきありがとうございます」


てゐ 「礼には及ばなさい お前らも気をつけろよ?」


四季 「わかっています それでは」


蒼野 「二〜三日したらまた来るよ それじゃ」


タッタッタッ…パタンっ


てゐ 「…」


霖之助 「…それにしても本当にこの刀はすごいね?折れていても刀としての性能がまだ生きてるよ」


てゐ 「折れてるのにか?」


霖之助 「うん 本来の刀は折れたらもう約立たずになっちゃうけど、あの子が持ってたこの闇の刀…まだまだ闘気を感じるんだ!」


霖之助 「よほどあの子に好いてるみたいだね?早く治して元の持ち主に返してあげないと」


てゐ 「ふーん?まぁいい それじゃ私も帰るからあとは頼んだぞ」


霖之助 「わかってるよ また外の情報のことがあったら教えてくれ?」


てゐ 「気が向いたらな」カランカラン…


パタンっ…













太陽の畑



四季 「着きました ここが私の来たかった場所です」ヒュー…スタッ


蒼野 「…ここって太陽の畑だよな なんでここに用が?」


四季 「お墓参りです 綾瀬さんのね」


蒼野 「…っえ」


四季 「来たかったんでしょう?綾瀬さんのお墓参り 先ほど行きたい場所があると言ってましたがここじゃありませんでしたか」


蒼野 「…いや、ここで合ってるけどなんでわかったんだ?俺言ってないよな」


四季 「だいたい予想していました あなたが行きたい場所があると言っていた時点でここだとわかりました」


四季 「綾瀬さんのお墓はあの木の影になっている場所です 墓石が建っていますよね?」


蒼野 「…」



墓石 「」大きな木の影になっている場所には月下美人が添えられている墓石が建っていた



蒼野 「…あの花 月下美人か?たしか綾瀬が好きだって言ってた」


四季 「幽香さんが添えたんだと思います あの方は花ならなんでも作ることができますから」


蒼野 「…花を作る?」


四季 「幽香さんは花を操る程度の能力を持っているんです どんな花でも季節関係なく、種や根っこなんかも使わずに作ることができます」


四季 「花以外にも植物も操ることができます 花や植物に関することなら彼女が適任と言ってもいいでしょう」


蒼野 「…なるほど だけど月下美人ってたしか夜に数時間しか咲かない花じゃなかったか?なのになんで今咲いてるんだ?」


四季 「それは幽香さんが常に咲かせているようにしてるからだと思います そうでなければこのような時間に咲くはずがありません」


蒼野 「花の性質も変えることができるのか そんな細かいところまで…」


四季 「それでは早くお墓参りして裁判所に帰りますよ 蒼野が治ったことも兼ねて大閻魔様に話さないといけないことがありますからね」


蒼野 「…わかった」


ザッザッザッ……





蒼野 「…」ザッザッザッ… 綾瀬のお墓の前まで着き呆然と立つ


四季 「…」スッ… 手を合わせて拝む


蒼野 「…ごめんな綾瀬 二度も守れなくて…必ずお前の仇をとってやるからな」


蒼野 「…」スッ… 手を合わせて拝む


…ガンバッテネ アオノ


蒼野 「っ!」バッ どこからか声が聞こえてきて瞬時に顔を上げる


四季 「? どうかしましたか?」


蒼野 「…いや、なんでもない 気にしないでくれ?」フフッ


四季 「…?」


蒼野 「それじゃ大閻魔のところに行こうぜ

あいつに俺が退院したことを知らせないとな!」


四季 「そうですね 行きましょう」


ヒュー…













裁判所ー大閻魔の仕事場



大閻魔 「…」カリカリ…


大閻魔 「…っ! この気配…浮遊石か?まさか」


コンコンっ


四季です 今よろしいでしょうか


大閻魔 「いいぞ 入れ」


ガチャッ


四季 「失礼します」


蒼野 「邪魔する」


大閻魔 「やはり蒼野も一緒か 浮遊石特有の気配が感じ取れたからもしやと思ったが案の定だな」


大閻魔 「お前さんもう退院したのか?まだ傷全然治ってないだろ」


蒼野 「もう完全に完治したよ ちょっと危ない薬を使ってな」


大閻魔 「…危ない薬?」


四季 「永琳さんの特効薬です それを使って完全にケガは治ったそうです」


大閻魔 「永琳の特効薬で危ない薬って…蒼野、お主よく死ななかったな 永琳の特効薬系はかなり危ないものばかりだと聞いてるが」


蒼野 「まぁ四ヶ月分の痛みが数分のあいだに襲ってきたからかなり危ない薬だったといえば危なかったが…」


大閻魔 「…」


四季 「それより大閻魔様 今後の佐久間グループの対処の方なんですが…」


大閻魔 「…ほれ」ピラッ 一枚の紙を四季に渡す


四季 「…これは?」スッ


大閻魔 「処刑許可書だ 佐久間グループを抹殺するために必要な書類だ そこにお主らの名前を書けば許可が下りる」


四季 「…っえ なんでわかったんですか?わたし話しましたか?」


大閻魔 「話とらんよ なんとなくわかっただけだ 佐久間グループのことを話してきたらだいたいそんなことじゃないこと思った」


大閻魔 「それ取るのに苦労したんだからな?四季を除いた全閻魔を集めて総合会議を開き、なんとか上手く話をまとめて半数以上の賛成派を集めることができたから許可が下りたが 本来なら処刑許可なんて取れないからな」


蒼野 「…大閻魔…」


大閻魔 「…期待を裏切らないでくれよ 幻想郷の未来はお主たちにかかってる 必ず佐久間グループを滅ぼせ!いいな?」


蒼野 「…あぁ!」


四季 「大閻魔様 私も許可が下りるんですか?私の名前も書くよう言いましたが」


大閻魔 「総合会議の結果 手を染める者を管理するものを付けることを条件とすることを義務付けられてな 一応閻魔の手で指定された者を処分することも許可が下りてる」


大閻魔 「ただし、閻魔の手で殺ることはあまりやらんようにと言われた やはり閻魔の手でだれかを殺めるのは悪い印象を持たせてしまうからなるべく蒼野に殺めさせてくれ」


四季 「わかりました」


蒼野 「えっと、ここに俺の名前を書けばいいのか?」


四季 「そうです ここにあなたの名前を…あっ!」ハッ


大閻魔 「どうした?」


四季 「…大閻魔様 蒼野は元々殺人鬼ですがここに蒼野の名前を書いたら調べられるのでは?」


大閻魔 「安心しろ そこはわしの手で人材隠蔽と書くから普通に書いても平気だ」


四季 「それならいいんですが…」カリカリ… 処刑許可書に自分の名前を記載する


蒼野 「…」カリカリ…


大閻魔 「あっあと指印も頼む どの指でも構わん」


四季 「…」トントンッピトッ 処刑許可書に朱肉を付けた指を押し付ける


蒼野 「…」トントンッペタッ 親指で指印を付ける


大閻魔 「許可書をくれ」


四季 「はい」ペラッ


大閻魔 「あとはこれに受理した判子を押してっと」ガシャンッ


大閻魔 「よし!これでお主らは佐久間グループの者を始末することが許可された これでどんなに騒ぎを起こそうが佐久間グループ抹殺のためにやったことなら許される」


大閻魔 「蒼野夜一 四季映姫・ヤマザナドゥ お主たちはこれから佐久間グループ抹殺をメインにして動いてもらう」


大閻魔 「小町にも手が空いた時に協力してもらうよう頼んでおく 幻想郷の裁判は一時的に別の者を付けるから心配しないでくれ」


四季 「わかりました」


大閻魔 「蒼野 次に奴らの目的はお主の持っている光の刀を奪うことだそうだ お主、四季にだけ話したらしいがなぜわしに蒼漱石という首飾りのことを話さなかった?」


蒼野 「…」


蒼野 「さぁな?気分かな なんとなくお前には話したくなかった ただそれだけだ」


四季 「…」


大閻魔 「…まぁいい 四季には話してたみたいだからそれは置いておこう」


大閻魔 「二人にはかなり大変な役目を押し付けてしまうが幻想郷の異変解決のためだ 頼むぞ?」


四季 「はい!」


蒼野 「おう!」


大閻魔 「蒼野だけ下がれ」


四季 「…っえ」


蒼野 「四季はだめなのか?」


大閻魔 「四季には少し話がある だから席を外してくれんか?」


蒼野 「わかった 邪魔したな」


タッタッタッ…パタンっ


大閻魔 「…」


四季 「…それで、話とはいったいなんですか?蒼野を行かせたということは蒼野には聞かれたくないから行かせたんですよね」


大閻魔 「…察しが良くて助かる まさにその通りだ」


大閻魔 「じつはな 前々からわかっていたんだが…今回の敵の頭は蒼野には知られるわけにはいかないんだ」


四季 「それはなぜですか?たしか佐久間グループの頭は昔と違って女性の方に変わったんですよね?」


大閻魔 「そうだ その女はまだ蒼野には本当の姿を表していないみたいだが…もし表したら蒼野は戦意喪失する」


四季 「それだけで蒼野が戦意喪失するとは思えませんが?その方が本当の姿を見せたらと言ってましたが大閻魔様はわかっているんですか?」


大閻魔 「…あぁ 小鈴たちの話を聞いて確証がついた もう確実だ!」


四季 「それはいったい誰ですか?」


大閻魔 「【…蒼野が今まで守ってきた 天龍瑶だ…】」


四季 「……っは?今、なんと言いましたか?」


大閻魔 「…佐久間グループの頭領は天龍遥だと言ったんだ」


四季 「……本気で言ってます?」


大閻魔 「…あぁ 前の頭は天龍瑶に座を取られて蒼野を狙っているみたいだ なぜ狙っているのかまではわからんが」


四季 「そんなバカな話がありますか!瑶さんが佐久間グループの頭なんて!」


四季 「天龍瑶さんは蒼野にずっと守られていたんですよ!最後は蒼野を庇って絶命してしまいましたがかなりの恩があるはず!」


四季 「鏡で見たときも恩を仇で返すような方ではありませんでした それなのになぜ瑶さんが蒼野を狙うんですか!」


大閻魔 「わからん 頭が天龍瑶で蒼野を狙っていることしかなにも情報がないんだ 光の刀を狙ってるにしてもなぜあやつの命を狙うのか…」


四季 「…信じられません 天龍瑶さんが頭なんて…」


大閻魔 「…蒼野には言うなよ?このことを知ったら…あいつは絶望に落ちる 今まで守ってきたものが敵になってるなんて知ったら…」


四季 「…ですが、ずっと隠すことはできません いつかは知ることになります」


大閻魔 「…そうだな だが今は知る時ではない 知るとしたら、もう少し時間が経ってからの方がいいかもしれない」


四季 「…そうですね まだ言わない方がよさそうですね」


四季 「…蒼野……」













三途の川



小町 「ふぁぁ…!ひまだねぇ こんな日は寝るのが一番だね?」岩に背をかけて座っている


小町 「夜一も意識が戻ったみたいだし これで安心して昼寝ができるよ いやぁよかったよかった!」


小町 「…とは言っても、やっぱり完全には安心したとは思えないね あのとき、私もいれば夜一の怪我も少しは抑えることができたかもしれないからね…」


小町 「…私がいれば、夜一はあそこまで……」



小町ー


小町 「…っん?今の声…まさか!?」ガバッ


蒼野 「おーっす小町 またサボって寝てるのか?四季に怒られるぞ」ヒュー…スタッ 空を飛んで小町の元へ降りる


小町 「夜一!?なんであんた、まだ怪我は治ってないだろ!なんでここにいるんだい?」


蒼野 「ちょっと危険な薬を使ってな それを使ったら数分で治ったんだ」


小町 「危険な薬?…あんた、まさか永琳の劇薬を使ったのかい?」


蒼野 「あぁ!あれはかなりの激薬だった 使ったら数秒後にはほぼ意識がなくなったから死ぬかと思ったよ」


小町 「そんな平然とした顔でやばいこと言わないでほしいんだけど…」


蒼野 「あぁ悪いわるい 変に心配させちまったか?そんな心配するようなことじゃないから気にしないでくれ」


小町 「いや気にするなって…」


蒼野 「まぁなんにしても、早くケガが治ってよかったよ これなら仕事復帰できるから佐久間グループを潰すことができる」


小町 「…」


蒼野 「…小町?」


小町 「…ごめんよ 私があの時、あんたに全部任せたばかりに大怪我して 私も一緒にいれば……」


蒼野 「べつに謝ることなんかねぇよ てかなんでお前が謝るんだ?お前はなにも悪いことなんてしてないだろ」


小町 「いいやしたよ あんたに任せて私は先に帰ったんだ あの時帰らないでどこかに隠れて夜一がやられそうになったら出ればよかったのに…」


蒼野 「あの時は仕方ないだろ 人質を取られて俺だけを指名してきたんだから小町はわるくない」


蒼野 「それに四季たちを足止めするためにもお前に任せないといけなかったからべつに謝ることなんてない」


小町 「だけど…」


蒼野 「別に気に病むことじゃない これ以上謝られても迷惑だし、謝ってもらっても俺も困る だからこれ以上は気にするな」


蒼野 「だけどその気持ちだけは受け取っておく お前の気持ちもわからなくはない 心配させて悪かったな!」


小町 「夜一…」


蒼野 「だからいつもみたいに元気な小町に戻ってくれ?お前にしょぼくれた顔は似合わない 元気で明るい小町の方がかわいくて魅力的だぞ!」


小町 「かわっ!?」///カァァ


蒼野 「? どうした?急に顔を赤らめて」


小町 「あっいや、なんでもない 気にしないでおくれ…(またかわいいって…夜一、無意識でそういうこと言ってくるからすごく恥ずかしい…)」///


蒼野 「?」


小町 「…それと夜一 今夜は暇かい?」


蒼野 「今夜?別に予定はないが」


小町 「なら今日外食しないかい?ミスティアがやってる屋台があるんだけど今日はそこで食べないかい?」


蒼野 「っえ ミスティアって屋台やってるのか?」


小町 「あぁ!料理はほぼなんでも作れるから食べたいものを言えばなんでも作ってもらえるよ!」


小町 「あっ鶏肉を使う料理はあまり作りたくないみたいだからそれだけは覚えといておくれ?ミスティアは鳥の妖怪だから」


蒼野 「んー…外食はあまり好まないんだが」


蒼野 「…まぁいいか わかった!今日の夜一緒に行くか」


小町 「決まりだね!それじゃまた後でね!」


蒼野 「おう!そんじゃあな」フワー…


ヒュー…


小町 「…もうケガ治ってたのか しかも退院までしてたなんてね」


小町 「…よし!もう後悔するのやめよ 夜一も元気になったんだからいつまでも後悔してないでいつもの私に戻ろっと!」


小町 「よぉし!そうと決まったら早速寝よっと!寝て気分スッキリしよう!」


小町 「今日もいい天気だし気持ちよく寝られるなぁ?のんびり寝てゆっくりゆっくり起きよっと」ゴロン 再び岩に背中をつけて寝っ転がる


小町 「おやすみー…すぴー……」













夜ー迷いの竹林付近



屋台夜雀



ジュー…


ミスティア 「…よし!仕込み完了っと!」


ミスティア 「ヤツメウナギも焼き終わったし あとはお客さんが来ればいいだけ!」


ミスティア 「今日は混むかなー」



小町 「おいーっす!席空いてるかい?」パサッ


ミスティア 「いらっしゃい!空いてるよ 好きなところに座って!」


小町 「おぉそうかい!夜一 空いてるから来な!」


ミスティア 「…っえ 夜一?」


蒼野 「あいよー」パサッ


ミスティア 「あっ蒼野!」


蒼野 「おっす!ミスティア 久しぶりだな?元気にやってるみたいでよかったよ!」


ミスティア 「蒼野こそ元気そうでよかったわ 私に化けた奴が蒼野を入院させるほどの怪我を負わせたって聞いた時は驚いたよ」


蒼野 「あのときは油断してな まさかミスティアが偽者だとは思わなくて」


ミスティア 「ごめんね 私がやられてなければケガなんてしなかったのに…」


蒼野 「別にお前が謝る必要はないだろ?むしろお前も被害者なんだから謝られても困る」


蒼野 「それよりも俺はミスティアが無事でほんとによかったよ お前は女だからもし万が一、一生消えない傷とか付けられてたりしたらどうしようかと思った」


蒼野 「見る限り外傷はなさそうだからよかったよ!」ニカッ


ミスティア 「っ! しっ心配してくれてありがとう…」///カァァ


小町 「…?」ピクッ


小町 「(あれ?ミスティアの様子…なんかいつもと違うね いつもなら人間に対してはけっこう冷たいはずなのに…)」


蒼野 「たしかここは鶏肉を使った料理以外ならなんでも作ってもらえるんだよな?」


ミスティア 「うん 鶏肉を使わない料理ならなんでも作れるよ 材料があればだけどね」


蒼野 「それじゃまずは軽めにサラダでもお願いしようかな?なんのサラダにするかはミスティアが決めてくれ」


ミスティア 「嫌いな食べ物とかってある?」


蒼野 「基本的何でも食べるから平気だよ 気にしなくていい」


ミスティア 「わかった それじゃ少し待ってて」


蒼野 「あぁ!」


ミスティア 「小町さんはなににしますか?」


小町 「うーん…そうだねぇ?やっぱり最初はお酒かな!」


ミスティア 「お酒ですね わかりました!」スッ…スポンッ 酒が入ったビールの王冠を栓抜きで抜き取る


ビール 「」シュワシュワシュワシュワ…


ミスティア 「はいどうぞ!」スッ


小町 「いただきまーす!」ゴクゴク…


小町 「ーっぷはぁ!やっぱり働いたあとのお酒はうまいねぇ!!」


蒼野 「あまり飲みすぎんなよ?ほどほどにしとけよ」


小町 「わかってるって!そんなに心配しなくても平気だよ!」


小町 「女将さん!レバ刺し一つ!」


ミスティア 「はーい!」カチャカチャ…


ミスティア 「はいサラダお待ち!」カタッ


蒼野 「ありがとう」


ミスティア 「はいレバ刺しお待ち!」カタッ


小町 「おお!美味そうだねぇ!」


蒼野 「…」シャクッモグモグ…


ミスティア 「どう?口に合う?」


蒼野 「…うん なかなかうまい!新鮮な野菜を使ってるのがすごくわかるよ まだ仕入れて間もないだろ?」シャクシャク…


ミスティア 「そうだよ!よくわかったね 今日人里に行って採れたての野菜を買ってきたの」


蒼野 「何日も置いてある野菜の食感と味が全然違うからな やっぱり新鮮な野菜は美味い!」シャクッモグモグ…


ミスティア 「そう言ってもらえると仕入れた甲斐があるよ!」


小町 「女将さん!ヤツメウナギひとつお願い!」


ミスティア 「はーい!」ジュゥゥ…


蒼野 「…ヤツメウナギ?鰻の仲間か?」


小町 「鰻じゃないね 近いけど全くの別物だよ」


小町 「でも味はほぼ変わらないけどね!甘辛のタレで焼いたのがそれがまたなかなか美味いんだ!」


蒼野 「ふーん…?」


ミスティア 「蒼野も食べる?」ジュゥゥ…


蒼野 「っえ?あぁいいよ 俺は食べない」


ミスティア 「そう?けっこうおいしいよ?」


蒼野 「たしかに美味しいかもしれないけど…な」


ミスティア 「…?」


小町 「…っ!(あぁ そういうことか?)」


蒼野 「(食いたくても鰻は高いだろうから食えねぇよ…さすがに俺の手持ちじゃ…)」


小町 「女将さん 隣にもヤツメウナギひとつお願い!」


ミスティア 「はーい!」


蒼野 「っえ?いやいいよ!俺は別のもの食べるから…」


小町 「いいよいいよ!夜一も食べなって ミスティアが作る鰻は結構美味いから一度食べた方がいいよ!」


蒼野 「いやほんとにいいって!俺はサラダとかそういうの食べてるから…」


小町 「安心しなって 今日は私が奢るから夜一は気にしなくていいよ」


蒼野 「っ!」


小町 「あんたは罪を償うために働いてるから収入がないことは知ってるよ 今日は私から誘ったんだから奢るよ?」


蒼野 「…いや、そうだとしてもいいよ まして女に奢ってもらうなんて…」


小町 「あはは!あんたはほんとにまじめだねぇ?あんたのそういうところ 嫌いじゃないよ」


小町 「でもね夜一 逆に考えてみなよ?あたいだけガツガツ食べて、あんたが控えて食べてたりしたら私はどう思う?普通に考えてあたいはいい気持ちにはなれない」


小町 「だからそんなこと気にしないで一緒に食べようよ!腹いっぱい食べてさ!」ニィ


蒼野 「…そうか わかったよ 小町がそういうならちょっと贅沢をさせてもらおうかな?」


小町 「おう!じゃんじゃん頼みな!」


蒼野 「ミスティア 追加で豚汁と鯖の塩焼きを頼めるかな?」


ミスティア 「はーい!」


小町 「…っん?ちょっとまって 鯖ってあの海にいる鯖かい?」


蒼野 「そうだが?」


小町 「…女将さん 幻想郷に海はないのにあるのかい?」


蒼野 「…っえ 海がない?」


ミスティア 「ありますよ にとりさんが養殖してるらしく物々交換でもらってるんです!」


小町 「あぁ養殖か それなら納得だね」


蒼野 「小町 この世界には海ないのか?」


小町 「ないよ 川や池はあるけど海はないんだ…っ」ゴクゴクッ


蒼野 「…ないのか それは残念だな あったら見たかったなぁ…」ハァ…


ミスティア 「蒼野は海を見たことあるの?」


蒼野 「何回もあるよ あの潮風が頬を撫でていく感じ、太陽の光が反射してキラキラと光る水、サラサラとした砂浜に足をつけた時の感触…もう最高だよ!」


小町 「なんだい夜一は海好きなのかい?」


蒼野 「あぁ!さすがに泳ぐことはできなかったが海の近くにいるだけでも気分がもう最高だったよ!」


蒼野 「海にいる時は佐久間グループの奴らも攻めて来れなかったからな 拳銃や短刀、刀などは潮風に弱いから当たるとすぐにダメになる」


蒼野 「その点、俺の刀は潮風対策用に加工されてるから錆びることはなかった だから海は好きなんだ!」


小町 「へぇ?そんなにいいんだ わたしも見てみたいな海?」


ミスティア 「わたしも見てみたい そんなに素敵なら一度は見ておきたいな?」


蒼野 「うーん…見せてやりたいが俺の世界に一緒にいけたら見せられるんだけどなぁ」ウーン


小町 「それは無理だね 私たちの力じゃどうやっても夜一の世界にはいけないね」


ミスティア 「そうですね 隙間妖怪ならいざ知らず」


蒼野 「隙間妖怪?紫のことか?」


ミスティア 「っ! 知ってるの?」


蒼野 「あぁ 一度だけ会ったことある たしかその妖怪は外の世界に行くことができるんだよな」


ミスティア 「そうだよ だからもし海に行くとしたらその妖怪に頼まないと行けないよ」


小町 「まぁ頼んだところで聞いてくれるとは思えないけどね あの隙間妖怪はめんどくさがり屋だから」


蒼野 「…そうか それなら仕方ないな 見せてやりたかったなぁ…」


ミスティア 「はい 鰻お待ちどおさん!」コトッ


小町 「っお!待ってました!」


蒼野 「…うまそうだな?」スッ…


パクっ…


小町 「んー!やっぱりミスティーの鰻はうまいねぇ!」モグモグ


蒼野 「…うん!なかなか美味い!タレと鰻が合って口の中に旨みか広がってすごくいいな!」モグモグ


ミスティア 「口に合うようでよかったよ!」



妹紅 「うぃーっす!席空いてるかい?」パサッ


ミスティア 「いらっしゃい!空いてるので好きな席に座ってください」


小町 「っお!妹紅じゃないか あんたも飲みに来たのかい?」


妹紅 「小町と蒼野 お前達も来てたのか?」


蒼野 「あぁ 小町に誘われてな 妹紅は一人で来たのか?」


妹紅 「いやもう一人いるよ おーい!席空いてるってよ」


? 「はーい!」パサッ


蒼野 「…っえ?おっお前…」


菫子 「…っえ よっ夜一!?なんであなたここに!?」


蒼野 「お前こそなんでここに!?ここ別の世界だぞ!」


小町 「なんだ菫子と知り合いだったのかい?」


蒼野 「あっあぁ 俺がまだ自分の世界にいた時に戦った一人だ」


妹紅 「戦った!?…菫子 お前蒼野と殺り合ったのか?」


菫子 「えっえぇ 夜一は犯罪者だったから捕まえて人気者になろうと思って…けど勝負を挑んで負けましたけど」


蒼野 「たしかにお前を負かしたな 超能力とかなんとか言ってお前の攻撃を全部避けて刀を突きつけたな」


蒼野 「まぁ殺す理由や価値なんてなかったから殺さなかったけどな 無意味な殺生はしないのが俺の決まりだから」


蒼野 「それよりなんでお前はここにいるんだ?お前も向こうの世界で死んだのか?」


菫子 「死んでないわ わたしは寝てる間だけこっちの世界に来れるの」


蒼野 「…寝てる間だけ?」


菫子 「夜一こそなんでこっちの世界に?あなたが佐久間グループ壊滅後、喪失してから外の世界はあなたを捕まえるために必死になってるのよ」


蒼野 「…それが、俺にもわからないんだ 気がついたらこっちの世界にいたから…」


菫子 「そうなの?」


蒼野 「あぁ 佐久間グループ全員抹殺後に変な人物が現れてな その人物がなにかしてきてこっちの世界にいるんだ」


菫子 「謎の人物ね…不思議なことね?なにか外の世界に情報がないか確かめておこうか?」


蒼野 「頼めるか?」


菫子 「いいよそのくらい もうわたしはあなたを殺す気になんてないし、なによりあなたは殺人鬼なのに私を生きしてくれたお礼もしないといけないからね」


蒼野 「別に礼を返してもらおうなんて思ってもいなかったが…」


妹紅 「はいはい?そういう話はまた今度にして早く飯食おうぜ」


菫子 「はーい!」ストン


ミスティア 「注文は?」


妹紅 「私はたけのこご飯とたけのこの味噌汁!」


菫子 「わたしはハンバーガー!」


ミスティア 「はーい!」


蒼野 「ハンバーガー!?あるのかこの世界に?」


菫子 「あるよ わたしがどういうのかを教えてレシピに入れてもらったの!」


蒼野 「…あるんだ ハンバーガー…」


小町 「食べるかい?そのハンバーガーとやら」


蒼野 「っえ?あっいやいいよ うなぎや鯖の塩焼きとかだけで十分だよ」


小町 「遠慮するなって!女将さん 追加で隣にハンバーガーを一つ!」


ミスティア 「はーい!」


蒼野 「ほんとにいいのに…」


菫子 「女将さん あとビールもお願い!」


ミスティア 「はいはーい!」


蒼野 「ビール!?おまっ未成年だろ!さすがにビールは…」


菫子 「この世界じゃふつうだよ 霊夢さんや魔理沙さんも飲んでるでしょ?」


蒼野 「たしかにそうだが…」


ミスティア 「はい!鯖の塩焼きと豚汁おまち!」カタッ


蒼野 「っお!うまそうだな?久々にこういうのが食べれるからうれしいな!」


小町 「…そういえば夜一って外の世界にいるときは何を食べてたんだい?いろんな人に追いかけられてたって言ってたけど」ゴクゴク


蒼野 「雑草」モグモグ


全員 「「…っえ?」」


蒼野 「…冗談だ さすがに毎日は食べてないよ」


ミスティア 「毎日じゃなくても食べてたの!?」


蒼野 「あぁ まともに食料が取れなかった時は断食か雑草食ってたよ あまり美味しくなかったが…特に苦味が強くて強くて!」


小町 「そりゃそうだよ!雑草なんて食べ物じゃないんだから当たり前でしょ!」


菫子 「…ねぇ夜一 まさかあなた、瑶にまで雑草食べさせてたの?」


蒼野 「いや瑶にはちゃんとした飯を食わせてたよ とは言っても俺と瑶は全国的に指名手配されてまともに店で買い物なんてできなかったから日によっては食料が少なかったりしたがな」


妹紅 「それじゃどうやって食料を調達してたんだ?店で買い物ができないってことは現地調達か?」


蒼野 「それもあったけど、店でなにか買いたいものがあった時はそこらのやつを脅して金渡して買いに行ってもらったりしたな」


菫子 「…おっ脅したの?」


蒼野 「あぁ そうでもしないと買えなかったからな あっもちろん頼んだやつにはチップを渡して口止めもしておいたぞ」


小町 「チップ?」


菫子 「頼んだ人にお礼を渡すことです 私たちの世界ではそれをチップと言うんです」


蒼野 「外の世界なら金なんていくらでもあったからな 家族が殺された時の保険が下りたから…」


菫子 「あっ…ごめん 気を悪くさせて」


蒼野 「べつにいいよ過ぎた話だし いつまでもそんなこと気にしてたら身が持たない」


菫子 「…それともう一つ、気を悪くさせるかもしれないけど聞いてもいい?」


蒼野 「…瑶のことか?」


菫子 「…うん 私の世界で死体が見つかったって聞いたんだけど…」


蒼野 「…」


小町 「…菫子 その話はもうやめにしな これ以上は酒がまずくなる」


菫子 「…すみません」


妹紅 「…女将さん 注文してたものはできたかい?」


ミスティア 「あっはい できました!どうぞ たけのこご飯とたけのこの味噌汁です!」カタッ


ミスティア 「それと続いてハンバーガーとビールです!」カタッ…カタッ


菫子 「おいしそう!いただきまーす!」パクッ


蒼野 「…ほんとにハンバーガーだな?外の世界にあるものとほとんど一緒だ」パクッ


小町 「女将さん 隣にビール一つ!」


ミスティア 「はーい!」


蒼野 「まて 俺は酒飲まないぞ?いらないからな」


小町 「遠慮するなって!この世界は未成年でも酒飲むのは普通なんだから試しに飲んでみなって!」


蒼野 「いらない ミスティアいらないから開けないでくれ」


ミスティア 「いらないの?」


小町 「いいっていいって!ひとつ開けておくれ!」


ミスティア 「っえ でも…」


蒼野 「…小町 俺はいらないって言ってるだろ?無理に飲ますようなことはするな」


小町 「みんな酒飲んで一人だけ飲まないなんておかしいじゃないか ならみんな一緒に飲んだ方がたのしいじゃん!」


蒼野 「いや妹紅は頼んでない…」


妹紅 「女将さん 焼酎一杯!」


ミスティア 「はーい!」


蒼野 「…」


小町 「ほらほら!妹紅も頼んだことだし 夜一も一杯だけ!」


蒼野 「…はぁ それじゃ俺も焼酎一つくれ 四分の一を水で割ってくれ」


ミスティア 「はーい!」


小町 「なんだ水で割るのかい 初めてだから怖気付いてるのかい?」ニヤニヤ


蒼野 「…小町 勘違いしてるようだから言うが、俺は飲まないとは言ったが飲めないとは言ってないからな?」


小町 「…っえ」


ミスティア 「どうぞ!」カタッ


蒼野 「ありがとよ んっ…」ゴクッゴクッゴクッ…


菫子 「っえ!?いっ一気飲み!?」


蒼野 「…ふぅ 俺は普通に飲めるからな?原液のまま飲むのはキツいから水で割ってるけど」コトッ


小町 「…飲んだことあるのかい?」


蒼野 「あぁ 瑶が寝静まった後に軽くな もう一杯いいかな?」


ミスティア 「はーい!」


蒼野 「本当だったらこの世界に来てから飲まないようしようとしてたのに小町が進めるから飲んだんだからな 四季には言うなよ?」


小町 「別に四季様に言う気は無いけど…まさか夜一が飲める口とは思わなかったよ?」


蒼野 「未成年だからな いくら犯罪者とは言えど、多少なり法律のことを気にしてたから口出しはしないようしてたんだ」 ハイドウゾ!


蒼野 「まっ隣にも未成年の女子高生が飲んでるからまぁいいかとも思ったんだがな?」ゴクッ


菫子 「…それ、わたしが悪いように言ってる?」


蒼野 「別にお前が悪いなんて言ってないだろ?お前も飲んでるから俺も飲むかと思っただけだよ」


菫子 「…そう?ならいいんだけど」



早苗 「すみませーん 席空いてますか?」パサッ


ミスティア 「空いてますよ 好きな席にどうぞ!」


早苗 「はーい…おや?これはまた珍しい組み合わせですね 妹紅さんに菫子さん 小町さんに」


早苗 「【殺人鬼さん!】」


蒼野 「殺人鬼さん!?」


菫子 「やっほー!早苗さん 早苗さんも飲みに来たんですか?」


早苗 「はい 今日は暇だったんで飲みに来ました!みなさんも飲みに来たんですか?」


小町 「そうだよ!わたしは夜一と一緒にね!」


妹紅 「わたしは菫子とな!」


早苗 「ならわたしも誰かと一緒に来ればよかったですね みなさんお二人で来られてるなら」


蒼野 「…なぁお前 俺の名前、知らないわけじゃないよな?まさか忘れたってことないよな?」


早苗 「忘れるわけないじゃありませんか 外の世界では全国指名手配されていた蒼野夜一さん」


早苗 「あなたを忘れるなんてまずありえませんよ 逆に外の世界の方で忘れられることってありますかね?」


蒼野 「ならなぜ普通に名前で呼ばない?名前を知ってるなら普通に名前か苗字で呼ぶのが通じゃないか?」


早苗 「別にいいじゃありませんか 名前で呼ばなくても誰かわかるんですから」


蒼野 「…あまりいい呼び方じゃないから普通に呼んでくれ 会う度に殺人鬼さんなんて言われてたらいろいろ困る」


早苗 「じゃあいちさんで!」


蒼野 「っ…」ピクッ


菫子 「…早苗さん その呼び方はやめてあげてください」


早苗 「っえ なんでですか?」


蒼野 「…その呼び方をするのは遥だけだ 他の誰からにも言われたくねぇ」


早苗 「あっ…すみません それは知りませんでした」


蒼野 「別にいいよ ただ次からは普通に名前で呼んでくれ」


早苗 「わかりました」



妖夢 「…おや?これはまた珍しい面子ですね」パサッ


小町 「おっ!妖夢もきたのか 酒飲みに来たのかい?」


妖夢 「はい 最近忙しくて少々ストレスを解消しに…」ハァ…


妹紅 「…おつかれさま」


菫子 「やっほー!妖夢さん 久しぶりです!」


妖夢 「お久しぶりです菫子さん あなたもこちらに来ているとは思いませんでしたよ 妹紅さんと来たんですか?」


菫子 「はい!いつもこっちの世界に来ては妹紅さんに案内してもらってますから…」アハハ


妖夢 「…それと小町さん そちらの方は?」


小町 「うちの同僚だよ」


蒼野 「蒼野夜一だ よろしくな」


妖夢 「蒼野…?蒼野ってあの殺人鬼の蒼野夜一ですか?」


菫子 「知ってるの?」


妖夢 「はい 文々。新聞で知りました」


蒼野 「…ぶんぶんまる新聞…?」


小町 「この前会った新聞記者の新聞記事だよ あいつが夜一のことを記事にして新聞にしたんだ」


蒼野 「…あいつ新聞も作ってるのか?情報を集めて作るとかよく出来るな?」


妖夢 「新聞の記事によると凄腕の剣士だと聞いているんですが…本当なんですか?」


蒼野 「…おれが?」


妖夢 「はい」


蒼野 「…なぁ小町 あいつ、次会ったらシメていいか?」ピクッ


小町 「…かわいそうだからやめてあげな?てか凄腕とまでは言わないと思うけど 夜一なかなかの腕なんだからあながち間違っちゃいないだろ?」


蒼野 「殺人鬼の腕なんざ所詮ど素人が刀を持った程度だ 多少腕を持ってても素人は素人」


蒼野 「悪いが俺は凄腕の剣士でもなんでもない ただの人を殺めてきた大量殺人鬼だ」


蒼野 「お前も刀を持ってるから推測すると もし凄腕の剣士なら相手でもしてほしかったってところかな?期待してたなら悪いことをしたな そのデマを流した新聞記者は次会った時にシメとくか…」


妖夢 「…」クンッ 刀の鍔を親指で軽く弾く


蒼野 「」ピクッ


妖夢 「はぁっ!!」サンッ!!


蒼野 「っ」スーッ!!



ガキィンッ!!!!


妖夢 「…」ギリッ…ギリッ…


蒼野 「…」ギリッ…ギリッ… 蒼の刀を抜き妖夢の白楼剣の切りつけを防ぐ


小町 「っな!!?」


妹紅 「妖夢!?お前なにを!」



蒼野 「…なんの真似だ?凄腕の剣士じゃなかったから腹いせに切りつけてきたのか?」ギリッ…ギリッ…


妖夢 「…その刀、かなり使い込まれていますね 紅色に輝いてます」ギリッ…ギリッ…


妖夢 「その刀で何百人も殺してきたんですか?」ガキィンッ 刀を押して後ろに下がる


蒼野 「いいや この刀は俺の大事な付き人から譲り受けたものだ 俺が使ってた刀は今修理中だ」


妖夢 「…そうですか」スッ…スチャンッ 白楼剣を鞘に収める


妖夢 「いきなり切りつけて申し訳ありません 少々あなたがどれほどの実力をお持ちなのかを確かめさせてもらいました」


妖夢 「今の洞察力、動き、反応 とても素人とは思えません なかなかの実力をお持ちのようですね?」


蒼野 「…勝手に身に付いたものだがな それとさすがに真剣はやりすぎだ 今の行動を起こすなら木刀とかでやってくれ 一歩間違えば大怪我する」スチャン…


妖夢 「木刀では今の動作は見れないじゃありませんか それにあなたも木刀を持ってるようには見えないので逆にやろうにも…」


蒼野 「…たしかにできないな」


妖夢 「申し遅れましたが私は魂魄妖夢と申します 白玉楼と言う場所で庭師をしています」


蒼野 「庭師?剣士じゃないのか?」


妖夢 「武士でもあります 本職は庭師の方ですが」


蒼野 「…よくわからんな?」


ミスティア 「あのー…二人とも お店の前で暴れないでほしいんだけど」


蒼野 「あぁわるい 今すぐやめるよ」カタッ


妖夢 「すみません 少々騒がしてしまって」カタッ


ミスティア 「わかればよろしいです!妖夢さん ご注文は?」


妖夢 「鮭の塩焼きとお酒をお願いします」


ミスティア 「はーい!」


早苗 「…妹紅さん あのおふたりが戦ったらどちらが勝つと思いますか?」


妹紅 「…むずかしいな わたしてきには妖夢が勝ちそうだが」


菫子 「わたしは夜一が勝ちそうですが?」モグモグ


蒼野 「ーっふぅ…やっぱり酒はうまいな?飲むと落ちつくよ」


小町 「なら毎日飲めばいいじゃないか 軽くなら二日酔いにもならないし、四季様もお酒飲むくらい許してくれるよ?」


蒼野 「いや毎日は飲みたくない 酒は思考回路を鈍らせるから何かあった時に正常な判断が出せなくなる」


蒼野 「いつどこから敵が攻めてくるかわからない状況で酒に溺れてたら一瞬にして殺される…だから酒はあまり飲みたくないんだ」


蒼野 「今だってどこから奴らが攻めてくるかもわからないのにそんな状況で酒なんて…」


小町 「夜一 二杯で酔ったのかい?女将さん 水一杯」


ミスティア 「はーい!」


小町 「夜一 あんたは自分に厳しくしすぎだよ もう少し緩くしないと体もたないよ」


蒼野 「お前は緩すぎだ お前はもっと自分に厳しくしろ」


小町 「…せっかく慰めてあげてるのに反論できないことを言うのやめてくれない?慰められないじゃないか…」


蒼野 「事実を述べたまでだ なにか間違ったことを言ったか?」 ハイオミズオマチ!


小町 「いえ、なにも…」


蒼野 「…まぁ、俺も暗くなりすぎたな たった二杯でここまで落ちるなんて…酒弱くなったかな」ゴクッ…


蒼野 「…ありがとな 慰めてくれて」


小町 「どういたしまして!」


早苗 「女将さん ビールひとつ!」


ミスティア 「はーい!」


蒼野 「…お前も酒飲むのか しかもビール…」


早苗 「当たり前じゃないですか!この世界に来てからちょくちょく飲んでますよ!外の世界では飲めませんからね」 ハイドウゾ!


蒼野 「あまり飲みすぎるなよ?飲みすぎて二日酔いとかになったらめんどうだぞ」ゴクッ…


早苗 「ーっぷはぁ!わかってますって!あっ女将さん ねぎまにつくね、かわを二本ずつお願いします」


ミスティア 「はいはーい!」ジュゥゥ…


蒼野 「ほんとにわかってるんだろうか…」モグモグ…













数時間後…



小町 「かぁ〜…かぁ〜…」///酔っ払って寝ている


早苗 「すぴー…すぴー…」///


妖夢 「うーん…むにゃむにゃ……」///


妹紅 「…」///ウトウト… 半分以上寝ている


蒼野 「…だからほどほどにしろって言ったのに……」ハァ…


菫子 「あはは…ほんとだね?」///ヒック


蒼野 「お前も飲みすぎだ それで何杯目だ?」


菫子 「まだ二杯目だよ あまりお酒得意じゃないから…」///


蒼野 「仮にもまだ未成年なんだからそれくらいにしとけ それ以上飲むと発育に影響が出るぞ?」


菫子 「ふーんだ!どうせわたしはちっちゃくてもう育たないから気にしないよーだ!」ゴクゴク…


蒼野 「いやまだ成長期だろ 高校生なんだからまだ止まってないだろ」


菫子 「どうせ大きくなったとしてもわたしと話が合う人なんていないから別にどうでもいいの!私みたいな変人呼ばわりされてる人なんて…」


蒼野 「…まぁ外の世界のやつからしたら変人だな 非科学的なことを世界に広めても批判や炎上するだけだからな」


蒼野 「でもこの世界じゃ普通だぞ?ほとんどのやつが能力を持ってるんだからこの世界じゃ変人なんて思われない」


菫子 「それはそうもしれないけど…」ヒック


蒼野 「ミスティア 菫子に水を一つ頼む」


ミスティア 「はい!」


菫子 「…ねぇ夜一」


蒼野 「なんだ?」


菫子 「…夜一は、私のこと…どう思ってる?変人だと思ってる?」ハイドウゾ!


蒼野 「…べつに、お前みたいなやつなんか過去に何十人も見てきたから今更変人だとは思わねぇよ」


蒼野 「そんなかでもお前はまだまともな方だ 実際にお前は俺の目の前で超能力を使っていろいろなものを投げて攻撃してきた」


蒼野 「あんな攻撃を見たらさすがの俺も信じざる得ない お前は変人じゃないよ」


菫子 「…そっか よかった?夜一だけでも私のこと変人じゃないって言ってくれて」


ミスティア 「えーっと…炭どこ置いたかな?」ゴソゴソ… 炭を探して蒼野たちから若干離れる


菫子 「…ねぇ、夜一?」///


蒼野 「なんだ?」ゴクッ


菫子 「…夜一は、私みたいな人…きらい?」///


蒼野 「」ブー!!


菫子 「…そっそれとも、好き…?」///


蒼野 「…いきなりなにを言ってんだお前 かなり酔ってるか?」ダバー…


菫子 「…そうかもしれない でも酔ってても聞きたいの!」///


菫子 「夜一は…私のこと 好き…?」///


蒼野 「唐突だな……」



ミスティア 「あれー?炭が見当たらなーい!どこいったの炭ー!」ゴソゴソ…



菫子 「…」///ドキドキ


蒼野 「…まぁ 仲間としては好きだよ?友達としては…」


菫子 「…れっ恋愛対象としては?」///ドキドキ


蒼野 「…」


菫子 「…きらい?」シュン…


蒼野 「…なぁ菫子 お前、俺がメイのこと好きなの知ってるよな?何度かお前とメイは会ってそういう話してるんだから」


菫子 「…うん 知ってる」


蒼野 「それなのにそういうこと聞いてくるか?ちょっといじわるじゃないか?」


菫子 「…だって……」


蒼野 「…まぁ、お前の気持ちわからなくはない お前が俺に好意を向けていることは知ってる メイからなんども聞いたからな」


蒼野 「…でもお前の気持ちは受け取れない 俺にはメイがいるからな」


菫子 「…今は亡き人でも?」


蒼野 「…あぁ 二度も亡き者にしちまったけどな…」


菫子 「…っえ 二度も…?」



ミスティア 「すみぃぃぃぃい!!!!」ガサガサ



蒼野 「…実はな この世界に佐久間グループの奴らが来てるんだ しかもほぼ全員」


菫子 「っえ!?佐久間グループがこっちに!?」


蒼野 「あぁ しかも最悪なことにみんな能力が付いてるみたいなんだ さらに悪いことに幹部も新しい奴らで前の幹部より強いらしい」


蒼野 「…メイもこっちの世界に来てたんだが…ノンに!!」ギリッ…


バリィンッ!!


菫子 「ーっ!!?」ゾクッ!!


ミスティア 「っ!? なっなんの音!?」ビクッ


蒼野 「…あっわるい コップ割れちまった」酒の入っていたコップを握りしめて割る


ミスティア 「…コップはいいけどケガとかしてない?」


蒼野 「ケガはしてないがテーブルがびちょびちょになっちまった 台布巾借りてもいいか?」


ミスティア 「いやその前にまずガラス集めないと危ないからそっち優先した方がいいよ」


菫子 「なら私に任せて!サイコキネシス!」ヒュンッ!!


ガラスの破片&こぼれた酒 「「」」フワー… バラバラになったガラスの破片とまわりに飛び散った酒が中に浮かぶ


ミスティア 「おおー!割れたコップとこぼれたお酒だけが浮かんでる」


菫子 「女将さん ガラス入れるものって何かある?危ないからそこら辺には捨てたくないんだけど」


ミスティア 「いま用意します」ゴソゴソ…スッ


蒼野 「すまない 助かるよ」


菫子 「このくらいおやすい御用だよ!」ヒュー…


ミスティア 「あっお酒は地面に流してください 破片だけこの入れ物におねがいします」


菫子 「はーい!」ヒュー…


蒼野 「…ミスティア すまないがもう一杯焼酎いいかな?」


ミスティア 「次は割らないでよ?」


蒼野 「気をつけるよ」


菫子 「…にしても小町さんの方にガラスやお酒いかなくてよかったね もう少しで小町さんびちょびちょだったよ」


蒼野 「たしかに…当たらなくてよかった」


小町 「すぴー…むにゃむにゃ……」///


ミスティア 「…はいどうぞ!」コトッ


蒼野 「ありがとう」


ミスティア 「…にしても炭どこいったんだろ?ちゃんと持ってきたはずなんだけどなぁ」ゴソゴソ…


蒼野 「ーっふぅ…やっぱり酒飲むと落ち着くな」


菫子 「…ねぇ夜一 さっきメイさんがノンにやられたって……」


蒼野 「…」


菫子 「…そっか こっちの世界でもメイさんは…」


蒼野 「…俺を助けるために、庇ってな…」


菫子 「…ごめん 気を悪くさせて」


蒼野 「…別にいいよ 気にするな」ゴクッ…


菫子 「…」ゴクッ…


ミスティア 「すみぃぃぃぃい!!!!」ガサガサ…


菫子 「…あっそうだ ねぇ夜一、あなたに渡したいものがあるの」ゴソゴソ


蒼野 「渡したいもの?」


菫子 「はい!私のスマホ あなたにあげる!」スッ


蒼野 「…っえ スマホ?」


菫子 「外の世界にいた時は関わると危ないからって言って受け取ってくれなかったでしょ?だから今度はもらって!」


蒼野 「いやこの世界でも佐久間グループに狙われてるから関わってたら…」


菫子 「目が覚めたらわたしは元の世界に戻るから平気よ だからもらって?」


蒼野 「でも…」


菫子 「…夜一と連絡し合いたいの ダメかな…?」ジッ


蒼野 「…まだスマホ二台持ってるのか?」


菫子 「もっちろん!友達のいないわたしはスマホ二台使ってお互いLI○Eを交換しあってるから!」


蒼野 「…菫子 あまりそういうこと言うなよ?俺ならまだいいけど 他の奴に言ったら悲しいやつだなって思われるからな?」


菫子 「夜一 余計なことは言わなくていいからね?」


蒼野 「あっはい」スッ… 菫子からスマホを受け取る


菫子 「それじゃさっそくLI○Eで連絡し合ってみよ!」スッ ポッケからもう一台スマホを取り出す


蒼野 「…てか今思ったんだがこの世界って電波あるのか?」


菫子 「…」


蒼野 「…ないよな?ぜったいに」


菫子 「ーだっだいじょうぶだよ!入ってるよ!だから連絡し合ってみよ?」


蒼野 「絶対ないと思うが…えっと、LI○Eは…これか?」ポチッ


菫子 「それじゃ送るよ?」


蒼野 「あぁ(電波…圏外になってるんだが)」


菫子 「ぶっぽるぎゃるピルぎゃっポッパァっと!」ポチポチ


蒼野 「まて なんだ今の言葉は?」


菫子 「今はやってる言葉だよ ぶっぽるぎゃるピルぎゃっポッパァって!」


蒼野 「…流行ってるのかそんな言葉が 意味は?」


菫子 「さぁ?知らない それじゃ送るよ?」


蒼野 「あっあぁ…(知らないのに使ってるのかよ…)」


菫子 「送信っと!」ポチッ


蒼野 「…」


菫子 「…」


ミスティア 「…あっそうだ 炭こっちに置いたんだった?」ゴソゴソ


蒼野 「…来ないな 圏外だから無理だとは思ってたが」


菫子 「そんな…せっかく連絡し合えると思ったのに…」

(´・ω・) ショボーン


蒼野 「しかたないよ この世界にスマホどころか携帯の概念がないからな」


菫子 「はぁぁ…そんなァァ……」ガックシ


蒼野 「使えないなら持ってても意味ないな 返すよ?」スッ


菫子 「…一応持ってて?何かのはずみで使える時が来るかもしれないから」


蒼野 「なにかのはずみって…絶対ないと思うが」


菫子 「それでも持ってて!壊さないでよ?」


蒼野 「なるべく壊さないようにはするが…保証はできない」


ミスティア 「あったー!やっと見つかったー!」


菫子 「…もうこんな時間か?ここでずっと飲んでてもいいんだけどそろそろ別の場所にも行きたいな」


蒼野 「別の場所?どこか行きたい場所とかあるのか?」


菫子 「ううんとくにはないけど ただ他のところも見てみたいなぁと思ってね」


蒼野 「なら少し散歩がてらどこか行ってみるか 夜は危ないから俺も一緒に行くよ」


菫子 「…っえ よっ夜一も来てくれるの!?」///


蒼野 「あぁ 迷惑じゃなければな」


菫子 「(よっ夜一と一緒に散歩…こ、これって、デートだよね!?)」///


菫子 「(夜一と一緒に歩いたことなんてないから嬉しい!心臓爆発しそう!!)」///ドキドキ!!


蒼野 「あっでも先に勘定しておきたいな でも俺この世界の金は少ししか持ってないんだよな…どうしよう」


ミスティア 「蒼野の世界のお金は持ってるの?」


蒼野 「あぁ 俺の世界のなら持ってるよ こっちの世界とは違うから一度も使ってないが」


ミスティア 「ならそれで会計してもいいよ?てかそれで会計してくれた方が私的にも嬉しいかな」


蒼野 「っえ なんでだ?俺の世界の金はこっちの世界じゃ使えないから払っても意味が…」


ミスティア 「たしかに使えないけど外の世界のお金ってこっちじゃけっこう貴重でね?それを質屋とかで売ったらいいお金になったりするの」


蒼野 「っえ そうなのか?」


ミスティア 「うん まぁ例外もあるけどね 逆に安いやつもあるからいくらになるかは上下左右するわ」


蒼野 「そうなんだ それは初めて知ったな」


ミスティア 「もしそれで会計してくれるならそれで受け取るよ どうする?」


蒼野 「…この量だとだいたいいくらぐらいになるんだ?」


ミスティア 「ちょっと待ってね」カタッ どこからともなくソロバンを取り出す


ミスティア 「…だいたい○○○○だね 小町さんと蒼野のぶんで」パチパチッ…パチパチッ…


蒼野 「全員分を合わせたら?ついでだから払っちまうよ」


ミスティア 「全員分だと…○○○○○だね」パチパチッ


蒼野 「それじゃその分俺の世界の金で払うよ」スッ… 懐から財布を取り出す


菫子 「(夜一とデート…夜一とデート…!)」/// …ホイッコレデチョウドダナ


ミスティア 「…蒼野の世界のお金ってこんなのなんだ てかこのおじさんだれ?」ジー


蒼野 「福沢○吉って言って有名な人だ まぁ詳しく言っても多分この世界じゃわからないと思うから詳しいことはハブらせてもらうけど」


ミスティア 「ふーん?この人有名な人なんだ」


ミスティア 「いいよ たしかにお会計受け取ったよ」


蒼野 「ありがとな それじゃまた戻ってくるから小町たちをちょっとたのむ」


ミスティア 「いいよ 別にいつものことだから」


蒼野 「行くぞ菫子」


菫子 「うっうん!」///カタッ


ザッザッザッ…



ミスティア 「…」


ミスティア 「(なんだろうなぁ なんか心臓がチクチクする…なんでだろ?)」


ミスティア 「(今蒼野が菫子と一緒に歩いてるところを見たら心臓が痛い…いや、せいかくに言えば痛覚の痛みじゃないような…)」


ミスティア 「…なんだろうこの気持ち なんかモヤモヤするって言うかなんていうか…」


ミスティア 「…よくわからないな」



? 「…席、空いてる?」パサッ 普通の人間の姿をした人が来店する


ミスティア 「あっいらっしゃい!空いてますよ お好きな席にどうぞ!」


? 「それじゃ座らせてもらうね?」ストンッ


ミスティア 「ご注文は?」


? 「…その前にひとつ聞いてもいい?」


ミスティア 「はい?なんでしょうか」


? 「…あなた、いちのこと 好きでしょ?」


ミスティア 「…っえ いち…?」


ミスティア 「(あれ?さっき早苗さんたちが話してたときにたしかいちって呼ぶのは遥と言う人だけって…)」


? 「…どうなの?」


ミスティア 「どうっと言われても…ふつうかな?まだ会って間もないし それに私は妖怪であの人は人間だから」


? 「自分に嘘ついちゃダメよ?あの時、いちに慰めてもらったじゃない 人間なのに人食い妖怪の側まできて…ね?」クスッ


ミスティア 「…っえ?なんでそれを…」


ミスティア 「(あれ?この人の声 前にも聞いたことが…)」


? 「【…また あなたの姿を利用させてもらうね?】」ニタァ


ミスティア 「っ! あなたあのときの!!」



ドスゥッッ!!!!


ミスティア 「かはぁ!! っ…」ガクッ 腹に強い衝撃を食らって気を失う


? 「ふふ!しばらく寝ててね?」













霧の湖



蒼野 「よっと!やっとついたな」スタッ


菫子 「わぁぁ…!月が水面に反射してすごくキレイ!」


蒼野 「だろ?たまたま夜用事があった時にでっかい湖を見つけてな そこで月が反射してキレイに映ってたから散歩するならここがいいかなと思ってな!」


菫子 「(わっわたしは月より夜一と一緒にいる方が…!)」///ドキドキ


蒼野 「…どこか適当に座るか ベンチとかないから…これ敷いて座るか」パサッ 懐から薄い毛布を取り出す


蒼野 「菫子 この上に座ろうぜ?」


菫子 「うっうん ありがと」///スゥ…


蒼野 「ふぅ…やっぱり座れると落ち着くな どうも空を飛んでると落ち着かねぇ」


菫子 「たしかにそうだね わたしも自分の世界にいる時は空飛ばないから落ち着かないよ」


蒼野 「そっちの世界で空飛べる人間なんてお前ぐらいしかいないからな それに空飛んでるところを見られたら大騒ぎになる」


菫子 「そうなんだよね 空飛んでるのを見られたらいろいろとめんどうなことになるから飛べないんだよね?ほんとイヤになっちゃう!」


蒼野 「でもその一人がお前なんだからいいじゃないか?たった一人だけ本当の超能力が使えるやつはお前以外にはいないんだから!」


菫子 「でもこの世界にはいっぱいいるんだよね 早苗さんだって能力使えるようになってるし 夜一だって空飛べるになってるじゃん?」


蒼野 「俺は浮遊石のおかげで飛べるんだ それがなければ飛べないんだ」


菫子 「浮遊石…?」


蒼野 「あぁ これだよ」スッ 懐から浮遊石の入ったお守りを取り出す


菫子 「…お守り?」


蒼野 「袋はそんな感じだけど中にはその石が入ってんだ それがあるから俺は飛べる」


蒼野 「まぁそれ以外にも能力が付いたと言えば付いたんだがな」


菫子 「っえ やっぱり夜一にも付いたの!?」


蒼野 「あぁ 俺は結界を操ることができる能力が身についたみたいなんだ」


菫子 「結界を操る!?そ、それってどんな結界でも操れるの!?」


蒼野 「まだそこまではわからない 現に自分で結界を作ろうとしてもどうやって作るのかわからないし、作ろうと思っても作れないからただ単に相手の結界を操るだけかもしれない」


蒼野 「しかも無意識に発動する時もあるから完全に制御出来てるわけじゃないと思う まぁ練習とかしてないからできるわけないんだけどな」


菫子 「だとしてもすごいよ!夜一がそんな強い能力を使えるなんて!」


蒼野 「強いかと言われたら強くはないと思うぞ?どっちかって言うとお前の超能力の方が使い勝手が良いからお前の方が強いと思うしな」


菫子 「そんなことないよ!だって夜一は超能力を使える私に勝ったんだから強いよ!」


蒼野 「いやそれだと能力関係なくなってるだろ…」


菫子 「あったしかに…」


蒼野 「…ははっ!」


菫子 「ふふっ!」


蒼野 「ははははっ!やっぱりお前と話してるとおもしろいな!向こうの世界にいた時はこんなふうに話し合えることができなかったからな?」


菫子 「たしかにそうね 夜一が一緒にいるとあぶないからあまりかかわらない方がいいって言ってたからね」


菫子 「私はもっと話したかったんだよ?夜一が遥を守りながら佐久間グループを滅ぼしてるって知った時は本当はいい人だったんだって思ったんだから」


菫子 「誰かのために自分の手を汚してまで守るなんてステキじゃない!理由が変な理由なら話は別だけど 遥はなにもしてないのに狙われてたんだからそれを守る夜一はすっごくかっこいいと思ったんだよ!」///


蒼野 「だが殺人鬼には違いないけどな 人を殺していいことにはならない」


菫子 「それでもだよ 人を殺めてでも夜一は遥を守りたかったんでしょ?」


蒼野 「…まぁな もしやりたくなかったらやってねぇからな」


菫子 「…ステキ」///スッ… 蒼野の肩に頭を寄せる


蒼野 「っ! おっおい!さすがに近い…」ドキッ


菫子 「寄ってるからね 近くて当然だよ」///


蒼野 「…眠いのか?」


菫子 「ううん眠たくないよ ただ…夜一の傍にいたいなって思ったから寄りかかったの」///


蒼野 「…菫子」


菫子 「…ねぇ夜一 私じゃ…メイさんの代わりになれないかな?」///


蒼野 「…っえ」


菫子 「…ごめん やっぱりなんでもない 聞かなかったことにして」


蒼野 「…わかった 聞かなかったことにするよ」


菫子 「ありがと」


ヒュー… 弱い風が木々を揺らして、水面を波打たせて揺れる


蒼野 「…」


菫子 「…」



…ガサッ


蒼野 「っ! だれだ!」カタッ 瞬時に刀に手をつけてすぐ抜けるよう準備する


菫子 「…っえ?」



あっごめん 音立てちゃったガサガサ…


ミスティア 「ごめんね 覗き見するつもりじゃなかったんだけど…」草陰から姿を現す


菫子 「みっミスティアさん!?」///


蒼野 「ミスティア なんでここにいるんだ?小町たちのことを見ててくれって…」


ミスティア 「…うん ちょっと、二人が気になったからちょっと…ね?」


蒼野 「…っえ」


ミスティア 「…ねぇ蒼野 菫子とはいったい、どういう関係なの?もしかして…恋人同士だったりする?」


蒼野 「…いや、付き合ってはいない 仲が良いぐらいかな?」


ミスティア 「…そう それなら、まだチャンスはあるかな?」///


蒼野 「…チャンス?」


ミスティア「…蒼野!今からわたしが言うことは本気だからちゃんと聞いてて!絶対聞き逃さないでね!」///


ミスティア 「わたし、あなたのことが好きなの!前に妖怪であるわたしを慰めてくれた時に一目惚れして…それ以来、胸が苦しくなつて…」///


ミスティア 「もっもし良かったら、わたしと…つ、付き合ってほしいの!」///


蒼野 「っ!」


菫子 「そっそれはダメー!ミスティアさん わたしだって夜一のことが好きなんです!それならわたしだって負けませんよ!」///


菫子 「夜一 私もあなたのことが好き!もし良かったら私と付き合って!」///


菫子 「メイさんのことはわかってる!メイさんが一番ならわたしは二番目でもいい!だから…わたしと付き合って!」///


蒼野 「…おまえら……」


ミスティア 「私も二番目でもいい!【綾瀬】が一番ならわたしを二番目にして!」///


蒼野 「…っえ?ミスティア いま…なんて?」


ミスティア 「だから私も二番目でいいから綾瀬の次に付き合ってって言ってるの!同じことを言わせないで!」///


菫子 「…綾瀬?」


蒼野 「…なぁミスティア なんでメイの本名を知ってる?メイの本名を知ってるのは俺ぐらいしかいないぞ」


ミスティア 「あっ…」


蒼野 「…だれだお前?ミスティアじゃないな 佐久間グループ以外に本名を知ってるのは俺しかいない!お前が知ってるわけがない!」クンッスー…スチャッ 蒼の刀を鞘から抜き取り構える


菫子 「っ!」スッ 構えをとって戦闘態勢に入る


ミスティア? 「…はぁ やっちゃったなぁ?わたしあの人のことはメイじゃなくて綾瀬って呼んでるからついいつもの癖が出ちゃったな」ハァ…


ミスティア? 「せっかく化けたのに…これじゃ意味ないね あーあぁ?なにやってんだろわたし」


ミスティア? 「でも今回はべつに戦いにきたわけじゃないからあまり警戒しないでほしいな?いーち」


菫子 「…いち?」


蒼野 「なら何しに来た?変装までして俺のところに来た理由はなんだ?」


ミスティア? 「…この前のケガ 完全治癒したみたいだね?かなり危険な薬を使ったみたいだけど」


ミスティア? 「治ってよかったよ 後遺症も残らずに治って…もし後遺症が残ったらいち弱くなっちゃうもんね」


蒼野 「…逆にお前からしたら弱くなって欲しかったんじゃないか?なんで後遺症が残らずに治ったことに喜ぶ?」


ミスティア? 「さぁね?なんでかな いちには弱くなってほしくないからかな?弱くなったら相手になんなくなっちゃうでしょ?」


ミスティア? 「弱くなったいちなんてそんなのいちじゃない そんな状態でいちを殺してもつまらない やるなら元気な状態でやりたいの!」


蒼野 「…」


蒼野 「(こいつ、いったい何を考えてるんだ?俺が弱くなったらつまらなくなる?殺そうとしてるのに?)」


蒼野 「(この前だって俺がノンにやられまくって瀕死の状態でトドメを刺そうとしたやつが言うセリフじゃない…でもこいつがふざけて言ってるようには見えない)」


蒼野 「(いったい何を考えてるんだ?全然理解ができない…)」


菫子 「…あなた 夜一のこといちって呼んでるけど…まさか」


ミスティア? 「黙りなさい」ギロッ


菫子 「っ!!」ゾクゥ!!


ミスティア? 「悪いけど余計なことは言わないでくれる?次余計な事聞いてきたら…」


ミスティア? 「殺すわよ」スゥ… 目を細め冷たい視線を菫子に向ける


菫子 「っ…」タラー…


蒼野 「…菫子はやらせないぞ もしやるなら俺がお前をやってやるよ!」ギロッ!!


ミスティア? 「安心して 今日はやる気じゃないって言ったでしょ?その子が余計なことを言わなければやる気はないわ」


ミスティア? 「わかったわね そこの女子高生?」


菫子 「…はっはい……」ガクガク


菫子 「(すっすごい眼光 背筋が凍りつくような冷たい視線…今にも殺されそうな睨み!!)」


菫子 「(この私が睨みだけでここまで震えるなんて…あっ足の震えが止まらない!!)」ブルブル…


蒼野 「…大丈夫だ ぜったい守ってやるから安心しろ」スッ すこし菫子の前に出て自身の体を盾になるよう体制を作る


菫子 「…夜一……」ブルブル…


ミスティア? 「あらあら?あいかわらずかっこいいこと言うわね 惚れ惚れするわ」


ミスティア? 「…ほんとに、かっこいいね 惚れ直しそうだよ」


蒼野 「…っえ」


ミスティア? 「…いち 次は光の刀を取りに来るから覚えておいてね あとその刀さえあれば揃うから」


ミスティア? 「もしその二つが揃ったら世界は滅びるから覚えておきなさい」


菫子 「っえ!?世界が滅びる!!?」


蒼野 「なんでその二つだけで世界が滅びるんだ?とてもじゃないがその二つが揃ったところで滅びる要素がないんだが」


ミスティア? 「うん 見た感じだとないよね?私もそう思ったよ」


蒼野 「…思った?」


ミスティア? 「これ以上の無駄話はやめよ この話はあなたには関係ないからね」


ミスティア? 「あなたとは敵同士だからよけいな話はもうしないわ 今日はあなたの様子を見に来ただけだからもう帰るわ」


ミスティア? 「じゃあね?いち 私はしばらくあなたの前には現れないから私の手下が相手しに来るから気をつけてね」


ミスティア? 「今あなたに死なれたら困るの だから最後まで生き残って」


蒼野 「…お前に言われるまでもなく俺は佐久間グループを抹殺するまで死ねねぇよ 遥やメイを殺した恨み…晴らすまで絶対にな!」


ミスティア? 「ふふ!その意気だよ」フワー…


ヒュー…


蒼野 「…」


菫子 「…夜一 あの人…あなたのこといちって…」


蒼野 「…よけいなことは言うなって言われてただろ?その話をするな」


菫子 「…ごめん」


蒼野 「…そうだ!ミスティアは!?あいつが変装して現れたということはミスティアになにか手を出したんじゃ!」


菫子 「っえ!?そっそれはたいへん!早く様子を見に行かないと!」


ヒュー……













屋台夜雀



蒼野 「ミスティア!大丈夫か いたら返事しろ!」パサッ


菫子 「ミスティアさん!」


小町&妖夢 「「すぅ…すぅ…」」///


妹紅&早苗 「「すぅ…すぅ…」」///


蒼野 「どこだ!?ミスティアどこにいる!いたら返事を…っ!」



ミスティア 「」地面に倒れて気絶している


蒼野 「ミスティア!」ザッザッザッ!!…スクッ ミスティアのもとに駆け寄って起き上がらせる


菫子 「…まさか、死んで…!!」


蒼野 「…」スゥ… 耳をミスティアの胸もとに付ける


ミスティア 「…」ドクン…ドクン…


蒼野 「…大丈夫だ 心臓は動いてるから死んではない 脈も安定してるからおそらく気絶させられてだけだ」


菫子 「そっそれならよかった…」ホッ…


蒼野 「ミスティア目を覚ませ おい!」ユサユサ


ミスティア 「…んっんん……」スゥ…


蒼野 「目覚ましたな 俺がわかるか?」


ミスティア 「…蒼野?あれ なんで私寝て…」


蒼野 「誰かに気絶させられたんじゃないか?前にもお前を気絶させたやつと思われる奴が俺たちのところに来てたんだ」


菫子 「おぼえてないですか?」


ミスティア 「…そうだ!蒼野たちが行ったあとすぐにお客さんが来て そのお客さんの声が前に私を気絶させた人の声だったことに気づいた瞬間に腹部になにか殴られたような衝撃が…」


蒼野 「殴られたような衝撃?腹部に拳を入れられたわけじゃないのか?」


ミスティア 「ううん違うと思う その時そのお客さんはカウンター側にいたから拳で殴れる距離じゃないし もし拳を入れにカウンターを乗り越して来たとしたら私もすぐに対象できてたから…」


蒼野 「…ちょっと腹部見せてもらってもいいか?」


ミスティア 「…っへ?」


菫子 「夜一!?いきなりなに言ってるの!女の子にお腹見せてなんて!!」


蒼野 「いやただケガとかしてないかを確かめるだけだぞ?そんな下心なんて考えてないからな」


菫子 「そうだとしてもだよ!たしかに怪我してないか確かめるためなら仕方ないと思うけど それでも女の子にお腹見せてなんて変態だよ!」


蒼野 「…遥の時は普通に見せてきたけどな?転んで腹ぶつけた時に怪我してないかを見たけど」


菫子 「遥はまだ子供だったでしょ!私たちぐらいの年頃は気にするの!」


蒼野 「そうなのか?それは悪い 別に下心なんてなかったんだが…もしそう思ったならすまない」


ミスティア「あぁいや!別にそんなことは思ってないよ 蒼野がそんな人だとは思ってないし…」


蒼野 「そうか?ならよかった」


菫子 「それにしても、そのお客さんはミスティアさんに話しかけてきたって言ってたけどなに話したんですか?」


ミスティア 「っ!??そっそれは…」///カァァ…


蒼野 「…どうした?いきなり顔赤くして」


ミスティア 「…いや、なんでもないです 聞かないでください」///


蒼野 「そうか?まぁ話したくないなら別に構わないが」


菫子 「…?」


ミスティア 「(私が蒼野のこと好きかって話を聞かれてたなんて話せるわけないじゃん…たしかに人間で私の話を聞いてくれた人はこの人しかいないけど……)」///ドキドキ


ミスティア 「(…って、なんで私こんなドキドキしてるのよ!これじゃまるで、私が蒼野に気があるみたいじゃない!)」///


ミスティア 「(いやいやそんなわけない!私は妖怪で蒼野は人間!敵対同士がそんな関係になるなんてありえない!)」


ミスティア 「(でも人喰い妖怪だって知っても蒼野は私の話を聞いてくれた…それだけは確かに嬉しかったけど……)」///


ミスティア 「(…今だって、私がケガしてないかを心配してくれて……)」///カァァ


蒼野 「…ほんとに大丈夫か?さっきより顔が赤くなってるんだが…」


ミスティア 「…だいじょうぶ 気にしないで」///


蒼野 「いや気にしないでくれって言われても…(ものっそい気になるんだが…)」


菫子 「…ねぇミスティアさん ちょっと聞いてもいいですか?」ザッザッザッ…スッ ミスティアに近づき顔を前に出す


ミスティア 「なに?」///


菫子 「…もしかしてですけど、夜一に惚れてます?」ヒソヒソ


ミスティア 「っ!!!?」///ドキィ!ッ!


蒼野 「?」聞こえていない


菫子 「…当たりですか?」


ミスティア 「なっなななに言ってるの!!私が蒼野のこと…っ!」///ハッ


蒼野 「…俺が、なんだ?」


ミスティア 「ーっな、なんでもない!てか蒼野はどっかいってて!!」///


蒼野 「っえ?どっかいけって…俺、なにかしたか?」


ミスティア 「いいから行ってー!」///


蒼野 「わ、わかったよ それじゃ適当にそこら辺に行ってるよ(なんで怒ってるんだ?俺なにかしたか?)」


蒼野 「(なにもしてないような気がするが……)」ザッザッザッ…



菫子 「…」


ミスティア 「…もう!蒼野ったら、余計なこと聞いてきて!」///ハァッハァ!!


菫子 「…やっぱり惚れてるんですね その様子からすると」


ミスティア 「…正直、私自身もわからない」///


ミスティア 「たしかに蒼野のことを思うと胸がキュッと締め付けられるような感じはする…私が人喰い妖怪だってことを知ってるのに、それでも蒼野は気軽に話しかけてきてくれる」///


ミスティア 「わたしの悩み事も聞いてくれたし、なにより今も人喰い妖怪であるわたしを心配してくれた…そんな人、今までで初めてだったから……」///


菫子 「ふふ!その気持ち すごくわかります!」


菫子 「私も最初は夜一を捕まえて有名人になろうとしてました 表向きには無差別に人を斬り殺している大量殺人鬼と言われてましたから」


菫子 「ですが真実を知ると夜一は遥という人を守るために佐久間グループという組織の連中を殲滅していることを知りました わたしの世界では佐久間という組織はかなりの悪党集団だと知られていました」


菫子 「もちろんその人たちを殲滅するとなるとすごく大変です 人数は軽く万を超えて、頭が回る者も入れば力がある者もいるので容易くはありません」


菫子 「それでも夜一は遥を守るために私の世界の方では佐久間グループを壊滅させました 万を超える人数を全員殲滅して組織は崩壊しました」


菫子 「…ですが、遥は最後の最後で殺されたみたいで…私の世界で遥の死体が発見されました……」


ミスティア 「…ねぇ その遥っていう人 蒼野のこといちって呼んでたんだよね?」


菫子 「はい そうです」


ミスティア 「他に蒼野のことをいちって呼ぶ人はいるの?」


菫子 「いえ 他に夜一のことをいちって呼ぶ人はいませんよ その呼び方は遥の特権だったので」


ミスティア 「…てことは、さっきの人って…」


菫子 「…ミスティアさんを気絶させた方も夜一のこといちって呼んでいたんですか?」


ミスティア 「っ! なんでわかったの?私まだ言ってないよ」


菫子 「やっぱり…でもなんであの人が夜一を狙ってるんだろ ずっと守られてきたのに夜一を狙う理由がわからない…」


菫子 「…ミスティアさん さっきの人のことは夜一には言わないでください たぶん、あの人は…」


ミスティア 「…あの人は?」


菫子 「…夜一が今までずっと守ってきた方、天龍遥だと思います 絶対とは言いきれませんが可能性的には高いです」


ミスティア 「あの人が……」


菫子 「…夜一……」













迷いの竹林内部



蒼野 「…」ポツーン でかい岩に腰かけて座っている


蒼野 「…なんで俺、ハブられたんだ?しかもミスティアに」


蒼野 「なにかしたかな…でも身に覚えがないんだよな あっもしかして腹見せてって言ったことまだ気にしてたのかな それなら納得できるけど」


蒼野 「…あとで謝っておこう 多分そのことだろう それ以外身に覚えがない」


蒼野 「…しかしさっきのやつ、また俺の前に現れては俺のことをいちって言ってたな 俺のことをいちって呼ぶ奴は遥しかいないはずなんだが…」


蒼野 「…まさかな あいつが遥なはずがない 遥は剣術とか習っていないし力だってない それに対してあの頭領はそれがある…だから遥なはずがない」


蒼野 「でもあの構え、剣術名 あれは俺特有の技で他の奴とは少し違う構え方や切り方をするから他の奴が使うことはないはず」


蒼野 「でもあの頭領は完全に俺の構え方を真似していた しかも完璧に…あんな真似が出来る奴なんて、ずっと俺を見ていたやつしかできないはず いやそれ以前にまず真似しようなんて思わないはず」


蒼野 「…一体、あいつは何者なんだ?今まで見てきた佐久間グループのメンバーにあんなやつはいなかったはず」


蒼野 「わかんねぇ……」



…夜一


蒼野 「…っん?」


菫子 「おまたせ ごめんね?ミスティアさんがいきなり夜一にあっちに行けって言って行かせちゃって」タッタッタッ…


蒼野 「いや別にいいよ 多分俺のせいだからな?腹見せてって言ったのをまだ気にしてたから俺と話してて恥ずかしくなったんだと思う」


菫子 「(うん、全然違う 逆にそっちはもう気にしてないと思う)」


菫子 「(てか夜一ってミスティアさんのことどう思ってるんだろ?私気になります)」←とある実況者風


蒼野 「うーん…女心というのはイマイチわからないな 遥はまだ子供だったから恥ずかしくなかったみたいだが」


菫子 「…ねぇ夜一 ちょっと聞いてもいい?」


蒼野 「なんだ?」


菫子 「夜一ってミスティアさんのこと どう思ってるの?」


蒼野 「…っえ ミスティアのこと?」


菫子 「うん もしかして恋愛対象として好きだったりする?」


蒼野 「…いや 別に普通だが」


菫子 「…そう?」


蒼野 「あぁ てかなんでミスティア?遥やメイならまだわかったけどなんでミスティアを聞いてきた?」


菫子 「ううんなんでもない 気にしないで ただ聞きたかっただけだから」


蒼野 「そうか?」


菫子 「うん それよりミスティアさんのところに戻ろ?今日はもうお客さん来なさそうだからそろそろ店終いしたいって言ってたよ」


蒼野 「そうか なら小町たちを起こしてそろそろ帰る支度しないとな」


菫子 「わたしも妹紅さんを起こして家まで送っていかないと」


蒼野 「一人で平気か?なんなら俺も手伝ってやるぞ」


菫子 「夜一も小町さんを運ばないといけないからキツいでしょ?」


蒼野 「…たしかにきついな あいつ酒飲むと起きないんだよな」


菫子 「妖夢さんたちはそこまで飲んでなかったからすぐに起きて自分たちで帰ると思うから平気だと思うよ だから私たちは私たちの連れを見ないとね」


蒼野 「そうだな それじゃ早く行って帰るとするか!」スクッフワー…


菫子 「…」飛ばずに地面の上に突っ立っている


蒼野 「…? 菫子?」


菫子 「…ねぇ夜一、また会えるよね これっきりなんてことはないよね?外の世界の時みたいにいなくなったりしないよね?」


菫子 「夜一たちと初めて知り合った時も何週間も経たないで私に別れを告げてどっかいっちゃったから不安なの また会えるよね?」


蒼野 「…今のところはいなくなるつもりはないな ましてこの世界に佐久間グループがいるからよけいにいなくなるつもりはない」


蒼野 「さらに言うと俺が住んでる場所も外の世界と違って固定されてるからよけいにいなくなるようなことはしないよ だからまた会えるから安心しろ!」


菫子 「…ほんと?」


蒼野 「あぁ!」


菫子 「…それならよかった また会えなくなったらどうしようかと思ったけど、それを聞いて安心したよ」


蒼野 「安心したようでなによりだ!」


蒼野 「それじゃ早く行って連れを迎えに行くぞ ミスティアも早く帰ってくれるのを待ってるだろうしな」


菫子 「そうだね でも夜一、その前にひとつお願いがあるの」


蒼野 「お願い?なんだよ」


菫子 「ちょっと降りてきてもらってもいいかな?」


蒼野 「? あぁわかった」ヒュー…スタッ


菫子 「…」///カァァ…


蒼野 「降りてきたけどなにをお願いしたいんだ?早く行って迎えに行きたいんだが」


菫子 「…夜一 ちょっとごめんね」///スゥ…


蒼野 「…っえ」


チュッ…


蒼野 「っ!!!?」///菫子に唇にキスされる


菫子 「…えへへ!初めてしちゃった 夜一にファーストキスあげちゃった!」///


蒼野 「ーすっ菫子!?おまっなにを!」///


菫子 「ごめんね なんか急にしたくなっちゃったの ほんとにまた会えるのかなって思ったら心配になっちゃって…」


菫子 「もし最後になるなら一度だけでも夜一とキスしたいなって思っちゃって…ほんとにごめんね」


蒼野 「…そんな心配しなくても平気だって言ったろ 昔と違って今は住む場所があって固定してるから会えなくなることはないって」


菫子 「そうだとしても心配で…」


蒼野 「…まぁお前が心配するのもわからなくはない あの時から今に至るまでお前と会うことはなかったからな」


蒼野 「でも今はもう平気だから安心しろ また会おうと思えば会えるし、俺はどこにもいなくならないから必ず会える だから心配するな!」


菫子 「夜一…」


蒼野 「ただいきなりキスしてきたことに関しては俺的にはどうかと思うな?俺にはメイがいるのに無理やりキスするなんて」


菫子 「そっそれは…」///カァァ


蒼野 「…まぁいい 俺もお前のことは嫌いじゃないし、むしろ好きだからな 今回だけは目をつぶるよ」


菫子 「…っえ?夜一 今なんて…」


蒼野 「勘違いするなよ 俺が一番好きなのはメイだけだ 今は亡き人でも好きな人は変わらない」


蒼野 「…まぁお前の思いを踏みにじるわけじゃないがそれだけはわかってくれ べつに嫌いって言ってるわけじゃないから変に勘違いはしないでほしい」


菫子 「…ふふ!」クスッ


蒼野 「? なんだよ急に笑って 俺変なこと言ったか?」


菫子 「ううん言ってないよ やっぱり夜一は優しいなと思って!」


蒼野 「…優しいか?結果的にはお前の気持ちを受け取れないって言ってるのに」


菫子 「やさしいよ そうやって気遣ってくれるところ!」


菫子 「たしかに気持ちを受け取ってもらいないのは悲しいけど、それでもわたしを落ち込ませないよう慰めてくれたんだもん 普通の人なら振った後に慰めようとなんてしないよ」


菫子 「…でもその優しさが返って相手をよけいに落ち込ませることにもなるからそれだけは気をつけた方がいいよ」


菫子 「わたしは夜一の性格を知ってるから平気だけど知らない人にそういう気遣い入れたら落ち込ませるからね?」


菫子 「まさかとは思うけど…もう手遅れだったりする?」


蒼野 「…」


菫子 「…誰に言ったの?」


蒼野 「…小鈴」


菫子 「小鈴…?小鈴ってあの鈴奈庵ってお店の子?」


蒼野 「あぁ 俺に好意を持ってるみたいだが俺は殺人鬼で人里のみんなにも知れ渡ってるから俺と関わるとろくなことがないと思ってな 俺に好意を持っても意味ないと思えって言っちまった」


菫子 「…はぁ……夜一 それは最低だよ」


菫子 「たしかに夜一が思うことはわからなくはないけど それでも小鈴はあなたを好きになっちゃったんだからそうやって振るのはひどいよ 振るならもう少し考えて振らないと」


蒼野 「んなこと言われてもな…」


菫子 「…まぁいいわ 次からは気をつけて言うんだよ?またそういう言い方で振ったら傷つくからよく考えて」


蒼野 「善処するよ」


菫子 「それならいいけど それじゃ行こうか」


蒼野 「あぁ」


フワー…













妹紅の家



菫子 「…ふぅ やっと運んでこれた」ヨイショット


妹紅 「すぅ…すぅ…」


蒼野 「わるいな 俺が運べればよかったんだが俺も小町を運んでるからな」


小町 「うーん…むにゃむにゃ……」


菫子 「気にしないで よくある事だから」


蒼野 「てか妹紅の家ってこんな竹林の中に建ってたんだ ここ危なくないか?」


菫子 「安全じゃないことはたしかだけど妹紅さんは不老不死だから逆に妹紅さんに手を出してくる人はいないから平気だと思うよ」


蒼野 「だろうな 不老不死相手に手を出してくる奴はいないな 俺でも相手したくない」


菫子 「それと夜一 さっきはまた会えるって言ってたけどほんとだよね?これが最後なんてことはないよね」


蒼野 「絶対会えるから安心しろって!お前は寝てる間だけこっちに来れるんだろ?だったら夜俺がここにくれば会える」


蒼野 「毎日はムリだがちょくちょく遊びには来るよ それならいいだろ?」


菫子 「…うん 約束だよ」


蒼野 「あぁ 約束だ!それじゃあな」


ヒュー…


菫子 「…」


菫子 「やっぱり夜一はカッコイイなぁ!いつ見ても惚れ直しちゃうなぁ!」///


菫子 「しかもさっき佐久間グループの頭領に脅された時も夜一はすぐに私の前に出てきて守ってくれたしほんとカッコよすぎる!YMK(夜一マジカッコイイ)!」///リゼロ風


菫子 「あぁ〜!こっちの世界行き来できてホントに良かった!まさか夜一に会えるなんて思ってなかったから嬉しすぎる!!」///


菫子 「また明日も会いたいなぁ!!夜一来てくれないかなぁ?もし来てくれたらまたどこか一緒に散歩という形でデートしたいなぁ!」///


菫子 「…あっそういえば夜一ってどこに住んでるのか聞くの忘れてた 私が遊びに行けるように次会った時に聞こっと!」


菫子 「次はいつ会っえるっかなぁ〜♡」///













彼岸



蒼野 「やっとここまで来れた やっぱりここまでの道のりは長いな」ヒュー…


蒼野 「しかもお荷物があるからよけいに時間かかったな…」ハァ…


小町 「すぅ…すぅ…」蒼野におぶられて運ばれてる


蒼野 「明日も早いから早く寝ないとな」


…ピロリロリン


蒼野 「…っん?なんだ今の音 今なにか音したよな?」


蒼野 「…まさか菫子からもらった携帯か?でもさっきは圏外で使えなかったはず…」


蒼野 「…あとで確かめてみるか」


ヒュー…














寮ー小町の部屋



ガチャッ


蒼野 「ふぅ…やっとついた」タッタッタッ…ドサッ


小町 「うーんむにゃむにゃ…」スピー…スピー… ベッドに置かれて寝かされる


蒼野 「たくっ自分で誘っといて帰りは俺に運ばせるのやめてほしいな 博麗神社に行った時も俺が運んで来たが」


蒼野 「…まぁいいか 小町には慰めてもらったりと借りがあるからな それを返したと思えばいいか」


蒼野 「…そういえばさっき携帯が鳴ってたな 使えないはずなのになんでだ?」ゴソゴソ…スッ


蒼野 「えっと、LI〇E…っと」タンッ



スマホ 『菫子 (通知1)』


蒼野 「あっ届いてる てか電波が入ってる…なんで?」


蒼野 「ここの近くに来たときに携帯鳴ったけど…まさかここ電波通ってるのか!?」


蒼野 「…まぁいいや 今日はもう遅いし電波のことは明日にでも聞いてみるか とりあえず返信だけでもしておくか」


蒼野 「そうだな…とりあえず斬り捨て御免!と送っておくか ってこれ、どうやって文字打つんだ?画面下にあかさたなはまやらわは出てきたけど他の文字どう出すんだ?」


蒼野 「…たしか、菫子が打ってた時は画面を滑らせるようになぞってたな なぞればいいのか?」ツー…


スマホ 「」ポコッ かの文字を左に滑らすときの文字が出てくる


蒼野 「あっ出てきた こうやって出すのか なるほど理解した」


蒼野 「やり方さえわかっちまえばこっちのもんだ 斬り捨て御免!っと」タタタタ…


蒼野 「えっと…送信はこれか?」タンッ


スマホ 「」ピコッ 送信ボタンを押すと斬り捨て御免!の言葉が送信される


蒼野 「おぉ これが送信か?全然使い方とかわからないから覚えとかないとな」


蒼野 「てか菫子のやつ 一人でやり取りしてたって言ってたけど一体どんなことを書いてたんだ?たしか履歴って見れるよな」ツー…


スマホ 『菫子 今日も学校つまらなかったね』


スマホ 『菫子2 そうだね やっぱり学校ってつまらないよね(´Д`)ハァ…』


スマホ 『菫子 明日も学校だと思うとほんと嫌になっちゃう なんか面白いことないかな?σ( ̄^ ̄)?』


スマホ 『菫子2 うーん…学校でおもしろいことなんてたかが知れてるから難しいね 逆におもしろいことなんてあるわけないから』


スマホ 『菫子 (σ゚∀゚)σそれなッッ!!!』



蒼野 「…菫子 お前いくら友達がいないからってこれは……」トオイメ


蒼野 「(まさかここまでとは…俺も仲間はいないから気持ちはわからなくはないがさすがにこれはひどい 自分と自分でやり取りしてるなんて……)」


蒼野 「…ずっとこんなこと書いてるのか?もう少し見ているか」ツー… スマホを上から下になぞっていき履歴を見ていく


蒼野 「…っん?これは…」



スマホ 『菫子 あ〜あぁ…夜一にまた会いたいな 俺といると危ないって言ってまともに話せなかった…』


スマホ 『菫子 それにすぐに別の場所に行っちゃったからよけいになえぽよ もっと話しして仲良くなりたかった……(v_v`)ハァ……。』


スマホ 『菫子2 そうだよね すっごくかっこよかったもんね それに遥を守るために佐久間グループの連中をやってるって聞いた時はほんとにステキだと思ったよね』


スマホ 『菫子 うん…すっごく素敵だった かっこよかった だからよけいに仲良くなりたかった 欲を言えば付き合いたかった…あんなにも素敵な人、今までで見たことないもん』


スマホ 『菫子2 …またいつか、会えるといいよね』


スマホ 『菫子 …うん……』



蒼野 「…菫子……」


蒼野 「(この日付 俺が菫子と別れた時の日だな 俺と関わってると危ないから菫子に遠い場所に行くからもう会えないって言った日…)」


蒼野 「(やっぱり菫子は俺のこと好んでいたか まぁ知ってたんだが、ほんとに俺と関わってると危ないからあの時 菫子には悪いが離れてったんだよな 巻き込まれないために)」


蒼野 「…ごめんな菫子 今まで会えなくて…ほんとに寂しい思いをさせたな」


蒼野 「今度から暇があればちょくちょく会いに行くとしよう それにスマホもここら辺なら使えるようだし、少しならやり取りが可能だから話すことも出来る これなら寂しい思いをさせなくて済むだろ」


蒼野 「さてと、それじゃ俺もそろそろ部屋に戻って寝るとしようかな 明日も早いだろうし早く寝て早く起きよう」


蒼野 「…まぁ、現段階でもう夜遅いから早く寝るというのはおかしいが……」タッタッタッ…


ガチャッ…パタンっ













朝ー菫子の家 菫子の部屋



チュン…チュンチュン……


菫子 「…っん 朝…か」スクッ


菫子 「…ふぁぁ〜っんん!」グググ…


菫子 「ふぅ 今日も学校かぁ?めんどくさいなぁ…行きたくない」ハァ…


菫子 「ずっと寝て幻想郷にいた方がよっぽど楽しいし、なにより夜一が幻想郷にいたからよけいに楽しかったなぁ!」


菫子 「しかも久々に会っておまけにデート…それで、夜一にキスもしちゃったし もうほんと最っ高!!」///


菫子 「ほんとにかっこよかったなぁ夜一 やっぱりいつ見てもかっこいい!それに仲間思いだし ほんと最高だよ!」///


菫子 「はぁぁ…もう幸せ わたしもう死んでもいい〜!」///デレデレ


菫子 「…ってあれ?携帯が光ってる しかもあの光はLI〇Eの通知…まさか!?」ガシッ


スマホ 『菫子2 (通知1)』


菫子 「うそ!?まさかまさか!!」タンタンッ


スマホ 『斬り捨て御免!』


菫子 「…うん 適当に送ったってわかるけど、夜一がその言葉使ったらいろいろとまずいよ」


菫子 「てかなんで!?なんで送れてるの!?向こうの世界に電波なんてないはずなのになんで送れるの!?」


菫子 「てことは夜一に電話もできるよね ちょ、ちょっと試してみよ!」タタンッ













彼岸ー寮 四季の部屋



四季 「すぅ…すぅ…」


蒼野 「すー…すー…」ベッドの台座に寄りかかって寝ている


…〜♪… 部屋の中からなにか音楽が流れる


蒼野 「…んぅ?なんだ なんか鳴ってる…?」


蒼野 「…携帯か?」ゴソゴソ…スッ


スマホ 『着信 菫子』


蒼野 「…菫子?なんでまたあいつから」タンッ


蒼野 「…はい もしもし」ファァ…


菫子 『もっもしもし夜一!私の声聞こえてる!?』キーン!!


蒼野 「うぉっ!?すっ菫子 もう少し声抑えてくれ 耳に響いた…」キーン


菫子 『あっごめん つい声が…』


蒼野 「…てか、この…アプリだっけか?電話もできるのか」


菫子 『うん LI〇Eはメールだけじゃなくて電話もできるの もちろん普通に電話もできるよ』


菫子 『てかなんでそっちの世界で携帯使えるの?電波入ってなかったよね』


蒼野 「あぁ そのはずなんだが、なぜか俺の寝泊まりしてるところだと電波が入ってるんだ」


菫子 『夜一ってどこに住んでるの?』


蒼野 「彼岸って場所に建つ裁判所の近くだ」


菫子 『…っえ 裁判所?』


蒼野 「あぁ 俺はそこで務めさせてもらってるんだ まっ主に外歩きばかりの仕事だけどな」


菫子 『…なんで裁判所で働いてるの?てかなんで働けてるの?』


蒼野 「かくしかだ(省略)」


菫子 『そうなんだ 閻魔様に手伝うよう判決を下されたんだ』


蒼野 「四季が俺の過去を見てそういう判決を出したんだ 普通ならありえないよな 殺人鬼を閻魔の下に就かせるなんて」


菫子 『たしかにありえないね でも地獄に送られなくてよかったじゃん!もし地獄に送られてたら今こうやって話すことも出来ないし なにより毎日苦痛を味わうことがないんだから!』


蒼野 「…俺的には地獄に送られた方がよかったと思うけどな 俺は最後の最後で遥を守ることができなかったんだ…」


蒼野 「その罪償いとして俺は地獄に行くことを推薦したんだが四季はそれを聞かなかった 生真面目というか頭が固いというか…ほんと、ある意味感心するよ」ハァ…


菫子 『…夜一……』


蒼野 「…でも今思い返せば地獄に送られなくてよかったと思ってる」


蒼野 「佐久間グループの奴らがこっちの世界に来てまた悪さをしてるからあいつらを全員撲滅して壊滅させないといけない」


蒼野 「あいつらだけは許せない 俺の人生をズタボロにしたのもあるが、遥やメイを殺したから絶対に許せない!!」ギリッ


蒼野 「またもう一度抹殺して今度こそ壊滅させてやる それが今の俺の使命だ!」


菫子 『…そうだよね あいつらは二人を殺害したんだから許せないよね 夜一の気持ちすごくわかるよ』


菫子 『もし手伝ってほしいことがあったら私も手伝うよ!私も協力する!』


菫子 『私もあいつらのことは許せない 夜一は悪くないのにあいつらはありとあらゆる手を使って夜一を全世界の敵にさせたんだから許されるわけがない!』


菫子 『夜は基本的そっちの世界に行ってるからもし手を貸して欲しかったら言って 絶対に手を貸すから!』


蒼野 「それは頼もしいな 菫子が協力してくれるとすごく助かるよ!」


蒼野 「でもお前は手を出さないでくれ 気持ちだけはありがたく受け取っておくよ」


菫子 『…っえ なんで?わたしだって戦えるよ!わたしも夜一の手伝いをしたい!』


蒼野 「いや菫子はなにもしないでくれ お前も一緒に手伝ってもらったらお前まで奴らに追われる身になっちまう」


蒼野 「そうなったら次からこっちの世界にきたとき奴らに狙われ続けることになる 俺に会おうと思った時も奴らに邪魔されたら会えなくなるんだぞ」


蒼野 「また会えるようになったのにそんなことで会えなくなるなんていやだろ?」


菫子 『…それはたしかに夜一に会えなくなるのは嫌だけど…でも!』


蒼野 「なら俺がお前と会えなくなるのが嫌だから手伝わないでくれ これは俺からのお願いだ」


蒼野 「…それなら聞いてくれるかな?菫子」


菫子 『…』


蒼野 「…いやか?いやならそれでも構わないがあまり手伝って欲しくはないけど」


菫子 『…夜一 一回通話切ってもらっていいかな?』


蒼野 「…っえ なんで?」


菫子 『いいから!それで切ったらこっちから通話かけるからそれを取ってもらえる?』


蒼野 「あっあぁ わかった」プツッ…


蒼野 「…なんでいきなり通話切ってって言ってきたんだ?」


携帯 『着信 菫子』ヴー…ヴー…


蒼野 「あっきた えっと…これかな?」タンッ


菫子 『やっほー!夜一 私の顔見えてる?』カメラ付き通話で電話をしてくる


蒼野 「うぉっ!?び、びっくりした…いきなりお前の顔が目の前に出てきたからなんだと思ったよ」


蒼野 「カメラ付き通話か この…アプリだっけか?そんな機能もついてるのか」


菫子 『そうだよ!うーん…やっぱり夜一の顔見ながら話すのっていいね!すごくかっこいいよ!』


蒼野 「殺人鬼にかっこいいって…まぁそれはいいとして」


菫子 『ねぇ夜一 さっき言ったこと、もう一回言ってくれる?』


蒼野 「っえ なんでもう一回?」


菫子 『いいから!ほら早く?』

ヾ(≧∀≦*)ノワクワク


蒼野 「わ、わかったよ」


蒼野 「…菫子 俺はお前に手伝って欲しくないんだ もし俺の手助けをしたらお前まで目をつけられちまう」


蒼野 「目をつけられたらお前まで追われることになっちまう そうなったら俺とも会えなくなっちまうんだぞ?そんなのいやだろ?」


蒼野 「俺もお前と会えなくなるのはいやだ だから手伝わないでほしいんだ これは俺からのお願いだ」


蒼野 「…だめかな?菫子」


菫子 『ーっ夜一…』


蒼野 「なんだ?」


菫子 『…今の顔、マジ萌え死ぬ…めちゃんこよかった 鼻血でそう…!』///タラー…


蒼野 「…。」


蒼野 「…あのな菫子 俺は真面目に話してるんだが…てか鼻血出そうってもう出てるよ」


菫子 『あっほんとだ いつの間に…ティッシュティッシュっと』シュックルクル…スポッ


菫子 『ごめんね 夜一がまじめに話してるのはわかってたんだけど、それでも夜一の真剣な目付きを見て興奮しちゃって』


蒼野 「なんで俺の真剣な顔見て興奮するんだよ おかしいだろ」


菫子 『おかしくないよ!夜一のこと好きって思う人はみんな夜一の真剣な顔には心にズギュンッ!と銃弾を撃ち込まれたような衝撃が走ってくるんだよ!』


蒼野 「…うん 全然わからん」


菫子 『わからないの?それじゃ例えるならね』


蒼野 「いや例えなくていい てかお前今日学校だろ?早く支度しなくていいのか?」


菫子 『…あっそろそろ支度しないとまずいわ』


蒼野 「なら早く支度して行け それとまちがっても俺と関わってるみたいなことを誰かに言うなよ 話したら捕まるからな」


菫子 『わかってるよ そもそもわたしそっちの世界にいかないと友達いないから話す人もいないからよけいに心配することはないわ!』ドヤッ


蒼野 「…自分で言って悲しくないか?改めて言うのもなんだが」


菫子 『…』


蒼野 「…まぁ その、なんだ また夜になったら話でもするか?」


菫子 『っ! いいの!?』


蒼野 「空いてればな 絶対とは言えないから約束はできないけど」


蒼野 「もしいけたら定時の時間に行くよ 菫子は大体何時頃こっちの世界に来るんだ?」


菫子 『…だいたい夜の六時頃かな?学校から帰ってきたらご飯とか食べて、そういうのを終わらせたらすぐ寝ちゃうから』


蒼野 「こっちの世界に来た時っていつもどこから現れるんだ?」


菫子 『いつも妹紅さんの家に来るよ だからもし来てくれるなら妹紅さんの家に来てくれると嬉しいな』


蒼野 「妹紅の家だな?わかった もしいけたとしたら六時頃に妹紅の家に行くよ」


菫子 『うん!もし来れたらいっぱい話しようね!』///


蒼野 「あぁ その時はいろんな話しような!それじゃ」


スマホ 「」ブツッ


蒼野 「…」スッ… 携帯を懐にしまう


四季 「…ずいぶんと楽しそうにお話していましたね?」ジトー


蒼野 「うおぉっ!!?しっ四季 起きてたのか!?」ビクゥッ!!


四季 「あれだけの声量で話していればさすがの私も起きます 話すならもう少し小さく話してください」


蒼野 「わっわるい 気をつけるよ」


四季 「…それで、先程菫子さんと話をしていたようですが その…外の世界に存在する携帯でしたっけ?それは菫子さんから借りたものですか?」


蒼野 「あぁ 菫子が俺と話したい時にって言って渡してきたんだ 幻想郷に電波なんてないのにどうやって使うんだよと思ったけど ここだとなぜか使えるんだ」


蒼野 「下に降りたら使えないのになんでここだと使えるかわかるか?」


四季 「うーん…おそらくここは外の世界にも繋がっているので その影響があるのかもしれませんね」


蒼野 「っえ ここって外の世界にも繋がってるのか?」


四季 「厳密に言えば繋がりはしています わたしは幻想郷を担当しているので他の世界へは行きませんが行こうと思えば行けます」


四季 「ですが部門外の場所へ行くとなるとその申請書を出さなくてはいけないのでいろいろと面倒なことになります まぁ行く予定もないのでそのようなものを書くことはないんですがね」


蒼野 「…だからか 外の世界にも繋がってるから使えるのか?いやだとしても無理があるような…」


四季 「どうしてですか?外の世界にも繋がっているんですから電波というものが入ってきてもおかしくないのでは?」


蒼野 「電波ってのは範囲が決められてるんだ 外の世界には電波塔ってものが存在するんだがその範囲内なら携帯を使えるんだ」


蒼野 「だけどこの場所は見た感じだとはるか上空 電波塔の範囲外になってるはずなんだ だから届いてるとは思えないんだ」


蒼野 「この場所が外の世界の地上に近いなら話は別だけどな」


四季 「…。 えっと、つまり…??」


蒼野 「あぁわからないならいいよ 外の世界のことを詳しくないならわからないから」


蒼野 「それより四季 今日の夜なんだが…」


四季 「…特に予定はありません 今のところは…ですがね」


蒼野 「それなら夜 菫子と話してきてもいいかな?あいつには過去、寂しい思いをさせちまったからその二の舞にさせたくないんだ」


蒼野 「もちろん明日のことも考えて早めに帰ってきて明日に影響がないようにする 菫子になにかあった場合には俺が絶対に守る!だめか?」


四季 「…まぁ、人との交流は必要ですからね それに関しては許可します」


四季 「ただし!先ほど二人が話しているのを聞いてましたがあなたは菫子さんに好意を持たれてるようですね」


四季 「それに関しては一つ言っておきます 絶対に菫子さんとは恋仲になってはいけません …いいですね?」


蒼野 「…まぁ、俺には綾瀬がいるからな?それはありえないから安心してくれ」


四季 「それならいいです それともうひとつ、なにかあった場合には必ず大閻魔様のもとに念を送って危険を知らせてください」


四季 「あなたは一度、大閻魔様のもとに念を送って話をしてましたよね それと同じように知らせてください いいですね?」


蒼野 「わかった」













夜ー妹紅の家



妹紅 「…ふぁぁ ねむ…まだ六時近くなのに」


妹紅 「…暇だな 今日はもう寝ようかな 起きててもやることないし」


妹紅 「…あっでもそろそろ菫子が来る時間か あいつと一緒なら暇を持て余すことない 来るなら早く来て欲しいな」


…トンッ


菫子 「やっほー!妹紅さん 今日も遊びきちゃいました!」


妹紅 「っお!ちょうどいいタイミングで来たな 待ってた…」


菫子 「妹紅さん!今夜一は来てますか!?てかまだ六時じゃありませんか!?」


妹紅 「っえ 蒼野?いや来てないけど…それとまだ六時近くだからまだなってないぞ」


菫子 「そうですか…今日来てくれるかなぁ?来てくれると嬉しいんだけど!」ソワソワ


妹紅 「なんだ 蒼野と待ち合わせしてんのか?」


菫子 「いえ、してるわけじゃないです もし来れたら六時にここへ来てくれると言っていたのでもしかしたらと思って」


妹紅 「あぁなるほど そういうことか」


菫子 「夜一来るかなぁ 来てくれたらうれしいなぁ?」ソワソワ


妹紅 「(なぁんだ もし蒼野が来たら私暇になるな せっかく菫子と遊ぼうかと思ったのに…)」


妹紅 「(…まっそのときは仕方ないか その時はおとなしく寝るとするか)」


菫子 「まだかなぁまだかなぁ?夜一来てくれるかなぁ!」ソワソワ


妹紅 「そんな慌てなくても来る時はくるよ 少しはじっとして…」



コンコンっ


夜遅くに悪い 蒼野だが誰かいるか?


菫子 「きた!」タッタッタッ!!


ガラッ…


菫子 「夜一!」


蒼野 「っよ!菫子 今日の朝ぶりだな」


菫子 「今日は来れたんだね!仕事の方は平気だった?」


蒼野 「あぁ 今日はそこまで忙しかったわけじゃないし 四季からも今日はいいとも言われたからな」


菫子 「そうなんだ それならよかった!」


蒼野 「妹紅 待ち合わせ場所に使ってわるいな お前に用があったわけじゃないんだが菫子がここに現れると聞いてな」


妹紅 「別にいいよ それよりも辺りは暗くなってきてるんだから遊びに行くなら気をつけていきな?菫子のことちゃんと頼むよ」


蒼野 「わかってるよ 菫子になにかあった場合には俺は命をかけて助けるから!」


菫子 「夜一…!」キュンッ


妹紅 「ならいいよ あともし人里に行くなら正面堂々と歩いて入れよ?今人里は厳重体制に入ってるからコソコソと入ってたらすぐ捕まるからな」


蒼野 「わかった それじゃ行くか」


菫子 「うん!妹紅さん行ってきます」


妹紅 「気をつけなよ」


菫子 「はーい!」


フワー…



妹紅 「…」


妹紅 「さて、暇だから寝るとしようかな 菫子のことは蒼野に任せて平気だろ あいつ結構真面目だからな」


妹紅 「変な気を起こすようなこともしないだろ …いや、むしろ菫子の方が心配だな 蒼野より菫子が変な気を起こしそうだな…」ウーン


妹紅 「…まっ蒼野のことだから多分そんなことになっても断るだろ そういうことに関しては真面目だからなあいつ!」


妹紅 「よし!平気だとわかったら寝よう おやすみ!」





? 「…」…?













上空



菫子 「ねぇ夜一 どこに行こうか!どこかオススメな場所ない?」


蒼野 「オススメな場所か?うーん…俺もまだこっちの世界に来て日が浅いからな わるいが昨日行った湖ぐらいしか…」


菫子 「そうなの?それじゃまたあの湖いこっか!」


蒼野 「っえ でも昨日行ったから同じ場所だとつまらないんじゃないか?」


菫子 「いいの!それにもし場所が決まらないようだったらまた湖に行こうと思ってたからなおのことおっけーよ!」


蒼野 「そうなのか?でもなんでまた湖に?」


菫子 「それは行ってからのお楽しみ!着いたら教えるよ」


蒼野 「?」



…夜一さーん!


蒼野 「っ!」ピクッ


菫子 「? どうかしたの?」


蒼野 「…いま、だれかに呼ばれたような…?」


菫子 「…っえ?」



夜一さーん!こっちでーす!


蒼野 「…こっち?」チラッ 地上の方から声が聞こえ下に顔を向ける



小鈴 「おーい!」鈴奈庵の出入口前から呼びかけている


阿求 「蒼野さーん!はぁはぁ…」ゼーゼー…



蒼野 「…小鈴と阿求?なんでこんな時間に」


菫子 「なにかあったのかな?行ってみよう」


蒼野 「そうだな」ヒュー…













人里ー鈴奈庵出入口前



蒼野 「よっと」スタッ


小鈴 「こんばんわ夜一さん!菫子さん」


阿求 「こっこんばんわ…」///


蒼野 「おう!こんばんわ こんな時間に二人揃ってどうしたんだ?俺を呼んでたが」


小鈴 「あぁいえ、特に用があったわけではないんです ただ夜一さんが菫子さんと一緒に飛んでいるのを見かけたのでどこに行くのかなと思いまして」


阿求 「えっと、そうね どこに行くのか気になって…」///


蒼野 「今から菫子とこの先の湖に行こうと思って向かってた途中だ」


阿求 「この先の湖…?霧の湖のことですか?」


蒼野 「っん あそこの湖ってそういうのか?名前まではわからないが多分そこだと思う」


小鈴 「こんな時間に行くんですか?夜あの辺をうろついてると妖怪などがいるので危ないですよ」


蒼野 「ある程度の妖怪とかなら平気だよ それに昨日も行ってるから平気だろ?」


阿求 「でも危ないですよ たしかにあの辺にはあまり危ない妖怪などはいませんが絶対いないとは言えないので危険です」


菫子 「それなら平気よ わたしは超能力が使えるんだからそんじゅそこらの妖怪なんてけちょんけちょんにしてやるわ!」


阿求 「あなたがそういうと別問題になりかねないのであまり言わないでくださいね また痛い目を見ますよ?菫子さん」


菫子 「っ!」ギクッ


蒼野 「? なんの話だ?」


菫子 「なっなんでもないよ!気にしないで!?」アワワワ


蒼野 「…そうか?」


菫子 「うん!あっそれより二人もよかったら遊びに行かない?霧の湖に!」


小鈴 「っえ 今から霧の湖にですか…?」


阿求 「…危険なのであまり行く気は……」


菫子 「夜一 ちょっと耳塞いでて?」

ヾ(・ε・。)チョイチョイ 二人に手招きして呼ぶ


小鈴&阿求 「「?」」


蒼野 「っえ なんで?てか二人に手招きしてなにを…」


菫子 「いいからいいから!もし耳を塞いでくれたら…」ゴソゴソ


菫子 「これあげるよ!」バッ!!


蒼野 「っ!! そっそれは〇〇パンの大きなコ〇ッケパン!!」( ☆∀☆)


菫子 「そうだよ 夜一好きだって言ってたもんね?こっちに来る前に買っといたんだ!」


菫子 「もし耳を塞いでくれたらこれをあげるけど…どうする?」ニヤッ


蒼野 「ーっ…しっしょうがないな なんかあやしい感じがするんだが耳を塞いでおこう」


菫子 「それじゃ耳を塞ぐついでに少し向こうに行ってて?夜一の場合耳を塞いでても聞いてる可能性があるから」


蒼野 「…そこまで聞かれたくないのか?一体なにを話そうとしてるんだ…?」


菫子 「聞きたい?聞きたいならこれあげないけど」カシャカシャ 袋に入ったパンを前後に振って誘惑する


蒼野 「ーっ…わ、わかったよ だけど、あまり変なことを言うなよ?いいな」


菫子 「大丈夫だいじょうぶ!変な事じゃないから」スッ


蒼野 「…小鈴 阿求 もし菫子に脅されるようなことを言われたらすぐに言えよ?こいつ叩きのめすから」


小鈴 「はっはい わかりました」


阿求 「その時は教えます」


菫子 「ちょっ!?それどういうことよ!わたしそんなこと言わないわよ!」


蒼野 「念の為だよ お前がそういうことを言わないとわかってるが万が一、そういった場合を考えて言っただけだ」


菫子 「でもそういうってことは疑ってるってことだよね!」


蒼野 「…まぁ 多少なりに」


菫子 「…ふーん そんなこと言うんだ?じゃあこのパンわたしが食べちゃうから!」バリッ


蒼野 「っえ!?そっそんな!」

Σ(゚д゚lll)


菫子 「あっでもわたしこのパン好きじゃないからいらないや」


蒼野 「なら!」パァァ


菫子 「どうせ誰も食べないんだからわたしの能力で潰して石ころみたいにしても問題ないよね!わたしが買ってきたんだし!」ヒュンッ パンを能力で浮かせて握りつぶす体制に入る


蒼野 「えぇ!?そっそんなもったいない!べつに潰さなくてもいいじゃないか!」アワワワ


菫子 「だってだれも食べないんだしいいでしょ?それともなに 食べたいの?私のこと疑っといて食べたいなんて言わないよね」


蒼野 「そっそれは…」


菫子 「…」


蒼野 「…そうだな 疑っといて食べたいというのはおかしいよな 購入者であるお前がどう使おうが勝手だよな…」


蒼野 「大きなコ〇ッケパン…」

(´・ω・)ショボーン


菫子 「…じょうだんよ あげるからそんな顔しないで」スッ… 浮かしているパンを蒼野の方へ持っていく


蒼野 「マジ!?」


菫子 「うん でも次からは冗談でも疑うようなことはしないでね?夜一にそんなこと言われたら傷つくから」


蒼野 「…わかった 次からは気をつけるよ」ガシッ


菫子 「おねがいね」


蒼野 「あぁ〜大きなコロッケパ〜ン!久々に食べるぜぇぇー!!」

(♡´▽`♡)


蒼野 「このマヨネーズとソースが美味さを湧き立てて、口の中で広がる香ばしさ…はぁぁ〜!!」タッタッタッ…



小鈴 「…夜一さん 今までかつてないほど笑顔だったね……」


阿求 「よほど好きなようね 大きなコロッケパンとやらを」


菫子 「夜一あのパンには目がないからね!」


小鈴 「…それで菫子さん 私たちになにか話したかったみたいですがなにを話したかったんですか?」


菫子 「んー その前にひとつ聞いてもいいかな?」


阿求 「はい なんでしょう?」


菫子 「…二人とも、夜一のこと好きでしょ?」


小鈴&阿求 「「…」」


小鈴&阿求 「「っ!!!?」」///ボッ!!


菫子 「その様子からして図星のようね 小鈴は聞いてたから知ってたけど、阿求の方は夜一に話しかけた時に顔を赤らめて言葉を詰まらせてたからもしかしたらと思ったんだけど…当たりみたいね?」


阿求 「そっそそそんなことありません!わわっわたしが蒼野さんのことが、すっすすすす好きなんて!!」

(//๑□๑//)


菫子 「いいわよ隠さなくて?てか、隠しきれてないけどね」


阿求 「ーっ!!!!!!」ボンッ!!!!


小鈴 「だ、誰から聞いたんですか!?もしかして魔理沙さんからですか!」///


菫子 「魔理沙さんからじゃないよ 夜一本人から聞いたのよ」


小鈴 「ふぇっ!!?よっ夜一さんから直接!!!?///カァァ!!!!



蒼野 「あぁ〜うめぇ〜〜…!!やっぱりこれ好きだわぁー…!!」トローン



菫子 「夜一のやつ小鈴に最低な振り方をしたみたいね?わたしが怒っといたからまだ気にしてるようだったらもう気にしなくて平気だからね!」


小鈴 「あっえと、その…あっありがとうございます…」///


阿求 「ーっそ、それで!私たちになにか話したかったようですが一体なにを話したかったんですか!」///


菫子 「おっとそうだった そのことなんだけど、さっきも言ったけど二人も湖に行かない?」


小鈴 「…菫子さん さっきも言いましたがあの辺は妖怪などがいるので…」


菫子 「わたしと夜一で守るからそれは安心して!それに来た方が二人のためでもあると思うよ?」ニヤッ


阿求 「…っえ?それはどういう意味ですか?」


菫子 「実はね 今日あの湖に行こうと思ってるのは夜一と一緒に泳ごうかなって思ってるの!」


菫子 「それで水着もどれがいいか分からなくてちょうど三着持ってきてるの!だからもし良かったらあなたたちもどうかなって思ったんだけど」


菫子 「霧の湖で泳ぐって…危なくないでしょうか?タダでさえ妖怪妖精がいて危ないのに…」


菫子 「だからそこはわたしと夜一で守るって!わたしはともかく、夜一なら信用できるでしょ?二人とも夜一のこと好きなんだし!」


小鈴 「…そっそれは……」///カァァ


阿求 「まぁ…そう、ですね……」///カァァ


菫子 「それに!夜一にかわいいところを見せて好感度をあげるチャンスでもあるでしょ?二人にとって得のある話でしょ?」ヒソヒソ


小鈴 「ーっ…」///


阿求 「…たったしかに、損する話ではありませんが……」///


菫子 「そうでしょ!なら一緒に行かない?水着なら貸してあげるから!」


小鈴 「…でも、いいんですか?本来なら夜一さんと二人で行くつもりじゃなかったんじゃないですか?」


菫子 「…いやぁ まぁ、うん そのつもりだったんだけどね?さすがに二人きりで水着になるのはちょっと抵抗というか恥ずかしいというか…」///アハハ


阿求 「なるほど いざ誘ったはいいけど肌を見せるのは恥ずかしいということですね それで私たちも巻き込んで一緒に肌をさらけ出させて同じ思いをさせる…そういうことですよね」


菫子 「たっ単刀直入に言うね阿求…たしかにそうだけど、もう少し遠回しに言って欲しかったな…」///


小鈴 「たしかに…」///



蒼野 「〜♡っあぁー…美味しかったァ!久々に食べれて嬉しいぜぇぇ…!」///


蒼野 「菫子 もう話しは終わったのか?」


菫子 「うん!もう終わったよ 二人も湖に行くって!」


小鈴 「っえ ちょっ菫子さん!?私たちまだ行くなんて…」


菫子 「友は道連れって言うでしょ!付き合いなさい!」ヒソヒソ


小鈴 「えぇーっ!!?」


阿求 「…あの、私たちあなたがたと違って飛べないんですが…」


菫子 「わたしと夜一の背中に乗せて飛ぶから安心して!」


阿求 「…わかりました それならお付き合い致します」


小鈴 「阿求!?」


菫子 「そうこなくっちゃ!よいちー 二人は空飛べないからわたしは小鈴を乗せて飛ぶから夜一は阿求をお願い!」


蒼野 「飛べないのか?わかった」


小鈴 「ちょっと阿求!なんで行くなんて言ったのよ!霧の湖なんて危険でしょ!」ヒソヒソ


阿求 「たしかに危険だけど二人が守ってくれるって言ってたでしょ?菫子さんはともかく、蒼野さんなら信用できるわ」


小鈴 「たしかにそうかもしれないけど あなた今日忍びでこんな時間に私のところに来たのに帰りが遅くなったらまずいでしょ!」


阿求 「忍びならよくしてるから多少帰りが遅くなっても平気よ それに本来なら今日は外の世界の本とかを読む予定だったのに蒼野さんが空飛んでるのを見かけて呼び止めたのはあなたでしょ?」


小鈴 「た、たしかにそうだけど…それに阿求は身体弱いんだからムリしたら…」


阿求 「…へいきよ 少しぐらい動いても多少は持つわ あと数十年は…ね」


小鈴 「…」


蒼野 「(…あと数十年?一体どういうことだ あと数十年後にはどうなってるんだ?それに阿求のやつ身体が弱いって言ってたが)」地獄耳


蒼野 「(…ちょっと様子見るか 連れていくにしても身体が弱いんじゃ無理はさせられない まずいと思ったら休ませるか)」


阿求 「それではすみませんがよろしくお願いします なるべく安全に向かってもらえると助かります」


蒼野 「あぁ なるべく安全に向かうよ」













霧の湖



小鈴 「わぁぁ!月が反射してキレイ!」


阿求 「ほんとね 霧が出てないなんて珍しいわね」


蒼野 「っえ そうなのな?前に来た時も霧なんて出てなかったけど…」


阿求 「…っえ?それはへんね ここは一年中霧が出てるはずなんですが」


菫子 「例外もあるのよ!逆に霧が晴れてた方が見通しいいからずっと晴れてくれてた方がいいわ!」


阿求 「それは、まぁ たしかにそうかもしれませんが…」


蒼野 「まぁそれはいいとして!菫子 なんでここに来たかったんだ?また月見をしたかったのか?」


菫子 「ちがうよ 今日ここに来たのはちょっとここで遊ぼうかなと思ってきたの!」


蒼野 「あそぶ?こんな湖でなにして遊ぶんだ?」


菫子 「ふふーん!じつはね 今日ここで遊ぶために水着を持ってきたの!」


菫子 「あっもちろん夜一のもあるよ?わたしもどれがいいか迷って三着持ってきたから小鈴たちも呼べると思って連れてきたの!」


小鈴&阿求 「「(私たちを連れてきたのは一人だと恥ずかしいから誘ったんでしょ)」」


蒼野 「…水遊び?」


菫子 「うん!」


蒼野 「…えと、菫子 おれ…男なんだが?」


菫子 「知ってるよ?誰がどう見ても女とは思えないよ」


蒼野 「…おまえら女だろ そんな中に男がいたらまずいだろ」


菫子 「そうかな?別に平気だと思うけど ねぇ?」


小鈴 「っえ?あっはい そうですね」


阿求 「蒼野さんだから平気だと思います …まぁ、水着姿を見られると思うと恥ずかしいですが…」///ボソボソ


蒼野 「…てか着替える場所は?ここら辺に着替える場所なんてないだろ」


菫子 「そこは夜一が覗かなければ平気でしょ?それともなに 私たちの裸見たいの?」ニヤニヤッ


小鈴 「ちょっ菫子さん!?」///


蒼野 「…まぁ、見たくないと言えば嘘になるが覗いてまで見たいとは思わないな」


菫子 「っえ!?あっそ、そう そうなんだ…」///カァァ


菫子 「(よっ夜一ド直球過ぎだよ まさかそんな返答が帰ってくるとは思わなかったよ…)」///


阿求 「(蒼野さん それをド直球に言うのはどうかと…)」///


小鈴 「(あっあぅぅ…やっぱり夜一さんも男の子なんですね 私たちの裸を見たいだなんて…)」///←見たくないと言えば嘘になるとは言ったが見たいとは言ってない


蒼野 「? どうした?みんな顔を赤くさせて…っあ」ハッ


蒼野 「(やべ いつもの癖で正直に答えちまった…これじゃ俺変態じゃねぇか!)」


蒼野 「(しまったなぁ…もう少し考えて返答すればよかった これは気まずくなるな…)」ハァ…


三人 「「…」」///プシュー…


蒼野 「…えっと、三人とも 今俺が言った言葉なんだが…やっぱりなんでもない 気にしないでくれ」


三人 「「(それ言う!?言っちゃうの!?てかもう遅いでしょれ!!)」」///


蒼野 「(て言っても無理だよな 普通に考えて…はぁ 尚のことバカやった…)」


三人 「「…」」///


蒼野 「…」


全員 「「…」」


蒼野 「…えっと、やっぱりやめとくか 俺が変なこと言ったからお前らも水着になるのいやだろ?」


小鈴 「っえ!?えっと、その…」///


阿求 「…そうですね ちょっとそういうこと言われると…」///


菫子 「そっそんなことないよ!むむしろ見てほしい!」///ドンッ!!


小鈴&阿求 「「っえ!!?」」


蒼野 「…見てほしいのか?」


菫子 「うん!だって夜一にかわいいところ見てほしいんだもん!水着は見られてなんぼでしょ!」///


蒼野 「それはまぁ、たしかにそうかもしれないが…」


菫子 「それじゃ今から着替えてくるから夜一はそっちで着替えてね!はい これ夜一の水着!」///スッ


蒼野 「あっあぁ ありがとう」スッ…


菫子 「二人とも早く着替えるよ!夜一にかわいい姿見てもらいたいでしょ!向こうの茂みで着替えるわよ!」///


小鈴 「ちょっ菫子さん!?勝手に話を進めないでください!」///


阿求 「そうですよ!たしかに蒼野さんにかわいい姿を見てもらいたいですが先程の話を聞いたら…」///


菫子 「そんなの関係ない!ほら 早く行くよ!(わたしだって恥ずかしいんだからみんな巻き添いよ!)」///ザッザッザッ!!…


小鈴 「〜っわかりましたよ!待ってください!」///ザッザッザッ!!…


阿求 「ちょっ!?小鈴あなた本気!?てか蒼野さんと二人っきりにさせないで!!」///ザッザッザッ!!…



蒼野 「…菫子 お前自分が恥ずかしいからって二人を巻き込むなよ…」


蒼野 「…まぁいいか 俺もさっさと着替えてこよう」ザッザッザッ…













数十分後…



蒼野 「…あいつら遅いな もう十分ぐらい経ってるぞ?さすがに女の着替えは遅いとは言うが水着に着替えるだけだからそこまで時間かからないはずだが…」既に着替え終わって待機してる


蒼野 「…なにかあったのか?いやでも、なにかあったとしても菫子が一緒だからある程度は平気なはずだが…」


蒼野 「…もう少し待ってみるか いや、一回呼んでみるか」


蒼野 「菫子ー、小鈴ー、阿求ー!まだ着替えてるのかー?」


シーン…


蒼野 「…あれ?返事がねぇ…うそだろ?」


蒼野 「おーい!三人とも いたら返事しろー!」


シーン…


蒼野 「…おい、冗談だろ!」ダッ!!


蒼野 「(まさかあいつらの身に何かあったのか!?菫子がいるから平気だと思っていたがもしかして!)」ザッザッザッ!!!!…


蒼野 「おい菫子!小鈴!阿求!いたら返事しろ!誰でもいいから返事しろ!!」


シーン…


蒼野 「ーっくそ!」ザッザッザッ!!…


蒼野 「(うかつだった 菫子がいるから平気だと思ってたのが甘い考えだった!)」


蒼野 「(もし佐久間グループの奴らにやられてたとしたら あいつら能力が使えるんだから菫子と対抗できるじゃねぇか!よく考えればすぐにわかる事だったじゃねぇか!)」


蒼野 「(バカだオレ そんなこともわからないなんて大バカ野郎だ!!)」ギリッ!!


蒼野 「ーっくそぉ!!」ザッザッザッ!!…



…ーっ…


蒼野 「っ!」ビタッ


蒼野 「(…今、誰かの話し声が聞こえたような…)」


…ダカラ…


蒼野 「…今の声、もしかして!」ザッザッザッ!!…
















菫子 「…だから、私よりあなたたちが先に行ってよ 私からなんて恥ずかしくてムリ…」///


小鈴 「なにいってるんです!私たちを巻き込んだのは菫子さんなんですからあなたから先に行ってくださいよ!」///


阿求 「そうですよ!私たちから行かせようなんてしないでください!」///


菫子 「だ、だって…わたしの貧相な胸を見たって夜一喜んでくれるとは思えないし 逆に見せるほどないし……」///ペターン


小鈴 「そっそれを言ったら私たちだってあまり変わらないんですが…ほとんど変わりませんよね?」///ストーン!


阿求 「…小鈴 あまり言わないでもらえるかしら けっこう気にしてるのよ…」///ペチャ!



…ガサッ!!


蒼野 「おまえら!無事だったか!」ザッ!!


菫子 「ふぇっ!?よっ夜一!!?」///ドキッ


小鈴 「なっなななんで来てるんですか!私たちまだいいなんて言ってないですよね!」///


蒼野 「呼んだのに返事がなかったから来たんだよ!何回も呼んだのにおまえら返事しなかったからなにかあったんじゃないかと思って来たんだ!」


阿求 「っえ 呼んでましたか…?」


菫子 「ごっごめん わたしはぜんぜん聞いてなかった…」


小鈴 「わっわたしも…」


阿求 「すみません わたしも同じです…」


蒼野 「なんでだれ一人聞いてないんだよ!誰かひとりぐらい聞いてろよ!マジで心配したんだからな!」


蒼野 「もしかしたら佐久間グループの奴らに拉致されたんじゃないかと思ってすぐに駆けつけて来たんだから!マジでふざけんな!」


小鈴 「すっすみません!気づかなくて…」


蒼野 「…まぁいい 三人が無事ならそれに越したことはない これ以上怒っても仕方ないな」


蒼野 「にしてもお前ら水着に着替えるだけに何十分もかかってたがなにしてたんだ?見た感じもう着替え終わってるみたいだが」


菫子 「ごっごめん ちょっと心の準備をしてて…」///アハハ


蒼野 「…心の準備?」


菫子 「あぁうん なんでもない!やっぱり気にしないで!それより早く泳ぎに行こ!」///


蒼野 「? そうだな それじゃ泳ぎに行くか」


菫子 「それじゃレッツゴー!」ザッザッザッ…


阿求 「…」


小鈴 「…夜一さん体大丈夫そうね 小町さんがもう完治してるって言ってたけど」


阿求 「そうね 体の古傷は治ってないみたいだけど、あの時切られた傷跡は残ってないわね それに後遺症もないみたいでほんとによかったわ」


阿求 「もし後遺症とかが残ってたらどうしようかと思ってたけどあの様子だとその心配はなさそうね 普通に歩いてるように見えるわ」


小鈴 「そうだね ほんとによかったわ夜一さん元気になってくれて」



蒼野 「おーい 早く行くぞー?」


小鈴 「はーい!いこ 阿求」


阿求 「えぇ」


ザッザッザッ…
















菫子 「いやっふー!」バシャバシャバシャバシャッッ!!!!!! 湖で泳いで蒼野と競っている


蒼野 「はやっ!?ちょっ追いつけねぇ!」バシャバシャバシャバシャッッ!!!!!!


菫子 「ふふーん!そんな泳ぎじゃ私に追いつくことはできないよ!もっと早く泳がないと!」バシャバシャ


蒼野 「追いつけるか!泳ぎなんて小学生の時以来だから腕も鈍ってれば泳ぎの練習だってしてねぇんだぞ!現役高校生のお前に勝てるわけないだろ!」バシャバシャ


蒼野 「てかお前の泳ぎ明らかに早すぎるわ!能力使ってるだろ!泳ぎでそこまで早く泳げねぇだろ!」バシャバシャ


菫子 「あっバレた?やっぱり気づいちゃったかー ちょーっと能力使ってるけど気にしないで!」

(;؂•̀๑)テヘペロ


蒼野 「気にするわ!イカサマもろ丸出しじゃねぇか!てかしゃべりながら泳ぎる時点で隠す気ないだろ!」


菫子 「いや夜一も泳ぎながらしゃべってるじゃん 逆に私が言うけどそれ水飲んでない?」


蒼野 「よく飲む!すごく息しづらい!てかクロールで泳いでるからしゃべりながらだともろ口に入ってきてほとんど息継ぎできない!てかもう息継ぎなんてしてない!」バシャバシャ


菫子 「…っえ それじゃどうやって息吸ってるの…?まさかずっと息を止めてるなんてことはないよね」バシャバシャ


蒼野 「止めてはないが吸ってないぞ しゃべってる時に息を吐いてるだけであとは溜めてる息を温存してるだけだ」


菫子 「うそでしょ!!?競走始めてからもう5分ぐらい経ってるのに一度も息継ぎしてないの!?だとしたらどんだけ生き持ってるのよ!!」


蒼野 「まだ外の世界にいる時、佐久間グループの一員の中にガスを使うやつがいてな その時に毎回息を止めながら戦ってたからいつの間にか長く息を止めることができるようになったんだ」


蒼野 「かといっても止めてられるのも約十五分ぐらいが限界だけどな もっと長く止めることができればよかったんだが…」


菫子 「十五分!!?いや十分長いよ!てか十五分とか普通の人間じゃありえないよ!人間超えてる!」


蒼野 「失礼な!俺はれっきとした人間だ!それに過去最高記録を出した人はたしか二十二分間息を止めることができたと言われてるんだぞ!それと比べたら俺はまだまだペーペーだ!」


菫子 「いやそれは超人の人でしょ!普通の人は一分でも限界だから!」


蒼野 「っえ そうなのか?それじゃ菫子も一分ぐらいが限界なのか?」


菫子 「私の場合は能力を使えば酸素なんていくらでも運ぶことができるから息を止める必要なんてないわ!」ドヤッ


蒼野 「…能力使わなかったら?」


菫子 「しらない 試したことない」バシャバシャ…


蒼野 「(能力に頼りすぎだろ…)」バシャバシャ…



小鈴 「…ねぇ阿求 普通の人間って泳ぎながらしゃべれるの…?」湖に入らず蒼野の薄い毛布を下に敷いて座っている


阿求 「…ムリよ 仮にエラ呼吸ができたとしてもぜったいにむせるわ てか十五分息を止められるのも異常よ」同じく湖に入らず蒼野の薄い毛布を下に敷いて座っている


小鈴 「そうだよね…」



菫子 「やっほー!私いっちばーん!」バッシャーン!!


蒼野 「おまえ…能力使ってたらそりゃ負けるよ 勝てるわけがないだろ…」バシャァ…


菫子 「ふっふーん!夜一もまだまだだね 私が能力使っても一番を取らないと!世界の殺人鬼なんだから?」


蒼野 「世界の殺人鬼だから水泳で一番を取らないといけないって意味がわからねぇよ…」



小鈴 「…ねぇ阿求 夜一さんの身体ってけっこう細いよね?筋肉もそこまでついてないみたいだけど」


阿求 「…たしかにそうね かなり力あるようだけど筋肉質ではないわね それになんかすごく軽そう…体重何kgなのかしら?」


小鈴 「けっこう軽そうだね それにしてもホントに夜一さんカッコイイなぁ!さっきの泳ぐ姿なんてもう最高だよ!」///


阿求 「…そっそうね たしかに泳ぐ姿はカッコよかったわ でもわたし的には私たちのために戦ってくれてた蒼野さんの姿の方がカッコよかったけど…」///カァァ


小鈴 「それはわたしも同じ!あの時の夜一さんはホンット!かっこよかったなぁー あぁ…夜一さんとお付き合いしたい!」///ウットリ


阿求 「はぁっ!?ちょっあなた本気で言ってるの!?たしかに同じ人間同士だけど仮にも閻魔様の使いよ!」


阿求 「しかも蒼野さんの場合は罪を償うために閻魔様の手伝いをしてるのにそれでお付き合いなんてしたらまずいわよ!閻魔様に罰せられるわよ!」


小鈴 「それでもいい!死んだときに地獄へ落とされてもかまわないわ!それで夜一さんとお付き合いできるなら!」ドンッ!!


小鈴 「逆に聞くけど阿求はいやなの?地獄に落とされたくないから夜一さんのことあきらめるの?」


阿求 「そっそれは…」


阿求 「…家柄のこともあるし もし仮に蒼野さんとお付き合いしたなんて里の人たちに知れ渡ったら稗田家のみんなにもなんて言われるか……」


小鈴 「…たしかに阿求はそういうのがあるからなかなか相手を決められないんだよね 前世の阿求もそうだったんだよね…っ!」ハッ


阿求 「…」ギュッ… 目に力を入れて唇を噛む


小鈴 「…ごめん 気にしてること言って」


阿求 「…その話し、二度としないで べつに私のことを言われてるわけじゃないのはわかってるんだけど…それでも!」ググッ…


小鈴 「…うん もう二度としない」



蒼野 「おーい さっきから二人で話してるがなに話してるんだ?(丸聞こえだけど…)」タッタッタッ…


小鈴 「あっいや、なんでもありませんよ 別に大したことじゃ…」


阿求 「大したこと…?」ピクッ


小鈴 「いやけっこう重要なことを話していました!かなり重要なことなので他言できません!」

((((;゚Д゚)))))))


蒼野 「そうか?まぁ話せないならいいや 無理に聞こうとはしない」


蒼野 「それよりお前らは遊ばないのか?せっかく水着来てきたのに」


小鈴 「そっそうですね!それじゃわたしは遊んできまーす!」スクッ タッタッタッ!!…


阿求 「…」


蒼野 「…阿求は遊ばないのか?」


阿求 「私はいいです 生まれつき身体が弱く 激しい運動をするとすぐに息が上がってしまうのでやめておきます」


蒼野 「…そうか さっき小鈴と話してるとき言ってたもんな 体が弱いって」ヨイショット 阿求の隣に座り込む


阿求 「っ! 聞こえてたんですか?かなり小声で話していたはずなんですが」


蒼野 「俺は地獄耳でな 人の話しとか無意識に聞いちまう時があってそのときに聞こえたんだ」


蒼野 「…それと あと数十年は持つって言葉も聞こえたんだがあれはどういう意味だ?体が弱いことから関連すれば寿命の意味を表してると思うんだが」


阿求 「…察しがいいですね 噂通り頭の回転が早い方のようで」


阿求 「その通りです わたしは生まれつき体が弱く、短命なんです これは私だけではなく前世のわたしも同じだったんです」


蒼野 「…前世のおまえ?」


阿求 「わかりやすく言えば記憶だけが次のわたしに受け継がれると思ってくれた方がわかりやすいかと」


阿求 「わたしは一度見たものを忘れない程度の能力を使うことができます 見たものを忘れず、過去のことを記録するために私は生まれてきたんです」


阿求 「わたしが生きている間、なにが起きているのか どういうことがあったのかをすべて見て記録して巻物に記録して残すんです それがわたしの役目なんです」


阿求 「なのでこの体が持つのはあと数十年ぐらいかと思います 大体の寿命は前世や前前世も同じくらいに亡くなっているので私もそのくらいかと思います」


蒼野 「…歴史を記録するために生まれた存在ってことか それは縛られて無理やりやらされてるのか?お前の親たちが強制してるのか?」


阿求 「いいえ 強制はされていませんがもうそれが普通だと思っているので親たちもなにも言いません」


阿求 「…わたしもそれが当たり前だと思っていますからなにも言う気はありませんがね」


蒼野 「…そうか 自分でも納得してるのか それなら俺がなにか言うことはできないな もしいやでやってるならそいつらにガツンと言ってやろうかと思ったが」


阿求 「そっそれはやらない方がいいかと…一応家にはけっこうな手練の警備員がいるのでもしそのようなことをしたら その方を相手することになってしまいます」


蒼野 「阿求 俺を誰だと思ってる?外の世界で世界中を騒がせた殺人鬼 蒼野夜一だぞ!そんじゅそこらのやつなんかには負けねぇよ!」


阿求 「おねがいですからそのようなことはやらないでくださいね もし騒ぎを起こしたらあなたは警戒されてしまいますよ」


阿求 「警戒されたら人里に来ることができなくなる上に閻魔様にも迷惑をかけてしまいます 蒼野さんは閻魔様に迷惑をかけたくないんですよね?」


蒼野 「それは当たり前だ 四季にはぜったい迷惑をかけねぇ!」


阿求 「ならよけいな騒ぎは起こさない方が賢明ですよ 私のために動いてみなさんに迷惑かけるのも嫌ですが蒼野さんが人里に来られなくなるのはもっといやです なのでやらないでくださいね」


蒼野 「…なるべくそうするよ でもこれが強制になった場合には俺は動くからな 誰がなんと言おうと脅してでもそいつらの思考を変えさせる」


蒼野 「それだったら四季も許してくれるだろう?理由が理由ならな だからその時はすぐ俺に言ってくれ 必ず助けてやる!」


阿求 「…えっえぇ ありがとうございます ではその時はよろしくおねがいします」///カァァ


蒼野 「おう!大船に乗ったつもりで期待してくれ!」



小鈴 「あっぷあっぷ!!ごぽぽぽぽー…たったすけ!!あぁ足がっ!!!」バシャバシャ…


菫子 「なにやってるのよあんた 足つったの?」ヒュー… 能力を使って小鈴を持ち上げて助ける


小鈴 「ぷはぁ!はっはい…泳いでたら足つりました 助けてくれてあっありがとうございます……」ゼェー…ゼェー…


菫子 「気をつけなさいよ?この湖けっこう深いんだから溺れたら死ぬわよ」


小鈴 「はっはい 気をつけます…」ハァ…ハァ…



蒼野 「おーい大丈夫か?」


菫子 「だいじょうぶよ すぐに助けたから水も飲んでなければ意識も失ってないわ」


蒼野 「それならよかった」


菫子 「とりあえず陸に下ろすわよ?足つった直後で水の中にいるのは危険だから」ヒュー…


小鈴 「はっはい すみませんがおねがいします」ヒュー…ストンッ 陸に上げられて蒼野の近くに下ろされる


蒼野 「大丈夫か?見た感じ平気そうだが」パサッ 背中からタオルをかけてあげる


小鈴 「はい大丈夫です すこし無理しちゃったようで…」アハハ…


蒼野 「ちょっと足を見せてもらうぞ?」スッ 小鈴の足元に近づき異常がないかを確かめる


小鈴 「…っへ?よっ夜一さん!?」///足元を見られて恥ずかしがる


蒼野 「…つったのは右足か?少しむくれ目ができてるが」


小鈴 「あ、はっはい 右足です…今はもう痛くありませんが……」///ドキドキ


蒼野 「…症状的にはそこまでひどくないな ほんと軽めにつったみたいだな これなら少し休めば痛みもなくなるだろ」


小鈴 「そっそうですか それならよかったです…(よっ夜一さんに足元を見られてる 恥ずかしいよ~!!)」///カァァ



阿求 「(…小鈴 蒼野さんに足を見られて恥ずかしがってるわね まぁ生足を見られればだれでも恥ずかしがるわね)」


菫子 「(むぅ…小鈴ばっかり見て たしかに溺れかけてたから仕方ないとは思うけど私も見てほしい)」(。•ˇ‸ˇ•。)



蒼野 「…少しツボを押しとくか 軽めにやるから痛くないから動くなよ」スッ… 指先を立てて構えを取る


小鈴 「…っえ?」


蒼野 「【振動 痛み短縮】」シュンッ


トントントンっ


小鈴 「ひゃあぁんっ!!!?」///ビクゥ!!!!!! ふくらはぎのツボを軽めにつつかれて悲鳴をあげる


阿求&菫子 「「っ!!?」」///ドキッ!!


蒼野 「…どうした?もしかして痛かったか?けっこう軽めにやったんだが」


小鈴 「っあ いっいえ!痛くなんてありませんでした!ただいきなりやられたので驚いただけです…(こっこそばゆかったよ!しかもいきなりやられたから驚いたよ!)」///


蒼野 「そうか?それならいいんだが」



阿求 「(こっ小鈴あんた変な声出すんじゃないわよ!ものすっごく卑猥な声に聞こえたじゃない!)」///


菫子 「(すっすごい色声だったわ…もしかして、わたしもされたらあんな声出しちゃうのかしら…?)」///カァァ



蒼野 「ちなみに今のツボだが痛みを早く引かせるためのツボだから普通の治りより早く治るはずだ」


蒼野 「まぁ気休め程度にしかならんがないよりかはマシだろ もう少したったら治るはずだから少しじっとしてろよ?」


小鈴 「はっはい わかりました…」///プシュー…


小鈴 「(あぅぅ…へっへんな声出ちゃった しかも夜一さんに聞かれちゃった はっ恥ずかしい……)」///


小鈴 「(へんに思われてないかな?夜一さんは私のためにやってくれたのに変な声出しちゃっておかしいと思われてないかな…?)」///


蒼野 「(さすがに前触れもなくやるのはまずかったか いきなりやったからめっちゃ色っぽい声が耳に…)」


蒼野 「(あんな声聞いたらさすがに俺も反応しちまうよ 何に反応するかまでは言わないが)」


蒼野 「(あぁ…小鈴の色声がまだ耳に残ってる 早く忘れよう…)」


菫子 「…あっ阿求!あなたは入らないの?泳ぎが得意じゃないなら私がサポートするけど」


阿求 「っえ?あっえと…私はいいです わたしは体が弱いので見てるだけで…」


蒼野 「せっかく水着に着替えたのに泳がないのか?それはそれでもったいなくないか?」


阿求 「たしかにそうかもしれませんが無理をすると体に響くので…」


蒼野 「菫子の能力で泳げば平気じゃないか?能力で体を浮かせてもらえばそこまで体に響かないと思うが」


阿求 「…それは泳いでるというのでしょうか?体を浮かせてもらっては泳いでるとは言わないような気がしますが」


蒼野 「…まぁ 気分的に?一応水に浸かってるから泳いだと思えばなんとか…」


阿求 「いやそれは無理があるような…」


蒼野 「なら俺の肩にしがみついて泳いでみるか?それなら泳いでると思うだろ」


阿求 「…っえ 蒼野さんの肩にですか?」


蒼野 「あぁ 俺が泳ぐから阿求は俺の肩にしがみついてくれれば体力使わずに泳げるだろ?それに身体にもそこまで響かないだろうしな」


阿求 「…ふむ たしかにそれならそこまで体力を使わずに泳げそうですね それでしたら試しに泳いでみようかしら」


阿求 「蒼野さん すみませんが肩をお借りしますね」スクッ


蒼野 「おう!なるべく遅めに泳いで無理はしないようにするから安心してくれ」スッ…バシャンッ 静かに湖に着水する


阿求 「そのようにしてもらえると助かります」スッ…パシャッ 両手を陸に付けながらゆっくりと湖に入っていく


阿求 「(あっかなり深い…霧の湖はこんなに深いのね 後で記録に残しておかないと)」


蒼野 「ほら阿求 肩に手をつけろ」


阿求 「はい」スッ…ツカミッ 片手を蒼野の肩につかまり、もう片方の手も反対側の肩につかまる


蒼野 「よし!それじゃ軽く泳ぐから手を離すなよ?もし腕が痺れてきたらすぐに言ってくれ 泳ぐのやめて休ませるから」


阿求 「わかりました」


蒼野 「よっと!」ザバァッ…


バシャバシャ… 足を水の中でばたつかせて少しずつ前に進んでいく


阿求 「…」スィー… 蒼野に引っ張られながら泳いでる


阿求 「(…なるほど 泳ぐというのはこんな感じなんですね 決して自分の手足で泳いでるわけじゃありませんが引っ張られながらでもおもしろいものですね)」


阿求 「(今まで泳いだことがなかったので初めて実感しましたがこれを自分で泳いだらいい運動にもなりそうね 水の抵抗が泳ぎの邪魔をするから運動不足の方や涼しみながら運動したい方にとってはいいかもしれません これはいいことを知りました 帰ったらすぐに記録しないと)」


蒼野 「どうだ?だいじょうぶそうか?」バシャバシャ…


阿求 「だいじょうぶです 初めて泳ぎましたが泳ぐというものはなかなかいいものですね とくに暑い夏にはちょうどピッタリです!」


蒼野 「それはよかった!たしかに暑い夏には冷たい水の中に入るのは気持ちいいよな 夜でも夏の夜は蒸し暑いことが多いもんな」


蒼野 「それより体の方は平気か?急激な温度変化で体調悪くしてないか?」


阿求 「今のところはだいじょうぶです 心配なさらず」


蒼野 「わかった それじゃもう少し早く泳ぐぞ?手が痺れてきたらすぐに言ってくれよ」


阿求 「わかりました」スィー……



小鈴 「…いいな阿求 夜一さんの肩を借りて泳いで…わたしも夜一さんの肩借りて泳ぎたいなぁ」

(。•ˇ‸ˇ•。)ムスッ


菫子 「(…さすがに妬けるわね たしかに阿求は体弱いからしかたないけど、それでも目の前でイチャついてるわけじゃないけど イチャついてるように見せられるとイラつくわ)」イラッ



蒼野 「~♪」バシャバシャ…


阿求 「…」スィー…


阿求 「(…なんか、二人の視線がすごく痛い…いや何となくわかるけど……)」


蒼野 「…あまり気にしない方がいいぞ 二人がめっちゃ見てるのはわかるが気にしてたら楽しめないぞ」


阿求 「っ!」


蒼野 「こうやって遊べるのもあと何回あるかわからないんだから楽しめる時に楽しんでおけ 周りを気にしないでな」


阿求 「…はい すみません遊ぶことに気をそらせてしまって」


蒼野 「いや別に謝ることはないよ 怒ってるわけじゃないから」


蒼野 「…まぁ あの二人に対しては怒ってるがな とくに菫子はイラついて睨みつけてきてるし」ハァ…


阿求 「…たしかに菫子さんの睨みはすごく怖いです ずっと睨んできてますもんね…」


蒼野 「…菫子 あまり睨みつけるな?お前が二人を誘ったんだから少しはがまんしろ(がまんしろというのもおかしいが…)」


菫子 「…あとで私にもやってくれるならいいわよ」ムスッ


蒼野 「お前泳げるだろ 能力使ってだが」


菫子 「むーっ!!」(`・н・´)


蒼野 「…わかったよ 次にやってやるからそんな顔するな かわいい顔が台無しだぞ」


菫子 「夜一のせいだもん!夜一が私たちに見せびらかすように阿求と楽しそうにしてるから!」


蒼野 「いやべつに見せびらかすようにはしてないが…」


小鈴 「夜一さん!わたしもしてほしいです!」


蒼野 「…菫子のあとにな?」ハァ…


小鈴 「やったー!」ヾ(〃^∇^)ノ


阿求 「…すみません 私のせいでめんどうなことになってしまって」


蒼野 「別にかまわねぇよ それより向こうを気にしすぎて手離すなよ?力緩んでるぞ」


阿求 「あっ!」ギュッ


蒼野 「周り気にしすぎて溺れないでくれよ?溺れたらすぐ助けてやるがあまり溺れたくないだろ」


阿求 「はっはい あまりどころか溺れたくありません…気をつけます」


蒼野 「そうしてくれ それじゃもう少し早くするが手は平気か?痺れてきたならそろそろやめるが」


阿求 「いいえ まだそこまでは痺れていません なのでもう少し早くしてみてください」


蒼野 「わかった しっかり掴まって…ってあれ?」


阿求 「? どうかしましたか?」


蒼野 「…なんだ?視界が悪くなってきたな まわりが白く…」


阿求 「…っえ?」


フヨォ… 周りがだんだんと白い霧に包み込まれていく


阿求 「…霧が出てきたんですね 本来ここら辺は常に霧がかかっているので普通ですよ」


蒼野 「…?」スンスンッ


蒼野 「(…なんだ?この臭い この臭い霧じゃないような…)」スンスンッ



小鈴 「…あれ?なんか急に眠気が…ふぁぁっ……」ウトウト


菫子 「…あっあれ?なんか体がだるい…それに頭がぼーっとして……」ウトウト


阿求 「…っえ?」


蒼野 「(この臭い…まさか!!)」


蒼野 「菫子!この煙を追い払え!睡眠ガスだ!!」


菫子 「っえ!?わ、わかった!」ヒュゥゥゥッ!!!!… 能力で周りの木々を揺らして風を起こし、ガスを分散させる


蒼野 「今すぐ陸に上がれ!小鈴の近くに行って守れ!」


菫子 「うっうん わかったわ!」バシャァッヒュー!!… 能力で宙に浮かんで小鈴のもとへ行く


蒼野 「阿求 お前も菫子の近くにいろ!今向こうまで連れていくからぜったい離すなよ」バシャァッ 水の中から陸に上がって阿求を守るように前に立つ


阿求 「はっはい!」



…ヒュンッ!!


蒼野 「っ!」シュパッ


クナイ 「」キラーン 鋭く尖ったクナイが蒼野に目掛けて向かってきたが蒼野の手によって止められる


阿求 「くっクナイ!?なんでそのようなものが!」


蒼野 「…ふん また忌々しいやり方で攻めてきたもんだな っあ?姿現せよ弱虫くん」


阿求 「…っえ」



…ふん やはりバレるか さすがだよ蒼野


? 「…久しぶりだな 蒼野夜一」スゥゥ… どこからともなく煙に紛れてガスマスクを付け姿を現す


蒼野 「やっぱりお前だったか スーガ」


スーガ 「ふっ俺のことを覚えてくれていたのか 忘れられていなくてよかったよ」


阿求 「スーガ…?うっ…」トサッ 睡眠ガスを吸いすぎて眠気に襲われ地面に膝をつける


蒼野 「阿求!菫子 阿求を能力でそっちに連れてってくれ!」


菫子 「うっうん!」ヒュンッ


小鈴 「っ…だっだめ、眠気が……寝ちゃいけないのに………」ウツラウツラ…


蒼野 「(かなり強い睡眠ガスのようだな このままじゃ三人が寝ちまう!)」スッ 懐の中に手を突っ込む


蒼野 「菫子!」ブンッ!!


菫子 「っえ?…っと!」パシッ


蒼野 「それを飲め!増強剤の一種だがそれを飲めば少しは眠気が覚めるはずだ!二人にも飲ませろ!」


菫子 「わ、わかったわ!」



スーガ 「ほぉ?そんなものを持っていたのか お前らしくないものを持っているな」


蒼野 「もらい物だよ 別に欲しかったわけじゃねぇがあったらあったで使えるから持ってたがな」


蒼野 「それにしても相変わらずお前はガス使うところは変わらねぇな 過去に自分のガスを吸って死んだのによ」


スーガ 「あの時はお前にガスマスクを壊されたからな 青酸カリを撒き散らした瞬間にガスマスクを壊されて呼吸したら一気に呼吸困難したよ」


蒼野 「そのあと血を吐いて痙攣して息絶えたよな 目をかっぴらがしてな」


スーガ 「その後のことはわからん 死にそうな時に自分の顔なんざ見れるか」


スーガ 「まぁ昔話なんてどうでもいい 一度死んで終わったかと思ったが二度目の人生を送ることができたのだから」


スーガ 「【次こそはお前を殺すことができる!】」ギロッ


蒼野 「やってみろよ 生憎だが俺はお前のガスは効かねぇぜ?なにしろ俺は十五分間息を止めることができるんだからな」


スーガ 「なら呼吸をしなくても殺せるガスを使えばいいだけだ あまり使いたくないがお前を殺すためなら使わざる得ない」


蒼野 「…なんだ サリンか?」


スーガ 「…」


蒼野 「…おい、じょうだんだろ?それは俺だけじゃなくお前までシャレにならねぇぞ」サー…


スーガ 「…そうだな だがお前を殺せれば俺は死んでもいい お前を殺すことだけが俺の心残りだからな!」


蒼野 「…それはご苦労なこった せいぜい俺を殺せるよう頑張りな!」スッ 先ほど手に取ったクナイをスーガに向けて構える



菫子 「夜一!はいっ!」ブンッ!!


蒼野 「っ! わるい助かった!」ガシッ…シャンッ!! クナイを捨てて菫子から蒼の刀と草薙の剣と光の刀を受け取って蒼の刀を鞘から抜けとる


スーガ 「っ… その刀、メイのだな?なぜお前が持ってる」


蒼野 「メイから受け継いたんだよ 死んで魂となって俺にこの刀を渡してきたんだ」


スーガ 「…そうか そう言えばあいつ、お前のこと好きだったな 親方様がそんな話ししてたよ」


蒼野 「…お前らの頭が?」


スーガ 「っふ まぁそんな話はどうでもいい それじゃそろそろ始めようじゃないか?地獄の殺戮をね」スゥ… 身体が霧のように白くなって姿を消す


蒼野 「っな 姿が消えた…!?」



お前に最高の恐怖を味わせてやろう蒼野夜一… 霧(睡眠ガス)が周りに漂い視界がろくに見えない森の中でスーガの声が響き渡る



蒼野 「…」スチャッ 姿の見えないスーガに警戒しながら戦闘態勢で刀を構える


蒼野 「(…見えない 睡眠ガスの濃度が強すぎて霧が深い状態になってるからスーガの姿が見えない…一体どこに?)」キョロキョロ


蒼野 「(それに今スーガが姿を消したとき、明らかに霧のように消えてたよな あれはもしかしてあいつの能力か?)」


蒼野 「(だとしたらやっかいだな 姿を消されたらさすがの俺でも見つけるのは困難だ 気配を感じ取れればなんとかいけるが姿を消してた場合は気配を感じ取れるか?)」


蒼野 「(菫子たちの方はたぶん平気だろ 菫子が睡眠ガスを払ってくれてるから菫子の近くには霧がいってないはずだ)」


蒼野 「(霧がいってなければ流石のあいつでも姿を消すことはできないだろ それなら俺はあいつだけを警戒してれば…)」



きゃぁぁっ!!


蒼野 「っ! 菫子!?








ヒュンヒュンッ!!!!


菫子 「くぅっ!」キンキンッ!! 最初に菫子の元に飛ばしてきたクナイを能力で操り、再び飛んできたクナイを弾いて防ぐ


小鈴 「菫子さんガスが!」


菫子 「っ! はぁっ!」バサァッ!! 周りの木々を揺らして睡眠ガスを吹き飛ばす


ふふふ…いつまで持つかな?俺の攻撃を防ぎながらガスを払うのはキツイだろ… 姿が見えないスーガの声が周りに響き渡る


菫子 「くっ!ひきょうものめ!」


阿求 「ーっ…」キョロキョロ 周りを見て警戒している


小鈴 「夜一さんこっちに佐久間グループの一員がいます!助けてください!」



今行く!! ガスの濃度が強すぎて深い霧のようになって周りがほとんど見えない森の中で蒼野の声が響いてくる



ヒュンヒュンッ!!!!


菫子 「はぁっ!」ガキィガキィンッ!! 再び飛んできたクナイを能力で防ぐ


菫子 「(まずい…二人を守りながら戦うのキツい それに佐久間グループの一員のやつが姿を消してるからどこからクナイが飛んでくるかわからない)」


菫子 「(二人は非戦闘員だから戦うことができないうえにガスも警戒しながら対処していかないといけないから尚のことキツい!お願い夜一 早く来て!)」



…ヒュンッ


菫子 「っ! はぁっ!」ヒュンッ 投げ込まれてきたものをクナイで切ろうと…


ダイナマイト 「チリチリチリチリ…」導火線に火のついたダイナマイトが菫子たちの元に投げ込まれる


菫子 「ーっな!?」


菫子 「(ダイナマイト!?やばっ切るのとめられな)」



…ガシッ


蒼野 「おうらぁっ!!」ブンッ!!!! 菫子がクナイで切る前にダイナマイトを掴んで空高く飛ばす



ボガアァァアァァァンッ!!!!!!


小鈴 「きゃぁぁっ!!」ブワンッ!! 爆風が小鈴たちに襲いかかる


阿求 「くぅっ!!」ヨロッ


蒼野 「っと!だいじょうぶか」ガシッ 阿求の手を掴んで支える


阿求 「あっありがとうございます 助かりました」


菫子 「助かったわ まさかダイナマイトを投げてくるとは思わなかったわ」


蒼野 「あいつはいろんなものを投げてくるから気をつけろ 接近してこない代わりに遠距離攻撃ばかりしてくるからな」


蒼野 「ものによってはさっきみたいなダイナマイトもあるがもっと危ないものは青酸カリの入ったペットボトルを投げてくるから警戒しろよ」


菫子 「せっ青酸カリ!!?」


小鈴 「ってなんですか?」


阿求 「有毒ガスを発する液体よ 外の世界では科学の実験というものをする時に使われるものらしいわ」


阿求 「その液体から出る臭い…というより、臭いの元となった煙を一瞬でも嗅ぐと呼吸困難や意識を失って死に至るほどの劇薬よ!」


小鈴 「えぇっ!!?いっ一瞬でも!!?」


蒼野 「菫子 次からあいつが投げてきたものを切らないようにクナイの刃部分を使わないで払え 切らなければ少しは安全だろ」


菫子 「うっうん わかったわ!」



スーガ 「別に切らなくてもペットボトルのフタを開けたまま投げればいいだけの話だ そうしたら弾いた時に中の液体が出るぞ?」スゥゥ… ガスの中から煙のように空を飛んで姿を現す


蒼野 「それはどうかな 今この辺は菫子が風を起こして睡眠ガスを吹き飛ばしてんだ その風に乗って薬品も吹き飛ばされるんじゃないか?」


スーガ 「…ふむ たしかにそれはありえるな さすがに劇薬である青酸カリや塩酸を使ったとしても風で吹き飛ばされてはどうにもならないな」


スーガ 「なら直接かける気でやればいいだけの話だ もしかけられなければ投げ道具とガスを使ってジリ貧させていけばいいだけ」


菫子 「ふん!舐めないでほしいわね わたしはそんなヤワじゃないからあんたの思いどおりにはいかないわ!」


スーガ 「それはやってみないとわからない お前の情報はなにもないから今使ってる能力もどのようなものかわからないがそれを分析すれば意外にも早く片付けられるかもしれない」


菫子 「やってみなさいよ できるならね!」


蒼野 「…てかよ てめぇなんで俺を狙わなかった 俺を無視して一目散に菫子たちに攻撃を仕掛けたよな?」


蒼野 「さっきも俺の方にクナイを飛ばしたと思わせて阿求に狙って投げてたよな?軌道が明らかにおかしかったんだよ」ピキッ


スーガ 「その通りだが?お前より先にその娘たちを始末した方が早いかと思ってな」


スーガ 「いや正確に言えば俺は睡姦が好きでな その花の髪飾りをつけたものは好みじゃなかったから始末しようとしたがそこの二人はなかなかかわいいものだ」


スーガ 「どちらかを生かして早く眠らせて犯したいものだ …楽しみだ!」ニタァ


小鈴 「ひぃっ!!」ビクッ!!


菫子 「ふざけんな!お前なんかに私の純白は渡さないわ 私の初めては夜一だけよ!」


阿求 「いやちがうでしょ!今そういうことを言ってるんじゃないでしょ!」


蒼野 「…ほぉ?俺より先に菫子たちをね…!」ビキッ


蒼野 「そうかそうか 俺を殺せないから先に菫子たちを殺して犯そうとねぇ…」


蒼野 「…シャレになってねぇこと言ってんじゃねぇぞこの弱虫やろうがよ!!」ブチィッ!!


蒼野 「おまえはほんっと昔と変わんねぇな!遥のときも眠らせて犯そうとしてやがったよなァ!!」


スーガ 「…あぁ あの時か?まだ覚えていたのか あの時はほんと興奮したよ 幼女を犯せると思ったら俺のフランクがそそり立ったよ 今まで以上にな」


スーガ 「お前が邪魔さえしなければあの子を犯せたというのに…ほんと、邪魔しやがってよォ!」ギロッ!!


蒼野 「じゃまなのはお互い様だろうが 俺もお前らが邪魔でじゃまでしかたねぇんだよ!!」ダンッ!! スーガに向かって勢いよく飛び跳ねる


スーガ 「っふ 塩酸!」ビシャァッ!! 懐から液体瓶を取り出して蒼野に向けてぶちまける


蒼野 「ジャマだ!」バシィッ!! 左手で目の前にばらまかれた塩酸をはじき飛ばす


スーガ 「ーっな(こいつ、素手で!!)」


蒼野 「死ねぇっ!!」ヒュンッ!!


スーガ 「っく!」シュゥゥ…シャンッ 体を霧のようにバラバラにし蒼野の攻撃を避ける


小鈴 「っえ 体が霧みたいに消えた!?」


蒼野 「っち!やっぱりお前の能力はそういうのか 煙のように姿を消して煙のように姿を現す!」パッパッ 塩酸が付着した左手を払って塩酸を飛ばす


菫子 「っえ!?それってもしかして ロギア系(自然系)のモ〇モクの実の能力!?」


阿求 「モ〇モクの実…?」



ほぉ?まさか俺の能力がこんなにも早くバレるとは思わなかったなスゥゥ…


スーガ 「そう 俺の能力は【自身を煙にする能力】その名の通り俺は自分の身体を煙のようの姿を消したり、煙のように突然相手の背後から現れたりすることができる」


スーガ 「もちろんそれ以外にも攻撃を食らう瞬間に身体を煙にしちまえば当たることもない だからお前の攻撃など一切喰らわない」


蒼野 「へぇー 一切喰らわないか?なら煙になる前に切っちまえば食らうんだよな」


スーガ 「もちろん食らうがそれは難しいんじゃないか?一瞬にして俺は煙になるのだからその前に切ることなどほぼ不可能だと思うが」


蒼野 「その一瞬で切りつければいいだけの話 簡単じゃねぇか!」ニヤッ


スーガ 「やってみろ 絶対不可能だからな!」スゥゥ… 再び煙と化して姿を消す


蒼野 「また煙になりやがったか 臆病者が!」ケッ


菫子 「…ねぇ夜一 左手だいじょうぶ?塩酸もろ払ってたけど」


蒼野 「大丈夫なわけないだろ 左手めっちゃヒリヒリするわ」ヒリヒリ


阿求 「…ヒリヒリするだけですか?」


蒼野 「あぁヒリヒリするだけだ しかしこれはまたずいぶんと濃度が高い塩酸だな?たぶんこれ原液だろ 薄い塩酸がかかった時の痛さと全然ちがう」ヒリヒリ…


小鈴 「薄い塩酸もかかったことあるんですか!?」


蒼野 「何回もあるよ 拉致されたときに何度もかけられては激痛が走って肉がただれ落ちてもう最悪だったよ」


菫子 「えっ…たっただれ落ちたって だいじょうぶだったの?」


蒼野 「平気なわけないだろ …まぁ、その時は知り合いの医者がいたから治してもらえたがな」


菫子 「知り合いの医者…?」



Haven Kyansora over(冥土返し)のことか?


蒼野 「っ!」


菫子 「Haven Kyansora over(冥土返し)…?Haven Kyansora overってたしか〇〇病院の名医と言われてた人についた別名の人じゃなかった?」


蒼野 「…なんで知ってる?あの人とはなるべくお前らに見つからないよう会っていたのになぜあの人の名前を?」



簡単なことだ あいつは…


スーガ 「【殺されたからだよ!】」


蒼野 「ーっな!?」


スーガ 「いや、言い方を間違えたな たしかに殺されたが俺が言うと殺されたじゃないな」


スーガ 「【俺が殺したと言わないと言葉が違くなるな?】」ニヤッ


蒼野 「ーってめぇ!!」ギリッ!!


スーガ 「あの男を殺したときはおもしろくなかったな 死を受け入れてたような顔をして、心臓部にクナイをメッタ刺しにしてやったのに叫び一つ上げやしない」


スーガ 「だから俺はあの男の首を胴体から切り離してやった つまらない男をいつまでも生かしておいても邪魔なだけだからな?」クククッ


蒼野 「」ダンッ!! 一気に踏み込んでスーガのもとへ飛び込む


蒼野 「はぁっ!」ヒュンッ!!


スーガ 「っふ ムダだ!」シュゥゥ… 身体を煙にして姿形を眩まし蒼野の刀さばきをよける


蒼野 「っち!また煙になりやがって!」スチャッ


菫子 「夜一あんまり離れないで!離れすぎると睡眠ガスを払えないから!」


蒼野 「俺は息をとめられるから平気だ 菫子は二人にかからないよう気をつけててくれ」


蒼野 「(しかしまいったな あの野郎毎回煙になりやがって攻撃がまったく当たらねぇ これじゃ拉致あかねぇな)」


蒼野 「(やつの能力はどれくらい使えるんだ?もし時間制限があるなら持久戦に持ち込んで、使えなくなったタイミングをつけばなんとかなるがもし永久に使えたりしたら時間かける意味がない)」


蒼野 「(それに菫子たちがいるから遠くに離れることもできない 俺一人ならこの森から出て戦いやすくて風通しのいいところに行くんだが…)」


蒼野 「(…風通しのいいところ?)」



クナイ 「」ヒュンヒュンッ!!


蒼野 「ふんっ!」キンキンッ!!ボトボト…


蒼野 「(そうか 風通しの良い場所に菫子たちを連れて行けばいいのか!そうすればガスから離れられてここからも出られる!)」


蒼野 「(そうなれば俺も一人で奴と戦えるから菫子たちのことを気にせずに戦える!)」


蒼野 「(ただ出るにしても菫子が二人を能力で持ち上げて上空を一気に上がらないといけないから、その上がってる最中に攻撃されたらまずいな さすがに菫子も二人を持ち上げてる最中に攻撃されたら対処が遅れる)」


蒼野 「(スーガの姿も見えねぇならいつどこから攻撃してくるかわからなくてかなり危ない 俺がなんとかできればいいんだがさすがに姿を眩まされてるとどうしようもできない)」


蒼野 「(なら今の状況の方がまだ安全か?今は周りのガスを払って投げ道具が来たらはじけばいいだけだから無理しないで踏ん張ってればなんとか…)」


蒼野 「(いやそれも危険だ いつまでもその場にいたら菫子がずっと能力を使ってないといけない 菫子だってずっとは能力使えない となるとやっぱり一気に上空に上がった方がいいか?)」



スーガ 「よそ見してると危ないぜ?」ヒュゥゥ… 蒼野の後ろをついてクナイを構える


蒼野 「っ!(しまっ!)」


スーガ 「ふんっ!」シュンッ!!


蒼野 「っち!」スッ


ザクッ!!


蒼野 「ーっ」ズキィッ!! 左手を前に出して手のひらにスーガの攻撃を受ける


菫子 「夜一!」


蒼野 「ーっうらぁ!!」ヒュンッ!!


ズバンッ!!


スーガ 「ぐあぁっ!!!」ブシャァッ… 煙になるのが遅れて右腕を深く切られる


蒼野 「(入った!よしこのままもう一度!)」ヒュンッ!! すかさずもう一度刀をスーガに向けて振るう


スーガ 「っち!」シュゥゥ… 再び煙と化して蒼野の攻撃を避ける


蒼野 「っち 当たらないか」スゥ… 構えを取って体制を立て直す


蒼野 「(でも一度だけだが攻撃が入ったな しかも奴の利き腕を負傷させることができたからこれは大きい!)」


蒼野 「(だけど俺も左手をやられたな すぐに治したいが今この状況で治すのは危険すぎる 先生からもらった薬使うにしても、あれは痛みを一気に引き起こさせて急速に治すものだから今痛みに襲われてたら確実にやられる)」


蒼野 「(このまま下がって菫子のところで治療してもいいが守られてる間狙われるからあまり危ない目に遭わせたくない ならお互い負傷した状態で戦う方がいいな)」


蒼野 「(…さて そうと決まったら今やつがどこにいるかを探さないとな さっきは考えごとをしてたから油断したが今度はそうならないようしないとな)」スチャッ…



菫子 「よいちー!ケガ大丈夫?左手もろ攻撃くらってたけど!」


蒼野 「だいじょうぶだ 手のひらにクナイ刺されただけだからそこまでひどくない 心配するな」


小鈴 「それだいじょうぶなんですか!?手のひらにクナイ刺されたらけっこう重症じゃ!」


蒼野 「こんなのかすり傷だよ 刺されたけど動かせないわけじゃないから重症とは言わない」


阿求 「いやそれは重症と言うのでは…しかもかなり勢いよく刺されてたように見えたのでかなり傷が深そうに見えたんですが…」


蒼野 「気にするな お前らも自分の周りを警戒してろ やつがいつなにを投げてくるかわからないから常に周囲を見ろ」


菫子 「うっうん!わかってるわ!」



ヒュンヒュンッ!!


蒼野 「」ピクッ


塩酸入りペットボトル 「「」」ヒュー… 蒼野のもとに複数個投げ込まれる


蒼野 「」パシパシッ 塩酸入りペットボトルを手に取って受け止める


ーっな!!?


蒼野 「おらよ 返してやるよ!ぶん巻いてな!!」バシャァ 両手で中身の入ったペットボトル(蓋なし)を撒き散らす


くっ!ブワンッ


スーガ 「ふんっ!」バサッ!!…ビチャァッ!! 姿を現して懐から大きめの布を目の前に広げ塩酸を受けさせる


蒼野 「…っえ(姿を現した…?なんで姿を現した?)」


スーガ 「はぁっ!!」ヒュヒュンッ!!!! 蒼野に向けて手裏剣をカーブさせて飛ばす


蒼野 「あまいっ!」キキィンッ!! 向かってきた手裏剣を刀で弾いて防ぐ


スーガ 「っち!」シュゥゥ… 再び姿を煙と化してくらます


蒼野 「(また姿を消したか ほんとキリがねぇな)」スチャッ


蒼野 「(しかしなんであいつ姿を現したんだ?塩酸をかけた瞬間に姿を現してシートみたいなもので防いでたが…?)」


蒼野 「(刀の攻撃は避けれて塩酸はかけたら防ぐ…もしかして、物理攻撃は効かないけど液体関係の攻撃は通るのか?)」


蒼野 「(たしかに奴は煙と化すから水蒸気や毒ガスとかに弱いイメージはあるが…塩酸も毒ガスが出るから接点は合う 睡眠ガスだってあいつガスマスクしてたから効くってことだよな)」


蒼野 「(けどもしそうだったとしたらめんどうだな やつが塩酸や毒ガスを出さない限りこっちで攻撃することができない)」


蒼野 「(俺が持ってる武器は全部物理攻撃の刀とメリケンサックしかない この武器じゃ奴に攻撃は当たらない…どうするか)」



小鈴 「夜一さん…」


阿求 「…どうにか手伝えないかしら あの煙と化す人に攻撃が通る方法があれば蒼野さんに教えれるのに…」


菫子 「…」ヒュー…


菫子 「(…たしか、あのアニメだとモク〇クの実の能力者の相性が悪いのはメラ〇ラの実だったはずよね 煙は火で打ち消すことができるから…)」


菫子 「(…もしかして あいつも同じで火に弱い…?)」



蒼野 「…」キョロキョロ…


蒼野 「(…そろそろ息がまずいかな いろいろと動いたりして少し苦しくなってきた)」


蒼野 「(一旦菫子のところに行こう)」スッ… すぐに菫子のもとに行こうと…



逃がすかよ!…ビシャアッ!!!!


蒼野 「っ!!」


塩素ci2 「」ジュゥゥ… 地面に撒かれた化学薬品からおびただしい白い煙が舞う


蒼野 「(ーっな、なんだこの薬品!?目が!!)」ズキッ 薬品から出た煙が目に当たり激痛が走る


アッハハハハ!どうだこの薬品 さすがのお前でもこれには応えたろ?スゥゥ…


スーガ 「この薬品は塩素ci2 眼や粘膜、呼吸器官を刺激する劇薬だ!気体化した煙をちょっとでも吸ったり触れたりするとすぐに激痛が走るぜ?」


蒼野 「ーっくそ!」グシッ… 激痛が走る目を擦って僅かながら目を開ける


蒼野 「(マジかよ!あいつ塩酸以外にもこんなあぶねぇ薬品持ってたのかよ!ちょっと触れただけで目に痛みが走ったぞ!!)」ズキズキッ…


蒼野 「(でもちょっとだけで済んだからなのかもう目の痛みが引いてきた…一瞬しか当たってないからそこまで酷くなかったのか?)」スゥ… 痛みが引いてきて完全に目を開ける


蒼野 「(けどまずいことになったな 目を開けながら行くとこの薬品でやられるから菫子のもとに行くには目を閉じたまま行かないといけない)」


蒼野 「(さすがに目を閉じていくと確実にやつに攻撃される 目を閉じながらあいつの攻撃を防ぐのはムリだ)」


蒼野 「(かといってこのままだと息がやばい そろそろ息継ぎをしないともたない!)」グッ… 口元を抑えて苦しいのを我慢する



スーガ 「だいぶ苦しいようだな お前が口元を抑えるなんて」


スーガ 「まっそれを狙ったんだがな?さすがのお前でもずっとは止められないから息が切れるのを待てば嫌でも吸わないといけない!」ニヤッ


蒼野 「ーっ…」プルプル…


蒼野 「(くそ…息が!)」ググッ!!



菫子 「ーっファイヤーボール」ボワンッ!! 火の玉を作り出してスーガに向けて放つ


スーガ 「…っえ?」



ボワァンッ!!!!!! 薬品に火が移り派手に燃え上がる


スーガ 「グアァァッ!!!!!!」ジュゥゥ!!!!!! 煙と化した身体に火が燃え移り悶える


蒼野 「っ!(今だっ!!)」ダッ!!


ブワンッ!!


蒼野 「かはぁっ!!はぁ…はぁ…」ハァ…ハァ… 燃えさかる炎を突き抜けて菫子達のもとにたどり着く


菫子 「夜一!」


小鈴 「だっだいじょうぶですか夜一さん!」


蒼野 「はぁ…はぁ…ーっあぁ だいじょうぶだ ギリギリ…間に合った!」ハァ…


阿求 「よかった…間に合って」ホッ


蒼野 「ありがとな菫子 お前のおかげで助かったよ!」


菫子 「役に立ててよかったわ!しかもあいつの弱点もわかったからなおのことよかったわ!」



スーガ 「ひぃぃっ!!ひっ火ィィ!!!!イヤダアァァッ!!!!!!」バサバサッ!!!! 身体が燃えてパニックに陥ってる



小鈴 「っ…」フイッ… 燃えているスーガから目線を外す


蒼野 「…あんまり見ない方がいい 人が燃えてるところなんて見ても嫌な気分になるだけだ」


阿求 「…はっはい」


菫子 「…このままやられてくれるかな?」


蒼野 「…いや、火がどんどん消えてってるから倒せないな 菫子お前はさっきと同様二人を頼む」


菫子 「わかったわ」



スーガ 「フゥッ!!フゥッ…フゥー…キサマァ!!よくも俺に火ィつけれくれたなァ小娘がァァ!!!!」ギンッ!!


菫子 「っ!!」ビクゥッ!!


スーガ 「火は俺のだいっきれェなものなんだよ!!俺の家族は放火魔のせいで焼け死んだんだ!!」


スーガ 「火さえなければ死ぬことはなかったのに!!火が使えなければっ俺の家族は死ぬことなかったのによォ!!」


スーガ 「テメェは俺に向けて火を投げてきたなァ!!ぜッてぇぶっ殺してやる!!!!」スッ… 懐からペットボトルの中になにかの液体が入ったものを取り出す


バシャアッ!!!! ペットボトルに入っていた液体を気体化してる自分の体にかける


蒼野 「…っは?(自分の体にかけた?)」


スーガ 「ーっがはぁ!!!!!!」ビチャァッ!!!!!! 口から大量の血を吐き出して地面に撒き散らす


菫子 「っえ 血を吐いた!?」


小鈴 「…もしかして、自分の体に毒液を付けたんですか?」


阿求 「なんで…?」


スーガ 「ガハァっ!!あっあぁぁー…!!!!」ガクガク… 身体中痙攣が始まりまともな状態じゃなくなる


蒼野 「(…なんだ この臭い?ほとんど無臭に近いがほんのりなにかが臭う 菫子がここら一体風を吹かしてるのに?)」スンスンッ


…グワンッ


蒼野 「っ!!?」ダンッ!! 突発的に目眩がし倒れそうになるがなんとか踏み止まる


菫子 「夜一っ!?」


スーガ 「はぁ…はぁ……っー効いてきたようだな?…ガハァっ!!」ビチャッ


蒼野 「(ーっまさか この毒は…!!?)」


蒼野 「菫子 もっと風を起こせ!!サリンだっ!!!!」


菫子 「さっサリン!!?」


小鈴 「サリン…?」


阿求 「小鈴口を塞いで!サリンはまずいわ!!」ガシッ!! 片方の手で自分の口元にタオルを当てて、小鈴の口元にもタオルを押し当て口を塞ぐ


小鈴 「むぐっ!?」


蒼野 「ーっ…」グラッ…


菫子 「夜一っ!!」ガシッ 倒れそうになる蒼野を超能力で支える


蒼野 「(まっまずい…サリン吸っちまった……身体がーっ……!!)」ピクピク… 身体中にサリンが周り動けなくなる


菫子 「よっ夜一しっかりして!死なないで!!」


スーガ 「ムダだよ サリンを吸っちまった蒼野はもう助からねぇよ!」ゼェー…ゼェー…


スーガ 「しかもサリンは皮膚からも入るんだ いくら息を止めていようと関係なーっガハァっ!!!!」ビチャァッ


小鈴 「っえ 皮膚からも!?」


阿求 「でも塞いでないよりかはマシよ!ちゃんと塞いでなさい!!」


小鈴 「うっうん!」


菫子 「ーっ…」ギリッ


菫子 「(まずい 今ここで夜一がやられたら私たちじゃどうしようもできない!)」


菫子 「(わたしも風を起こしてサリンがここまで来ないようにしないといけないうえ二人を守らないといけないから戦えない!三つ同時になんてできない 一体どうすれば…)」


スーガ 「さーてと 蒼野はやったも当然だからあとはお前らだな?そこのマントつけてるやつはぜってぇぶっ殺してやるからな!」ギロッ!!


菫子 「ーっく!」



小鈴 「…ねぇ阿求 サリンって毒は身体から抜ければ治るの?」ボソッ


阿求 「っえ えっと…完全には治らないわ 抜けたとしても高い確率で後遺症が残るわ どういう後遺症が残るかはわからないけど」ヒソヒソ


小鈴 「…なら、今すぐ動く分に関しては平気?今抜けさせればすぐ動けるかな」


阿求 「それはわからないわ 動けるか動けないかは蒼野さんの体力によって変わると思うわ」


小鈴 「…夜一さんの体力によって変わる…か」ググッ 握りこぶしを作って何かを決意する


阿求 「小鈴 あなた一体何を考えて…?」



菫子 「はぁぁっ!ファイヤーウォ!!」ボワンッ!!!!!! スーガに向けて炎の波を放つ


スーガ 「うぉおっ!!?あっあぶねぇ!!」ヒュンッ!! 迫り来る炎の波に対して後ろに下がり菫子たちから距離をとる


菫子 「(よしっ!後ろに下がった 今のうちに夜一を後ろに下げて!)」グイッ


小鈴 「菫子さん!」ザッザッザッ!!


菫子 「っえ 小鈴!?勝手に動いちゃだめ!」


小鈴 「菫子さん あの人を近づけさせないでください!わたし夜一さんを治療します!」


菫子 「っえ 治療って…どうやって」


蒼野 「ーっ…」ゼェー…ゼェー… 意識はあるが体が動かないうえ喋ることもできない


小鈴 「夜一さん聞こえますか 今から毒を抜きますのでもし動けたら立ち上がってください!」


蒼野 「(…毒を抜く…?一体、どうやって…)」ゼェー…ゼェー…


小鈴 「…夜一さん 失礼します」スゥ…


阿求 「…っえ?」



チュッ…


蒼野 「っ!?」小鈴にキスをされる


菫子 「小鈴!?あなた一体なにを…!」ハッ


小鈴 「フゥー…!!」ヒュー… 蒼野の口の中に息を入れて酸素を体中に巡らせる


蒼野 「ーっ…」ヒュー… 酸素が身体中巡って鼻から毒素が多少ながら出ていく


小鈴 「すぅー…フゥー……!!」ヒュー…


蒼野 「ーっ……」ヒュー…


菫子 「(…なるほど人工呼吸ね 夜一の中に入ったサリンの毒を少しでも抜いてるのね)」


阿求 「(たしかにすぐ毒素を抜けば後遺症が残る可能性も低くなるし蒼野さんの体力ならすぐ動けるかもしれないわ)」


阿求 「(でもサリンの毒はかなり強力だから絶対とは言えない 少しでも吸ったら死に至るほど強力な毒ガスだから抜いたとしても動けるかどうか…)」


菫子 「(…というか今思ったけど、サリンでやられた夜一を人工呼吸して平気なのかしら?もし内部に入ったサリンの毒が小鈴の体内に入ったらまずいんじゃ…)」


小鈴 「フゥー…」ヒュー…


蒼野 「ーっ…!」ピクッ 指が微かながら動く


小鈴 「(っ! 指が動いた!やっぱり毒が抜けてだんだんと動かせるようになってきてるんだ!)」


小鈴 「(この調子なら完全に動かせる状態まで治せるかも!このまま続けて毒を抜かないと!!)」スゥ…フゥー…



スーガ 「コラァそこの小娘ェ!!なに蒼野の毒を抜こうとしてんだ 余計なことすんじゃねぇ!!」ヒュンッ!! クナイを小鈴に向けて投げる


菫子 「させないわ!」キンキンッ!! 能力で操ってるクナイをスーガが投げてきたクナイに当ててはじき飛ばす


スーガ 「くそっガハァッ!!!!」ビチャァッ!!!!


スーガ 「(まずいっ!毒が身体中に回ってきた…そろそろ限界だ!!)」ゼェー…ゼェー…


スーガ 「(あの風を吹かせてくるやつを先に殺ろうと思ったのに蒼野が先に勘づいたせいで近づけなくなっちまった!さすがにこの風の勢いじゃ煙化してじゃ近づけねぇ!!)」


スーガ 「(煙化してあいつらの周りをうろつけばサリンの毒で一気に殺せたのに…くそ!このままじゃ先に俺の方が死んじまう!!)」フゥー…フゥー…


スーガ 「(実体化したまま近づいたらあの女が火を出してくる可能性が高いから近づけねぇしマジでどうする!早くしないと蒼野が…!!)」ギリィ!!



小鈴 「フゥー…」ヒュー…


蒼野 「…っ」ググッ… 徐々に手を動かせていきだんだんと体が動きつつある


小鈴 「(あと少し、あとすこし!もう少しだからあの変態来ないで!夜一さんが完全に動けるまで来ないで!!)」フゥー…


クラァ…


小鈴 「ーっ…あっあれ?」フラッ…ペタンッ 突然目眩が襲ってきて両手が地面につく


小鈴 「(あれ?おかしいな…なんで目眩がして…?それに息が苦しい…頭もぼーっとして……)」ハァ…ハァ…


阿求 「ーっ小鈴!」ザッザッザッ!! すぐさま小鈴の元に近寄る


小鈴 「…あっきゅう……」ハァ…ハァ…


阿求 「(やっぱりサリンの毒にやられたのね!いくら蒼野さんから吐き出された微弱な毒でも猛毒だから…!!)」


阿求 「(これ以上はまずいわ このまま続けさせたら小鈴が…!!)」


小鈴 「…夜一さん あと、少しですから…わたしっがんばりますから!」ググッ… 力を振り絞ってもう一度蒼野に人工呼吸をしようとする


阿求 「やめなさい!これ以上したらあなた死ぬわよ!」


小鈴 「ーっ…でも、今ここで夜一さんが動いてくれないとっ私たちみんな、あいつに……!」ハァ…ハァ…


阿求 「ーっ…!!」ギリッ


小鈴 「夜一さん…わたし、がんばりますから…!がんばるから…まだっやられないで!!」ハァ…ハァ…


蒼野 「ーっ…こ…すずっ……」ゼェー…ゼェー…


小鈴 「夜一さん……」スゥ… 顔を近づけて再び人工呼吸を…


阿求 「ーっどきなさい小鈴!」ガバッ 小鈴を横に押し倒して蒼野の横に座る


小鈴 「きゃあっ!あっ阿求なにを…っ!」


阿求 「フゥー…!!」ヒュー… 蒼野にキスをして酸素を送り込む


蒼野 「ーっ…」ヒュー…


阿求 「すぅー…フゥーっ!!」ヒュー…


阿求 「(蒼野さん動いてください!わたしは身体が弱いので長くは持ちません!小鈴と違ってすぐに毒にやられます!)」フゥー…


阿求 「(わたしが動けるうちに早く動いてーっ!)」スゥ-…フゥー…


小鈴 「…あきゅう……」ハァ…ハァ…



菫子 「…」ヒュー…


菫子 「(まずいわね このままだと二人がサリンの毒にやられて命を落とすわ!小鈴もかなり吸ってるから早く毒を抜かないと!)」


菫子 「(でも毒を抜くにしてもどうやって抜けばいいの?たしかサリンはほぼ確実に後遺症が残るから抜いたとしてもまた元気になるかわからない)」


菫子 「(それに今この状況でそんなことできない!今目の前にサリンを纏った敵がいるのにそいつを無視して治療なんてできない ほんとにどうすれば…!!)」


スーガ 「…焦ってるなおまえ?今の状況でどうすればいいか判断できてないな」ハァ…ハァ…


スーガ 「そりゃそうだよな?こんな状況に陥ったらだれでも焦るよな まして今まともに動けるのはお前しかいないからよけいに焦ってるな?」フゥー…フゥー…


菫子 「ーっうるさい!別に焦ってなんかいないわ あんたなんて私ひとりで十分よ!」


スーガ 「ずいぶんと強気だな?痩せ我慢もほどほどにしときな!」ゼェー…ゼェー…


菫子 「だまりなさい!」ボワンッ!! 火の玉をスーガに向けて投げつける


スーガ 「おっと!」ヒュンッ 横に身を寄せて避ける


菫子 「くらえっ!ファイヤーマシンガン!!」ボボボボボボゥンッ!!!!!! 小さい火球がいくつもスーガに向かって飛んでいく


スーガ 「そぅらっ!」バサッ!! 懐から大きめの布を自分の目の前に広げる


布 「」ボボボボボボゥンッ!!!!!! 菫子の放った小さい火球が布に当たり、燃え移り壁になる


スーガ 「(いまだっ!)」スタッ…ダッ!!!! すぐさま煙化を解除して地面に足を着かせた瞬間、菫子のもとに勢いよく走る


菫子 「っな!?(やばっ!ファイヤーウォー…)」スッ… すぐに火の波をだそうと…


スーガ 「ひひっ!死ねぇ!!」バッ!! 菫子の顔元にサリンの付いた手のひらを広げてくっつけようと差し出す


菫子 「(くっ間に合わない!!)」


小鈴 「菫子さん!」



…ーっうおぉぉらあ!!!!


スーガ 「っ!!?」ズバンッ!!!!ボトッ… 右腕を切られ切り落とされる


菫子 「…っえ」


蒼野 「ふんらあぁぁぁっ!!!!」ボスンッ!!!! 左手でメリケンサックをもってスーガの腹に思いっきり拳を入れる


スーガ 「ぐほぉぉッ!!!?」ベキベキボキッ!!!!!! 腹に拳を入れられて至るところの骨が折れる


蒼野 「ーっうらぁ!!!!」ドスンッ!!!! すかさずスーガの胸板部分に容赦ない回転蹴りを入れて吹っ飛ばす


スーガ 「ごほぉオッッ!!!!」バキベキボキッ!!!!!! 胸板部分の骨が蒼野の蹴りによってバラバラに折れて吹っ飛ばされる


蒼野 「はぁ…はぁ…ーっ間に合ったな?」ゼェー…ゼェー…


菫子 「夜一っ!!」



阿求 「はぁ…はぁ……よかった 間に合って……!!」ゼェー…ゼェー…


阿求 「(息がくるしい…でも間に合ってよかった……)」ハァ…ハァ…


蒼野 「ありがとな阿求、小鈴 お前らのおかげで動けるようになった あいつを倒したらすぐに病院連れてってやるからぜったいに生きてろよ!」スッ… 懐から注射器を取り出す


ブスッ!!


菫子 「っえ よっ夜一!?なにその注射!?」


蒼野 「ーっ!!!!」ビキビキビキビキッッ!!!!!! 全身に激痛が走り至るところの負傷した部分が治り始める


菫子 「(っえ 夜一の左手の切り傷が塞がってきてる?なんで!!?)」


蒼野 「ーっ…うらァッ!!ふぅ…完全回復したぜ!これで準備万端だ!」ニヤッ


菫子 「夜一今何したの!?注射を刺したら手の傷が治ったけど!」


蒼野 「医者からもらった即効薬だ 打てばその分の激痛が一気に襲ってくるが瞬時に回復する物だ」


菫子 「そんなの持ってたの!?ならそれ打てばサリンの毒も治せたんじゃ…」


蒼野 「まともに動けなかったうえにろれつが回らなかったから教えることもできなかったんだ それにお前らは注射器なんて扱ったことないだろ?」


蒼野 「さすがに素人に注射器を扱わせるのは怖すぎる どこに打たれるかわからないからよけいにな」


菫子 「なっなるほど そういうことね」



スーガ 「ガはぁっ!!…うっうそだろ…?おまえ……そんなものをっ!!」ゼェー…ゼェー…


蒼野 「どうやら勝負は着いたようだな そのケガじゃもうまともに動けないだろ?」ザッザッザッ…


蒼野 「傷も大きすぎて煙化もできないみたいだな 今回は自分の毒ガスで死ぬ前に俺の手でお前の首を跳ねてやるよ」スチャッ スーガの前に立ち、刀を横に向けて構える


スーガ 「くぅっ!うぅぅ…」ガクガク…


蒼野 「じゃあな くそやろう」シュンッ!!


ザンッ!!


スーガ 「」ズルッ…ボトンッ 首を切られて頭部が転げ落ちる


蒼野 「…」ヒュンッ!!…スチャンッ 刀に付いた血を勢いよく振り、吹き飛ばして鞘に収める


菫子 「…終わったの?」目を逸らしてスーガが殺されたところを見ていない


蒼野 「あぁ終わったよ わるいな目の前で処刑する現場を見せちまって」


菫子 「ううん大丈夫だよ 見てないから…」


蒼野 「そうか ならよかった」タッタッタッ…



小鈴 「はぁ…はぁ……」ゼェー…ゼェー…


阿求 「ひゅー…ひゅー……」ハァ…ハァ…


蒼野 「二人ともだいじょうぶか?まだ意識はあるか?」


小鈴 「はぁ…はぁ…っはい だいじょうぶです まだあります…」ハァ…ハァ…


阿求 「ひゅー…私もっー…ありますゴホッ!」ゼェー…ゼェー…


蒼野 「急いで病院行った方がいいな 手遅れになる前に!」


蒼野 「菫子 二人を病院に連れていくぞ!俺は阿求を背負うから小鈴をたのむ!」


菫子 「うっうん!それはいいんだけど まだ周りにサリンの毒が残ってるけど…残しててへいきかな?」


蒼野 「…たしかに残しておくとあぶないな けど今はそんなこと言ってる場合じゃない!二人の方が最優先だ サリンは二人を病院に送ったらすぐに戻ってきてお前が吹き飛ばしてくれれば…」



吹き飛ばせばいいんですか?


全員 「「っ!」」どこからか声が聞こえてきて警戒態勢に入る


それじゃ吹き飛ばしますので全員息を止めててください!


蒼野 「(この声…まさか!)」


菫子 「だっだれ!一体どこに…」


蒼野 「菫子 俺たちの周りに全力で風を吹かせろ!」


菫子 「っ! わかった!」ビュゥゥッ!!!!!! 自分たちの周りに強い風を吹かせる


蒼野 「たのむ!やってくれ!」


おまかせください!そりゃあっ!!



大風 「」ブォォンッッ!!!!!!


ビュウゥゥゥッッッ!!!!!!… 周りの木々が勢いよくなびいて一気に周りのガスが上空へと吹き飛ばされて消える


菫子 「ーっな 一気に吹き飛ばした!?」


阿求 「この能力…風を操る程度の能力?」ゼェー…ゼェー…


文 「正解です!」シュタッ 空から蒼野たちの前に降りてくる


小鈴 「しっ新聞屋さん!」ハァ…ハァ…


蒼野 「やっぱりお前だったか 聞き覚えのある声だったからもしかしたらと思ったがあの時の新聞屋だな」


文 「あやや?覚えていてくれたんですか!あなたとはまだ一度しか会っていないのに覚えていてくれたなんて感激です!」


蒼野 「新聞屋だって聞いたからよけいに覚えてたんだ おかげで助かったよ ありがとう」


文 「いえいえ!どういたしまして」


蒼野 「菫子 急いで二人を病院に連れていくぞ!」


菫子 「わかったわ!」


文 「それじゃわたしはその後ろから風を吹かせてあなた方の飛ぶ速度を早めてあげます!」


蒼野 「そいつは助かる 阿求だいじょうぶか?乗れるか?」


阿求 「はっはい だいじょうぶです…!」スクッ…ポスッ 蒼野の背中にもたれかかる


菫子 「夜一 こっちは準備OKだよ!」


蒼野 「よし いくぞ!」


ヒュー!!…













永遠亭ー診療所



永琳 「…」ピトッ 二人の喉に指を当てて脈を測ってる


小鈴 「はぁ…はぁ……」ゼェー…ゼェー…


阿求 「ふぅ…ふぅ……」ハァ…ハァ……


蒼野 「…どうだ先生 二人の容態は?」


永琳 「…二人とも目を見させてもらうわよ」スゥ…


小鈴 「はっはい…」ハァ…ハァ…


阿求 「はぁ…はぁ…」ヒュー…ヒュー…


永琳 「…次は息を吐いてみてもらえるかしら?」


小鈴 「はっはぁー…」


阿求 「ふぅー…」


永琳 「…」スンスンッ


菫子 「…」


文 「…」


永琳 「…過呼吸ね 呼吸のしすぎで息が苦しくなってるだけね」


蒼野 「…っは 過呼吸?サリンの毒じゃなくて?」


永琳 「えぇ おそらく毒は体内には入ってないわね 症状が軽く息苦しいのと軽いめまいだけのようだし過呼吸以外には考えにくいわ」


永琳 「二人は蒼野に人工呼吸した時に多く息を吸って毒素を抜いてたのよね?」


小鈴 「はっはい そうです…」ハァ…


阿求 「たしかに呼吸は多くしてました…」ハァ…ハァ…


永琳 「だとしたら酸素を摂取しすぎね 酸素を取りすぎてその症状が出てるだけよ」


永琳 「念のためこの薬を飲んでみて もし体に毒が残ってれば激痛が走るはずよ」スッ 二人に先日、蒼野に譲ったものと同じ薬(瞬時治療薬)を差し出す


小鈴 「っえ げっ激痛…?」ゾッ…


阿求 「あっあまり飲みたくないですね……」ハァ…ハァ…


永琳 「でもガスが残ってた場合、あなたたち死ぬわよ」


小鈴 「いっ今すぐ飲みます!」スッ!!


阿求 「(おねがいガス入ってないで!)」ゴクッ…


蒼野 「…」


菫子 「…」


文 「…」


小鈴 「…」


阿求 「…なにも起きない?」


永琳 「ならただの過呼吸ね 心配する事はないわ」


小鈴 「ーっよ!」


小鈴 「よかったー…ガス入ってなくて」ホッ…


阿求 「ほんとね これで入ってたら激痛に襲われてたから入ってなくてほんとによかったわ…」ハァ…


蒼野 「よかったな二人とも 俺も二人にサリンの毒が入ってなくてほっとしたよ」


蒼野 「もし入ってたらどこか後遺症が残る可能性があったから入ってなくてほんとによかったよ」


菫子 「ほんとだね!」


永琳 「ついでにあなた達も飲んでおきなさい もしガスが残ってたらあぶないわ」スッ 蒼野たちに薬を渡す


蒼野 「あっすまない 飲んどく」スッ


菫子 「(おねがいだから入ってないで…)」ゴクッ…


ーっドクン!!


蒼野 「かはぁっ!!?」ビキビキッ!!!!


菫子 「っ!? 夜一!?」


文 「あやっ!?どっどうしたんですか蒼野さん!」


永琳 「…あなたには残ってたみたいね でもあなたなら耐えきれるでしょ?」


蒼野 「ぐぅっ!!うぅぅー…!!!!」ズキズキズキズキッッ!!!!!! 身体中に激痛が走り耐えている


小鈴 「…もし残ってればあんな痛みが私たちにも……」ゾクッ…


阿求 「ーっの 残ってなくてよかったわ…」


蒼野 「ーっくぅ!いてて…まだ残ってたのか そういえばスーガにトドメを刺す時にサリンが巻かれてる中に入ったな…」ズキズキ…


菫子 「あっそういえば入ってたね だからまた激痛が襲ってきたんだ」


蒼野 「あぁ でもこれで全部抜けたから飲んどいて正解だった あとでなんか後遺症が残るようなことになってたらいやだからな」


永琳 「そこの天狗も飲んどく?あなたも一緒にいたみたいだけど」


文 「いえ!わたしは平気ですよ そこの近くにいただけでそのサリンとやらは吸ってないかと思います」


蒼野 「サリンは無色無臭だぞ 気がついた時にはもう吸ってる可能性あるからな」


文 「…やっぱり飲んでおきます」スッ


蒼野 「二人はすぐにでも退院できそうですか?」


永琳 「できるわよ ただ息苦しいのはまだ続くと思うから退院するとしたら少し休んでからの方がいいわ」


蒼野 「どのくらいかかるんですか?」


永琳 「だいたい十分ぐらいね それぐらいで息も整うはずよ」


蒼野 「そうですか それじゃ少しここで休ませてもらってもいいですか?」


永琳 「いいわよ それとあなた服や顔に返り血が付いてるけど…人を斬ったの?」


蒼野 「…」


永琳 「…はぁ お風呂貸してあげるから血を流してきなさい 二人は私が見ておくわ」


蒼野 「…っえ?いやそれは悪いですよ 風呂は帰ってから入るので気にしなくても」


永琳 「そんな返り血を浴びた状態で誰かに見られたりしたら誤解を生むわ 服の返り血も染み抜き程度で取るから遠慮しないで入って来なさい」


蒼野 「…そうですか?それじゃお言葉に甘えて入らせてもらいます」


永琳 「うどんげ わるいけど案内お願いできる?」


スーッ…


鈴仙 「はい わかりました」呼ばれると同時に診療所に入ってくる


鈴仙 「蒼野さんこちらです ついてきてください」


蒼野 「あぁ わるいがたのむ」


蒼野 「みんなわるいがおれ風呂入ってくるから もし小鈴と阿求が早く治ったら先に帰っててくれ」


菫子 「…っえ 夜一は一緒に帰らないの?」


蒼野 「おれは今から風呂入るからな なるべく早めには出てくるが十分で上がってこれるかどうか」


蒼野 「それに文がいるから俺がいなくても二人を運べるだろ?文 わるいが二人が治ったら家まで送ってやってくれないか?」


文 「いいですよ 任せといてください!」


蒼野 「ありがとな それじゃ案内たのむ」


鈴仙 「はい」


タッタッタッ…



小鈴 「はぁ…はぁ……」


阿求 「ふぅ…ふぅ……」


永琳 「…まだかなりつらそうね 今ちょっとした栄養剤を作ってくるわ」カタッ


阿求 「すっすみません ご迷惑おかけして…」ハァ…ハァ…


小鈴 「…でっできれば苦くないものがいいです」ハァ…ハァ…


永琳 「安心なさい ピーマンのような味だから」


小鈴 「いやあァァァッッ!!!!」

ウガァァァ(´゚д゚`)


菫子 「…」


菫子 「(夜一がお風呂…一緒に入りたかったなぁ)」ハァ…


文 「菫子さん ちょっといいでしょうか?」


菫子 「はい なんですか?」


文 「先ほどの騒動なんですがなにが起きていたか詳しく教えてもらいたいんですがよろしいでしょうか?」


菫子 「…それはかまいませんけど、もしかしてこのことを記事にする気ですか?」


文 「はい!こんな特ダネを新聞に載せないなんてもったいないじゃないですか!これを載せれば私の新聞の人気が上がるの間違いなし!」


菫子 「やめてくれませんか夜一が人を殺したことを書くなんて 幻想郷の人たちに知れたら夜一が悪者扱いされるじゃないですか」


菫子 「夜一は私たちを守るために戦ってくれたのに…まして相手は外の世界で悪さをしてた佐久間グループの奴らなのにそれで夜一が悪者扱いされるのはおかしいです」


菫子 「もし夜一のことを新聞に載せると言うならわたしも本気であなたを殺る気でやりますよ!」ボゥッ!!!! 手から炎を出して威嚇する


文 「ちょっ!?ま、待ってください さすがにそこは考えてありますから落ち着いてください!」


菫子 「…考えてる?」


文 「はい 蒼野さんが殺人鬼なのはもう幻想郷に住む人たちほぼほぼ知っています」


文 「もちろんむやみやたらには人を殺さない殺人鬼だとも知られています その証拠に…はい!」バサッ


菫子 「…新聞?」シュゥゥ…パサッ 炎を消して新聞を受け取る


文 「はい!そこには蒼野さんのことを書いた記事を載せてます 今まで蒼野さんが幻想郷及び、人間や妖怪のために動いていたことを皆さんに知らせています」


文 「現に蒼野さんは人里で騒ぎがあった時にも駆けつけて解決してくれています なので蒼野さんが危険な殺人鬼だと思っている方は少ないです」


菫子 「…たしかに夜一のことを悪く書いてはなさそうね でも今回のことを記事にして書く必要はあるの?」


文 「人を殺めたことをあまり隠さない方がいいと思って載せています 人を殺めたことを隠したりするとそれが里の方々に知られたときに変な噂を立てられると面倒ですからね」


文 「まして蒼野さんは閻魔様の使いですから変な噂を立てられて閻魔様に被害がいっても困りますから多少なりとも誤解を招かないようしています」


文 「なので蒼野さんのことを書いています ご理解してもらえたでしょうか?」


菫子 「…文さんって意外に考えてるんですね まさかそこまで考えてるとは思いませんでした」唖然


文 「ひどいっ!!」


菫子 「そういうことでしたら今回なにがあったのかを教えます くれぐれも変なこと書かないでくださいね」


文 「わかっています それじゃおねがいします!」













永遠亭ー露天風呂



ジョロロ… 風呂のお湯が巡回して回っている


蒼野 「…ふぅ…気持ちいいな しかも露天風呂だなんてずいぶんと豪華だな まさかこんな豪勢な風呂に入れる時がくるとは思いもしなかった」


蒼野 「返り血も落とせたしこれなら帰っても悪い印象を与えることもない 先生には感謝しなくちゃな」


蒼野 「…しかし、ほんとに三人にサリンの毒が入ってなくてよかった もし入ってたらどうしようかと思ってたが…」


蒼野 「(サリンの毒は今後生きていく中で必ず害をもたらすものだからほんとに入ってなくて安心した…)」


蒼野 「…」


蒼野 「(…小鈴と阿求には何度も怖い思いをさせちまったな 俺と絡んでるから奴らも二人に目をつけやがって)」


蒼野 「(やっぱり俺と関わらない方がよかったな おれが二人に関わったせいで何度も利用されて…)」


蒼野 「(でも今さら二人との縁を切ったところで意味がない いま縁を切ってもぜったいに利用するやつが出てくる)」


蒼野 「(まして二人は非戦闘員だから奴らにとってこれを利用する手はない 戦えない奴を人質にしたほうが楽に仕事が捗るからな)」


蒼野 「…しくじったな 俺としたことが…」



…ガララッ


蒼野 「…っん?」


蒼野 「(スライドドアを開ける音?誰か中に入ってきたのか 鈴仙かな?)」



輝夜 「おっふろ!おっふろ!おっふっろー!」タッタッタッ… タオルを身体に巻いて湯船に近づいていく


蒼野 「ーっな!?」///


輝夜 「…っえ?」


蒼野 「(別の女性!?やばっこの光景デジャブ…)」


輝夜 「ーっき!」///











菫子 「それでですね 夜一はスーガをですね」


文 「はいはい なるほどなるほど…」

φ(・ω・ )かきかき


小鈴 「うぇぇ…にがい……」

:(´◦ω◦`):プルプル


阿求 「がまんしなさい わたしだって苦いんだから…うぇっ」

( º﹃º` )


永琳 「にがいけど効果は保証するわ それを飲めば身体が軽くなるから全部飲みなさい」


小鈴 「ピーマンよりにがいです…さっきピーマンに近い味と言ってたのに……」ウプッ


永琳 「前言撤回するわ ピーマンよりにがい薬よ」


阿求 「いやなんでピーマンと比較するんですか…」

(‐д`‐ll)おぇ




キャアァァァァァッッ!!!!!!



全員 「「っ!!!?」」ビクッ!!



ま、待ってくれ!これには深いわけが…


変態!!死ねぇぇぇっ!!!!


ぎゃぁぁぁっ!!!!


ズドォォオォォォンッ!!!!!!



菫子 「…えと、今の声って…夜一だよね?」


阿求 「えっえぇ 蒼野さんだと思うけど…もう一人の声は蓬莱山でしょうか?」


文 「あやや?これは特ダネの予感です ちょっと行ってきます!」バサッ!!


小鈴 「はやっ!もういない」


永琳 「…もしかして姫 まだお風呂入ってなかったのかしら?」


てゐ 「入ってないよ ずーっと部屋で本読んでたからな」ヒョコッ 床下から顔を覗かせて出てくる


菫子 「キャアァァァッ!!?」ビクゥッ!!!!


永琳 「あらてゐ そんな所にいたの?」


てゐ 「さっきからいた それより姫を止めに行かなくていいのか?かなり暴れてるぞ」チョットテイサン!ナンデソンナトコロカラデテキテルンデスカ!!


永琳 「…けっこうやばい?」キニスルナ


てゐ 「まぁ裸見られたからな それなりにやばいウサ」キニスルワヨ!


菫子 「っえ!?よっ夜一裸見たの!?」


てゐ 「そうだ 姫様の美しい肌を目に焼き付けてたぞ」


菫子 「ーっ…わたしちょっと夜一のところに行ってくる!」タッタッタッ…


小鈴 「っえ そっそれならわたしも…」


阿求 「やめなさい」


てゐ 「いってらー」


てゐ 「…」(・∀・)ニヤリ


永琳 「…っで ほんとは?」


てゐ 「タオル一枚姿を見ただけウサ」


永琳 「…だろうと思ったわ でも暴れてるのはほんとなのよね?」


てゐ 「暴れてるのはほんとだ あいつ死ぬんじゃないか?」


小鈴 「えぇっ!?しっ死んじゃう!?」


永琳 「それは平気じゃないかしら あの子意外にしぶといから死なないと思うわよ?悪運もかなり強いみたいだし」


てゐ 「たしかにあいつしぶといよな この前だってふつうの人間ならとっくに死んでるほどのケガをして生きてたもんな」


永琳 「まったくよ 悪運も強ければ生命力も高いから私からしたら金の卵だわ あの子を使って実験台に使えたら…」

(・∀・)ニヤリ


阿求 「だっダメですからね!あの方を実験台になんてしたら!」


永琳 「じょうだんよ したらしたで閻魔様が黙ってないと思うからしないわ そんなムキにならなくても安心なさい」


阿求 「あっ!べっべつにムキになんて…」///


永琳 「さてと、それじゃわたしも姫のところに行こうかしら」カタッ


てゐ 「止めに行くのか?」


永琳 「えぇ まだ地響きが鳴り止まないし、しかもさっきより暴れてるみたいだからさすがに止めに行くわ」 ズドーンッ!!


てゐ 「私はいかんぞ」


永琳 「なら二人を見てて 何か容態が変化したらすぐに呼んでくれるかしら?」


てゐ 「めんどうだな わかった」


永琳 「それじゃ二人とも ちょっと席を外すけどなにか容態が変わり次第すぐてゐに言ってね」


小鈴 「はっはい 分かりました…」ハァ…ハァ…


阿求 「どっどうかお気をつけて…」フゥ…フゥ…


永琳 「わかっているわ」タッタッタッ…


ガラッ…ピシャン


てゐ 「…無事に帰ってくればいいがな」


小鈴 「不吉なこと言わないでください!」


てゐ 「くくくっ!まぁ永琳は不老不死だから死ぬことはないがなウサ」


阿求 「いや死ぬことはなくても痛みはあるかと思いますが…」



コンコンっガララ……


魔理沙 「おーい 永琳いるかー?」


小鈴 「あれ?魔理沙さん こんな時間にどうしたんですか?」


魔理沙 「小鈴に阿求 お前たちこそなんねここに?しかも水着姿で」


阿求 「…ちょっと蒼野さんたちと遊んでたら佐久間グループの一員に襲われまして…」ハァ…ハァ…


魔理沙 「なにっ!?また現れたのか!」


てゐ 「みたいだ 今二人は治療中だからあんまり騒ぐな」


魔理沙 「容態の方はどうなんだ?」


てゐ 「軽い過呼吸だ 最初はサリンって毒ガスを吸ったんじゃないか疑ったがただの呼吸のし過ぎで息に乱れが出てるだけだ」


魔理沙 「サリン…?」


阿求 「外の世界に存在する劇薬です 無臭無色でちょっとでも吸ったら死に至るほどの猛毒ガスです」


小鈴 「今回現れた佐久間グループの一員がそのガスを使ったんです 夜一さんがなんとか倒してくれたのでもう心配はいりません」ハァ…ハァ…


魔理沙 「そっそうか ならいいんだが…」


てゐ 「それで魔理沙はなにしに来たんだ いつもの薬か?」


魔理沙 「…あぁ わるいが頼めるか?」


てゐ 「わかった 今持ってくるから待ってろ」


魔理沙 「わるいな 待ってる間座らせてもらうぜ」カタッ


てゐ 「かまわないよ それと今の薬が効いてないように見えるが…?」チラッ


魔理沙 「…」ゲッソリ


てゐ 「…もう一つ上の強い薬も持ってくる」タッタッタッ…


魔理沙 「…わるい たのむ」


小鈴 「…魔理沙さん どこか悪いんですか?よく見たら顔が痩せこけてますが…」


魔理沙 「…ちょっと、な?」


阿求 「…何かあったんですか?ムリなダイエットをしてる…とは思えませんが」


魔理沙 「…」


小鈴 「…魔理沙さん?」


ガラッ…


鈴仙 「…あれ?魔理沙さん来てたんですか 受付に来ましたか?」


魔理沙 「誰もいなかったからこっちに来たんだ 永琳がいると思ってな」


鈴仙 「今師匠は暴れてる姫様を止めに行ってるので席を外してます それよりどうですか?ちゃんとご飯などは口にして…っ!」ハッ


魔理沙 「ごはんは…ーっうぷ!!」ウッ


小鈴 「っえ まっ魔理沙さん!?」


阿求 「ちょっ!やめてくださいここで吐かないでください!」


鈴仙 「すっすみません!変なことを聞きました だいじょうぶですから落ち着いてください」ナデナデ… 魔理沙の背中をさすって落ち着かせる


魔理沙 「ーっ…!!」ジワッ… 涙目で吐き気を抑えながら我慢する


鈴仙 「…悪化してるみたいですね 薬は飲んでますか?」


魔理沙 「ーっ…あぁ 毎日飲んでるがあんまり……」フゥ…


鈴仙 「…そうですか 今出してる薬もかなり強い薬なんですが…」


阿求 「…あっあの 魔理沙さんは一体どのような病気なんですか?いきなり吐き気が襲ってくるなんて、見た感じ風邪とかではないですよね」


鈴仙 「えっと それは…」


魔理沙 「…急性ストレス障害 言わばフラッシュバック症状だ」


小鈴 「フラッシュバック…?」


阿求 「フラッシュバックって過去に起きたことを思い出したりするトラウマ的なものですよね?」


魔理沙 「あぁ…おまえたちが太陽の畑で捕まってるときに夜一がやられそうになってただろ?」


魔理沙 「その時に…佐久間グループのリーダーが自分の部下の頭を……足でーっうぶ!!」ウッ!!


鈴仙 「魔理沙さん!!」


小鈴 「…その時の瞬間を見て頭に焼き付いてしまったんですか」


魔理沙 「ーっ…あっあぁ そういうことだ それからろくに飯も取れなくて…精神安定剤と栄養剤をもらいに来てるんだ」フゥ…


魔理沙 「でも効かないんだ 栄養剤はまだ効くんだが精神安定剤の方はどんなに飲んでも飲んでも…まったく効果がでてる様子がないんだ」


魔理沙 「もうずっとこのままなんじゃないかと思うと…すごく怖くて……!!」ブルブル…


阿求 「魔理沙さん…」


阿求 「(あの魔理沙さんが震えてる…いつも強気で活気に溢れてる魔理沙さんが震えるなんて…)」


小鈴 「(たしかにわたしも目の前でそんな光景を見たら同じ思いをするかもしれないな 魔理沙さんみたいに強くもないし、戦うこともできないからわたしならとっくに頭がおかしくなってるかも…)」


魔理沙 「…鈴仙 今てゐに薬取ってきてもらってるから少しの間、背中をさすってもらえないか 怖くて落ち着けない…」ブルブル…


鈴仙 「わっわかりました 私でよければ…」



ガラッ






この続きは【犯罪者に救いの手 7】なります

今後とも犯罪者に救いの手をよろしくお願いします


後書き

蒼野の情報

年齢 16歳
性別 男
身長 172cm
体重 30kgから40kgの間(痩せすぎている)
学力 IQ?(作者は馬鹿なので不明)
体力 かなり高い
剣術 かなりの使い手
武術 かなりの使い手
能力︰結界を操る程度の能力



 蒼野の荷物
・闇の刀(打刀 約90cmの刀)
・光の刀(打刀 約90cmの刀)
・蒼の刀(打刀 約90cmの刀)(元々はメイ(綾瀬の私物)
・草薙の剣(霖之助から借りているもの)
・小刀(脇差 約50cmの懐刀)
・メリケンサック(ごく普通のメリケン)
・薄い毛布(医療用に使われる防寒型毛布)
・携帯食料(スナック菓子みたいな高カロリー食料)
・活性化薬(永琳特性 使えば筋肉が活性化していつも以上に動きや切れ味が良くなる 効果は30分だが切れたら通常に戻る)
・激瞬時治療薬(弱)(永琳特性 使えば深い傷を瞬時に治すことができるが初めて使った激瞬時治療薬(強)より効果が弱いため、生死に繋がる怪我を負った場合には限度がある)


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2019-03-22 23:00:16

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