2017-12-15 19:14:55 更新

概要

二人で初めて迎えるクリスマス。だがひょんなことから勅使河原家に行くことになった瀧と三葉。4人の掛け合いに注目。


前書き

久しぶりの「君縄」ストーリーです。本サイトでの君縄由来の小説執筆者は私しかいないみたいですが、おかげさまで、上梓した7作品すべてほどほどの閲覧数をいただくまでになっております。
最終作は四葉宅での七夕を描きましたが、今回は、4人が夫婦になってから初のクリスマスをどう過ごしたかをフォーカスしようと思い立ち、作り始めました。
とはいうものの、ダイアログメインで進めても、なかなか内容が煮詰まらない。結局5,000字にも満たない短編となってしまいました。
2016.11 作成開始
2016.12.15 第一版 公開(4,790字)


早耶香 「どうしたのよ、その格好」

瀧 「え、クリスマスって言ったらサンタクロース。俺のサンタ衣装、にあってるだろ?」

克彦 「いや、確かに今日はサンタ衣装でも許されるだろうけど、三葉、お前まで…」

三葉 「え、女のサンタさんって、やっぱ、変かな?」


早耶香 「まあどうでもいいわ、とにかく上がってよ」

克彦 「まったくだ。玄関先で二人のサンタなんて、絵面がきつすぎるよ」

瀧三 「おじゃましまーす♪」

早耶香 「そこの二人っっ!!、口調やトーンまで合わせるんじゃないっっ」

克彦 「二人が息ぴったりっていうのを見せつけたいんか?あぁ?」

瀧 「いや、そういうわけじゃないんだけど…」

三葉 「なんか揃っちゃうのよね(テレ)」

早耶香 「あーー、なんだか知らないけどムカついてきたんだけど…どうしようっか」

克彦 「まあまあ落ち着けって。こんな日に二人してうちの家を訪問したのだっていろいろとわけがあるんだろうし…」

早耶香 「あ、それはそうだよね。二人っきりのクリスマスを選ばなかった瀧くんと三葉さんの来訪の理由をお伺いしたほうがよさそうね」


三葉 「そうなのよっっ、サヤちん」

瀧 「ちょっと聞いてくださいよ、テッシーさん」

サヤテシ 「あーーーー、二人とも待て待て」

瀧三 「??」

克彦 「二人して同時に話したってわかるものもわからなくなっちまうから、ね」

早耶香 「ごめんやけど一人ずつ話してもらえんやろか」

三葉 「じゃあ、あたしから…」

瀧 「いやいや、俺の方が先だっての」

サヤテシ 「・・・・・・・・・・」

早耶香 「いや、あのね、瀧くん、三葉さん・・・」

瀧三 (また声をそろえて)「なにか?」

早耶香 「まさか、夫婦喧嘩、それもノロケまみれの犬も食わない方の痴話喧嘩でもやろうってんですかい?」

克彦 「そうだよ、二人とも。べらんめい調になった早耶香って、沸点が近いんだから、そんなに怒らせちゃだめだよ」

瀧 「あ、そ、そうだったんだ…そんなに怒ると怖いんですか?テッシーさん」

克彦 「ああ、怖いなんてもんじゃないよ、家ん中にゴジラが襲来したかのような感じなんだから」

瀧 「それは確かに怖いなぁ…」

早耶香 (眼、キラーン)「そこの男子二人…今ここにゴジラが来てもよさそうですね…」(コメカミ、ピクピク)

克彦 「あ、ごめんごめん。こりゃぁ、最終形態襲来の合図だぁ」

瀧 「あ、す、す、す、すみません。ここは三葉に譲りますので、どうか蒲田君のままで」

克彦 「それでもゴジラはゴジラなんだけどな…」


早耶香 「じゃあ、三葉の方から、話を聞こうか…」

三葉 「今日ってクリスマスイブじゃない?サヤちん」

早耶香 「それはそうだけど…」

三葉 「クリスマスって、恋人たちが二人で愛を深め合うのが基本じゃない?」

早耶香 「まあ、ボッチの人もいるから、そうとばかりも言えないけど…カップルならそれが普通だよね」

三葉 「でもね、瀧くんったら、テッシーの家に行って、みんなでワイワイやりたいって言い出したのよ」

早耶香 「二人っきりも、みんなでワイワイもありっちゃありじゃない?」

三葉 「今年は、初めて二人で迎えるクリスマスだから、二人っきりでいたかったの。それなのに、あの男はぁぁぁ」

早耶香 「まあ、そうテンション上げないの。だったら、このサンタ服は何?」

三葉 「瀧くんが家に帰ってくるころに着替えて、サンタさんからのプレゼントってつもりでお迎えしようと思ってたの。そしたら、帰ってくるなりそんなこと言うもんだから…」

克彦 「ん?瀧は、ということは、会社から帰ってきて、着替えて車に乗って、サンタ姿の三葉を連れてきたってことだよなぁ?」

早耶香 「そうなるわね」

三葉 「結構恥ずかしかったわよ。信号待ちとかw」

早耶香 「よくここまで車ででもその格好で来ようと思ったね、二人とも…」

瀧 「えへへっ。意外性が俺の持ち味だし…」

早耶香 「周りがドン引きする意外性は御免蒙りたいんですけど」

瀧 「で、俺が車の中で、「あの夫婦のところで一緒に祝った方が絶対面白いって」ていって説得したら、乗り気になっちゃったのにこの言い草ですよ」

三葉 「でも、瀧くんと、瀧くんとだけでイブ過ごしたかったんだもん」(フクレッツラ)

瀧 「まあ、気持ちはわかるよ。でも、実はここに逃げてきたのにはもう一つ理由があるんだ」

サヤテシ 「ええ?逃げる?」

瀧 「これは三葉にも言ってなかったけど、うちの会社、新婚夫婦のところにイブに乱入してくるっていう風習があるらしいんだ。そのうわさを聞きつけていたから、まずは脱出しよう、で、脱出先は…となった時にここを指名したっていうわけなんだよ」

三葉 「ええ?そうだったの?」

克彦 「うはっっ。面倒くさい会社だねぇ」

瀧 「まあ、最初は、会社の風習に飲まれるのも悪くないかって思ってたんだけど、二人で過ごしたいし、もちろん、俺の会社の同僚は三葉のことはほとんど知らない。ということは、三葉を知られてしまったら、横取りしようとする奴が出てきてもおかしくない。なんで、三葉を隠しておきたい、っていう方向になったんだ」

早耶香 「ふーん、そんな経緯があったのか…それならそうと早めに言ってくれればよかったのに。二人分のもてなしなんか用意してないわよ」

瀧 「あ、そのことならご心配なく」

ドカッと、ケーキやら、チキンやらをテーブルの上に。

瀧 「お邪魔して悪いってことで、ご用意させていただきました」

早耶香 「お気遣いありがとう…って、も、もしかして、その格好で?」

瀧 「そうですけど、何か問題でも?」

克彦 「ま、まじか・・・」

三葉 「行く先々でもサンタに扮している人、結構いたけどなぁ」

早耶香 「ああ、あれは一種の制服みたいなもん。寒空の下あのコスチュームでケーキ売ってた子も見掛けたわ。でもあんたのは自発的だからね」

瀧 「やっぱ…変かな?」

一同 「 と ー ぜ ん で す っ っ !! 」


瀧 「急いで出てきたからお腹ペコペコだよぉ」

三葉 「私も・・・」

早耶香 「私たちも始めようか、ってところにやってきたから、よかったっちゃぁよかったんだけどね」

克彦 「それでも瀧くんが買ってきてくれたもののおかげでかなり豪勢になったよ、食卓が」

早耶香 「むむ?それって私の手料理に不満があるってことでよろしいか?」(ユビボキボキ)

克彦 「あ、あ、そういうわけじゃなくて、より、更にゴージャスになったよってことが言いたいだけで…」

三葉 「ウフフ、しっかりテッシーをコントロールしているサヤちん。見直したわ」

瀧 「まあ俺たちの間にはあんな上下関係はないけどな」

三葉 「あれぇ?お財布は私の管理だってこと、忘れてない?」

瀧 「そ、それが都合いいって言い出したのお前じゃないか」

三葉 「あーー、瀧くん、私のこと「お前」なんていったぁ」

瀧 「だから何だよ」

三葉 「そんな風に呼んでくれたの、久しぶりね」

瀧 「なんだよ急に、そんなにデレるなよ、気持ち悪いじゃん…」

三葉 「ありがとう、瀧くん、いいえ、あなた」

瀧 (カオマッカ)「お、おい、止めろよ、二人が見ているじゃ…」

瀧三 「ゲゲッッ」

克彦 「二人とも、こんな風に毎日乳繰り合ってるってか?」

早耶香 「私たちが夫婦げんかしているのがバカらしいわ。あーもうやめやめ。さっさと食べちゃいましょう」

瀧 「それもそうだね」

三葉 「さっさと始めましょう♪」

一同 「い っ た だ っ き ま ぁ ~ す」


瀧 「あー、おいしかったぁ…」

三葉 「ほんと。サヤちん、腕挙げたね」

早耶香 「いやいや、それほどでも…」

克彦 「うん。今日のは確かに気合が入ってたわ。俺も認める(ビール飲みながら)」

早耶香 「なぁんか、引っかかるなぁ…いっつも手抜きしているみたいに聞こえるんですけど…」

克彦 「そうじゃなくて、今日の味付けはきっちり決まってたってこと」

三葉 「え?サヤちんって、いっつも味付け、適当なの?」

早耶香 「そうですけど、何か?(ワイングビー)」

三葉 「愛しい人に出す料理の味付けがテキトーだなんて…それってホント?テッシー?」

克彦 「まあ、砂糖と塩を間違えるなんて凡ミスは一度もないけど、味のブレ幅が半端ないっていうのかな…」

瀧 「あ、言われて初めて気が付いたわ。三葉の味付けって、寸分の狂いもないって…」

三葉 「料理レシピサイトは私の必携ですもの。ここ最近は見なくてもできる料理も増えてきたし…」

克彦 「レパートリーは広いのは認めるけど、味に関してはちょっとは三葉を見習ったらどうだい?」

早耶香 「うーーん…まあ、分かった。」

克彦 「お、案外素直に認めたな」

早耶香 「だって、三葉と瀧夫婦見てたら、喧嘩ばっかりしているって何の生産性もないんだもん」

克彦 「おお、ようやくそこに気が付いてくれたか! 俺だって怒りたくないんだけど売り言葉に買い言葉って感じにお互いヒートアップしちまうもんなぁ」

早耶香 「好きどおしで一緒になっているったってお互い他人。譲るべきところは譲らないといけないって二人見て気づかされたわ」

瀧 「え?俺たちのこと?」

三葉 「そんなぁ(テレ)」

早耶香 「よぉーし、今日はガンガン飲んで、今までの憂さ晴らしするぞぉーーー」

克彦 「って、明日仕事だろ?大丈夫かよ…」

早耶香 「ノープロブレムっっ!明日は明日の風が吹くってかぁぁ??」

三葉 「あ、こうなってきたら、サヤちん、暴走モードに突入するのね(ヒソヒソ)」

瀧 「てことは、そろそろお暇したほうがいいってことかな(ヒソヒソ)」

三葉 「うん。そんな感じ(ヒソヒソ)」

瀧 「あ、そろそろ俺たちも帰るわ。今日は突然お邪魔してすみませんでした」

克彦 「ああ、そんなことならいいってこと。一緒に騒げて面白かったよ」

三葉 「じゃあね、サヤちん、年明けまた遊びに来るね」

早耶香 「オッケー、オッケー、オッケー牧場!! うまぁいおせち持参でよろしくぅぅ」

瀧 「あ、これ、まずいわ、出来上がりつつあるわ」

三葉 「ではこれにて、失礼いたしますぅぅ」(逃げるように勅使河原家脱出)


瀧 「ふぁぁぁ、それにしても、おもしろかったなぁ」

三葉 「二人っきりよりも面白かったかも(満面の笑み)」

瀧 「さぁて、これから、どうする?」

三葉 「どうするって、この格好でどこに行くの?」

瀧 「あ・・・」

お互い、サンタ衣装を見つめなおして大爆笑する。

瀧 「まあ、確かに!!」

三葉 「うちに帰る選択肢以外ないと思うんですけど」

瀧 「それもそうだな」

三葉 「でも、できることなら…」

瀧 「なんだい?三葉」

三葉 「この格好のままで、ぎゅぅってしてほしいの」

瀧 「(半笑い)え?なんで?この寒空の下でしなくてもいいだろうに…」

三葉 「だからしてほしいの」

瀧 「もぉ・・・言い始めると聞き分けないからなぁ…じゃあ、やるよ。」

瀧、三葉をぎゅぅと抱きしめる。

三葉 「(瀧の耳元で)メリークリスマス、瀧くん…」

瀧、三葉はこれが言いたかったんだと悟る。

瀧 「素敵なクリスマスプレゼント、ありがとう。じゃぁ、俺からのお返しだっ」

瀧、三葉の唇を半ば強引に合わせる。びっくりする三葉だったが、次第に目がうつろになってくる。

瀧 「俺のお返し、どうだった?」

三葉 「もぅ、最高だったよ、瀧くん!!」

三葉、瀧にもう一度抱き着き、顔をうずめる。

閑静な住宅街にひときわ温かい愛情がそこに存在していた。


(おわり)




 


後書き

なかなか難しい(というより筆の進みが遅い)作品になってしまいました。
大人になった登場人物たちをどう描くかはすべての作品で難しく感じていたのですが、やっぱり、間が持たないっていうか、分量が出せないところがありますね。
まあ、それでも、知りにひかれている克彦感とか、相変わらずラブラブな瀧三をかければそれでいいかな、なんて思ったりもしています。
今回は短編ですが、ちょっと一計を案じ中。そちらは年内上梓を目指しています。
というわけで8タイトル目、どうぞ、ご査収ください。


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