第1巻 第37話 ソレデモ
スゥー〜
辺りを覆っていた紫色の霧が晴れた
通行人A 「何だぁ!?今度はいきなり霧が晴れたぞ?」
通行人B 「どうなってんだ……霧の中で金属音や何かが飛び交う音も聞こえたし?」
ブウロ 「では蒼也、私はこれで」
蒼也 「ああ、お疲れブウロ」
ヒュンッ
千棘 「スゴかったぁ……アレが蒼也君の星獣と戦闘………」
蒼也 「………………ぐっ!」
小野寺 「?」
千棘 「蒼也君?」
蒼也は土星バイソンの角にやられた肩を抑えて膝をついてしまった
ボタボタ………
千棘 「ちょっ…蒼也君大丈夫?」
小野寺 「血が出てるよ、双神くん!」
蒼也 「へ…平気ですよ。こんな傷星神やってたらしょっちゅうですよ。
アジトに戻れば幾らでも……」
小野寺 「でも、私を庇ったからだし、ほっとけないよ………」
というわけで
和菓子屋おのでら 小咲の部屋
ギュッ
小野寺 「ふー、これで一先ず止血は出来たから大丈夫だよ。」
千棘 「ありがとね、小咲ちゃん。」
蒼也は助けてくれたお礼として、小野寺の実家で包帯での治療を受けていた
蒼也 「別に、ビーハイブの医療があればこんな傷どうにも無かったのに………」
小野寺 「ダメだよ!ばい菌入ったらどうするの?」
蒼也 「………………」
蒼也 「なぁあんた、俺が怖くないのか?」
小野寺 「え?」
蒼也 「俺はギャングのヒットマンで星神なんだぞ?あんたと違って裏の世界に住んでる。
あんな戦闘をついさっき見といて、あんたは俺をどうして普通に家に上げれるんだ?」
小野寺 「え?そんなの、関係無いじゃない。」
蒼也 「え?」
小野寺 「だって双神くんは、あの星獣から私たちを守ってくれたもの。
絶対悪い人じゃないって分かるよ。」
ニコッ
蒼也 ドキッ
蒼也 (……………何なんだこの娘、誠士朗があんなに面の人間と親しくしていただけでも驚きなのに)
千棘 「ね、蒼也くん、小咲ちゃんはいい人でしょ。」
蒼也 「え?あ…はい。」
ガタッ
蒼也 「…とにかく、俺はこれで失礼します。
お嬢、あの土星バイソンの報告は俺がやっておくので。」
千棘 「え?あ、うん。」
小野寺 「あ、ちょっと待ってよ双神くん、何かお礼に和菓子か何か食べていかない?」
蒼也 「は?もういいよ、傷の手当てはして貰ったし、これ以上は……」
小野寺 「私を助けてくれたんだから、手当てくらい当然だよ!
他に何か出来る事は無い?」
蒼也 「そんなん言われてもなぁ……俺、日本の食い物は口にあわねーし………あ!それなら……」
20分後 近所のコンビニ
店員 「ありがとうございましたー」
蒼也 「ちょうどタバコ切らしかけてたから、まあこれでいいわ。」
シュボッ
小野寺 「本当にタバコ一箱でいいんですか?」
蒼也 「いーんだよ。俺の趣味なんてコレくらいだしな。」
蒼也 「じゃーな。」
小野寺 「うん。今日は本当にありがとうね、双神くん!」
スタスタ……
蒼也 (………初めてだ、表の人間とマトモに話したのも、こんなに優しくされたのも)
第37話 完
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