怖い話
この作品は一部フィクションを含みます。ただ只管雑談したり怖い話をしたりするものです。これらの要素が苦手な方の閲読はご遠慮ください。一部教育上良くない表現が含まれています。ご注意ください。
SSを投稿するのはこの作品が初めてになります。誤字・脱字等は脳内で補足していただければ幸いです。
「怖い話して欲しいかな...」
嬋媛たる声で放たれた言葉たちは薙刀だった。
???「何を言い出すかと思えば...」
???「夏だし...その...怖い話して欲しいなって...」
???「お願い...れんちゃん」
蓮介「...わかったよ。花音...」
花音「やった...」
蓮介「(相変わらず感情の起伏が外面に出ないな)」
蓮介「じゃあ、するよ。」
僕は息を吸い込んでから話を始めた。
これは僕が中学生の頃に体験した話だ。
僕は、まあ今でもそうだがよく地元に遊びに行く。
埼玉県の某所である。
当然地元の友人と会う機会はそうそうないからその一日は文字通り朝から晩まで遊ぶわけだ。
そうなると当然日が暮れても遊ぶ。
そしてその出来事が起きた6月末も日が暮れるまで遊んでいた。
その日は丁度花火大会があって友人達と花火を見に行った。
花火は20:30まで続いた。
花火が終わり、一旦いつものはな〇うどんへ行こうという話になった。
その後も自転車移動だったのだが、無事にはな〇うどんに到着した。
各々メニューを注文していく。
その時は未だ普通の日常だった。
うどんを食べ終えて、一度友人Aの家に戻ることにした。
僕もその友人Aから自転車を借りていたので丁度良かった。
ここからがいつもの日常とは違った。
はな〇うどんを出て普通なら暫く真っ直ぐ進むのだが、その時はなぜか違った。
原則道に詳しい友人Aが先頭になり、友人Bを挟んで僕がいる。
いつもと違うルートで家に向かうAに対してBと僕は疑問を抱く。
そして尋ねる。
「なんでこの道なんだ?」
聞いた。
返ってきた答えは大体このような意味のことを言っていたと思う。
「なんとなく...理由はわからん」
普段からそのような曖昧なことが嫌いなAにしては珍しい答えだった。
まさか彼の口からなんとなくという言葉が飛び出すとは夢にも思わなかった。
そして10分程Aの後を追う形で自転車を漕ぎ続ける。
まあ僕も少なからずその地に住んでいたからその道は知っていたが、一つ、見たこともない建物があった。
Aはその建物の前で自転車を徐に止めた。
僕達もそれに合わせて自転車を停車させる。
「おい、どうした?」
「いや...こんなのあったか?」
「俺は知らねえわ」
「俺も...」
「俺も知らんよ...」
そして一瞬の沈黙を挟み、Aがこう切り出した。
「入ってみようぜ...」
僕とBは一瞬何を言っているのか理解できなかった。
「は?これアパートだろ?普通に人が住んでるだろ」
「いや、それにしては暗いし人の気がしない」
「いいよ。こんなのほっといて帰ろうぜ」
僕は心のどこかで若干の恐怖を覚えていた。
少し強い口調で慰留した。
それでもAは何かに憑依されたようにその建物へ近づいていく。
ここでAを無視して帰っていたら、また違う未来があったのかもしれないと思う。
けれどそれはどうすることもできない仮定でしかなく、それ以上でもそれ以下でもない。
Aは無言でその建物の階段を上っていく。
「お、おい!」
「俺達も行こうぜ」
「お、おう...」
階段を上っていくAを追いかけながら僕とBも階段を上った。
その建物は二階建てでかなり新しいように思える。
煉瓦で作られた壁に、まるで西洋を思わせるような窓。
そしてクレムリンを彷彿とさせる特徴的な屋根。
けれど僕にはどこか荒廃した雰囲気を感じた。
後で聞いた話だが、Bも荒廃した雰囲気を感じていたらしい。
Aがある程度奥へ進んで、唐突に止まった。
Aが手招きをする。
Aの近くまで行った瞬間から異臭がするのを鼻は正確に感じていた。
この時点で既にBと僕は恐怖しかなかった。
だがAは違った。
「この部屋、入ってみようぜ」
この瞬間だけはAがAではないような気がした。
「お、おい。やめとけよ。悪いことは言わねえからよ」
「そ、そうだぜ...」
Aはそれでもその異臭の発生源であろう部屋のドアノブに手をかけた。
その瞬間Aは大声で叫んだ。
突然の大声にBと僕はかなり驚いた。
そしてAが急に正気を取り戻したように小さな声で帰ろうと呟いた。
Bと僕はいろいろと意味がわからなかったが、とりあえずこの場所に留まっているだけで危険だと判断し、帰ることにした。
その後は無事に帰ることができた。
その後友人Aの家で何が起きたのかをAに聞いた。
けれど、返ってきた答えはどれも「記憶がない」というものだった。
Bと僕はそんなはずないだろう、と暫くその出来事について詳細に聞いた。
だが、Aは記憶がないの一点張りだった。
Aは確かに普段から冗談を言うタイプだが、この状況でも冗談を言うような人間ではない。
しかし記憶がないの一点張りをされてしまってはこちら側もどうすることもできない。
仕方がないのでその日はその後も適当に雑談していつものように解散した。
時刻は凡そ23時過ぎ。
僕はこれから電車に20分程揺られる必要があったが、Bは自転車で帰れる距離だった。
AとBと完全に別れた僕はホームで音楽を聴きながら電車の着到を待った。
暫くして、僕の目的の電車が来た。
電車に乗り込むと案の定客はほぼ0人だった。
席に座って、ふと先程の奇怪な出来事のことを思い出した。
今は携帯である程度のことは調べられる。
まずはあの場所についてインターネットで調べてみた。
特にめぼしい情報はなかった。
しかし、それだけで「なんだ、ただの夢か」と片付けられるものならそれでも良かった。
あれは明らかに異常事態だ。
僕はそこで、昔から怪談好きの母の言葉を思い出した。
”〇島〇る”ってサイトで日本中の事故物件が見れるのよ”
インターネットでそのサイトを調べてみると、一番上に表示された。
そのサイト内で、地図を頼りに例の現場周辺を調べてみた。
しかし、その現場周辺には事故物件は疎か、建物の一つもない。
僕はそこで寒気がした気がした。
結局その日はインターネットだけでは何の情報も得られなかった。
翌日、僕は暇だったので近所の図書館へ赴いた。
もしかしたら、図書館程の情報量があれば何かしらの手掛かりになるのではないかと予想した。
しかし恐らく、これはあくまでも僕の勝手な推測だが、あの建物は最近建てられたものではないだろう。
あの建物に足を踏み入れたときに感じた謎の違和感と荒廃した雰囲気を僕は無碍にはしなかった。
僕が今まで少なくとも月単位で地元に訪れ、その際はほぼ毎回通っていたあの道に突如新築のアパートが出現した。
それはあまりにも非現実的すぎて僕の語彙力では形容しきれなかった。
突如現れた新築のアパート、外見は新築であろうと雰囲気は廃れた建物、そしてなによりその外見が物語っていた。
そうだ。
あれはどこからどう見ても擬洋風建築ではないか。
となればあの建物は明治時代初期に建てられた可能性が高い
明治時代初期、僕の地元は埼玉県ではなかった。
正確には入間県という県だった。
とすれば、明治時代の入間県の事件を調べれば何かわかるかもしれない。
ドア、異臭。
これだけでその場所で何が起きたかを推測するのは簡単だった。
ドアの隙間からでも認識できる程の強烈な異臭と言えば...。
まあ大量の腐敗した残飯か、あるいは動物の死骸の腐敗臭、と考えるのが普通だ。
図書館で調べ始めてから20分も経たない内に答えは見つかった。
もっとも、その答えはあまり愉快なものではなかった。
昔のことだから大したことは書かれていなかったが、やはりその建物で人が亡くなっている。
それも複数人。
一人一人の状態の詳細までは書かれていなかったが、死因は掲載されていた。
数名の男女が全員首を吊って亡くなっていたらしい。
そして全員四肢切断、もしくは関節離断されていたという記録が残っている。
更に全員腹を割られていたらしく、当時遺体が発見されたときは誰もが目を疑う猟奇的で病的な光景だったと形容されている。
しかし、なぜ僕たちにその建物に干渉する機会を与えたのかは不明だった。
偶然なのか、必然なのか。
それはあれから5年が経った今もわかっていない。
ただ一つわかっているのは、その犯人は逮捕されておらず、その事件から約140年が経った今もその事件の犯人はわかっていないらしい。
ただ、あのときAが急に大声で叫んだのは、窓から部屋の中が見えてしまったからかもしれない。
蓮介「...とまあ、こんな話なんだけど」
蓮介「お、おい!ここ僕の部屋!漏らすな!!!」
花音「だ、だって...怖すぎて...」
蓮介「い、今タオル持ってくる!」
筆者「どうも。筆者です。この度はこのSSを閲読してくださり、誠にありがとうございます。さて、このSS、いかかでしたでしょうか。かなり短いですよね。深夜に勢いで書いたので...。つまらない?刺激が足りない?花音ちゃんぺろぺろ?はっはっはっ。実はこのSSで使用した事件は全てフィクションです。明治時代初期の入間県ではそのような物騒な事件は起きていません。まあ一部フィクションと書きましたからね。この事件はフィクションです。ですが...。2018年現在、目まぐるしい発展を遂げた科学技術ですが、その現代の科学技術を用いても証明できないこと、沢山ありませんか?私はあった方が、きっと楽しい世界になると思いますよ。ではまたどこかでお会いしましょう。お元気で」
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