2019-02-01 08:59:19 更新

 もうあの日々が遥か遠くのことのように感じる。


黄金時代とも呼べるし、暗黒時代とも呼べる。


少なくとも今となっては。


 僕は今3号車に乗っている。


ここから遠く離れた場所を目指して、特急電車に乗り込んだ。


今まで幾度となく走り回ってきた。


苦悶することにはいつまで経っても慣れない。


それでも砂時計は時を刻む。


いつか救われる日が来るのか。


それとも僕にはそんな資格はないのか。


特急電車は加速していく。


車窓から満開のゴジアオイが見られる。


僕は意味もなく笑った。


声を出すわけでもなく。


隣に座って、ただ僕が笑うのを見ている人にこんな意味のことを言ったと思う。


"僕みたいな人間はどこまで行っても満たされないのさ。自分でも何をすれば満足するのかわかっていない。だから、僕みたいにならないことだね"


教訓紛いの腐った言葉を吐き捨てた。


そろそろ隣人の降車駅だ。


彼女はまだ途中下車しなければいけない。


僕といえばーー。


 車掌さんが切符を確認しに来た。


そろそろ終点が近い。


僕の他には誰も乗っていない様子だった。


身支度を始める。


 終点に着いた。


駅の周りは一面満開のヒガンバナで埋め尽くされていて、一本奥の方へ続いている道が視認できる。


駅員さんは切符を貰うと、改札鋏で切った。


駅員さんは穏やかに微笑んだ。


僕は最終目的地へと歩き出した。


後書き

こんにちは。お久しぶりです。最近冷えますね。末端冷え性なので辛いところです。では、また次回作でお会いしましょう。


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