特急電車
もうあの日々が遥か遠くのことのように感じる。
黄金時代とも呼べるし、暗黒時代とも呼べる。
少なくとも今となっては。
僕は今3号車に乗っている。
ここから遠く離れた場所を目指して、特急電車に乗り込んだ。
今まで幾度となく走り回ってきた。
苦悶することにはいつまで経っても慣れない。
それでも砂時計は時を刻む。
いつか救われる日が来るのか。
それとも僕にはそんな資格はないのか。
特急電車は加速していく。
車窓から満開のゴジアオイが見られる。
僕は意味もなく笑った。
声を出すわけでもなく。
隣に座って、ただ僕が笑うのを見ている人にこんな意味のことを言ったと思う。
"僕みたいな人間はどこまで行っても満たされないのさ。自分でも何をすれば満足するのかわかっていない。だから、僕みたいにならないことだね"
教訓紛いの腐った言葉を吐き捨てた。
そろそろ隣人の降車駅だ。
彼女はまだ途中下車しなければいけない。
僕といえばーー。
車掌さんが切符を確認しに来た。
そろそろ終点が近い。
僕の他には誰も乗っていない様子だった。
身支度を始める。
終点に着いた。
駅の周りは一面満開のヒガンバナで埋め尽くされていて、一本奥の方へ続いている道が視認できる。
駅員さんは切符を貰うと、改札鋏で切った。
駅員さんは穏やかに微笑んだ。
僕は最終目的地へと歩き出した。
こんにちは。お久しぶりです。最近冷えますね。末端冷え性なので辛いところです。では、また次回作でお会いしましょう。
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