怖い話その弐
題材が題材なだけにあまり快く思われない方がいるかもしれないです。ご注意ください。1944年の出来事が登場します。
花音「怖い話して」
蓮介「ちょっと何言ってるかわからない」
花音「Dis-moi des histoires terribles」
蓮介「言語が理解できなかったわけではねえよ。フラ語で言ってくんな」
花音「あ、そう?」
蓮介「発音上手なのがムカつく」
花音「Tu ne peux pas prononcer comme moi」
蓮介「フラ語やめろ。ボケが知的すぎて誰にも伝わらないからやめろ」
花音「ほら、さっさと怖い話して」
蓮介「ちょっと何言ってるかわからない」
花音「えー、渋〇で股開くよ?」
蓮介「こ、怖い話だな!そ、そうだな!」
蓮介「じゃあ今日は僕の先輩の話だ」
これは去年の11月頃の話だ。
先輩はりんごの携帯ではなく、ロボットの携帯を使っていたんだ。
ロボット携帯の特徴は、全て自分で設定しなければいけないということだ。
りんごのように最初から全てがセットアップされているわけではないんだ。
当然、PCに使うようなウイルス対策ソフトも導入しなければいけない。
勿論その先輩も導入していた。
けれど、ある日気がついたんだ。
先輩の携帯に不気味な画像が数百枚入っていた。
携帯の本体に内蔵されているアルバムというアプリには表示されないのに、本体の中にはしっかりそのデータがあった。
どれもデータが破損しているのだろうか。
何も映っていない。
先輩は気味悪がったが、ロボット携帯ではそういうことは珍しくない。
しかし、先輩は素直にそれらの画像を消去しなかった。
画像データを解析したのだ。
解析といっても、インターネットに転がっているようなフリーソフトで行ったから、大したことはできなかったそうだ。
そして解析していった。
案の定データは破損していて、元の画像を見ることはできなかった。
ただ、普通画像データが破損しても、破損する前のデータがあるはずなのだ。
なのにその画像データには元の画像データが入っていなかった。
それすら破損しているのだと思ったが、メモ帳にその画像データを文字列にして表示させた。
PCは0と1の世界だ。
そしてどのデータにも必ずその0と1が関わっている。
もっとも、その0と1はモニターに出力されるときに人間にもわかるように人間界の文字に変換される。
画像データにも、動画データにも、文字列があるはずなのだ。
その画像を表示するための文字列が。
それを出した。
先輩は凍りついた。
元々その先輩はホラーとか不気味なものとかには耐性があったんだが、それでも凍りついたらしい。
その画像データは、全て音声データだった。
つまり、そのデータには何者かの音声が収録されている、ということになる。
そんなバカなことがあるかと思った。
音声データが画像データとして表示されるなんてありえない。
普通はありえない。
だが、数百枚の内、数十枚だけ音声データが残っているものがあった。
先輩は恐る恐る再生した。
やはり破損しているのか。
数秒経っても何も聴こえない。
先輩が安堵した瞬間...。
何か飛翔体の音と大きな爆発音が鳴り響いた。
人の音声は入っていなかったが、ただ只管爆発音が鳴り響く。
爆発というか、空襲だろうか。
これは後でわかったことだが、その画像の位置情報が昔防空壕のあった場所だったそうだ。
その後、何回も再度再生しようとしたが、再生されなかった。
先輩はその画像データを削除した。
その直後に携帯の機種をりんご携帯に変えたそうだ。
一体なぜ先輩の携帯にそんなデータが入ったのか。
そういえば、その画像が保存された日付が12月27日だったそうだ。
その日はその先輩が訪れた場所で...。
蓮介「っていう話なんだけど」
花音「やば、こわ、えろ」
蓮介「よしそうだな。病院行ってこい」
花音「ひどい!」
今作は僕の実体験を基に作りました。久しぶりに背筋が寒くなりました。では、また次回作でお会いしましょう。追記:これには一部フィクションが含まれます。実際は不気味な画像が携帯に入っていて、それが音声データだっただけの話です。その音声データからは何も聴こえませんでした。
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