孌童
ある日の午の刻のことだった。
彼はキサラギ街道を散歩していた。
彼がこの街道を散歩すると、必ず僕も姿を現した。
僕は今の生活に不満はない。
幸せな生活だと信じている。
けれど彼はいつも悲しそうな表情を僕に見せつける。
僕が拒絶しても追走することを決して止めない表情。
薄気味悪い。
気分が優れない。
僕は地縛霊のようなあの表情に引き寄せられるように毎日散歩した。
助けて欲しい。
逃げ出したい。
でも、そんなことは許されない。
毎日付きまとうあの表情を完全否定してはいけない気がした。
「僕はあの傍観者どもにサラダをご馳走したんだ」
「言葉たちが野原を駆け回って幸せそうにしているサラダを」
何を言っているのか皆目見当もつかない。
「僕は君の証明だ」
「表情を拒否することは許されないよ」
理解できない語群を羅列されている。
逃げ出したい。
なのに足が動かない。
体が動かない。
まるで全身麻酔でもされたように動かない。
意識が鮮明でありながら、筋肉だけ固まったように動かない。
僕の証明?
何を言っている。
まるで僕を見透かしているような語調だ。
君にはレンドウになってもらう。
僕は君の証明だ。
ならば君は彼のレンドウでいなければならない。
君に託すよ。
そろそろ完結します。僕はガキ使を毎年見ますが、あなたもですか?では、また次回のパートでお会いできるのを期待しています。
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