「元提督が再着任することに・・・」
村雨と一緒に店で働いていた元提督に「再着任依頼書」が届き・・・
たくさんの仲間たちが集うほのぼの長編ストーリー(の予定)。
一部、他ゲームキャラが出てきます。
主要キャラ、
提督:元提督・・・だったが、空いた鎮守府に再着任依頼を要請され、再び提督業に従事する。
村雨:元提督の奥さん、提督は鎮守府で村雨は引き続き店で働いている。
朝潮:元提督が着任する鎮守府の秘書艦。礼儀正しく真面目で命令に忠実。
ベルファスト:通称メイドさん・ベルさん(長い名前のため)、鎮守府内の清掃・調理・洗濯等の
期間従業員(メイド)、冷静であまり感情を出さないが、朝潮とはよく話をする。
キャラがたくさん出てくる模様。
店に届いた1通の手紙・・・中には、
「”再着任許可書”?」
とその他に説明文が。
「・・・・・・」
提督は内容を読んでいく。
「鎮守府が1つ空いていて・・・立地と環境の問題で着任予定者が決まらず・・・貴君の再着任を希望したい?」
内容を読む限り、相当切羽詰まっているようで早急な返答が必要のようだ。
・・・・・・
・・・
・
「・・・と言うわけなんだけど、村雨はどう思う?」
「どう思うって言われても、提督が決める事ですよ。」
夕食を食べながら鎮守府着任の話をする2人。
「私はこの店を続けて行きますので、提督は本営からの要請通り鎮守府に戻って下さい。」
「本当に大丈夫? 1人で営業できるの?」
「頑張って見ます、もし忙しかったら海風やサラトガさんを呼びますから~♪」
「そうか、じゃあ明日にでも鎮守府に行ってくるね。」
提督は鎮守府に着任することを決意、明日に向けての準備を行う。
・・・・・・
「ここか・・・」
着いた場所は、草木が生い茂ており、扉を開けた瞬間に大量の埃が舞う。
「・・・・・・」
「誰も着任しないわけだ。」と納得する提督。
執務室に着いて、
「ははは・・・」
見渡す限り、埃が盛っていて天井はクモの巣だらけ、一瞬床にゴキブリが走る光景が・・・
「・・・とは言っても、この鎮守府の場所、白露や他の人間たちのいる鎮守府の・・・ちょうど中心辺りか。」
地図で確認すると、立地条件は悪くないはずなのだが。
「とりあえず、今日はゆっくりして、掃除は明日から始めよう。」
提督は荷物を持って部屋へと向かう。
・・・・・・
「そう言えば、艦娘はどうすればいいんだろう?」
鎮守府に着任したまではいい、艦娘たちの着任はどうするのか?
「もしもし、本営ですか? 聞きたいことが・・・」
念のため、本営に連絡をしてみたのだが・・・予想通りの報告が、
”貴君が好きな様に、勝手に戦力を整えてくれ”
「成程、だから放棄されたわけね。」
結論を言うと、本営は最初から提督の戦果を期待していたわけではなく、空いた鎮守府を放置していては
維持費が掛かったり、今後の評価等に影響をもたらすため、適当でもいいから提督の着任を要請させたらしい。
「じゃあ、艦娘たちはオレが勧誘しないといけないわけか。」
確信した提督は数枚の紙を用意して、
”ただいま鎮守府に艦娘募集中”
”着任時点で初回給料半年分”
”食事は料亭並みの食事を提供”
等、良質な条件の着任条件を書いて行く提督。
「よし、これでいいだろう。」
書き終えた後、数100枚をコピーし、各鎮守府名を書きポストに入れて行く。
・・・・・・
1週間後、
提督の努力も空しく、艦娘は誰1人来ない。
「おかしいな、オレのやり方が間違っていたか?」
仕方がなく、もう一度書き直す提督。
”着任時初回給料1年分即支払い”
”食事は高級料理店並みを提供”
かなりハイグレードな優遇を付けた後、またポストに入れて着任を待つ提督。
・・・・・・
更に1週間が経過。
艦娘は・・・誰1人来ない。
「村雨~、誰も来ないんだよ~。」
話し相手がいなく、仕方がなく嫁に電話をする提督。
「はぁ~、仕方がありませんね。 白露や時雨に行けるか連絡してみます。」
「おおっ、そうか! 助かるよ!」
村雨が白露のいる鎮守府に連絡を入れてくれるそうだ。
「じゃあ少し待つか。」
そう思い、窓の外を見る提督。
「・・・・・・」
着任の事しか頭に無かった為、肝心の鎮守府内の手入れを忘れていた提督。
「誰かが来るまで掃除でもしておくか、この状態では確かに誰も寄り付かないだろうな。」
そう思って、外に出て手入れを始める提督。
「それにしても・・・」
掃除をしつつ、提督は気づく。
「この鎮守府・・・規模が大きいな。」
昔いた鎮守府と違い、この規模なら軽く500人は入るスペースだ。
「規模が大きい分、掃除や手入れが大変だ・・・掃除屋か便利屋とか別の業者を頼むか。」
提督は考える、そして思いついたのは、
「そうだ、メイドとかどうだろう? 掃除や調理のプロと聞くし・・・それに見合う給料を出せばいいんだし、
ちょっと募集してみるか。」
提督は持って来たPCで検索すると、
「おっ、ちょうどメイドが数人募集しているな。」
提督は今出張可能なメイドを検索していき、
「よし、この子がいいかな。 ”常に忠実で余計な感情を抱かないその仕事振りはメイドそのもの”、うん、この子に決めた!」
決心して要請をクリックする。
「よし、後は来るのを待つだけだ。」
掃除と仕事をある程度終わって、テレビをつける提督。
「何々、最近野菜や果物の高騰・・・貿易品も台風や敵の襲撃で欠航が相次ぎ不足がちかぁ。」
最近のニュースでは、食品や物価の価格が急上昇しているらしい。
「まぁ、その点ここでは気にする必要は無いんだけどね~。」
そう言って、昼間だと言うのに床に着き始める提督。
・・・・・・
「提督・・・提督。」
「う~ん・・・何だ、寝てしまったか。」
誰かに起こされて目覚める提督。
「・・・おや、時雨じゃないか? どうした?」
目の前には時雨がいた、村雨が連絡を入れてくれたのだろう。
「どうしたも何も、昼間に寝てていいのかい?」
時雨の質問に、
「本当は駄目だけど、艦娘が誰もいないからそもそも編成が出来ないんだよねぇ~。」
相変わらずのマイペースで答える提督。
「はぁ~・・・気持ちは分からなくもないけど、鎮守府の長がこんな調子じゃあ誰も来ないよ。」
最もな意見である。
「それはそうと、時雨は何故ここに? もしかして着任希望とか?」
「違うよ、村雨から提督が再着任したって言うから様子を見に来ただけだよ。」
「何だ、期待したのに・・・」
提督は「はぁ~」とため息をつく。
「どうすれば、着任してくれるかなぁ~?」
提督が考えていると、
「正直言って着任は難しいと思うよ。各艦娘たちの居場所は決まっているし、いくら待遇が良くても
今の場所を選ぶ方が多いと思うよ。」
時雨が答える。
「成程、確かになぁ~。」
提督が再び考えていると、
「せめてシフト制とかなら来ると思うけどね。」
「? シフト制?」
「うん、着任じゃなくて週数回の何時から何時までの条件で来てもらうとかの方がいいんじゃない?」
「・・・・・・」
時雨にしては珍しく、名案を言う。
「成程、それはいい案だ! 早速やって見るか!」
そうと決まったら提督の行動は早い、提督は紙を用意して宣伝を書き始める。
「それじゃあ僕は行くね、また時間が合ったら寄るから。」
そう言って、時雨は鎮守府から出て行った。
・・・・・・
「ここですか・・・」
鎮守府に1人の女性がやって来る。
「・・・・・・」
見渡す限り、草木や雑草が生い茂っていて、
「これはこれは・・・掃除のやり甲斐がありますね。」
女性は荷物を持って鎮守府内に入っていく。
「失礼します。」
執務室に女性が入ってくる。
「おや、メイド服? もしかしてPCで依頼したメイドかな?」
「はい、この度はご指名ありがとうございます! 選んで頂いた以上はご期待に沿えるように尽くして行く限りです!」
メイド服の女性は深々と礼をする。
・・・・・・
「私の希望額は、月にこの金額で構いません。」
「えっ、これだけでいいの? チラシにも書いたけど、初回は1年分の給料を出すけど?」
「勿体ないお言葉です、ですが鎮守府の長たるもの、部下に対してそんな無駄遣いするのはいかがなものかと?」
「いや、掃除と給仕に洗濯も全部やってくれるんでしょ? その割に希望額が少なくない?」
「構いません、後もう1つ要求したいことがあります。」
彼女のもう1つの要求、それは鎮守府内で働くため、食事と宿泊代、消耗品の免除の願いだった。
「いや、鎮守府で働くのだから当然の待遇だけど?」
「十分です、それでは今から鎮守府周りの掃除を行って参ります。」
そう言って、メイドは立ち上がる。
「申し遅れました、私はベルファストと申します、以後お見知りおきを!」
執務室から出て行くベルファスト。
「ほほぅ、中々頼もしいメイドだ。」
身の回りの事をベルファストに任せて仕事を再開する提督。
・・・・・・
それから数日後、
鎮守府に数人の艦娘がやって来る。
「チラシを見たんですけど、本当に着任すれば初回は1年分の給料が貰えるんですか?」
1人の艦娘が質問してきて、
「ああ、君の場合は駆逐艦だから着任した場合は・・・」
提督は計算していき、
「月に5万(鎮守府基準額)に着任待遇で食事と宿泊免除、1年分だから・・・来月に60万出すよ。」
「本当ですか!? では今日からでも着任要請します!」
2人の駆逐艦が即着任する。
「あの、チラシを見たのですが・・・」
今度は軽巡と重巡がやって来て、
「元々違う鎮守府で着任しているのですが、待遇が悪くその鎮守府に嫌気が差していて・・・
それでも辞めると解約金(いわゆる罰金)を払わなければ行けないんです、どうしたらいいでしょうか・・・」
どうやら切羽詰まっている状況のようで、
「無理に着任しなくていいよ、それにここは”シフト制”もやっているから。」
「? シフト制ですか?」
軽巡の子は首を傾げる。
「うん、週に数回時間制で、この鎮守府で仕事をしてもらうシフト制で、今いる鎮守府で時間が空いた時に
来てもらえば、それに合わせた給料を支払う条件にしている、そうだなぁ・・・」
提督はまたも計算して、
「君の場合は軽巡だから、もし1週間に3回来てもらって、5時間分の仕事をしてくれたら・・・
週末にこれだけの給料を手渡しするけど?」
艦娘に計算した金額を見せる。
「!? こんなに貰えるんですか!? 分かりました! 今いる鎮守府にはそのまま滞在して時間がある時に
この鎮守府へ来ます! 丁寧な説明ありがとうございました!」
こうして軽巡と重巡の子がシフト制着任を要望する。
・・・・・・
その頃、他の鎮守府でも、
「聞きましたか? 提督がまた鎮守府に着任したんだそうです。」
同じ鎮守府所属の翔鶴とサラトガが会話をしている。
「あら、本当ですか? またどうして?」
提督業を辞め店で働くようになった元提督がまた、鎮守府に戻ったことで驚くサラトガ。
「何でも本営からの特別要請らしいですよ。」
「そうなんですか、提督も大変ですね。」
しばしの2人の会話が続き、
「艦娘も提督が自ら招待しないと行けないようで、こんなチラシを配っているようなんです。」
そう言って、翔鶴はサラトガに着任希望が書かれたチラシを見せる。
「え~っと、ただいま艦娘たちの着任を急遽要請する・・・ふ~ん。」
サラトガは内容を読み続け、
「週何日・時間帯は要相談? ・・・これってまるでコンビニでのアルバイト募集みたいな書き方ですね。」
読みつつ笑いそうになるサラトガ。
「何々、今なら最優遇で初回で給料1年分支給・・・本当なの!?」
チラシに書いてある優遇条件を見て驚くサラトガ。
・・・・・・
20分後、サラトガは提督のいる鎮守府へと赴く。
「本当に初回は1年分のお給料を頂けるのですか?」
あまりにいい待遇に思わず飛びつくサラトガ。
「ああ、間違いないよ。 ちなみにサラトガの場合は・・・」
提督は電卓を持って計算し始める。
「空母の基本給料は15万(鎮守府規定額)に12か月分だから来月には180万出す計算になるね。」
何の躊躇いも無く答える提督。
「1か月で180万って凄くないですか!? そんなに出して大丈夫なのですか!?」
サラトガの質問に、
「うん、でも1か月サボらずきちんと働くこと。 週何回のシフト制でなく1か月(休み含む)
きっちり働いてもらうのが条件だよ。」
提督の言葉に、
「それでも、十分過ぎる金額だと思います。」
一瞬この鎮守府に異動しようかと本気で悩むサラトガ。
「ちなみにサラは料理を作るの上手いでしょ? だったら食堂の給仕担当でも構わないよ。」
「? 給仕ですか?」
「うん、今この鎮守府には”メイド”が1人いるんだけど、彼女1人じゃ大変だろうから。
サラや翔鶴のように食事が作れる人材も探している所なんだ。」
提督の言葉に、
「そうですか・・・うむむ、どうせなら1か月間働いて1年分の給料を貰おうと考えていたのですが・・・」
サラは少しがっかりしつつ、
「今の鎮守府から離れるわけにも行かないので、悔しいですがシフト制で週に数回、この鎮守府に給仕として
サラを雇っていただけませんか?」
サラトガの願いに、
「ああ、助かるよ。 じゃあサラの希望日数と可能な時間帯を、この書類に書いて行って。」
そう言って、サラトガに契約書を渡す提督。
・・・・・・
それから1か月後、
「最初はどうなることやらと思ったけど。」
提督の表情は明るく、
「シフト制が多いけど、何とか4編成分の艦娘の確保に成功、これで出撃と遠征が出来るぞ!」
そう言って、今日行う出撃と遠征の編成を決めて行く提督。
「まずは高速修復材の確保したいから、長距離練習航海と対潜警戒任務に行かせて、と。」
第2艦隊と第3艦隊に遠征を指示を出す提督。
「第4艦隊には昔のやり方と同じで、長時間遠征としてそうだな・・・東京急行でも頼もうかな。」
そう言って、第4艦隊を再編成して遠征に行かせる提督。
「出撃はと・・・最近、※”海域が新たに変わった”ようでいつもと違う編成で行かないといけないとか、
同期の提督が言っていたような気がする。」
※艦これがアップデートで第2期になった事を言っている。
「まぁ、取り敢えずは駆逐艦が数隻いるから最初のエリアは何とかなるだろう。」
何の焦りすらなく、駆逐艦編成を整えると出撃を命令、駆逐艦たちはそれに従った。
・・・・・・
「遠征無事完了しました!」
「提督、最初のエリアは無事制圧! 味方は軽い損傷で済みました!」
出撃と遠征組が帰還する。
「ありがとう、お疲れ様。 損傷を受けた者は入渠してくれ。 そして遠征から帰還した者は第2倉庫に備蓄。
旗艦は次の新海域出撃の準備と敵情報を報告してくれ!」
店にいた時の提督はのんびりでマイペースな態度だったが、鎮守府に戻った瞬間に本来の業務に戻ったためか、
いかにも上官と言う風貌に逆戻りした。命令1つで艦娘の生死が決まる中、提督は普段より一層責任を持って
提督業を従事している。
・・・・・・
ある程度の戦力を確保し、本営から”イベント海域への出撃許可”を与えられ、初めてのイベントに挑もうとする提督。
「出撃難度が・・・甲・乙・丙・丁の4種類あるけど?」
本当に初めてのようで、どの難度を選べばいいか分からない様子、
「甲が一番難度が高くて報酬も豪華で、丁が初心者向け難度ですが、報酬は4種類の中で一番少なかったはずです。」
数々のイベント海域出撃経験を持っているのだろうか、駆逐艦である朝潮が丁寧に説明をしてくれた。
「成程、じゃあオレは今回が初めての出撃となるから・・・」
「そうですね、まずは初めてですので”丁”からやるのがよろしいかと。」
甲の挑戦をしていれば分かるが、途中で挫折してしまう他提督も少なくないのだが、
「よし、”甲”で挑もう!」
何と、初めてであるのにも関わらず迷うことなく”甲”を選ぶ提督、
「ちょっ、司令官! 本気ですか!?」
その場にいた朝潮は驚き、
「初心者だから”丁”なんてありがちな話でしょ? ならその逆を、”甲”を見事達成しよう!
なぁに、攻略が困難だったら難度を変えればいいんだし。」
「・・・わ、分かりました! この朝潮、司令官が行けと言うならいつでも行く覚悟です!!」
朝潮は若干の不安を抱えつつも、提督の”甲作戦海域”を実施する。
執務室から出て、廊下を歩く朝潮。
「どうしましょう、司令官は本当に知らないようです。」
朝潮はため息をつく。
「最初の海域は駆逐艦と軽巡の方で問題ないのですが・・・後半になると連合艦隊で戦艦や空母の方が
必要になると言うのに・・・」
今いる鎮守府の艦娘は約30人程だが、その中の9割が駆逐艦と軽巡で残りが重巡。
一体この戦力で提督は甲作戦を達成できるのだろうか・・・
・・・・・・
「最初の出撃海域は・・・ふむふむ、敵潜水艦主体のエリアか・・・」
すぐに提督は編成を始める、
「出撃条件に”戦艦・空母不可”となっているから駆逐艦と軽巡でこの海域を攻略しよう!」
最も、まだ戦艦と空母は1人もいない(サラトガ除く)からな。」
提督は苦笑いしつつ、編成を決める。
旗艦を朝潮にし、後続に川内や他駆逐艦を投入する提督。
「皆、このソナーと爆雷を装備するんだ!」
そう言って、皆の前に出されたのは無数のソナーと爆雷。
「司令官! 一体この量は何ですか!?」
全員に装備しても有り余るほどの量の武器、いつこんな量を揃えたのか?
「昨日、川内と五十鈴に頼んでソナーと爆雷レシピを約1000回程、回したんだけど?」
「せ、せ、1000回ですか!?」
朝潮は驚く。
「そんなに使っては資材がすぐに枯渇してしまいますよ!」
朝潮にしては珍しく、提督に意見具申する。
「大丈夫! 事前に資材を貯めて開発を行っている、まだ備蓄庫には有り余るほどの量が残っているから(笑)」
提督は笑う。
「・・・・・・」
朝潮は驚き、そして呆れる。
「よし、全員枠に装備したな? それでは、出撃! 敵潜水艦を1匹残らず駆逐するんだ!!」
先程までのんびりな口調から一変、いかにも上官らしい態度になり皆が思わず「了解!」と叫ぶほど。
・・・・・・
朝潮含む第1艦隊が帰還、結果は勝利で、道中とボス潜水艦を余裕で撃沈させた。
「おめでとうございます、司令官! こちらが甲報酬になります!」
ボスを撃破した後、獲得した報酬を提督に渡す朝潮。
「おおっ、ありがとう! よし、損傷した者はすぐに入渠、それ以外の者は休憩した後、
食堂で夕食を摂ってくれ。」
提督の指示で各員、散開した。
・・・・・・
「さてさて、今度は次のエリアと。」
事前に同期の提督から教えて貰った、艦種編成を見直す。
「何々・・・このエリアには戦艦と空母が必要・・・おやおや。」
提督は悩む。
「空母はサラトガでいいとして、戦艦が・・・1人もいないか。」
出撃に必要な艦種が不足していた、それに対して提督が、
「イベント終了まで、まだ日数がある。 それまでに戦艦と空母を着任させないと!」
そう言って、再び執務室で戻り、いつものように今日の執務を再開する提督。
・・・・・・
イベント終了まで後1週間を切ったが、
「困ったなぁ、空母と戦艦が集まらない。」
一応同僚から、編成を聞いて見たところ、
連合艦隊で第1艦隊が戦艦(低速)1、空母1、重巡1、軽巡1、駆逐2で
第2艦隊が軽巡2(雷巡でも可)、駆逐4(ドラム缶必須)との事。
「第2編成は何とかなるけど・・・第1艦隊はほとんど無理に近いなぁ。」
提督がいる鎮守府はシフト制が可能な待遇であるため、今鎮守府に滞在している艦娘は14人。
その内軽巡は4人、駆逐艦が10人である。
「遠征も行かせたいから、長距離か対潜で各4人は回すから実質第2編成分しかいない。」
甲作戦を達成したかった提督がまさかの艦娘不足で出撃できないのだから情けない・・・
「仕方がない、村雨に頼もう!」
提督は苦渋の末、電話を取り村雨に連絡を入れる。
・・・・・・
その頃、村雨の店では、
「お待たせしました、チキンカレーになります(海風)」
「いらっしゃいませ~! こちらの席へどうぞ!(サラトガ)」
店が忙しく、女将さん1人では対応できなかったため、海風とサラトガが応援に来てくれていた。
「ありがとうございました~! ・・・ふぅ、何とか波は退いたかしら。」
店内は落ち着きを取り戻したため、休憩を兼ねて海風たちは夕食をご馳走になる。
「今日はありがとう! じゃあ2人には好きなメニューを奢ります♪」
「いいのですか? では、海風はこれを、お願いします。」
海風たちの注文を受ける中、
「ご苦労様、女将さん。 それに女将さんのお手伝いさんも。」
常連客のプリンツとライプツィヒ、ロドニーが飲みに来ていた。
「村雨ちゃん、サラにワインを下さい。」
「はいは~い、お待ちくださいね~♪」
そう言って、棚からワインを取ってコルク栓を開け始めていた最中、
店内の電話が鳴り、村雨は受話器を取る。
「もしもし~・・・あら、提督? どうされました?」
村雨は提督の話を聞くが、
「・・・いや、それはちょっと無理がありますよ! それに今、私は営業中ですし・・・」
村雨は提督の意見を聞いて困惑する、
「? どうしたのかしら、女将さん?」
ビールを飲みつつ不思議に思うプリンツ、
「指揮官さんに何か難しいお願いをされているんでしょうか?」
プリンツの隣で食事をしているライプツィヒも不思議に思っていて、
少し会話した後、村雨は受話器を戻した。
「何かあったのですか、女将さん?」
ロドニーが尋ねると、
「提督が今、イベント海域に挑戦中でして次の海域に必要な艦種が揃わなく、途方に暮れているようで、
「何とか揃えられない?」と要請が来たんです。」
「あらあら、それは急ですね。」
そう言って、ワインを飲むロドニー。
「提督も”もう期間が数日間しかない”と言っていましたが、こっちも営業中ですから・・・
せめて休日の日に頼んで欲しいのですが!」
村雨は不満そうに愚痴をこぼす。
「一体どの艦種が足りないのですか?」
サラトガの質問に、
「確か・・・戦艦(低速)1、空母1、重巡1、軽巡1、駆逐2と言っておりました・・・」
言い終えた村雨は何かに気付き、皆を見つめる。
「ど、どうしたんです? 女将さん?」
ライプツィヒは女将の真顔に不安になる。
「・・・・・・」
ロドニーさん、サラトガさん、プリンツさん、ライプツィヒさん、海風とそして私(村雨)・・・
ロドニー(ビッグ7で低速戦艦)、サラトガ(空母)、プリンツ(重巡)、ライプツィヒ(軽巡)、
海風と村雨(駆逐艦)・・・
気づいた村雨は皆に一言、
「お願いです! 提督を助けるためだと思って皆さんにお願いがあります!!」
村雨は頭を下げてお願いをする。
・・・・・・
「そろそろ着くころだけど・・・」
村雨から「何とか目途が立ちそうです!」との連絡を受け、待ち続ける提督。
「・・・おっ、村雨。」
執務室に村雨たちがやって来て、
「? おや、プリンツにロドニー、そして海風たちも・・・」
変わった並びに首を傾げる提督。
「これで艦種は揃っています! いつでも出撃可能ですよ!」
確かに、村雨の言う通り”艦種”だけで見るなら、条件が成り立っているが・・・
「うむむ、どうしよう。 艦種は間違っていないけど、艦娘以外の人間を入れていいものか・・・」
提督は少し悩むが、結局のところ、
「まぁいいか、間違ってないし。じゃあ各員艤装を装着して今すぐに海域への出撃だ!」
皆「了解!!」
村雨たちは出撃を開始する。
・・・・・・
「貴君の編成は一体どうなっているんだ!!」
提督が本営に出撃編成を報告するが、案の定、本営から苦情の連絡が入る。
「いや、”自分の好きな編成で構わない”と言ったのは本営側でしょ?」
提督は反論し、
「それは艦娘だけの編成に関してだ! 別の人間を入れろと言った覚えはない!!」
再び本営の反論に、
「彼女たちは艦娘たちと同じ”海で戦う戦士”だから、同じ扱いでいいのでは?」
両者一向に引けを取らない中、
「勝手にしろ! 問題が起きた時の責任は全て貴君が取って貰うぞ!!」
そう言って、電話を切られた。
「全く何言ってるんだか。単に責任取りたくないだけでしょ。」
本営の言い分はお見通しで、彼女たちの無事を祈りつつ、帰還を待ち続ける提督。
・・・・・・
「ただいま帰還しました~!」
旗艦の村雨が無事帰還する。
「おかえり~、皆お疲れ様!」
結果は勝利で、ボス海域を見事制圧。 甲作戦は無事に終了する。
「こちらが甲作戦の報酬になります!」
村雨から渡される豪華な報酬。
「ありがとう・・・戦闘詳報に改装設計図とカタパルト・・・中々豪勢な報酬だな~。」
提督は満足して報酬を備蓄する。
「損傷した者はすぐに入渠を! サラトガと海風は中破だな? すぐに入渠して! 村雨とライプツィヒは無傷に、
プリンツとロドニーは・・・!? 2人ともどうして体から炎が上がっているの!?」
提督は驚くが、当のプリンツたちは、
「どうしてって、私たち一応船だけど?」
※サラトガや海風の艦娘は損傷すると”服が破れる”が、プリンツやロドニーが損傷すると、”体から炎が吹き上がる”。
「とにかく、損傷した人間は4人だな? なら4人共今すぐ入渠場へ! 海風、2人も一緒に連れて行ってくれ!」
「分かりました、提督。どうぞこちらです。」
海風に案内されて、2人も入渠に向かう。
イベント海域攻略は見事達成、初めての挑戦は大成功である。
・・・・・・
イベント海域も無事終わり、12月になった頃、
「司令官! 今年のクリスマスの件でご相談があります!」
朝潮が執務室に入ると、
「!? 司令官! 一体何をしているのですか?」
朝潮が見た光景、提督がたくさんのケーキに囲まれ、その中のケーキにクリームを盛っている最中だ。
「少し待って、今ケーキにクリームを慎重にトッピングしているんだ。」
集中して1つ1つクリームをトッピングしていき、
「終わった・・・ああ、朝潮、どうした?」
提督の質問に、
「あ、あの・・・たくさんのケーキは一体どうしたのですか?」
「どうしたって、オレが作ったんだけど?」
「!? 司令官が作ったのですか!?」
「うん、これでも店ではデザート作り専門だったし。」
提督が最後にクリームを乗せて出来上がったケーキを含めると余裕で10個はある。
「いえ、クリスマスに向けてケーキやご馳走の発注の件でご相談をしたくて・・・」
「ふむ、ケーキはこれでいいとして、ご馳走はどうする? 朝潮や他の皆が食べたいと言うものを何個かリクエストして
発注でもしたらどう?」
「成程、それは名案です! 司令官、ご説明ありがとうございます!」
朝潮は早々に出て行く。
「大変だなぁ、秘書艦って。」
朝潮の働きに関心する提督。
・・・・・・
「司令官! 皆の意見を聞き、その中からいいと思われるご馳走を発注し終えました!」
「うむ、ご苦労様。 後はプレゼントだよね~。」
提督はしばし考え、
「よし、それじゃあ朝潮。 1人ずつにこの靴下と手紙を配ってくれ。」
「? 靴下と手紙をですか?」
「うん、この手紙にサンタさんからプレゼントして欲しい物を書いてもらうのと、寝る時に枕元に
この靴下を置くように伝えて。」
「は、はい! 分かりました。 あ、あの! 朝潮の分もありますか?」
「うん、その箱から1つずつ持って行ってくれ。」
「分かりました! それでは・・・引き続き書類整理、頑張って下さい!」
朝潮は手紙と靴下を配りに執務室から出て行く。
「朝潮は働き者だなぁ。」
「後でお菓子でも上げようか」と思いつつ、執務に取り組む提督。
・・・・・・
戦艦や空母のある程度着任することが出来た中、この日は皆の待ちに待ったクリスマス。
「皆、今年もご苦労だった! オレも再着任したばかりだったが皆のおかげで今年の目標は見事達成した。
この日のためにたくさんのケーキとたくさんのご馳走を用意しておいた、好きなだけ食べ、楽しんで行って欲しい!」
提督の挨拶つ同時にクラッカーが鳴らされ、食堂内は活気で溢れる。
「司令官、メリークリスマス!!」
朝潮が2人分のケーキを持って現れる。
「どうぞ、これは指揮官の分です!」
「おおっ、ありがとう。」
受け取ると朝潮と一緒に頬張る提督。
「はむっ・・・これは”オペラ”というケーキでしたっけ? 見た目も高級で味も、凄く贅沢ですね!」
「そうだろう? このケーキが一番作るのに時間が掛かったんだ。 何層にも積み重ねて崩れないように集中してね。」
会話をしている内に、
「朝潮、こんな所にいたの? ほら、皆が待ってるから早く来て!」
姉妹艦の満潮に呼ばれ、
「司令官、申し訳ありません! 朝潮は向こうに行って参ります!!」
そう言って、敬礼し満潮たちの元へ進んでいく。
「提督、メリークリスマス!」
空母のサラトガがワインを持って現れる。
「おおっ、今年もお疲れ様。」
サラからワインを受け取って飲み干す提督。
「ふふふ~♪ いい飲みっぷりです~♪ さぁさぁ、もう一杯どうぞ♪」
サラはどうやら出来上がっている様子。
「おいおい、まだ始まったばかりなのに、もう酔いつぶれたのか・・・」
サラが足がおぼつかないので肩を貸して椅子に座らせる。
「ありがとございます・・・サラぁ~、少し休みます。」
そう言って、寝息を立てるサラトガ。
「司令! 今年もお疲れ様です!」
今度は秋月が現れる。
「おおっ、お疲れ様ぁ~。」
「はむはむ・・・このケーキ美味しいです! なんて言う名前なんですか?」
秋月が食べているケーキ・・・それは普通のショートケーキ。
「クリスマスでしか食べた事無いんですけど、こんなに美味しいなんて・・・これって高級ケーキの部類なんでしょうか?」
今にも泣きそうに頬張る秋月の光景を見て、
「何て切ない・・・」と心を痛める提督。
その後も、提督と交流のあった艦娘たちとの挨拶を済ませ、今年のクリスマスも盛大に盛り上がった。
・・・・・・
「提督、お疲れ様です♪」
店に帰って、夫婦2人のクリスマスを始める提督。
「かなり酔ってますね・・・そんなに飲み過ぎたのですか?」
「うん、サラやビスマルクにガングートから渡されてね・・・」
最早提督にとって、2次会とも取れるクリスマスである。
「とりあえず、ワインは一杯のみにして・・・料理をください。」
村雨が用意してくれた各料理を美味しそうに頬張る提督を見て、
「ふふふ、頬張っている提督を見ると何だか子供みたいですね~♪」
村雨が楽しそうに見つめて来る、
「そ、そうかな?」
子供と言われて困惑する提督、
「はい、今すぐにでも食べてしまいたい位ですよ~♪」
やたら誘惑じみた発言をしてくる村雨に、
「はははっ、今日は村雨が狼に見えるね。」
いい意味でも悪い意味でも少し引いてしまう提督。
・・・・・・
「さてと、もう仕事をするか。」
深夜になって、大きな白い袋を持って提督は店から出る。
鎮守府に戻り、合い鍵を使って各部屋に入る。
「まずは朝潮、何々・・・クリスマスプレゼントは筆記用具ねぇ。」
事前に言った枕元の靴下に筆記用具を入れる提督。
「次は満潮・・・よし、大潮は・・これと。」
各皆の靴下にプレゼントを入れて行き、
「重巡摩耶は・・・ぬいぐるみって、結構可愛いところあるじゃん。」
「川内はと、冬服・・・いたって普通だな。」
「秋月は・・・お米券? サンタに商品券求める人間は初めてだな。」
それでも、事前に用意したプレゼントを次々に入れて行く提督。
「後は空母と戦艦・・・どれどれ。」
提督はプレゼント内容を確認、すると・・・
「ビスマルク・・・何も書いてない? ほほぅ、これは助かる(笑)」
「ガングート・・・駆逐艦って? 靴下に入らないだろう!」
空母と戦艦の要求がやたら適当で提督は次々にパスしていき、
「サラトガは・・・”来年も皆で元気に生活したい”って・・・う~ん、これってプレゼントではなく願い事だよなぁ~(汗)」
結局、空母と戦艦へのプレゼントのほとんどが却下と言う形になる。
「終わったぁ~、もう疲れた・・・店に戻ってゆっくり寝よう。」
今年最後のサプライズを無事終え、提督は店に帰って行った。
・・・・・・
クリスマスが終わり、後数日で年が変わる頃、
「ほらほら! 今年も後2日しかないぞ、掃除しろ掃除!」
提督が各皆に部屋の掃除を呼び掛けた。
「ご主人様、ご安心ください! 鎮守府の掃除ならこのベルファストが全て・・・」
「いやいや、大掃除は毎年決まった行事なんだ、メイドの君に全部やらせるのは申し訳ない。
君は自分の部屋と外回りの掃除だけをよろしく頼む。」
「・・・かしこまりました、掃除が行事とは、日本の風習は感慨深いものですね。」
そう言って、部屋に戻って行くメイドさん。
「あれ? 何で白露がここにいるんだ?」
よく見ると、掃除しているメンバーの中に白露型の人間がちらほら・・・
「おい、白露・時雨に夕立。いつからこの鎮守府に着任したんだ?」
提督の質問に、
「着任してないよ、掃除の手伝いに来ただけ。」
白露が言うには、自分の鎮守府の大掃除が終わったため、提督のいる鎮守府の掃除の手伝いに来たと事。
「それはそれは、白露にしては珍しい、ありがとうな。」
提督は白露の頭を撫でてあげる。
「えへへ~♪ さぁ皆、さっさと掃除を終わらせるよ!」
白露の号令で、時雨と夕立も残りの掃除に取り掛かる。
「よしよし、計算通り。 このまま提督の好感度を上げて行けば・・・うひひ~♪」
白露は何やら勝手に妄想し始める。
「? 何で1人で笑ってるっぽい~?」
夕立が不思議そうに見ていると、
「白露はね、自分の鎮守府からと提督からのお年玉が目当てなんだよ。」
時雨が説明して、
「あ~、何かせこいっぽい~。」
白露の悪だくみに夕立は呆れる。
「ほらほら2人とも! 何話なんかしているの! さっさと掃除掃除!!」
白露が再び号令を掛ける。
「何だよ、白露はただ指示しているだけじゃん!」
「ぽい~、夕立たちにはお年玉は貰えるっぽい~?」
何の確証もないため、2人は渋々掃除を手伝う事に・・・
「まぁ、白露の事だから分かってはいたけどね。」
提督には全てお見通しである。
・・・・・・
大掃除が終わり、各員遠征を行い、提督は朝潮と残りの書類整理を早急に済ませる、
時間が経つのが早く、あっという間に最後の日のカウントダウンが過ぎた。
この鎮守府も無事に年を越して、新年を迎えた。
「司令官!! 新年明けましておめでとうございます!!」
秘書官の朝潮が着物を着て挨拶に来る。
「明けましておめでとう、ふぁ~あ・・・眠い~。」
提督は大きな欠伸をする。
「ど、どうしたのですか!? 徹夜でもしたのですか?」
「うん、今日に向けてのおせちと餅を用意してたら深夜まで掛かって・・・」
提督の側には鎮守府全員分のおせちと山に積まれた餅が・・・
「朝潮に声を掛けて貰えばすぐに駆け付けましたのに!」
申し訳なさそうに気遣う朝潮に、
「大丈夫、メイドさんが一緒に手伝ってくれたから。」
「メイドさん? ベルさんの事ですか?」
朝潮はベルファストの事を”ベルさん”と呼ぶ。
「うん、彼女も流石に眠かったらしく「今日はゆっくり部屋で休ませてもらいます」だって。」
「そうですか。」
「それじゃあ、このおせちと料理を皆で食堂へ持って行って、司会は朝潮で頼むよ。」
「は、はい! この朝潮、司令官の代わりに司会をやらせていただきます!!」
そう言うと、姉妹艦を連れて一緒におせち等を運んで行く。
・・・・・・
「今、司令官は休養中ですので、代わりに秘書艦の私が乾杯を取りたいと思います、
それでは皆さん、今年も何の問題なく生活できることを願って、乾杯!!」
皆「乾杯!!」
朝潮の号令で一斉に盛り上がる。
朝潮たちが鎮守府で盛り上がっている中、提督は店に戻っていた。
「提督ぅ~、もう寝るんですか? 一緒に初詣に行きませんか?」
既に着物を着た村雨が待っていて、
「ふぁ~あ・・・よ、よし。 着替えるから待ってて。」
すぐに着替えを済ませて、出る準備をする提督。
「お賽銭箱に100円を入・れ・て♪」
2人で手を叩いてお祈りをする。
「今年も無事に提督と幸せな生活が送れますように。」
「今年も無事に村雨や皆と普段と変わらない生活が送れますように。」
お祈り後は、少し寄り道しておみくじを引いて見る。
「村雨は~・・・大吉です! 今日は運がいいです♪」
「そうか、残念ながらオレは凶だ、あちゃー。」
「何か良からぬ事でも起きるなぁ~」と思いつつ、店に戻る。
・・・・・・
「提督いる~?」
新年早々、元気いっぱいの白露が店にやって来る。
「提督! 明けましておめでとう!!」
「ああ、明けましておめでとう。」
提督はまだ眠たそうだ、
「提督、明けましておめでとう。」
「提督さん、明けましておめでとうっぽい~♪」
「司令官! それに村雨姉さん! 明けましておめでとうございます!」
側には時雨と夕立・春雨もいて、
「おっ、皆。 明けましておめでとう。」
ようやく提督の目が覚め、
「て・い・と・く、それじゃあ、はいっ♪」
白露は何故か手を前に出す。
「? 何だ、その手は?」
「何って・・・分かるでしょ、お年玉~頂戴!」
「・・・・・・」
「お年玉~♪ 早く、お・と・し・だ・ま♪」
待ち侘びている白露に提督は一言、
「残念、今年は白露には無いんだ。」
提督から発せられた驚くべき一言。
「!? な、何で!?」
納得が行かず提督に詰め寄る。
「いや、村雨がね・・・「私はいいです、もう子供ではないので。」と言ってね。」
「・・・それで? 村雨がいらないのがどうして白露には無いの?」
「だって、白露は村雨のお姉さんでしょ?」
「? うん。」
「妹が「いらない」って言っているのに、お姉ちゃんが「頂戴」って言うのは姉としてどうなの?」
「ううっ・・・それは。」
「だろう? だから、今年は白露と時雨にはお年玉は無しね。」
「!? ぼ、僕も無いの!?」
時雨も驚き、
「うん、だって白露・時雨・村雨だから・・・時雨はちょうど中央の姉でしょ?」
「・・・・・・」
「夕立と春雨は妹だからあるぞ、ほら、夕立。 ほれ、春雨。」
そう言って、提督は2人に大入袋を渡す。
「わぁ~い、提督さんありがとうっぽい~♪」
「春雨にも頂けるのですか? あ、ありがとうございます!!」
2人は大喜びだ。
「ううっ・・・し、白露のお年玉ぁ(泣)」
「僕はあまり期待してなかったけど、そうか・・・お年玉無しか(しょんぼり)」
2人は落ち込む。
「でも・・・大掃除の時に手伝いに来てくれた事は感謝してるよ、だからほら、報酬ね。」
そう言って、白露と時雨にバイト代として封筒を渡す。
「!? わ~い! バイト代が貰えたぁ~!」
さっきまで落ち込んでいた白露が急に元気になり、
「!? 僕にもくれるのかい!? あ、ありがとう!!」
時雨も立ち直り、元気になる。
「提督さん、夕立のバイト代は?」
お年玉を貰っておきながらバイト代まで貰おうとする夕立に、
「その大入り袋にバイト代とお年玉の両方を入れて置いたから(嘘)」
「本当? 嬉しいっぽい~♪」
全く疑いもせずに夕立は皆と一緒に帰って行った。
・・・・・・
3が日も終わり、提督は鎮守府に戻って執務をこなし始める。
「司令官! 今年も頑張って行きましょう!」
秘書艦朝潮はいつでも元気だ。
「ほら朝潮、1日は店に戻っていたから渡せなかったけど、お年玉ね。」
そう言って、持っている中の1つの大入袋を渡す。
「あ、朝潮に頂けるのですか!? ありがとうございます!」
貰った途端に、朝潮の体がキラキラ化する。
「いつも秘書艦やって貰っているから、色を付けたからね。」
そう言っている内に、
「やっぱり・・・皆ぁ~! 司令官が帰って来たわよ!」
姉妹艦の満潮が合図をすると、執務室に駆逐艦が群がり始めて、
「司令官、私たちにお年玉~!」
一斉に手を前に出す駆逐艦たち。
「・・・はいはい、じゃあ並んでね。」
予想していたようで、提督は1人ずつに大入袋を渡して行く。
「おやおや・・・一体これは何の騒ぎでしょう?」
メイドのベルさんが執務室にやってきました。
「提督からお年玉を貰ったの♪」
「? お年玉? ・・・玉を貰うのですか?」
メイドさんはお年玉と言うのを知らないようだ。
「違いますよ、ベルさん。 お年玉と言うのはですね・・・」
朝潮が簡易に説明する。
「成程、要するに新年に渡される”特別ボーナス”みたいなものですね。」
「・・・はい、そんなところです。」
メイドさんは納得する。
「ですが、それなら駆逐艦の方々だけではく、他の皆様にも渡すべきではないでしょうか?」
「うん、そのつもり・・・もちろん、君にもね。」
そう言って、ベルファストにも大入袋を差し出す。
「!? 私にも頂けるのですか!? 特別何かをしているわけでも無いのに?」
「・・・・・・」
いや、毎日の鎮守府内の掃除、食堂で給仕に各部屋の寝具の設置・・・
むしろ毎月特別手当を設けたい所なんだけど。
「・・・では、頂けるのであれば・・・このベルファスト、今年も身を粉にして働く所存でございます!」
メイドはモップを持って執務室から出て行く。
「・・・本当にメイドさんは働き者だなぁ。」
「もう少し休んで欲しいのだけど」の言葉をそっと胸にしまいつつ、執務仕事に励む提督。
・・・・・・
2月になり、この月は決まって女性陣は忙しい。
「さて、食堂に行って皆様の朝食の準備を致しますか・・・」
そう言って、ベルさんが食堂に入ると、
「!? み、皆さま! 一体どうしたのです!?」
食堂にはたくさんの艦娘が既に入っており、厨房では複数の艦娘が順番で何かを作っているようだ。
「・・・甘い香り、これは・・・チョコレートの香りでしょうか?」
厨房を覗くと、ハートの型に溶けたチョコを流し込む光景や、銀紙に丸チョコをトッピングしたり、
プレゼント箱を用意したりと様々だ。
「・・・皆さま、一体何をしているのでしょうか?」
ベルさんの質問に、
「あ、ベルさん! もうすぐ14日ですので各皆が司令官のためにバレンタインチョコを用意しているんです!」
「バレンタイン・・・ああ、成程!」
ベルさんは納得した様子。
「ですが、バレンタインチョコと言うのは”好きな男性に渡すもの”ではなかったでしょうか?」
「はい、ですが司令官には日ごろからお世話になっていますし、せめてもの感謝を込めて皆が喜んで
貰えるようにと、1人ずつ用意しているんです。」
そう言って、朝潮も箱に入れてリボンで結ぶ。
「・・・・・・」
日頃の感謝ですか・・・確かに、私もご主人様に何かで伝えたい気持ちはありますね。
「もう少し掛かりそうですね、その間に買い物に行って来ましょう。」
そう言って、ベルファストは買い物籠を持って鎮守府から出て行く。
・・・・・・
2月14日になり、
「はい、提督♪ 村雨からの、チョコレートですよ~♪」
「おおっ、ありがとう。」
村雨からチョコレートを受け取る提督。
「村雨のチョコは~甘くて、ちょっとだけ・・・苦いんです♪」
恒例の台詞を言い、
「うん、仕事が終わったら後でゆっくり頂くよ。」
そう言って、提督は出勤のため店から出る。
「司令官! 良ければ朝潮のチョコレート、受け取っていただけませんか?」
執務室に入るなり、秘書艦の朝潮からチョコレートを受け取る。
「ありがとう、後で美味しく頂くよ。」
そう言って、仕事を始める提督。
その後、時間が経つごとに、
「司令官・・・よ、良ければチョコレートあげる。(満潮)」
「司令官さん、チョコレート・・・どうぞ。(鳥海)」
「はいっ、サラからのチョコレート、召し上がって下さいね♪(サラトガ)」
昼になる頃には、机いっぱいにチョコレートが積まれた。
「はははっ、これはまた大量だな。」
苦笑いをしながら書類整理をこなす提督。
「おや? この箱は他の皆と違うなぁ、高級感漂っていて・・・誰からだろう?」
不思議そうに眺めている提督をよそに、
「少し目立ち過ぎたでしょうか・・・何分、チョコを渡すのは初めての行為なので。」
執務室外で様子を伺うメイドさんの姿があった。
・・・・・・
「ただいま~。」
夜になって、店に戻る。
「おかえりなさい~♪ あっ、そう言えば昼頃にプリンツさんとライプツィヒさん、白露たちから・・・」
村雨がカウンター下からごそごそと何かを取り出し、
「どうぞ、大量のチョコレート。 「提督に渡して欲しい」と頼まれました。」
「・・・・・・」
鎮守府で受け取ったチョコレートと店で預かった分のチョコレート、それらを全部含めると、
「はははっ、まるで山のようだな。」
チョコの山が出来て思わず苦笑いする提督。
「朝潮、この書類の確認を頼む(むぐむぐ)」
「はい、お任せください!」
「後(はむはむ)、今日の出撃編成と遠征の確認も(ぼりぼり)。」
「は、はい・・・」
「? どうした朝潮? オレの顔に何か付いているか(はむはむ)」
提督の質問に、
「司令官、いくらたくさんのチョコレートを貰ったからって、毎日食べる必要は無いのでは?」
「いや、来月までには食べとかないと行けないでしょ?」
書類整理をしている提督の横には山積みになったチョコレートの山が・・・
「昼食もチョコしか食べていないように見えるのですが?」
「うん、5日連続チョコのみだよ。」
「!? チョコだけですか!?」
流石の朝潮も動揺して、
「栄養不足で倒れてしまいます! 今すぐに食堂へ行きましょう!」
「いやいや、この書類今日までだから・・・」
「その前に倒れてしまいますよ!」
朝潮の声が室内に響き渡り、
「失礼します・・・騒がしいですね、廊下の外にまで聞こえてきたのですが?」
メイドのベルさんが執務室に入って来て、
「あ、ベルさん! 司令官を食堂へ連れて行ってください! 栄養失調で倒れそうなんです!」
「!? 何と! それは緊急事態ですね!」
今度はベルさんまで輪に入る始末。
「止めろ、オレは正常だ。 栄養失調でも体調が悪いわけでも無い!」
提督の意見も空しく、2人によって強制的に食堂に連れ込まれてしまう・・・
「あ~散々だ。」
食堂に着くなり、
机いっぱいに並ぶ食事を食べさせられて腹を抱える提督。
「さて、仕事仕事。(うぷっ)」
その日はチョコを食べることを禁じられた提督。
・・・・・・
「司令官、質問ですが・・・」
「おぅ、何だ?」
「どうして・・・チョコレートを半分残すのですか?」
チョコレートを提督は何故か必ず「半分」残して次のチョコを食べ始めている。
「うん、来月のお返し用に必要なの。」
「? 来月様に、ですか?」
確かに。来月はホワイトデーであるが・・・チョコを半分残すと言うのはどう言う事だろう?
「・・・・・・」
結局、提督の思惑が分からず秘書艦の仕事に戻った朝潮。
・・・・・・
翌月になり、
今度は提督がある意味、多忙な月である。
「さてと、半分残したチョコレートと・・・」
2月に艦娘たちから貰ったチョコレートの半分全てを用意していて、
「1週間分の書類整理を終えた所だし、これでゆっくりお返しに向けて専念出来るな。」
そう言って、1人食堂に籠る提督。
翌朝、
「失礼します!」
朝潮が執務室に入ってくる。
「・・・司令官?」
朝潮は見渡すが提督の姿が無く、
「どこに行ったのでしょう? まさか遅刻では無いですよね?」
そう思っていると、
「あ、ベルさん。 おはようございます。」
メイドのベルさんが入って来て、
「おはようございます、朝潮様。」
お互いに挨拶を済ませて、
「ベルさん、司令官を見ませんでしたか? まだ来ていないようでして。」
朝潮の質問に、
「ご主人様なら1週間分の書類整理を終えて、食堂に籠っていますよ。」
「!? 食堂に籠って? それに1週間分の書類を終えたって!?」
朝潮は動揺する。
「後、食堂を1週間進入禁止とのご主人様から指示が来ています。」
そう言って、メイドさんは掃除のために執務室から出て行く。
・・・・・・
1週間後、
「おはよう朝潮!」
執務室にいつもと同じように提督が座っていて、
「おはようございます、司令官!」
いつもどおりの挨拶を終えた後、執務仕事に励む2人。
「ほら朝潮、少し早いが。」
そう言って、朝潮に小さなプレゼント箱を差し出す提督。
「? 何でしょうか?」
受け取って首を傾げる朝潮。
「何って、チョコのお返しだよ?」
提督の言葉に、
「! お返しですか!? そんな、わざわざお返しを用意してるなんて・・・」
朝潮は驚くも、
「でも、とても嬉しいです! ありがとうございます、司令官!」
朝潮は笑顔でお礼を言う。
・・・・・・
ここは村雨の店、
「はい、お待ちどう様です♪」
来店したプリンツやロドニーたちに注文とは別の品を出す。
「? これは何かしら?」
見た目はチョコだが、ケーキとも言える食べ物。
「チョコフォンデュです、提督が皆さんのバレンタインデーのお返しにと♪」
「お返し? ああ・・・指揮官も律儀じゃない♪」
そう言って、フォークですくって口に含む、
「うん、これは美味しいわ♪ 中にブランデーが入っていて、口溶けも最高♪」
「んんっ、これは中々・・・高級感漂う1品ですね。」
プリンツとロドニーたちは気に入った様子。
「指揮官はデザートを作るのが得意なのかしら?」
プリンツの質問に、
「はいっ、提督は主にデザート作りをしていますよ♪」
村雨の言葉に、
「・・・これならあの方も満足しそうな気が・・・」
ロドニーが何故か急に考え込む、
「? どうしました、ロドニーさん?」
深く考え込むロドニーを見て不思議に感じる村雨。
・・・・・・
鎮守府の話に戻り、
「はいっ、ベルファスト。」
メイドさんにも、お返しとしてプレゼント箱を渡す。
「別に構わなかったのですが・・・ご主人様の御好意に感謝して、頂きましょう。」
深く礼をして執務室から出て行く。
「よし、後は皆に順に配って行こうかな。」
提督はたくさんのプレゼント箱を持って、執務室から出る。
「ふぅ~、大方掃除が終わりましたね。」
モップを持ちながら汗を拭うメイドさん。
「少し休憩にしましょう。」
そう言って、自分の部屋に戻って行く。
「ここに務めてもう半年ですか・・・時間が過ぎるのが早いですね。」
お気に入りに場所なのだろうか、鎮守府と海の中央に位置する丘の上で風に当たりながら読書をするメイドさん。
「では・・・ご主人様から頂いた”お返し”でもご賞味いたしましょうか。」
そう言って、プレゼント箱を開ける。
「あら、これは確か・・・チョコフォンデュでしたかね?」
ベルはフォークですくって口に運ぶ。
「んんっ・・・ふむ、チョコの量と言い、ブランデーの入れ加減・・・これは中々本格的ですね。」
プリンツたち同様、気に入ったご様子。
「まさか、”ご主人様が作った”わけでは無いですよね? いやいや、こんな本格的なデザートをまさか
作ったなんて言うはずも・・・」
何度も「まさかね・・・」と思いつつも、何故か気になるメイドさん。
・・・・・・
休憩後、鎮守府に戻り、
「何と! あのチョコフォンデュはご主人様お手製の物だったのですか!!?」
予想と違ってかなり驚くメイドさん、
「皆、”どこで買って来たの?”って言うんだよ~(汗)。オレが作ったなんて誰も信じてくれないんだよね。」
提督は苦笑いする。
「ご主人様はどこかのパティシエだったのですか?」
メイドさんの問いに、
「いやいや、独学だよ。 特別修行に入ったわけでも無いよ。」
提督は笑って返す。
「・・・ご主人様。」
メイドさんが急に改まり、
「もし・・・いえ、叶うならば是非、このメイドである私の願いを、聞き入れて欲しいのですが!!」
「な、何かな?(汗)」
メイドさんの真顔に若干引き気味の提督。
「成程~、そう言う事ね。」
提督は納得して、
「オレの力で満足できるか分からないけど、それで構わないのなら・・・君の願いを聞き入れるよ。」
「あ、ありがとうございますご主人様!」
メイドさんの願いを承諾する提督。
・・・・・・
4月の始まった時の事、
凄まじい話
ジャパン・ミリタリー・レビュー『月刊誌『軍事研究』12月号(11月1日発売)』
あれだけ揉めた『💀🇰🇷韓.国.🇰🇷💀の『済州島』で開催された『国際観艦式』における『海上自衛隊『旭日旗(軍艦旗)』問題』』に対する記載なし。
一文・一行・一文字もなし。
ジャパン・ミリタリー・レビュー『月刊誌『軍事研究』』
何処の国の雑誌かな?
🇰🇷の雑誌かな?(笑)
かが『頭に来ました。』
期待するんご
『艦これの熱心なファン』に朗報
NHKニュース(11月21日(水))
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『慰安婦財団』の『解散』を発表
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笑い事ではなく『日韓開戦』が現実味を帯びてきた。
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西暦2020年『東京🗼五輪』の時、💀🇰🇷.韓.国.🇰🇷💀は🍅『対馬』🍅を『侵略』してくる。
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訂正
気味→君達
ベルファストとはもしやアズレンですかな?(*`・ω・)ゞ
5さん、
はい、そうです。
一部のキャラが鎮守府や店に出現します。
韓国のやつ何処にでもいるからかまってニートちゃんと見た。5ちゃんねる行ってこいよクソニートw
🍅『対馬』🍅が危険