2020-03-17 03:30:04 更新

概要

駆逐艦提督が激戦を終えた後の話です


前書き

駆逐艦提督のその後の話なので、ネタバレが含まれます。こちらを読む前に、【駆逐艦提督と白露型】を先に読むことを推奨します。こちらはあまり長くはありませんが、読んでいただけると幸いです




駆逐艦提督とその後の話



あの激戦から半年、ここはラバウルの近くの暗い海の底…ここには1人の提督が眠っている。



~海の底~



………



提督「…!」ゴポ



微かに意識が戻った。ここは海の底か…?周りには珊瑚や魚が見える



提督「(そうだ…俺は沈んだんだった…)」



俺の人生は終わったが、結果的に叶わなかったことがある。父のことだ。母の言っていたことを確かめたかったが、結局叶わなかった



そしてまだ、白露達には感謝したくてもしきれない程のお返しがある。自分の中で成せなかったことが後悔に変わる



提督「(…もう一度だけ海の上に上がれるチャンスとかないかな…)」



だが、こんな体では上がれない。もう人間とは言えない体だからだ



提督「(…まだ…死にたくないって言ったら…おかしいかな…)」



?「いいえ…おかしくないわ…」



少しだけ声が聞こえた



提督「(今の声は…?)」



母「(私の息子…もう一度上に上がりたいの…?)」



提督「(この声…母さん…!どこに…)」



母「(今のあなたならもう一度海の上へ戻ることができるわ…私の血を取り入れたあなたなら…)」



提督「(でもこんな体じゃ…)」



母「(あなたの体は私が治します。あなたが本当に戻りたいという気持ちがあるなら…)」



提督「(母さん…いつも迷惑かけてごめん…俺もう一度上がって、アイツらに会いたい…!)」



母「(分かりました。あなたを上に送るわ…まだあなたを私の二の舞にさせたくないから…どうか生きて…)」



なくなっていた腕は元に戻り、肌の色も変わり、元の体へと戻っていった。そしてゆっくりと体が上へ浮き上がった



提督「(母さん…本当にありがとう…)」



~海~



提督「…あれ…」パチリ



気づいたらそこは海の上だった



提督「…夢じゃない…よな…?」



右腕もしっかり動いた。肌も人間と同じ色だし、左目もよく見える。体にあった毒もなくなっていると分かった



提督「あれ…でも左目…青色だ…」



海に映った自分の目は深海棲艦と同じ目をしていた



提督「さすがに母の血も混じっているってことか…まあいいか」



ゆっくりと立ち上がり辺りを見渡す



提督「ラバウル基地は…確かあっちだ」



まだ動かしづらい足をゆっくりと動かしながら、ラバウル基地へ向かった



駆逐艦提督と白露型



~ラバウル基地~



提督「…着いた…」



数日間かけて移動し、ようやくラバウル基地に到着した



提督「(誰かいるかな…いても俺がいることにまず驚くだろうな…)」



時間的には早朝なのでまだ寝ているかもしれない



提督「(今どのぐらい経っているんだ…?)」



ひとまず確認のため、いつもの執務室に向かった



~執務室~



提督「…あぁ懐かしいなぁ…」



その執務室は窓から光が差し込み、とても懐かしく、感動するものだった



提督「…半年も経っていたのか…」



カレンダーを見て認識した。ちょうど俺が着任して1年というところだろうか



提督「あ…これ…」



執務机の上に置かれていたのは俺が着任した頃の写真だった



提督「この頃のみんなはまだあまりきちんとした笑顔じゃなかったけど、いい顔してるな…」



執務机の隣には俺が使っていた刀も置かれていた



提督「ちゃんと残してくれてたんだ…」



すると、廊下から数人の足音が聞こえた



提督「(もしかして…!)」



はっきりと声も聞こえた。そう、いつもこの時間に聞くあの声だ



白露「今日は私がいっちばーん早く起きたね!」



時雨「確かに今日は珍しく早かったね。何かいいことでもあったのかい?」



白露「うん!今日は何かいいことが起こりそうな予感がするの!」



村雨「あらあら、それってどういうイイことか・し・ら?」



春雨「村雨姉さんそういうのはいけません…」



夕立「どういうことっぽい?楽しいことっぽい!?」



白露「ん〜嬉しいことかな!」



提督「…」ポロポロ



声を聞くだけで涙が止まらなかった。俺も涙脆くなったんだな…



時雨「嬉しいことってどういうことなのさ」ガチャッ



白露「それは…あ…」



時雨「え…」



夕立「2人ともどうしたの?」



村雨「どうして固まってるの…って…」



春雨「あ…あの…後ろ姿って…」



白露「え…まさか…」



夕立「提…督…さん…?」



また会えたんだな…白露型と…



提督「…みんな…ただいま…!」



時雨「…う…うあ…うわああぁぁん!」バッ



村雨「うわあぁぁ提督ーーー!!」バッ



夕立「提督さあああぁぁん!」バッ



春雨「司令かああぁぁぁん!」バッ



白露「う…提督ーー!」バッ



提督「おいおい、みんなして抱き着くなよ…少しきついだろ…でも俺も…嬉しいよ…」ポロポロ



時雨「提督が…提督が戻ってきたぁ…」ボロボロ



提督「あぁ…ただいま…時雨…」



白露「うわあぁぁ!会いたかったあああぁぁ!」ボロボロ



提督「よしよし…俺も会えて嬉しいよ白露…」



春雨「司令かあぁん…本当に司令官なんですね…」ボロボロ



提督「本物だ…会いたかったよ春雨…」



村雨「もう私提督と離れたくないよぉ!」ボロボロ



提督「俺も村雨から離れないよ…絶対に…」



夕立「提督さあああぁぁん!」ボロボロ



提督「夕立…ただいま…」



別れてから半年後、俺達は無事にまた再開することができた



白露「…時雨!私の言った通りだったでしょ!嬉しいことがあるって…!」



時雨「うん…今まで1番嬉しい…!」



提督「…そういえば、ここは誰が代わりをやってたんだ…?」



春雨「あ、それは…」



誰かが歩いてきた…



軽巡提督「みんな朝から泣くなんて一体どうし…」



提督「あ、お前だったのか」



軽巡提督「お前…なんで…」



提督「…奇跡って本当に起きるものなんだな…」



軽巡提督「奇跡どころじゃねぇよ…夢じゃないよな…」



提督「夢じゃないよ…俺は帰ってきたんだ」



軽巡提督「…おかえり、コード0」



提督「あぁ、ただいま、コード1」



軽巡提督の目には涙が浮かんでいるのがわかった



軽巡提督「いけないけない…そうだ、話は変わるが、ちょうど今日報告がきたお前の父親と政府の件だ…」



提督「!あぁ…」



軽巡提督「数日前に逮捕されて裁判で死刑が確定したんだ…許可なく何人もの市民を実験台にしていたとのことだ…その失敗作が深海棲艦だったらしい…恐らくお前の母も…」



提督「失敗作だったという訳か…」



軽巡提督「そういうことになるな…そしてそれを隠していた政府にも市民から大バッシング。上の人間達は次々と辞職し、今の政府はボロボロだそうだ」



提督「当然の結果だな…ようやく俺達も報われる訳だ」



軽巡提督「あぁ。それで…お前の父親は死刑執行までまだ時間があるが、今のうちに顔を合わせておくか?」



提督「…もういいさ…家族を置いて研究に没頭して、挙句の果てには多くの人々を…そして自身の家族までも実験に使う父親の顔なんて…見たくない」



軽巡提督「そうか…分かった。とりあえず大本営に連絡してくる」ダッ



提督「父さんは死刑か…これでもう…俺に家族はいなくなるのか…」



村雨「…ここにいるじゃない」



提督「…!そうだな…新しい家族がいる…俺の新しく帰る場所もある…」



白露「ここが提督の新しい家だよ…家族もいるんだから…」



提督「あぁ…そうだな…ありがとう…」



気づけばこの子達に押されてばかりだな…



提督「…さ、俺達も無事再開できたし、お祝いでもするか!」



白露「うん…!そうだね!」



村雨「提督!沢山話したいことあるの!みんなで話しましょう!」



提督「あぁ、ぜひ聞かせてくれ」



半年も経ったが、白露型は何も変わっていなくて安心した。またこれからも共に過ごすことができるとはこれ以上に嬉しいことなんてない



白露「よーし!それじゃあ、部屋に行こう!1番先に部屋まで駆け抜けるよ!」ダッ



夕立「夕立が1番になるっぽい!」ダッ



村雨「ちょっ!まっ!」ダッ



提督「相変わらず元気だな…あの姿が見られるだけで安心するよ」



時雨「うん、そうだね…さあ、僕達も行こう」



春雨「はい、行きましょう!」



提督「そうだな。行こうか」



また一緒に並んで歩けるなんて夢にも思ってなかったな…



提督「(母さん…俺は新しい家族を見つけたよ…大切な、大切な家族がね…)」



その場に立ち止まり、静かに目を閉じ、胸に手を当てた



提督「(ありがとう母さん…母さんから貰った第2の命、絶対に無駄にしないから…)」



時雨「提督?どうしたの?」



提督「ごめん、今行くよ」



きっとこれからはまた沢山の出会いがある。人との出会い、そして楽しい事、嬉しい事、悲しい事、新しい事…この人生に色んな楽しみが詰まっている



そして俺はまた歩み始める。この道を、新たな人生を、ゆっくりと、1歩ずつ…



提督「また…よろしくな」


後書き

駆逐艦提督と白露型~その後の話~はこれで終了です。本当は父親との話や政府との話も作ろうかと思っていましたが、また長くなりそうだったのでやめました。ひとまず、これで自分の考えていた物語は終了です。これからはコメディ話を作ろうと思ってますので、よろしくお願いします


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1件評価されています


SS好きの名無しさんから
2019-06-27 11:54:04

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SS好きの名無しさんから
2019-06-27 11:54:04

このSSへのコメント

2件コメントされています

1: しおい 2019-01-23 17:17:45 ID: S:XfIvRF

うおおおおおおお
ありがとうございますうううううううううううう

2: SS好きの名無しさん 2019-01-28 01:20:19 ID: S:BFU6B_

大概時雨と夕立中心ばかりで(悪いって事じゃないけど)
他の白露姉妹に焦点が無いssばかりに辟易してただけに何か、良いなぁコレ


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