第1巻 第156話 キツケヲ
10月4日(水) AM:9:30
守山 黒百合旅館(もりやまくろゆりりょかん)
女子着付け部屋(きつけべや)
千棘 「いや〜〜。
この旅館、ホントにサービスいいわよね〜。
まさか、着物まで貸して着付けてくれるなんて。」
? 「せっかく、京都の街を周るんやから、
着物も着た方がいいですやろ?」
千棘、小咲、万里花、鶫、るり、羽(ユイ)の6人は、女子着付け部屋(きつけべや)で、
着物に着替えていた。
? 「ウチは黒百合旅館(くろゆりりょかん)の着付け担当の酒井っちゅうもんです。
お客さん達、みんな美人なんですから、
着物似合いますわ。」
酒井と名乗ったその従業員は、
黒い長髪に、頭の上に串で団子を作った30代ほどの着物を着た女性だった。
千棘 「私、京都の着物、一度着てみたかったんですよ。」
酒井 「しっかし、特にお客さん、
スタイルええなぁ〜〜。
胸も二十歳(ハタチ)前後にしては大きいし、
お尻なんて、とても引き締まってて
最高ですわ。」
千棘 「そうですかね、えへへ………」
その頃、楽達………
楽 「しかし、まさか着物まで貸してくれるとはな………」
集 「楽も楽しみだろ〜〜?
着物姿の桐崎さんと、京都の町を周るなんて。」
楽 「まあな。」
蒼也 「……………」
万里花 「楽様ーー!」
楽・集 「お!」
1番早く着付けを終えて出て来た万里花は、
赤色でハートマーク柄の着物にピンク色の帯、髪はいつものマリーゴールドの髪飾りに加えて、先に花が付いた串2つで纏めていた。
万里花 「どうですかー、私(わたくし)の着物姿は〜?」
楽 「おお、似合ってる。
可愛いと思うぜ。」
万里花 「それは、嬉しいですわ〜!
どうですか楽様?
桐崎さんなんて放っておいて、私(わたくし)と京都の町を周っては………?」
楽 「悪いな橘、俺の今の彼女は千棘だからな、それは出来ないぜ。」
万里花 「むぅ〜〜、残念ですわ………でも、そう言ってこそ、私(わたくし)の大好きな楽様ですわ。」
鶫 「そうだぞ、橘 万里花。
一条楽にはお嬢がいるのに、お前が変な茶々を入れるな。」
集 「あ!誠士郎ちゃん〜〜!」
続いて出て来た鶫は、紫に近い青色に狼(オオカミ)の絵があしらわれた着物に青紫色の帯、昔とは違い長く伸びた黒い長髪故に、
いっそう京都小町(きょうとこまち)っぽく見えた。
鶫 「むっ!」
楽 「ん?」
楽と鶫は目が合った。
鶫 「フン!どうせ私には似合わんのだろう?
私はお嬢みたいには………」
楽 「そんな事無いと思うぜ?
むしろ、スッゲー似合ってる。」
鶫 「そ…そうか?」
楽 「ああ、千棘はハーフだからか、
外国人らしい派手でカジュアルな服装が似合うけど、和服はむしろ黒髪のお前の方が似合ってると思うぜ。
今は高校の時と違って、髪も長くなったしな。」
鶫 「そ…そうか、礼を言う………」
小咲 「みんな、楽しそうだね。」
楽・集・万里花・鶫 「お!」
三番目に出て来たのは小咲だった。
黄緑色の着物に黄色い帯、
髪を頭の上で串で纏めて団子にしていた。
楽 (かっわいい〜〜。
鶫もそうだけど、やっぱ黒髪の女の子って、浴衣や着物が似合うな〜〜。
しかも、男勝りな性格の鶫と違って、
お淑やかなまさに女の子の性格の小野寺だから、スッゲー似合う〜〜。)
小咲 「ど…どうかな、一条くん、舞子君、双神くん。
私、着物似合ってるかなぁ………?」
楽 「に…似合ってるぜ小野寺!
てか、スッゲーかわいい!」
集 「おう!似合ってるよ、小野寺〜〜。)
蒼也 「………まあ、悪くは無いんじゃ無いか?」
小咲 「そ…そっか、ありがとう。
みんな!」
楽 (今では千棘を選んだ俺だけど、
やっぱり小野寺は好みの女の子なんだよな〜〜。
お淑やかで、優しくて、着物や浴衣が似合う女の子って、いいよな〜〜。)
千棘 「みんな待ったー?ごめーん、着物を念入りに選んでたら遅くなっちゃったー!」
集 「お!」
楽 「!」
4番目にに出て来た千棘は、赤い着物に橙(だいだい)色の紅葉(モミジ)の模様があしらわれた浴衣を着て現れた。
帯は黄色で、長い先にピンクの掛かった金髪を頭の上で1本の鈴付きの串で1つに纏めていた
千棘 「ど…どうかな、楽?」
楽 「お…おう。似合ってる……って、ゆーか。
スッゲー可愛いと思うぞ。」
集 「似合ってるよ〜〜、桐崎さん!」
蒼也 「お嬢、綺麗です。」
小咲 「可愛い着物だね、千棘ちゃん。」
鶫 「お嬢、お美しいです!」
千棘 「!そっかぁ………
今日はこれを着て、楽との半年記念に京都の町を歩くから、LABで習った着物や浴衣の組み合わせの知識も思い出して、
私に1番似合う着物を探して頑張ったんだぁ………
良かった!」
楽 「ドキッ!」
鶫 「一条楽、今日はお前の全力を持って、お嬢に最高の京都での思い出を作れる様にエスコートして差し上げろよ?」
蒼也 「そうだぞ楽。
俺だって、お前とお嬢が幸せになれる様にお前に戦闘を教えてるんだ。」
千棘 「……………楽?」
楽 (……………そうだよな。
小野寺は確かに、非の打ち所がないまさに理想の女の子だけど、
俺にとって、1番身近で大事な女の子はお前なんだ。
だから、橘や鶫や小野寺の時とは違う、
ドキドキを感じるんだろうな。)
楽 「何でもねえよ。
今日は一緒に京都の町を楽しもうぜ!」
千棘 「え?う…うん!」
羽(ユイ) 「さーて、みんな着付けが終わったみたいね。」
楽 「あ、羽姉(ユイねえ)!」
最後に出て来たのは、羽(ユイ)とるりだった。
羽(ユイ)は、松の柄が何本か描かれた緑色の着物に黄緑色の帯、口紅も刺して、一層大人の女性っぽかった。
るりは、青紫色の着物に藍色の帯の着物を着ていた。
集 「さーて、みんなの着物姿も見れたし、
そろそろ京都の町に出発しよっか?
」
るり 「何で、他の女の子の着物姿は褒めて、彼女の私には何も無いのよパンチ!」
ドガッ
集 「ギャース!」
こうして、楽達の京都観光は幕を開けた。
第1巻 第156話 完
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