2019-03-17 20:43:59 更新

10月4日(水) AM:9:30


守山 黒百合旅館(もりやまくろゆりりょかん)

女子着付け部屋(きつけべや)


千棘 「いや〜〜。

この旅館、ホントにサービスいいわよね〜。

まさか、着物まで貸して着付けてくれるなんて。」


? 「せっかく、京都の街を周るんやから、

着物も着た方がいいですやろ?」


千棘、小咲、万里花、鶫、るり、羽(ユイ)の6人は、女子着付け部屋(きつけべや)で、

着物に着替えていた。


? 「ウチは黒百合旅館(くろゆりりょかん)の着付け担当の酒井っちゅうもんです。

お客さん達、みんな美人なんですから、

着物似合いますわ。」


酒井と名乗ったその従業員は、

黒い長髪に、頭の上に串で団子を作った30代ほどの着物を着た女性だった。


千棘 「私、京都の着物、一度着てみたかったんですよ。」


酒井 「しっかし、特にお客さん、

スタイルええなぁ〜〜。

胸も二十歳(ハタチ)前後にしては大きいし、

お尻なんて、とても引き締まってて

最高ですわ。」


千棘 「そうですかね、えへへ………」




その頃、楽達………


楽 「しかし、まさか着物まで貸してくれるとはな………」


集 「楽も楽しみだろ〜〜?

着物姿の桐崎さんと、京都の町を周るなんて。」


楽 「まあな。」


蒼也 「……………」


万里花 「楽様ーー!」


楽・集 「お!」


1番早く着付けを終えて出て来た万里花は、

赤色でハートマーク柄の着物にピンク色の帯、髪はいつものマリーゴールドの髪飾りに加えて、先に花が付いた串2つで纏めていた。


万里花 「どうですかー、私(わたくし)の着物姿は〜?」


楽 「おお、似合ってる。

可愛いと思うぜ。」


万里花 「それは、嬉しいですわ〜!

どうですか楽様?

桐崎さんなんて放っておいて、私(わたくし)と京都の町を周っては………?」


楽 「悪いな橘、俺の今の彼女は千棘だからな、それは出来ないぜ。」


万里花 「むぅ〜〜、残念ですわ………でも、そう言ってこそ、私(わたくし)の大好きな楽様ですわ。」


鶫 「そうだぞ、橘 万里花。

一条楽にはお嬢がいるのに、お前が変な茶々を入れるな。」


集 「あ!誠士郎ちゃん〜〜!」


続いて出て来た鶫は、紫に近い青色に狼(オオカミ)の絵があしらわれた着物に青紫色の帯、昔とは違い長く伸びた黒い長髪故に、

いっそう京都小町(きょうとこまち)っぽく見えた。


鶫 「むっ!」


楽 「ん?」


楽と鶫は目が合った。


鶫 「フン!どうせ私には似合わんのだろう?

私はお嬢みたいには………」


楽 「そんな事無いと思うぜ?

むしろ、スッゲー似合ってる。」


鶫 「そ…そうか?」


楽 「ああ、千棘はハーフだからか、

外国人らしい派手でカジュアルな服装が似合うけど、和服はむしろ黒髪のお前の方が似合ってると思うぜ。

今は高校の時と違って、髪も長くなったしな。」


鶫 「そ…そうか、礼を言う………」


小咲 「みんな、楽しそうだね。」


楽・集・万里花・鶫 「お!」


三番目に出て来たのは小咲だった。

黄緑色の着物に黄色い帯、

髪を頭の上で串で纏めて団子にしていた。


楽 (かっわいい〜〜。

鶫もそうだけど、やっぱ黒髪の女の子って、浴衣や着物が似合うな〜〜。

しかも、男勝りな性格の鶫と違って、

お淑やかなまさに女の子の性格の小野寺だから、スッゲー似合う〜〜。)


小咲 「ど…どうかな、一条くん、舞子君、双神くん。

私、着物似合ってるかなぁ………?」


楽 「に…似合ってるぜ小野寺!

てか、スッゲーかわいい!」


集 「おう!似合ってるよ、小野寺〜〜。)


蒼也 「………まあ、悪くは無いんじゃ無いか?」


小咲 「そ…そっか、ありがとう。

みんな!」


楽 (今では千棘を選んだ俺だけど、

やっぱり小野寺は好みの女の子なんだよな〜〜。

お淑やかで、優しくて、着物や浴衣が似合う女の子って、いいよな〜〜。)


千棘 「みんな待ったー?ごめーん、着物を念入りに選んでたら遅くなっちゃったー!」


集 「お!」


楽 「!」


4番目にに出て来た千棘は、赤い着物に橙(だいだい)色の紅葉(モミジ)の模様があしらわれた浴衣を着て現れた。

帯は黄色で、長い先にピンクの掛かった金髪を頭の上で1本の鈴付きの串で1つに纏めていた


千棘 「ど…どうかな、楽?」


楽 「お…おう。似合ってる……って、ゆーか。

スッゲー可愛いと思うぞ。」


集 「似合ってるよ〜〜、桐崎さん!」


蒼也 「お嬢、綺麗です。」


小咲 「可愛い着物だね、千棘ちゃん。」


鶫 「お嬢、お美しいです!」


千棘 「!そっかぁ………

今日はこれを着て、楽との半年記念に京都の町を歩くから、LABで習った着物や浴衣の組み合わせの知識も思い出して、

私に1番似合う着物を探して頑張ったんだぁ………

良かった!」


楽 「ドキッ!」


鶫 「一条楽、今日はお前の全力を持って、お嬢に最高の京都での思い出を作れる様にエスコートして差し上げろよ?」


蒼也 「そうだぞ楽。

俺だって、お前とお嬢が幸せになれる様にお前に戦闘を教えてるんだ。」


千棘 「……………楽?」


楽 (……………そうだよな。

小野寺は確かに、非の打ち所がないまさに理想の女の子だけど、

俺にとって、1番身近で大事な女の子はお前なんだ。

だから、橘や鶫や小野寺の時とは違う、

ドキドキを感じるんだろうな。)


楽 「何でもねえよ。

今日は一緒に京都の町を楽しもうぜ!」


千棘 「え?う…うん!」


羽(ユイ) 「さーて、みんな着付けが終わったみたいね。」


楽 「あ、羽姉(ユイねえ)!」


最後に出て来たのは、羽(ユイ)とるりだった。

羽(ユイ)は、松の柄が何本か描かれた緑色の着物に黄緑色の帯、口紅も刺して、一層大人の女性っぽかった。


るりは、青紫色の着物に藍色の帯の着物を着ていた。


集 「さーて、みんなの着物姿も見れたし、

そろそろ京都の町に出発しよっか?



るり 「何で、他の女の子の着物姿は褒めて、彼女の私には何も無いのよパンチ!」


ドガッ


集 「ギャース!」


こうして、楽達の京都観光は幕を開けた。


第1巻 第156話 完



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