第1巻 第165話 トランプ
2017年10月4日 PM:20:00
守山 黒百合旅館(もりやまくろゆりりょかん)
銭湯(せんとう)前、談話室(だんわしつ)
入浴を終えた楽達は、温泉前の談話室で集まっていた。
ゴクゴク………
楽 「ぷはぁ〜〜。やっぱ、風呂上がりの牛乳って、いいモンだよな、集!」
集 「そうだね〜〜。
ねえみんな、消灯時間までまだ大分あるし、
皆んなでなにかする?」
小咲 「いいお湯だったね、千棘ちゃん。」
千棘 「え?あ…うん、そうだね………」
小咲 「?」
千棘 チラッ
楽 (あ………)
楽と千棘は目が合い、ついさっきの温泉旅館で起こった事を思い出していた。
楽 (あの時、山中さんが風呂場に入って来なかったら、俺………千棘の胸を触ってたんだよな………)
千棘 (もう少しで、楽に触られるところだった………
やっぱり、好きな人に触られると、
気持ちいいのかなぁ………)
集 「おーい、楽に桐崎さん。
どーしたの?ぼーっとして。」
楽 「え?ああ……悪い集!」
集 「みんなで、トランプでババ抜きでもやらないかって、話になってたんだけど。」
楽 「ああそっか………って、トランプ?」
集 「そ。凡高の1年の時の林間学校の
続き。
もちろん………罰ゲームも同じで!」
楽・千棘 「なっ!」
楽 (あの……3年前の林間学校でのババ抜きでの罰ゲームっつたら………)
千棘 (初恋の………エピソード!)
集 「あっ、ここにいるるりちゃん以外の女子の初恋は全員が楽だったね。
それじゃあつまんないから………
今回の罰ゲームは、「今」、好きな人を告白するって、事で!」
一同 「なっ!」
小咲 (どうしよう………私、一条君の事をまだ完全には振り切れて無いし………
それに今は、弥柳君の事も………
って、何考えてんの私!?
弥柳君はただのお友達じゃ無い?)
万里花 (私の好きな人など、今も昔も楽様に決まってますわ。)
羽(ユイ) (どうしよう………私はもう、楽ちゃんの事は諦めて、姉として見守るって決めたし………)
るり (まあ私は………集君でいいわね。
みんなの前で言うのは、少し抵抗があるけど。)
鶫 (私はもう、一条楽の事はお嬢の為に諦めたし、どうすれば………)
蒼也 (……………玲香………)
一同 (こ、これは………)
一同 (絶対に負けられ無い!)
集 「では、ババ抜きスタート!」
蒼也 「ババ抜きなんて、始めてやるな。
ビーハイブの用事で行ったカジノでは、
トランプはポーカーとブラックジャックしかやった事が無かったからな。」
小咲 「うぅ〜〜。」
るり 「はい、小咲。」
小咲 「う…うん、るりちゃん。」
スッ
小咲はるりの手札からトランプを1枚取った。
小咲 ガーン!
楽 (分かりやすっ!
やっぱ小野寺、大学生になっても、
全然変わってねーな。
全くポーカーフェイス、出来てねーじゃねーか!」
鶫 「ううう………」
カタカタカタ………
楽 (鶫、お前もか………)
そして、ゲームは進み………
残ったのは、楽と千棘
楽、残り1枚
千棘、残り2枚
集 「よっ!カップル対決!
しかも、こうこうの時とは違って、
君達は本当の恋人同士の戦い!
いや〜〜それにしても、
君達は3年以上経った今でも、変わらずホントに弱いね〜〜。」
楽・千棘 「うっさい!」
楽 「さて、俺が引く番か………」
スッ
千棘 ガーン!
楽 (こっちがジョーカーじゃあ無い方か、
悪いが勝たせて貰うぜ?)
スッ
楽 「えっ?」
楽が引いたのは、ジョーカーだった。
楽 「ま…まさか………」
千棘 「やーい、引っかかった〜〜♪」
楽 「!ち、千棘!お前………俺がジョーカーを持った時に嫌な顔を………?」
千棘 「フフン♪単純なもやしを騙すのは、簡単ね〜〜♪」
楽 「何だと?」
千棘 「で、はーい!」
スッ
千棘はジョーカーでは無い方を楽の手札から引いた。
楽 「あっ!」
千棘 「やった〜〜、私の勝ち〜〜♪」
楽 「くっそ〜〜!」
集 「ではでは、最下位の楽君。
好きな人の発表をどうぞ!」
楽 「あーもう、しょうがねーな……….
コホンッ」
万里花 ゴクンッ
千棘 ドキドキ………
楽 「もちろん………千棘で。」
千棘 「!」
万里花 チッ
千棘 「………ホント?ホントに私?」
楽 「何を今更………お前の事が好きでもなけりゃ、半年も付き合ったりしねーよ。」
千棘 「楽………私、嬉しい!」
小咲 「良かったね、千棘ちゃん!」
蒼也 (……………俺ももしかして、
あんな事件が無ければ、楽みたいに玲香の事を好きだとみんなの前で堂々と言えたのかもな。)
第1巻 第165話 完
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