2019-04-11 23:19:47 更新

概要

『あなたは苦悩して、探し出す。』


前書き

艦娘側第3話。そろそろ折り返しかなと思います。


3話 毀れた彼女


冬谷が失踪して、一週間が経った。


菊月「…」ウミミツメ


長月「…」


菊月は…


菊月は、心を壊した。


長月「…菊月。」


菊月「…?」フリムキ


長月「…晩ごはん、食べに行こうか。」


菊月「…ぅぁ…ん…」タチアガリ


長月「…(菊月は、冬谷が深海化されたかもしれない事に、精神を喰われた…せめて、周りがしっかりしなければ…)…菊月、おぶってあげるよ。乗れるか?」シャガミ


菊月「…んぅ…ぁ…」ノッカリ


長月「よっこいしょっと…菊月、今日はカレーだ。楽しみだな…」トコトコ


菊月「…ぁ…ぁぁ…」ユーラユーラ


最近の菊月はこんな感じだが、たまにいきなり何処かに行こうとする時がある。


例えば…


長月「…あ」ミアゲ


菊月「……ぁあ」ミアゲ


長月「…(ヤバイ。今日は三日月だ…)き、菊月…」


菊月「…ぅわぁぁぁぁああぁぁああ!!!!」ダッシュ


長月「くそっ、やっぱりか!」


菊月「ぅぅううぅうぅぅぅ…」ガサガサ


長月「あっ、森に…くそっ!」タッタッタッカチッ


舞鶴提督『どうした、長月!』


長月「菊月が森に!」


舞鶴提督『なっ…畜生!できるだけ追えるか?』


長月「限界まで行ってみる!」


舞鶴提督『分かった!』プツッ


菊月「ああぁぁあああっぁあぁぁああぁぁあ!!!!」タッタッタッ


長月「くっ…菊月!戻って来てくれ!」


菊月「うぁっ!?」ツマヅキコロブ


長月「菊月!きくづ」




菊月「来るな!」




長月「!」ビクッ


菊月「やめてくれ…もう…もう失うのは嫌だ…来ないでくれ…」ガクガクブルブル


長月「…っ、菊月…」ザッ


菊月「はぁ…はぁ…と、冬谷…待って…行かないで…姉さん…やめろ…」ガクガクブルブル


長月「…菊月」


菊月「はぁ…はぁ…」ガクガクブルブル


長月「菊月、大丈夫。大丈夫だ。必ず冬谷を取り戻す。だから、安心してくれ…」ナデナデ


菊月「はぁ…はぁ…はぁ……はぁ……ぁ……」


長月「……」ナデナデ


菊月「…ぁ…すぅ…すぅ…」


長月「……収まったか…」カチッ


舞鶴提督『大丈夫か!?菊月は…』


長月「寝たぞ。連れて帰るから待ってろ。」ヨッコイオブリ


舞鶴提督『そうか、よかった…ゆっくりでいいから戻って来なさい。』プツッ


長月「……」ミアゲ




長月「早く、早く…戻って来てくれ…冬谷…」グッ




一日に、何度そう思ったか。




何回なんて、数え切れないかもしれない。




不安が積もり、ピリピリとした雰囲気が鎮守府内に漂う。




長月「…考えても…仕方がないか…」スタスタ


私は、自分の胸に踞る靄を払い落とし、菊月の部屋に向かった。


〜??〜




ザーザーと、ノイズの掛かる空間に、私は居た。




菊月「…」




声が出ない。何も考えられない。




考える事すら…




面倒くさい。




『…、……?』




菊月「…ぁ…?」




ふと、声が聞こえた。




『あぁそうだよ。宜しく。』




確かそれは…出会った時…




あの時は…とても優しい目をしていたな…




場面が変わる。




『何で『自分が死んだほうがいい』何て言うんだ』




それは確か…怒られた時…




『お前の姉は『信じて待て』と言ったんだろう?お前は何を信じた?帰ってくる事を信じたんだろ?』




怒られて、ビンタされて…慰められたな…




場面が変わる。




『冬谷の事が好き。それだけを言えればいいの!』




そういえばその後、親潮に一喝されて、励まされて…




場面が変わる。




『菊月の事、好きだ。』




あの時、やっと冬谷が好きって言ってくれた…




でも…




場面が変わる。




見えたのは、あの時の光景。




廃れた研究室、蜘蛛の巣が掛かった器具、手術台、駆逐棲姫と書かれた試験管。そして…




あってほしくなかった、冬谷の鉄パイプ。




あの日の光景がフラッシュバックする。




ドクン、ドクン、と、心臓が脈打つ。




声が出なくて、動けなくて、でも、無機質なノイズが容赦無く私を襲う。




菊月「ぁ…ぁぁ……ぁぅぅぅぁ…」ガクガク




あぁ、もう駄目だ、また、助けられなくて…




誰か…姉さん……




『もう、何してるのよ。』




いつの間にか倒れ込んでいた私に、もう聞ける筈の無い声がする。




菊月「ぇ…」




如月…姉さん…




『そうよ。あなたのお姉さん、如月よ?』




何でここに…




『何言ってるのよ。あなたが呼んだんじゃない。心の中の何処かで、あなたは助けを呼んだでしょ?だから来たのよ。』




う…それはそうだが…




『あの男の子は?』




さ…攫われた…




『あらら…ねぇ、菊月ちゃん。』




何だい…?




『私に任せてくれないかしら?変な事はしないから。』ニヤリ




嫌な予感がするんだが…




『大丈夫よ。変なようにはしないから。唯…』




『どんな結果になっても、私を恨まないでね?』




碌な事が無さそうだが…




『もう。お姉さんの言う事が信じられないの?』

٩(๑`^´๑)۶プンプン




いや…あの…その…




『お願い!一生のお願いよ…ね?』




…どうぞ…




『ありがとうね。それじゃ、そろそろ私は行くわ。やる事もあるし。』




え…ま、待って…




『あ、そうそう。』スッ




?




『ーーーーーー』ヒソヒソ




⁉ちょ、姉さん…




『それじゃあね。また何処かで会いましょ?』スッ




そう言って、姉さんはノイズの中に消えた。




…またか…




この光景に多少のデジャブを感じたが、いつの間にかノイズの音は小さくなっていた。




菊月「…と…ぅゃ…」


長月「え⁉き、菊月⁉」ビックリ


菊月「すぅ…すぅ…」


長月「…聞き…間違いだよな…」スタスタ


ー4話に続くー


後書き

もうそろそろ新キャラ出さないと…!(焦り)

つ[今日は担当がお休みです。]
つ[二人共風邪をひいたらしいです…]
つ[なので二人に変わりまして私がお送りいたします。]
つ[次回、菊月と無形棲姫との間に変化が…?さらに新キャラも!]
つ[それでは次のお話で会いましょう!]
つ[さようならー!]ノシ


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SS好きの名無しさんから
2019-04-16 23:21:46

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2019-04-16 23:21:46

このSSへのコメント

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1: SS好きの名無しさん 2019-04-16 23:22:13 ID: S:0kbZ1D

頑張って立て直して欲しいっすね
楽しみにしてまーす


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