2019-06-12 03:07:57 更新

2017年10月27(金) 18:00


凡矢理駅への帰り道


ザーーッ ザーーッ



楽 「ふーー、中々スゲー雨だな。」


千棘 「そうね。」



楽と千棘は、今日は大学祭の準備がほぼ終わったので、

久々に一緒に帰っていた。



千棘 「それにしても、今年はなんだか雨が多いわね。」


楽 「そうだな。

そういやあ今日、変な事があってな。」


千棘 「変な事?」



楽は、大学で紅介が言った事の一部始終を千棘に話した。



千棘 「へーー、蒼也くんのお兄さんがそんな事をねぇ………。」


楽 「そうなんだよ。

この話、蒼也にも話した方がいいよな?」


千棘 「うん。

蒼也くんも、お兄さんの事は気にしてるみたいだし………。」


楽 「だよなー。

あとで蒼也に、電話かメールで聞いとくわ。」


千棘 「………ねぇ楽、そう言えば蒼也君のお兄さんの紅介って人、どんな人なの?

私、まだあんたや蒼也君から話で聞いただけで、

実際に会った事は一度も無いんだけど………。」


楽 「ん?

ああ、外見は顔も背丈も蒼也そっくりなんだけど、

性格がどこか違うんだよな。

なんてゆーか………内面が。」


千棘 「内面が?」


楽 「ああ。

ほら、蒼也って、鶫と同じで任務や訓練にマジメで、それでいて鶫より全然感情的にならないだろ?

でも、兄貴の紅介の方は、

なんつーか………

蒼也と同じ様に感情的にはならないけど………

どこか、飄々として相手を煽る感じなんだ。」


千棘 「そうなんだ………。

あ!そうだ、それより聞いてよ楽、

私も今日学校で、変な事と言うより、

ムカつく事があってね………。」



今度は千棘が、

自分が今日、LAB(ラボ)で皆川とあった事の一部始終を話した。



楽 「へーー、お前のクラスにそんな人がねぇ………。」


楽 (こいつがここ最近、服作りに異様にやる気を出し出したのはそれが原因の一つか………。)


楽 「まあ、いいんじゃねーのか?

お前はお前の、作りたい服を作れば。」


千棘 「そうよね!

あんな嫌な女の言う事なんて、気にしなくていいわよね!」


楽 「しっかし、お前はやっぱりどこの学校でも1人くらい、

橘と同じようにケンカする空いてが出てくるんだな。」


千棘 「万里花と同じなんかじゃ無いわよ!

万里花の方が全然根はいい子………

じゃなかった、マシよ!」


楽 ハッ


ニコッ


楽 「そうだな。

橘の方がいい奴だよな。」


千棘 「そうよ!

万里花の方が全然マシよ!」


楽 (こいつ、なんだかんだ言って、

橘の事、心底では友達として大事に思ってたんだな。

そうだよな。

お前は俺にも素直じゃ無いだけで、

根は大事に思っててくれたんだからな。)



ザーーザーー ザーー………



楽と千棘が話しながら歩いていると、

雨はますます強くなって降っていった。



千棘 「なんだか、雨がますます強くなってきたわね。」


楽 「ああ、雲は空全体に掛かってないのにな。

こういうの、秋雨って言うのか?」



楽の言う通り、雨雲は空全体では無く、

楽達のいる上空にのみ掛かり、

少し離れた場所の空は晴れていた。



千棘 「あ!見てよ、楽!」


スッ


楽 「ん?………あ!」



千棘が指差した先には、

ちょうど2人が通りかかった川に夕日が掛かり、それに雨も降り、

一層(いっそう)、美しい景色になっていた。



千棘 「キレイだね………。」


楽 「ああ、そうだな。

中々、風流な景色だよな。」


千棘 「クスッ、

ねえ楽、なんかロマンチックよね。

こういうの。」


楽 「え?」


千棘 「あんたと2人でこんなキレイな景色を観ながら傘を差して歩くなんて、

なんだか恋愛ドラマに出て来る恋人同士みたいで、いいじゃない?」


楽 ドキッ


カァァァ………。


楽 「ああ、そうだな………。」


楽 (ホントは、少し恥ずかしいんだけどな………。)


第1巻 第242話 完


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