アズレン短編③ プリンス・オブ・ウェールズの涙
アズレン短編三作目はプリンス・オブ・ウェールズです。
午後4時 母港。
指揮官が散歩していると
プリンス・オブ・ウェールズ(以下ウェールズ)が座りながら、港を眺めていた。
その表情はどこか寂しそうで、その瞳は夕焼けの海を写していた。
指揮官はウェールズの元に寄った。
指揮官「ウェールズか。隣いいかい?」
ウェールズ「指揮官か」
指揮官はウェールズの隣に座った。
港の風は少し冷たかった。
しばらくしてウェールズが口を開いた。
ウェールズ「指揮官、私も幾多の戦いを経験して仲間まで失った。そして今、私はこの世界に再びいるんだと、この港を見て思うのだ。私はもう二度と同じ思いはしたくない。もちろん指揮官だって失いたくない。」
ウェールズは少し涙を浮かべて、過去の事をにじませながら話した。
指揮官「ウェールズ、過去に縛られる事は無いさ。辛い思いをしたことだって、
嫌になるほど苦しい事だって、みんな一緒。俺だって同じさ。みんな、人生いろいろなんだよ。」
ウェールズ「うっ...し...指揮官...うっ...うっ...ひっく...」
ウェールズは指揮官に抱きつきながら
声をあげて泣いた。指揮官はウェールズの頭を撫でながらなだめた。
しばらくして、キングジョージ5世(以下KG)がやって来た。
KG「指揮官?ウェールズ?」
指揮官「しー...そっとしてあげて。」
KG「わかった。」
指揮官はウェールズをおんぶして、KGとロイヤル寮のウェールズたちの部屋へ
送った。
泣き疲れたのか、ウェールズはすやすや眠った。
KG「やっぱりか。ウェールズは根を詰め込んじゃうからな。感謝する。」
夜10時 指揮官寝室
ドアを叩く音がした。
ドアを開けると赤いパジャマ姿のウェールズが立っていた。
ウェールズ「指揮官、添い寝していいか?」
指揮官はベッドをポンポンと叩いてウェールズを誘った。
ベッドに入ると
ウェールズ「指揮官、私を抱きしめて」
指揮官はウェールズに言われるがまま、ウェールズを抱きしめた。
ウェールズ「指揮官、優しいぬくもりを感じる。なぜか、心まで穏やかになりそうだ...」
そう言うと、ウェールズはぐっすり眠り始めた。
このSSへのコメント