続・強くてニューゲームで転生でハーレム。特別編
アリス『視点』です。本編の見方も変わるかもしれません。本編を見た人、特にアリスが好きだなって思う人は是非ご覧下さい。
アリスは世界の融合=滅亡に気付く。が、想い人を失ったショックと、創造主の責任から代役を探していた……
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『俺は……お前のことが……』
『……もう喋るな』
雨が降っている。
あれからどのくらい経ったのだろうか。
世界は再び危機に晒されていた…
……また犠牲になる人が?
999回同じことを繰り返して、私はそれでも世界を救いたいのか?
いや。私は創造主だった。私が「死なないように」世界を救うには代役が…代わりに死ぬ人が必要なんだった。
私は“誰か”を求めていた。
この時は私も予測していなかった。
その人が…私の一番の……
[chapter1: 最悪とも呼ぶべき出会い ]
この世界を作った者の責任として、私は世界を守る必要がある。ただ、創造主の死はすなわちその世界の消滅を意味する。つまり、私が世界を救うことはできない。自分の力を贈与する存在が必要不可欠なのである。……まあ、別にそれは誰でも良いのだが。
この世界に来たのもそれほど重要な理由はない。
ただ代わりになる『誰か』を探しているだけだから。別に誰か特別な人を探す訳でもない。
私は……その人を使い潰すだけだから。
実は“その時”のことはよく覚えていない。あまりに突然のことだったからだ。ただ、降りた場所の後ろに…『秋葉原』という看板があったことだけは覚えている。
不思議だ…こんな都会の道なのに人が普通に渡っている。車は1つもない…のだが、周りの建物は正直どうでも良かった。この歩いている人から私の代わりになる誰かを探して……
『君!危ないから下がって!』
……えっ?
振り向くといたのは…暴走車。見た感じ既に数人轢いているようだった。
予測……できたはずだ。何で?何故?私はここで死ぬのか?私の世界はどうなるのか?いやそれ以前に、この世界すら消滅するのか?
後から考えてしまえば原因は簡単だ。私は自分のいる世界とは違う世界では能力を使えないからだ。ただ…それは一瞬の出来事すぎて何が何だか分からなかった。
死を……考えた。
『危ないっ!!』
ドンッ!
……押された?私は死んで…生きて…る......っ!?
目の前に見えたのは…最悪の光景だった。車は止まっていた。その前にいたのは…血だらけの…。
見たところ高校生くらいのようだった。彼は全く関係ない私のために死んだのか…?
怖い。私が殺したのか?違う。違う…私は…!とにかくどうにかしてこの人を介抱してやらなければ、いや、今の私に能力は……そうだ。
この人を『代わり』にすれば良いのではないか?
…誰でも良かった。後から考えたら最悪なことを考えていたと思う。自分の代わりにもう一度死んでくれと言っているようなものである。ただこの時そんなこと考えられなかった。
私はさっきの道を戻り、消えかけていた空間の穴に入り…彼に尋ねた。
『どうして…どうして……』
『どうして助けたの…?』
『あの状況で助けない訳ないよね?』
彼は答えた。この言葉を聞くに、多分この人は自分の身とかそんな気にしないような人だろう。
……少し揺さぶってみるか。
『そう…私、あなたの世界の人じゃないのによく助ける気に…』
『ちょっと待ってわからないんだけど』
『だろうね……私はアリス・ノブリス。私自身の世界の、あなたとは違う世界の住人。』
『えっ……アリス?』
何だこの反応…まるで私を知っているような…とりあえず、こいつの記憶を漁ってみた。
彼の名前は『佐藤健一』というらしい。そんなことしか分からなかった。まあもちろん私を知っている理由なんて1つも分からないんだが。
健一『いや、あのとりあえず、元の世界に帰して欲しいんですけど』
残念ながらそれは出来ない。なぜなら君は私をかばって死んだからだ。それに君はこれから世界のためにもう一度……全く…私のような人をかばって死を迎えるなんて…君も不運だな…ただ私はさっきも言った通り生き返してやる力はない…本当不運だよ……っ!
失敗した。思わず本心が…
健一『いやSSクラスの癖に使えないな……』
流石にそんな言い方は……ちょっと待て、こいつはなぜ私がSSクラスだと知っているんだ?もしや本当に私のことを知っているのか?
健一『あ、俺あなたの世界知ってるんで…全ルートクリアして、エンドロール世界謳歌中なんで』
……私はゲームの中の存在なのか?よくわからないが…とりあえず、君を死なせてしまったお詫びと、助けてもらったお礼として……私の計画に関わってもらおう。ただし…
私一人ではないのだが。
私は三人の子を彼に対する存在に選んだ。
リン・ナタリア…創造持ちの□リっ子
ノート…彼に拾われた高速持ちの○乳
エル・ローゼン…全知の超乳○乱
これだけ呼べば1人くらい彼の心、あるいは性癖に引っかかると思った。……この時は。
[chapter2: 計画と“予想外”]
彼の記憶を辿るに、本当に彼の世界では私や他の三人はゲームの中の存在らしい。それなら、と思ったからなのか、私は能力をそのデータを材料に作り上げた。…それが上手いこと呼んで来たメンバーになったのは予想外というか。
少々気になったので試すことにした。この辺りにモンスターを配置して…
『……吹き飛べ』
……えっ、一撃?これは相当な当たりを引いたのではないか?にしても言葉を発しただけで消し去っただと?とするとこいつの持つ能力は……
言ったことを実現する能力。
当たっていたようだ。図星と思われる態度を取っていた。少し予想外だった。こんなに能力が強いと事が楽に進むと思う…
………はずだった。
とあることをきっかけにこいつと遊びに行くことになった。まあ私は行きたい訳でもないのだが本気で戦ってないことを見透かされてしまってつい予知を使ってしまい…というかこの服ダサくないか?いくら茶番に付き合うとはいえ、よそ行きの服でブランドでも何でもないのは……あ、いた。
『えっ、めちゃめちゃ似合ってる』
っ!?おっと、危ない危ない、本当に惚れてしまうところだった…まあお世辞だろう、何せブランドも何もないG○だから。しかし、こいつは思ったより楽しんでいるようだ。普段着ないベストにジーンズ。私も着がえるか……ということで服屋に行きたいのだが…
『いや単純に凄く似合ってるからそう言っただけなんだけど』
な、何だこいつ!?ま、まさかこいつ、本当に私のこと好きだとでも言うのか?いや一人くらい引っかかるために三人も呼んだと言うのに?いやまあ世界の距離があるからもう一人はまだ来てないのだが…とりあえず、ゲーセン行くか…
健一『よっしゃフルコンボ!』
楽しそうだな…などと思いつつ私も楽しんでいるのだが。何だろう、こいつといると私まで楽しくなるな…それに落ち着く。まるで昔の…あっ。クレーンは予知できないようだ。あとこいつも。
健一『このぬいぐるみは絶対取れる』
こいつも使いこなして来たな……まあ使いこなすのが早いに越したことはない。とはいえこいつを私の計画に利用するのは何だか気が…いやいや!元々そういう目的で呼んだんだ!でもなぁ…
健一『はい。取れたよ』
何だこいつ…まあ欲しかったからな…ありがと。
さて、あいつはトイレに行ったようだが、このまま行くと本気で好きになりそうだ…いや!それだけは、それだけは駄目だ!何故なら私はあいつを利用するために…ん?
「お姉さん、可愛いね!良かったらウチのパーティーに入らない?」
面倒なことになった…いや何かしらの能力使ってどうにかすれば良いのだが、こんなやつにするのも面倒だ…あと手ふさがってるし…あれもしかして結構まずいのでは?さてどうするか…
『お前達の手が離れる……消し飛べ』
「う、うわああああっ!」
『良かった…助けられて!アリスがいなくなったりしたら俺、耐えられないから…』
……助けに来たのか?こんな私を?ズボンのチャックも閉めずに?いや何だ今の強制力…本当に凄い能力を凄い人に授けたのか?な、何故こんなに急いで…私なんかを?こいつ本当に私のこと…
“好きだ”
……っ!?な、何てこと言ってるんだ!私だけは、それは、それだけは言ったら駄目だろう!こ、これが私の本心なのか?だとして私はこいつとそういう仲になれないんだよ?こんなこと…
『俺も好きだよ』
そうか、そういうことか…何だこの馬鹿は!わざわざ私に近づかせないためにリン達を呼んだのに…
でも、悪い気はしないなぁ…ん?視線…?誰か…あっ。
『アリス、洗ってくれ』
そんなことを言った時、こいつは改めて馬鹿なんだなと思った。いや他に良い人いるだろう?リンもノートもお前が大好きなんだよ?何も私に…そういうことか?誰が洗うかで揉めてたのを解決しようとしているのか?まあそうか、リンやノートといる時、こいつ楽しそうだったからな…
『本当に俺はお前に洗って欲しかった、ただそれだけだよ』
……何で?そんなに私のことが好きなのか?リンもノートもいるのに、それでも私を選ぶのか?こんなに私のことを思ってくれる人を…利用するのか?使い潰すのか?
…世界の危機なんて気にすることなくこうやってずっとこいつと一緒にいるのも悪い気は…いや違う!むしろそのために私は世界を救うんだ!
それほど私はこいつに…いやそれ以前にあの時救ってもらった時から、もしかして…
“私は本心から健一のことが好きなのか?”
もう1人の子=エルが来たのだが、いかんせん性格が最低で○乱でほわほわで気持ち悪くて、言い過ぎた。とにかくこんなやつには彼を渡したくはないと思う。……この感情は“嫉妬”だと言うのか?だとすると私はやはり彼のことが…?
嫌な予感がする。彼が…取られるような。
健一『何か悩みでもあるのか?』
いや、特に何もない…と言ったら嘘になる。とはいえ、お前に言っても理解できないだろう…何だったら一番相談してはならないやつだ。
健一『俺はお前に何もできない、お前の悩みを聞いてやれないのが……悔しい』
そうか…そこまで言うなら話そうか…
健一『あ、ありがとう、でいいのか?』
……私はリンやノートに比べて使える能力がかなりしょぼい。何か作れる訳でもなければノートのように異常スピードやスーパーアーマーがある訳でもない。加えてエルのように役に立つ訳でもないから、その…ずっと気になっていたんだよ。 君が何故あんな魅力の塊である三人を捨て、私のような低能力者を選んだんだ?それも君へのお礼とお詫びにわざわざこのハーレムルートを開放してやったのに…君はそれでもなお、役に立たない私を選んでいた。あの三人が可哀想だと思わないのか?こんなの…誰も得しないよ!もはや私のやったことは全く意味のないお礼だったのか?それとも…本気でお前は私なんかを…
健一『…意味か、そんなものないな。というか別に俺が誰を選んだっていいだろ。お前が一番いいと思ったからお前を選んだ。それでいいだろ?』
そんなこと…それでも私のことが、そんなに私なんかが好きなんだな…よく分からないけど…
それにしても、意味なんてない、か…なら私が意味もなく君を好きになってもいいのか?
健一『当たり前だ!』
なら、ならお願いだ…私に好きと言ってくれ。それで多分私は嫉妬や未練といった感情を…吹っ切れると思うから。
健一『えっ流石にちょっと分からないんだけどその、ど、どういうこと?何で?』
意味なんていらないんだろう?なら…
健一『じゃあいいか、言うよ?』
『……俺、アリスのこと好きだよ』
…ん?えっ、いやちょっと待って嘘だろう?私は好きと言ってくれたらそれでいいんだよ!?何だったらこれで吹っ切るつもりだったのに…もっと未練ができてしまったじゃないか!
健一『意味なんていらないんだよな?』
アリス『……言質取ったみたいに言うなぁ…』
ここまでとは流石に…あまりにも予想の裏をかいてくる。この人、もはや素直に目的を告げたら私のために犠牲になってくれるのでは?私はこの人が好き、なんて自分でも分かってる。それでも私はこの人を…利用して、使い潰して、全て…
嫌だ。そんなの嫌だ!それでも私はやらなければならないのか…?そうだよ…この人も、この世界も、リン達の世界も救うために。……っ!?
予測より……早く来た!?
[chapter3: 真実 ]
流石に予想していなかった、こんなに早く来るなんて異常な事態!…違う、あの日だ!あの日違う世界の人達を呼んでから…融合が加速している!じゃあ私のせい?いやそんな…私が過ごした時間は無駄、いやむしろ悪化させていた?あいつと過ごした時間が、別れを、世界の融合を…そんなこと認める訳ないだろう!そんなの嫌だ、どうして、どうして運命はこんなに残酷なんだ…!
リン『てゆーか健一さん、リンが言ったら絶対添い寝してくれたのに~、何か変わった?』
ノート『そういえば、あなたこんなに積極的な人だったかしら?』
エル『薄々感じてはいましたが、そこにいる健一様は、エルの知ってる健一様ではないのでは?』
はっ…?全てバレた?そんな訳…いやむしろ三人は“元の世界の彼”を見ていたんだ!それはそうだよな?じゃあ仕方…いや、逆にこれはタイミングが良いのでは?いつかは言うはずだったから….....教えてあげても良いか…な。
エル『教えてください。貴方は誰なのですか?』
ノート『いやエル、急に何言って…』
リン『でもよく考えたら、健一さん毎日リンの味噌汁食べてるはずなのに、初めて食べたみたいな感覚してたし』
ノート『……言われてみればあなた遊園地楽しむような人じゃないし、お詫びして食事に連れて行くような格好いい人じゃないわよね』
エル『まあこんな感じで色々誤差が進行形で生じているわけです。そして検索したところ、前々から空間同士のズレが発生していることも分かりました。これを踏まえて貴方達に改めて聞きます。』
『貴方は一体誰なのですか?』
健一『いや、誰って、そりゃ君達の…』
エル『検索を続けて分かったことがあります。この世界は、本来存在しない世界だと。』
リン『どういうこと?』
ノート『ていうか、何言ってるのよ!?』
エル『貴女達は気づいていないのですか?この世界の“違和感”に』
ノート『……確かに言われてみたら、あの人こんな積極的な人じゃないような』
リン『そういえば、健一さん最近、リンに甘えなくなったような…』
エル『アリスその表情、何か知ってそうですね』
ああ…全て知っている。こんなことをした全ての原因は私なのだから。
エル『話してください。貴女が知ってることを』
アリス『分かった。だがその前に、健一、お前はこの場から離れてくれ』
健一『えっ、何で?』
……君には、君にだけは話したくない。
健一『分かった』(バタン)
私は全てを話した。当然困惑していた。そりゃそうだろう、彼女達は自分が世界を救う人の捌け口として…それだけのために呼ばれて、知らない人を愛する人として毎日接していたなんてこと。 普通の人は困惑することくらい分かってる。その上親、友達とも別れて全然知らない人達と、全然知らない1人を取り合っているようなこと…
『そういうことか』
どうやら聞かれていたようである。あんな形で追い出されたら立ち聞きもするだろう。なら2度説明する必要もない。早急にお願いして…!?
リン『嫌だ!健一さんと離れ離れなんて!』
健一『おいくっつくな!』
ノート『私も嫌よ!アリス、私達でどうにかできないの!?』
無理だ…融合は加速している。そんな簡単に止められるものじゃない。できれば私が止めてやりたいものだ。それでも私は創造主なんだ。君たちの世界のためにも......こうするしかないんだ。分かって欲しい。
エル『もしそうなったら、エル達の記憶はどうなるのですか?』
健一『俺の能力でどうにかできる!』
リン『だめ!健一さんと離れたくないよう!』
ノート『そうよ!嫌よ!』
エル『(ぐぐぐ…)離れないでください』
健一(…アリス頼みがある.…俺の能力で三人を眠らせるから、その後運んで記憶を消して欲しい)
アリス(……分かった)
リン『世界がなくなっても、健一さんはリンとずっと一緒!』
エル『このエルのものですよ』
ノート『どっちも違う!私のよ!』
健一『お前らしばらく寝てろ!』(キイイイイン)
リン『あ、あれ?何か眠く……(バタッ)』
三人『『『zzz…』』』
…行った。行ってしまった。
何も…できなかった。止めることも、せめて送り出すことも……
せめて私が呼んだんだ。その償いくらいはしてやるか。リン、ノート、エル…お前達がそんなに想うなら力を貸してやれ。私も、お前を…呼んだ、死なせてしまった償いを……
創造主技“フルスロットル”
……終わった。世界の融合は避けられ、5つの世界は全て何もなかったように分離を始めた。
これで後は私がリン達の記憶を消して元々の世界に帰せば全て終わりだ。全てなかったことに…
リン『健一さん!ねえ健一さん!』
…声がする。リンの声だ。彼女達には本当に申し訳ないと思う。思ってはいるのだが……
ノート『嫌よ!あなたが死ぬのだけは!』
エル『悔しいですが貴方達と同意です。健一様が死なれては困ります』
ノート『ずいぶん落ち着いてるわね』
エル『本心では怖いですよ……でも健一様にそのような感情を見せたくありませんので』
健一『うう…丸聞こえだよ…』
…生き、てる?だとしてもおそらく能力は使い切ったはず。寿命は短いだろう…別れの瞬間くらい一緒にさせてやるか…“その時間”を見ることができないのは悔しいが。
リン『健一さん!生きてたの!?』
健一『まあな…でももう駄目そうだよ…能力使いきったみたいだし』
エル『回復能力も通じません……』
リン『えっ!?じゃあもしかして、健一さん死んじゃうってこと!?』
エル『悔しいですが持って、数時間…ううっ』
健一『何だ泣くなよ…』(スッ)
エル『涙を拭いてもらうのは久しぶりですね』
リン『やだ、やだぁ……』
ノート『何で、何でよ!何であなたが…!』
健一『元々俺はこうなる運命だったんだよ』
エル『しかし、死ぬことはないのですよ?』
健一『はぁ、だいぶ言い残していることもあるのに、やりたいこともあるのになぁ…じゃ、言い残したことは言っておこうか』
健一『リン……』
リン『なぁに?』
健一『何かあっという間だったよな、でも料理得意だったなんて知らなかったよ。またお前の味噌汁が食べたかったんだけど、もう駄目そうだ』
『抱きしめた時思ったんだ。こんなに小さいのに色々抱えて…こんな子を残して死ぬのか……』
リン『ううっ、健一さん!味噌汁なんていくらでも作ってあげるから!だから絶対!絶対に死んじゃ駄目だよ?約束だよ…?』
健一『絶対、か。そうだなぁ…守れるかなぁ…』
リン『絶対だよ?』
健一『そうだといいよなぁ』
考えてみると、こんな小さい女の子を置き去りにしてこの世を去るということか。可哀想だが、仕方ないことだ。
健一『ノート……』
ノート『何?』
健一『何か一番苦労をかけた気もするよ。お前も辛かったよな?遊園地行ったり、料理食べに行ったり…花火、綺麗だったなぁ…』
『あの日のノートは花火よりずっと綺麗だった…その、せめて俺がもう少しちゃんと気付ける人だったら、もっとお前は笑えてたよなぁ、何かもう今更謝っても謝りきれないよ…』
ノート『今そんなこと言わなくていいのよ!だったら、もっと生きなさいよ!そして私にもっとちゃんと謝って、もっと私を笑顔にしなさいよ!そうするまで、絶対、生きてもらうんだから…!』
健一『はぁ、そうだよな…正論だよなぁ』
ノート『そう思うならちゃんと生きなさいよ?』
このぐらい素直に泣けるなら.....このぐらい素直に泣きたい。せめて最期ぐらい会いたくて.....。
健一『はぁ…エル……』
エル『何ですか?』
健一『お前は俺にいろんなことを教えてくれたよな、スマブラとか、そしてあんま言いたくないこともやってしまったよなぁ…てかスマブラやってたときはこうなるって思ってた人は今いないよなぁ…俺もエルに、何か一つぐらい教えてやれたらなぁって、そう思うんだ…』
エル『せめて生きる方法を教えてあげられたら良かったのに、すみません』
健一『謝らなくて良いよ…人はいつか絶対死んでしまう、それが早いか遅いかの違いだよ…』
エル『そんなこと言う人ではないでしょう?それぐらい分かっていますよ…?』
健一『…お前らもう泣かなくていいよ…多分アリスが記憶消してくれるよ』
…せめてその時間くらい、最後くらい二人で…いや駄目だろう!彼女達の方がよほど愛していたんだ!むしろ私のような人がいたら駄目なんだ!…私は巻きこんだ責任がある。リン達に突然赤の他人を愛してくれと言った責任がある。私は一緒にいたら駄目なんだ。私は創造主なんだった。この人達とは違うんだ。
それでも…リン、ノート、エル…悪い。私は愛していたんだ。せめて最後くらい、最後くらい二人にさせてくれ…邪魔しないで欲しい…
リン『あれ?そういえばアリスは?』
健一『そういえば…』(バシュンッ)
三人『『『えっ?』』』
[chapterfine: 君と私のエンディング ]
健一『あれ?ここどこだ?ベッド?』
アリス『……久しぶりだな』
健一『俺は何でこんな所に来たんだ?』
アリス『私が連れて来たんだ』
健一『何でそんなこと……』
アリス『別に何でもいいだろう?』
アリス『…空間の分離が始まっているな』
健一『じゃあ頼むよ』
アリス『いよいよ自分が死を迎えるというのにずいぶん余裕そうだな』
健一『……もう終わりで良いんじゃないか?』
……はっ?
健一『どうせその冷めた態度も、俺に好かれたくないから仕方なくやっているんだろ?』
…全てお見通しって所か。そんなに私のこと見てくれてるなんて…本当に好きなんだな。
健一『うう、お前の姿が見えなくなってきた…俺もそろそろ終わりかな』
アリス『記憶は私がどうにかしてやるよ』
健一『じゃあ頼む』
もちろん本当は忘れたくなんてない…だけどこれが結局こいつの為なんだな、私だけが辛い思いをしてればいい…そう、私だけが……
健一『ア、アリス…』
アリス『ん、どうした?』
健一『俺は…お前のことが……』(ガクッ…)
アリス『えっ…?おい!』
………終わった。本当に全て終わったんだ。リン達も、こいつも全て忘れるんだ。
これで良かったんだ。こいつも私なんか愛しているよりもっと良い人がいくらでもいるだろうし、彼女達も私なんか関わらない、好きな人を取り合う必要もない。…悲しむのは私だけで良い。
これで良いんだ。これで………
『あの状況で助けない訳ないよね?』
っ!?そう、だ……私はこいつを一度死なせているんだ。それなのに…また死なせてなおその責任も放棄するのか?私は既にこいつを殺して「もう一度死んで欲しい」といったようなものだ。それなのに......提案に乗った。そんなやつを……良いのか?運命とか宿命とか以前の問題じゃないのか?
『良かった…助けられて!アリスがいなくなったりしたら俺、耐えられないから…』
あの日…私が言ってしまった本心は伝わっているのか?いるとすれば、ちゃんと言わなければならないのではないか?
『本当に俺はお前に洗って欲しかった、ただそれだけだよ』
君の背中、頼りになりそうで全然そんなことないような複雑なものだった。リン達を差し置いて私を選んでくれた君は本当に私が好きなのに……それなのに私は宿命とかにかこつけて、謂わば逃げていたようなものじゃないか!
『…意味か、そんなものないかな。というか別に俺が誰を選んだって良い…とまでは言えないけど。でも俺はアリスが一番いいと思ったからお前を選んだ。それで良い?』
本当に君の想いは裏も何もないんだな…私の前のパートナーは変わっていたのに......何なら私はずっと嫌われるような態度を取っていたのに…君は変わることなく私を愛していた。その想いに私はどうして答えてやれなかったんだ…!
『……俺、アリスのこと好きだよ』
何で、何で私なんか…!リンもノートもエルも凄く良い人なのに…!そんな人達を捨ててまで私を選んでくれていた君が…君が…
私はがさつで、淡白で、君の何にも気づけなくて、その上女っ気なんて一つもないのに…!
……嫌だ。
嫌だ嫌だ嫌だっ!こんなに私を愛してくれて、私のことを想ってくれて、私のために私が提供したものを全て捨てて…!そんな人を失うなんて絶対嫌だ!私は、私だって、君が……!
『健一、健一っ!』
私、今までずっと我慢してたんだよ……世界が戻れば終わりで良かったんだよ!でも今失ってやっと後悔したんだよ!健一、私は君を失ったらもう誰も隣にいなくなるんだよ…?私のパートナーはもういないんだよ?それにいたとしてもう前の想い人じゃないから......。
今……私寂しいんだよ?それで君に代わりになって欲しかった、でも他のメンバーを呼んだから、もう無理だったんだよ…
でも君は私には勿体ない人だ。だから他のメンバーの誰かとなら、幸せになれると思ったよ。でも私が君のことを好きになったんだよ…謝りたいぐらいだ。でもそのためにも......そうだよ!
それでも君は私を愛してくれて…私のために全て捨てて…だから私は君が好きだ!リンやノートやエルなんてどうでも良い!世界なんて勝手に滅んでくれ!創造主なんて捨ててやりたいさ!もう私は君しか考えられないんだ!今まで君が愛してくれた分、私だって君のこと愛してあげるから!もう死んでくれなんて言わないから!
私は、君のことが好きだ……
だから……お願い……
……戻って来て………
健一っ……
健一『ん、んっ…』
アリス『健一?おい、健一!?』
健一『アリス…アリスっ!』(ギュッ)
アリス『ど、どうした!?』
健一『ただいま!それと…大好きだアリス!』
アリス『…うん!私も健一のこと大好きだよ!』
健一『体に違和感がない…何でだ?』
アリス『私にも分からないけど、もう生きてるだけ良いよ!』
健一『ああ…じゃあ帰るか!』
アリス『うん、でも帰る前に…』
ちゅっ……
健一『ん?……ん~っ!?』
アリス『んっ、今まで我慢していたんだよ?だから......これぐらい許してよ?』
健一『まあ、いいけど…』
アリス『おい、どうし(ちゅっ)…ん?んっ……ああっ、何だ、やっぱり君も気持ち良かったんだな///』
健一『…ああ、ときどきまた、な』
アリス『…まあこの世界も、恐らくもう無くなってしまうんだけどな』
健一『大丈夫だよ(両手を掲げ)』この世界はずっと残り続ける!”』(キイイイインッ…)
『この世界はずっと残り続ける!”』
(キイイィィンッ…)
アリス『……世界の分離が止まった?おい、お前の能力は尽きたんじゃないのか?』
健一『今の俺の能力は“未来を創る能力”だよ、その力で止めたんだよ』
アリス『なるほど…じゃあまあ帰るか』
(スッ)ん?手繋いで欲しいのか…じゃあ(だきっ)
健一『はっ?いや俺は手を繋いで欲しいだけで何も抱きついてくれ、とは言ってないよ!?』
アリス『予想の先を行くのが神の能力だよ!』
健一『ていうか、こんな状況誰かに見られたらどうするんだよ?』
アリス『誰も見てないから大丈夫だよ…いっそ見せ付けてしまえば良いんだよ』
健一『ええっ…まあ、良いけど』
私は君を使い潰す気だった。誰でも良かった。でも今は違う。あの日、私を助けて…
出会ったのが君で良かった。
健一?君は私と暮らしている今の日常が満足か?
私は.....うん。満足だよ。
ありがとう。健一。それと、大好き。
続く
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