なま
50年の歴史を持つ桜才学園は少子化に伴い今年から共学化した。そこに入学した津田タカトシは生徒会長の天草シノにネクタイの歪みを指摘され、遅刻してしまう。そこでシノは彼に生徒会への加入を提案する。こうして半強制的に生徒会の副会長になった津田は書記の七条アリア、会計の萩村スズと共に生徒会の日常を始めることになる。
シノ「津田よ」
タカトシ「会長?」
シノ「ズボンの裾がだらしないぞ」
タカトシ「あっ、すみません」
シノ「私が治してやろう」
「んっ……ふぅ……」
(あぁ〜〜……やっぱりこの人上手いな)
シノの手つきに興奮するタカトシだったが、それは顔に出さず、平静を保つようにしていた。しかしシノはそれを見逃さなかった。
シノ「なんだ津田、緊張することはないぞ」
タカトシ「あっはい」
「あのー先輩?俺も男なのでそう言う反応されると困るんですけど……」
シノ「大丈夫だ!私は慣れているから!」
タカトシ(えぇ……?)
「ちょっとトイレに行ってきますね」
タカトシはトイレに行くふりをして廊下に出た。そこには萩村がいた。
タカトシ「萩村、何してんの?」
萩村「速読。たまにやると良いわよ」
タカトシ「俺には無理だなぁ」
「それよりどうしたの?」
タカトシ「実はさっき……」
〜事情説明中〜 タカトシ「と言うわけです」
萩村「それってセクハラじゃないの!?︎」
タカトシ「でも相手は会長だよ?そんなこと出来ないじゃん」
「まぁそうなんだけどさ……」
その時、生徒会室のドアが開いた。そこにいたのは天草シノだった。
シノ「おぉ津田か。どこに行ったのかと思ったらこんな所にいたのだな」
タカトシ「ちょっと用事があって。それよりも会長、さっき何しようとしたんですか?」
シノ「いや、ズボンの裾が……」
スズ「会長?津田のズボンは特に何ともないですよ?」
「私も確認しました」
シノ「そ、そうだよな」
タカトシ「とにかく俺は戻りますね」
タカトシは再び生徒会室に戻った。そして再び仕事に取り掛かる。するとまたドアが開く。入ってきたのは七条アリアだった。
アリア「シノちゃん」
シノ「アリアか。遅かったな」
アリア「柔道部に呼ばれてて」
タカトシ「七条先輩の用事って?」
シノ「対外試合の予算だな」
タカトシ「へぇ〜」
シノ「それでアリアは何をしに来たんだ?」
アリア「生徒会の備品を補充しようと思って。はいこれ」
シノ「助かる。これで足りるか?」
アリア「うん。ありがとう」
タカトシ「じゃあ俺がやりましょうか?」
アリア「お願いできる?」
タカトシ「大丈夫ですよ」
シノ「私も手伝おう」
「いいですよ。会長は自分の仕事をしててください」
シノ「そう言わずに。ほらっ」
シノはタカトシの隣に座ってきた。
タカトシ「近くないですか?」
シノ「……嫌か?」
タカトシ「いえ」
そう。シノはタカトシに恋をしているのだ。とはいってもタカトシは全く気付いていないが。
「えっと、まずはこれかな」
タカトシ「はいどうぞ」
シノ「ありが……ん?」
タカトシ「どうかしたんですか?」
シノ「この書類は何に使うんだ?」
タカトシ「風紀委員に渡す用です。風紀委員長の五十嵐さん、こういうのちゃんとするので」
シノ「それもそうか」
「次はこっちですね」
シノ「ああ」
「あれ?これも違う」
シノ「どれだ?」
タカトシ「それは会計に渡さないと」
シノ「どこにあるんだ?」
タカトシ「確か資料室の棚にあったような」
シノ「私が取ってこよう」
「すみません。おねがいします」
彼女は資料室へ行った。すると部屋に残っていたスズがタカトシに話しかけた。
スズ「津田」
タカトシ「萩村?どうかした?」
スズ「そこの資料取ってくれ」
タカトシ「はいどうぞ」
スズ「ありがと」
「よいしょっと……」
「!?︎」
何という事だろう。彼女が資料室に戻ろうとした時、誰かとぶつかった。
「ごめんなさい。って七条先輩じゃないですか!」
アリア「私の方こそごめ……えっ?」
「?」
「あっ」
そこにはお互いの下着姿があった。アリアの方はかなり際どいものだった。一方のアリアも相手が津田だと分かり赤面する。そして二人は慌てて服を整える。
アリア「つ、津田君だったの!わ、忘れて!」
「はい」
アリア「そ、あっ」
ニ人の前に資料を取りに来たシノがいた。彼女は全て見ていたらしい。
「会長。さっきの事は見なかったことにしてください」
シノ「うむ。私は何も見てない」
アリア「私はちょっと誤解してますけど」
「七条先輩。後で話があるので放課後生徒会室で待っていて下さい」
アリア「えっ、ちょ」
放課後
アリア「津田君?」
「なんでしょう?」
アリア「どういうことなのかしら?」
「どういうこととは?」
アリア「とぼけないで。私と津田君の仲だから許すけれど、他の女の子なら大変なことになっていたかもしれないのよ」
「すみませんでした」
アリア「私は良いけどシノちゃんにはどう説明するつもりなの?」
「俺が生徒会に入るきっかけになった出来事を話すつもりです」
アリア「そう」
「では失礼しました」
アリア「待ちなさい津田君」
「まだ何か?」
アリア「今から津田君の家に行かせてくれないかしら」
「何故?」
アリア「お説教が必要みたいね」
「えー」
その後タカトシはアリアにたっぷりとお説教されたそうな。
終わり この物語はフィクションです。実在の人物・団体等とは関係ありません。
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