消えた記憶と人格 (過去編、第6話)
春雨編、終了です。
スイカを食べたいです。
軍人みたいな人が、目の前にいる。殺させる事を覚悟して、目を閉じた。
けれども、何もしてこなかった。
すると、鞄を開ける音が聞こえてきた。
もしかしたら、武器を取り出してくると思ったが、そんな事も無かった。
??「おーい、起きてるかー?」
春香「…え?」
??「あ、起きてた…。飴食うか?」
目の前にいた男の人は、自分に殺意を向けるどころか、笑顔で飴を差し出していた。
春香「…ふえ?」
男 「あれ? イチゴ味は嫌いだったか? じゃあ、こっちのレモン味で…」
春香「い、いや、飴の事じゃなくて…。わ、私を殺さないんですか?」
男 「いやいやいや…。んな事しないよ、俺は!?」
春香「じゃ、じゃあ、なんでここに…?」
男 「この辺の住人から、深海棲艦みたいな人がいるからどうにかしてくれっていう、依頼が来てたからな」
春香「じゃあ、やっぱり、私に何かするんですか…!?」
春香が、男から距離を取る。
男 「だから、何もしないって…。そもそも、人を傷つけるための道具とか今は1個もないからな!?」
男が、持っていた鞄を開けた。中には、今さっき取り出した飴の他に、何かの資料やノート類しか入っていなかった。
男 「ほら、これで信じてくれるだろ?」
春香「ホントに、何もしないですよね…」
男 「信頼してくれよ…。もしかして、顔が怖いとかか? 顔はどうしようもないぞ…」
春香「わ、分かりました…」
春香が、恐る恐る男に近づく。そして、男の目の前まで移動した。
男 「さて、ちょっと移動するか」
春香「移動、ですか? でも、どこに…」
男 「病院だ。俺の知り合いに、深海棲艦みたいになっちまった奴を治した事のあるヤツがいてな。そいつの所に連れていく。お前も、その身体のままじゃ、嫌だろ?」
春香「で、でも、その人って本当に信じられる人なんですか…?」
男 「ああ。これまでも、お前以外に何人か何かしら問題を抱えていた娘たちを治したことがあるからな」
春香「そ、そうですか…」
男 「とりあえず、移動しようか。ここにずっといるのも嫌だろ? まぁ、何か思い残す事があるなら今のうちにやっときな。もうこの家に戻る事は多分、無いだろうからな」
春香「分かりました…」
そう言うと、春香は庭にある桜の木の所に移動した。そして、その桜の木に一言だけ呟いた。
「さようなら」と。
その後、春香は男と一緒に病院に向かった。
とはいっても、とんでもない程離れているわけでも無く、車でせいぜい1時間程度の所だった。
しかし、病院には沢山の人がいた。
春香「こ、ここに本当にそのお医者さんがいるんですか?」
男 「まぁな。この病院は、表向きは普通の病院だ。けれども、実は裏ではとある事を行っているんだ」
春香「ある事って…?」
男 「深海棲艦や、艦娘候補の研究だ。まぁ、深海棲艦を研究材料にするなんて事はしないけれどもな」
春香「ほ、ホントに大丈夫なんですか…?」
男 「大丈夫だって…。あ、その例の医者が出てきたぞ」
医者「…どうも」
男 「ワリィ、今日もここを利用させてもらうぞ…。今回は、お前の力も借りるぞ」
医者「分かりました。状態は、聞いていた通りですね。とりあえず、深海棲艦化したところを取り除かなきゃいけませんね」
男 「あと、今回も…頼むぞ」
医者「分かりました…。今回も、ですか…」
男 「ホントはしたくないんだけどもな…」
男と、医者が2人で話しているのを見ると少し不安になった。
けれども、自分の身体を治してもらうにはこうするしかないと考えるしかなかった。
医者「じゃあ、この娘は連れていきますね」
男 「ああ。頼む」
医者が、春香を連れていった。それを見ている時、男は自分自身の下唇を血が出るまで噛み続けていた。
男 「また、海軍の所為で子供たちが苦しめられるのかよ…。クッソ…」
そう、男は呟いた。
ーーとある部屋ーー
医者「じゃあ、そのベッドに横になってください。麻酔を入れるので」
春香「は、はい…。あ、あの…」
医者「どうかしましたか?」
春香「本当に、私の身体は治るんですか?」
医者「ええ。治してみせますよ。必ず」
医者は、笑顔でそう答えた。その笑顔を見て、春香は安心した。そのまま、麻酔を打たれ眠りについた。
ーー数時間後、部屋にてーー
男 「…どうだった?」
医者「完璧に、除去出来ました。あの娘は、もう1人の人間の女の子に戻りましたよ。あと、記憶の処理も…」
男 「ホントに悪い。記憶処理なんかホントはやりたくないんだけどもな…」
医者「そう、ですね…」
男 「よりによって、この娘の親が例の実験を受けてたヤツだったとはな…」
医者「深海棲艦の細胞を、艦娘候補の人間に植え付ける実験ですか?」
男 「ああ。あの実験は失敗して凍結されたはずなんだけどもな…」
医者「しかも、データを見る限りだと…」
男 「これ以上は、止めておくか。どこに俺たちを狙ってくるヤツがいるか分かんないからな」
医者「はい…。ちなみに、この娘も例の施設に連れて行くんですか?」
男 「そうだな。あの娘も、戻る場所が無いんだから仕方ない、か…」
(2週間後)
春香「お、お世話になりました…」
私は、病院を退院した。急に、体調不良に見舞われた後にこの病院に連れてこられたんだけども…。
あんまりそこら辺の記憶が残ってないんです…。そんなに体調が悪かったんでしょうか…。
男 「じゃあ、行くぞー」
春香「は、はい…」
男の人曰く、家には両親がいなくなっているらしいので帰っても、私1人になってしまうので施設に連れて行くらしいです。
男 「じゃ、行くぞー」
そのまま、男の人が運転する車に乗り込んでその施設に向かいました。
その施設には、同じ歳ぐらいの女の子が4人と、男の子が1人いました。
男 「…すまん。また、こんな事になって…」
男2「分かってますよ。この娘も、何かあったんですね…」
男 「ホントにすまねぇ…。じゃあ、俺はまた行ってくる。今度も…。よろしくな」
男2「分かってますって…」
男は、また施設を後にしていった。結局また会うことになるが。
その頃、春香は部屋に案内されていた。
優斗「また増えたよ…」
茜 「また言ってる…」
優香「まぁ、1か月ごとに新しい家族が増えるのも違和感感じるよね」
由衣「まさか、増えるとは…」
咲 「遂に、妹がきたっぽい!?」
春香「え、ええ?」
咲が、珍しいモノを見るような目つきで春香を見る。その光景を見てられなくなったのか、由衣の水平チョップが咲の脳天に直撃した。
由衣「咲はもう少し落ち着きなさい…」
咲 「だからといって、チョップは酷いっぽい!!」
優香「2人とも、落ち着いて…」
茜 「い、いつもこんな感じだけども、すぐに和めると思うから! う、うん!!」
優斗(必死だなぁ…)
春香「え、えっと…。じゃ、じゃあ、よろしくお願いします?」
優斗「よろー」
茜たちはてんやわんややっていて、どうしようもない状態だったので優斗がテキトーに反応した。
こうして、春香が加わってからの生活が始まった。
(もはや恒例の2週間後)
茜 「ゆーくん…。今日こそは…」
優斗「一緒に風呂は入らんぞ」
茜 「聞く前に拒まれた!?」
優斗「どうしてそんなにこだわる?」
由衣「もはや、恒例行事と化しているわね、コレ…」
咲 「おとといも、昨日も見たっぽい」
優香「もう、一緒にお風呂入れば?」
春香「で、でも、いくらなんでもこの歳で男の子と女の子が一緒にお風呂に入るのは無理があると思います、はい…」
優斗「だとよ」
茜 「だって偶にはいいじゃん…」
優斗(そもそも、お前の身体つきがアウトなんだけどもな)
茜 「?」
優斗(あの2つに育った、たわわなアレが…。って何考えてんだ俺は)
茜 「どうかしたの、ゆーくん?」
優斗「何でもないです…」
春香「優斗さん、顔真っ赤ですけども…」
優斗「何でもねーっつうの!!」
こうして、新しい家族が増えた。
なんで、あの病院にいたのかは分からない。けれども、みんなで幸せに過ごしていけるなら…。今はいいかな。
(過去編、春雨編 終)
(毎度恒例、おまけ)
春雨の設定
○春香(白露型5番艦「春雨」)
本名 桜護 春香
親が、元艦娘。親の退役後に生まれた。
しかし、親が退役前に受けた実験(今話にて説明)の影響により親の身体の一部が深海棲艦化。
退役後には、深海棲艦化はどうにか治ったものも春香を身ごもった際に、双子だったことが判明。しかし、片方の娘は生まれる前に死亡。
そのため、もう片方の娘の人格が春香に入りそのまま気づかずに成長していった。
また、両親は退役後に戦争が激化した事もあり急遽、艦娘や提督として復帰した。
しかし、戦争の影響で帰らぬ人となってしまった。
春香のもう1つの人格は、深海棲艦化した部分のみを取り除くことによって消えた。
最近は暑くなってきて、外でマスクをつけるのも苦痛ですね…。
僕の場合は、メガネは曇るしマスクの中は熱気がこもるしで…。もう地獄です。
けども、再び新型コロナウイルスがはやり出しているので我慢するしかないですね。
皆さんも、健康にはお気を付けて!!
続きが...気になる...。
投稿を頑張ってください!!
※1
了解です!!