僕と あの娘?(最終章、第7話)
後書きは先に見ないでください。
新型コロナが収まる気配がまったくないんですが…。就活が…。
どのくらい走ったんだろう。どのくらい遠くに来たんだろう。今頃、優香たちはどうしてるだろう。
そんな事を、ベンチに座って考えていた。
自分自身が嫌になった。優斗の事ばかり考えすぎて、妹たちの事はほとんど後回しにしてしまった。
そのせいで、妹である咲は…。優斗に怒りをぶつけるという事が起きてしまった。…あってはならない事だ。
そして、私は…。逃げ出した。
ーーどこかの公園にてーー
白露「…」
白露(どうしよう…。逃げてきたのはいいけれども…。どうすればいいんだろう…)
そもそも、ここが何処かよく分からない。そう考えると、私はかなり遠くに逃げてきたみたい。
白露「はぁ…、私…。お姉ちゃん失格だなぁ…。咲がどうなるか予想はついたかもしれないのに…」
下を向いたまま、動けなかった。けれども、少し経つと雨が降ってきた。
白露「あ、雨ぇ…? ど、どうしよう、傘持ってきてないし…。とりあえず、雨宿り出来るところ探さないと…」
??「あ、茜~」
白露「え…。お、お姉ちゃん!?」
朱里「お姉ちゃんですよ~。まぁ、今はそんな事は置いといてっと…。とりあえず、着いてきなよ」
白露「え、あ、うん…」
私は、お姉ちゃんの言われるがままに着いていった。着いていくと、そこには優斗や祐樹の鎮守府よりかは少し小さい鎮守府に着いた。
白露「ここって…」
朱里「私の鎮守府だよ~。まぁ、いいから早く入りなって。びしょ濡れになって風邪ひくわけにはいかないでしょ?」
白露「う、うん…」
そのまま、お姉ちゃんの鎮守府へと入っていった。入ってからすぐに、大浴場へと連れて行かれた。
朱里「とりあえず、ゆっくりお風呂にでもつかってゆっくりしなよ。…事情は分かってるから、話は後で、ね?」
白露「う、うん…。あ、でも着替えがない…」
朱里「じゃ、ここに替わりになりそうな服置いとくよ。とりあえず、今はゆっくりしなって」
白露「う、うん…」
お風呂でゆっくりと過ごした後、執務室へと向かった。そこでは、お姉ちゃんが駆逐艦の娘と一緒にいた。
響 「だから、司令官…。頭を事あるごとに撫でるのはやめてって言ったじゃないか…」
朱里「響ちゃんが可愛いから、仕方ないの~!」
暁 「響ったら、そんな事を言ってる割には、喜んでるじゃない!!」
雷 「まぁ、どこかの1番艦さんは頭を撫でられたら喜んでないフリして、部屋に戻ったら喜んでるけれどもね」
電 「どこかの誰かさんは、なのです」
暁 「そ、そんな事はやってないわ!!」
雷 「あら? 私と電は、どこかの、としか言ってないわよ?」
暁 「あっ…」
朱里「も~。暁ちゃんは素直じゃないんだから~」(暁の頭を撫でながら)
暁 「あ…。ちょ、ちょっと!! 頭を撫でないでよ!!」
白露「…。あの~。入っていいですか?」
朱里「あ、茜~。入っていいよ~。暁ちゃんたちは、一旦部屋に戻っててね」
暁たち「は~い」
暁たちが部屋に戻っていく。部屋には、朱里と茜の2人だけになった。
朱里「さて、と…。じゃあ…」
白露「その前に聞きたいんだけれども…。なんで、私を見つけれたの…?」
朱里「ああ、それね。祐樹から連絡があってさ~。茜が鎮守府から逃げ出したってね」
白露「逃げ出したって…。まぁ、そうかもしれないけれどもさ…」
朱里「…優斗、記憶なくしちゃったんだよね」
白露「…」
朱里のその一言で、空気が一気に変わる。優斗の事が、脳裏に浮かぶ。
白露「うん…。何やっても…。思い出せないみたいで…」
朱里「うん」
何故か、言いたい事がスラスラと口から出てくる。
白露「頑張っても、頑張っても…。結局は無駄になっちゃって…」
朱里「うんうん」
白露「それで、咲たちの事を見れなくて、ゆーくんを傷つける事になっちゃって…」
ギュッ。
白露「…え?」
朱里「もう、それ以上言わなくてもいいよ。それ以上言ったら…。茜、壊れちゃいそうだったから」
朱里が更に力をこめて抱きしめる。同時に、茜の頬を涙が流れ落ちた。
朱里「今日は…。我慢しなくてもいいんだよ。むしろ…。一人でよく頑張ったね。茜。だから…。今だけは、思いっきり泣いてもいいんだよ」
白露「お姉、ちゃん…。私、わたしぃ…。うわぁぁぁ…」
朱里「よしよし…」
茜の頭を、朱里が優しく撫でる。
茜は、ずっと我慢して来た。自分が泣いていたら、妹たちが心配するから。支え合うって、約束していたけれども…。
妹たちに頼りっきりにするわけにもいかないと思って、結局我慢した。
けれども、いつまでも耐えれるわけもない。そして、逃げ出した。
朱里「まったく…。困った時は、誰か頼れる人に助けてもらえばいいのにね…」
白露「うう…」(´Д⊂グスン
朱里「まぁ、とりあえず落ち着くまで、ここでゆっくりしていきなよ」
白露「うん…」
朱里「あ、あと言い忘れてたんだけれどもさ。しばらくの間はこっちの鎮守府にいてもいいってさ」
白露「え…?」
朱里「いや、祐樹から電話あったんだけれどもね。茜がお風呂入ってるとき」
白露「うん」
朱里「祐樹曰く、しばらく休養する期間を設けておいた方がいいと思うってさ。まぁ、私も同意見なんだけれどもね」
白露「でも…。あと、少ししかないんだよ!? 優斗が鎮守府からいれなくなるまで…」
タイムリミットの4月5日まで、もう数日しかない。
朱里「それは…。なんとかしてみせる!!」
白露「雑すぎる!!」
朱里「ウソウソ。冗談だって…。ちゃんと、情報収集はしてるから…。けれども、どれほど効果があるかは分かんないけれども…」
白露「大丈夫、なの…?」
朱里「まぁ、うん…。頑張ります」
白露「えぇ…」
朱里「とりあえず、今日はここに泊まっていきなよ。外も暗くなってきたし、天気もあんまり良くないからね…」
白露「うん…」
白露(大丈夫かな、優香たち…。みんな、置いてきちゃったし…。特に咲は…)
ーー優斗の鎮守府ーー
優斗「…」
ありとあらゆる本を読んだ。白露さんが、教えてくれた所に何回も行った。けれども、なぜ思い出せない!?
なんでこんなに使い物にならないんだ、僕の脳みそは!!
優斗「クソっ! クソっ!! クソがぁ!!」
祐樹「落ち着け、優斗!! そんな事しても何にも思い出せないぞ!!」
優斗「けども!! 僕の所為で、白露さんたちは、傷ついてしまったんですよ!!」
祐樹「そう、だけれども…」
優斗「…明日から、もう一度行った事のある所を回って見ます」
祐樹「そ、そうか…。じゃあ、俺も使えそうな資料とかを探してみるよ…」
優斗「すいません…」
祐樹「…無茶だけはすんなよ。お前がやられちまったら、白露が悲しむからな」
優斗「はい…」
翌日から、様々な所を再び回り始めた。けれども、何も僕の頭には浮かんで来なかった。
白露さんは、朱里さんの鎮守府でしばらくは過ごしていた。恐らく、心のダメージが深かったんだろうな。
…そして、遂にきてしまった。4月5日が。
(4月5日)
優斗「…」
祐樹「悪いが、今日が…」
優斗「分かってます。けれども…。粘れるところまで粘ってみせます」
祐樹「…そうか」
優斗「その前に、一つだけ聞きたい事があるんですが…」
祐樹「ん? 何かあったのか?」
優斗「この机の、ここの引き出しだけ鍵がかかっているんですが…。僕が鍵を隠して置きそうな所って分かりますか?」
祐樹「それは…。分かんねぇ。あ、もしかして金庫とかに隠してんじゃねぇか?」
優斗「金庫? あ、引き出しの下に…。でも、パスワードが分からないんですよね…」
祐樹「困ったなぁ…。とりあえず、俺も考えてみるよ。お前は、外に行ってきな」
優斗「はい…。じゃあ、金庫とかの事が分かったら連絡お願いします」
祐樹「オッケー」
優斗「じゃあ、行ってきます」
優斗が鎮守府を後にした。その時間をほぼ同じ時間に、白露と朱里が鎮守府に向かい始めた。
朱里「…ホントにいいの?」
白露「もう二度と、優斗に会えなくなるよりかは…。マシだから」
朱里「今日が最後のお別れになるかもしれないけれども、ね」
白露「うん…」
更に時間が経つ。時間は、お昼を過ぎた。
祐樹「クッソ…。パスワードがさっぱり分からん…」
朱里「祐樹~。いる~?」
祐樹「いるけれども…」
朱里「あの後、何か進展はあった…?」
祐樹「…。残念だけれども…」
朱里「そう…」
白露「…」
朱里「茜…」
祐樹「…」
執務室に、重い空気が漂う。完全に絶望的な感じだ。
そのまま、執務室から出る事は出来なかった。
~~~~~~~~~~~
更に時間が経過した。もう、太陽が沈み始めてきている。
祐樹「ヤバい、な…」
朱里「…」
白露「…」
食堂に移動したのはいいものも、食事がのどを通る気もしない。それは、白露以外もだ。
そもそも、この鎮守府にいる全員がそうだろう。
ーー執務室ーー
優斗「あれ…? 誰もいない…。まぁ、そうだろうなぁ…」
結局、何も思い出せなかった。
…僕は、無力だ。
優斗「最後のあがきも無意味だった、か…」
天井を見上げる。けれども、何も思いつかない。
優斗「はぁ…。窓でも開けるか…」
窓を開けようと、椅子から立ち上がる。その時、机から何かが落ちた。
優斗「あれ…。これって…。カレンダー?」
カレンダーを見ると、4月5日のところだけ赤い丸が付いていた。
優斗「なんだこれ…? あ、もしかして…」
金庫の鍵に4と5を入れてみる。
優斗「まぁ、開くわけないだろうけれど…」(0405と入力する)
ガチャ。
優斗「え?」
開いた。あっさりと。
優斗「適当だなぁ…。僕。あれ…。何か入ってる。これって…。ノートと…、鍵だ。もしかして、この鍵は…」
金庫の中には、ノートが数冊あった。そこから鍵を取り出すと、引き出しの鍵穴に刺す。すると、すんなりと開いた。
優斗「開いた…」
そこには…。
優斗「これって…。まぁ、一旦これは置いておこう。後は、このノートたちか…」
ノートを開く。
優斗「これ…」
そのノートを見てからすぐに。
「俺」は。
数冊のノートと、引き出しに入っていたモノを持って、走り出した。
ーー食堂ーー
大淀「元帥さん!! 大変です!!」
祐樹「どうかしたのか!?」
大淀「大変です!! 提督が…。提督が執務室からいなくなりました!!」
祐樹「はぁ!? アイツ、執務室から脱走したのか!?」
朱里「いや、脱走は可笑しいでしょ…。けれど、何処かに行っちゃったら大変じゃ…
祐樹「全員、優斗を探せ!!」
艦娘たち「了解!!」
白露「ゆう、と…?」
月が、空に浮かんでいた。雲一つない、いい天気だ。最後の夜。
起こるのは、奇跡か。それとも、絶望か。
優斗は何処に行ったのか。
茜はどうなるのか。
いよいよ終幕。
次回、最終回。「優斗と茜」
この物語は、これで終わりを告げる。
始まりがあれば終わりがくる。
ついに来てしまったのかと言う感じですね。
次回も楽しみですけど、
いろいろと大変な時期ですので、
体調に気をつけてください。
※1
次回も頑張ります!!