2021-04-17 06:36:57 更新

概要

文章力がいつまでたっても上がりません!!


前書き

(前回のあらすじ)
謎の秘密兵器について話していると、何かが鎮守府に接近してきたのを見つける。
その接近してきた者は、夕暮の実の姉である朱里だった。
朱里と再開した夕暮は涙を浮かべながら再会を喜んだ。
その一方で、秘密兵器について前元帥と医者が必死で研究していた。

なお、優斗はギックリ腰になった。


優斗「今日で一か月か…」


拠点を病院から、元・自分の鎮守府に移してからすでに一月が経っていた。

例の秘密兵器は未だに完成していないが、幸いにもあのバケモノが襲ってくる気配はない。

まぁ、俺が暴走した時に手足もいでたらしいからな…。回復するまで襲撃はしてこないって事か。

こっちから襲撃してやりたいけれども、あのバケモノがどこに潜んでいるのかが分からないからどうしようもない。

色々な方法を使って探しては見たけれども、見つからないんだよな…。悔しいけれども、アイツの潜伏能力の高さは認めるしかない。


優斗「けれども、次に会った時にはアイツを倒さないと…」


この地獄を終えるためには、次であのバケモノを倒すしかない。

これ以上、辛い目にあう娘を増やさない為にも。


白露「ただいまー」


元執務室の中で海を見ていると、茜が帰ってきた。


優斗「おう、お帰り。どうだった、優香たちの様子は」


白露「結構良くなってきてるみたいだよ。みんなにも笑顔が戻り始めてるし」


優斗「そうか。よかった、よかった」


白露「海の方には何か異変あった?」


優斗「特には何も問題なし。あるとしたら、魚が今日も釣れなかったぐらいかな」


白露「そっか。じゃあ、大丈夫みたいだね」


夕暮「おーい、新しい装備が出来たみたいだけれども…」


今度は、夕暮が部屋に入ってきた。


白露「新しい装備? なにそれ」


優斗「あー、そういえば言ってなかったな。俺用の武器作ってたんだよ」


白露「ゆーくんの武器?」


優斗「あの薬使わない限り、俺は海上に立てねぇからな。だから、遠距離攻撃用の武器を開発してもらってたんだよ」


白露「…あのドクターさん、本当に何者なの?」


夕暮「…さぁ?」


優斗「俺も正体は分かんないけれども、スゲー人であるのは事実だな。武器も作れるし、薬も作れるし、なんかよく分からん機械も開発するしで…」


夕暮「まぁ、そんな事は放っておいて、サッサと取りに行ったら? 性能のチェックとかもしなきゃいけないワケだし」


優斗「そうだな。じゃ、行ってくる」


部屋を後にする。少し駆け足で武器が置いてある部屋へと向かう。


優斗「失礼します」


前元帥「おー、来たか。出来上がったヤツはそこに置いてあるから勝手に調整してくれ」


優斗「分かりました。けれども、あの人はどこに行ったんですか?」


前元帥「アイツなら、例の秘密兵器の調整中だ。まだ完成に至らないみたいでな…」


優斗「それ程ヤバいヤツなんですか?」


前元帥「まぁ、な。けれども、完成さえすればあのバケモノを倒すことも可能になる。だからこそ絶対に完成させなきゃならないんだ」


優斗「…本当にそうですね」


前元帥「とりあえず、秘密兵器の事は置いといて。お前はその武器の調整して来な。いざという時に使いこなせなかったら困るぞ?」


優斗「アハハ…。そうですね。じゃあ、調整してきます」


苦笑いをして、武器を手に持ち調整へと向かう。

部屋に着くと、試し打ちなどを行って自分の手に慣らす。

小一時間程で手に馴染ませられる事が出来た。


優斗「よし。これでいいか。まぁ、本来だったらこんな武器を、俺が使わなきゃいけなくなる展開がおかしいだけれどもな…」


提督が戦闘に参加すること自体は滅多にない。

戦闘に参加する機会といったら、鎮守府にいる艦娘が全員戦闘不能になって深海棲艦が鎮守府に攻め込んできた時ぐらいだ。


優斗「とりあえず、コイツはすぐに使えるように俺の部屋に置いておくか。常に持っておくのは流石に無理だし…」


自室という名の執務室へ戻る。

部屋では茜と夕暮がソファに腰掛けていた。


白露「あ、ゆーくんお帰りー。武器ってソレ?」


優斗「おう。調整も出来たから、部屋に置いとこうと思ってな」


夕暮「それにしても…。提督であるアンタが戦わなきゃいけない事になるとはね…」


優斗「いや、まだ使うと決定したワケじゃないけれどもな」


3人で談笑していると、また部屋に誰かが入ってきた。


朱里「あ、やっぱりみんなここにいたんだ」


優斗「おう」


白露「お姉ちゃん、どこに行ってたの?」


朱里「ちょっとその辺で艤装のメンテ兼、調整をね」


夕暮「そういえば、お姉ちゃんここ最近艤装使ってないからね」


朱里「まぁ、特に問題はなかったから良かったよ。艤装も壊れてなかったし」


夕暮「そっか。それなら問題ないね」


目の前で、茜と夕暮、朱里が笑い合いながら話している。

でも、茜と夕暮は身体の半分が深海棲艦化しているママだ。本来だったら、3人でこうやって談笑しているのが微笑ましい光景なんだけれどもな…。

深海棲艦化を治す事は出来る。けれども、あのバケモノを倒すまでは茜と夕暮は元には戻れない。

早く、2人を元に戻してあげたい気持ちが俺自身を焦らせなければいいけれども。


…相変わらず、空が青い。雲が1つも見当たらない。

けれども、俺の心はずっと曇り空だ。いや、雨も降ってるか。

すごく、辛い。俺は、茜と夕暮の気持ちが分かっているのかどうかは分かんない。

茜と夕暮は、本当はすぐにでも深海棲艦化を治して1人の女の子に戻りたいのかもしれない。そう考えると、本当に辛い。


優斗「…俺、どうすればいいんだろうな」


白露「ゆーくん、何か言った?」


優斗「い、いや、何も!」


いつの間にか、口から言葉が漏れていた。

馬鹿野郎。こんな時にそんな事言って3人に迷惑かけたらどうするんだ。


白露「でも、目に涙…」


優斗「あ、あれ? 目にゴミが入っちまったみたいだ」


夕暮(…バレバレの嘘ついてる)


朱里(まーた、優斗の悪い所出てる…)


目をこすっていつの間にか出ていた涙を拭く。ヒリヒリと目が痛む。


優斗「あー、ゴミのせいで目がいてぇなー」


白露「…嘘はダメだよ。ゆーくん」


優斗「いや、嘘ついてはないんだけれどもな…」


白露「そうやって逃げるよね。いっつも気づかれたくない嘘ついた時は」


優斗「…」


白露「どうせ、私とか夕暮ちゃんの事で悩んでたんでしょ?」


優斗「…まぁ、うん」


白露「そんな事、心配する事ないって! まったく、ゆーくんは本当に変な所で悩むんだから…」


優斗「変な所って、おま…」


夕暮「ったく、私たちは問題ないってのに…」


朱里「本当に優斗は変な所があるよねー」


…どうやら俺は、本当にくだらない所を気にしてたみたいだ。

茜も夕暮も特に気にもしてないのに、俺だけが気にしていたなんて…。


優斗「…ハハッ」


白露「あ、ようやく笑った」


優斗「いや、俺こんな所でずっとつまずいていたって気づいたら馬鹿馬鹿しくなってさ」


白露「うん。やっぱり、ゆーくんも笑ってるのが一番だよ!」


目の前で、茜が笑顔で言う。その笑顔を見ると、こっちも元気になる。


朱里「さて、お話はこれぐらいにして。そういえば、茜も夕暮も艤装のメンテとかしてるの?」


朱里が聞くと、数秒間の沈黙が起きた後、茜と夕暮が視線をそらし始めた。

この反応は…。しばらくやってなかったな。うん。


朱里「あーかーねー? ゆーくー?」


白露「い、今すぐ行ってきまーす!」


夕暮「じゃあ、また後でー!」


2人が全力疾走で部屋から出ていった。


朱里「まったくあの2人は…」


優斗「まぁ、最近は海に出る事が無かったから…」


走っていった2人が見えなくなると、朱里がそっと口を開いた。


朱里「いつかは、私たちみんなが艤装とかを背負って戦わなくてよくなるといいよね」


優斗「バーカ。俺らで終わらせるんだよ。そんな時代を」


朱里「…そうだったね。本当は、ココに祐樹がいてほしかったけれども」


優斗「だな。まぁ、アイツはアイツで狂っちまったから」


祐樹は今、何してるんだろうか。朱里が祐樹の鎮守府から出て行ってから1カ月。

朱里を探しに来る事はなかったし、こっちに来ることも無かった。

もう、俺らはどうでもいいんだろうか。そこは、祐樹にしか分からない。


優斗「さて、俺らも俺らで出来る事やっていくか」


朱里「そだね」


決意を心に決め、空を見上げる。

今さっきと同じ青空だ。そんな青空のように、自分自身の心も雲一つない青空になったような気がした。


その一方で、茜と夕暮は夕方になるまで部屋に戻ってこなかった。

どれだけサボっていたんだ、あの2人は。



(翌日)

優斗「…今日は天気悪いな」


外は、強い風が吹き雨が降っていた。昨日はあんなにもいい天気だったのにな。


朱里「いやーな天気だね」


白露「風も強いし…。早く晴れてくれればいいんだけれどもな」


夕暮「天気予報とか、ここじゃ分かんないからね」


天気の事で話していると、耳を引き裂くようなサイレンが鳴った。


優斗「うっせえ!! 何でここの鎮守府は使われなくなってんのにサイレンは鳴るんだ!!」


朱里「あ、ソレは私が勝手にサイレン鳴るようにあっちにいた時に小細工しておいた」


優斗「あ、なるほど。って、そんな事はどうでもいいわ!! これが鳴るって事は深海棲艦が接近してきてるってことだよな!?」


朱里「まぁ、そうだね」


優斗「ちょっと見てみるか…」


海の方を目を凝らして見てみる。視線の先には、黒いバケモノだけでなく、白くて人に近い奴らがいた。


優斗「…遂に、来たのか。この時が」


朱里「そう、みたいね…」


白露「いつでも行けるよ。艤装も昨日の調整で問題ないし!」


夕暮「深海棲艦化させられてる娘たちは、あのバケモノから遠ざけたら気を失うから、倒すんじゃなくて気を失わせてね」


朱里「分かった。優斗も援護射撃よろしく!」


白露「じゃあ、行こうか」


優斗「…ああ。ここで終わらせてやるよ。このクソみたいな戦いをな!!」


相手は100以上もいる。それに対してこっちは海上で戦えるのは3人だけ。俺を入れても4人しかいない。

けれども、不思議と負ける気がしない。何でかは不明だけれども。


少しずつあのバケモノが接近して来る。

それを見て、指示を出す。


優斗「全員、出撃!」


朱里・白露・夕暮「了解!!」


3人が海の上を駆けて行った。自分も、武器を構えて狙いを定め始める。


朱里「先制攻撃と…。いきますかっ!!」


魚雷を海中に向かって放つ。

放たれた魚雷は、深海棲艦化した艦娘らの近くの爆発した。


白露「深海棲艦がバラバラになった!」


朱里「茜はあっちをお願い! 夕暮はその奥の方を!」


白露・夕暮「分かった!」


3人がバラバラになって、深海棲艦化した艦娘と戦闘に入る。

あのバケモノは、それを見て触手を展開し始めた。


バケモノ「ハハッ…。真正面かラ突っコンでくルとハなぁ…。コれでも喰らッてあノ世イキだァ!!」


朱里「うわっ、危なっ…」


白露「こんなモノ効くかー!!」


夕暮「おりゃー!!」


朱里がかわしながら戦っているのに対し、茜と夕暮は触手を撃ちながら戦っている。

そんな中、優斗は武器を構えながら、あのバケモノの弱点を探りながら銃撃を放っていた。


優斗「まだ深海棲艦と完全に融合してないせいか、人間の部分が残ってるみてーだな。けれども、あの部分に効くか…?」


狙ってはみるが、バケモノが動き回る所為で狙えない。


優斗「あのバケモノめ…。仕方がない、他のヤツを引き付けてもらって撃つしかないか」


茜たちが暴れ回るのを少しでもサポートできるように、ありとあらゆるモノを放つ。

催涙弾や、閃光弾を茜らと通信しながら使っていく。


優斗「コイツでも…。喰らいやがれっ!!」


遠くに投げた催涙弾が炸裂する。茜や夕暮は中身が何か分かっているのでかわしていけるが、深海棲艦化した艦娘は中身が分からないので喰らっていく。その間に目が使えなくなっている深海棲艦化している娘に一撃をかまして、気を失わさせる。


白露「よし、回収ー!」


朱里「りょーかい!!」


夕暮「急げー!!」


3人が気を失った深海棲艦を連れて行く。後ろからバケモノの触手攻撃が飛んでくるが、優斗が放った銃撃を受けると動けなくなった。


バケモノ「グッ…!? な、ナんダコレは!?」


優斗「いやー、とりあえずで準備しておいた痺れさせるヤツ用意しておいて良かった良かった…。けれども、弾数あんまねぇのが不安だな…」


効果は1発あたり5分弱。10個使ったとしても1時間は持たないし、アイツが耐性を持ち始めたら完全に回収するのは厳しくなる。

そんな心配をよそに、茜らは深海棲艦を回収して鎮守府付近に連れていく。鎮守府が近かったのがせめてもの救いか。


バケモノ「こンナので…。俺を止めラれると思っテルノカぁァァ!!??」


白露「げっ、もう効かなくなった!? ちょ、ゆーくん、マズいよ!!」


優斗「分かってらぁ!! でも、これ以外で効きそうなモノが見当たらないんだよ!」


朱里「だったら、あの部分に向かって…。喰らえぇ!!」


人間の部分が残っている所に向かって朱里が砲撃を放つ。すると、バケモノはその部分を守るかのように触手を動かした。


優斗(やっぱり、あの部分は弱点だったのか。なら…)


狙いを定め、銃撃する。しかし、かすりもしない。


バケモノ「どうヤら…。アいツがドコか二イるみタイだなァ…」


優斗(まぁバレるよね。よし、逃げよう)


茜と指示を送りながら、移動する。深海棲艦化した艦娘のほとんどは避難完了させられたが、まだ1割程逃がしきれてない。


優斗「ヤベぇな、このままじゃ逃げ回るだけだけで何もできねぇ…」


本来だったら、茜たちで深海棲艦化した艦娘を回収し終えた後に、俺が後ろから撃ちまくって援護しつつあのバケモノを倒す予定だった。

けれども、効果が思ったよりも早く効かなくなってしまった所為で回収が完了出来ていない。しかも、援護も出来ないんじゃ逃げ回る事しか出来ない。一応、撃つ事は可能だが、慣れない場所から撃つ事になるので、危険だ。


優斗「あのバケモンめ…。コレでも喰らってろ!!」


慣れない場所から撃つのは諦めて、落ちていた石を投げてみる。

すると、幸か不幸かその思い切り投げた石がバケモノの人間部分に当たった。


バケモノ「グッ…!?」


白露「あ、あれ? なぜかひるんだ!?」


朱里「そんな事はいいから早く運ぶよ!」


夕暮「ついでにこれも喰らえ!!」


ひるんでいる隙に、夕暮が顔付近に閃光弾を投げた。


バケモノ「グぁぁぁぁぁ!!! クソ…。目が…。耳がぁぁぁ!!」


目と耳を抑えながら、バケモノが苦しんでいる。その間に残った1割を回収しに戻る。


優斗「…まさか当たるとはね。それにしても、ただの石であんなに反応するか、普通…」


もしかしたら、人間の部分は痛覚とかはそのままなのか?

触手の部分は流石に引っこ抜いたら苦しんでいたみたいだけども、砲撃とかはあんまりダメージ入ってなさそうに見えた。

その事を含めて考えたら、俺が今さっき投げた石は触手部分に当たったとしてもダメージはなかったのかもしれない。

残っている人間の部分に偶然に当たったからダメージが入ったのなら、人間の部分を集中的に攻撃する事で倒す事が出来るのか?

まだ確信は持てないけれども、ほぼほぼ確定だろう。


優斗「茜。次からは難しいだろうけれども、バケモノの人間部分を集中的に狙え。あそこに当たれば、大きなダメージを与えらえれるみたいだ」


白露「分かった。ゆーくんも、援護よろしくね」


優斗「了解。そっちも頼んだ」


そう言うと、茜たちは残っていた深海棲艦を回収して鎮守府へと向かい始めた。

だが、その後ろでバケモノが再び動き出した。


バケモノ「こノ…。雑魚どモガァァァ!!!」


触手を無数に展開したと思ったら、今度はその触手の他に銃火器と繋がっている状態の触手も出てきた。

それだけではなく、深海棲艦化のような太い腕が数本生え、叫び終わるとバケモノの後ろから、深海棲艦が大量に発生した。


優斗「うそ、だろ…?」


白露「な、何コレ…」


朱里「驚いてる場合!? 逃げるよ、みんな!!」


夕暮「ッ…!!」


今さっきまでは、100体越えVS4人だったのが、500を余裕で超える程の大群VS4人という絶望的な現状になってしまった。


優斗「嘘だろ、こんな事って…!!」


こんな事になってしまったら、銃撃して1、2体倒せたとしてもどうしようもない。

後ろから襲ってくるバケモノと深海棲艦の攻撃を何とかしてよけながら、近くの倉庫の中に逃げ込む。

何とか全員無事に済んだが、ここがいつまで持つかも時間の問題になってくる。


優斗「どうすんの、コレ…」


白露「回収したみんなは、前元帥さんの付き人に連れて行ってもらったけれども…」


優斗「付き人? あぁ、レ級とヲ級たちか」


朱里「それよりも、どうする? このままだと、私たち全滅だけれども…」


夕暮「とりあえず逃げ込んだけれども、鎮守府に攻撃されたら終わりだよ…」


倉庫の中で何とかしてこの状況をどうにかする策を考えるが、何も思いつかない。

そんな中、通信が入った。


優斗「どうかしたんですか!? でも、こっちも大変な事に…」


前元帥『それは分かってる! だから、お前にこれだけ伝えておく。今さっき、秘密兵器が完成した! あと、援…』ザッー…。


優斗「ちょ、もしもし!?」


秘密兵器が完成したという所だけ聞き取れたが、その先が聞こえなかった。


優斗「くっそ、こんな時に通信がイカれやがった!!」


通信機が使えなくなろとほぼ同時刻で、倉庫に砲撃が直撃した。


白露「ちょ、これマズいよ!!」


朱里「脱出するよ!」


倉庫から脱出したが、逃げ回るうちに海の中に追い込まれた。


優斗「クソ…。俺、海の上動けないからどうしようもないぞ」


白露「いざとなったら、私が運ぶよ…」


まだ足がつくから良かったが、様々な方向からは砲撃が迫る。逃げ回ったが、限界が遂にきてしまった。

もう、足がつかない程の深さにきてしまった。後ろには海しかない。そして、前からはバケモノが迫る。


優斗「…マジか」


白露「これじゃあ…。もう無理、かな」


朱里「まさかこんな事になっちゃうなんて…」


夕暮「限界、かぁ…」


ここまで何とかして戦って来たが、もう無理だ。

手は全て尽くした。けれども、もうこんな状態になってしまえば打つ手はない。


バケモノ「サァ…。コレデ終ワリダァ…」


触手等が俺らに向かって襲い来る。目を閉じて、最期の時が来るのを待った。




優斗「…アレ?」


痛みも全くなく、どこにもダメージもない。前を向くと、バケモノの触手が撃たれ、地面に落ちていた。


レ級「…どうやら間に合ったみたいか?」


ヲ級「皆さん、遅れて申し訳ありません。準備に手間取ってしまって…」


後ろには、人間と共存を選んだ深海棲艦が勢揃いしていた。

どうやら、助けが間に合ったみたいらしい。


レ級「さぁ、暴れるぜお前ら!!」


レ級のその号令と共に、深海棲艦が一気に攻め始める。

大乱戦が起きる寸前に、その場から離れたので巻き込まれはしなかったが、全員ボロボロになっていた。


優斗「これで…助かった?」


ヲ級「まだ安堵するには早いです。戦える状態の深海棲艦を集めましたが、まだ戦力が足りません」


優斗「嘘だろ…?」


軽く治療してもらいながら、今の現状を聞かされる。


ヲ級「深海棲艦化を一時的に解く薬は完成しましたが…。数が足りないので、艦娘の皆さんの投入はまだ不可能かと」


優斗「クッソ…。このままじゃ…」


目の前で、仲間がやられていく。その光景を見続けていられるワケもなく、優斗はボロボロの状態で海の方へ向かった。


白露「ちょ、ゆーくん!?」


優斗「このまま…。黙って見てられっかよ!!」


もう一つだけ残っていた深海棲艦化する薬を飲み込んで、海上へと駆けていった。

だが、1人でどうこうできる人数ではなかった。敵を倒しても倒しても、きりがない。


優斗「クソ…。クッソぉ!!」


必死で戦っている中、死角から向かってきていた触手に弾き飛ばされた。


優斗「ガハッ…!」


海の上で立てなくなる。もう、身体があちこちから悲鳴をあげている。

薬の効果もあと1分程度で切れてしまう。


優斗「クソ…。クッソォ…」


バケモノ「サァ…。コレデ…。オワリダ!!」


無数の触手が襲い来る。身体を動かす事も出来ず、ただ飛んでくる触手を見ることしか出来なかった。


優斗(今度こそ…。もうダメだ…)


目を閉じた。

けれども、今度も触手は優斗の身体を貫く事はなかった。

何人かが放った砲撃で、触手を弾いたからだった。


優斗「えっ…」


優斗の視線の先には、何人かの少女が助けにきたのが目に映っていた。


(次回に続く)


後書き

次回、「終戦」に続きます。


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