再会 (第6章,3話)
もう会えないと思ってた。
でも…。
(前回のあらすじ)
優斗と茜(白露)は、白黒だけの世界から色がついてる世界になぜかワープ。元の世界かと思ったら、違う世界。
しかも、そこにいたのはもう死んでいるはずの優斗の両親だった…。
優斗「え…?」
言葉が、口から出ない。出そうと思っても、口が動こうとしない。
だって、そこには。
もう死んでいるはずの両親がそこに立っていたからだ。
白露「ちょっ…。ゆーくん、しっかりして!!」
急に言葉を失ったせいか、茜が俺を揺さぶってきた。
優斗「あ、ああ。ワリィ…。ちょっとあまりにも訳の分からない事が今さっきからずっと起きててさ…」
白露「訳の…。分からない事?」
優斗「ああ。あそこに、人影が見えるだろ…?」
白露「う、うん…」
優斗「あの2人、どう見ても俺の両親なんだよ…」
白露「え…? じゃ、じゃあ、私たち、今度はタイムスリップしちゃったの!?」
優斗「分かんねぇ。けども、その可能性もあり得る…」
??「そんな訳ねぇだろ。お前らを俺らが呼んだんだ」
優斗&白露「!?」
声のする方を向くと、そこには2人が立っていた。こっちを向いて。
優斗「え…?」
父親「え…? じゃねぇよ馬鹿。なんでお前らがこっちに来てるんだ。お前らはまだ死んでないだろうが…」
優斗「え、でも、今さっきは白黒の世界に…」
父親「白黒の世界? なんじゃそりゃ。んなもん俺は知らねぇぞ?」
優斗「で、でも、『お前らを呼んだ』って…」
父親「何か変な気がしたから、適当にこの世界の周辺をさまよってたんだよ。そしたら、なんか見たことある奴がいたからこっちに強制送還したけども…。まさか、お前らだったとはなぁ…。優斗」
優斗「…」
父親「ま、悪い事は言わねぇ。さっさと元の世界に戻りな。そうしねぇと、ホントにこっちの世界の住人になっちまうぞ?」
優斗「ま、待ってくれよ、親父。俺たち、何でこっちの世界に来たから分かんねぇから、こうしてさまよってるんだよ…」
父親「はぁ? いや、どういう事だよ?」
俺は、親父たちにこの世界にきてしまった経緯を話した。けども、帰る方法は分かんないまま。
けども、もう少しここにいたくなってきてしまっているのも事実だった。
だって、もう会えないと思っていた親父と母さんにまた会えたんだから。
優斗は、自分の両親に再会できたから事により幸せを感じていた。
だが、茜は恐らくこっちの世界にいるであろう人物を探していた。
白黒の世界に閉じ込められている白露型の長女である、白露を。
白黒の世界では、なぜか白露は探してもいなかった。妹である時雨たちも閉じ込められている間ずっと、探していた。
けども、見つからなかった。どれだけ探しても。
そして、探している真っ最中にこっちに飛ばされた。
飛ばされた後、茜はこっちの世界に来てから1つの違和感を感じていた。
白露「なんで、この世界の海と白黒の世界の海って似てるんだろ…?」
この違和感をもとにして、茜は1つの仮説を立てた。
何かしらの異変が起きて、白黒の世界にいたはずの白露はこっちの世界に移動。しかし、白黒の世界に戻ることが出来ず、成仏もできない。だから、もう一度時雨たちと会うためにこの世界をさまよいつつ白黒の世界に戻る方法を探しているのではないか、と…。
その違和感の正体とこの仮説を確かめるため、優斗が両親と話している最中に海に出てみた。
すると、そのモヤモヤが一瞬で晴れた。
白露「やっぱり。この世界と白黒の世界の海の性質は一緒だ…」
そもそも、この仮説は『当てればいいな』ぐらいの考えだった。しかし、海に出た瞬間その仮説がほぼ確実となる。また、白黒の世界では無限に空間が広がっていた。けども、この世界では何故か先に行かせてくれない透明な壁みたいなものが存在している。だから、この世界を隅から隅まで探せば見つかるはずだ。
幸いにも、艤装は無傷だったため海の上でも探すことが出来た。海の上をひたすらに駆け回る。
白露「絶対に…、見つけてやる!」
探し始めてから1時間ほど経ったころだろうか。1つの小さな島が見えた。そこに上陸する。
そこには、自分と同じ姿の娘がいた。
白露(茜)(やっぱり、予想通りだ…)
白露?「あれ、なんで人が…。って、わた、私…!?」
白露(茜)「ようやく見つけた…」
白露?「見、見つけた? ど、どういう事なの?」
白露(茜)「話は後。とりあえず、ついてきてもらうよ!!」
白露?「え、ええ?」
茜は、白露を連れて優斗たちがいる場所へと戻ろうとした。しかし、優斗たちがいる所に近づくにつれて白露はスピードを落としていく。そして、足を止めた。
まるで、提督に会いたくないと言わんかばかりに。
白露(茜)「ど、どうしたの? 急に止まって」
白露?「提督に…。会いたくない…」
白露(茜)「え…? ど、どうして!?」
白露?「あなたには関係ないよ!!」
白露(茜)「…。まさか、時雨たちを置いてきちゃった事、とか?」
白露?「!?」
白露?「な、なんでその事を…」
白露(茜)「時雨たちにもう会ってるからだよ。けども、これ以外にも戻りたくない理由がありそうだけどもね…」
白露?「…。もうだいぶ分かってるみたい、だね。確かに、時雨たちを置いてきちゃったから会いたくないのは事実だよ。けども、もう1つあるんだよ。会いたくない理由」
白露(茜)「もう1つの理由って…?」
白露?「私は、前に深海棲艦が攻め込んできた時に鎮守府に提督が残っているのを思い出して、近くの海で深海棲艦と戦ってる最中に無断で離脱した。そして、鎮守府に急いで戻ったけども…。そこには、燃えてる鎮守府しかなかった。まだ提督たちが生きていることを信じて鎮守府に近づいたんだけども、まだ残っていた深海棲艦にやられちゃって…。鎮守府に着く前に沈んじゃったみたい、私。」
白露(茜)「つまり、勝手に離脱したのを怒られたくないから提督に会いたくないって事?」
白露?「それもそうだけども、深海棲艦と戦ってた時に一緒にいたのは…。時雨たちだもん。私は、見捨てちゃったんだ。時雨たちを」
白露(茜)「…。それは違うと思うよ」
白露?「…なんで?」
白露(茜)「だって、提督の事、いっちばん守りたかったんでしょ? しかも、見捨てたって言ってるけどもさ。普通だったら、1人で勝手に離脱なんかしちゃったら他の娘も普通はついてくるはずでしょ? でも、誰もついて来なかった。それって、時雨たちから信頼されてたって事なんじゃない?」
白露?「しん、らい…?」
白露(茜)「そう、信頼。って、こんなこと話してる場合じゃない!! 早く戻らないと…。ほら、行くよ!!」
茜は、立ち止まっている白露の後ろに立つと、速力を一気に上げて白露を連れていく。
優斗たちがいる所が目に見える所までくると、白露は自分で動き出した。
白露?「もう、大丈夫。それにしても、まさか、自分にそっくりな娘にこう、はっきりと言われるとはね…。まぁ、おかげで気持ちもスッキリできたけども」
白露(茜)「…再会した後はどうするの?」
白露?「まぁ、時雨たちにもう一度会うための方法を一緒に探すつもりだよ」
白露(茜)「会えるといいね。もう一回」
話していると、目的地に着いた。そこでは、優斗と優斗の両親が待っていた。
優斗「おいおい、どこ行ってた…。って、茜が2人いるぅ!?」
父親「いや、お前の目はおかしくなったのか。こっちが茜ちゃんで、こっちは…」
優斗の父親が、白露を見る。白露は身構えた。怒られると思ったからだ。
けども、何もしてこなかった。ただ、こう言うだけだった。
父親「おかえり、白露」
白露?「…ただいま、提督」
そう言った瞬間、白露の目から涙が流れ落ちた。
母親「ちょっと、何泣かせてんのよ!!」
父親「いや、俺の所為にするなよ!?」
優斗「何やってんだ、あの2人は…」
白露(茜)「あはは…」
すると、何故かまた俺たちの身体を白色の光が包み始めた。
優斗「な…なんでだよ!?」
父親「ちょっ…、おい、優斗!! 何が起こってんだ!?」
優斗「俺にも分かんねぇよ!! とりあえず、このままだとまた、どっかの世界に飛ばされるって事だけは事実なんだよ!!」
父親「じゃあ…。こうすりゃどうにかなるか!?」
親父は、俺の腕を握ってきた。けども、特に何にも起きない。
優斗「いや、それだけだと何も起きねぇから…」
父親「何かしら起きるかもしれねぇだろ!!」
優斗「えぇ…」
気がついたら、茜も母さんと白露に腕を持たれていた。だから、何も起きないって…。
しばらくすると、完全に光に俺と茜は包まれた。そして、また別世界に行くんだろうと思っていた。
けども、飛ばされた場所は最初に飛ばされた白黒の世界だった。
優斗「なんでまたここに…?」
しかも、俺と茜以外の全員もこっちに来ていた。
父親「うお!? なんじゃここ!?」
優斗「今さっき言った、白黒の世界の世界だよ…。けども、こっちの世界に戻ってきたって事は…」
もしかしたら、再び白露と親父たちをここに閉じ込められている時雨たちに会わせる事ができるかもしれない。
俺と茜は、時雨たちを探し始めた。
みんなをまた会わせるために。
優斗「色々おかしな第6章も、次回でいよいよ最終回」
茜 「次回。「おかえりとサヨナラ」に続く」
もう会えないと思っていた人と会えたら
どんな気持ちになるかなぁ?
嬉しい気持ちよりは、何が起こっているのか?と混乱しそうですね。
とりあえず、次回楽しみです。
出会えないと思っていた人との、
出会いが、何をもたらすのか?
今後どうなっていくのでしょうか?
※1,2
さぁ、最終回でどういう展開になるのでしょうか…?
これ、このあとの展開わかったわ
涙するやつや
※4
さぁ、どうなるでしょうねぇ〜?
わかった。
砂糖を吐くんだ。(周りの人達が)
※6
父親「砂糖を吐く?どういう事だ?」
優斗「さぁ?」(すっとぼけ)
とある業界からは、人気者ですぜ。
※8
優斗「マジかよ」