2020-08-23 23:30:06 更新

概要

過去編、優斗と茜編です。


前書き

単位を取るための勉強が大変なのに、Vtuberの動画を見たい欲が出てしまって、まったく勉強が手につきません助けてくだせえ。


ーー施設の部屋ーー


親は帰ってこない。

そうなってから何年経った?


いや、もう考えるのも嫌だな。

考えたって誰も帰ってこないだろ。じゃあ、死ぬか? いや、死んでも会えるとは限らないか。

どうすればいいんだよ、俺は…。



ーーその隣の部屋ーー


はぁ…。今日も相手にしてくれなかった…。

いつになったら、あの時みたいにまた遊べるのかな…。


いつも通り、ゆーくんと同じ家で過ごしていたはずなのに、急にゆーくんがおかしくなった。

そして、もう3日も経った。何が起きたのかも分かんないけれども…。私がどうにかししないと。



(3日前)

優斗「さて、と…。片付けも終わったし…。寝るか」


優斗は、部屋の片づけを終えて寝ようとしていた。そして、いつも通り寝た。


優斗「zzz…」


優斗(んん…? どこだここ)


恐らく、これは夢であるとは分かっていた。

見たことが何回もある、あの景色だった。けれども、何か違和感を感じる。

なぜか、所々あるはずもの無く、無くなってしまっているはずの建物などがあったりしている。


優斗(過去の思い出でも見てんのか、俺は?)


夢の中でそう呟く。そんな中、声が聞こえた。


父親「じゃあ、行ってくる」


母親「一人でちゃんと待ってるのよ」


優斗(幼)「うん!」


優斗(あれは…。俺!?)


目の前では、幼かった時の俺と両親が玄関で分かれていた。

けれども、この光景は見覚えがある。


最期に親と会ったあの時だ。


優斗(そっか…。この夢って…)


夢の中で親がドアを閉めた瞬間、俺は目が覚めた。

口元に何か流れてきたので、ふき取った。流れてきたものは、涙だった。


枕には、涙の所為で大きなシミができていた。


優斗「俺、寝てる時に泣いてたのか…。まぁ、そう、だろうな…」


親がいたあの頃を思い出すと、再び涙が流れ出す。

なんで、急にこの夢を見たのか、理由は分からないけれども、今はただ流れ出る涙を止めようとする。

けれども、止まるわけなかった。むしろ、止めようとすると更に流れ出る。


優斗「ッ…。なんで、だよ…」


部屋の中で1人で泣き続けていた。



ーー部屋の外ーー

茜 「ゆーくん? あれ? いないのー!?」


外では、茜が優斗を呼びに来ていた。

数回、部屋のドアをノックしても反応が無かったので、仕方なくそのまま部屋に突入する。


茜 「入るよーって、どうしたの、ゆーくん!?」


優斗「うぁ…。あ…」


茜 「ちょ、ちょっとぉ!?」


部屋では、ゆーくんがなぜか知らないけども、泣いていた。

泣いている所為か、まったく私に気づいてないみたいだし…。ど、どうしたらいいんだろう…。

と、とりあえず…。


むぎゅ。


優斗「ッ…。え…?」


茜 「だ、大丈夫? ゆーくん」


優斗「え、いつのまに…?」


とりあえず、抱きしめてみた。抱きしめると同時に、ゆーくんがようやく気づいた。


優斗「な、なんで、抱きしめてんだ…?」


茜 「いや、ゆーくんが泣いてて私に気付かなかったから…」


優斗「そ、そっか…。悪い」


茜 「何かあったの?」


優斗「いや…。なんでもない」


茜 「じゃあ、泣くワケないじゃん」


優斗「ちょっと色々あったんだよ、色々…」


茜 「そ、そうなんだ…」


ゆーくんが何か言いたくなさそうだったから、あえて聞かないようにした。

けども、顔はとても寂しそうだった。


茜 (ゆーくん…。大丈夫なのかなぁ…)


その日から、ゆーくんはおかしくなった。

元気がなさそうな顔で、学校に行くし、帰って来てもそのまま。遊ぼうともしないでボーっとどこかを眺めてる。


茜 (ゆーくん…)


優斗「…」


なんなんだろうな、俺は。

父さんと母さんは、何処かに行ったきり帰って来なくなった。

帰ってこないのはもう知ってんだけどもな。いつもなら、夢の中の出来事なんかすぐ忘れちまうのに…。

なんでこの夢だけは脳みそにこんなにもこびりついて離れないんだよ。

そんなに、俺は過去に執着してんのか?


…ダメだ。何も考えたくねぇ。


また、天井を見上げる。天井のはるか先にあるどっかから父さんたちは、見てんのかな。


…って、また考えてるじゃねぇーか。どこまで過去に執着してんだよ、俺は。

忘れたいけども、さ…。忘れたら、何かが消えていくような感じがする。


どうすればいいんだ。俺は…。


そのまま、頭の中から消えないまま1週間が経った。

脳みそはその間、ずっとこの夢の事しか考えらえれなかった。

そんな時だった。茜が、この地獄ともなんともいえない心の中から抜け出してくれたのは。



ーー茜の部屋ーー

優斗「入るぞー」


茜 「いいよー」


俺は、茜に呼ばれて茜の部屋に来ていた。なんで呼ばれたのかは分からんけれども。


優斗「んで、何か用か?」


茜 「うん」


茜が、これまで見てきた中で1番真剣な顔になる。


茜 「ゆーくん、あの時からずっとこうだよね?」


優斗「そ、そうか…? 俺はいつも通りだけれども…」


茜 「いつも通りじゃない!!」


返答した瞬間、急に大声で叫ばれたので驚きを隠せなかった。茜は、少し怒っているようにも見えた。


優斗「きゅ、急になんだよ…。大声出して…」


茜 「だって、ゆーくん、あの時からずっと何か苦しんでいるように見えるもん…」


優斗「俺が…。苦しんでる?」


茜 「あの時と同じだよ…」


あの時。そう言われて当時の事を思い出す。それは、父さんたちが死んで間もないころだった。

その時の俺は、まだ小1だった事もあり、親が急に死んだと聞いてずっと泣いていた。


そして、誰も帰ってこない家の中で外をボーっと眺めていた。何もしたくない。ただ、このまま放っておいてほしい。

そんな感じだった。


そんな中、茜が暇だから遊ぼうと、毎日のように誘って来ていた。

最初の頃は、会いたくもなくて相手をしようともしなかった。けれども、茜は毎日やって来た。

そして、毎回毎回、俺を外に出そうとしていた。


結果、俺は茜のお陰で家から出る事が出来た。


そういや、あの時何か言われたような…。


茜 「言ったよね、あの時…」


優斗「え、あ、う、うん」


茜 「その様子だと…忘れてたでしょ」


茜 「何かあったらいっちばんな私を頼って、って」


優斗「あ…」


そうだった。なんかちょっと変なワードが増えてる気がするけれども、確かにそんな事を言われた気がする。


茜 「それなのに、ゆーくんは一人で抱え込んで…。たまには、頼ってよ! 私の事!!」


茜 「そんなに、自分1人で抱え込むのが好きなの!? もう、私は…。私は…」


茜 「1人で苦しんでる、ゆーくんなんか見たくないよぉ…」ポロポロ


茜はそう言うと、泣き始めた。

そっか。茜はずっと…。心配してくれたんだ。俺の事を。

それなのに、俺はそんな事も考えずに1人で抱え込んで自分の首をひたすら締め上げていたんだ。


優斗「ごめん、茜…」


茜に、謝る。

あの時同様に突き放すような事をしたにもかかわらず、ずっと助けようとしてくれてたのに…。


茜 「別に…。いいよ…。けども、今度はちゃんと頼ってよ…?」


茜が、涙をぬぐいながら話す。


優斗「分かったよ。約束する」


茜 「じゃあ、何があったのか言って? あの時、ゆーくんが泣いてた理由」


茜に聞かれたので、夢で見た事をそのまま答える。

話してる最中は、茜はずっと俺の顔を見ていた。


優斗「まぁ、そんな夢を見ちまった訳で…」


茜 「まぁ、普通はそうだよね…。最期に会った時のことなんか思い出しちゃったら…」


優斗「けど、まぁ、なんか話したらスッキリしたわ。なんか、心の中にあったモヤモヤが消えたような感じ?」


茜 「やっぱり、1人で抱え込むのはよくないんだよ。だからさ…」


茜 「これからも、何かあったらいっちばんな私を頼ってね!」


優斗「分かってるよ。ただし、茜も何かあったら俺に言えよ? 俺も…。茜が何か抱え込んで苦しんでるのを見たくはないし」


茜 「りょーかい!!」


優斗「はは…。それにしても、やっぱし茜は泣いてる顔よりも、笑顔が一番似合うな」


茜 「え? そ、そう…?」


優斗「おう」


茜 「そ、そうなんだ…」


なぜか、茜が顔を赤らめている。

あれ? 何か変な事言ったっけ、俺?


茜 (…ゆーくんって、そういう事あっさりと言っちゃうからなぁー。特に気にせず言ってるんだろうけれども…)


茜 (まぁ、ゆーくんからいっちばん頼ってもらえるようになったからいいか!)


茜 (もう、ゆーくんにあんな辛い想いは、させないから…)


茜 (絶対に、私がゆーくんをひとりぼっちになんかさせないから!!)




結果として、この2人はどちらもひとりぼっちになる事もなく、2人で一番になるのだが…。

まぁ、その話はどこかで…。


(終わり)






(おまけ)

○茜 (白露型1番艦「白露」)


本名 白露 茜


優斗の幼馴染。優斗と家が横だった。そのため、よく優斗と遊んだりしていた。

優斗の両親が亡くなった際、優斗に一緒に住むように説得したのは茜だったりする。

ちなみに、第1話を読んだことがある人はもう知っているだろうが、小1の時に結婚の約束をしてたりする。もちろん、相手は優斗。

1番を常に目指すようになった理由は、幼馴染である優斗にとって1番でありたいと思ったから。

そのため、実は色々努力している。なお、妹たちには知られないようにコッソリとやっているので気づかれていない。

白露型の中では、1番の努力家。


優斗の事が、昔から好きだった。なお、優斗はその思いにたまに気づいていない時がある。

そのせいで、落ち込む事があったりする。




しかし、今はただのバカップルと化している。

そのせいで、優香たちの胃がボドボドになっている事も多い。


後書き

なんやかんやありましたが、過去編はこれで終わりです。
来週は、全員の過去のとある共通点が優斗に繋がります。

その共通点、とは何でしょうかねぇ…。


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