逃げろ (第6章,2話)
今回は、ちょっと変な話です。
(前回のあらすじ)
優斗と茜が謎の場所へと飛ばされた。その場所では、何故かこっちに来ていないはずの時雨たちがいた。
果たして、その正体は…?
ーー??--
優斗「う、嘘だろ…?」
白露「な、なんで優香たちがここにいるの…?」
優斗「全員、助けたはずだぞ!? なんでここにいるんだよ!! 茜、お前以外はこっちに来てないはずだろ!?」
白露「そ、そうだよ…。なんでここに…」
まだ遠くにいるので詳しくは分からないのだが、どう見ても優香たちだ。何度も目をこすってみても、頬をつねっても変わらない。
優斗「と、とりあえず近寄ってみる、か…?」
白露「そ、そうだね。もしかしたら別人かもしれないし…」
覚悟を決めて9人の方に近寄ってみる。しかし、近づくにつれてとある事に気がついた。
そこにいる9人の服がなぜか尋常じゃないほどボロボロになっている。
しかし、水流に飲み込まれた優斗と茜の服は濡れてもいないし、傷一つない。どう考えても、違和感しかない。
優斗(どういう事だよ…。アイツら、俺たちが近づいてきてるのにピクリとも動かねぇぞ…?)
2人が9人の近くに着いた。しかし、遠くからは見えなかったが近くで見ると、ある事に気づいた。
優斗&茜(!? ぜ、全員身体中に傷がある!?)
急に恐怖を感じた2人は、その場を離れようとした。
が。
時雨?「誰か、そこにいるの…?」
優斗「!?」
優香に似た人物がこっちを向いた。けども、その顔は…。
乾いた血が付いていた。
優斗「なっ…!? 茜、逃げるぞ!!」
白露「えっ、ちょ…」
時雨?「あれ? その声…。あの人に似てる…。もしかして、提督?」
時雨に似た人物がそう言うと、残りの8人が一気にこっちを向く。
けども…。
全 員 、身 体 か ら 血 を 流 し て い た 跡 が 付 い て い た 。
優斗「茜!! 逃げるぞ!! こいつらは優香たちじゃない!!」
白露「う、うん!!」
全力でそこから離脱するため、走り出す。後ろからは、奴らが追いかけてくる音が聞こえる。
どこかに隠れたくても、隠れるところなんて無い。
優斗(ヤバいヤバいヤバいヤバい!! アイツら、速い!!)
そもそも、こっちは人間に対して相手は艦娘?だ。簡単に逃げ切れるわけない。茜も、ここに来るまでに付けていたはずの艤装もどこかにいってしまっているため、人間とほぼ同じ状態だ。
時雨?「ま、待って…」
優斗「待つかぁ!!」
しかし、いつの間にか囲まれ始めていた。捕まってしまったら、どうなるかは分からない。もしかしたら、もうあの場所には帰れなくなってしまうかもしれない。それだけは絶対に嫌だ。何としても、あの場所に帰らなくちゃいけない。逃げるしかない。
けども…。
優斗「はぁ…はぁー…はぁ…」
白露「も、もう無理…。走れない…」
必死で走り続けた。けども、逃げ切れなかった。いつの間にか9人に囲まれ、逃げ場を失っていた。
優斗「なぁ、茜…」
白露「なに、ゆーくん…?」
優斗「俺たち、こんな所で終わりなのかね…」
白露「そう、とは言いたくないけども…。そうかもね…」
優斗「あの世に行っちまっても、絶対に迎えに行ってやるから…」
白露「うん…」
時雨に似た奴が近づいてくる。あぁ、短い人生だったなぁ、俺たち。どうせなら、茜との思い出もっと作っておきゃよかったな…。
目をつぶる。殺すなら勝手に殺してくれ。もう、抵抗する気にもなんねぇわ…。
…アレ? 何もしてこねぇな…。
再び目を開くと、時雨に似た奴はこっちを見たまま動かない。再び動き出したと思ったら、急に泣き崩れた。
…どういう事だ?
白露「…。えっと、大丈夫?」
時雨?「姉、さん…?」
白露「だ、大丈夫だから、ね…?」
茜は時雨の頭を撫でて慰めようとしている。時雨は余計泣き出している。茜が頭を撫でていると、他の8人も茜の方に向かっていった。
ホントにどういう事だこれ。
時雨?「姉、さん…。うう…」
白露「ほ、ほら、泣かなくていいから…」
時雨?「うう…」
優斗「ほ、ホントに大丈夫なのか…?」
時雨?「会えたと思ってたのにぃ…」
優斗「? どういう事だよ…」
時雨?「また、提督に会えたと思って…」
優斗「は?」
そう言うと、また、泣き出してしまった。茜が再び慰める。すると、村雨?が代わりに話を続けた。けれども、目は泣いていたせいか、真っ赤になっていた。
村雨?「実は、私たち…。もう、死んでるの」
優斗「ふぁ!?」
村雨?「けども、私たちの提督さんと、会えないまま。しかも、姉さんだけいなくなっちゃって…」
優斗「それで、その提督に似た人物と白露が来たから俺たちを追いかけたって事か」
村雨?「ええ…。ごめんなさい、驚かせて…」
優斗「…なぁ、少しだけ聞いていいか?」
村雨?「いいけども…。何かしら?」
優斗「お前たちの提督のところって、補佐官がいなかったか?」
村雨?「え、ま、まぁ、確かに、いたけれども…。それがどうかしたの?」
正直言って、こんな事を聞くのはあんまり良くない気がした。けども、どうしても確かめたかった。
俺は、その質問を口に出した。
優斗「提督の名前って…」
優斗「西本 修一 って名前か?」
村雨?「…ええ。でも…なんで知っているの?」
優斗「俺が…。俺がその提督の息子だからだ」
村雨?たち9人「え…?」
優斗「俺の両親は、深海棲艦が攻め込んできた時に住民を避難させていた。けども、間に合わなかった。だから、2人は身をもって深海棲艦の攻撃を防いだ。けども、な…」
村雨?「じゃ、じゃあ、提督はもう…」
優斗「残念だけども、もう、この世にはいないんだよ…。けども、俺の両親が避難させてなかったら今頃、大変な事になっていただろうな」
村雨?「そう…」
優斗「まぁ、昔話はここまでにして。そもそも、ここはどこなんだよ。死んだはずのお前らがここにいるって事は、俺たちも死んだのか?」
時雨?「そうなんじゃない…? けども、なんで僕たちは成仏していないんだろう…」
泣き止んだ時雨?が話に入ってきた。でも、確かにおかしい。死んだのに、なぜか成仏してないし、そもそも、死んだのならこんな世界に閉じ込められている理由が分からない。
優斗「何か、未練があるからじゃないのか? お前らの場合だと、白露に会えていない、俺の両親に会えていない、だからここにいるのかもしれないな」
時雨?「でも、どうやってここから出るのかい? 僕たちは閉じ込められているんだよ?」
優斗「そういや、そうだったな…」
その時、急に目の前が明るくなった。光に身体が包まれていく。
優斗「うわっ、何だよ、これ…!?」
白露「ゆ、ゆーくん、私も何故か光に…」
時雨?「ど、どうなってるの!?」
優斗&白露「うわあああぁぁぁ…!!」
時雨?「ね、姉さーん!!」
光が完全に2人を包むと、2人を飲み込んでそのまま消えてしまった。
時雨?「あ、あれ? 2人がいない!?」
村雨?「まさか、またどこかに…」
時雨?「…無事、なのかな…?」
村雨?「私に聞いても分かんないわ…。ともかく、私たちもここから出るための方法を探しましょ。あの2人なら、大丈夫な気がするから…」
2人は真っ黒な空を見上げる。空は、黒い雲に包まれていた。
ーー??--
白露「…あれ、白黒じゃなくなってる…? もしかして、私たち元の世界に…」
優斗「いや、そうでもないみたいだぜ。見てみろよ。あれ」
優斗が指をさした方には、今では公園になっているはずの場所に建物があった。
白露「ど、どうして…?」
優斗「俺も分かんねぇ。けども、また変なとこに…」
優斗がそう言おうとして前を見た瞬間、言葉を失った。
だって、そこにいたのは…。
優斗「え…? 父さんと、母さん…?」
優斗の視線の先にいたのは、もういないはずの父親と母親だったからだ。
(次回へ続く)
優斗「次回予告。次回、「再開」に続く」
茜 「今回は、ちょっと変な話になってしまっているから、面白くなかったり、気持ち悪いと思ったら、★1でも大丈夫だからね…」
続きは、続きはまだですか?
※1
まだです!!
ホラー探索ゲームしようぜ!お前ビビるプレイヤー側な!
冷静に考えれば2人ともそんな状況やなって
※3
優斗「俺、ホラーゲームなんかやりたくない」
白露「ですよねー」
と言うより、どんな状況になっても最終的には、イチャイチャ展開に入りそう。
むしろシリアスやホラーな展開も、吹っ飛ばすようなイチャイチャが、入りそう。
※5
果たして、それはどうかな?
「なんだって?」
「なんだと?」
「なんやって?」
※7
反応しすぎぃ!!